「TOTO Vプラン2017」達成と その先を見すえて

はじめに
TOTO WAY
トップメッセージ
事業ハイライト
事業を支える力
トップメッセージ
「TOTO Vプラン2017」
達成と
その先を見すえて
TOTOグループは2014年4月1日付をもって、
新しい経営体制と執行体制をスタートしました。
2013年度の業績と、
「TOTO Vプラン2017」
達成に向けた新しい中期経営計画、
今後の取り組みについて、
代表取締役 社長執行役員の喜多村円がご説明いたします。
2013年度の業績について
2013年度の日本経済は、
政府による経済対策や、
金融政策
❷海外住設事業
の効果などを背景に、緩やかに回復しました。
また、国内の
世界経済は、
一部で弱さが見られるものの、
全般には緩やか
住宅市場においては、
低金利や所得環境の改善、
これにとも
な回復が続きました。
このような環境の中、
海外住設事業に
なう消費者マインドの改善に加え、消費税率引き上げによ
おいては、
各国・各エリアでの経済動向や社会動向を注視し
る駆け込み需要もあり、新設住宅着工の増加傾向などが見
つつ、
「TOTO Vプラン2017」
および中期経営計画に基づい
られました。
た着実な成長戦略を推進しました。
このような事業環境の中、
2013年度の業績は、
連結売上高は
5,534億円
(前期比16.2%増)
、
連結営業利益は471億円
(前
❸新領域事業
期比101.8%増)、連結経常利益は504億円
(前期比93.3%
TOTOのオンリーワン技術を活かした
「セラミック事業」
、
環
増)
と大幅な増収増益となり、売上高、
営業利益、
経常利益、
境浄化技術「ハイドロテクト」
による建材や塗料などを展開
当期純利益のすべてにおいて過去最高を達成しました。
この
する
「環境建材事業」
などを
「新領域事業」
として、
「TOTO V
結果、
2012年度にスタートした2014年度までの中期経営計
プラン2017」
および中期経営計画達成に向けた事業活動
画の目標を1年前倒しで達成することができました。
を推進しました。
❶国内住設事業
●需要分野別売上高推移※
新築分野においては、
戸建物件が大幅に伸長しました。
リモ
デル分野においては、
戸建およびマンション物件におけるリ
■国内住設事業
(新築)
■国内住設事業
(リモデル)
■海外住設事業
■新領域事業 ■その他
1億円
141億円
モデルとともに、各種ビルなどのパブリック物件におけるリ
モデルが伸長しました。
商品面においては「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」や
「ウォシュレットアプリコット」の販売が好調に推移すると
1,286億円
2,581億円
751億円
売上高合計
4,762億円
2012年度
ともに、
システムバスルームの
「サザナ」
、
マンションリモデル
バスルームの販売が大きく伸長しました。
また、
TOTO株式会社、
大建工業株式会社、
YKK AP株式会
社の3社連携による、
「グリーンリモデル診断
(住宅に関わる
環境評価基準を参考にした客観的な住まいの診断)」
を引
1,409億円
2013年度
2,930億円
1,011億円
売上高合計
5,534億円
180億円
2億円
き続き活用し、
レストルーム・バス・キッチン・洗面の各空間
におけるリモデル提案を行うことによって、環境に貢献する
リフォーム
「グリーンリモデル」
を推進しました。
11
TOTOグループ コーポレートレポート 2014
※外部顧客への売上高
(セグメント間の内部売上および振替高を含まない)
P.17〜 事業ハイライト
1
Q.
2013年度の業績をふまえ、
あらためて
「TOTO Vプラン2017」
についてお聞かせください。
1「TOTO Vプラン2017」
とは、
創立100周年における目指す姿と
その実現に向けた戦略を定めたものです。
A.
