農産加工機械学(6) ー穀粒の選別ー キーワード:ふるい分け,はめあい,重量,気流,摩擦,遠心,長さ,幅,厚さ, 比重,摩擦係数,色,磁力特性 農学研究科 地域環境科学専攻 農産加工学分野 近藤 直 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 1. 選別の目的 1. 脱ぷや精白の行程中の必要作業 2. 品質,商品価値の向上 3. 食味,貯蔵性の向上 P47, 68 2. 選別性能の評価 1)回収率( Recovery ratio) ηa=A'/A ηb=B'/B 2) 残存率(Remaining ratio:Bの中にAが残存) ηra=1- B'/B ηrb=1- A'/A 3) ニュートン効率(Newton's efficiency) (ηn) 回収率の向上→ 残存率の増加(不要物の増加) 高品質(不要物が少ない,低 ηra) → 回収量(製品)が少ない. ニュートン効率は両者の観点を含む. (実際の分離装置が理想的分離を達成する割合) ηn= ηa+ ηb-1, or ηn= ηa- ηra,or ηn= ηb- ηrb 選別の目的を考慮して: ηa→高く (多くの回収,低品質) ηra→ 低く,またはゼロ (少量,高品質) KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 4) 部分分級効率曲線 農産物のサイズや質量は連続的に分布する.各値毎の回収率を繋ぐ. P70 KYOTO UNIVERSITY 京都大学 玄米の選別区分 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 3. 選別要素 異なる特性を見つけて何度かに分けて選別。例えば,長さ,幅,厚さ, 比重,摩擦係数,色,磁力特性等を組み合わせることも考慮。 4. 気流選別機 1)アスピレータ(aspirator):米・小麦・とうもろこし・大豆などの穀物、 パスタなどの乾燥食材 形状,表面状態 → 通風抵抗の差 比重,終端速度の差により選別(毛髪・糸くず・紙片・粉塵・砂 など,光選別機や石抜機、篩い分け選別機などで除去困難な 異物を選別) p55 アスピレータ 光選別機と組合わせて使用すると、 より効率的で確実な選別が可能 粉粒体分離用アスピレータ http://www.satake-japan.co.jp/ja/products/ricemill/sla.html http://www.sankojapan.co.jp/products/funryu/bunkyu/wind/index.html KYOTO 京都大学 UNIVERSITY p54 2) 唐み(箕) (Winnower) 整粒から籾殻,未熟粒,ほこり等を除く. 単独使用,籾すり機の行程中使用. 現在でも,単独で種籾などの選別に 使用 5. 穀粒の大きさによる選別 1) シックネスグレーダ(Thickness grader): ふるい分け選別 (1) 厚さによる選別 スリット幅による分級.構造,原理は単純. 籾すり後,薄い粒(未熟粒)を除去する.米 選機. 粒の厚さと食味の相関は高い. 原料白米を整粒、大砕米、小砕米、米糠、糠 玉の5種類※(整粒、大砕米、小砕米+糠、糠 玉の4種類) http://www.satake-japan.co.jp/ja/products/ricemill/st.html http://www.econmw.co.jp/senbetsu_rs.asp 唐箕(風選装置) ロータリーシフタ KYOTO 京都大学 UNIVERSITY (2)回転米選機 厚さ分布測定の基準 (JSAM:農業機械学会) ある厚さ(例えば1.8mm)以上の割合を求めるためにテスターが用いられる. .供給量 : 100 g .シリンダ回転数 : 67 rpm .時間 : 10 s .スリット幅の均一性: 標準偏差が 0.03 mm以下 p50 (3) 万石 直径0.45~0.65mmの銅線によって作成された 万石網を25~40°に傾け,籾と玄米に分ける。 動力籾すり機に使われている。 万石 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 6.はめあい選別機 インデントシリンダ( Indent cylinder separator) (1) 長さによる選別 完全粒と砕粒の選別(精選機) 籾と玄米の分離, 籾と小麦の分離 (2) 選別要素 偏析現象(Segregation phenomenon)が重要な役割を果たす。 ①インデント(窪み)サイズを粒の長さと適切に関連させる必要がある。 ②シリンダの回転速度(遠心力との関係) ③受けホッパの角度 上記3つの要素を適当に組み合わせる。 (3) 砕米率の測定 (JSAM) 測定基準が決められている(JSAM)。 .インデントの形状、大きさ: Us3.5 .粒供給量: 100 g .回転速度: 26 rpm .受けホッパの角度:20° KYOTO p53 京都大学 UNIVERSITY 7. 揺動選別機(Shaking separator) 大きさ,比重,摩擦の差による偏析現象を利用。 石抜き機、籾すり時の混合米選別に利用 選別板の勾配 粒の流れの方向および選別方向 P52,57 8. 摩擦選別機 ベルト選別機(Belt Separator) 9. 粗選機(Pre-cleaner) 大型乾燥施設で使用。 荷受け直後(計量前)に不要物(挟雑物、ゴミ、稲 わら等)を除去。 (その後の処理、流れを円滑に進めるための機械) 作用原理 スカルパ(回転篩) :大きな不要物の除去。 アスピレータ(気流式):ほこり、軽い(未熟)粒 揺動選別板 :中間的な不要物 揺動選別機 http://www.afftis.or.jp/nouki/ki3b6f.htm KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 10. 色彩選別機 商品価値の向上。PL法。製造者責任。 白米袋詰め前:籾粒、玄米、着色粒、異種穀粒、石、ガラス片等の除去。 一粒ずつを高速で選別。反射および透過量を検出。 不純物の混合率が高いほど選別能率が低下する。二次選別の増加。 不純物残存率を限りなくゼロに近づける可能性がある。 佐竹覚:米の分光選別機の開発と設計,農業機械学会選書8,農業機械学会,2001 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 佐竹覚:米の分光選別機の開発と設計,農業機械学会選書8,農業機械学会,2001 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 佐竹覚:米の分光選別機の開発と設計,農業機械学会選書8,農業機械学会,2001 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 農業・食品加工業用 穀物(米、大豆等)色彩選別機 http://www.yamamoto-clx.jp/ 1.原料投入 2.振動フィーダで流量を調節しながら搬送 3.整列ローラで原料を整列し検出部へ落とす 4.検出部では原料を蛍光灯で照らし 5.2台のCCDラインカメラで原料を検査 6.良品粒は出口へ,不良品粒はエジェクタで除去 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 色彩選別機 (対象粒) 玄米 白米 大豆など (目的) 着色粒(虫害粒) 胴割れ粒 乳白粒 異物(ガラスなど) http://www.yanmar.co.jp/products/agri/plant/agri_pro/se nbetsu_f.htm KYOTO 京都大学 UNIVERSITY 佐竹覚:米の分光選別機の開発と設計,農業機械学会選書8,農業機械学会,2001 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY レポート(A4サイズの用紙に記入) 穀粒選別機の種類とその原理を説明しな がらまとめなさい。 KYOTO 京都大学 UNIVERSITY
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