030チェーンストアゲーム

2015/1/12
摂動,信念および完全ベイジアン均衡
• 展開形ゲームの均衡概念
–
–
–
–
サブゲーム完全均衡(subgame-perfect equilibrium)
摂動完全均衡(trembling-hand equilibrium)
完全ベイジアン均衡(perfect Bayesian equilibrium)
逐次均衡(sequential equilibrium)
• 包含関係
– サブゲーム完全均衡
⊇ 完全ベイジアン均衡
⊇ 逐次均衡 ⊇(≒) 摂動完全均衡
完全ベイジアン均衡
• 信念(belief): プレイヤーi が自分の各々の情報集合に
おいて,どのノードにいるのかを表わす確率分布σi
• 行動戦略のプロファイル: s = (s1 s2 ,…, sn
)
• σ= (σ1,…, σn)
• s のもとで到達する情報集合ではσはベイズのルール
に従う
• σのもとで s はナッシュ均衡
• 組(s,σ) を完全ベイジアン均衡という.
• 例示:チェーンストア・ゲーム
ベイズのルール(定理)
1
2015/1/12
チェーンストア・ゲーム
Reinhard Selten, The Chain-Store Paradox, Theory and Decision, 1978, 12759.
参入阻止ゲーム
参入(enter)は容認(acquiesce)される
• n段階参入阻止ゲーム
• プレイヤー
: Entrants (参入者, Ek) k=1,2,...,n
: Incumbent (既存企業=チェーンストア,I)
• 参入阻止ゲーム
stage 1: 最初に,E1とIがプレイする.
stage k: Ekはこれまでの結果を観察してIとプレイ.
stage 1
stage 2
・ ・ ・
stage n
2
2015/1/12
チェーンストアゲーム (2-stage,完備完全情報)
E1, E2, I
チェーンストア・パラドックス
• 各ステージで参入が起きる.
• 参入はつねに容認される.
• 標準理論:既存企業(Incumbent)は初期段階では
参入に対抗することにより,引き続く参入を防ぐ(名
声効果(reputation effects)).
• 合理的であるはずのサブゲーム完全均衡はこれを
記述できない(モデリングの問題).
– 完全情報下では,名声や評判は形成されにくい!
参入(enter)はつねに容認(acquiesce)される
3
2015/1/12
不完備情報の完備化
チェーンストアゲーム(完備,不完全情報)
• 既存企業のタイプ:strong or weak
• 既存企業は自分のタイプを知っている.
• 参入者は既存企業のタイプを知らない.
• 情報の完備化
• 自然(
, Nature)が既存企業のタイプを
確率πでstrong, 1-πでweak に選ぶ
(先験確率)
• この先験確率はcommon knowledge
• 選択結果は既存企業には知らされるが,
• 参入者には知らされない
完全ベイジアン均衡
パラドックスの解消(完全ベイジアン均衡)
• 信念(belief): プレイヤーi が自分の各々の情報集合に
おいて,どのノードにいるのかを表わす確率分布σi
• 行動戦略のプロファイル:= s
• σ= (σ1,…, σn)
• s のもとで到達する情報集合ではσはベイズのルール
に従う
• σのもとで s はナッシュ均衡
• 組(s,σ) を完全ベイジアン均衡という.
4
2015/1/12
Best reply at
Best reply at
Belief at
Best Reply at
5
2015/1/12
Best Reply at
Best
Best Reply at
6
2015/1/12
Best
逐次均衡
• 完全ベイジアン均衡においては,到達していない情
報集合での信念は,そこでの選択を最適にするもの
であれば何でもよい.
• 到達していない情報集合での信念が,適当な摂動
のもとでの行動戦略の列の極限として得られる完全
ベイジアン均衡を逐次均衡(sequential equilibrium)
という.
Consistency
摂動完全均衡(trembling-hand equilibrium)
• どの情報集合においても,そこで選択可能な局所純粋戦略
の各々を正の下限(摂動)以上の確率で選ぶような局所戦略
のみを許容する(摂動ゲーム).
• この制約のもとでナッシュ均衡を求める.
• 摂動をゼロに近づけて得られる適当な摂動ゲームの列にお
けるナッシュ均衡の極限を摂動完全均衡という.
• 一般に:
摂動完全均衡 ⇒ 逐次均衡 ⇒ 完全ベイジアン均衡
7