第5章 地域支援事業の展開

第5章
第5章
地域支援事業の展開
地域支援事業の展開
第1節 新しい地域支援事業の枠組み
地域支援事業は、高齢者の能力を最大限活かしつつ、多様なサービスを提供するた
めの新たな枠組みとなります。また、予防給付のうち訪問介護・通所介護は、市町村
が地域の実情に応じ、多様な主体による柔軟な取り組みにより、効果的・効率的にサ
ービス提供できるよう地域支援事業に移行されます。
■法改正による新しい地域支援事業の枠組み
【改正前】
【改正後】
介護給付(要介護1~5)
介護予防給付
(要支援1~2)
介護給付(要介護1~5)
訪問看護
福祉用具等
介護予防給付(要支援1~2)
訪問介護
通所介護
介護予防・日常生活支援総合事業
▷介護予防・生活支援サービス事業
・訪問型サービス
・通所型サービス
・その他の生活支援サービス
・介護予防ケアマネジメント
▷一般介護予防事業
介護予防事業
▷二次予防事業
▷一次予防事業
地
域
支
援
事
業
包括的支援事業
▷地域包括支援センターの運営
・介護予防ケアマネジメント
・総合相談支援業務
・権利擁護業務
・ケアマネジメント支援
包括的支援事業
▷地域包括支援センターの運営
・左記業務
・地域ケア会議の充実
▷在宅医療・介護連携の推進
▷認知症施策の推進
▷生活支援サービスの体制整備
任意事業
▷介護給付費適正化事業
▷家族介護支援事業
▷その他の事業
任意事業
▷介護給付費適正化事業
▷家族介護支援事業
▷その他の事業
85
地
域
支
援
事
業
第5章
地域支援事業の展開
■坂戸市における新しい地域支援事業
第5期計画
介護予防事業
▷一次予防事業
第6期計画
事業名
介護予防・日常生活総合支援事業
▷介護予防・生活支援サービス事業
新規
▷二次予防事業
※現行の一次予防事業・二次予防事業は「介護
予防・日常生活総合支援事業へ移行します。
の事業については、旧事業体系から新事
業体系への移行を段階的に実施します。
事業開始年度等
▷一般介護予防事業
新規
・訪問型介護予防事業
・通所型介護予防事業
・その他の生活支援サービス
・介護予防ケアマネジメント
・訪問型サービス
・通所型サービス
・二次予防事業の対象者把握事業
・介護予防普及啓発事業
・地域介護予防活動支援事業
・二次予防事業評価事業
・地域リハビリテーション活動支援事業
・介護予防把握事業
新規
新規
新規
H29.4から完全実施
継続して実施
継続して実施
・一般介護予防事業評価事業
新規
H29.4から完全実施
包括的支援事業
▷地域包括支援センター設置・運営事業
▷地域包括支援センター設置・運営事業
▷虐待の防止や早期発見
▷在宅医療・介護連携の推進
▷認知症施策の推進
▷生活支援サービスの体制整備
・介護予防ケアマネジメント
・総合相談支援業務
・権利擁護業務(高齢者障害者虐待ネットワーク)
・包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
・地域ケア会議の充実
・地域の医療・福祉資源の把握
・在宅医療・介護連携の課題と抽出の対応の協議
・在宅医療・介護連携に関する相談の受付等
・在宅医療・介護サービス等の情報の共有支援
新規
新規
継続して実施
・在宅医療・介護関係者の研修
・ 24時間365日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築
・地域住民への普及啓発
・二次医療圏内・関係市町村の連携
・認知症地域支援推進員の設置
・認知症初期集中支援
・認知症ケアパスの作成
新規
新規
・生活支援コーディネーターの配置
新規
継続して実施
H29.4から完全実施
継続して実施
H29.4から完全実施
任意事業
▷介護給付費適正化事業
▷介護給付費適正化事業
・介護保険事業者支援事業
・給付適正化事業
継続して実施
▷家族介護支援事業
▷家族介護支援事業
・家族介護支援事業
・家族介護慰労金支給事業
継続して実施
▷その他の事業
▷その他の事業
・認知症関連事業
徘徊高齢者家族支援事業
見守りキーホルダー事業
介護マーク事業
認知症啓発事業
・成年後見制度利用支援事業
成年後見制度利用支援事業
市民後見人養成事業
・高齢者見守り事業
配食サービス事業
高齢者・障害者等見守りネットワーク
87
継続して実施
第5章
地域支援事業の展開
第2節 介護予防・日常生活支援総合事業
