既設の準特定屋外タンク貯蔵所のタンク本体に係る 新基準適合評価について タンク審査部 (http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/ はじめに 準特定屋外タンク貯蔵所(以下「準特定タン magazine/154/contents/154_34.pdf) また、本稿の法令名については次のとおり略 ク」という。 )とは、政令において、危険物の最 大貯蔵容量が500kℓ以上1,000kℓ未満の屋外 称を用いていますので、ご承知下さい。 タンク貯蔵所と規定されています。 年に発生し 危険物の規制に関する政令・・・・・・政令 た阪神・淡路大震災を契機に具体的な検討が行 危険物の規制に関する規則・・・・・・規則 われ、平成11年にタンク本体及び基礎・地盤に 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を 関する技術基準(以下「新基準」という。)が制 定める告示 準特定タンクについては、平成 ・・・・・・告示 定されました。ただし、新基準の施行日である 平成11年 月 準特定タンク本体の技術基準について 日以前に設置に係る許可を受 け、又は許可の申請がされた準特定タンク(以 ⑴ 準特定タンクの技術基準の概要について 基準改正後の準特定タンクと既設の準特定 下「既設の準特定タンク」という。 )は、平成29 年 タンクの技術基準に関する根拠法令について 月31日までに新基準に適合させることとさ は表 れています。 のとおりです。材料の規定以外は全て 平成25年度総務省消防庁危険物規制事務統計 同じ基準となっています。したがって、既設 表によると、既設の準特定タンクは、平成26年 の準特定タンクを新基準に適合させるために 月31日現在、3,087基で、そのうち新基準に適 は、次の 合したタンクは1,898基(61.5%) となっており、 ります。 約 ① 最小の板厚が3.2㎜以上であること。 ② 側板に生ずる常時の円周方向引張応力が 割が未適合の状態となっています。 当協会では、既設の準特定タンクの新基準適 許容応力以下であること。 合に関する評価を、技術援助業務や変更の許可 ③ に係る設計審査業務として実施しているところ ④ 本稿では、今後、既設の準特定タンクの新基 ⑤ 所の方に参考としていただけるように、タンク 地震動により、タンクが転倒及び滑動し ないこと。 本体の評価に必要な技術基準や審査の留意点等 ⑥ について解説します。 風荷重により、タンクが転倒及び滑動し ないこと。 なお、基礎・地盤の評価に関しては、当協会 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 28 側板直下の底板の保有水平耐力が必要保 有水平耐力以上であること。 準適合化に関する業務に携わる消防機関、事業 掲載していますので、そちらをご参照下さい。 側板に生ずる地震時の軸方向圧縮応力が 許容応力以下であること。 です。 機関誌 Safety & Tomorrow №154(2014.3)に つの条件全てを満足する必要があ ⑵ 側板に生じる応力について 準特定タンクの側板に生じる応力の評価に 表 政令 区分 既 設 の 準 特 定 タ ン ク 規則 政令第11条 第 項 号 ○ 平成11年 政令第 号 附則第 項 ○ 準 特 定 タ ン ク 告示 規則第20条の の 〔準特定 ○ 告示第 条の22の10〔準特定屋外貯蔵タン クの主荷重及び従荷重〕 屋外貯蔵タンクの構造〕 ○ 規則第20条の 〔材料の規格〕 ○ 告示第 条の18〔荷重及び従荷重〕 (第 項第 号、第 号、 号を準用) ※第 号の液比重は実液比重とすることができ る ○ 告示第 条の19〔風荷重〕 (第 項を準用)※風荷重は滑り・転倒のみ ○ 告示第 条の20〔地震の影響〕 (第 項第 ∼ 号、第 項第 号・ 号を準用) ○ 告示第 条の22の11〔許容応力〕 ○ 告示第79条〔保有水平耐力〕 規則第20条の の 〔準特定 屋外貯蔵タンクの構造〕 ○ 平成11年省令第10号附則第 項 ※規則第20条の の材料の 