シニアPB(第2回)合格者体験談

2014 年 3 月
シニア PB 試験合格者体験談
1 月 31 日にシニア PB 筆記試験(投資政策書)結果第 2 回が発表され、シニア PB 資格取得者が
4 名認定されました。
協会では、これからシニア PB 資格取得を目指す皆様のご参考となると考え、第 1 回に続き合格
された 4 名にお話を伺いました。
(50 音順、敬称略)
大嶋康裕
CMA スクゥエアインベストメントマネジメント(投資助言業)
西崎一成
1 級 FP 技能士、CFP リスクマネジメント・ラボラトリー
(保険募集代理・金融商品仲介業)
深谷陽次郎 CMA 深谷陽次郎公認会計士事務所
安川弘司
1 級 FP 技能士、CFP
SMBC 日興証券
1.シニア PB 資格取得を目指した動機
深谷:2013 年の春に独立して、札幌で個人事務所を開業した。公認会計士と税理士であるととも
に、大学卒業後に証券会社での勤務が長く証券アナリストの資格を持っていたことから、これら
の知識や経験を富裕層の事業承継や財産の相続といった分野に活かしたいと考えていた。昨年開
業したタイミングで、PB 資格のことを「証券アナリストジャーナル」などで目にしたので、資格
としての魅力だけでなく、受験やその後の継続教育を通じて PB ビジネスに必要な知識をアップデ
ートできる良い機会ととらえて、受験を決めた。
安川:現在、京都でプライベートバンキング部に所属しており、主に上場企業オーナーから、相
続対策や資産運用、時には経営する事業会社の資本政策まで相談を受けることがある。上場企業
オーナーには、多くの金融機関からの様々な提案が集中しており、他社との差別化が必要である
と以前から考えていた。そのような時に、同僚からシニア PB 資格のことを聞き、興味を持った。
お客様に認めていただくということを考えると、早期に取得することが有効であると考えた。
大嶋:20 年を超す国内銀行や外資系銀行での投資銀行業務の経験をもとに、富裕層向けに投資助
言業を行うことを決意し、昨年、独立して金融商品取引業者登録をした。まだプライベートバン
カーとしての実務経験が浅い中、協会からの案内を見て体系的に実務に役立つスキルを学べる場
として、シニア PB 資格に挑戦した。
西崎:現在、独立系コンサルタント会社に所属しており、地方において医療関係者や地主ファミ
リーの資産運用コンサルティングを行っている。シニア PB 資格は現在の仕事と親和性が高く、と
ても役立つと考えて受験した。
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2.コンピュータ試験の受験準備
深谷:実務の延長として勉強を進めることができたので、基本は協会で推奨されている PB テキ
ストのみであった。信託については、それまで全く知らない世界だったが、たまたま資格の受験
勉強と同じタイミングで信託を活用した相続の提案を行う機会があり、非常に勉強がしやすかっ
た。このため、勉強時間については、仕事と勉強が切り分けづらく覚えていないが、PB テキスト
は2回ほど目を通した。コンピュータ試験の難易度が不明だったため、各単位ごとに3回に分け
て受験した。
安川:コンピュータ試験までの勉強期間は半年間だった。仕事と家庭に影響が出ないよう、平日
に限定し、毎晩帰宅後、1時間程度勉強した。まずは、メインテキストである「プライベートバ
ンキング
上・下巻」を 3 回ほど精読したが、過去問題がなく、出題傾向がつかめなかったため、
サブテキストや参考図書等にも目を通し、幅広く勉強した。テキストの内容は普段の業務に近い
ものであったため、大変興味深かった。単なる知識の詰め込みではなく、ノウハウそのものを体
系的に習得できた。
大嶋:基本となる PB テキスト上下巻を 3 回程読み込んだ。コンピュータ試験は 3 単位を 1 単位
毎に 1 週間ずつ空けて受験したので、それぞれの試験日前の 5 日間は、毎日 3 時間程度勉強した。
西崎:テキスト「プライベートバンキング
上・下巻」をアンダーラインを引きながら2回ほど
熟読した。第2、第3単位は、試験時間が各 120 分だったので同日に、180 分と時間の長い第 1
単位は翌週に受験した。アナリスト試験の過去問などにも対応できるように準備したが、複雑な
計算問題等はなかった。
3.筆記試験(投資政策書)
深谷:筆記試験申込に際しては、投資政策書でカバーすべき内容が分からなかったため、協会の
ホームページに掲載されているサンプルの投資政策書に目を通しておいた。後は、筆記試験の問
題が到着してからの調査に、かなり時間を費やした。まず、問題に添付されていた『投資政策書
作成に当ってのチェックポイント』を参考に、カバーすべき内容について、1つひとつ提案をま
とめていくように心掛けた。なお、筆記試験は、書籍やインターネットなど外部情報を活用する
ことが認められているとともに、提案書全体としての内容が合否判断に繋がるということで、と
ても実務的な試験方法だと感じている。
安川:問題が手元に届いてから、提出期限まで1カ月しかなく、コンピュータ試験の勉強よりも
苦労した。会社から帰宅後、毎晩2~3時間、勉強した。まずは、アナリスト協会の HP に参考と
して掲載されている、ケーススタディを読み込み投資政策書の構想を練った。その後、自社株の
