DBへ残余財産を交付する場合のスケジュール 【残余財産交付の手続き】 ○厚生年金基金(以下「基金」という。)の残余財産をDBに交付するためには、以下の手続 きが必要。 ① 基金の規約改正 基金の規約において、残余財産の交付を行うことをあらかじめ規定。 ② 基金の解散認可 ③ 事業主から基金へ、残余財産を交付する旨の申出 事業主が、残余財産交付先を決定し、基金に申し出る。 ④ 基金による加入員等の同意取得 事業主の申出に基づき、基金が加入員等の同意を取得 ⑤ 基金の財産目録の申請、承認 ⑥ 基金からDBの事業主等への残余財産交付の申出 法令に基づき、基金が交付先制度の資産管理運用機関等に残余財産の交付を申出 ※ 残余財産の交付を行うためには、③の申出期限までの間にDBの設立又は規約変更をしておくことが必要。 (⑦ DBの資産管理運用機関等への残余財産の仮交付) ⑧ DBの資産管理運用機関等への残余財産の交付 ⑨ 清算結了 【残余財産の交付と支給の関係について】 ○ 健全化法附則第35条において、 ・ 基金がDBの事業主等に残余財産の交付を申し出ることができること(第1項) ・ 前項の申出に従い残余財産の交付を受けたときは、当該交付金を原資として老齢給付 金等の支給を行うこと(第2項) が規定されており、経過措置政令第42条において、 ・健全化法附則第35条第1項の申出に従い残余財産の交付を受けたときは、解散した存 続厚生年金基金の解散基金加入員等に係る加入員期間の全部又は一部をDBの加入 者期間に算入すること が規定されている。 ○ したがって、 ・ 基金からDBの事業主等へ残余財産交付の申出が行われた残余財産はすべて交付さ れる ・ 残余財産の交付を受けたときからDBの加入者期間の算入や支給が開始される こととなる。 ○ ただし、確定給付企業年金制度について(平成14年3月29日年発第0329008号)第8の 「7 確定給付企業年金に厚生年金基金の残余財産を交付する場合の取扱い」に記載の ある仮交付を受けたときは、仮交付時からDBの加入者期間の算入や支給を開始して差し 支えない。 ○ また、上記の解釈に従えば、DB設立時から(仮)交付を受けるまでの間に資格喪失した 加入者は加入者期間の通算がされなくなるが、当該者に対してはDB法第28条第3項に より加入者期間の算入を行うことで措置することができる。 【パターン1 】残余財産の交付時から給付を開始する場合 加入者の 給付 残余財産に基 づく給付 受給者の 給付 残余財産に基 づく給付 ③残余財産交付の申出(事業主→基金) ④基金による加入員等の同意取得 事前相談 (2ヶ月) ①基金の 規約改正 ②基金の 解散認可 規約標準処 理期間(2ヶ 月) DB規約申請 この間の給付は行わない。 (⑥の残余財産交付の申 出後に資格喪失した場合 や死亡した場合は、残余財 産交付後に脱退一時金や 遺族給付金を支給) DB設立 ⑤財産目録 ⑧残余財産の (規約改正) 申請~承認 交付 ⑥残余財産交付の 申出(基金→DB) ⑨清算結了 【パターン2 】仮交付によりDB設立時から給付を開始する場合 ※⑥の申出時に残余財産の額 が確定していないため、仮交 付額で申出を実施。(⑧の交 付時に金額を訂正する) ※②の基金の解散認可と⑥、⑦ を同日付とすれば、継続的な 給付が可能となる。 加入者の 給付 残余財産に基づく給付 受給者の 給付 残余財産に基づく給付 ③残余財産交付の申出 (事業主→基金) ④基金による加入員等の同意取得 事前相談 (2ヶ月) ①基金の 規約改正 ②基金の 解散認可 規約標準処 理期間(2ヶ 月) ⑤財産目録 ⑧残余財産の DB規約申請 ※ 以下を同時に実施 申請~承認 交付 ・DB設立(規約改正) ⑥残余財産交付の申出(基金→DB) ⑦仮交付 ⑨清算結了 【パターン3 】DB設立時より加入者の給付を開始する場合(DB加入者の みの残余財産を交付し、基金の上乗せ給付を継続する等の場合) 加入者の 給付 ③残余財産交付の申出(事業主→基金) ④基金による加入員等の同意取得 事前相談 (2ヶ月) ①基金の 規約改正 規約標準処 理期間(2ヶ 月) DB法第28条第3項に 基づく給付 残余財産に基 づく給付 ※残余財産の交付前はDB法第28条第3項に基づき 給付を行い、⑧の残余財産の交付時に残余財産に 基づく給付を実施。 ※残余財産の交付を受けた者と受けない者で同額の 給付設計はできないため、⑧の前後で同額の給付 をするためには、DB法第28条第3項に基づく給付 を行っている者全員が残余財産の交付を受けてい ることが必要。 ※DB設立(基金解散)から⑥の残余財産交付の申出 までの間に資格喪失する者が生じないように、DB 設立と残余財産交付の申出を同日で実施する(申 出前に資格喪失した場合、パターン1と同様、残余 財産の分配が必要となり、不整合が生じるため) ⑤財産目録 ⑧残余財産の ②基金の解散認可 DB規約申請 ※ 以下を同時に実施 申請~承認 交付 ・DB設立(規約改正) ⑥残余財産交付の申出(基金→DB) ⑨清算結了 DCへ残余財産を移換する場合のスケジュール 【残余財産移換の手続き】 ○基金の残余財産をDCに移換するためには、以下の手続きが必要。 ① 基金の規約改正 基金の規約において、残余財産の移換を行うことをあらかじめ規定。 ② 基金の解散認可 ③ 事業主から基金へ、残余財産を移換する旨の申出 事業主が、残余財産移換先を決定し、基金に申し出る。 ④ 基金による加入員等の同意取得 事業主の申出に基づき、基金が加入員等の同意を取得 ⑤ 基金の財産目録の申請、承認 ※ 残余財産の移換を行うためには、これまでの間に残余財産の移換を規定したDC規約を承認して おくことが必要。 なお、これまでは残余財産の移換に係るDC規約の承認日は解散と同日付としていたものを、今回、 改正する。 ⑥ 基金からDCの資産管理機関への残余財産移換の申出 基金が移換先制度の資産管理機関に残余財産の移換を申出 ⑦ 資産管理機関への残余財産の移換 ⑧ 清算結了 DCの残余財産移換スケジュール ⑤の財目申請後に事業主が 残余財産の移換を申し出ても、 残余財産の移換はできない。 (基金の規約に規定) ③事業主→基金 : 残余財産移換申出 ④基金による加入員等の同意取得 規約標準処理 期間(2ヶ月) ①基金の規約 ②基金の 改正 解散認可 規約申請 (新規・変更) 施行 ⑤財産目録 ⑥基金→DC:残余 ⑦資産管理機関 申請・承認 財産移換申出 への残余財産 の移換 ⑧清算結了
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