規格は除外 表 区分 技術基準の根拠法令 (昭和58年 同上 側板に生ずる応力の求め方 発生応力 月28日付け消防危第44号通知) 許容応力 (告示第 条の22の11) 円周方向 引張応力 (常時) σ c=PD/2t σ c:円周方向引張応力 P:静液圧(内圧がある場合にはこの圧力も液圧に加える) D:タンク内径 t:実板厚 S=2σ y/3 S:円周方向許容引張応力 σ y:使用材料の実降伏強度 軸方向圧 縮応力 (地震時) σ b=1000[N/A+1000Mp/Z] σ b:軸方向圧縮応力 N:設計鉛直震度を考慮した鉛直方向荷重 A:断面積(実板厚により算出) M p:側板部のモーメント Z:断面係数(実板厚により算出) S′=0.4E・t/1.1D S′:軸方向許容圧縮応力 E:使用材料のヤング率 t:実板厚 D:タンク内径 ついては、規則第20条の の に基づき、側 平耐力」以上であることを確認します。保有 板に生ずる「常時の円周方向引張応力」及び 水平耐力の求め方については、表 「地震時の軸方向圧縮応力」が告示第 のとおり です。 条の なお、保有水平耐力の計算で使用する側板 22の11で定める許容応力以下であることを、 段毎に確認します。それぞれの求め方につい 直下の底板の実板厚の求め方については、 ては表 のとおりです。 ⒀で詳しく説明します。 ⑷ なお、計算に使用する側板の実板厚の測定 方法については、 ⑶ タンク本体の転倒・滑動について タンク本体の転倒・滑動の評価については、 ⑺で詳しく説明します。 側板直下の底板の保有水平耐力について 地震時及び暴風時に対して検討する必要があ 側板直下の底板の保有水平耐力の評価につ ります。 いては、規則第20条の の 地震時については、告示第 に基づき、 「保有 条の20で定め る「水平方向地震動による底板部のモーメン 水平耐力」が「地震の影響による必要保有水 29 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 表 保有水平耐力の求め方 必要保有水平耐力(告示第79条) 保有水平耐力(告示第79条) 2 Q y=2πR q y/0.44H Q y:保有水平耐力 R:タンク半径 q y:浮き上がり抵抗力(実板厚、実降伏強度等に より求められる) H:最高液面高さ Q dw=0.15・ν 1・ν 2・ν 3・ν p・D s・W o Q dw:必要保有水平耐力 ν 1:地域別補正係数 ν 2:地盤別補正係数 ν 3:固有周期を考慮した応答倍率 ν p:塑性設計係数(1.5) D s:構造特性係数 W o:有効液重量 「準特定屋外貯蔵タンク諸元表」の記入要 ト」及び「水平方向地震動底部水平力」が関 係します。暴風時における風荷重について 領について は、告示第 諸元表の全ての項目が、タンク本体の新基準 条の19第 項第 号及び第 号 で、次のとおり規定されています。 評価の計算に必要なものとなりますので、タン しかし、それぞれの転倒・滑動に関する評 ク情報を正確に記入する必要があります。ここ 価方法については消防法令では明確に規定さ では、具体的な記入方法やその考え方について れていません。このため、一般的には JIS B 説明します。 8501に示される計算方法で検討されています ⑴ ア が、ここでは割愛します。 ア 告示第 条の19第 q =0.588k h (q: 項第 地盤等補正係数 地盤の種類 告示第 号 告示第 第 条の19第 項第 項中の表ロ「地盤の 区分」に示されている一種地盤から四種地 ㎡当たりの風荷重、 盤のうち、対象となる準特定タンク(以下 k:風力係数、h:地盤面からの高さ) イ 条の20第 「対象タンク」という。 )の設置されている 号 地盤を記入して下さい。 号の規定にかかわらず、海岸、河岸、 イ 山上等強風を受けるおそれのある場所に設 四種地盤のみ 置するタンク又は円筒形タンクで地盤面か アで四種地盤を記入した場合は、対象タ らの高さが25m 以上のものに係る風荷重 ンクの基礎構造が「杭基礎」か「その他」 の値は2.05kN/㎡、円筒形タンク以外のタ を選択して下さい。 