すべての団塊の世代が 75 歳以上となる平成 37(2025)年に向け、単身高齢者
世帯、高齢者夫婦のみ世帯や認知症高齢者の増加が予想されるなか、住み慣れた地域
で暮らし続けることができるようにするため、介護だけではなく医療や予防、生活支
援、住まいを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が重要な課題となってい
ます。
このような現状を踏まえ、介護予防においては、生活環境の調整や、地域の中で生
きがいや役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど、高齢者を取り巻く
環境も含めた、バランスのとれたアプローチが重要になってきます。
新しい介護予防・日常生活支援総合事業では、円滑な事業の移行により、住民主体
の多様なサービスの充実により安心できる在宅生活が送れるよう、効果的な介護予防
ケアマネジメントと自立支援に向けたサービス展開による要支援状態からの自立の促
進や重度化予防の推進等を実施します。
1.介護予防・生活支援サービス事業
(1)訪問型サービス
従来の身体介護・生活介護を行う訪問介護に加え、NPO、民間事業者、ボランティ
アなど多様な事業主体の参入を促進し、多様な生活支援を提供します。
(2)通所型サービス
従来の機能訓練を行う通所介護に加え、NPO、民間事業者、ボランティアなど多様
な事業主体の参入を促進し、多様な通いの場を提供します。
(3)その他の生活支援サービス
栄養改善を目的とした配食や、住民ボランティアによる見守り等を実施します。
(4)介護予防ケアマネジメント
地域包括支援センターが要支援認定を受けた者や基本チェックリスト(※P93 参考
資料参照)該当者に対してアセスメントを行い、その状態や置かれている環境等に応
じて、本人が自立した生活を送ることができるようケアプランを作成します。
89
第5章 地域支援事業の展開
現状
◇多様な主体による訪問型サービス、通所型サービスに向けて、地域資源の掘り起
しが重要課題となります。
計画の方針
○介護保険制度の改正に伴い、これまで国で一律に決められていた要支援認定者へ
の訪問介護・通所介護サービスが、市の独自事業として位置づけられます。その
ため、これまでの介護保険サービスの枠にとらわれず、その地域の既存サービス
の活用や、利用者のニーズにあったサービスを創設し、新しいサービスの給付体
制を構築します。
サービス量
■介護予防・生活支援サービス
見込値
年度
平成 27
内容
※1
平成 28
平成 29
現行と同様
-
861
1,726
短期集中サービス
-
12
12
緩和した基準によるサービス
-
住民主体による支援
-
移動支援
-
現行と同様※1
-
1,018
2,238
通所型サービス
短期集中サービス
-
2,504
2,629
(単位:利用延人数/年)
緩和した基準によるサービス
-
住民主体による支援
-
配食
-
見守り
-
訪問型サービス
(単位:利用延人数/年)
その他の生活支援サービス
(単位:利用者/年)
※2
一体型
-
介護予防ケアマネジメント(単位:利用延人数/年)
-
サービス内容や主体
について検討していく
サービス内容や主体
について検討していく
42
サービス内容や主体
について検討していく
5,472
※1:現行の訪問介護事業者や通所事業者等によるサービス
※2:一体型とは訪問型サービス及び通所型サービスの一体的提供等
90
46
5,748
第5章
地域支援事業の展開
2.一般介護予防事業
(1)介護予防把握事業
一般介護予防事業の対象者※に、通所または訪問により、要介護状態等となることの
予防を目的として介護予防に資する事業を実施します。
(2)介護予防普及啓発事業
介護予防に関する普及啓発のためのパンフレット等の作成・配布、有識者等による
講演会・教室を開催します。
(3)地域介護予防活動支援事業
介護予防に関するボランティア等の人材育成や地域活動組織の育成・支援を行います。
(4)一般介護予防事業評価事業
介護予防事業の達成状況等を検証し、一般介護予防事業の事業評価を実施します。
(5)地域リハビリテーション活動支援事業
地域における介護予防の取組を機能強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、
