SrGa4 の Ga NMR と NQR による研究

SrGa4 の Ga NMR と NQR による研究
琉大理 通事樹, 比嘉野乃花, 黒島裕子, 與儀護, 二木治雄,
仲村愛, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦,
A
神戸大理 播磨尚朝 A
Studies of Ga NMR and NQR in SrGa4
Univ. of the Ryukyus and Kobe Univ.A
T. Toji, N. Higa, H. Kuroshima, M. Yogi, H. Niki,
A. Nakamura, M. Hedo, T. Nakama, Y. Ōnuki, H. HarimaA
SrGa4 は図 1 に示すように,体心正方晶の BaAl4 型(空間群 I4/mmm)の結晶構造を示し,
Sr は体心正方晶のセンターとコーナーに位置しており,Ga は結晶学的に異なる二つのサ
イトに存在する。
これまで EuGa4 の NMR 測定を行い,種々の物性を明らかにしてきた。今回我々は,
EuGa4 と同一の結晶構造で f 電子を持たない SrGa4 についての,69Ga と 71Ga の NMR(I = 3/2)
と NQR を 4.2 ~ 300 K の温度範囲で測定した [1]。測定には,Ga の自己フラックス法で
育成した純良な SrGa4 の単結晶を粉末化した試料を用い,約 6.5 T の外部磁場を用いた。
SrGa4 の Ga NMR では,核四重極相互作用が存在するが,核スピン I = 3/2 に対応した
典型的な粉末パターンが観測されず,実際には図 2 のような鋭い共鳴線が観測された。
その解析から,試料が一方向に配向していることが分かった。これは磁化率に異方性が
あることを示し,外部磁場と ab 面が平行で,磁化容易軸が ab 面内にあることを示唆し
ている。このことを,69Ga と 71Ga の NMR と NQR を用いて確かめた。詳細については,
研究会で発表する。
ナイトシフトは,高温から低温にかけて,緩やかに負側にシフトしている。EuGa4 と違
い、f 電子がないので,負側へのシフトは d 電子による内殻偏極が原因であると考えられ
る。69Ga(I)と 69Ga(II)のナイトシフトの値は,それぞれ 4.2 K で 0.01 %と - 0.11 %,300 K
で 0.09 %と - 0.08 %である(図 3)。
スピン-格子緩和時間 T1 の測定から 1/T1T の値は f 電子が存在しないため,通常の金属
的な「1/T1T = 一定」に近い振る舞いを示し,4.2 ~ 100 K でその値は,69Ga(I)で 1.5 s-1K-1,
69
Ga(II)で 0.12 s-1K-1 であった。しかし,100 K 以上の温度では 1/T1T の値は緩やかな上昇
を示した(図 4)。また,69Ga(I)の T1 は 69Ga(II)の T1 より一桁短いことがわかった。
[1] “Studies of Ga NMR and NQR in SrGa4”,
H. Niki, N. Higa, S. Nakamura, H. Kuroshima, T. Toji, M. Yogi, A. Nakamura,
M. Hedo, T. Nakama, Y. Ōnuki, H. Harima,
Hyperfine Interactions to be published (2014).
図 1:SrGa4 の結晶構造
Ga (II)
69
Intensity (arb.units)
Ga
4.2 K
60
62
Ga (I)
64
66
68
Frequency [MHz]
図 2:69Ga NMR のスペクトル
70
72
Knight shift [%]
0.2
0.1
0.0
-0.1
69
69
-0.2
0
50
100
150
200
Temperature [K]
Ga (I)
Ga (II)
250
300
図 3:69Ga NMR のナイトシフトの温度依存性
1
-1
-1
1/T1T [s K ]
10
0.1
69
69
0.01
1
10
Ga (I)
Ga (II)
100
Temperature [K]
図 4:69Ga NMR の 1/T1T の温度依存性
1000