ンクで地盤面からの高さが25m 以上のも 「その他」に該当する基礎構造は「盛土基 のに係る風荷重の値は2.94kN/㎡とする 礎」 、 「リング基礎」 、 「スラブ基礎」等が考 こと。 えられます。 ウ 対象タンクの設置場所を告示第 条の20第 審査に必要な資料について 審査に必要な資料は表 項中の表イの地域区分に当てはめて、 該当す のとおりです。過去 る地域別補正係数を選択して下さい。 に底板や側板等の取替・当板補修や、ノズル等 のタンク附属品の改造があったタンクについて は、現状における最新の図面が必要となります。 地域別補正係数 ⑵ 内容液 ア 類別・品名・化学名 法別表に示されている「類別」、 「品名」 及び「化学名」を記入して下さい。 例:第四類 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 30 第二石油類 軽油 表 審査に必要な資料 確認内容等 添付資料 全体組立図 屋根形状、内径及びタンク高さ等 附属品配置図 ノズル等附属品の種類、数量及びサイズ等 底板図(外張出し寸法が示されたもの) 材質、板厚及び寸法等 側板図(トップアングルを含む。) 各段及びトップアングルの材質、板厚、寸法等 屋根図 材質、板厚、形状寸法、支柱及び屋根骨の状況等 準特定屋外貯蔵タンク諸元表(※ ) 側板、側板直下の底板の板厚データ(※ 評価に必要な全てのタンク情報 各実板厚の算定根拠及び測定年月 ) 附属品重量算定資料 (添付されていることが望ましい) 該 そ当 のタ 他 のン 資ク 料の み 諸元表に記入した各附属品重量の内訳表 (具体的な算定方法は ⑺、⑾及び⒁を参照下さい) a 保温材図 材質、厚さ及び1㎡当たりの重量等 b ウインドガーダー図 材質、厚さ及び形状等 c プレッシャーバルブ機器図 設定圧力 d 転倒及び滑動防止対策資料 ・アンカーボルト図及び強度計算書 ・デッドストック重量の算出資料 設置箇所、サイズ及び本数 払出しノズルの高さ等 ※ 準特定屋外貯蔵タンク諸元表(別紙参照)は、安全性評価に必要なタンクの寸法や重量等を表にまとめたもの です。本文の で記入方法について詳しく説明します。 なお、当該様式及び記入要領は、当協会のホームページからダウンロードができます。 (http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/tech_support/02-2.pdf) ※ 板厚の測定方法は、平成11年 月30日付け消防危第27号通知で示されています。 具体的な測定方法については、本文の ⑺及び⒀で詳しく説明します。 イ クを所管する消防機関に確認して下さい。 許可容量 対象タンクの許可容量を最新の 「許可証」 【ポイント】 又は「品名、数量又は指定数量の倍数変更 将来的に、油種変更により計算比重よりも 届出書」等で確認して、記入して下さい。 ウ 許可液面高さ 比重の大きい油種を貯蔵する予定がある場合 許可容量に対応する液面高さを記入して には、想定する最も重い比重を計算比重とし て採用されることをお勧めします。 下さい。 例えば、ガソリン(比重0.73)を貯蔵して 事業所等で自主的に管理されている「管 いる対象タンクで、液計算比重0.73で安全性 理液面高さ」ではありません。 エ 実液比重 評価を行った後、軽油(比重0.85)に油種変 現在貯蔵している危険物の比重を記入し 更する場合は、液計算比重0.85で再度評価す る必要があります。 て下さい。 オ 液計算比重 カ 安全性評価に採用する比重で、この数値 最高使用温度 対象タンクの最高使用温度で、貯蔵する に基づいて応力計算を実施します。 危険物の管理上の最高温度を記入して下さ なお、消防機関によっては実液比重が い。 1.0未満の油種については、安全性評価に 際して液計算比重を1.0で行うように指導 されている場合もありますので、対象タン 31 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) さを示します。 (図 参照) 基礎構造図等を参照して記入して下さ 【ポイント】 い。 