サービス担当者会議、住民運営の通いの場等へのリハビリテーション専門職等の関与
を促進します。
※一般介護予防事業の対象者:全ての高齢者及びその支援のための活動に関わる方です。
現状
◇平成 25 年度に実施した、日常生活圏域ニーズ調査では、介護認定を受けていな
い方で二次予防事業対象者に該当する方は 21.4%となっており、第5期計画策
定時の調査結果と比較すると 4.0 ポイント増加しています。
◇日常生活圏域ニーズ調査より「介護が必要になった主な原因」の設問で「高齢に
よる衰弱」(24.8%)が第1位、「脳卒中(脳出血・脳梗塞等)」(13.2%)が第
2位、「骨折・転倒」(13.2%)が第3位となっている現状を踏まえて、栄養改善
や転倒予防などの介護予防の重要性について啓発していく必要があります。
◇事業の実施状況及び効果に関する評価をより適切に行うためには、さらに参加者
を増加させる必要があります。
計画の方針
○これまでの一次予防事業と二次予防事業を区別せずに、地域の実情に応じた効果
的・効率的な介護予防の取り組みを推進するため、現行の介護予防事業を「介護
予防・日常生活総合支援事業」へと段階的に移行します。
○老人クラブ、老人福祉センター、社会福祉協議会、公民館、地域活動組織等の関
係機関との連携を図るとともに、生きがいづくり事業や健康増進事業等との関連
を深めながら、効果的な事業の展開に努めます。
91
第5章 地域支援事業の展開
参考資料
■介護予防対象者把握事業
実績値
年度
内容
平成 24
見込値
平成 25
平成 26
高齢者人口(人)
22,076
23,577
24,859
二次予防事業対象者把握数(人)
11,551
12,380
8,308
2,536
2,604
1,801
100
139
140
二次予防事業対象者決定者数(人)
二次予防事業参加者実人数(人)
※二次予防事業対象者把握事業:平成 27 年度以降は郵送による把握は行わない。
■通所型介護予防
実績値
年度
内容
見込値
平成 24 平成 25 平成 26 平成 27 平成 28 平成 29
実施回数(回)
運動器の機能向上
265
419
420
430
1,448
1,988
2,000
2,200
6
6
6
6
12
16
20
25
6
6
6
6
参加延人数(人)
32
71
80
90
実施回数(回)
12
12
12
12
参加延人数(人)
77
52
60
70
参加延人数(人)
実施回数(回)
栄養改善
参加延人数(人)
実施回数(回)
口腔機能の向上
運動・口腔複合プログラム
総合事業へ
移行
※二次予防事業の対象者に対してのプログラム
■介護予防普及啓発事業
年度
内容
実施回数(回)
参加者延人数(人)
実績値
平成 24
見込値
平成 25
平成 26
平成 27
平成 28
平成 29
94
113
130
322
370
418
1,333
1,979
2,292
6,140
6,620
7,100
※平成 24 年度~平成 27 年度は一次予防事業の対象者に対してのプログラム
92
第5章
地域支援事業の展開
■介護予防・日常生活総合支援事業の対象者を判断するための基本チェックリスト
№
回答:いずれかに
○をお付け下さい
質問項目
1
バスや電車で 1 人で外出していますか
0 .はい
1 .いいえ
2
日用品の買物をしていますか
0 .はい
1 .いいえ
3
預貯金の出し入れをしていますか
0 .はい
1 .いいえ
4
友人の家を訪ねていますか
0 .はい
1 .いいえ
5
家族や友人の相談にのっていますか
0 .はい
1 .いいえ
6
階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
0 .はい
1 .いいえ
7
椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
0 .はい
1 .いいえ
8
15 分位続けて歩いていますか
0 .はい
1 .いいえ
9
この 1 年間に転んだことがありますか
1 .はい
0 .いいえ
10
転倒に対する不安は大きいですか
1 .はい
0 .いいえ
11
6 ヵ月間で 2 ~3 kg 以上の体重減少がありましたか
1 .はい
0 .いいえ
12
身長
13
半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
