研究の概要はこちらから - 岡山県総合教育センター

研
究
紀
要
第 8 号
研
究
の
研究番号
概
研究主題
14-01
学力向上を図るための指導に関する研究Ⅰ
14-02
系統性を踏まえた理科の授業づくりに関する研究
14-03
知的障害特別支援学校・知的障害特別支援学級における自立活動に関する研究
14-04
高等学校における特別支援教育の観点からの指導・支援に関する研究
14-05
指導者用デジタル教科書校内研修パッケージの開発と評価
14-06
情報活用能力育成のための授業実践リーフレットの開発と評価
平成27年 2⽉
岡⼭県総合教育センター
要
本冊⼦は,研究紀要第8号の研究構想図を掲載したものです。
研究紀要等の全⽂は岡⼭県総合教育センターのWebページに掲載
していますので,ぜひ御⾼覧ください。
URL
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/
御
挨
拶
豊かな自然に恵まれた岡山県の中央部,吉備高原に位置する岡山県総合教育センターは,「岡山
県教育振興基本計画-未来を拓(ひら)く人づくりプラン-」(平成22年2月策定)の理念に基づき,
「心豊かに たくましく 未来を拓く 岡山の人づくり」を基本目標に,「自立」「共生」「郷土岡
山を大切にする心」を育みたい資質能力として,これらの実現に向けて取り組んでいます。
また,「晴れの国おかやま生き活きプラン」(平成26年3月策定)では,「全ての県民が明るい
笑顔で暮らす『生き活き岡山』の実現」を県政の基本目標とし,重点的に取り組む行動計画として
重点戦略Ⅰに,「教育県岡山の復活」が掲げられ,「学力向上プログラム」と「徳育推進プログラ
ム」が示されています。
そこで当センターでは,教職員研修,調査研究と学校支援,教育情報の収集と提供,教育相談,
特別支援教育及び情報教育の推進等の各事業を通して,「学び続ける教師」を基盤に,教師の力量
(教師力)と学校の教育力(学校力)の両面の向上を目指していきたいと考えています。
本県の教育が直面する喫緊の課題として,児童生徒の確かな学力の向上,不登校,問題行動の未
然防止及び一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進等が挙げられます。
現在,学力向上に関しては,各学校で授業改善の取り組みが進められている一方で,全国学力・
学習状況調査の結果からは,理解が不十分であり確実な定着において課題のある内容も見られます。
また,不登校については,学校と家庭,関係機関との連携が進み,学校の早期対応が一定の効果
を挙げていますが,依然として発生率は全国的に見て高い状況にあります。
こうした課題に対応するため,当センターでは研修講座等の各事業を一層充実させるとともに,
「児童生徒の学力向上」「問題行動等への対応」「特別支援教育の推進」の三つの視点から,各事
業を進める上での基盤となる調査研究に取り組んでいます。本年度も大学等からの指導助言を受け
ながら,協力校や協力委員の方々と所員が協力し,実践的,開発的な研究に取り組んできました。
このたび,本年度の研究のまとめとして,岡山県総合教育センター研究紀要第8号を発行するこ
とができました。この研究成果を御高覧の上,御意見,御批評をいただくとともに,各学校におけ
る授業改善,校内研修等の充実,各学校の特色づくりや活性化等に幅広く役立てていただくことを
期待しております。
終わりに,この研究を進めるに当たり,指導助言者として御指導,御助言をいただきました先生
方,協力校及び協力委員の先生方,並びに関係各位に対し厚くお礼申し上げます。
平成27年2月
岡山県総合教育センター所長
忠
田
正
研究番号
14-01
学力向上を図るための指導に関する研究Ⅰ
目的
全国学力・学習状況調査の結果から捉えた各校の課題を解決するためのヒントを
提案するために,岡山県教育庁義務教育課との連携を図りながら,基礎的・基本的
な学習内容を中心とした授業における学習指導方法の工夫や,岡山県内小・中学校
の好事例を基にした振り返り学習の充実に向けた取り組み事例を示したブックレッ
トを作成する。
内容
・全国学力・学習状況調査の設問に対する分析と指導のポイント,学習活動の整理
・振り返り学習について,岡山県内小・中学校からの情報収集とポイントの整理
