(かわまちづくり基本構想準備報告書)(pdf 2893KB)

かわまちづくり基本構想
準備報告書
平成 26 年 11 月
可
児
市
目
第1章
次
基本構想案策定の背景と目的
1
1.基本構想案策定の背景
(1) 可児市の社会状況と立地環境
2.基本構想案の目的
(1) 観光グランドデザイン(案)の展開
(2) Kルート「モデルコース7」区間の具体化検討
(3) 土田渡地区 多目的広場との連携
(4) 美濃加茂市かわまちづくりとの連携
第2章 計画地を取巻く状況
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1.自然的条件
(1) 計画地の概況
(2) 自然環境条件
(3) 人文条件
2.社会的条件
(1) 上位・関連計画
(2) 計画地周辺の概況
(3) 周辺地域の活動
(4) 法規制
3.エリア設定検討
第3章 基本構想案
1.基本構想の策定案
(1) コンセプト
(2) 基本方針
(3) 堤防有効活用(案)
2.基本構想図
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第1章
基本構想案策定の背景と目的
1.基本構想案策定の背景
(1) 可児市の社会状況と立地環境
可児市は、昭和 40 年代からの急激な人口増加にともない市街地が拡大し、都市化が
進展してきた。しかし、全国的に人口減少がはじまり、可児市も平成 20 年 10 月をピ
ークに人口減少がはじまっている。市の少子高齢化は、人口急増時代の転入者の高齢
化に合わせ、急速に進んでいることから、今後も少子高齢社会における行政運営が重
要になる。
また、可児市には、身近に名所・旧跡や公園、四季折々の風光明媚な景色をはじめ、
川のせせらぎがあるなど数多くのスポットがある。それらのスポットやスポットを結
ぶルートを家族や友人、そして個人で散歩やサイクリングなどで楽しむことで、普段
の生活とは異なる風・空気・音を感じることができ、
「心のやすらぎ」を与えてくれる。
これらの歩行空間は市内各所にあり、子育て世代や高齢者はもちろんのことすべて
の世代が楽しむことができる立地環境にある。自然とのふれあいや家族や友人との交
流、健康維持など楽しみ方も多くあり、多くのスポットとともに市民のみなさんに活
用いただきたい「市の財産」でもある。
現在、可児市では、
「高齢者の安気づくり」、
「子育て世代の安心づくり」、
「地域・経
済の元気づくり」、「“まち”の安全づくり」の4つを重点方針とし、「若い世代が住み
たいと感じる魅力あるまちの創造」を目標に、これらの課題解決に向けた施策に取り
組んでいる。
特に、これからはまちに活気をもたらすよう若い世代に魅力ある施策を提案してい
くことが重要と捉え、心も身体も元気になれるウォーキング(サイクリング)ルート
を紹介することとしている。
可児市ではこうした市内の魅力的なスポットを1本のルートとして結び、実際に散
策やサイクリングに利用いただくことで、その楽しさや素晴らしさを感じ、
「住みやす
い(住んでよかった)
」と思えるような魅力あるまちづくりにつなげていけるよう、ル
ート選定を進め、平成 26 年 1 月に「Kルート」を設定している。
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2.基本構想案の目的
木曽川およびその周辺での景観・文化等の「資源」や地域の創意としての「知恵」
を活かした良好なまちと水辺が融合した「かわまちづくりの創出」を目指し、実現性
の高い河川や水辺の整備・利活用を図る。なお、
「かわまちづくり支援制度」を活用す
ることにより、下記に示す各事業と連携しその実現を目的とする。
(1) 観光グランドデザイン(案)の展開
本構想案が対象とする範囲は、市が策定した地域に誇りを持ち情報発信、観光交流
の推進を図るための「(仮称)可児市観光グランドデザイン(案)」の中で、展開の具
