資料2-3 川邉構成員提出資料(PDF形式:190KB)

子ども・若者育成支援推進点検・評価会議第10回
有害環境等への対応
駿河台大学 川邉 讓
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有害環境(1)∼非行誘発・促進環境
 反社会的若しくは逸脱的行動への動因を高める環境
 例えば、
インターネットの違法・有害情報
 酒・タバコの自動販売機
 女子少年の性を商品化する商売

2
望ましくない環境の排除・改善
 ⇒ 在るものを無くす施策
 例えば、

青少年インターネット環境整備法

サイバーパトロール など

酒・タバコの自動販売機の夜間停止

タスポ(taspo)の導入

健全育成条例、風営法の取り締まり など
3
有害環境(2)∼抑制弱化環境
 反社会的若しくは逸脱的行動への抑制を弱める環境
 例えば、万引きであれば、
万引きのしやすい販売形態
 万引きのしやすい店舗構造
 盗品と疑われる品物の買い取り業者

4
望ましい環境の復活・醸成
 ⇒ 無いものを在るようにする施策
 例えば、

監視カメラ・監視員の不在の解消

死角の解消=視線の不在の解消

対面販売の復活=声掛け・関心の不在の解消

アルバイト等への教育=管理意識の不在の解消
5
不在の2側面
 物理的側面・制度的側面








⇒ 非行等の主観的成功確率を下げる
監視・監視カメラ・施錠
管理されている場所であることの印象付け
見通しの確保など CPTED(防犯環境計画)
意識的側面
⇒①地域住民の管理意識を向上させる
=コミュニティ(地域の絆)の再生・活性化
⇒②地域住民の子ども・若者育成意識を向上させる
6
意識的側面に働き掛ける施策
 H15 東京都安全・安心まちづくり協議会
 H17 安全・安心なまちづくり全国展開プラン

(犯罪対策閣僚会議)
 H20 犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008

(犯罪対策閣僚会議)






具体的施策としては、
⇒ 「安全・安心なまちづくりの日」の制定
⇒ 防犯ボランティア活動の支援
⇒ 警察と地域住民の協力・連携(コミュニティ・ポリシング)
⇒ 地域安全教育
⇒ 通学路安全マップ作成 など
7
施策の成果
 自分たちの地域を自分たちで守る意識の喚起
 地域の有害環境の浄化
 地域や建物を守る意識
 年少者を犯罪被害から守る意識 など
具体的には
 全国の防犯ボランティア組織は、H15→H24で、
団体数で15.3倍、構成員数で15.6倍になっている
8
施策の反作用
 安全・安心への意識喚起 ⇒ 防犯意識


≒ 治安悪化意識・犯罪不安の増大化(煽り?)
⇒ 厳罰化やゼロ・トレランスの風潮
 しかし、犯罪は平成15年以降減少している
 特に、少年犯罪は激減で、かつ非凶悪化している
9
イメージ優先の犯罪不安
 犯罪に対する不安感等に関する世論調査(2003,2005,
社会安全研究財団)
 「日本社会全体の治安は悪くなっていると感じる」
 「自分の居住地域の治安は良くなっていると感じる」
 この矛盾の背景には治安悪化神話における鉄の四重奏
(Best,J.1999:マスメディア・活動家・行政・専門家の相互連関)
がある
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地域を守る意識に内在する危険
 地域を守る意識は、些細な逸脱の早期発見・早期対応
に確かにつながっている
 実際、諸外国に比しての日本の少年犯罪の少なさは、地
域活動による部分が大きいとされる
 しかし、もし、守りへの比重が大きくなりすぎれば、
 ⇒ 一次的逸脱者への不寛容・ラべリングの助長の危険
 ⇒ 再統合・再社会化よりも排除を優先する危険
 ⇒ 逸脱者個人への責任の限局化の危険

⇒ 子ども・若者の健全育成の風土の減退??
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健全育成施策との統合の必要
 防犯意識・有害環境改善のみでは、防犯意識に内在す
る危険が顕現化する可能性がある
 ⇒ 子ども・若者を地域が育てるという意識をより強化
するための施策
 ⇒ 防犯意識を健全育成意識に止揚する必要
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専門機関・制度整備に内在する危険
 意識高揚が、住民一人ひとりのレベルまで浸透するか?
⇔ 専門機関・制度の整備は、子ども・若者の健全育成
の役割を、住民一人ひとりの役割から専門機関・制
度の役割へと移行させる危険
⇒ 住民主体の活動にする工夫
(施策のボトムアップの過程への参画)
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地域が子どもを育てる
 非行等のあった子ども・若者を排除する方向に向かえば、
地域にとっては子ども・若者が有害環境化しかねず、子
どもにとっては地域が有害環境化しかねない
 子ども・若者を地域で育てる&抱えるという意識の高揚と
再統合意識に、もう少しの比重を置きたい
⇒子ども・若者が参加するのにハードルが低い居場所
 ⇒子ども・若者と手を取り合って歩んでくれる人の育成
(公的機関以外に民間の活用=誰か任せではダメ)

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(参考)割れ窓理論
 割れ窓理論(Wilson,J.Q.&Kelling,G.L.1982)
 基本は、ゼロ・トレランス(Giulianiニューヨーク市長1994∼
2001)ではなく、地域住民の防犯意識喚起に比重がある
 これの日本への導入が「安全・安心・・・」「犯罪に強い・・・」




⇒
⇒
⇒
⇒
地域住民と警察等の関係機関との連携
防犯パトロール
落書き消し・ゴミ拾い・有害ビラはがし
防犯マップ作成 などの コミュニティ・ポリシング
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[email protected]
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