対象タンクに加温設備がある場合には、前 記オと同様に過去の使用実績や将来の使用予 ⑷ トップアングル トップアングルの幅、高さ及び厚さについ 定等を勘案して最も高い温度に設定されるこ て、側板図等を参照して記入して下さい。 とをお勧めします。 例えば、軽油を常温で貯蔵している対象タ ⑸ 側板板幅 側板各段の板幅について、側板図を参照し ンクで、常温で安全性評価を行った後、重油 て記入して下さい。 に油種変更し60℃で管理する場合は、最高使 この場合、ルートギャップは溶接による縮 用温度60℃で再度評価する必要があります。 み代を考慮して板幅に含めてよいものとしま ⑶ す。 (タンク高さとの整合性をとってくださ タンク概要 ア い。 ) 内径 全体組立図等を参照してタンクの内径を ⑹ ウインドガーダー段数 上部ウインドガーダー (浮き屋根形式のみ) 記入して下さい。 及び中間ウインドガーダーの段数について、 なお、側板を板厚中央で合わせている場 全体組立図、ウインドガーダー図及びウイン い。 ドガーダーの設計計算書等を参照して記入し イ 合には、側板最下段の内径を記入して下さ て下さい。 タンク高さ 側板の下端からトップアングルの上端又 は側板の上端(側板の上端がトップアング ⑺ 側板板厚、材質等 ア 側板呼び板厚 側板の設計板厚について、側板図等を参 ルの上端より高い場合)までの高さを示し ます。(図 照して記入して下さい。 参照) 全体組立図、側板図等を参照して記入し 側板実板厚(図 参照) 次に示す方法で測定した側板の実板厚を て下さい。 ウ イ 記入して下さい。 基礎高さ 地盤面から側板直下の底板の下端までの高 側板最下段 ࿕ቯደᩮ㜞ߐ ࠻ ࠶ ࡊ ࠕ ࡦ ࠣ࡞ ਛ㑆࠙ࠗࡦ࠼ࠟ࠳ ⸵ น ᶧ 㕙 㜞ߐ ࠲ࡦࠢ㜞ߐ ౝᓘ ᐩ᧼ෘߐ ၮ␆㜞ߐ 図 タンク概要図(CRT の場合) Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 32 㧳㧸 腐食の認められる箇所のほか、側板と 注:側板最下段の測定点は、側板と底板 底板との隅肉溶接側板側止端部から上方 との隅肉溶接側板側止端部から上方へ へ300㎜までの範囲内において水平方向 300㎜までの範囲内であれば鉛直方向 に概ね の位置は問いません。 m の間隔でとった箇所につい ての板厚を測定し、最小値が得られた箇 側板 段目から最上段 所について、 当該箇所を中心に半径300㎜ 各段について、腐食の認められる箇所 の範囲内において概ね30㎜の間隔でとっ のほか、 箇所以上の箇所について測定 た箇所を測定し、当該測定値の平均値を を行い、それぞれの段において最小値の 側板最下段の実板厚とします。 得られた箇所について、当該箇所を中心 なお、外面全周に当板が施されている に半径300㎜の範囲内において概ね30㎜ 場合等には、タンク内面から測定をして の間隔でとった箇所を測定し、当該測定 下さい。 値の平均値を各段の実板厚とします。 ᑫࠅ㓏Ბ ಠ ᷹ቯὐ㧔ቯὐ㧕 ⣣㘩ߩࠄࠇࠆ▎ᚲ ᧼㧟Ბ⋡ Ბ⋡߆ࠄᦨᲑ߹ߢߪ ฦᲑ▎ᚲએࠍቯὐ᷹ቯ ᧼㧞Ბ⋡ ᧼ᦨਅᲑ চએౝ ߨ㨙㑆㓒 ฦᲑߩᦨዊ୯▎ᚲߪ⚦᷹ቯ ฦ Ბߩᦨዊ୯▎ᚲߪ⚦᷹ቯ ࠍታᣉߒߩߘޔᐔဋ୯ࠍታ᧼ ෘߣߔࠆޕ ᧼ᦨਅᲑߩ᷹ቯ▸࿐ ᧼ ߨ চ চ ᧼⋥ਅ ߩᐩ ಠ ቯὐ ⚦ޓޓޓޓ᷹ቯߩ᷹ቯὐ 図 চ એౝ ᧼ 側板実板厚測定箇所の例 33 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 材等の側板全体に附属するものについて は、合計重量を板幅で按分しても差し支 【ポイント】 側板の板厚測定は、タンクを開放していな えありません。 い状態でも外部からの測定が可能であること その他 から、評価時より 年以内の測定データの提 浮き屋根上のローリングラダー、隣接 出をお願いしています。なお、特別な事情に タンクとの歩廊橋等の設備で側板に重量 より測定ができない場合には、事前に所管す が単独でかからないものについては、重 る消防機関に相談して下さい。 量の / が双方に加わることとしても 差し支えありません。 