成果
ブックレット「子どもの学びを支えるヒント集
~ 先生方の『?』にお答えします ~」の提案
○岡山県の現状と課題
○小学校編・中学校編
・設問別に見る学習指導方法の
工夫(国語)
・設問別に見る学習指導方法の
工夫(算数・数学)
・更なる指導の改善・充実に
向けて
○小学校編・中学校編
・単元・学期・学年を越えた
振り返り学習の充実
授業におけ
る取り組み
全国学力・学
習状況調査A
問題を基に
授業外の
取り組み
岡山県内小・
中学校の好事
例を基に
今後の展望
・研究の成果をまとめたブックレットを岡山県内小・中学校等に配付したり,Web
上で紹介したりすることで授業改善や振り返り学習の在り方について周知を図る。
・研究の成果をまとめたブックレットを研修講座や学校力向上サポートキャラバン
等で積極的に活用する。
・「学力向上を図るための指導に関する研究Ⅱ」として,全国学力・学習状況調査
B問題を基に,設問に対する分析と指導のポイント,学習活動例等の整理を行う。
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14-01.pdf
研究番号
14-02
系統性を踏まえた理科の授業づくりに関する研究
研究の背景
学習指導要領の改訂に当たっての基本的な考え方
科学的な概念の理解など基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図る観点から
小・中・高等学校を通じた理科の内容の構造化を図るとともに,科学的な思考力・表
現力の育成を図る観点から探究的な学習活動をより一層充実する。
○「理科の学習指導の改善・充実に向けた調査分析に
ついて」(国立教育政策研究所)から見えた課題
【物理領域】グラフの作成等を通して,量的な関
係の意味を理解する
【化学領域】化学的な事物・事象を粒子のモデル
と関連付けて理解する
【生物領域】実物と模式図・模型と対応させながら,
多様性の中に共通点を見いだす
【地学領域】地学的な事物・事象について,時間
概念と空間概念の形成を図る
○「理科学習指導アンケート」等(岡山県総
合教育センター)から見えた課題
【物理領域】グラフのかき方,グラフの理解に
ついて課題がある
【化学領域】目に見えないものを考えること,
定量的に捉えることに課題がある
【生物領域】DNAなど,目に見えないものにつ
いて実感させにくい
【地学領域】スケールが大きく空間的なイメー
ジをもたせにくい
研究の目的
各領域における「科学的な思考力・表現力の育成」に欠かせない学びを分析するとともに,観察,実
験を中心とした,科学的な見方や概念の柱を意識した授業実践を行うことで,中・高等学校の接続を中
心とした,系統性を踏まえた理科の授業づくりについて提案する。
研究の内容
科学的な見方や概念の柱を意識した観察,実験事例
グラフの
分析・解釈
分子モデル
の作成
DNAを
実感する
液状化
モデル
各領域の特徴を踏まえた概念化へ向けた系統的な学び
○中・高等学校の接続を中心に,理科の内容の系統性に配慮した授業実践
・問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動
・観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動
・科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動
○系統性を考えた授業づくりの視点
【物理領域】グラフを分析し解釈する力を身に付けさせる
【化学領域】化学的な事物・現象について,「粒子」をイメージしながら考えさせる
【生物領域】本物に触れさせ,生物の「共通性」を見いだす
【地学領域】学習した「地学的な事物・現象」を「身近な事物・現象」へとつなぐ
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14-02.pdf
研究番号
14-03
知的障害特別支援学校・知的障害特別支援学級に
おける自立活動に関する研究
研究の背景
岡山県の知的障害教育における自立活動に関わる現状の把握
○
・
「第2次岡山県特別支援教育推進プラン」から
上記プランにおいて,知的障害のある児童生徒に対する自立活動の指導について,各特