1 .はい
0 .いいえ
14
お茶や汁物等でむせることがありますか
1 .はい
0 .いいえ
15
口の渇きが気になりますか
1 .はい
0 .いいえ
16
週に1回以上は外出していますか
0 .はい
1 .いいえ
17
昨年と比べて外出の回数が減っていますか
1 .はい
0 .いいえ
18
周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
1 .はい
0 .いいえ
19
自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
0 .はい
1 .いいえ
20
今日が何月何日かわからない時がありますか
1 .はい
0 .いいえ
21
(ここ 2 週間)毎日の生活に充実感がない
1 .はい
0 .いいえ
22
(ここ 2 週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
1 .はい
0 .いいえ
23
(ここ 2 週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
1 .はい
0 .いいえ
24
(ここ 2 週間)自分が役に立つ人間だと思えない
1 .はい
0 .いいえ
25
(ここ 2 週間)わけもなく疲れたような感じがする
1 .はい
0 .いいえ
cm
体重
kg
(BMI=
)(※)
(※)BMI=体重 (kg) ÷身長 (m) ÷身長 (m) が 18.5 未満の場合に該当とする。
■事業対象者に該当する基準
①№1~20 までの 20 項目のうち 10 項目以上に該当
(複数の項目に支障)
②№6~10 までの5項目のうち3項目以上に該当
(運動機能の低下)
③№11~12 の2項目のすべてに該当
(低栄養状態)
④№13~15 までの3項目のうち2項目以上に該当
(口腔機能の低下)
⑤№16~17 の2項目のうち№16 に該当
(閉じこもり)
⑥№18~20 までの3項目のうちいずれか1項目以上に該当
(認知機能の低下)
⑦№21~25 までの5項目のうち2項目以上に該当
(うつ病の可能性)
93
第5章 地域支援事業の展開
第3節 包括的支援事業
1.地域包括支援センター設置・運営事業
(1)介護予防ケアマネジメント
要支援・要介護状態となることを予防するため、介護予防事業、その他の適切な事業
が包括的かつ効率的に実施できるよう必要な支援を行います。
(2)総合相談支援業務
地域の高齢者の相談に応じ、状態にあった支援やサービスにつなげるなどの支援を
行います。
(3)権利擁護業務
高齢者の虐待の防止や早期発見、成年後見制度の活用など権利擁護に関する業務を
行います。
高齢者虐待については、早期対応できるよう関係機関が連携し適切な施策の促進を
図るため「坂戸市高齢者障害者虐待防止ネットワーク」の充実を図ります。
また、埼玉弁護士会及び(社)埼玉県社会福祉士会で組織する「高齢者虐待対応専
門職チーム」と連携し、迅速かつ的確な虐待対応がとれる体制整備を継続します。
(4)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
支援困難事例に関するケアマネジャー等への助言や継続的な支援を行うとともに、
地域における連携・協働の体制づくり等を行います。
(5)地域ケア会議の充実
地域ケア会議を通じて、医療・介護等の多職種が協働して知識や情報、地域課題を
共有・把握し、地域支援ネットワークの構築を推進するとともに、問題解決機能の向
上を図ります。
現状
◇平成 26 年度現在、4つの日常生活圏域に1か所ごとの設置及び市直営の5か所
の地域包括支援センターが設置されています。
◇今後の高齢者人口の増加への対応及び地域包括ケアシステムの中核を担う機関と
し、更なる相談支援体制の充実が課題です。
計画の方針
○日常生活圏域を基本として、各圏域を所管する地域包括支援センターと総合的な
支援を行う市の基幹型機能を確保し、連携して効果的な運営を図ります。
○地域包括支援センター職員の増員などにより充実を図ります。
94
第5章
地域支援事業の展開
2.在宅医療・介護連携の推進
坂戸鶴ヶ島医師会や介護保険関係事業所等と連携し、在宅医療や介護が滞りなく実
施でき、地域包括ケアシステムの充実が図られるように推進します。
(1)地域の医療・福祉資源の把握