ウ 材質名称 図面等により確認した材質名称を記入し 【ポイント】 附属品重量のとりまとめ方の例は次のとお て下さい。 りです。 【ポイント】 材質名称は図面等に記載の通りとし、例え 側板最下段 ば「SS41」であればそれを「SS400」に書き ノズル 換えないで下さい。 配管 1.1 kN 階段 1.6 kN エ 附属品重量 保温材 12.1 kN 計 46.0 kN 側板の段ごとに側板附属品重量をとりま とめて記入して下さい。 なお、重量は0.1kN 単位として下さい。 ノズル等 安全性評価の対象となるノズル重量は 次のとおりです。 側板 段 配管 1.1 kN 階段 1.6 kN 保温材 12.1 kN 計 14.8 kN 「強め材+ノズルネック+フランジ+ 第一バルブ」 側板 また、マンホール重量は次のとおりで 31.2 kN 段(最上段) ノズル 8.3 kN 配管 1.1 kN 階段 8.1 kN 保温材 8.5 kN トップアングル 5.5 kN 設けている等、附属品の重量が側板と底 点検架台 8.3 kN 板の双方に加わる場合は、重量の 歩廊橋(1/2相当) 1.5 kN す。 「強め材+マンホールネック+フラン ジ+蓋」 なお、タンク内部にドレンヒーターを / が双方に加わることとしても差し支えあ りません。 配管、階段、保温材 各種立ち上がり配管、周り階段、保温 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 34 計 41.3 kN ノズル及び附属品の取付け高さと側板段数 の位置を確認して下さい。 Ბᢙ ᧼ ߮ ᧼ෘ চ ᦨਅ 㒝 ዻ ຠ ㊀ ㊂ M0 の必要はありません。 【ポイント】 固定屋根高さは、屋根の板厚を含めたもの を記入して下さい。 ウ 屋根板板厚 屋根板の設計板厚について、屋根板図を オ 参照して記入して下さい。 降伏点応力、ヤング率、鋼材比重、ポア なお、屋根形状が「FRT」の場合は記載 ソン比 の必要はありません。 アルミニウム又は特注鋼等を使用してい エ る場合以外は、記入の必要はありません。 固定屋根支柱本数 屋根形状が「CRT」又は「IFCR」の場 なお、アルミニウム又は特注鋼等を使用 している場合は、降伏点応力等の記載され 合、 「無し」 、 「 た図書(強度計算書等)を別途提出して下さ 選択して下さい。 オ い。 ⑻ 屋根形状 の場合、最外周の固定屋根支柱が構成する 次に示す屋根形状のうち、該当するもの 円の直径について、屋根骨図等を参照して を選択して下さい。 (表 イ 最外周支柱直径 前記エにて固定屋根支柱本数が「複数」 屋根 ア 本」 、 「複数」のいずれかを 記入して下さい。 (図 参照) カ 固定屋根高さ 通気弁方式 無弁通気管の場合は「大気圧」 、他は「PV トップアングルの上端から固定屋根の頂 バルブ付」を選択して下さい。 部までの高さを記入します。 (図 参照) なお、屋根形状が「FRT」の場合は記載 なお、屋根形状が「FRT」の場合は記載 表 屋根形状 FRT 浮き屋根貯槽 参照) CRT 自己支持形円すい屋根 支持型円すい屋根 DRT IFCR IFDR 自己支持型球面屋根 CRT に浮き蓋を取り付けたもの DRT に浮き蓋を取り付けたもの 35 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 最外周支柱直径 側板 固定屋根支柱 図 最外周支柱直径 場合は 「告示第 の必要はありません。 キ 前記カにて「PV バルブ付」を選択した イ 号適用」 ⑾ さい。 沖縄県に設置されている場合は 「沖縄県」 を選択して下さい。 場合に PV バルブの設定圧力を記入して下 屋根重量 次に示す重量を0.1kN 単位で記入して下 積雪 積雪高さは、理科年表又は対象タンク設置 場所付近における公的機関の観測値の最大高 さとし、積雪荷重は19.6N/㎝/㎡以上としま さい。 ア 屋根形状が「CRT」又は「DRT」の場合 は固定屋根重量のみを記入して下さい。 板重量 す。 ただし、対象タンク毎に積雪高さ・積雪荷 重を決定すると、一の行政区内で隣接するタ 屋根板の重量の総和を記入して下さ い。 