別支援学校で取り組み方に差がある等の課題があり,一層研究を進める必要があるとの提
言がなされている。
○
・
岡山県の自立活動に関する先行研究から
特別支援学級において,実態把握や指導の進め方に困難さを感じている教師が多いとの
調査結果が示されている。
○
・
学校支援及び学校訪問を通じた現状把握から
自立活動に関する学習指導案の記述に混乱が見られたり,校長から自立活動の指導にお
ける専門性の維持向上を推進していく必要があるとの声が聞かれたりした。
○
・
研修講座受講者のアンケートや協議における発言等から
経験年数にかかわらず自立活動の指導に関する教員の悩みや質問が数多く出された。
また,自立活動に関する研修ニーズが高く,その研修講座の定員充足率も非常に高い。
研究の目的
岡山県の知的障害特別支援学校及び知的障害特別支援学級において喫緊の課題である自立活動の
指導について,その個別の指導計画を適切に作成するための手順を,実態把握から評価までの過程
に沿って明確にするとともに,それに基づく実践をまとめたハンドブックを作成し,知的障害のあ
る児童生徒に対する自立活動の指導力向上に寄与する。
研究の成果
「自立活動ハンドブック-知的障害のある児童生徒の指導のために-」の作成
【手順編】
1 自立活動について
2 自立活動の教育課程上の位置付け
3 自立活動の目標と内容,取扱い
4 自立活動における個別の指導計画の
作成
5 自立活動の評価
【実践編】
1 特別支援学級実践例
・ 小学校事例
・ 中学校事例
2 特別支援学校実践例
・ 小学部事例
・ 高等部事例
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14-03.pdf
研究番号
14-04
高等学校における特別支援教育の観点からの
指導・支援に関する研究
アンケート結果
現状
課題
○発達障害等の特別な支援の必要な生徒
についての理解は進んでいる
○得られた情報から指導・支援を検討し
ている
○個別の教育支援計画を活用できている
学校は少ない
○校内委員会だけでなく,既存の会議を
使って実態把握や指導・支援の検討を
行っている学校もある
○発達障害等の特別な支援の必要な生徒
についての理解の一層の促進
○特別な支援の必要な生徒への指導・支
援の充実
○個別の教育支援計画の作成及び活用
○各学校の実情に応じた機能的な校内支
援体制づくり
研究の目的
岡山県における高等学校の特別支援教育推進に関する事業及び調査研究の結果の
整理・分析や県内全ての公立高等学校へのアンケート調査から,その現状と課題を
明確にする。
それを基にして,高等学校で発達障害等の特別な支援が必要な生徒への理解を一
層進め,適切な指導・支援を行うための研修資料となるハンドブックを作成する。
研究の成果
ハンドブック 「自分らしく かがやく ~発達障害のある高校生のための指導・支援~」
第1章
発達障害のある生徒の理解を一層進めるために
(
第2章
適切な指導・支援を充実するために
(
第3章
学習面
行動面
人間関係面
進路を見据えた
自己理解
周囲の生徒の理解
個別の教育支援計画の作成と活用をするために
(
第4章
発達障害 実態把握 )
個別の教育支援計画
個別の教育支援計画の活用
)
機能的な校内支援体制づくりをするために
(
校内支援体制づくり
関係機関との連携
)
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14-04.pdf
)
研究番号
14-05
指導者用デジタル教科書
校内研修パッケージの開発と評価
研究の目的
指導者用デジタル教科書の利点を生かして,日常的,効果的な授業活用を進めることができる「指導者用
デジタル教科書校内研修パッケージ」を開発する。また,校内研修パッケージが指導者用デジタル教科書の
授業活用を進める上で有効であるかどうかを確かめる。
指導者用デジタル教科書の活用状況
指導者用デジタル教科書の効果
・1週間に3割以上の授業で活用している教員(36.6%)を
日常的活用群とし,3割未満の教員(63.4%)を非日常的活
用群とした。(対象:研修講座等の参加者172人)
・日常的活用群は,「拡大」「書き込み」「動画再生」を主に
活用し,児童生徒の興味・関心を高めたり,理解を助けた
りできると感じている。
・非日常的活用群は,ICT機器の環境が整っていないこと