医療・介護にまたがる支援を包括的かつ継続的に提供することができるよう、地域の
医療・福祉資源を把握します。
(2)在宅医療・介護連携の課題と抽出の対応の協議
地域の医療・介護関係者による協議の場を定期的に開催し、在宅医療における連携
上の課題の抽出及びその対応策の検討を実施します。
(3)在宅医療・介護連携に関する相談の受付等
在宅医療の連携に関する調整窓口を設置し、在宅医療と介護連携を推進します。
(4)在宅医療・介護サービス等の情報の共有支援
在宅医療・介護サービスの連携において、共有すべき情報の検討を行い、必要な情
報を必要な時に共有することができる仕組みの構築を図ります。
(5)在宅医療・介護関係者の研修
医療・福祉分野の職種の質の向上のための研修や多職種協働による在宅チーム医療を
担う人材を育成するための研修を行います。
(6)24 時間 365 日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築
在宅医療や介護を利用している患者や利用者の緊急の相談等に対応できるよう、医
療機関や訪問看護事業所、介護事業所間の連携により、24 時間連絡を受けられる体
制または往診や訪問看護、介護サービス等を提供できる体制を整備します。
95
第5章 地域支援事業の展開
(7)地域住民への普及啓発
在宅医療やその機能等を広く地域住民に紹介し、地域医療の周知を図ります。
(8)二次医療圏内・関係市町村の連携
二次医療圏内・関係市町村との連携を強化し、適切な医療・介護サービスの提供を
図ります。
現状
◇すべての団塊の世代が 75 歳となる 2025 年には、在宅で医療・介護を必要とす
る高齢者の増加が推測されます。特に、単身高齢者、認知症高齢者が増加し、地
域包括ケアシステムの実現のためには、医療と介護の連携が重要であり、在宅医
療・介護の提供体制の充実と医療・介護連携の推進が必要となります。
◇特に、退院後、在宅復帰を円滑につなげることや、再入院をできる限り防ぎ在宅
生活を継続するため、在宅医療・介護の連携強化が求められています。
◇在宅医療については日常生活圏域内での体制を整える必要があります。
計画の方針
○在宅医療・介護連携推進のためには、医療機関及び介護機関双方の理解促進を進
める必要があり、地域包括ケアシステム理念のもと多職種連携を推進します。
○高齢者の方が日常生活の中で、医療と介護を意識することなく円滑に利用できる
仕組みを構築します。
○地域包括支援センターにおいては、在宅医療と介護連携のコーディネート機能を
強化・充実するため人材育成に努めます。
3.認知症施策の推進
「認知症施策推進 5 ヵ年計画」(オレンジプラン)では、認知症の高齢者を早期に
発見することで適切な医療や介護のケアを開始し、住み慣れた地域で暮らし続けてい
けるよう、施設から在宅介護への方向性を示しています。
認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で
暮らし続けることができる社会の実現をめざすため、地域の実情に応じた認知症施策
の推進を図ります。
96
第5章
地域支援事業の展開
現状
◇厚生労働省研究班によると、全国の認知症高齢者数は平成 24 年時点で約 462 万
人、認知症を発症する前段階とみられる軽度認知障害の 400 万人を含めると 65
歳以上人口の約 30%と推計されています。今後、急速な高齢化の進展に伴って
認知症高齢者の増加が見込まれます。
◇認知症の早期発見・早期対応や認知症高齢者を介護する家族への支援、地域のネ
ットワークづくりなど、総合的な認知症施策の推進に取り組むことが課題となっ
ています。
※
■要介護(支援)認定者数と認知症日常生活自立度Ⅱ 以上の要介護(支援)認定者数の実績と推計
年度
区分
実績値
推計値
平成24
平成25
平成26
平成27
平成28
平成29
平成37
認定者数(全体) (人)
2,840
3,098
3,236
3,390
3,578
3,826
5,604
認知症日常生活自立度Ⅱ以上の
認定者数 (人)
1,630
1,760
1,864
1,876
1,967
2,086
3,127
57.4
56.8
57.6
55.3
55.0
54.5
55.8
認定者数(全体)に占める
認知症Ⅱ以上の割合 (%)
資料:坂戸市役所高齢者福祉課(各年10月1日現在)