ンクの積雪高さ・積雪荷重が著しく異なって 附属品重量 しまう可能性が考えられることから、所管す 屋根マンホール、通気管等のノズル等 る消防機関に積雪高さ及び積雪荷重を決めて の他、保安手摺り、保温材等の屋根板上 いただいております。 に附属する設備の重量の総和を記入して なお、不明な場合には所管する消防機関、 又は当協会タンク審査部にお問い合わせ下さ 下さい。 なお、安全性評価の対象となるノズル 及びマンホールの重量は側板附属品重量 い。 ⑽ 項第 を選択して下さい。 内圧 ⑼ 条の19第 と同様です。 (⑺エ 風荷重 下記に示す以外は「告示第 条の19第 項 第 号適用」を選択して下さい。 ア 対象タンクの設置場所が海岸、河岸、山 上等強風を受けるおそれのある場所である Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 36 を参照) 骨重量 屋根骨の重量の総和を記入して下さ い。 値とします。 【ポイント】 【ポイント】 「CRT」及び「IFCR」の固定屋根支柱は底 側板直下の底板が開放検査時等に部分的に 部附属品重量に積算します。 取替えている場合は、全体平均値ではなく、 (⒁イを参照) 取替え部分とそれ以外の部分に分けて平均値 イ を算出し、その小さい値を採用する必要があ 屋根形状が「FRT」の場合は浮き屋根重 ります。なお、材質が異なる場合には、それ 量のみを記入して下さい。 板重量 ぞれの降伏点応力と実板厚とを勘案して、条 浮き屋根を構成するデッキ板及びポン 件の厳しい方を安全性評価の対象とします。 ツーン(内部のバルクヘッド、補強材の また、下記 重量を含む。 )の重量の総和を記入して ∼ に該当する場合はタン クを開放し測定しなくても差し支えありま 下さい。 せん。 附属品重量 デッキ板及びポンツーンに附属する設 評価時以前15年以内に開放点検の実績 備で、浮き屋根支柱、マンホール、通気 があり、かつ、側板内面より500㎜以内の底 管及びウェザーシール等の重量の総和を 板を円周方向に概ね 記入して下さい。 板厚測定値が存し、その測定値の最大腐 m 以内に測定した 食率により板厚を算出する場合。 なお、ローリングラダーのように浮き屋 根と側板最上段の双方に重量配分される 【ポイント】 ものについては、当該重量の / が双方 次の条件のタンクにおける算出例を参考に に重量配分されることとしても差し支えあ して下さい。 りません。 ウ <条件> 屋根形状が「IFCR」又は「IFDR」の場合 ・設置の完成検査年月:平成 は、前記ア及びイの全ての内容を記入して 板の設計板厚:6.0㎜ 底板材質 ・開放点検年月:平成15年 ⑿ 下さい。 年 月、底 月、開放時の 板厚測定最小値:5.5㎜ 材質名称を記入して下さい。 ・評価年月:平成27年 月 <算出例> 【ポイント】 平成 材質名称は図面等に記載の通りとし、例え 年 月から平成15年 月の10年間で ば「SS41」であればそれを「SS400」に書き 板厚が0.5㎜(=6.0㎜-5.5㎜)減少しているの 換えないで下さい。 で、 年あたりの腐食率は0.05㎜(=0.5㎜/10 年)となります。 ⒀ この腐食率を用いると、平成15年 側板直下の底板 ア 月から 側板直下の底板の実板厚 平成27年 側板内面から500㎜以内の範囲を円周方 ×0.05㎜/年)腐食が進行したと推定できま 向に概ね 月までの12年間で、0.6㎜(=12年 す。 m の間隔で測定した値の平均 37 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) よって、評価時の板厚は、4.9㎜(=5.5㎜ -0.6㎜)とすることができます。 評価時以前 年以内に、タンクの新設 又はタンク底部板の全面取替え工事が行 て、条件の厳しい方を安全性評価の対象とし ます。 注:図面等に SS と記載されている場合は、SS41の降伏 点を採用させていただきます。 われており、その建設時の公称板厚から 日本工業規格に定める板厚の許容差(以 ウ 側板直下の底板の外張り出し 下「板厚公差」という。)