体的戦略の一つとして位置づけられている「木曽川左岸遊歩道から鳩吹山一帯」の中
に該当する。木曽川左岸遊歩道から可児川下流域自然公園にかけての地域資源を洗い
出し、具体的な展開方法やその可能性について検討を行ったものである。
(2) Kルート「モデルコース7」区間の具体化検討
本構想案は、Kルート推奨コース(13 コース)のうち、今渡~土田区間の「モデル
コース7」について、周辺の自然資源、公園緑地、歴史・文化的資源、観光資源などを
洗い出すとともに、歩行者やサイクリング利用者の通行ルートの設定や、派生コース
(将来計画を含む)の一部を担うものである。
(3) 土田渡地区 多目的広場との連携
本構想案と隣接して、土田渡地区の木曽川に沿った区域(約 3.3ha)に「
(仮称)土
田渡地区 多目的広場」の整備を検討している。今渡~土田区間のほぼ中央部の河川沿
いに公園緑地が整備されれば、木曽川やその周辺を活用する歩行者やサイクリング利
用者の利便性が期待されることから、利用者の拠点としての役割を位置づけるもので
ある。
(4) 美濃加茂市かわまちづくりとの連携
本構想案は、木曽川の左岸を対象区域としており、その対岸の美濃加茂市では平成
23 年度よりかわまちづくりを推進中である。木曽川には、自治体間をつなぐ中濃大橋
や太田橋が架かっており、左岸側と右岸側との一体の整備を行うことで、木曽川を中
心とした周遊を可能とし、地域間の交流を目指すことができる。また、防災の観点か
らも活用が見込まれ、より事業の効果が得られるものである。
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第2章 計画地を取巻く状況
1.自然的条件
(1) 計画地の概況
①堤防
計画地内にあるKルートは木曽川左岸堤防に沿って設置
することが位置づけられている。堤防は河川距離標(左
岸)66k+300m付近から 68k+400m付近までの区間が整備
されている。堤防頂部(管理道路)は 5~6m程度の幅員が
あり砂利の状態となっている。
木曽川堤防(多目的広場予定地付近)
②高水敷・低水路
「(仮称)土田渡地区 多目的広場」の設置予定地から上
流区間は堤防が未整備であるが河川整備計画では「堤防整
備・高水護岸」が計画されている。この区間では国土交通省
の竹林伐採などの許可を得て、「木曽川左岸遊歩道友の会」
が散策ルートの手入れを行っている。
③堤内地
木曽川渡し場遊歩道
「(仮称)土田渡地区 多目的広場」の設置予定地から下
流区間は農地(畑作)が広がっている。河川距離標(左岸)66k
+300m付近の下田排水樋管から下流部と、
「
(仮称)土田渡
地区 多目的広場」の設置予定地から上流区間は住宅地が堤
防近くまで迫っている。
農地と鳩吹山の眺めの眺め
(多目的広場予定地西の堤防上)
(2) 自然環境条件
①地形・水系・景観
「
(仮称)土田渡地区 多目的広場」の設置予定地から上
流区間は河岸沿いの「木曽川渡し場遊歩道」を通行するこ
ととなる。この区間は木曽川の岸に沿って「夜泣き岩」「土田
川並番所跡」「化石林」などを見ることができ、崖線に沿って
湧水・流れ、竹林があることから変化に富んだ場所となって
いる。
「(仮称)土田渡地区 多目的広場」の設置予定地から
御嶽山遠望より
(木曽川渡し場遊歩道より)
下流区間は堤防上を通行することとなる。堤防上からは木
曽川の雄大な流れのほか、遠くに御嶽山、白山、能郷白山
を見ることができる。中濃大橋(国道 41 号線)から下流は
木曽川の流路が大きく左右に蛇行しており、日本ラインの
核心部の急流となっている。南方には鳩吹山から土田城跡
に連なる山並を望むことができる。可児川の深い谷は現状
3
鳩吹山と木曽川(中濃大橋下流付近)
では視認できる場所は限られているが、荒削りな渓谷美を
見ることができる。鳩吹山山麓は北に木曽川の急流、南に
鳩吹山を見上げる自然景観を楽しむことができる。
②植生
木曽川に沿って、竹林(モウソウチク、マダケ等)と河
可児川の渓谷(国道 41 号線付近)
