(小企業編)2014年7-9月期特別調査)(PDF

ニュースリリース
2 0 1 4 年 1 1 月 2 0 日
株式会社日本政策金融公庫
総
合
研
究
所
小企業の3割で従業員が不足、給与水準上昇の背景には「人材の定着・確保」
小企業の雇用に関する調査結果
(全国中小企業動向調査(小企業編)2014年7-9月期特別調査)
○ 現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は30.3%と、前回調査(2013年7-9月期)から3.2ポイント上昇
した。業種別にみると、情報通信業や建設業、運輸業で従業員の不足感が強まっている。
○ 従業員の給与水準が1年前と比べて「上昇」と回答した企業割合は、21.0%となった。上昇した背景をみると、「人材の定着・確保」と回答
した企業割合が、65.8%と最も高くなっている。
<お問い合わせ先>
日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第二グループ
Tel:03-3270-1691(担当:葛貫(つづらぬき)、清野)
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-4 大手町フィナンシャルシティ ノースタワー
[調査の実施要領]
調
査
時
点
2014年9月中旬
調
査
対
象
当公庫取引先 10,000 企業
数
5,963 企業 [回答率 59.6 %]
有
効
回
答
< 業 種 構 成 >
調 査 対 象
有効回答数
製
造
業
(従業者20人未満)
1,500 企業
966 企業
(構成比 16.2 %)
卸
売
業
( 同 10人未満)
800 企業
481 企業
( 同 小
売
業
( 同 10人未満)
2,450 企業
1,430 企業
( 同 24.0 %)
飲食店・宿泊業
( 同 10人未満)
1,800 企業
1,024 企業
( 同 17.2 %)
サ ー ビ ス 業
( 同 20人未満)
2,000 企業
1,163 企業
( 同 19.5 %)
情 報 通 信 業
( 同 20人未満)
160 企業
91 企業
建
設
業
( 同 20人未満)
1,100 企業
716 企業
運
輸
業
( 同 20人未満)
190 企業
92 企業
( 同 8.1 %)
1.5 %)
( 同 12.0 %)
( 同 1.5 %)
○ 現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は30.3%と、前回調査(2013年7-9月期)から3.2ポイント上昇
した。
○ 従業員過不足DI(全業種計)は、前回調査から2.6ポイント上昇し、21.0となった。上昇は5年連続である。1992年調査(35.2)以来の高い
水準となった。
図-1 従業員の過不足感(時系列)
従業員
過不足DI
過剰
図-2 従業員過不足DIの推移
(DI)
3.8
14.9
▲4.6
19.1
0.1
3.8
16.8
15.2
12.0
18.4
21.0
10.9
8.7
9.3
50
(単位:%)
64.2
(08/2)(09/3) (12/4)(12/11)
▼
△
▼
△
(97/5) (99/1)
(00/11) (02/1)
△
▼
△
▼
43.3
40
「
不
足
」
超
(91/2) (93/10)
△
▼
43
32
35.2
30
16
66.2
適正
66.4
66.4
66.3
65.8
9.5
10
12
7
小企業
1.6
1
不足
18.7
08
14.5
09
16.9
10
19.0
11
12
27.1
13
-10
「
過
剰 -20
」
超
30.3
14
▲4.6
中小企業(注)2
▲20
▲ 18
▲21
大企業(注)2
▲ 30
-30
(調査年)
▲4.2
▲6.8
8
8
0
22.9
21.0
18.4
20
60.4
88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
(調査年)
(注)1 従業員過不足DIは「不足」企業割合-「過剰」企業割合。
2 各年とも7-9月期調査において尋ねている。
3 従業員はパート・アルバイト、派遣社員などを含む。
(注)1 91年、97年は調査を実施していない。
2 大企業、中小企業は日本銀行「全国企業短期経済観測調査」より毎年7-9月期調査のDIを「不足」企業割合-
