平成 26 年(2014 年)の HITS10 大ニュース 公益財団法人日立地区産業支援センター 1 人材確保、定着支援 昨年に引き続き、株式会社ひたちなかテクノセンタ ーとの共同事業として、 「地域中小企業の人材確保・定 着支援事業」を実施しました。2年目を迎えた今年も、 茨城大学、茨城キリスト教大学を始め、地域の大学や 専門学校の学生が、実際に会社や経営者と接すること で地元の中小企業の魅力に触れることのできるイベン トを数多く実施しました。 また、今年は学生にとっては就職事情が改善してい るといわれ、それだけに地元の中小企業の側は例年以 上に採用難であり、厳しい状況が続いています。そうした中で、就職面接会を7月と11月の2度 実施、さらに首都圏に進学した学生を対象とした企業交流会など、新しい取り組みにもチャレンジ しています。 STEP1:中小企業の魅力発信・学生に対する動機づけ ・企業見学ツアー、社長のかばん持ち研修、インターンシップ、ひたちものづくりフォーラム (パネルディスカッション)など STEP2:学生と地域中小企業をつなげるマッチング ・就職面接会、学生向け会社説明会、首都圏合 同企業交流会など STEP3:就職した若手従業員の定着に向けた取り 組み ・ものづくり基礎理論講座、基礎技術研修など 2 人材育成事業の強化 こう ば りょく (1) 工場 力 革新チーム(FaIT)塾 今年で4年目となる「工場力革新チーム(FaIT)塾」 に6社24名が参加し、6月から11月までの半年間 にわたり活動しました。経営者、監督者、担当者で構 成したチームが改善を学び・実践し、会社を成長する 組織へと導くために行う人材育成と競争力強化を図 る塾です。主な内容は IE 手法等を “聴いて”学び、 優良企業の見学会等で“観て”学ぶ、そして個々の企 業においては改善を“実践する”という現場の実務、 改善手法に重点を置いた研修となっています。各チ- ムとも12月2日に活動内容及びその成果を発表し、今年の FaIT 塾が無事終了しました。 1 (2) 8年目を迎えた「ひたち立志塾」の活動 平成19年度に関満博明星大学教授を塾頭に迎え、10名の塾生とともに始まった「ひたち立志 塾」は、今年、新たに7名の塾生を迎え、第8期の活動をスタートしました。 全塾生55名が7つの分科会に分かれ、分科会毎に 月1回の会合と年数回の全体会のほか、日常的に自発 的な活動を行っています。各分科会の活動テーマは、 新規塾生を対象に経営者としての人格を考える「人間 力向上委員会」や、あらたなビジネスを創造する「立 志ビジネスジャーナル」、企業の継続的発展の手法を 検討する「先乃先」、「最強の No.2」、「先端技術研 究会」、「明るい黒字経営」、「穴プロジェクト」があ り、塾活動を通し、塾生相互が「志」を高め合ってい ます。また、今年は新たに3名の塾生が、企業の代表 や専務等に就任するなど事業継承を行い、経営者として新たな一歩を踏み出しました。 3 技能検定受験講座 合格率100%達成!! 普通旋盤やフライス盤などの国家検定合格支援のため、受験対策講座として学科講習を行って います。普通旋盤の実技講習は茨城県立日立産業技術専門学院と共催で実施しています。 今年は、普通旋盤1級・2級、フライス盤2級の3科目に7名(7社)が受講しました。それ ぞれの科目で3時間×5日間の講習を行い、主に過去に出題された問題を使った試験形式で実施 し、その解説を行いました。 今年の合格率は100%(昨年は6科目14名(12社)が受験し13名合格93%、一昨年は 79%)でした。講習日程を昨年から多くしたことなども幸いして良い結果を残すことができま した。来年もできる限り要望にお応えして全員合格を目指し実施したいと考えています。 4 受注活動支援(受発注情報の公開) HITS が入手する首都圏などからの受発注情報を関係企業へ広く提供してほしいとの要望にお応 えすべく昨年7月から、“広く公募したほうが有効で、かつ情報公開を了解された受発注案件に ついての Web メールを活用した情報提供”をしております。