地域パートナーHOT 情報 〔山口県〕 「大内塗」 中野 伸二(地域経済課 係長) [email protected] TEL 082-224-5684 今回は、山口の伝統的工芸品「大内塗」を御紹介いたします。 西国一の守護大名として西日本一帯に力を誇った大内氏は、室町時代の14世紀半ば、 24代大内弘世の時代に山口に拠点を構え、一の坂川を京都の鴨川に見立て、京風のまち づくりを始め絢爛豪華な大内文化を開花させていました。街に縦横の街路をつくり、現在 でも「大路」 「小路」などの地名にその名残を留めています。 当時の文献「大内氏の掟書」(1485年)や「李朝実録」によ ると、大内氏が漆器を重要な輸出品の一つとして、山口で漆工芸が 盛んに行われていたことがわかります。漆器といえば黒い色が多い 中、 「大内塗」は地塗りの色が赤でも茶でもない「大内朱(古代朱) 」 を用いることが特徴です。そして、大内氏の家紋「大内菱」を図案 化したものを金箔で張り付けて、ハギ、ススキ、菊などの秋草文様 を色漆で描く伝統的な絵柄も特徴です。 また、「大内塗」の代表的な作品として「大内人形」 があります。山口の地に居を構えた24代大内弘世は 京から美しい花嫁を迎えましたが、花嫁が遠く華やか な都を恋しがり、毎日寂しがっていたところ、京から たくさんの人形師を呼び寄せ屋敷中を人形で飾ると、 花嫁はたいそう喜んだといわれています。町の人はそれを 「人形御殿」と呼び、弘世の愛妻家ぶりを伝えたといいま す。この物語が男女一対の「大内人形」の言われでもあり、 夫婦円満の象徴として広く愛されています。また、漆塗り の産地は全国各地にありますが、漆塗りの人形があること はとても珍しいようです。 旬レポ中国地域 2015 年 2 月号 1 また、 「大内塗」の漆器や大内人形を製造・販売している「(有)中村民芸社」さんでは、 新たな試みとして、山口県内の伝統的工芸品「萩焼」と「赤間硯」の連携による「山口陶 漆器」や、「大内塗の時計」、「大内塗のけん玉」なども手がけておられます。こうした新 たな取り組みが、消費者層を広げ、多くの方に「大内塗」の良さを 知ってもらい、産地の振興につながるものと期待しています。 けん玉 時計 山口陶漆器 この「大内塗」は、経済産業省の「伝統的工芸品」に指定されており、中国地域には 16 の産地が指定されています。当局では、これらの産地の振興に向けたお手伝いをしていま す。産地の振興に向けて、是非、皆様の身近な生活工芸品としても御活用いただければと 思います。 お雛様セット ○山口ふるさと伝承総合センター 山口県山口市下竪小路12 TEL:083-928-3333 http://y-densho.sblo.jp/ ※山口ふるさと伝承総合センターでは、「大内塗」の箸作りが体験できます。 ○(有)中村民芸社 山口県山口市大内御堀4138 TEL:083-927-0619 http://nakamuramingeisha.jimdo.com/ http://oouchinuri.soreccha.jp/ ○経済産業省指定「伝統的工芸品」に関するサイト http://kougeihin.jp/home.shtml http://kougeihin.jp/home13.shtml http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/ ※写真提供協力: 「山口市」 、「山口ふるさと伝承総合センター」、 「(有)中村民芸社」 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2015 年 2 月号 Copyright 2015 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 2
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