FX自動売買ソフトウェアの売買契約等に係る紛争

平 成 26 年 10 月 14 日
生
活
文
化
局
- 東京都消費者被害救済委員会に付託 -
FX自動売買ソフトウェアの売買契約等に係る紛争
本日、東京都消費生活条例に基づき、東京都知事は、東京都消費者被害救済委員会(会長
村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に、
「FX自動売買ソフトウェアの売買契約
等に係る紛争」の処理を新たに付託しましたので、お知らせします。
◆ 付託案件の概要
《契約内容等》
申
立
人【※1】
契
約
内
容
契
約
年
月
A
B
C
FX【※2】自動売買ソフトウェア(販売会社:相手方)
平成 26 年1月
平成 26 年3月
平成 26 年5月
契約金額(既 払金額 )
100 万円(100 万円)
100 万円(100 万円)
100 万円(50 万円)
FX取引口座 入金額
なし
9万円
11 万円
※1 申立人は、全て 20 歳代前半の男性
※2 FXとは、外国為替証拠金取引のこと
《紛争概要》
申立人(A、B、C)の主張による紛争内容は、以下のとおりである。
○ 申立人は、SNSで仲良くなった人(以下「甲」という。)から「飲みに行こう」と誘わ
れ、甲の行きつけの居酒屋で、甲の知人(以下「乙」という。)を紹介された。乙は、「仕
事はそこそこだが、FXで儲けてよい暮らしをしている」などと言い、申立人と甲に豪華
なマンションや芸能人等と一緒に写っている画像を見せた。また、FX取引を自動で行う
ソフトウェアのようなものも見せた。甲がこの話に興味を示したため、申立人も一緒に話
を聞きに行くことになった。
○ 申立人と甲は、乙に案内され相手方の事務所へ行き、担当者からソフトウェアの説明を聞
いた。この会社のFX自動売買ソフトウェアは、コンピュータのプログラミングの業界で
トップだった人が企業向けに開発したもので、一般には出回っていないということだった。
また、100 万円と高額であるが、消費者金融から借りても、月々の返済額を上回るくらい
の利益があり、返済し終われば貯まる一方だという説明であった。さらに、今は在庫がな
いが、特別に投資家の人から譲ってもらえるということだった。同席していた甲が購入を
即決し、申立人は断ることができず、契約をしてしまった。
○ 契約後、乙が消費者金融まで申立人と甲を連れて行き、それぞれ別の消費者金融へ借りに
行くように言った。申立人はこれまで消費者金融から借入をしたことがなかったため、や
り方が分からなかったが、「借入の目的を聞かれたら車を買うとか旅行に行くと答える」
等の詳しい説明が乙からメールで送られてきた。消費者金融から 100 万円(申立人Cは 50
万円)を借りたところへ相手方の担当者が現れ、現金と引き換えに領収証を受け取った。
○ その後、FX取引口座へ入金した(申立人Aは入金なし)が、説明されたような利益が得
られなかったため、ソフトウェア代金等の返金を求めたところ、相手方は販売方法等に問
題はなくソフトウェアの解除には応じない等と主張し、紛争となった。
【問合せ先】東京都消費生活総合センター活動推進課
電話:03-3235-4155
◆主な問題点と付託理由
1
主な問題点
申立人の主張によれば、甲と乙も相手方と何らかの意思の連絡があったことがうか
がわれ、甲、乙及び相手方の勧誘行為等により、申立人は誤認をして契約を締結した
と考えられる。本件契約は、民法や消費者契約法上の問題があるのではないか。
また、本件契約は、不意打ち的な販売方法であることから、特定商取引法の訪問販
売に該当し、勧誘方法等に問題があるため、契約の取消しの主張が可能ではないか。
2
主な付託理由
都内消費生活センターには、SNSをきっかけとしたFX自動売買ソフトウェアの
契約等に関する相談が多数寄せられており、今後も同様の相談が寄せられるおそれが
ある。また、消費者金融から借入をしなければならないほど高額な契約は、消費者の
財産等に重大な影響を及ぼすおそれがあることから付託した。
≪参考≫
SNSをきっかけとした勧誘に係る相談件数の推移(都内消費生活センター合計)
平成 26 年度の数値は平成 26 年 9 月 18 日時点の件数
総件数
その他年代
20 歳代
東京都消費者被害救済委員会委員名簿
平成26年10月14日現在
氏
名
備
学識経験者委員
(16名)
安 藤 朝 規
弁護士
上 柳 敏 郎
弁護士
大 澤 彩
法政大学法学部准教授
沖 野 眞 已
東京大学大学院法学政治学研究科教授
織 田 博 子
駿河台大学大学院法務研究科教授
角 紀代恵
立教大学法学部教授
鎌 野 邦 樹
早稲田大学大学院法務研究科教授
川 地 宏 行
明治大学法学部教授
佐々木 幸 孝
弁護士
執 行 秀 幸
中央大学大学院法務研究科教授
千 葉 肇
弁護士
中 野 和 子
弁護士
平 野 裕 之
慶應義塾大学大学院法務研究科教授
村 千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授
山 口 廣
弁護士
米 川 長 平
弁護士
会長代理
会長
消費者委員
(4名)
奥 田 明 子
東京都地域消費者団体連絡会 代表委員
佐 野 真理子
主婦連合会 参与
橋 本 恵美子
東京都生活協同組合連合会 常任組織委員
宮 原 恵 子
特定非営利活動法人東京都地域婦人団体連盟
総務部 部長
事業者委員
栗 山
昇
(4名)
東京都商工会連合会 副会長
中 村 幸 夫
一般社団法人東京工業団体連合会 専務理事
橋 本
東京商工会議所 常任参与
昌 道
穗岐山 晴 彦
考
東京都中小企業団体中央会 常勤参事