※認知症日常生活自立度:高齢者の認知症の程度を踏まえ、自立~M の8段階のランクにより日常生
活自立度の程度を表すものです。ランクが高くなるにつれて日常生活の自立度が低くなります。
Ⅰは何らかの認知症を有していますが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している状態です。
Ⅱ以上になると日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られます。
計画の方針
○認知症に対する正しい知識や理解を深め、認知症予防を図るために地域の学習会
などと連携した普及啓発活動に努めます。
○認知症高齢者やその家族等の集いの場や交流の場の提供について検討します。
○地域の実情に応じた認知症施策の企画調整等を行うために、地域包括支援センタ
ーに「認知症地域支援推進員」を設置し、体制の強化を図ります。
○認知症の専門医療機関の整備を促進し、認知症の早期診断・早期対応に向けた、
「認知症初期集中支援チーム」の設置を検討します。
○認知症疾患医療センターとの連携を強化し、地域包括支援センター職員の認知症
高齢者の対応力等の向上を図ります。
○認知症高齢者とその家族ができる限り住み慣れた自宅で生活を続けることができ
るよう、認知症と疑われる症状が発生した場合に、状態に応じた適切なサービス
提供の流れを示した、「認知症ケアパス」の作成と普及を図ります。
97
第5章 地域支援事業の展開
4.生活支援サービスの体制整備
高齢者が地域とのつながりや生きがいを持ちながら暮らしていくために、日常生活
を支えていく生活支援サービスの体制を整備します。
現状
◇一人暮らしの高齢者において、日常生活における自立度や社会参加の割合が比較
的低くなっています。
◇高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯、認知症の高齢者が増加する中、高齢者
が地域で生活を継続するためには、多様な生活支援サービスを地域で整備してい
くことが必要です。
計画の方針
○生活支援サービスの体制整備に向けて、地域資源や生活支援ニーズの把握を行い
ます。
○多様な関係機関の定期的な情報共有及び連携・協働による取り組みを推進するた
めの協議体を設置します。
○生活支援の担い手の養成やサービスの開発等をコーディネートする、生活支援コ
ーディネーター(地域支え合い推進員)を育成・配置し、高齢者の生活支援・介
護予防サービスの提供体制の構築を図ります。
98
第5章
地域支援事業の展開
第4節 任意事業
1.介護給付費適正化事業
(1)介護保険事業者支援事業
介護保険サービスの質の向上及び充実を図るため、介護サービス事業者に対する集団
指導を行うとともに、ケアマネジャーを対象とした研修会を実施し、資質の向上に努め
ます。また、介護サービス事業所に対する実地指導等を通じ、事業運営に係る理解を促
進し、介護サービスの質の向上と介護給付の適正化を図ります。
現状
◇利用者への適切なサービスの提供が求められています。関係機関との連携のも
と、適切なサービスを継続的に提供していくための方策が必要となります。
◇利用者等からの意見・要望も多様化しており、的確な把握と迅速な対応が求めら
れます。
計画の方針
○介護保険事業者支援として、下記の項目について取り組みます。
指導監督に関する取り組み(利用者等からの意見・要望の適切な把握と分析、
集団指導・実地指導等)
制度の周知
研修会の開催
(2)給付適正化事業
介護保険事業の健全な運営に資するため、介護保険制度の趣旨を踏まえて、適切な
サービス提供、給付、請求が行われているか指導を行い、制度に対する信頼性と利用
者に対する適切な介護サービスの確保に努めます。また、国保連合会と連携を図り、
適正化システムを活用し、過剰なサービスの抑制に努めます。
現状
◇金額的効果が明確であり、今後も継続して実施することにより効果が期待できます。
◇医療制度と介護給付の整合性を図るため、専門的知識が必要となります。
99
第5章 地域支援事業の展開
計画の方針
○要介護認定や給付の適正化等に対し、下記の内容について取り組みます。
要介護認定の適正化(認定調査状況チェック)
・ケアプランの点検(ケアマネジメントの適正化)
・住宅改修等の点検、福祉用具購入・貸与の調査
・縦覧点検、医療情報との突合
・介護給付費通知
