構造用材料の環境強度向上のための金属ナノ粒子 摺り込み方法の確立とその評価(その2) 富山大学 大学院理工学研究部(工学) 教授 小熊 規泰 背 景 実 験 ・白色組織を伴う軸受,歯車の早期はく離発生の対策ニーズ ①金属ナノ粒子の水素吸蔵評価 ・原因は極圧分離水素の侵入による水素脆化説が有力 ・各種ナノ粒子のTDS分析 ・潤滑剤の改良,材料対策実施するも運転条件変更で再発 ②金属ナノ粒子のグリースへの分散評価 ・別手法として水素吸蔵金属ナノ粒子の活用を検討 1)分散グリースの作製 ・凝集の抑制 ・分散方法 ・分散量 2)分散状態観察 これまでの知見と目標 ・低真空SEM ・FE-SEM ・マイクロスコープ ③金属ナノ粒子の摺込み試験(スギノマシン殿) 1)TiCナノ粒子が水素を吸蔵 ・線接触ロール加工(5,10mass%VC分散グリース) ⇒他の元素の評価 ・加工荷重2kN,送り速度2m/min,パス回数10~100回 2)界面活性剤による凝集抑制では分散限界量は1% ④金属ナノ粒子分散グリースの転動試験(不二越殿) ⇒大量分散方法の検討 ・軸力2.5kN,回転速度5000rpm,外輪駆動 3)1%分散グリースを用いた200パス加工でも摺込みNG ・使用グリース:1mass%TiC,1~3mass%VC ⇒大量分散グリースでの再試験 ・打切り時間200h ⇒摺込みOK品での実用実験(転動試験) 実験結果 15 14.932 14.932 14.932 14.932 before after 12 水素圧力 , Pa ①炭化物系ナノ粒子に水素吸蔵傾向有り(右上図) 特に非化学量論組成のVCが顕著に吸蔵 ②1)アルコール,水,溶媒無しで流動性に差異無し 手動攪拌で10mass%まで分散可能 2)低真空SEM,FE-SEMではグリース流動のため観察不可 ディジタルマイクロスコープで観察可能(左下図) ③5mass%VC-10回パスで転走痕にVの付着を確認(下図&右下図) ④6mass%VCで剥離損傷発生 3mass%VCで打切り時間クリア 9 7.333 7.733 8.266 6.666 容器平衡圧力 7.466 6 3 0 TiC 3種混合 Cr 2 O3 , Al 2 O3 , MgO 5種混合 VC Al 2 Y3O12 , Ti 2 CN, ZrO2 , Al 2 MgO4 , ZrY2 O5 低倍率 高倍率 面分析 5mass%VC-10回 5mass%VC-100回 10mass%VC-10回 10mass%VC-50回 まとめ・今後の展望 1.水素吸蔵特性は炭化物系ナノ粒子(特に非化学量論組成)が有効 2.溶媒無しの手動攪拌で10mass%程度の分散が可能であり,分散状態観察はディジタルマイクロスコープで可能 3.5mass%分散グリース10回パスでもナノ粒子の摺込み可能 4.3mass%分散グリースで転動試験をクリア(グリース中の水素分析が課題⇒継続取組み中) 【地域社会や産業界での応用分野・活用方法 等】 軸受・歯車の白層はく離対策 高圧水素機器,燃料電池等の水素環境使用部品の耐水素脆化対策 連絡先 富山大学リエゾンオフィス・TLO TEL:076-445-6392 FAX:076-445-6939 Email:[email protected]
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