ソフトウェア GPS 受信機の試作

平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 97
ソフトウェア GPS 受信機の試作
B-17
The trial production of Software GPS Receiver
岡井 凜太郎*1
Rintaro Okai
髙崎 和之*1
Kazuyuki Takasaki
若林 良二*1
Ryoji Wakabayashi
*1
東京都立産業技術高等専門学校
Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology
一旦、信号を補足できれば、以降は、捕捉した衛
星の C/A コードを用いて逆拡散し、航法メッセー
ジを復調することが可能である。
ドップラーシフトについては、PLL 技術を応用し
た手法で周波数を逐次補正しながら BPSK 信号を復
調し、航法メッセージを復調することが可能である。
ここでは 2 次のループフィルタを使用した PLL を
使用した。図 3 に 2 値のディジタル信号に復調され
た航法メッセージの一例を示す。
1. はじめに
GPS は、米国によって開発された利用者の正確
な位置、速度および時刻を知ることができる全地球
測位システムである。GPS における測位誤差の要
因の 1 つとしてマルチパスがある。本研究では、マ
ルチパスによる測位誤差を軽減する手法の検討を目
的とした、ソフトウェア GPS 受信機の開発を行っ
ている。
5. むすび
復調部にソフトウェアを用いた GPS 受信機を試
作した。受信信号から特定の衛星を捕捉し、航法メ
ッセージを復調することが可能となった。
今後は C/A コードから疑似距離を算出して測位
演算を行い、マルチパス測位誤差の検討に発展させ
たい。
2. GPS 衛星からの信号
GPS 衛星は、搬送波を航法メッセージで二値位
相変位変調(BPSK)したものを C/A コードと呼ば
れている測距コードで直接スペクトル拡散した電波
を送信している。C/A コードは 32 機の GPS 衛星に
それぞれ割り当てられている PN コードで、1023 ビ
ットのディジタル符号系列である。航法メッセージ
は、衛星の状態や軌道などの情報を表すディジタル
データである。
図 1 GPS 信号の構成
図 2 ソフトウェア GPS 受信機のブロック図
3. ソフトウェア GPS 受信機
図 2 に本研究で用いている GPS 受信機のブロッ
ク図を示す。ハードウエア部では、アンテナで受信
した信号を LNA(Low Noise Amplifier)により増幅
し、IQ 信号に変換してダウンコンバートした信号
を HDD に保存している。ソフトウェア部では、保
存した IQ 信号データから PC 上でソフトウェアに
より復調する。復調部にソフトウェアを使用するこ
とで、ソフトの書き換えにより柔軟に処理を変更す
ることが可能であることや、信号処理の過程を確認
することが可能であるなどの利点がある。
4. GPS 信号の捕捉
GPS 衛星からの信号を復調するには、受信信号
と 32 機の衛星全ての C/A コードの相関を計算し逆
拡散を行うことで、信号を捕捉する必要がある。ま
た、GPS 衛星は周回軌道のため、ドップラーシフ
トも同時に補正しておく必要がある。
図 3 復調した航法メッセージの一例
参考文献
[1] Pratap Misra,Per Enge(日本航海学会・
GPS 研究会訳): “『精説 GPS』基本概念・測位
原理・信号と受信機”, 正陽文庫,2004
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