マーケット展望 省力化、効率化投資で注目される FA、ロボット関連銘柄

マーケットウィークリー・772号
マーケット展望 省力化、効率化投資で注目される
FA、ロボット関連銘柄
2014.3.21
作成者:奥村義弘
省力化、効率化投
資で注目される
「ロボット」
本格的な尐子高齢化社会の到来を背景に、また人手不足に対応した
生産システムの構築、効率性の高い高度な生産体制を実現するために
「ロボット」が注目を浴びている。その活躍分野は自動車、電機など
の生産ラインなどから、介護・医療分野における強力な支援システム
としても大きな広がりを見せ始めている。
グーグルが産業
用ロボットへの
参入で脚光
足元のニュースフローをみると、昨年12月にはグーグルが東京大学
OBの設立したベンチャー企業、SCHAFT(シャフト)など7社
を買収し、産業用ロボットへ参入することが明らかになり注目を浴び
た。長期的な視野で事業化が進められる模様であるが、SCHAFT
社は災害現場で活躍するヒト型ロボットなどの開発を行っており、ロ
ボットの利用分野は大きな広がりを持ちそうだ。
CYBERDYNE の東証
マザーズ上場も
関心集める
また、CYBERDYNE(サイバーダイン)が3月26日に東証マザーズに上
場することが公表された。同社はロボットスーツHALに代表される
「メイドインジャパンの最先端ロボット医療機器/最先端人支援機器
/最先端医療機器」の研究開発を通じて、先端機器開発と先端サービ
ス事業を推進し、健康長寿社会への貢献を目指している。なおHAL
(Hybrid Assistive Limb)は身体機能を改善・補助・拡張することが
できる、世界初のサイボーグ型ロボットである。身体にHALを装着
することで、「人」「機械」「情報」を融合させ、身体の不自由な方
をアシストしたり、いつもより大きなチカラを出したり、さらに、脳・
神経系への運動学習を促すシステムである(会社発表リリースより抜
粋)。また注目度の高さから株式市場では東京理科大学と移乗介助ロ
ボット「マッスルスーツ」などを開発する菊池製作(3444:JQ)など
にも物色が広がった。
ロボット関連の
受注は堅調
リーマンショックで大きく落ち込んだ世界経済であるが、このとこ
ろグローバルでも自動車生産が回復、半導体製造装置などの受注も回
復しており、FA、産業用ロボット関連の動きが堅調となっており注
目できる。ちなみに安川電(6506)の2月の連結受注はロボットが前年
同月比18%増となった。自動車や一般機械関連が好調で液晶の低迷は
続くが半導体も改善基調となっている。
中国・アジアでは
中長期で新規需
要が増加
中長期的に中国・アジアでは新規需要の増加が期待できる。中国で
は人件費の上昇や人手不足、製品の高度化に伴う品質改善を実現する
ものとしてEMSを中心に小型ロボットの導入が進んでいる。関連企
業はロボットではセイコーエプソン(6724)、デンソー(6902)など。
部品では精密減速機を手がけるハーモニック(6324:JQ)、ナブテス
コ(6268)などが有望であろう。工場の生産ラインで活躍するSMC
(6273)、CKD(6407)などの空気圧機器、THK(6481)のリニ
アガイドなども堅調な需要が期待できる。FA向けの様々な機器制御
(センサ、スイッチ類等)を扱うオムロン(6645)、キーエンス(6861)
などにも関心が集まりやすいと考える。
更新需要や用途
拡大にも注目
国内は能力増強の動きは鈍いが更新需要はそれなりに期待できそう
だ。北米の更新需要も旺盛になっている。欧州では食品・医薬などの
マーケットウィークリー・772号
2014.3.21
物流・サービス分野にも省力、効率化投資が広がっておりピッキング
ロボットなどを採用する動きを見せている。また商形態の変化では、
ネット販売向け物流センターの構築などで恩恵を受けているダイフク
(6383)、キトー(6409)など搬送機関連もマークしたい存在。
◇省力化、効率化投資で注目できる主な関連銘柄
社名
菊池製作
コード
ナブテスコ
3444
JQ
6268
SMC
ハーモニック
予想経常
株価
(3/17) 増益率
6,140
49
予想
PER
(単位:円、%、倍)
予想配当
利回り
141.8
0.33
2,349
24
21.8
1.61
6273
23,310
12
22.5
0.67
3,450
44
37.7
0.73
ダイフク
6324
JQ
6383
1,336
50
24.2
1.08
CKD
6407
962
116
13.6
1.63
不二越
6474
628
37
15.7
1.27
THK
6481
2,081
41
20.0
1.04
三菱電
6503
1,113
238
17.6
1.05
安川電
6506
1,307
85
21.7
0.90
オムロン
6645
3,940
50
21.3
1.24
キーエンス
6861
38,750
9
29.9
0.15
ファナック
6954
16,320
▲18
39.4
0.93
川重
7012
379
35
18.6
1.32
コメント
筋力補助装置「マッスルスーツ」を商品
化するための子会社設立
産業ロボットの関節用精密減速機
で世界シェア6割
FA向け空気圧機器のトップ。自
社製品、短納期などが強み
半導体製造装置や産業用ロボット
向け精密減速機
ITや自動車業界向け搬送システム
に強み。立体自動倉庫で首位
空気圧機器、薬品包装機などの
自動機器に強み
自動車向けの軸受けや工具、ロボ
ット、建機向け油圧機器など
米国の自動車・医療機器業界向
けの直動システムが好調
産業メカトロニクスでは中国に加え国
内のFA機器の更新需要
米国、アジアを中心に自動車関連
のロボット事業が堅調推移
制御機器の大手。自動車電装化
の高まりで中国車載事業好調
FA用センサーの大手。提案型直販
営業に強みがあり高収益体質
ロボットが自動車業界向けに好調。
iPhone関連の一角
自動車向けロボットのほか、医薬・
医療向けロボットにも注力
(注1)コード下のJQは東証ジャスダック、他は東証
(注2)予想経常増益率、予想PER、予想配当利回りは日経今期予想
(出所)各種公表資料よりCAM作成