2009年、
TOTOグループは、
お客様・社会から必要とされる
2010〜2011年度の2年間、全社最適の視点で基盤の整備
企業であり続けるため、
そして企業価値を中・長期的に向上
に取り組みました。2012年度開始にあたっては「TOTO V
させるため、創立100周年を迎える2017年度における目指
プラン2017」
をより確実に実現するため、2012〜2014年
す姿と、
その実現に向けた戦略フレームを示した
「TOTO V
度の中期経営計画を策定しました。
そして、
最終年度である
プラン2017」
を策定しました。
2014年度目標を、2013年度に前倒しで達成することがで
「TOTO Vプラン2017」
では、
「世界中のお客様」に新しい
きました。
「まいにち」を提供し、
これからも必要とされ続ける存在と
TOTOグループは
「TOTO Vプラン2017」達成後のその先
して
「真のグローバル企業」
を目指すことを掲げています。
国
を視野に入れました。
そして2014年5月、2014年から2017
内住設事業、海外住設事業、新領域事業の3つの事業領域
年度までの新しい中期経営計画を策定し、
これにともない
と、
それらにまたがる4つの全社横断革新活動(マーケティ
長期経営計画「TOTO Vプラン2017」の最終年度におけ
ング革新、サプライチェーン革新、
ものづくり革新、
マネジ
る数値目標を見直しました。2017年度目標を連結売上高
メントリソース革新)
をあわせて推進するとともに、環境ビ
6,500億円、連結営業利益610億円、ROA・ROE10%以上
ジョン
「TOTO GREEN CHALLENGE」
をこの推進エンジ
と定め、
創立100周年のその先を見すえた歩みをスタートし
ンとすることで、
グループ一丸となって取り組んできました。
ています。
12
はじめに
トップメッセージ
TOTO WAY
事業ハイライト
事業を支える力
2 「TOTO Vプラン2017」目標達成に向けた、2014年度からの取り組みをお聞かせください。
A.2 新しい中期経営計画のもと、
新たな数値目標達成に向けて
「スピード」
を上げチャレンジします。
Q.
「TOTO Vプラン2017」最終年度である2017年、TOTOグ
できるよう、
着実に推進していきます。
ループは創立100周年を迎えます。新しい中期経営計画に
これを達成するために必要なもの、
それは
「スピード」
です。
おいても、
「TOTO Vプラン2017」
達成に向けた基本方針と
そのための経営体制、執行体制の刷新であり、新たな数値
目指す姿に変わりはありません。
この中期経営計画を通じ、
目標は、
これまでの勢いを持続し、
さらに加速させるための
「真のグローバル企業」
への進化を図り、企業価値をさらに
ものです。新たに舵をとる私は、
この重大な役割を果たすた
向上させ、
2017年に迎える100周年のその先に向けて飛躍
め、
「スピード」
を上げたチャレンジを続けていきます。
各事業の見通し
❶国内住設事業
のもと、
それぞれの土地の文化、生活習慣を尊重し、各国・
日本国内では、新たなリモデル戦略として評価の高い「グ
地域にあった商品を現地で開発・生産し販売する体制を構
リーンリモデル診断」
をさらに進化させるとともに、多様化
築するとともに、
総合的な事業基盤を強化していきます。
するリモデルに対する接点別リモデル事業の強化を進めま
米州では新商品の投入や販売網の拡大強化を継続しつつ、
す。高齢者リモデル、中古住宅流通リモデル、パブリックリ
生産体制を強化していきます。
中国では最高級ブランドを維
モデルなどの強化を図り、
あわせてリモデル商材の核とな
持しつつ、内陸部でのさらなる販売強化を目指します。
アジ
るシステムキッチン、
システムバスルームの売上を拡大させ
ア・オセアニアにおいては、高級市場でのブランド強化に引
ます。
き続き取り組みます。
そして欧州では、
高級ブランドとしての
さらに、全社横断革新活動である
「サプライチェーン革新」
存在感を高め、
事業基盤を確立していきます。
「ものづくり革新」活動との連携を引き続き強化し、持続的
❸新領域事業
成長と高収益化に向けた体質強化を目指します。
オンリーワン技術を活かした新事業の創出・早期事業化に
❷海外住設事業
向けさまざまな取り組みを進め、次世代に向けた成長を推
海外住設事業は、
TOTOグループが
「真のグローバル企業」
し進めています。燃料電池の事業化を含め、
「セラミック事
として成長するための重要な柱です。
引き続き
「日本」
「米州」
業」
「環境建材事業」
「燃料電池事業」
の3つの事業で黒字化
「中国」
「アジア・オセアニア」
「欧州」のグローバル5極体制
を目指します。
●
「TOTO Vプラン2017」
策定年度からの実績と2014年度業績計画、2017年度目標※
2009
年度実績
連結売上高
2010
年度実績
2011
年度実績
2012
年度実績
(単位:億円、
未満切り捨て)
2013
年度実績
2014
年度計画
2017
年度目標
4,219
4,335
4,526
4,762
5,534
5,440
6,500
65
140
187
233
471
372
610
売上高営業利益率
1.6%
3.2%
4.1%
4.9%
8.5%
6.8%
9.4%
ROA(営業利益ベース)
1.7%
3.7%
5.0%
6.0%
10.7%
10%以上
ROE
0.5%
2.8%
5.1%
8.8%
19.4%
10%以上
連結営業利益
※TOTOグループは、
事業の成長および収益力の向上、
ならびに資産の効率的な運用の観点から、
売上高営業利益率とROA
(営業利益ベース)
・ROEを、
重要な経営指標としています。
※ROA=営業利益/総資産、
ROE=純利益/自己資本
13
TOTOグループ コーポレートレポート 2014
3
Q.