や操作への不安を活用しない理由としていることが多い。
・児童生徒の興味・関心を高めることができる。
・課題を明確につかませることができる。
・分かりやすく説明したり,思考や理解を深め
たりすることができる。
・基礎的な知識の定着を図ることができる。
・特別支援教育の観点からも,視覚支援等の
効果が期待できる。
参考『教育の情報化に関する手引』
校内研修パッケージの開発・活用
○校内研修パッケージ開発
校内研修パッケージとは,「研修用スライド」「研修用シナ
リオ」「リーフレット」「ワークシート」及び「振り返りシート」
・操作体験と授業づくりの体験を取り入れる。
・どの教科書会社,教科,校種でも対応できる研修とする。
・少人数グループでの操作体験や協議を行う場面をもつ。
・「拡大」「書き込み」「動画再生」の三つの機能を体験する。
・特別支援教育の観点からもデジタル教科書の利点を具体
的に説明する。
○校内研修パッケージの活用
・協力委員所属校3校の校内研修
・総合教育センターの研修講座
校内研修パッケージの評価
・4件法による評価では,校内研修パッケージを活用することで,校内研修参加者と研修講座受講者
の96%がデジタル教科書を「分かる授業づくりにつながる」と回答した。
・自由記述からも,「事前に授業計画をしっかりと立て,効果的に授業活用したい」などの記述が見
られ,授業での活用につながる効果があったと考えられる。
研究の成果
4件法による評価や自由記述及び協力委員から聞き取った内容を基に,「指導者用デジタル教
科書校内研修パッケージ」を用いた校内研修を行うことは,授業での活用につながる効果があっ
たと考えられる。
【研究紀要編】http://www.edu‐ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14‐05.pdf
【校内研修パッケージ編】http://www. edu‐ctr.pref.okayama.jp/gakkoushien/jyouhou_kyouiku/digitaltext_2014/pack.html
研究番号
14-06
情報活用能力育成のための
授業実践リーフレットの開発と評価
研究の背景
●情報活用能力は,「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」
の三つの観点に整理されており,情報化が進展する21世紀を生き抜く生徒にとって情報活用
能力の育成が不可欠となっている。
研究の目的
●直面する課題や目的に適した情報手段の実践的,主体的な活用を学習活動
に取り入れることで,「情報活用の実践力」の育成につなげる。
○ 教育の情報化に関する手引
(文部科学省)
●「情報活用の実践力」を育成するための,教師への支援として「情報活用
能力育成のための授業実践リーフレット」を開発する。
研究の内容
● 「情報活用の実践力」を育成するための授業支援ツール
・シンキングツールを活用した実践事例を紹介
(高等学校:国語,生物,商業)
・タブレット端末の活用事例を掲載
○ 先行研究により定められた,
情報活用の実践力の育成に
関連する六つの力
情報活用の実践力を育てる指導・
支援のポイント
(岡山県総合教育センター
情報教育部,2011)
まとめる力
とらえる力
集める力
伝える力
形にする力
振り返る力
開発した授業実践リーフレット(一部)
評価(H27年度に実施)
● 岡山県内の高等学校等の抽出校において,校内研修・活用授業をした上でアンケート調査を実施し,
リーフレットの評価を行う。
http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/kiyou/h26/14-06.pdf
平成27年2⽉発⾏
岡⼭県総合教育センター 研究紀要
研究の概要
編集兼発⾏所
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〒716-1241
岡⼭県加賀郡吉備中央町吉川7545-11
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FAX (0866)56-9121
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