先方からの見積り期限が短いことか らメールを活用することで短時間に多くの企業に提供することができます。平均2~4件/月の 情報を8組合78企業に一斉に提供していますが、短納期、高技術、低コスト案件が多いためか 成果に結びつけるには厳しい状況です。今後とも受注につながるよう引き続き努力したいと考え ています。積極的な活用を期待するとともに、さらに、多くの企業の受注拡大につながることを 望んでやみません。 5 海外販路開拓支援 (1) 台北産業自動化展 8月27日~30日の日程で、台湾・台北市で開催 された「台北産業自動化展2014」に5社が出展し ました。また、台湾企業2社に対して参加企業による プレゼンテーションを実施し、技術や製品の紹介も行 いました。来場者は地元の企業を始め、欧米企業や韓 国企業などで、約72,000名に上りました。 2 昨年は新規受注を獲得することはできませんでしたが、今年は旋盤加工品の試作品について、 新規受注を獲得することができました。精密な日本製品として高評価を得ているということもあ り、この受注を契機に今後の展開を期待しております。その他、引き合い案件が多数ありました が、現在も継続して受注につなげるための売込みを行っています。 (2) ドイツ商談事業 11月12日~15日の日程で、ドイツ・デュッセ ルドルフで開催された世界最大の医療機器関連の展示 会「MEDICA/COMPAMED(国際医療機器展/国際 医療機器技術展・部品展)2014」に参加し、地域企 業(8社)とともに商談会を実施しました。 HITS で は 、 昨 年 ま で 3 年 連 続 で MEDICA / COMPAMED に出展してきましたが、今年はひたちな かテクノセンターが共同出展(6社)を行いしました。 これまで続けてきたサムライキャラ(写真参照)のコ ンセプトも定着し、多くの来訪者と中身の濃い商談を持つことができました。今回の展示会では特 に「国際医療機器技術・部品展」である COMPAMED への日本企業の出展が昨年に比べ急増して おり、日本のモノづくり企業が、欧州の医療機器分野に注目していることが窺えます。 (3) RIT 事業(事前調査事業) ジェトロ(日本貿易振興機構)が実施するRIT(地域間交流支援)事業の事前調査事業に採択さ れました。RIT事業は、国内の中小企業がグループ単位で海外地域との間でビジネス交流を進め、 商談することを支援する事業で、商談の結果、輸出や技術提携、共同製品開発等が行われ、ひい ては地域産業の活性化に資することを目的にしています。 今年は、県北臨海地域及び県内近隣地域の企業20社が参加し、相手先のドイツの産業クラス ター(企業群)の選定を行いました。来年は、RIT本体事業の採択を目指し、採択後、ドイツへの 商談ミッション団派遣やドイツからの有力企業招へいなどのビジネス交流を行う予定です。 6 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)2 件を継続 昨年、平成22年度以来3年ぶりにサポインの採択を受け、今年も引き続き、関プレスと大貫工 業所の2件を継続して進めております。関プレスのテーマは「割裂及び加締加工技術による順送加 工プレス一体化の研究開発」 、大貫工業所のテーマは「高圧センサ用高感度金属ダイアフラム型導 圧管の開発」となっています。いずれも独自の新しい技術開発により顧客ニーズに結び付くもので すが、茨城県工業技術センターや茨城大学との共同体で研究開発事業を進め、高い技術課題の克服 に取り組んでいます。HITS としても全力を挙げて事業化への支援を行ってまいります。 3 7 国際化を考えるタイ・ミッション団派遣 HITS の小川理事長を団長とする総勢12名のタ イ・ミッション団を、11月17日~21日の日程で 派遣しました。初日の到着からタイ名物の交通渋滞に 遭遇したため、翌日からの企業訪問に一抹の不安があ りましたが、予定どおり自動車関連の地元大手企業等 の訪問を行うことができました。先の洪水で被害を受 けた企業の従業員総出での復興への努力や海外進出 の留意点を伺うことができ、海外事業を運営する際の 参考になりました。