新たな環境目標を加えた
「TOTOグローバル環境ビジョン」
とはどのようなものですか。
3 「TOTO GREEN CHALLENGE」
を進化させ、
よりグローバルな展開を視野に策定しました。
A.
TOTOは創立当初から、事業を通しさまざまな社会課題を
化を防ぐ」
の2つを、
事業を通して貢献できるテーマと捉えて
解決してきました。水洗便器の開発と普及は人々の生活ス
います。
タイルを変え、
当時の
「衛生」
という社会課題を解決する、
重
さらに、
「TOTOグローバル環境ビジョン」
の実現に向けて、
大な役割を果たしました。
そして21世紀の現在、TOTOグ
これまでの環境目標に新たに
「水資源の保全」
を加えた
「グ
ループは世界共通の課題である環境問題を、事業を通し解
ローバル環境目標」
を設定しました。
決する課題として明確に位置付けているのです。
水資源問題が深刻さを増す中、創立以来「水」
に大きく関わ
TOTOの商品は、
「世界中のお客様」
に
「まいにち」使ってい
る事業を展開してきた企業として、
水まわりから地球環境に
ただく生活に密着したものです。
だからこそ、商品使用時の
貢献していきたいという思いです。
節水・省エネの積み重ねは地球環境への影響を大きく左右
グループ一丸となって、目標達成に向けて取り組んでいき
します。
「世界中のお客様」
に環境配慮商品を使っていただ
ます。
くことで、お客様の「まいにち」の暮らしから節水、省エネ、
CO2排出量削減といった地球環境への貢献が生まれます。
●グローバルで取り組む6つのテーマ
TOTOグループの事業活動はそれ自体が、
このように環境
貢献につながっているのです。
TOTOの商品がお客様の快適な生活を支えるとともに、
より環境負荷の少ない生活を実現し続けることを目指し、
2010年
「TOTO GREEN CHALLENGE」
を策定しました。
そして、創立100周年にあたる2017年度までの環境貢献目
標を掲げ、
活動を展開してきました。
この「TOTO GREEN CHALLENGE」活動をさらに進化
させ、各国・地域の環境問題や社会課題と向き合い、
よりグ
ローバルな展開を視野に入れて策定したものが「TOTOグ
ローバル環境ビジョン」
です。
グローバルで取り組むテーマは、
「水を大切に」
「温暖化を防
ぐ」
「資源を大切に」
「地球を汚さない」
「生物多様性を守る」
「地域社会のために」
の6つ。
とりわけ
「水を大切に」
と
「温暖
P.28 TOTOグローバル環境ビジョン
14
はじめに
4
Q.
TOTO WAY
トップメッセージ
事業ハイライト
事業を支える力
TOTO にとってのステークホルダーとはどのような存在ですか。
4 ステークホルダーの皆様の存在あってこその
TOTOだと思っています。
A.
