運動量と力積 (p36) 新しい物理量: p = mv (m:質量、v:速度、単位 kg・m/s) 運動量 (速度 v がベクトルなので、運動量 p もベクトル) 問題:ピッチャーが投げた 144 km/h のボールの運動量の大きさを求めよ。ボールの質量は 150 g とする。 運動量と力との関係は? ニュートンの運動方程式: F = ma a= dv なので dt dv d(mv) dp = = dt dt dt F=m F= dp dt 運動方程式の 運動量を用いた表現 運動量の時間変化率は、その物体に作用する力に等しい 例:物体に作用している力 F が10 N なら、 その物体の運動量 p は 1 s に 10 kg・m/s 変化する 運動量 p(t) を時間で微分したもの 運動量の1秒あたり変化量 dp F = dt 力F 上の式を時刻 t1 から t2 まで積分すると、 t2 ∫t 1 t2 F dt = ∫t 1 dp dt = p(t2) -p(t1) dt 運動量の変化 力積 時間t 力が時間によらず一定の場合 力積=力×時間(図の面積) 左辺の 力を時間で積分したものを 力積 とよぶ。 力積もベクトル 運動量の変化は、その間に作用した力の力積に等しい 別の導き方: (復習)加速度と速度変化の関係: v(t)-v(t0) = a-t 図での面積 t ∫t a(t) dt xyz の各軸で成り立つので ベクトルでも成り立つ 0 t 両辺に m をかけると 力積と運動量の変化の関係: p(t) -p(t0) = 第5回 (5/14) 1 ページ ∫ t F(t) dt 0 p = mv F = ma 第3回2頁の問題:無重力の宇宙空間で静止していたロケットが t = 0 にエンジンに点火して出力を あげていき、t = 50 s に最高出力に達した。その後 t = 100 s まで最高出力を持続した後、エンジンを 停止した。ロケットの加速度が図のようだった場合、t = 100 s におけるロケットの速度を求めよ。 a [m/s2] 1 ×50 s ×20 m/s2 = 500 m/s 2 20 速度変化は 500 m/s + 1000 m/s = 1500 m/s = 1.5 km/s 50 s ×20 m/s2 = 1000 m/s = 5400 km/h t [s] O 50 100 問題①:ロケットの質量を 2000 kg とし、下の空欄を埋めよ。 一般的なロケットエンジンの場合、ロケットの質量は使った燃料の分だけ減少するが、ここでは一定とする。 時刻 t [s] 速度 v [m/s] 運動量 p [kg・m/s] 0 0 0 50 500 106 100 1500 3×106 F [N] 問題②:エンジンがロケットに作用した力を F と する。左のF-t 図を完成せよ。 t [s] 燃料の噴射による質量の減少は無視せよ。 O 50 100 問題③ t = 0 ~ 50 s , t = 50 ~ 100 s においてエンジンがロケットに作用した力の力積と ロケットの運動量の変化を求めよ。 t = 0 ~ 50 s ,力積: ,運動量の変化: t = 50 ~ 100 s , 力積 : ,運動量の変化: 第5回 (5/14) 2 ページ N・s = (kg・m/s2 )・s = kg・m/s 単位はどちらでも間違いではない。 キャッチャーの構え 手 球 良い例 キャッチャー v ミット 手 球 悪い例 キャッチャー v ミット どんな受け方をしてもボール(質量m)の速度は v 0 に、ボールの運動量は、mv 0 へと変化する。 運動量の変化=力積=力(球を受ける時の衝撃)×時間 キャッチャーは球を受けるとき、上の図のように手をわりとのばして球を受ける。 それは、球を減速する際の時間をかせぎ、衝撃(力)を弱めるためである。 球が速くて怖いからといって下の図のように縮こまって受けると、 球を減速するための時間をかせげず、衝撃(力)は強くなる。 高い場所から飛び降りる際の、足の形状と同じ。クッションによる衝撃の軽減も同じ。 クッションが変形している間の時間がかせげる。 注:完全に足を伸ばすと危険 例:火事のビルから飛び降り際に設置するネット 力(衝撃)F 悪い例 良い例も悪い例も面積(力積)は同じ 力積=力×時間(力が時間に対して一定の時) 良い例 時間 t 第5回 (5/14) 3 ページ 車は頑丈な方が安全か? 車の前部は、やわらかく、 潰れやすい方が安全 人間がいるスペースは 頑丈な方が安全。 ここが潰れてしまうと、 中の人間も潰されてしまう。 右の写真でも前部は 潰れているが、人間の いる部分は潰れていない。 運動量の変化=力積=力×時間 衝突の際の運動量の変化は 一定なので、mv 0 キャッチャーの例と同じ。 力(衝撃)を小さくするためには、 潰れて時間をかせぐ方がよい 5章 仕事とエネルギー (p58) 「力 F がする 仕事 4章は5章の後でやります。 W」は、「力 F の移動方向成分 Ft = F cos θ」と「移動距離 s」の積 (仕事 W は、力 F との力の方向に移動した距離の積と考えてもよい。同じ向きなら力と移動距離の積) F W = Ft s = Fs cosθ θ 単位: J = N・m = kg・m2/s2 (ジュール) s Ft = F cosθ 力 F の移動方向成分 問題: 水平な雪面で、A君は、Bさんが乗ったそりを 左図のように引いている。力 F の大きさを 200 N とし、 A君が 100 m の距離を引っ張ったとすると、 A君(力 F )のした仕事はどれだけか? 2 1 30° 問題: 幼稚園児のCちゃんも、Bさんが乗ったそりを引っ張った。 Cちゃんは 50 N の力 F’ で1分間引っ張ったが、 そりは動かなかった。