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運動対応における 3 次元の拘束条件
〇朝倉暢彦1
近江政雄12
2
( 金沢工業大学 人間情報システム研究所) ( 金沢工業大学 感動デザイン工学研究所)
Key words : 仮現運動,対応問題,奥行き運動
1
1
Proportion side-to-side motion
目 的
多義的な仮現運動刺激における特徴間の対応問題を解く拘
束条件として,2 次元網膜座標上でより短い距離の運動をも
たらす対応を選ぶという近接性原理が知られている.この近
接性原理が特徴間の 3 次元空間内での距離を反映するかどう
かについては,先行研究において議論が別れている.本研究
では,多義的な仮現運動刺激としてよく用いられる motion
quartet を 3 次元空間内で構成し(図 1)
,対応問題の解決に
おける 3 次元の拘束条件の効果を検討した.
0.5
4 cm
6 cm
9 cm
0.25
GR
0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75
2D displacement ratio
W
1
Proportion side-to-side motion
D match
Width:
0
H match
1st frame
0.75
D
2nd frame
Wd
Wh
Image
plane
d
Vantage point
図 1. 3 次元の motion quartet.左: 刺激を構成する画像.
右: 水平・奥行き方向における特徴の配置.白色が第
1 フレームで灰色が第 2 フレーム.
この刺激配置においては,奥行き方向の運動の対応(D
match)と水平方向の運動の対応(H match)の 2 通りの可能
性が存在する(図 1 右)
.この対応問題を解くための 3 次元の
拘束条件は,以下の 3 次元空間におけるアスペクト比である.
D
3D aspect ratio:
W
また 2 次元の拘束条件は,以下の D match と H match の画
像面上での距離の比である.
Wd
1D
2D displacement ratio:
=
Wh
2 d
(これは画像面上での特徴の大きさの変化とも線形に関係す
る).いずれの拘束条件も値が大きくなると H match が選ば
れ,小さくなると D match が選ばれる.但し,2 次元の拘
束条件は,quartet を構成する長方形の奥行き方向の距離の
みに依存し,水平方向の幅には依存しない.これに基づき,
quartet の水平幅を操作した刺激を用いて各拘束条件の効果
を検討した.
方 法
[刺激] 2 つの円柱を異なる奥行きに配置した 2 フレームの画
像を透視射影により生成し(図 1 左),観察距離 57cm で 21
インチ CRT 上に呈示した.シミュレートした円柱の大きさ
は直径 8mm・高さ 9cm,quartet を構成する長方形の幅(W)
は 4,6,9cm の 3 通り,奥行き(D)は観察距離(d)の 0.5
倍から 3.5 倍までの 7 通りの計 21 通りであった(図 1 右).
0.75
0.5
Width:
4 cm
6 cm
9 cm
0.25
GR
0
10
20
30
40
50
3D aspect ratio
図 2.
水平方向の運動(H match)が知覚された割合.
また,刺激の奥行きの手がかりは透視射影と 2 次元の画像運
動のみであった.
[手続き] 2 フレームの画像は 282ms の SOA(ISI=0)で 2 回
繰り返して呈示され,被験者は両眼でこれを観察した.課題
は知覚された運動方向(奥行き方向・水平方向)についての 2
者強制選択判断であり,21 通りの各条件について 40 回の繰
り返し判断を行なった.被験者は著者の 1 名を含めた 2 名で
あった.
結果・考察
図 2 にナイーブな被験者の結果を示す.上の図は 2 次元の
拘束条件を独立変数として H match を選択した割合をプロッ
トしたものであり,下の図は 3 次元の拘束条件を独立変数と
して同じデータをプロットしたものである.2 次元の拘束条
件で対応が決定されていれば上の図において,また 3 次元の
拘束条件で対応が決定されていれば下の図において quartet
の各水平幅のデータが共通の心理物理関数を構成する.結果
は後者を示すものであり,もう 1 名の被験者においても同じ
結果が得られた.以上の結果は,透視射影および画像運動の
手がかりから得られる奥行きの情報が,対応問題の 3 次元の
拘束条件として取り入れられていることを示唆している.
(ASAKURA Nobuhiko, OHMI Masao)
㸫554㸫