の最大値を減じ 図 の長さを記入して下さい て板厚を算出する場合。 ただし、鋼板購入時にマイナス側の板 厚公差をゼロと指定し、その仕様が書類 ᄖᒛ䉍䈚 㪈㪇㪇 等で明らかな場合においては、マイナス 䋨㪤㪠㪥㪎㪌䋩 側の板厚公差を減じる必要はないこと。 ᧼⋥ਅ䈱ᐩ᧼ 【ポイント】 図 ・板厚公差については、購入時のミルシート 等で確認して下さい。 ・タンクの新設又はタンク底部板の全面取替 え工事から 外張り出し 注:底板図等の外張り出し長さの記載が上図の ように示されている場合は、最小値(MIN75) を採用し、外張り出し長さを75㎜として下さ い。 年を超えたタンクについては、 原則として開放して板厚測定を行う必要があ エ ヤング率、降伏点応力、引張応力 ります。 アルミニウム又は特注鋼等を使用してい る場合以外は、記入の必要はありません。 鋼種と油種の組み合わせにおいて腐食 なお、アルミニウム又は特注鋼等を使用 による減肉が想定されず、建設時に公称 している場合は降伏点応力等の記載された 板厚を板厚とする場合。 図書(強度計算書等)を別途提出して下さ ただし、板厚公差の取扱いについては、 前記 イ と同様に扱うこと。 側板直下の底板の材質 ミルシート、図面等により確認した材質 名称を記入して下さい。 い。 ⒁ 底部重量 次に示す重量を0.1kN 単位で記入して下 さい。 ア 底部重量 アニュラ板、底板及び裏当材重量の総和 【ポイント】 を記入して下さい。 ・材質名称は図面等に記載の通りとし、例え ば「SS41」であればそれを「SS400」に書き イ 底部附属品重量 底部に存在し、重量が底部にかかる保護 換えないで下さい。 板、当板、加熱設備及び固定屋根支柱等の ・側板直下の底板の部分取替え等により、側 重量の総和を記入して下さい。 板直下の底板の材質が 以上になる場合は、 それぞれの降伏点応力と実板厚とを勘案し Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 38 【ポイント】 ⒁ウで、デッドストック重量を記入した 「CRT」及び「IFCR」の固定屋根支柱は底 場合、開放時の滑動対策(例:ワイヤーロー 部附属品重量に積算します。 プ等にて締結)が必要ですので、有を選択 ウ デッドストック重量 して下さい。 風荷重に対する滑動の検討において、払 ( )内には対策を記入して下さい。 い出しノズルで払い出しの出来ない危険物 その他の注意事項 (デッドストック)の重量を滑動に対する 抵抗力に算入する場合に記入して下さい。 次のような場合が見受けられる既設の準特定 なお、開放点検時等の空液時の滑動対策が タンクについては、事前に所管する消防機関、 必要とされます。 又は当協会に相談して下さい。 ⑴ 底板に水抜き管を設けている場合 昭和58年 【ポイント】 月29日付け消防危第89号通知で デッドストック重量は、下図のとおり払い は、 「水抜き管を側板に設け、ドレンピットを 出しノズルの高さ(底板内面からノズル下部 撤去するよう改善することが望ましい。」と まで距離)から容積を求めて算出します。 書かれています。 ⑵ 底板内部で側板に近い箇所 (側板から600㎜ 未満)に当板や、はめ板がある場合 平成 ᛄ䈇䈚 䊉䉵䊦 ᛄ䈇䈚䊉䉵䊦䈱㜞䈘 別添 年 月 日付け消防危第73号通知の の補修基準では、このような補修は認 められていません。また、既設のタンクに見 䊂䉾䊄䉴䊃䉾䉪 䈱ኈ㊂ 受けられる場合においては、「機会をとらえ ᐩ᧼ その改修について指導すること。」と書かれ ています。なお、この通知は容量1,000kl 以 ⒂ 上の特定屋外タンク貯蔵所についてのもので 滑動又は転倒防止措置 ア 静止摩擦係数 すが、平成11年 タンク底部と基礎表面間における静止摩 知により、準特定タンクにも適用することと されています。 擦係数を記入して下さい。 ⑶ なお、基礎表面の材質等を勘案し最大 滑動防止措置 補修をせずに当板補修をしたなど)がある場 地震動による滑動又は風圧による滑動に 合 前記⑵と同様に現在は認められていない補 対して有効な滑動防止措置(アンカーボル 修方法です。 ト等)の有無を選択して下さい。 