シーン別 画像診断の いま Scene Vol. 7 オートプシー・イメージング(Ai)第四弾:黎明期から普及期に向けてさらなる展開 Ⅲ 病理の視点から見たオートプシー・イメージング(Ai)の動向 1.臨床医による Ai 読影所見と 病理解剖所見の比較検討 松下 隆 島根大学医学部附属病院病理部 丸山理留敬 島根大学医学部器管病理学講座 / 附属病院病理部 島根大学医学部附属病院では,2011年 より死亡時画像診断(Autopsy imaging: Ai)を専門に行う Ai センターが稼働し, 不足している。諸外国と比較した場合, 背景と目的 トップのギリシャが人口 100 万人に対し て放射線科医が 200 人以上もいるのに比 原則として院内死亡全例に対して Ai を施 日本は諸外国に比べ圧倒的多数の CT べ,日本は50 人以下しかおらず,さらに, 行している。必然的に全病理解剖(以下, (図 2) を保有しているにもかかわらず 3) , CT 1 台あたりの放射線科医数は,諸外 剖検)例に対し Ai が撮影されており,剖 放射線科医は病理医と同様,慢性的に 国と比べ1 / 10 以下という惨状である 4)。 検と Ai の対比研究を行うのに最適な環境 にあることから,今回の研究を実施した。 実臨床の点でも,Ai を基に死因の推定, 遺族への説明,死亡診断書の作成が行わ れることがあり,これらに理論的裏付けが あるかどうかを剖検によって検証すること は,医学(学問的側面) ・医療(保険など) の両面において重要である。 本研究では,Ai 読影は臨床医(主治医) (%) 100 90 80 69.6 70 60 50 40 30 20 10 0 非放射線科医 が行った。放射線科専門医による読影の 方が精度が高いであろうことは論をまたな いが,実臨床では放射線科医以外が読影 (図 1) ,臨床医によ することの方が多く 1) る読影結果を検証することは重要である。 無論,単に Ai の精度を調べるだけであれ ば放射線科専門医による読影が望ましいが, このような研究は実臨床では到底再現不 可能な精緻な方法ですでに海外で行われ ており 2),われわれの目的とするところで はない。本稿では,臨床医が Ai を読影す るという実臨床において最も頻度が高い 状況で,どれだけ正確な診断が下せてい るかを検証した。 また,今回は頭部に限定して後ろ向き に検証したが,胸腹部を含めた横断研究 を現在行っており,これについても概説 する。 38.8 放射線科医 Hospital Japan Australia Korea Iceland United States Greece Switzerland Italy Austria Luxembourg Portugal Denmark OECD Finland Germany Ireland Spain Estonia New Zealand Czech Republic Canada Belgium Slovak Republic Poland Slovenia Turkey Netherlands France Israel United Kingdom Hungary Mexico 4.5 8.8 読影しない その他 Outside hospital 20 図 1 Ai の読影者 (参考文献1) より引用 転載) Total 38.7 37.1 34.5 34.3 33.8 32.8 31.7 29.3 26.3 26.0 23.7 22.8 20.4 17.2 15.3 15.1 14.9 14.6 14.1 13.9 13.5 13.3 12.4 11.9 11.6 11.3 11.1 9.4 7.4 7.2 4.3 0 〈0913-8919/15/¥300/ 論文 /JCOPY〉 読影者(N=859 複数回答) 40 60 80 Per million population 97.3 100 図 2 CT scanners, 2009(or nearest year) (参考文献 3)より 引用転載) INNERVISION (30・1) 2015 41
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