2.家族介護支援事業
(1)家族介護教室
在宅生活で大切な役割を担う介護家族等を対象に、介護知識・技術を学びながら相互
の交流を図るために実施しています。
現状
◇各地域包括支援センターに業務委託を行い、それぞれ家族介護に向けたテーマを
定めて実施しています。
計画の方針
○要介護高齢者の家族等が介護に必要な知識を学び相互の交流を図るために必要な
事業であり、今後も継続して実施します。
○今後は、家族介護教室を通して介護家族同士の交流機会や、継続的に介護家族の
支えとなる家族会組織等への促進に配慮することが必要です。
サービス量
■家族介護教室
年度
内容
実施回数(回)
実績値
平成 24
7
見込値
平成 25
10
100
平成 26
9
平成 27
10
平成 28
14
平成 29
18
第5章
地域支援事業の展開
(2)家族介護慰労金支給事業
要介護4、5と認定された在宅生活の方で、過去1年間介護保険サービス(1週間以
内のショートステイは除く)を利用していない場合に、その方を介護している家族に手
当を支給します。本人及び家族全員の市民税が非課税の方が対象になります。
現状
◇家族状況等の事情から、ケースによっては必要性が高く、在宅介護を支援する事業
となっています。
計画の方針
○在宅の重度の高齢者を介護している家族に、慰労金を支給することにより、在宅
介護の支援を図ります。
サービス量
■家族介護慰労金支給事業
実績値
年度
内容
平成 24
利用者(人)
0
見込値
平成 25
0
平成 26
2
平成 27
4
平成 28
6
平成 29
8
3.その他事業
(1)認知症関連事業
①徘徊高齢者家族支援事業
要介護1~5と認定された認知症による徘徊症状のある高齢者が所在不明となった場
合、早期に発見できるように位置探索機能を備えた携帯端末機器を貸与します。
現状
◇個別のケースによっては必要性が高く、本人及び家族への支援と精神的負担の軽減
につながっており、引き続き継続することが必要です。
計画の方針
○要介護高齢者を介護している家族等の身体的・精神的・経済的負担の軽減と、徘
101
第5章 地域支援事業の展開
徊高齢者の在宅生活の支援を図るために継続して実施します。
サービス量
■徘徊高齢者家族支援事業
年度
内容
利用者(人)
実績値
平成 24
見込値
平成 25
2
平成 26
1
2
平成 27
平成 28
3
4
平成 29
5
②高齢者見守りキーホルダー配付事業
個人識別用の番号と市役所連絡先を印字したキーホルダーを認知症状がある希望高齢者
に配付します。
現状
◇認知症高齢者の増加にともない、徘徊等による行方不明となるケースが多くなっ
ています。
計画の方針
○見守りキーホルダーを所持した高齢者が警察等に保護された場合、キーホルダー
に印字した連絡先に照会することで高齢者の家族等の関係者へつなげる仕組みを
実施します。
サービス量
■高齢者見守りキーホルダー配付事業
実績値
年度
内容
配付件数(件)
平成 24
見込値
平成 25
-
平成 26
-
102
50
平成 27
500
平成 28
500
平成 29
500
第5章
地域支援事業の展開
③介護マーク事業
介護を行っていることを周囲に理解してもらうため、在宅で介護する者に対して介
護マークを交付します。
現状
◇高齢者が在宅で安心した生活を継続するためには、周囲の理解が不可欠です。
計画の方針
○介護マークを交付し、介護を行っていることを周囲に理解してもらうことで、介
護者の精神的な負担軽減を図ります。
サービス量
■介護マーク事業
年度
内容
交付件数(件)
実績値
平成 24
見込値
平成 25
-
平成 26
-
103
10
平成 27
15
平成 28
20
平成 29
25
第5章 地域支援事業の展開
④認知症啓発事業
認知症高齢者が地域で安心して暮らせる環境を作るため、認知症を正しく理解して
いただくための啓発活動を行います。
現状
◇認知症に関する相談件数が増加する傾向にあります。認知症の方が住みなれた地
域で安心して生活できるよう支援するためには、地域の関係機関との連携や地域
住民の理解が重要であり、認知症への理解を図る機会を講座開催などで周知して
いく必要があります。
計画の方針
○認知症サポーター養成講座等を継続し、さらに認知症に関する広報・啓発活動を
図っていきます。
○高度な医学的見地を有する埼玉県認知症疾患医療センターと連携し、認知症に関