ウ 側板に強度メンバーとしての当板 (例えば、 腐食により板厚が3.2㎜を下回ったが、肉盛 0.7までとします。 イ 月15日付け消防危第58号通 転倒防止措置 おわりに 地震動による転倒又は風圧による転倒に 平成29年 対して有効な転倒防止措置(アンカーボル りわずか ト等)の有無を選択して下さい。 エ 月31日の新基準適合期限まで、残 年余りとなりました。 今後、既設の準特定タンクの新基準適合化を 開放点検時等の空液時の滑動対策 39 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 予定される事業所の皆様におかれましては、当 協会の技術援助をご活用いただきたいと考えて 本稿が、当該業務に携わる皆様の一助となれ ば幸いです。 います。手続き等については、当協会のホーム ページに掲載しています技術援助実施規程 (http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/ 危険物保安技術協会 タンク審査部 TEL 03-3436-2355 / FAX 03-3436-2252 tech_support/04-1.pdf)及び実施細則(http: //www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/tech_ 【参考文献】 support/02-1.pdf)をご参照下さい。また、タ )危険物保安技術協会編著:屋外タンク貯蔵 ンク本体の新基準適合評価に関して不明な点が 所の技術基準解説−準特定屋外タンク貯蔵所 ございましたら、下記までお問い合わせいただ の技術基準詳解−,東京法令出版,2001. きますようお願いします。 )危険物保安技術協会著:屋外タンク貯蔵所 関係法令通知・通達集,東京法令出版 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 40 Ḱ․ቯደᄖ⾂⬿࠲ࡦࠢ⻉ర ⚕ ᬺ ᚲ ฬ ࠲ࡦࠢ⇟ภ 㧝 ⋚╬ᱜଥᢙ ⋚ ߩ ⒳ 㘃 㧞 ╙ ╙㧠⒳⋚ߩߺ ᧮ၮ␆ޔ ၞᱜଥᢙ 㘃 㨯 ຠ ฬ 㨯 ൻ ቇฬ ߘߩઁ ⸵ ㊂ MN ⸵ น ᶧ 㕙 㜞 ߐ 㨙 ታ 㧟 ᶧ ࠲ࡦࠢⷐ ౝ ౝኈᶧ ⒳⋚ น ኈ ᶧ ⸘ Ყ ▚ ㊀ Ყ ㊀ ᦨ 㜞 ↪ ᷷ ᐲ ͠ ᓘ 㨙 ࠲ ࡦ ࠢ 㜞 ߐ 㨙 㧠 ၮ 㨙 㩎㨹 㩖㩩㨻㩧㩂㩨㩣 OO 㩎㨹㩖㩩㨻㩧㩂㩨㩣㜞ߐ OO 㩎㨹㩖㩩㨻㩧㩂㩨㩣ෘߐ OO 㧡 ␆ 㜞 ߐ ᧼᧼ ᧼ 㨙 ᦨਅᲑ߆ࠄ Ბㄥ ᧼ 㨙 Ბ߆ࠄ Ბㄥ ࠻࠶ࡊࠕࡦࠣ࡞ ᧼ 㨙 Ბ߆ࠄ Ბㄥ 㧢 ᧼ 㨙 Ბ߆ࠄ Ბㄥ ㇱ࠙ࠗࡦ࠼ࠟ㧙࠲㧙 ࠙ࠗࡦ࠼ࠟ㧙࠲㧙Ბᢙ Ბ ᧼ 㨙 Ბ߆ࠄ Ბㄥ ਛ㑆࠙ࠗࡦ࠼ࠟ㧙࠲㧙 Ბ ේೣ⸥ਇⷐ 㧣 ᧼᧼ෘ╬⾰᧚ޔ ᧼ ᧼ ઃዻຠ 㒠ફὐ ࡗࡦࠣ₸ ㍑᧚ 㩘㩩㨻㩉㩧 Ბᢙ ߮᧼ෘ ታ᧼ෘ ᧚⾰ฬ⒓ ㊀㊂ ᔕജ Ყ㊀ Ყ OO OO M0 0㧛OO 0㧛OO ᦨਅ 㧞 㧟 㧠 㧡 㧢 㧣 㧤 㧥 㧝㧜 㧝㧝 㧝㧞 㧝㧟 㧝㧠 㧝㧡 㧝㧢 41 Safety & Tomorrow No.160 (2015.3) 㧤 ደᩮ ደ ᩮ 㧥 ᒻ ⁁ (46%46&46+(%4+(&4 ࿕ ቯ ደ ᩮ 㜞 ߐ 㨙 ደ ᩮ ᧼ ᧼ ෘ OO ደ ᩮ ᡰ ᩇ ᧄ ᢙ ήߒ ޔ㧝ᧄⶄ ޔᢙ ᦨᄖᡰᩇ⋥ᓘ 㔐 㜞 ߐ 㨏㨙 Ⓧ 㔐 ⩄ ㊀ 0EO㨙 㧝㧜 ޓ㘑⩄㊀ ๔␜╙㧠᧦ߩ╙㧝㗄╙㧝ภㆡ↪ 㨙 ㅢ ᳇ ᑯ ᣇ ᑼ ᄢ᳇ ޔ28ࡃ࡞ࡉઃ ౝ Ⓧ㔐 Ⓧ 㘑ޓ⩄ޓ㊀ ๔␜╙㧠᧦ߩ╙㧝㗄╙㧞ภㆡ↪ ᴒ✽⋵ M2C 㧝㧝 ደᩮ㊀㊂ ᧼㊀㊂ ઃዻຠ㊀㊂ ࿕ ቯ ደ ᩮ ㊀ ㊂ M0 M0 ᶋ ߈ ደ ᩮ ㊀ ㊂ M0 M0 㧝㧞 ᐩ᧼᧚⾰ ᐩ ᧼ ᧚ 㛽㊀㊂ M0 㧝㧟 ᧼⋥ਅߩᐩ᧼ ⾰ OO ᧼⋥ਅߩᐩ᧼ߩታ᧼ෘ ᧼⋥ਅߩᐩ᧼ߩ᧚⾰ 㧝㧠 ᐩㇱ㊀㊂ ᐩ ㇱ ㊀ ᧼⋥ਅߩᐩ᧼ߩᄖᒛࠅߒ ㊂ M0 ࡗ ᐩ ㇱ ઃ ዻ ຠ ㊀ ㊂ M0 㒠 M0 ᒁ ࠺࠶࠼ࠬ࠻࠶ࠢ㊀㊂ ࡦ ફ ේೣ⸥ਇⷐ 㧝㧡 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