畔林(コナラ、エノキ等)が分布している。
「(仮称)土田
渡地区 多目的広場」の設置予定地付近には高木に着生する
ヤドリギを見ることができる。
鳩吹山山麓の「可児川下流域自然公園」はカタクリの群
生地として知られ、開花時には来訪者が大勢訪れる。
カタクリ群生地(可児川下流域自然公園)
(3) 人文条件
①今渡地区
大田橋の近くには「石畳(市重文)」「ふれあいの里弘法堂」
「今渡の渡し場跡」などが集積し、街道の歴史を実感するこ
とができる。対岸(美濃加茂市)には渡し場跡に化石林公
園が整備されている。
②渡地区
ふれあいの里弘法堂(今渡地区)
「
(仮称)土田渡地区 多目的広場」設置予定地に隣接し
て「桜井の泉」がある。この泉は古く律令時代に東山道が
通じていた頃から記録が残る古い史跡である。今も清水を
湛え地域に親しまれている貴重な歴史的資源である。
また、今渡地区同様にこの地区にも渡し場「土田(大井
戸)の渡し場」があったことが記録に残っている。
桜井の泉(渡地区)
③旧土田宿
もとは中山道の宿場だったが、元禄 7 年(1694 年)2 月
伏見宿の新設に伴い後に上街道の宿場となった古い宿場町
である。天正 10 年(1582 年)2 月織田信忠が、慶長 5 年(1600
年)9 月には徳川秀忠が関ヶ原の戦いの時、本陣に宿泊した
記録が残っている。土田宿本陣跡(止善殿)には門が残る
だけだが、流鏑馬が行われる白髭神社など寺社仏閣が集積
土田宿本陣跡(旧土田宿)
する町並みに面影を見ることができる。
④鳩吹山山麓
鳩吹北斜の山麓に位置する「可児川下流域自然公園」に
は大正時代には「氷場」があり、天然氷が生産されていた。
現在でも石垣や導水路が残り往時の姿を想像することがで
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氷場(可児川下流域自然公園)
きる。また、公園の最西端には木曽川の河湊「大脇湊跡」
が残る。
⑤木曽川の清掃活動
国土交通省が実施する「川と海のクリーン大作戦」の実
施個所の一つになっている。毎年 1 回(10 月頃)
、木曽川左
岸遊歩道から下田排水樋管の区間で河川敷の清掃活動が行
われている。
⑥可児川下流域自然公園
カタクリの群生地として有名な「可児川下流域自然公園
は」では、カタクリの咲く時期に合わせて「カタクリまつ
り」(3 月)を開催している。また、モミジの紅葉が見ごろ
となる秋には「もみじ祭り」
(11 月)が開催され、2 つのイ
ベント開催期間には大勢の人でにぎわう。
カタクリまつりとモミジの紅葉
(可児川下流域自然公園)
⑦白髭神社流鏑馬祭
天慶 3 年(940 年)、平将門追討の命を受けた平貞盛が戦
勝祈願を行ったのが始まりといわれている神事である。毎
年 4 月第 1 日曜日に開催され、神社の参道を疾走する馬上
から矢を放つ「流鏑馬」が奉納される。市指定無形民俗文
白髭神社流鏑馬祭
化財に指定されている。
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2.社会的条件
(1) 上位・関連計画
①(仮称)可児市観光グランドデザイン(案)
市の観光資源は認知度が低いものが多く、
他施設への周遊がほとんど行われていない
実態がある。そのため、認知度の向上を図り、地域の誇りを持って広く情報発信するこ
とで観光交流の推進する「地域を主役にする観光」を基本理念としている。
東部には歴史資源、中部には文化・芸術の資源、西部には自然に関する資源が多い。
これらの市の東部、中部、西部に点在する多くの地域資源を強化・連携させるため、物
語性を持って策定した(仮称)観光グランドデザインを展開する計画である。
該当地域である西部地域は「自然環境や景観の保全と活用」をテーマとして、主に以
下の方針を定めている。
●木曽川や鳩吹山など自然景観の美しい地点の多い西部では、自然による安
らぎと癒しを体感できる場所とする。
