エイチ・エス銘柄レポート 株式会社バリューHR(6078) 平成 26 年 2 月 24 日 客員アナリスト 寺島 昇 主要ポイント バリューHR<6078>(以下、同社)の主要事業は、健康保健組合の新規設立支援 や運営支援(人材派遣) 、さらに既存健康保険組合や企業に対して各種の健康管理 サービス、福利厚生サービスなどを提供することである。足元の業績も堅調だが、 中長期的には厚生労働省が掲げる「データヘルス計画」により、同社は恩恵を受 ける。 発表された 2013 年 12 月期決算は売上高 1,943 百万円(前年比 2.6%増) 、営業利 益 391 百万円(同 13.2%増)を達成した。また 2014 年 12 月期は、売上高 2,110 百万円(同 8.6%増) 、営業利益 397 百万円(同 1.4%増)、経常利益 354 百万円(同 9.9%増) 、当期純利益 208 百万円(同 6.4%増)を会社側は予想しているが、かな り固めの予想であり、上方修正される可能性が高そうだ。 HS 証券会社予想に基づいた今期予想 EPS は 170.28 円であり、現在の株価(2 月 24 日 2,315 円)での PER は 13.60 倍となる。事業内容がストック型(積上げ型) であることから利益は急増することはないが、一方で急減するリスクも少ない。 その点を考慮すれば、現在の株価は中長期の投資対象としては魅力的であると思 われる。 業績サマリー -株式情報- 株価(2/24日終値) 発行済株式数 2,315円 DPS(予) 時価総額 1,292,000株 2,991百万円 配当利回り(予) 25.0円 EPS(予) 1.1% 170.28円 PER(予) 13.60倍 ROE(実) 12.4% BPS(実) 1,214 円 売買単位 100株 PBR(実) 1.91倍 (予)は2014年12月期予想ベース - 連結業績推移- 項目決算期 (単位:百万円、円) 売上高 営業利益 経常利益 当期j純利益 EPS 配当 2012年12月(実) 1,894 346 300 159 156.03 2013年12月(実) 1,943 391 322 195 182.32 25.0 2014年12月(会予) 2,110 397 354 208 161.14 25.0 2014年14月(HS予) 2,250 450 420 220 170.28 25.0 (会予):会社予想、 (HS予):HS証券予想 - EPSは期中平均発行済み株式数ベース 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 1/7 2013 年 12 月期決算概要 損益状況 前期(2013 年 12 月期)の決算は売上高 1,943 百万円(前期比 2.6%増)、営業利益 391 百 万円(同 13.2%増) 、経常利益 322 百万円(同 7.5%増) 、当期純利益 195 百万円(同 22.7% 増)となった。利益面では、売上の増加に加え、コンサルティング業務収入が増加したこ とから売上総利益率が改善、販売管理費の増加を吸収して営業増益となった。 (百万円、%) 1 2 年1 2 月期 ( 実績) 1 3 年1 2 月期 ( 構成比) ( 実績) 前期比増減 ( 構成比) ( 金額) ( 率) 売上高 1,894 100.0 1,943 100.0 49 2.6 バリューカフェテリア事業 1,412 74.6 1,469 75.6 57 4.0 483 25.5 473 24.3 ▲ 10 ▲ 2.0 1,126 59.5 1,097 56.5 ▲ 29 ▲ 2.6 売上総利益 767 40.5 845 43.5 78 10.2 販売費及び一般管理費 421 22.2 453 23.3 32 7.6 営業利益 346 18.3 391 20.1 45 13.0 営業外収益 4 - 8 - 4 - 営業外費用 50 - 77 - 27 - 経常利益 300 15.8 322 16.6 22 7.3 当期純利益 159 8.4 195 10.0 36 22.3 HRマネジメント事業 売上原価 部門別状況は以下のようであった。 バリューカフェテリア事業:1,469 百万円(同 4.0%増) 新規顧客獲得によってシステム利用料が増加したことに加え、健診によるデータ管理業 務も増加した。利用団体数(期末)は、カフェテリアサービス/カフェテリアプラン導入 団体数が 23(前期末 19) 、各種健康管理サービス導入団体数が 65(同 54)となった。 また会員数は 50 万人(同 47 万人)に増加した。 HR マネジメント事業:473 百万円(同 2.0%減) 健康保険組合の新規設立支援コンサルティング業務および新規設立健保への人材派遣 等の業務支援が増加した。