「過剰」企業割合を表すように加工したもの。
- 1 -
○ 従業員過不足DIを業種別にみると、ほぼ横ばいのサービス業を除き、全ての業種で前回調査に比べて上昇している。
○ DIの水準についてみると、情報通信業(49.4)が最も高く、次いで 運輸業(43.3)、建設業(42.6)の順となっている。
図-3 従業員の過不足感
(1)全業種計
不足
適正
従業員
過剰 過不足DI
2013
(n=6,668)
27.1
64.2
8.7
18.4
2014
(n=5,848)
30.3
60.4
9.3
21.0
(単位:%)
2013
(n=1,626)
20.7
69.6
9.7
2014
(n=1,396)
22.7
67.0
10.3
小売業
(2)業種別
2013
(n=1,075)
25.3
64.1
10.6
2013
(n=551)
29.3
21.4
60.2
68.6
10.5
10.0
18.8
飲食店
・
宿泊業
11.4
26.0
64.6
9.4
44.8
9.4
36.5
5.6
49.4
4.7
38.3
5.3
42.6
52.4
3.8
40.0
47.8
4.4
43.3
情報通信業
16.6
2013
(n=1,149)
30.8
61.8
7.4
2014
(n=1,005)
32.5
59.1
8.4
2014
(n=89)
12.4
2013
(n=742)
23.4
建設業
2013
(n=1,324)
卸売業
2014
(n=469)
45.8
55.1
39.3
14.7
製造業
2014
(n=953)
2013
(n=96)
11.0
23.9
67.2
24.2
2013
(n=105)
8.8 15.1
サービス業
2014
(n=704)
43.0
47.9
43.8
52.3
46.9
運輸業
2014
(n=1,142)
26.0
- 2 -
62.9
11.1
14.9
2014
(n=90)
47.8
○ 従業員数が1年前と比べて「増加」と回答した企業割合は10.3%となり、前回調査における今後の方針(16.3%)を下回った。今後の方針を
みると、「増加」と回答した企業割合は、前回調査を上回る19.4%となっている。
○
業種別に今後の方針をみると、従業員の不足感が強い情報通信業、運輸業、建設業で「増加」企業割合が高くなっている。
図-4 従業員数の実績と方針
(1)全業種計
増加
2013調査における
16.3
今後の方針(n=6,600)
2014調査における
10.3
実績(n=5,864)
2014調査における
今後の方針(n=5,765)
不変
減少
78.8
4.9
(単位:%)
75.2
19.4
14.5
76.1
4.5
小売業
(2)業種別
製造業
卸売業
2014方針
12.7
(n=1,368)
2013方針
14.9
(n=1,074)
2014実績
12.9
(n=957)
2014方針
(n=939)
18.1
2013方針
13.2
(n=546)
2014実績
7.9
(n=469)
2014方針
(n=458)
2013方針
10.9
(n=1,606)
2014実績
7.6
(n=1,399)
80.7
73.5
4.4
13.7
77.8
4.0
82.1
78.7
飲食店
・
宿泊業
2014方針
(n=995)
20.4
79.1
5.6
13.4
情報通信業
81.7
78.4
74.9
5.0
17.0
建設業
4.2
78.8
5.0
37.9
16.9
2014方針
(n=88)
5.6
75.4
2013方針
(n=95)
2014実績
(n=89)
2013方針
(n=740)
2014実績
(n=705)
2014方針
(n=698)
56.8
64.0
43.2
14.8
19.1
51.1
27.6
68.2
5.7
4.2
14.9
70.4
30.5
5.3
65.3
4.2
4.8
13.4
サービス業
15.1
2013方針
16.6
(n=1,130)
2014実績
8.1
(n=1,003)
83.5
80.8
4.1
2013方針
16.2
(n=1,307)
2014実績
10.9
(n=1,150)
2014方針
(n=1,131)
19.1
(注)各年とも7-9月期調査において尋ねている。
- 3 -
75.7
13.5
運輸業
76.7
4.2
2013方針
(n=102)
2014実績
(n=92)
2014方針
(n=88)
