2015/1/12 摂動,信念および完全ベイジアン均衡 • 展開形ゲームの均衡概念 – – – – サブゲーム完全均衡(subgame-perfect equilibrium) 摂動完全均衡(trembling-hand equilibrium) 完全ベイジアン均衡(perfect Bayesian equilibrium) 逐次均衡(sequential equilibrium) • 包含関係 – サブゲーム完全均衡 ⊇ 完全ベイジアン均衡 ⊇ 逐次均衡 ⊇(≒) 摂動完全均衡 完全ベイジアン均衡 • 信念(belief): プレイヤーi が自分の各々の情報集合に おいて,どのノードにいるのかを表わす確率分布σi • 行動戦略のプロファイル: s = (s1 s2 ,…, sn ) • σ= (σ1,…, σn) • s のもとで到達する情報集合ではσはベイズのルール に従う • σのもとで s はナッシュ均衡 • 組(s,σ) を完全ベイジアン均衡という. • 例示:チェーンストア・ゲーム ベイズのルール(定理) 1 2015/1/12 チェーンストア・ゲーム Reinhard Selten, The Chain-Store Paradox, Theory and Decision, 1978, 12759. 参入阻止ゲーム 参入(enter)は容認(acquiesce)される • n段階参入阻止ゲーム • プレイヤー : Entrants (参入者, Ek) k=1,2,...,n : Incumbent (既存企業=チェーンストア,I) • 参入阻止ゲーム stage 1: 最初に,E1とIがプレイする. stage k: Ekはこれまでの結果を観察してIとプレイ. stage 1 stage 2 ・ ・ ・ stage n 2 2015/1/12 チェーンストアゲーム (2-stage,完備完全情報) E1, E2, I チェーンストア・パラドックス • 各ステージで参入が起きる. • 参入はつねに容認される. • 標準理論:既存企業(Incumbent)は初期段階では 参入に対抗することにより,引き続く参入を防ぐ(名 声効果(reputation effects)). • 合理的であるはずのサブゲーム完全均衡はこれを 記述できない(モデリングの問題). – 完全情報下では,名声や評判は形成されにくい! 参入(enter)はつねに容認(acquiesce)される 3 2015/1/12 不完備情報の完備化 チェーンストアゲーム(完備,不完全情報) • 既存企業のタイプ:strong or weak • 既存企業は自分のタイプを知っている. • 参入者は既存企業のタイプを知らない. • 情報の完備化 • 自然( , Nature)が既存企業のタイプを 確率πでstrong, 1-πでweak に選ぶ (先験確率) • この先験確率はcommon knowledge • 選択結果は既存企業には知らされるが, • 参入者には知らされない 完全ベイジアン均衡 パラドックスの解消(完全ベイジアン均衡) • 信念(belief): プレイヤーi が自分の各々の情報集合に おいて,どのノードにいるのかを表わす確率分布σi • 行動戦略のプロファイル:= s • σ= (σ1,…, σn) • s のもとで到達する情報集合ではσはベイズのルール に従う • σのもとで s はナッシュ均衡 • 組(s,σ) を完全ベイジアン均衡という. 4 2015/1/12 Best reply at Best reply at Belief at Best Reply at 5 2015/1/12 Best Reply at Best Best Reply at 6 2015/1/12 Best 逐次均衡 • 完全ベイジアン均衡においては,到達していない情 報集合での信念は,そこでの選択を最適にするもの であれば何でもよい. • 到達していない情報集合での信念が,適当な摂動 のもとでの行動戦略の列の極限として得られる完全 ベイジアン均衡を逐次均衡(sequential equilibrium) という. Consistency 摂動完全均衡(trembling-hand equilibrium) • どの情報集合においても,そこで選択可能な局所純粋戦略 の各々を正の下限(摂動)以上の確率で選ぶような局所戦略 のみを許容する(摂動ゲーム). • この制約のもとでナッシュ均衡を求める. • 摂動をゼロに近づけて得られる適当な摂動ゲームの列にお けるナッシュ均衡の極限を摂動完全均衡という. • 一般に: 摂動完全均衡 ⇒ 逐次均衡 ⇒ 完全ベイジアン均衡 7
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