一方で大手顧客への派遣業務が契約期間満了となったため前 期比では減収となった。但し、この減収は当初から予想されていたもので、特段の驚き はない。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 2/7 財政状況 2013 年 12 月末の財政状況は下表のようであった。 (百万円) 1 2 年1 2 月期 1 3 年1 2 月期 期末 期末 現預金 562 1,641 売掛金 199 241 その他 468 289 流動資産計 1,229 2,171 有形固定資産 2,241 2,215 無形固定資産 98 101 421 83 固定資産合計 2,761 2,400 資産合計 3,989 4,572 173 157 その他 1,132 1,173 流動負債合計 1,304 1,330 長期借入金 1,661 1,519 175 154 固定負債合計 1,836 1,673 負債合計 3,141 3,003 849 1,568 3,989 4,572 投資その他の資産 短期借入金 その他 純資産合計 負債純資産合計 株式公開に伴う新株発行により現預金が増加、長期性預金の減少によって固定資産が減少 した。また長期借入金の減少により固定負債が減少した。当期純利益の計上、新株発行に よる資本金および資本準備金の増加等により純資産が増加した。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 3/7 2014 年 12 月期予想 2014 年 12 月期予想(会社) 今期(2014 年 12 月期通期)の業績を会社側では下表のように予想している。この予想の 前提として会社側では各事業部門の状況を以下のように見込んでいる。 バリューカフェテリア事業:1,617 百万円(同 10.0%増) カフェテリア事業では売上高は 903 百万円(同 841 百万円)を予想しているが、新たに 設立された健康保険組合の導入 2 件を前提としている。また健康管理事業においては、 企業、健康保険組合による健診予約システム、健診結果管理システム等個別システムの 導入、また健康診断に係る代行サービス、データヘルス計画におけるデータ分析等の受 注を見込んでおり、売上高は 714 百万円(同 629 百万円)を予想している。健康管理事 業においては 12 組合の新規獲得を目指しているが、既に9組合が確定しており、目標 を達成するのは確実と思われる。 HR マネジメント事業:493 百万円(同 4.2%増) 健康保険組合の新規設立支援コンサルティング業務は新規 3 件(既に確定)を前提にし ているが、それ以外にも既に進行中案件が 5 件ある。また依頼を受けている案件が 4~ 5 件あり、この目標は上乗せになる可能性が高い。 しかし利益面では、設備投資額が 261 百万円(前期 67 百万円)へ増加することから減価償 却費が 106 百万円(同 89 百万円)へ増加することなどから、営業利益は下表のように微増 を予想している。 (百万円、%) 1 3 年1 2 月期 ( 実績) 売上高 1 4 年1 2 月期 ( 構成比) ( 会予) 前期比増減 ( 構成比) ( 金額) ( 率) 1,943 100.0 2,110 100.0 167 8.6 売上総利益 845 43.5 891 42.2 46 5.4 販売費及び一般管理費 453 23.3 494 23.4 41 9.1 営業利益 391 20.1 397 18.8 6 1.5 経常利益 322 16.6 354 16.8 32 9.9 当期純利益 195 10.0 208 9.9 13 6.7 (会予)=同社予想 2014 年 12 月期 HS 証券予想 会社側では上記のように今期(2014 年 12 月期)の営業利益を微増と予想しているが、HS 証券では以下のような理由により、この会社側予想はかなり控えめであり上方修正の可能 性があると考えている。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 4/7 カフェテリア事業での新規獲得は 2 件の前提だが、この目標は既に射程圏であり、 あと 1~2 件上乗せの可能性がある。 健康管理事業での前提は 12 組合増だが、現時点で既に 9 組合が確定しているとの ことなので、これも目標を上回る可能性がある。 また HR マネジメント事業においても、獲得目標数に加えて進行中や依頼受注済み 案件も多く、目標を上回る可能性が高い。 会社側では、今期の設備投資(主にシステム投資)を前述のように 261 百万円と大 幅増を見込んでいるが、実際には減額となる可能性が高いとのこと。したがって、 減価償却費も予想(前提)以下の可能性があり、利益は会社予想を上回る可能性が 高いだろう。 