30.4
16.3
67.6
59.8
39.8
2.0
23.9
55.7
4.5
○ 従業員の給与水準が1年前と比べて「上昇」と回答した企業割合は21.0%、「低下」と回答した企業割合は7.5%となった。リーマン・ショック後
の2009年調査と比べると、「上昇」と回答した企業割合は9.3ポイント増加し、「低下」と回答した企業割合は13.6ポイント減少した。
○ 業種別にみると、「上昇」と回答した企業割合は、情報通信業が32.6%と最も多く、次いで製造業(24.2%)、建設業(24.1%)の順となって
いる。
図-5 給与水準の動向
(1)全業種計
上昇
2014
(n=5,769)
不変
21.0
2009
11.7
(n=7,227)
低下
71.5
67.2
(単位:%)
7.5
2014
(n=1,370)
21.1
17.5
72.4
2014
(n=948)
2009
14.0
(n=1,810)
24.2
69.9
2014
(n=459)
59.1
21.1
飲食店
・
宿泊業
31.9
72.1
2014
(n=998)
69.1
21.0
2009
11.4
(n=1,259)
2014
(n=1,123)
65.8
1.1
16.9
2009
(n=111)
21.6
7.6
2014
(n=697)
24.1
52.3
26.1
71.3
72.6
3.3
建設業
74.3
2009
9.3
(n=772)
14.4
67.1
23.6
6.8
卸売業
2009
12.4
(n=591)
66.3
5.9
製造業
2009
9.0
(n=1,182)
32.6
情報通信業
小売業
(2)業種別
2014
(n=89)
10.1
21.8
19.7
71.1
2014
(n=85)
9.3
サービス業
74.1
18.8
7.1
運輸業
2009
12.5
(n=1,388)
(注)1 定期昇給、昇格・降格による上昇・低下を除いての回答である。
2 各年とも7-9月期調査において尋ねている。
- 4 -
67.1
20.3
2009
2.6
(n=114)
62.3
35.1
○ 給与水準が上昇した背景をみると、「人材の定着・確保」と回答した企業割合が、65.8%と最も高くなっている。
○ 業種別に「人材の定着・確保」と回答した企業割合をみると、運輸業が78.6%と最も高く、次いで情報通信業(75.0%)、建設業
(69.7%)の順となっている。「人材の定着・確保」と回答した企業割合が高い業種は、従業員の不足感が強い業種と合致している。
図-6 給与水準が上昇した背景(全業種計)
図-7 「人材の定着・確保」と回答した企業割合(業種別)
(単位:%)
(単位:%)
人材の
定着・確保
65.8
消費税率の
引き上げ
27.1
最低賃金の
改定
78.6
75.0
69.7
69.5
67.0
66.3
61.1
57.9
運輸業
情報通信業
建設業
飲食店・宿泊業
小売業
サービス業
卸売業
製造業
25.6
0
20
40
60
80
100
<参考>回答先から寄せられた主な声
自社の業績が
拡大
21.7
業種
同業他社の
賃金動向
14.8
(n=1,100)
地域
従業員数
寄せられた声
運送業
(道路貨物 北関東
運送)
18人
ドライバーの基本給を上げて募集しているが、応募がない。ドライバー不足
は業界全体の問題で大手も人員確保に苦労している。現在は、一人当たりの
仕事を増やすほか、一部の仕事を断るなどして対応しているが、燃料の高騰
もあって利益が十分取れているわけではない。今後は高齢者や女性も働きや
すいよう仕事の回し方(短距離、仕事のシェア)や環境整備(女性更衣室
等)が必要になるだろう。
建設業
南関東
(土木工事)
8人
区画整理など工期の長い工事が増加し、現場監督が拘束されている。新たな
工事はあるものの現場監督を増やさないと、次の受注が取れない。募集はし
ているが、業界全体が技能者不足であり採用できない状態が続いている。
4人
求人を出しても、応募してくるのは高齢者が多く若者がこない。周辺にコン
ビニが増えており、若者のアルバイトがとられてしまう。現在は従業員の勤
務時間を延ばしたり、メニューの品目を絞ったりして対応している。
5.2
その他
0
20
40
60
80
(注)1 従業員の給与水準が「上昇」と回答した人に、背景を尋ねたもの。
2 複数回答のため、合計は100%を超える。
飲食店
(食堂)
九州
- 5 -