結び目多項式の局所操作公式の新展開 講演者 小笠英志 (Eiji Ogasa) §0 本講演は、拙講演者の単著 [2] および, その後に書かれた Louis. H. Kauffman と拙講 演者との共著 [1] の結果に基づく。 §1 1 次元絡み目 K の the Alexander-Conway 多項式 A(K) について次のことは有名。 K+ ,K− ,K0 が以下の部分だけで以下のように違うと K+ K− K0 A(K+ ) − A(K− ) = (t − 1) · A(K0 ) を満たす。(1 次元絡み目の Jones 多項式,Homfly 多項 式も類似の定理を満たすことも有名。) さて、このような公式で他の形のものはあるか? 高次元結び目でも類似の公式があるか?という疑問は極めて自然に湧いてくるであろう。 §2 これらの自然な問いに挑み、n 次元結び目 K の l-Alexander polynomial∆l (K) が次の §3,4 のような性質を満たすことを新発見した。 ∆p+1 (K+ ) − ∆p+1 (K− ) = (t + (−1)p+1 ) · ∆p+1 (K0 ) という新型公式が有る。 §3 n 次元結び目 K+ ,K− ,K0 が以下の部分だけで以下のように違うと下式を満たす。 (2p ̸= n + 1。下図の詳細は [2] 参照。) ∆p (K+ ) − ∆p (K− ) = (t − 1) · ∆p (K0 ) B n+2 ∩ K+ S n−p ×D p B n+2 ∩ K0 B n+2 ∩ K− S p−1 × Dn+1−p S n−p × Dp Dn+1−p × S p−1 S p−1 × Dn+1−p S p × Dn−p §4 (2p + 1) 次元結び目 K+ ,K− ,K0 が以下の部分だけで以下のように違うと下式を満た す。(下図の詳細は [1] [2] 参照。) ∆p+1 (K+ ) − ∆p+1 (K− ) = (t + (−1)p+1 ) · ∆p+1 (K0 ) p が奇数のときは §3 の形の公式とここ §4 の公式の形の両方の形が成立することに注 意。(勿論それぞれの local move の種類に応じて) §5 この頁の §4 の例で p = 2k, bP4k+2 = Z2 とすると ArfK+ − ArfK− = {|bP4k+2 ∩ I(K0 )| + 1} mod2, ただし I( ) は inertia 群、bP ( ) は bP 部分群, が成立する。 References [1] L. H. Kauffman and E. Ogasa: Local moves on knots and product of knots, Volume three of Knots in Poland III Banach Center Publications (to appear), arXiv:1210.4667 [2] E. Ogasa: Local move identities for the Alexander polynomials of high-dimensional knots and inertia groups, Journal of Knot Theory and Its Ramifications 18 (2009) 531-545, UTMS 97-63. math.GT/0512168. [email protected] http://www.geocities.jp/n dimension n dimension/list.html (おがさえいじ 小笠英志 Eiji Ogasa で検索できます。)
© Copyright 2024 ExpyDoc