●木曽川左岸遊歩道から鳩吹山までを一体とした水辺空間において、ウォー
ターフロントとしての整備を進める。
●他エリアとは、市内を横断する可児川や久々利川、市の北部を流れる木曽
川などの水資源を活かし、癒しや健康にも配慮した連携を図る。
図:(仮称)可児市観光グランドデザイン(案)より抜粋
図:地域資源分布図
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②Kルート
Kルートは、市民にやすらぎや元気を与えてくれるスポットの再発見、自然や歴史・
文化などとのふれあいができ、市外へも積極的に PR できるよう、次のことを基本とし
て危険性が少なく使いやすいコースを選定している。
①市の魅力を感じるルート
②心身のリフレッシュができるルート
具体的なルートの選定にあたっては、現状、または将来的に可児市の顔となり得る
(基軸となる)観光的なスポットを結び、
「出来るだけ交通量の少ない安全な道」、
「ト
イレ休憩が出来る道」、「景色の良い道」、「人通りの最低限ある道」、「多少のアップダ
ウンはあるルート」、「発着地点に駐車場などがある」など、様々な要素を取り入れる
こととし、加えて鉄道駅を意識するまたは含めることで、将来的には市外からの利用
や鉄道の利用促進効果も想定している。
Kルートは、市内になるスポットを巡るルートの総称であり、ルートはすべてつな
がっている。しかし、全体を一本のルートとして提案するだけでは楽しみ方も伝わり
にくいため、それぞれのスポットを活用し、市の魅力を感じるルートや心身がリフレ
ッシュ出来るルートなど、歩くことを前提にある程度の距離もあり特徴を示した推奨
コースとして、13 コースを設定している。
図:Kルートマップ(出典:可児市HP)
③木曽川水系河川整備計画
当該区間の木曽川は国土交通省中部地方整備局が管轄し、木曽川水系河川整備計画
(平成 20 年 3 月)に基づき整備・管理されている。同計画では治水・利水のほか河川環
境の整備と保全も位置づけられている。計画地は「景観ゾーン」に位置づけられ、河道
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内の瀬やワンドを資源とするほか、
日本ライン下り(休止)や名勝木曽川の優れた河川景
観を活用していく方針としている。
図:木曽川水系河川整備計画 (付図:環境)
④かわまちづくり基本計画(美濃加茂市)
木曽川対岸では美濃加茂市が同制度の認定を受けて各種の事業を展開している。
中之
島公園・化石林公園・木曽川緑地ライン公園などの自然拠点や、
中山道を中心とした街道
沿いなどで、整備や利活用の活性化に取組んでいる。木曽川沿いの散策路・遊歩道整備
を進めることとしており、
これらが実現すれば右岸と左岸を周遊する歩行者ルートの設
定が可能となる。
図:美濃加茂市かわまちづくり計画 整備方針図 (出典:美濃加茂市HP)
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(2) 計画地周辺の概況
①民間集客施設
可児川と木曽川の合流部付近には民間の温浴施設・飲食
店・物販施設が集積し年間を通じて大勢の来訪者がある。ま
た、国道 41 号を挟んだ東側には花卉園芸の大規模な量販店
がある。
民間集客施設
②鉄道駅
区間東端の今渡地区には名鉄広見線の「日本ライン今渡駅」があり、Kルート当該
区間まで約 700mの距離がある。区間西部の土田地区付近には名鉄広見線の「可児川駅」
があり、Kルート当該区間まで約 1,500mの距離がある。
可児川駅
日本ライン今渡駅
③道路
周辺の主要な道路として、国道 41 号と主要地方道土岐・可児線がある。国道 41 号
は、区間の西側を南北に通る道路であり、Kルート該当区間の西端付近では、国道 41
号の歩道を利用することとしている。主要地方道土岐・可児線は、区間の約 200m~約
500m南側を東西に通る道路である。
また、区間東端から約 200m東には「太田橋」があり、木曽川を横断する。区間の中
