第2部 第 11 章 生体特有ノイズも 50/60Hz 交流ノイズも 筋電信号用 ディジタル・フィルタ 長嶋 洋一 電圧→ レベル変動なし 経過時間[s] 0 38 (a)ノッチ・フィルタあり ノイズ混入 電圧→ 信号レベルが押し 上げられている 経過時間[s] 0 38 (b)ノッチ・フィルタなし 図 1 50/60Hz 交流ノイズ用ノッチ・フィルタの効果 数μV と小さい筋電を測定する場合には,測定した い信号よりも 50Hz/60Hz の商用電源ノイズが大きく なることあります.例えば 10 〜 100 倍と大きく観測 されます.これを取り除くために,ノッチ・フィルタ を利用します(図 1).ノッチ・フィルタは,レゾナン ス(共鳴)・フィルタの逆特性をもち,急峻なカーブ で「谷底」を作って,特定の周波数成分だけをカット するものです. また,身体が動くことで電極が身体からずれたり, 電極が急に外れたりする「アーティファクト」が起き ることがあります.アーティファクトによるノイズ は,カットオフ周波数 50Hz ていどのハイパス・フィ ルタで変動成分をカットしたり,信号レンジを監視し て,しきい値より大きい / 小さい周波数成分をカット したりする方法を使います. 本章では,筋電信号のノイズをノッチ・フィルタで 除去してみます.図 2 のように実験します. 実験準備 ノッチ・フィルタやアーティファクト・ノイズ対策 の結果を見るために,筋電信号取得プログラムを 1 チャネル入力から 2 チャネル入力に改造します.2 チャ ネルのうち片方をそのままの信号で出力し,もう片方 はフィルタ処理後の信号を出力するようにしました. ● パソコン側ソフトの改造 2 チャネル入力に対応させるとともに,検波,フィ ルタ処理部を変更しました.常に検波 ON に変更し, FIR フィルタによるローパス・フィルタを ON/OFF できるようにしました.移動平均フィルタの段数を 0 段〜 100 段まで設定できるようにしました. ● マイコン側プログラムの改造 Nucleo F401RE からホスト・パソコンに対して 2 チ ャ ネ ル の A-D コ ン バ ー タ 入 力 の そ れ ぞ れ を, 約 15ms ご と に 返 す よ う に し ま し た. リ ス ト 1 が そ の 2015 年 4 月号 97
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