HPCクラスタソリューション・LXシリーズ導入事例 国立大学

HPCクラスタソリューション・LXシリーズ 導入事例
国立大学法人 東京工業大学 様
教育現場や研究室へ最先端の計算環境を導入し、
高度なシミュレーションの迅速化と機動的な運用を推進
導入前の課題
国立大学法人 東京工業大学
計算工学専攻/学術国際情報センター准教授
博士(農学)
関嶋 政和
学生たちへ最先端テクノロジーを
体感させるために教育現場へ導入
氏
る人材育成を担当しています。
東工大様には、すでに NEC が構築した世界最
高 水 準 の ク ラス タ 型 スーパーコン ピュー タ
国立大学法人 東京工業大学様(以下 東工大様)
」が導入され、2013 年度から
「TSUBAME(※1)
では、文部科学省が推進する博士課程教育リー
はTSUBAME 2.5として、GPUにNVIDIA Tesla
ディングプロジェクトの一環として、情報生命
K 20X が搭載されています。学生たちに限らず、
博士教育院(以下ACLS )を設置しています。そ
東工大様以外の国内外の研究機関や民間企業
こでは、情報系が専門の学生にバイオを学ばせ
へも潤沢な計算環境が提供されています。しか
たり、あるいはバイオ専門の学生に情報系を学
し、ACLSではより高性能な最新 GPUを搭載し
ばせたりと、1つの専門分野をベースにもう1つ
たマシンを導入し、高度な計算を、よりスムーズ
別の専門分野にも精通している人材を養成する
かつ機 動 的に実 行できるようにしたいという
教育が行われています。
ニーズがありました。
ACLSに参画している、計算工学専攻/学術国際
「高度な計算はスパコンのTSUBAME でも実行
情報センター准教授で博士(農学)の関嶋政和氏
できていましたが、それ以上の進んだ計算環境を
は、蛋白質や核酸などの生体分子に対し、ニュー
ACLS の授業で実際に使ってもらい、学生たちに
トン方程式を適用して原子をひとつずつ動かす
コンピュータの最先端テクノロジーを体感してほ
高度なシミュレーションを行う、分子動力学の専
しかったというのが主な理由です」と、関嶋氏は
門家です。創薬やワクチン開発などでは画期的な
導入前の状況を振り返ります。
成果をもたらす重要な研究分野として知られ、関
嶋氏は ACLSでバイオ系と情報系の架け橋とな
※1:Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously
Accessible Mass-storage Environmentの略
導入の経緯
お 客 様 名:国立大学法人 東京工業大学
所 在 地:本学キャンパス:〒152- 8550 東京都目黒区
大岡山 2 丁目12-1
創 立 年:1881年
学生・教職員数:学部生:約 5,000 名
大学院生:約 5,000 名
教職員数:約 1,800 名
内
容 理工系の総合国立大学で、大学は 3 学部 23
学 科、大学院は 6 研究科 45 専攻、さらに研
究所や研究院が付属。大岡山、すずかけ台、
田町と 3 つのキャンパスを首都圏に展開。
U R L:http://www.titech.ac.jp/
先進のGPUを、
確実に搭載できることが選考の主条件
は、東工大様が要求する高度なスペック水準を
新たなマシンの選定は、東工大様から複数の IT
その当時、最先端のNVIDIA Tesla K40を確実
ベンダーへ入札を依頼する形で行われました。
に搭載・サポートできる製品はまだ数が少なく、
NEC は、すでに TSUBAME1.0から2.0 / 2. 5お
国内では NEC のみという状 況でした。選考に
満たすかどうかが検討され、またサポートの手
厚さが製品選考の重要な柱となりました。
よび、Green 500(省エネスパコンのランキン
残ったベンダーの中には、おそらく搭載しても
グ)において2期連続世界第1位を獲得していた
問題は起きないだろうと予想される製品もあり
」を納入した実績があ
「 TSUBAME-KFC(※2)
ましたが、最終的な検証結果が出ていないので
り、すぐに入札の準備を進めました。入札過程で
完全対応とは言い切れないという回答でした。
※2:TSUBAME Kepler Fluid Coolingの略
HPCクラスタソリューション・LXシリーズ 導入事例
国立大学法人 東京工業大学 様
東工大様としては、最新 GPUを確実に搭載・サ
ポートされない製品を、教育の重要なマシンとし
て導入するわけにはいきませんでした。
研究上のタイムスケジュールから、
24時間365日のサポートは必須