間付近では「中濃大橋」
(国道 41 号)があり、Kルートは、橋の下を通行することと
している。
中濃大橋
太田橋
④Kルートの起終点
Kルートの該当区間は、起点を「今渡公民館」としており、終点は「可児川下流域
自然公園」としている。
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(3) 周辺地域の活動
①木曽川左岸遊歩道友の会
今渡・土田地区の自治会が協力し、
「木曽川左岸遊歩道友の会」を立ち上げ、平成 19
年~20 年にかけて市や地元企業の支援を得ながら、竹林・雑草に覆われていた河川敷
(約 720m)をボランティアで遊歩道として整備した。
遊歩道完成後も、「木曽川左岸遊歩道友の会」は活動を継続し、維持管理や災害後の
復旧作業、イベント活動(芋煮会、フォトコンテスト等)に積極的に取り組んでいる。
これらの活動によって、木曽川左岸遊歩道は、Kルートの指定や地域のウォーキン
グ大会等に利用され地域資源の一つとなっている。
(4) 法規制
①自然公園
当該区間は全域が飛騨木曽川国定公園の第 1 種特別地域
に指定されており、現在の景観を極力維持する必要がある。
また、
「可児川下流域自然公園」一帯は文化財保護法に基づ
く「名勝木曽川」の指定地となっており、建築物の高さや
形態意匠及び植栽に関する基準が設けられている。
②河川法
名勝木曽川
(可児川下流域自然公園からの眺め)
区間の大半は木曽川堤防上や河川敷(高水敷)を利用エリアとしており、河川区域
内に位置している。河川区域内の行為には制限があり、整備にあたっては許可申請が
必要となる。
また、「(仮称)土田渡地区 多目的広場」は、区域の一部が河川保全区域にあたり、
同様に、整備にあたっては許可申請が必要となる。
※河川保全区域の範囲:木曽川上流河川事務所管内(岐阜県)は河川区域から 28m
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<参考>
○かわまちづくり支援制度
観光などの活性化に繋がる景観・歴史・文化等の河川が有する地域の魅力という「資
源」や地域の創意としての「知恵」を活かし、地方公共団体や地元住民との連携の下で
立案された、実現性の高い河川や水辺の整備・利活用計画による、良好なまちと水辺が
融合した空間形成の円滑な推進を図る制度である。市町村、住民、河川管理者が連携し
て「かわまちづくり計画」を作成し、河川局長の認定を受けた事業について、施設整備
(ハード)
、管理運営(ソフト)の両面から支援・助言を受けるものである。
図:かわまちづくり支援制度の概要 (出典:国土交通省HP)
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3.エリア設定検討
計画地のエリア設定について、現状の土地形状、植生、周辺の土地利用状況、歴史
性などを勘案し、以下の基本方針に基づきエリアを設定することとする。
<エリア設定の基本方針>
基本的な路線は「Kルート」と同じとし、沿線の魅力的な地点を結ぶ派生路線を設
定する。
利用の拠点となる名鉄駅(日本ライン今渡駅、可児川駅)からのアクセスルート、
木曽川の対岸の美濃加茂市側との連携ルートを設定する。
土田渡地区に設置を検討する多目的広場を散策利用の拠点に位置づけ、利用者の利
便性向上に資する機能を付加する。
コストや関係機関協議の課題から、短期的には実現の可能性が低いと判断されるエ
リアについても、散策利用上のメリットが認められるものについては、将来的な構
想エリアとして提示していく。
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第3章 基本構想案
1.基本構想の策定案
(1)コンセプト
(A)自然による安らぎと癒しを体感できる水辺空間の散策路を整備する。
(B)地域の人々の日常的な利用に対応するとともに、この地を訪れる来訪者にも親しん