する正しい知識や理解の普及啓発を日常生活圏域ごとに計画的に実施します。
○坂戸鶴ヶ島医師会、坂戸鶴ヶ島歯科医師会、坂戸鶴ヶ島市薬剤師会、鶴ヶ島市、
坂戸市で共催している認知症市民公開講座を継続して実施し、認知症理解普及に
つなげます。
サービス量
■認知症サポーター養成講座
年度
内容
実績値
平成 24
見込値
平成 25
平成 26
平成 27
平成 28
平成 29
参加者数(人)
260
263
250
250
250
250
開催回数(回)
8
10
10
10
10
10
■認知症疾患医療センター共催事業
実績値
年度
内容
実施件数(件)
平成 24
見込値
平成 25
-
平成 26
-
104
4
平成 27
4
平成 28
6
平成 29
8
第5章
地域支援事業の展開
(2)成年後見制度利用支援事業
①成年後見制度利用支援事業
判断能力が不十分な認知症高齢者等に対し、市長による申立て、成年後見人等への報
酬助成等、成年後見制度の利用を支援することにより、認知症高齢者等の自立の援助と
福祉の増進を図ります。
現状
◇親族等による申立てが困難な認知症高齢者等にとっては、必要な事業です。
計画の方針
○認知症高齢者の状況把握に努め、成年後見制度の活用による権利擁護を進めると
ともに、制度の適正な運用を図ります。
サービス量
■成年後見制度利用支援事業(市長申立)
実績値
年度
内容
利用者(人)
平成 24
0
見込値
平成 25
1
平成 26
4
平成 27
7
平成 28
平成 29
10
13
②市民後見人養成事業
市民後見人を養成し、活用を図ることによって高齢者の権利擁護を推進します。
現状
◇認知症高齢者や親族等による成年後見の困難な高齢者が増加することが見込まれ、
介護サービス利用契約の支援などを中心に、成年後見の担い手として市民の役割が
強まると考えられます。
105
第5章 地域支援事業の展開
計画の方針
○市民後見人としての業務を適正に行うために必要な知識・技術・社会規範・倫理
性が習得できるよう、研修カリキュラムを策定し、実施します。
○市民後見人を必要とする高齢者や市民後見人に対して、専門職等による支援や相
談体制の構築を図ります。
(3)高齢者見守り事業
①配食サービス事業
食事の支度が困難な 65 歳以上の一人暮らしの方又は高齢者世帯の方を対象として、
昼食(週4食以内)の配食サービスを行うとともに安否確認を行います。
現状
◇関係機関との連携を図りながら、栄養のバランスのとれた食事の提供をしていくと
ともに対象者の安否確認を行う必要があります。
計画の方針
○食事の支度が困難な在宅の高齢者に、栄養バランスのとれた食事を提供することによ
り、食生活の改善及び健康の増進を図るとともに、対象者の安否確認を行います。
サービス量
■配食サービス事業
年度
内容
実績値
平成 24
見込値
平成 25
平成 26
平成 27
平成 28
平成 29
利用者(人)
116
132
148
164
138
150
配食数(食)
10,189
11,344
12,860
14,250
11,990
13,040
106
第5章
地域支援事業の展開
②高齢者・障害者等見守りネットワーク
社会から孤立し支援が必要な方や、認知症や障害によって支援が必要な方を早期に発
見し適切な対応につなげることを目的としたネットワークを充実させます。
現状
◇核家族化や都市化の進行により、社会から孤立している高齢者が増加しています。
計画の方針
○地域で見守りを受けながら安心して生活していけるよう支えるため、公的機関や民
間事業所、地域住民などの連携を充実させます。
サービス量
■構成団体
実績値
年度
平成 24
内容
見込値
平成 25
平成 26
平成 27
平成 28
平成 29
関係団体(団体)
-
14
14
14
14
14
協力事業所(事業所)
-
71
75
80
85
90
■高齢者・障害者等見守りネットワーク(イメージ図)
警察・消防
医療機関
水道・ガス・電気
金融機関
保健所
近隣住民
個人商店等
認知症
キャラバンメイト
サポーター
新聞販売店
介護保険事業所
地域包括
支援センター
自治会
高齢者
郵便
障害者相談
支援センター
民生委員
障害者
NPO
ケアマネジャー
家族
老人クラブ
ボランティアグループ
坂戸市役所
107
配食事業者
社会福祉協議会