また、手厚いサポート体制も選考の大きな条件
でした。たとえば、バイオ系の研究室に蛋白質
タンパク質とリガンドの例
シミュレーションにより解析されたタンパク質とリガンドの相互作用
の結晶構造解析を行う研究者が使用する場合、
された結果、それをトータルに満たす製品とし
9 時∼17 時といった時間ではなく、研究課題に
365日のサポート条件が必須でした。この時点
左右される不規則なタイムスケジュールでマシ
で、ミッションクリティカルなサポートが困難と
てNEC の LXシリーズが選考の最後まで残りま
ンを稼働させることになります。もし、途中でマ
いうITベンダーは選考から外れました。
す。こうして、2014 年 3 月に L X シリーズの 4 U
シンに障害が起きた場合を想定すると、24 時間
性能とサポートの両面から、様々な機種が検討
GPUサーバが導入されました。
導入後の成果
「TSUBAME 2.0との比較では、8ノード(NVIDIA
機動力のアップなど、教育効果が非常に大きい
最先端の高速シミュレーションを実現
Tesla M2050 16GPUs)と1台のNVIDIA Tesla
のではないかと想定しています。もちろん教育
K40 の能力はほぼ同等の性能があります。それ
現 場 ばかりでなく、研 究 室での 様 々な演 算シ
「日本でNVIDIA Tesla K40が導入され始めた
が、ACLS の教育現場や研究室で手軽に活用で
ミュレーションにおいても高度な運用が可能に
のは 2014 年 3月半ばぐらいですので、東工大の
きるというのは、非常に大きな意味があること
なるため、研究のスピードアップや質的な向上が
システムはもっとも早い時期に稼働した事例で
だと考えています」と、関嶋氏は“手もと”に置
期待できます」
はないでしょうか」と関嶋氏。導入された L X シ
かれたコンパクトな LXシリーズの導入メリット
関嶋氏は最後にNEC への期待を次のように語
リーズの計算環境において、研究テーマである
を語ります。
分子動力学の各種シミュレーションを実行した
稼働がスタートしてから 5カ月が経過しました
「 NEC には、これからも最新のテクノロジーを
場合、スパコンTSUBAMEと比較すると、GPU
が、LX シリーズはトラブルもなく安定した稼働
積極的にキャッチアップし、ユーザに対していつ
一台当たりで約 20 %計算スピードが向上して
を続けており、授業や研究の双方でフルに活用
でも最先端のソリューションが提供できるとい
ACLSの教育現場や研究室で、
ります。
いるといいます。
されています。計算ジョブを一度任せれば、その
う態勢を取り続けてほしいです。それは、LX シ
TSUBAMEは、多くの学生や研究室、ACLS な
まま補助作業をせずに安心して結果を待ってい
リーズだけでなく、スパコンの分野でも挑戦し
どでも利用しており、計算は常にバッチ処理で
られるので、その安定感と信頼性の高さが最大
続けてほしいですね」
行われ、実行ジョブを“キュー”に入れる必要があ
限に評価されています。
ります。しかし、ローカルに置かれたLXシリーズ
では計算の順番待ちをすることなく、計算ジョブ
を命 令すれば すぐに高 速 で実 行できるので、
ちょっとした試算レベルの課題にも柔軟かつ機
より高度な運用を実現するために、
LXシリーズの機能充実を追求
動的に活用できます。
大学の予算や調達に関わることなので、関嶋氏
また、大規模な計算システムは定期的な保守作
はあくまでも個人的な要望と断りながらも、今
業で停止しなくてはいけない時がありますが、学
後の展望について次のように語ってくれました。
生の教育や研究を止めるわけにはいきません。
「現在はサーバ 1台につき GPU を1モジュール
LXシリーズの導入後は、TSUBAMEがメンテナ
ずつ搭載していますが、それを2モジュールに増
ンス中でも安心して授業や研究を続けられるよ
設したいと考えています。また、サーバ台数を増
うになりました。
やせば、ACLSにおける教育の高度化や迅速化、
LXシリーズ 4U-GPUサーバ
お問い合わせは、下記へ
NEC IT プラットフォーム事業部
TEL:03(3798)7229 FAX:03(3456)0746
E-mail:[email protected]
URL:http://jpn.nec.com/hpc/
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2014年9月現在
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