Cちゃん(力 F’ )のした仕事はどれだけか? ただし、力 F’ の方向は力 F と同じとする。 √3 第5回 (5/14) 4 ページ スカラー積(内積) ベクトル A = (Ax, Ay, Az) と ベクトル B = (Bx, By, Bz) のスカラー積は、 A・B = B・A = AB cosθ = AxBx + AyBy + AzBz W = F・s スカラー積を使うと (仕事W はスカラー) A君が床の上にある物体を棚の上に乗せる。(床から棚の高さまでゆっくりと持ち上げる) 床にある物体(質量 m [kg])に働く重力 F は、 壁 F = mg [N] 棚 物体をゆっくりと持ち上げるのに 必要な力は mg [N]である。 A君が物体 に与えた力 F = mg [N] 棚の高さ h [m] 物体を床の上から高さ h [m] の棚の高さまで ゆっくりと持ち上げる際にA君がした仕事 W は、 仕事= (力)×(力の方向に動いた距離)なので W = Fs cosθ = mgh [J] である。 質量m [kg] 床 cosθ = 1 重力による位置エネルギー エネルギー:外部に対して行うことができる仕事量 (単位:ジュール[J] ) (仕事をする能力) 滑車 ロープ 壁 左図のように m [kg] の物体にロープをつけると 物体は床まで移動する際に ロープを mg [N]の力で h [m] 引っ張ることができる。 棚 この時、物体ができる仕事の量は W = Fs cosθ = mgh [J] 重力 F = mg [N] 棚の高さ h [m] cosθ = 1 床から高さ h [m] にある m [kg] の物体は、 床に戻る際 mgh [J] の仕事をすることができる 床 高い位置にある物体はエネルギーを持っている (重力による)位置エネルギー U は、物体の質量 m と高さ h に比例する。 U = mgh 第5回 (5/14) 5 ページ 問題:新入生合宿研修で、室堂(2430 m)からカルデラ展望台(2670 m)まで登った。 A君の体重を 50 kg とすると、A君の位置エネルギーはどれだけ増加したか? ただし、重力加速度 g は 10 m/s2 とせよ。 hカ = 2670 カルデラ展望台 h室 = 2430 室堂 運動エネルギー v 0 海面 ロープ(張力 F [N],一定) 摩擦のない床 質量m [kg] 運動している物体は停止するまでにロープを上の図のように引っ張って仕事をすることができる。 (1) 速度 v の物体は停止するまでにどれだけの時間、張力 F のロープを引くことができるか? 運動量を勉強したので 運動量を使ってみよう。 (3)のように v(t) を求めた後に v = 0 となる t を求めてもよい。 (2) 物体の加速度はいくらか?(左向きを正とする。) 等加速度運動であることの確認 (3)を解くには直接必要ない。 v (3) 物体は停止するまでにどれだけの距離を進むか?左のv-t 図を完成させて考えよ。 物体の速度は時刻 t = 0 に v0 だったとせよ。 (4) 物体が停止するまでにした仕事を求めよ。 t エネルギー:外部に対して行うことができる仕事量 運動している物体はエネルギー(運動エネルギー)を持っている 運動エネルギー K は、物体の質量 m に比例し、その速度 v の2乗に比例する。 1 運動エネルギー K = 2 mv2 第5回 (5/14) 6 ページ kinetic energy 力学的エネルギー = 運動エネルギー + 位置エネルギー 問題: 50 m の高さから 2 kg の物体が t = 0 から自由落下する。以下の表を完成せよ。 空気抵抗は無視し、重力加速度 g は 10 m/s2 とせよ。 高さ h 落下距離 x 速度 v 位置エネルギー U 運動エネルギー K 力学的エネルギー t=0 50 m 0m 0 m/s 1000 J 0J 1000 J t=1 45 m 5m 10 m/s 900 J 100 J 1000 J t=2 30 m 20 m 20 m/s 600 J 400 J 1000 J h x 50 0 0 50 地面 摩擦等がなく、エネルギーの散逸がない場合、力学的エネルギーは保存する。 (力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則) 力学的エネルギー保存則 エネルギーの循環とエネルギー保存則 (教科書 p68 ) エネルギーはいかなる形に変換されても増減はなく、一定である。(常に厳密に成り立つ) 位置エネルギー 問題:自由落下、山登り、電気ストーブ、 太陽光発電、乾電池、蛍の光 はどのような矢印に相当するか? 他にもたくさんあるので考えてみよ。 熱 運動エネルギー 問題:上の散逸がないとは 具体的にどういう意味か? 電気エネルギー 化学エネルギー 例:蛍光灯 原子力・核エネルギー 第5回 (5/14) 光・電磁波のエネルギー 7 ページ ガリガリ・プロペラ(和玩具) ガリガリ・プロペラ 回転する不思議なものシリーズその3 105円@ダイソー(100円ショップ) ← 商品に書いてあった回転する原理 説明になっていない・・・ どうやって回転しているのでしょうか? 考えてみて下さい。 第5回 (5/14) 8 ページ 復習問題 教科書p69 A1 学科 学生番号: 氏名: この講義に関する意見・要望・感想、取り上げてほしい話題や、 超常現象(火の玉、幽霊、UFO等)の体験等があれば書いて下さい。 第5回 5月14日 学科 学生番号: 氏名: この講義に関する意見・要望・感想、取り上げてほしい話題や、 超常現象(火の玉、幽霊、UFO等)の体験等があれば書いて下さい。 第5回 5月14日
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