TOTOグループの2013年度の業績は、
お客様、
社員、
株主、
性向については、連結当期純利益の30%を目標とし、業績
お取引先、社会など、
ステークホルダーの皆様の存在あって
に連動した利益還元を目指しつつ、安定的な配当水準の維
こそ達成できた結果だと、
真摯に受け止めています。それに
持に努めます。配当は、今後も中間・期末の年2回を予定し
応えるため、
すべてのステークホルダーとの双方向のコミュ
ています。
また、
自己株式の取得については、機動的な資本
ニケーションを大切にし、
関係性を深めていきます。
政策等遂行の必要性、財務体質への影響等を考慮したうえ
中でも、事業に対するお客様満足を高めることが第一です。
で、
総合的に判断します。
TOTOの商品は、
買っていただいたお客様に20年、30年と
なお、2013年度の配当金は、1株につき年間23円(中間10
使っていただく商品です。長い将来を見すえ、社会的価値あ
円、
期末13円)
とさせていただきました。
る商品を適正な価格で提供し続けていけるTOTOグループ
であることが重要です。
これを実現するには、事業を担う社
●TOTOをとりまくステークホルダー
員が常に最大限の力を発揮できる環境が必要です。TOTO
お客様
グループは、
年齢、
性別、
国籍など、
多様な人財※の個性を尊
重し、
自ら考え、行動する自律した人財の育成を目指してい
ます。
そして、
チャレンジする意志と、
そこから生まれる新し
社会
社員
い発想を活かした事業で、豊かで快適な生活文化を創造し
ていきます。
また、
TOTOは、
株主の皆様への利益還元を経営の重要課題
の一つとしており、
企業体質の強化と将来の事業展開を勘案し
株主
お取引先
た内部留保の充実と安定的な配当を基本方針としています。
内部留保資金については、
長期安定的な経営基盤の確立に
向けて、商品力の向上と生産・販売体制の整備・強化および
新規事業や海外事業の展開などに活用していきます。配当
15
TOTOグループ コーポレートレポート 2014
P.37 ステークホルダーエンゲージメント
※TOTOグループでは、
TOTOグループで働くすべての人々を
「次世代を築く貴重な財
産」
と考え、
「人財」
と呼んでいます。
5
Q.
最後に、
TOTOの考えるCSR※経営のあり方と今後の決意をお聞かせください。
5 TOTO事業の原点にあるCSRの考え方を受け継ぎ、
社員一人ひとりがチャレンジを続けていきます。
A.
TOTOでは、CSR経営を、企業活動のすべてをESG(環境・
ます。
TOTOの事業の原点には、
もともとCSRの考え方があ
社会・ガバナンス)視点で推進することと考えています。
こ
りました。
それは初代社長から二代目社長に送られた
『先人
れによって、事業活動とCSR活動の戦略的統合を図ってい
の言葉』
や社是の中に、
「良品の供給」
と
「需要家の満足」
とし
ます。
て明確に記されています。
この素晴らしい言葉を、
すべての
その指針とすべく、TOTOグループは国連が提唱している
TOTOグループ社員はDNAとして受け継いでいます。
「国連グローバル・コンパクト」への参加を表明し、2011年
社員一人ひとりがこの信念を自分のものとして、社会の役
度に参加企業として登録されました。
「人権・労働・環境・腐
に立ちたい、地球環境に貢献したいという意志をもって、
目
敗防止」に関するグローバル・コンパクトの10原則を支持
標達成へのチャレンジを続けていきます。
し、
自社の戦略、文化および日々の業務の一部にするととも
●先人の言葉
に、
国連が目指しているミレニアム開発目標などへの取り組
みに関わっていくことを世界中の皆様にお約束しています。
そして、
ステークホルダーダイアログによる対話などを通し
どうしても親 切が第 一
て、TOTOグループ全体への浸透と実践活動を推進してい
奉 仕 観 念をもって仕 事をお進めくだされたし
ます。
良品の供 給 、需 要 家の満 足がつかむべき実 体です。
これらの活動の成果として、2013年度は国際的SRI(社会
この実 体を握り得れば利 益・報 酬として影が映ります。
的責任投資)
評価会社であるRobeco SAM社によるCSR格
利 益という影を追う人が世の中には多いもので
付けで、
初めて
「ゴールドクラス」
に認定されました。
一 生 実 体を捕えずして終わります。
2014年度以降も、
グローバルに責任のある企業市民として
積極的に社会的責任を果たしていくことを国際社会に表明
●社是
し、
グループ内すべての事業活動を通じ、
これを実践してい
きます。
2014年、私は社長執行役員としての役割を新たに預かり
ました。創立100周年における目標「TOTO Vプラン2017」
は、
その先に向けた通過点に過ぎません。
この勢いを持続・
加速させることで企業価値を向上させていきます。
私は常々、
「意志あるところに道はできる」
と強く確信してい
●
「TOTO Vプラン2017」
の、
その先に向けて
TOTO Vプラン2017
次なるステップ
2014-2017年度
基盤整備
【2010-2012】
2012-2014年度
中期経営計画
中期経営計画
Vプラン達成に向けた最終ステップ
次の100年に向けた飛躍への準備期間
【2012-2013】
【2014-2017】
持続的な
成長の実現へ
【2017】
TOTO創立100周年
【2018∼】
※CSR:Corporate Social Responsibility
(企業の社会的責任)
16