架線・バッテリーハイブリッドトラムの万葉線における走行の実施について

News Release
架線・バッテリーハイブリッドトラムの
万葉線における走行の実施について
平 成 26 年 7 月 18 日
公益財団法人鉄道総合技術研究所
ハイブリッドトラム実走事業実行委員会(富山県高岡市・射水市)
富 山 県 高 岡 市・射 水 市 の ハ イ ブ リ ッ ド ト ラ ム 実 走 事 業 実 行 委 員 会( 以 下「 実 行 委 員 会 」、
事務局:高岡市生活環境部地域安全課)が主催する「ハイブリッドトラム実走事業」の一
環として、公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下「鉄道総研」)が開発した架線・バッ
テリーハイブリッドトラム「ハイ!トラム」の走行が万葉線(万葉線株式会社、本社:富
山県高岡市)において実施されますのでお知らせいたします。
1.ハイブリッドトラム実走事業の趣旨
環境意識の高まりから、公共交通においても環境負荷を低減するための取り組みが求め
られており、このような中、実行委員会では、地域を支える公共交通である万葉線におい
て、新しい鉄道技術を背景として開発された環境配慮型車両の走行に取り組みます。
また、これに併せて、省エネルギー化の推進、市民の公共交通への理解・関心の向上を
図 る と と も に 、 平 成 27 年 春 の 北 陸 新 幹 線 開 業 の プ レ イ ベ ン ト と し て 、 さ ら に は 、 同 年 秋 に
万 葉 線 沿 線 で 開 催 さ れ る 「 第 35 回 全 国 豊 か な 海 づ く り 大 会 」 の 機 運 醸 成 を 図 り ま す 。
2.「ハイ!トラム」走行の概要
架 線 ・ バ ッ テ リ ー ハ イ ブ リ ッ ド ト ラ ム 「 ハ イ ! ト ラ ム 」 (Hi-tram)は 、 独 立 行 政 法 人 新 エ
ネ ル ギ ー ・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 ( NEDO) と の 委 託 契 約 に 基 づ き 鉄 道 総 研 が 2007 年 に 開 発
した車両で、車両に搭載したリチウムイオン二次電池と架線のハイブリッド運転(電池と
架線の双方から同時にエネルギーを供給または返還しての運転)が可能となっており、駅
などで急速充電することにより架線レス走行(専ら電池のみでの走行)をすることもでき
ます(別紙)。
万 葉 線 ( 軌 道 線 : 高 岡 駅 停 留 場 ~ 六 渡 寺 駅 8.0km、 鉄 道 線 : 六 渡 寺 駅 ~ 越 ノ 潟 駅 4.9km、
合 計 12.9km)で の 車 両 走 行 は 平 成 26 年 7 月 21 日( 月 )か ら 8 月 13 日( 水 )ま で 実 施 さ れ
ま す 。「 ハ イ ! ト ラ ム 」 車 両 は 、 こ れ ま で に 札 幌 市 電 や JR 四 国 予 讃 線 で の 試 験 走 行 実 績 が
ありますが、今回は道路併用軌道区間と専用線区間の直通走行となり、両区間での走行エ
ネルギー量や 1 充電航続距離の把握なども実施します。
な お 、 実 行 委 員 会 で は 、 走 行 の 初 日 に あ た る 平 成 26 年 7 月 21 日 ( 月 ) 10 時 00 分 ~ 10
時 35 分 に オ ー プ ニ ン グ 記 念 式 典 を 万 葉 線 高 岡 駅 に て 開 催 す る 予 定 で す 。
お問 い合 わせ先
「 ハ イ ブ リ ッ ド ト ラ ム 実 走 事 業 」に つ い て は 、
「 ハ イ ! ト ラ ム 」の 技 術 的 な 内 容 に つ い て は 、
高岡市生活環境部地域安全課
公益財団法人鉄道総合技術研究所
TEL 0766-20-1139
総務部広報担当
TEL 042-573-7219
〒185-8540 東 京 都 国 分 寺 市 光 町 2-8-38
別紙
フリー技術による軽やかな鉄道の実現
架線フリー技術“Hi-tram(ハイ!トラム)”
【概要】
車両にリチウムイオン二次電池を搭載し,架線とハイブリッド運転
ができる車両を開発しました。回生失効を防止することができます。
駅で急速充電することにより架線レス走行をすることもできます。
試験電車Hi-tramを用いて,ハイブリッド走行時の省エネ割合,剛体架
線からの急速充電,バッテリー1充電連続走行などの試験を行いました。
【特徴】
① 架線とバッテリー(600V-120Ahリチウムイオン二次電池)の
ハイブリッド制御により回生失効を防ぐことができます。
② 駅停車中の僅か60秒の急速充電(600V×1000A)で,空調最大
負荷状態でも約4km連続走行が可能です。
③ バッテリーフル充電状態から軌道線で25km,鉄道線で50kmの
架線レス走行ができました。
④ 異なる架線電圧(DC1500V/DC600V)に対応するので鉄道線
と軌道線の直通運転も可能です。
Hi-tram (ハイ!トラム) 外観
車内のバッテリー配置状態
【用途】
 回生失効を起こしやすい路線(亜幹線区等)での回生吸収により,
省エネルギーと機械ブレーキの省メンテナンスを実現できます。
 架線を張りたくない,または取り除きたい軌道線に導入することで,
都市景観の向上が図れます。
 都市近郊の鉄道線から都市中心部の軌道線へ直通乗り入れを行えば,
旅客利便性の向上とモーダルシフトが期待できます。
1000A×60秒急速充電試験結果
急速充電設備
剛体架線
(長さ3m)
中間駅を想定した
急速充電所
路線長 L
末端駅
充電所
充電所最大間隔
(1, 2, 3, 4, 5 km)
末端駅
充電所
中間駅
充電所
DC600V
AC6600V
高圧線
PAS
•
•
バッテリー温度上昇は3℃に抑制されています
接触点(剛体銅トロリとカーボン摺板)において
溶着は発生しません
札幌市交通局営業線での走行試験
2008年2月4日
雪の舞う札幌市電を走行するHi-tram
•
•
既存インバータ車と比較して10%以上の
省エネルギー効果がありました
外気-10.9℃での通常起動と寒冷地での
安定した走行を確認しました
•
バッテリー1充電走行距離25.8kmを実現しました
(営業ダイヤ・暖房使用)
JR四国予讃線・高徳線での走行試験
200
1000
2009年11月12-13日 試9195M 坂出→多度津(11.4km)
多度津駅で発車を待つHi-tram
2009年11月24日
速度 [km/h], 距離[×0.1km],
電圧 [×10V], SIV電流[A]
160
2009年11月7日
600
140
400
120
200
100
0
80
-200
速度
60
-400
バッテリー電圧
40
-800
0
•
-600
走行距離
20
高松駅ホーム直前のHi-tram
800
バッテリー電流
電流 [A]
180
0 坂出駅
(3:37:11)
高松⇔屋島間往復19km(非電化線)の
バッテリー走行を実現しました
150 宇多津駅
300
丸亀駅
450 讃岐塩屋駅
-1000
600 多度津駅
750
時間 [s]
•
バッテリー1充電走行距離50.7kmを実現しました
(速度80km/h 急行ダイヤ・暖房不使用)
※本研究は,NEDO技術開発機構との委託契約に基づき実施しました。