以上から、HS 証券では今期の業績を下表のように予想している。 1 4 年1 2 月期 (百万円、%) ( 会予) 売上高 (HS予) 前期比増減 ( 構成比) ( 金額) ( 率) 2,110 2,250 100.0 140 6.6 売上総利益 891 950 42.2 59 6.6 販売費及び一般管理費 494 500 22.2 6 1.2 営業利益 397 450 20.0 53 13.4 経常利益 354 420 18.7 66 18.6 当期純利益 208 220 9.8 12 5.8 (会予)=同社予想 (HS予)=HS証券予想 中期展望 同社の今後の事業展開を中長期的な視点から考察すると、以下の二つの点から成長が続く 可能性はある。 契約組合数の増加 同社の事業モデルでは、契約する組合数およびその構成員が増加すれば売上高は増え る。既述のように、現在同社が契約している企業健保組合数は 65 組合、50 万人である が、潜在市場(企業健保組合総数)は 1,300 組合、3,000 万人ある。したがって今後も 組合数を伸ばす余地は大いにある。 加えて同社にとっての追い風が、厚生労働省による「データヘルス計画」の推進であ る。これは全ての健保組合に「データヘルス計画」の作成を求めるもので、大部分の 組合が外部委託するものと予想され、同社にとっては受注拡大のチャンスである。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 5/7 収入源の多様化 もうひとつ同社が売上を伸ばしていく方法が「収入源の多様化」だ。現在の同社の収 入は基本的に健保組合(利用者)から入ってくるが、一方で健診機関からは健診予約 が入った場合の手数料(3~20%程度)だけである。今後、同社が抱える膨大な個人の 健診データ等を健診機関側にも利用してもらうことで、健診機関側からシステム利用 料を徴収することも可能だろう。むろん個人情報の扱いをクリアーする必要があるが、 同社では現在この方法での事業メニューを開発中である。 株価評価 2 月 24 日現在の株価(2,315 円)に基づいたバリュエーション(PER)は、2014 年 12 月 期会社予想で 14.37 倍、2014 年 12 月期 HS 証券予想ベースで 13.60 倍となっている。前 述のように同社の事業モデルから判断して、利益成長率は特別高いとは考え難いが、反対 に利益が急減するリスクも少ない。安定成長が続くと予想されること、国の政策が追い風 であることを考えれば、現在のバリュエーションは中長期投資を前提とすれば魅力的と思 われる。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 6/7 【ご投資にあたって】 当社にてお取引をされる場合、店舗における国内の金融商品取引所に上場する株式(売買単 位未満を除く)の場合は約定代金に対して最大1.1%(税込み)(ただし約定代金の1.1%に相 当する額が3,150円(税込み)に満たない場合は3,150円(税込み))の委託手数料をご負担い ただきます。 また、株式相場、金利水準、為替相場等の価格の変動及び有価証券の発行者の信用状況の 悪化等、それらに関する外部評価の変化等により損失が生じるおそれがあります。 なお、信用取引などを行う場合は、対象となる株式等または指標等の価格変動により損失の 額がお客様の差し入れた委託保証金などの額を上回るおそれがあります。なお、商品毎に手 数料及びリスクは異なりますので、当該商品の契約締結前交付書面や目論見書をよくお読み ください。 【免責事項】 ■本レポートは、当社と作成者であるアナリストとの契約に基づき、アナリストよりレポートの 提供を受けることに対して個別に対価を支払っています。 ■本レポートは当社がアナリストに対象会社を指定して作成を依頼したものです。 ■本レポートに記載された意見及び予想は、作成日時点におけるアナリストの判断であり、こ れらは予告なく変更される場合があります。 ■本レポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されたものですが、当社はその 正確性、完全性、適時性を保証するものではありません。 ■本レポートに基づき投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、当社 は理由の如何を問わず責任を負いません。 ■本レポートは、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、投資に関する最終決定 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