で頂ける市全域にわたる広域的な歩行者系ネットワークの一部となる。
(C)堤防上には歩行者とともに、自転車利用者にも対応できるルートを確保する。
(D)将来の「かわまちづくり支援制度」の登録申請の可能性をもつ計画とし、対岸も含
めた散策路のネットワークを可能とする。
(2) 基本方針
(A)自然的資源の活用
・「木曽川渡し場遊歩道」や、「可児川下流域自然公園」など既存の周遊路線を活用
する。また、木曽川に沿った新たな支線路線を位置づけ、
「土田(大井戸)の渡し
場」などの自然景観の新たな魅力を発掘する。
(B-1)地域住民の利用への対応
・沿線各地からのアプローチに対応する出入口を多く設置して、ウォーキング・ジョ
ギング・サイクリングなど、市民の日常の健康づくりやレクリエーション需要に
対応する。
(B-2)来訪者の利用への対応
・広域的な来訪者の利用は、路線の中間部に整備を検討する「(仮称)土田渡地区 多
目的広場」を利用拠点(歩行者・自転車利用者)に位置づける。また、上下流端
に近い 2 つの名鉄駅(日本ライン今渡駅、可児川駅)を歩行者の周遊利用基点に
位置づける。
(C)歩行者と自転車利用者の安全な利用
・堤防上に新設する区間は、歩行者と自転車利用者の通行帯を明確に分離し、安全
な通行を可能とする。
(D)かわまちづくりへの対応
・将来「かわまちづくり支援制度」が適用できるハード・ソフト展開が可能な計画と
する。
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(3) 堤防有効活用(案)
■堤防区間(全体)
S=1:200
・堤防上の散策路新設区間は、左右に広がる自然的景観(木曽川の流れ、鳩吹山、御嶽
山・白山など)や、歴史的景観(土田城跡、旧土田宿の町並みなど)の眺望を満喫でき
るよう、柵などは設置しない。
■堤防区間(拡大)
S=1:100
・既存堤防の幅員を活用し、歩道(W=2.0m)と自転車専用道(W=2.5m)とを明確
に区分して、それぞれの安全な通行を可能とする。
・双方の通行帯の間には緩衝帯として機能する草地帯(W=0.5m)を設置する。
・歩行者が雄大な木曽川の眺めを楽しめるよう、河川側を歩道とする。
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大田橋~中濃大橋一周ルート
約 6.0km
凡 例
上流ルート(木曽川渡し場遊歩道)
桜井の泉~今渡の渡し場跡
片道約 1.0km
自然公園(国定公園)
中濃大橋(
R
多目的広場
歴史・文化的資源
自然的資源
木曽川の急流
夜泣き岩
白山・能郷白山
ヤドリギ
御岳
今渡の
渡し場跡
土田川並
ふれあいの里弘法堂
番所跡 化石林 石畳(市重文)
今渡渡し場公園
富士浅間神社
今渡公民館
WC
41
)
遊歩道(歩行者専用)
土田(大井戸)の
渡し場跡
御嶽
太田橋
下流ルート(木曽川土田遊歩道)
桜井の泉~可児川下流域自然公園
片道約 2.8km
白山
WC
〃 (将来構想ルート)
多目的広場(構想)
P 駐車場
モウソウ竹林
湧き水・流れ
WC
神明自治会館
桜井の泉
〃 (歩行者+自転車)
〃 (連携ルート)
桜井の泉
〃 (検討ルート)
日本ライン今渡駅(名鉄)
眺望ポイント
木曽川
の急流
Kルート
名勝
木曽川渡し場遊歩道
ふれあいの里弘法堂
白髭神社
(流鏑馬)
鳩吹山
鳩吹山と木曽川
土田宿本陣跡
大脇湊
旧土田宿
本陣跡
旧土田宿の町並み
温浴施設(民間)
大脇湊
氷場の石垣 可児川下流域自然公園
寺社仏閣が点在
P 市営駐車場
カタクリ群生地 WC
販売施設(民間)
狭い路地が縦横に通じる
販売施設(民間)
飲食施設(民間)
鳩吹山
カタクリの群生地
可児川と土田城跡(右の山頂)
土田城跡
可児川駅(名鉄)
東海自然歩道
かわまちづくり基本構想参考図
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可児川左岸遊歩道