評価や相続税の試算等について、複数の HP を参考にしながら具体的に検証していった。普段の業
務では、社内の専門部署に依頼している計算等も、全て自分で行ったため不慣れなことも多く、
考えていた以上に時間がかかった。
大嶋:投資政策書の書き方に関する協会主催の PB セミナーと、協会 HP に掲載されているケース
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スタディ 2 件を熟読した。また、自社株式評価法、税務、不動産関係については、必要に応じて
関連の専門書、WEB を参照して基礎力の充実に努めた。
昨年 12 月 7 日に試験問題を受領し、提出期限が今年 1 月 7 日だった。12 月中は仕事で忙殺さ
れていたため、年末年始の 5 日間に集中して答案作成にあたった。最初の 2 日間でデータの分析、
ワークシート(自社株式評価、第 1 次、第 2 次相続税を含むシナリオ別バランスシート)の作成を
行った。3 日目ではこれら計量的要因に、ケースの主人公ファミリーの持つ定性的、属人的側面
を含め最終的な提案の骨子を考え、4,5 日目で投資政策書を一気に書き上げた。
西崎:投資政策書の作成に当たり、第 1 回 PB スクールが大変参考になった。これに出席してい
なければ、合格点がとれる政策書が提出できたとは思えない。実際、投資政策書の作成は大変だ
った。期間が 1 ヵ月しかないので、あれこれ考えているうちにあっという間に時間が過ぎて、締
め切り間際になって何とか仕上げた。あとで読み返すとタイプミスなどもあり、これから受験す
る方には自戒も含めアドバイスしておきたい。
4.シニア PB 資格の活用
深谷:PB 業務は個人で開業する公認会計士にとって大いに活躍が可能な分野だと考えている。シ
ニア PB 資格が、お客様から見て相談相手として一定の知識や経験を有する証明となるよう、継続
教育に臨みたい。そして、PB 資格へのお客様の認知度が高まるよう普及にも努めていきたい。
なお、PB 資格では資格取得後の継続教育が重視されているが、私のような地方在住者はセミナ
ーへの参加機会がどうしても限られてしまうので、協会には、今後とも、セミナーの動画配信を
増やしてほしい。また、PB 資格保有者や関連する業務に従事する人達の情報交換の場も提供して
ほしい。
安川:今回の資格を取得したことをお客様に話したところ、予想以上に反応が大きく、シニア PB
資格に対する富裕層の期待が大きいことを実感している。今後は、継続教育の研修等にも積極的
に参加することで、常に最新の情報やノウハウを顧客に提供し、京都経済の発展の一助になりた
い。協会には、資格取得者の更なるスキル向上のため、継続教育の充実を要望する。また、金融
機関の拠点は全国にあるため、東京や大阪以外でも研修を受講できる機会を設けて頂ければ幸い
である。
大嶋:独立系の投資助言業者として、早速顧問先のケースを分析し、現在、投資政策書を作成し
ているところである。協会 HP のケーススタディにもあるように、兄弟間の仲の良し悪しや、事業
の成功に目に見えず貢献した人への思いなど、ファイナンスで定量化できない要素が実は PB の顧
客との心を開いた会話の中で初めて見えてくるものだと実感している。これらを全て受け止め、
顧客の夢を実現するためのベスト・ソリューションに向け、引続き切磋琢磨していきたい。
西崎:現在の仕事と密接に関係しているので、シニア PB 資格取得者として、その名に恥じぬよ
う、常にお客様に全体最適な提案をできるようにしていきたい。
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5.これからシニア PB 資格の取得を目指す人へ
深谷:これから受験する方には、多岐にわたる分野から非常に専門的な問題が出題されるが、実
務にも役立つ決して無駄にはならない勉強だと思うので、頑張ってほしい。
安川:先に述べたように、シニア PB 資格に対する富裕層の期待は高い。しかし、現在、あらゆ
る金融機関が、富裕層をターゲットにした様々な戦略を打ち出しており、既にこの市場はレッド
オーシャン化している。他社との差別化を図り、ブルーオーシャンを創造するためには、知識を
身に付けるという点においても、お客様に認めていただくという点においても、早期に資格を取
得することが望ましい。ただし、実務に携わっていなければ、投資政策書の作成はかなり難しい
ので、コンピュータ試験合格後は、協会 HP のケーススタディに目を通すなど、時間をかけて筆記
試験の準備をする必要がある。
大嶋:大手金融機関に属して PB 業務に携わっている方、それをバックで支える方、独立系 PB と、
立場は様々だと思われるが、PB は究極のところ人と人との関係である。高いレベルでの金融実務
知識、経験を前提として、顧客の問題点に対して部分最適に陥ることなく、顧客の掛り付け医的
な立場で全体的なソリューション提案力を磨くという目的意識を持って目指すとよいと思う。
西崎:早く資格を取得した方が、いわば創業利益があると思う。以前に CFP 資格も取得している
が、シニア PB の方が富裕層ビジネスに特化しているだけにより実践的な資格だと思う。
以
4
上