平和不動産リート投資法人

14-D-0883
2015 年 2 月 5 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
平和不動産リート投資法人
【変更】
長期発行体格付
格付の見通し
(証券コード:8966)
A−
安定的
→
A
■格付事由
(1) 02 年 1 月に設立され、05 年 3 月に東京証券取引所(不動産投資信託証券市場)に上場した J-REIT。主と
して東京都区部を中心とするエリアに存するオフィス及びレジデンスへの集中投資を、ポートフォリオの
構築戦略としている。資産運用会社(AM)のスポンサーは平和不動産。現行ポートフォリオはオフィス
31 物件、レジデンス 61 物件、ホテル 4 物件の計 96 物件で構成され、取得価格総額で約 1,567 億円の資
産規模となっている。オフィスの構成比率が取得価格ベースで 13/11 期末の 38.2%から足元では 44.5%
へと上昇しており、当面この方向性を継続する方針である。
(2) 本投資法人は 12 年 12 月以降 3 年連続で PO を実施し、スポンサーサポートの活用を軸とする外部成長に
継続的に取り組んできた。一定の収益力を有する物件の新規取得を通じ資産規模が拡大していることに加
え、足元の NOI 利回りは 4.94%と上昇傾向にあることから、ポートフォリオのキャッシュフロー創出力
は強化されているものと JCR では考えている。12/11 期末以降 96%超の稼働率の維持、概ね安定した賃
料推移などの実績を踏まえると、堅実な賃貸事業運営が引き続きキャッシュフローの安定性を下支えして
いくと想定される。財務面では有利子負債について 13 年 12 月に無担保化が実現したとともに、借入期間
の長期化、返済期限の分散化、金利固定化等が進められている。また、主に直近のキャップレートの低下
に伴う鑑定評価額の上昇や減価償却の進展によって、ポートフォリオの含み損が 14/11 期末に解消し、約
13 億円の含み益に転じた。さらに、資産総額ベースの簿価 LTV は 13/11 期末の 44.4%から 14/11 期末で
は 43.8%へと緩やかながらも低下傾向を示しており、財務の柔軟性や安定性は高まっているものとみて
いる。以上から格付を 1 ノッチ引き上げ、見通しは安定的とした。
(3) オフィス及びレジデンスの売買市場において厳しい取得環境が続いているとみられる中、本投資法人では
スポンサーとのパイプライン強化、取得手法及び情報チャネルの多様化を進めつつ、資産の入れ替えも含
め、相対取引での新規物件取得を継続する方針である。引き続き、ブリッジファンドやウェアハウジング
等のスポンサーサポートや、PM、BM 業務等におけるスポンサーグループのバリューチェーンの活用、
AM と PM の協働などを通じた外部成長及び内部成長に伴うポートフォリオ強化の動向をフォローしてい
く。なお、ポートフォリオには築後 20 年超の一般的には経年物件とみなされるものも散見されることか
ら、今後のポートフォリオのキャッシュフロー創出力の維持または向上に関し、特に保有物件の経年対応
に注目している。
(4) デット・ファイナンスでは新規取引先の招聘も含め、メガバンクを中心としたレンダーフォーメーション
の再編・構築を継続している。計 60 億円のコミットメントラインの設定による機動性の確保も併せ、足
元で資金調達面に関し特段の懸念はみられない。10 年 10 月のジャパン・シングルレジデンス投資法人と
の合併時における負ののれん発生益の残高は足元で約 30 億円あり、配当政策を含め資産運用の自由度を
確保するサポートの一つになりうるとみている。低下方向にはあるものの金融コストの一段の低減、適切
なレバレッジコントロールの継続などが財務の安定性向上に向けたポイントになるものとみており、今後
も AM の取り組み状況に注目していく。
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http://www.jcr.co.jp
【主な新規取得物件の概要】
台和上野ビル
東京メトロ日比谷線「仲御徒町」駅徒歩約 3 分に所在する、90 年 2 月に竣工した鉄骨鉄筋コンクリート
造地下 1 階付地上 10 階建の店舗付事務所ビル。
「仲御徒町」駅のほか、同駅と地下通路で連絡してい
る同銀座線「上野広小路」駅や都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅等も徒歩圏内にあり、都内各
所からのアクセスは良好である。周辺地域には中高層の店舗、事務所等が建ち並んでおり、業務エリ
アのほか商業エリアの色彩も強く、用途が混在している。約 134 坪の整形空間を確保している基準
階貸室の規模、個別空調などの建物スペックや設備仕様等は標準的。経年相応の損耗はみられるものの、
維持管理の状態は概ね良好である。14 年 9 月 30 日時点の稼働率は 100%であるが、7 階(441.87 ㎡)
が 15 年 3 月末日に解約予定で、退去後の稼働率は 89.38%となる見込み。なお、本物件はスポンサー
が匿名組合出資を行っているブリッジファンドから取得したものである。
取得日:14 年 12 月 4 日
取得価格:3,400 百万円
鑑定評価額:3,660 百万円(14 年 9 月末時点)
(担当)杉山 成夫・松田
■格付対象
発行体:平和不動産リート投資法人
【変更】
対象
長期発行体格付
格付
見通し
A
安定的
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http://www.jcr.co.jp
信康
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 2 月 2 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本
主任格付アナリスト:杉山 成夫
幸一
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法(格付方法)の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)のストラク
チャード・ファイナンス「格付の方法」のページに、
「J-REIT」(2014 年 6 月 2 日)の信用格付の方法として掲載し
ている。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等)
平和不動産リート投資法人
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
いずれかの格付関係者による表明保証もしくは対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当該方針が
求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部
TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026
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http://www.jcr.co.jp