また、自動車関連企業への参入へ向けての取り組み方についての情報が得られ ました。 最終日はバンコクで開催されている、東南アジア最大の展示会「METALEX 2014」を見学す るとともに、2社を企業訪問し深夜便での帰国となるなど、ハードな日程でしたが、全員無事、帰 国しました。 8 創業支援ネットワーク始動 平成15年に開設した「マイクロ・クリエイション・オフィス(MCO)」は、地域の新規創業を 支援するために、創業準備デスク4ブースとメインオフィス8室の良好なオフィス環境を提供して います。これまで施設を利用したのは約50社、うち12社が法人化して事業を営んでいます。今 年は MCO に2社、創業準備デスクに2名が新た に入居し、現在満室の状態となっています。 また、創業希望者や創業間もない方(創業後5 年未満)を対象として、日立市内にある4つの中 小企業支援機関(日立市、日立商工会議所、日本 政策金融公庫日立支店、日立地区産業支援センタ ー)が連携し、創業希望者のニーズに応じたワン ストップサポートを継続的に行うため、「日立創 業支援ネットワーク」を新たに始動しました。 各支援機関による窓口相談のワンストップ化 に加えて、各種セミナー等についても協同で実施するなど、今後も地域における創業支援体制の更 なる強化を図ってまいります。 9 筑波銀行と協定締結 10月1日、地域産業の活性化を目的に、筑波銀行との間で「地域産業の活性化に関する協定」を 締結しました。大企業が所有する特許などの知的財産を活用し、中小企業の新製品開発を推進するほ か、筑波銀行がこれまで培ってきた幅広いネットワークや販路拡大のためのノウハウと HITS が有す るものづくり企業を支援してきた経験を連携すること によって、中小企業を支援する体制を強化しました。 また、10月28日、富士通のビジネス開発部長をお 招きして、 「他社知財を活用した中小企業の新規ビジネ ス創出セミナー」を開催し、122名の参加者がありま した。特許の活用で最も重要なことは、出口戦略、すな わち、どのような製品を目指すかを考えておくことで す。千三つという言葉がありますが、製品開発は大変難 4 しく、顧客が求めるものを作らなければ意味がありません。製品開発は四輪駆動車に例えられます。 前輪は特許を所有する大手企業と許諾を受ける中小企業、後輪は自治体・金融機関と産業支援団体の コーディネーターで、後押し役です。出口戦略の一つとして、学生からのアイデアをもとに、川崎市 の中小企業が開発したフレグランスカードがあります。名刺の大きさのカードに内蔵したチップに香 水をしみこませ、名刺入れに入れておくと名刺が芳香するものです。各地で知財活用のモデル、川崎 モデル、埼玉モデル、札幌モデルが生まれています。ぜひ日立地区の企業が特許を活用したビジネス創 出に取り組んでほしいと考えております。富士通は10万件の特許を有しており、特に、汎用性が高い1 0の技術について、詳しくお話をいただきました。 10 HITS が認定支援機関としてスタート 5月9日付けで中小企業経営力強化支援法によります「経営革新等支援機関」として認定を受け ました。この制度は、中小企業が安心して経営相談などが受けられるように、専門的知識や実務経験 が一定レベル以上の支援機関等に対して国が認定するものです。HITS としても、この度の認定を契 機として、さらに、地域中小企業の皆様のニーズを捉え、様々な産業支援を展開してまいりたいと考 えております。 関係各位におかれましては、これまで以上に私どもに対しまして御指導、御鞭撻をお願い申し上 げます。 【人事往来】 1 異動 宮内事務局長が企画部から(H26.4.1) 2 採用 鵜川コーディネーター(H26.7.1) 、笹谷受発注コーディネーター(H26.7.15) 3 退職 助川事務局長(H26.3.31) 、守田受発注コーディネーター(H26.12.31) 5
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