糖尿病増大・進展抑制医療機器の開発 - MEDIC 医工連携による医療;pdf

糖尿病増大・進展抑制医療機器の開発
-治療薬との併用による慢性疾患への
新たなアプローチと事業化への道のり-
= 医工連携事業化推進事業を振返って =
2015年3月25日
つちやゴム株式会社
Bio Metronome開発の歴史
2002年~
Bio Metronome 原器 開発
熊本大学(薬学部)
甲斐教授と共同研究開始
Bio Metronome原器
2006年~
熊本大学(医学部)
荒木教授、近藤助教も参画
2008年~
臨床研究開始
Bio Metronome D1200
Bio Metronome D1200 開発
Bio Metronome共同開発体制:早い段階で核となるメンバーは揃った
熊本大学(薬)
大学院 生命科学研究部
遺伝子機能応用学
甲斐広文教授
・基礎研究
・安全性評価
・知財権強化
・作用機序解明
基礎
臨床
熊本大学(医)
大学院 生命科学研究部
代謝内科学
販 売ルート
荒木栄一教授
近藤龍也助教
・臨床研究
顧客
つちやゴム㈱
医療機器製造業許可
43BZ200001
・機器・導電パッド開発
熊本県産業技術
センター
・電磁波シールドゴム
共同開発
・技術相談、指導
販売業
機器製造
メーカー
国内外の
糖尿病関
連医療機
関に向けた
事業展開
臨床的有用性と作用メカニズム
平成24〜26年度 医工連携事業化推進事業
「糖尿病増大・進展の解決のための非侵襲型医療機器の開発」
本臨床研究の目的は、
1.肥満2型糖尿病患者に対して男女を問わず、
MES+HSの臨床効果が確認できるか、
2. DPP-4阻害薬との併用有無により有効性に
違いがあるか、
3.週に2回、4回、7回の群を設けてどの回数が
最も有効か、
を検討するものである。
医工連携事業化推進事業
温熱と微弱電流同時印加 (MES+HS)による糖代謝改善効果の検証
(対象)
i) 腹部周囲径 男性85 cm、女性90 cm以上
ii) HbA1c (NGSP) 7.0 % 〜 9.3 %
(方法)
+
1) DPP-4阻害薬以外で治療中
2) DPP-4阻害薬含んで治療中
MES+HS
週2回 or 4回 or 7回、1回60分、42℃
0週目
(機器)
空腹時採血/尿検査
身体組成
腹部CT
12週目
空腹時採血/尿検査
身体組成
腹部CT
腹部に直接巻いて施行します
平成24~26年度 医工連携事業化推進事業
「糖尿病増大・進展の解決のための非侵襲型医療機器の開発」
臨床評価(2014年末までの結果報告)
対象患者背景
• 対象2型糖尿病患者数 63例
(男性43名 女性20名)
• 2014末までに介入完遂した患者数 45
(男性31名 女性14名)
•
•
•
•
•
•
•
年齢
59.8 ± 1.40歳
糖尿病歴
7.29 ± 0.6年
BMI
28.7 ± 0.68
腹囲
98.5 ± 1.43 cm
内臓脂肪面積 154.29 ± 7.75 cm2
HbA1c
7.63 ± 0.10 %
併用薬
DPP-4阻害薬 60%
スルホニル尿素薬 55.6%
ビグアナイド薬 68.9%
α-グルコシダーゼ阻害薬
13.3%
チアゾリジン薬 17.8%
グリニド薬 4.4%
SGLT-2阻害薬 0%
熊本大学医学部附属病院 代謝・内分泌内科
荒木栄一先生、古川昇先生、下田誠也先生
松村剛先生、本島寛之先生、河島淳司先生
久木留大介先生、井形元維先生、石井規夫先生
岩下晋輔先生、西岡裕子先生、後藤理英子先生
松山利奈先生、小野薫先生、北野さやか先生
荒尾市民病院 代謝・内分泌内科
佐々木一成先生、北野さやか先生
公立玉名中央病院 糖尿病・内分泌科
宮村信博先生、松田浩史先生
菊池郡市医師会立病院 代謝・内分泌内科
矢野智彦先生、田口哲也先生
熊本総合病院 代謝内科
関上泰二先生
国保水俣市立総合医療センター 代謝内科
田中里奈先生
MES+HS介入前後におけるHbA1c低下効果
(%)
HbA1c
10
9
8
7
6
5
介入前
介入後
7.63 ± 0.10% → 7.28 ± 0.10 %
(- 0.35%, p=0.00004)
MES+HS介入前後における内臓脂肪面積低下効果
(cm2 )
180
内臓脂肪面積
160
140
120
100
80
60
40
20
0
介入前
介入後
154.3 ± 7.8 → 142.8 ± 7.3 cm2
(- 11.5 cm2, p=0.0002)
各種パラメータの改善効果
(pg/mL)
2
TNF-a
- 0.25 pg/mL
(p=0.01)
1.5
1
1
0.6
0.4
0.5
(mg/dL)
+ 0.07
(p=0.007)
0.8
1
0
1.2
AST/ALT ratio
0.2
介入前
介入後
Creatinine
- 0.02 mg/dL
(p=0.005)
0.8
0
(mg/dL)
0.4
100
0.2
50
0
0
介入後
- 39.3 mg/dL
(p=0.013)
200
150
介入後
TG
250
0.6
介入前
介入前
介入前
介入後
男性・女性によるHbA1c低下効果
HbA1c
(%)
男性
女性
0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.6
- 0.229 %
(p=0.173)
- 0.416 %
(p<0.0001)
p=0.194
DPP-4阻害薬の有無によるHbA1c低下効果
HbA1c
(%)
DPP-4阻害薬あり
DPP-4阻害薬なし
0
-0.1
-0.2
-0.3
- 0.211 %
(p=0.09)
-0.4
-0.5
-0.6
- 0.456 %
(p<0.0001)
p=0.115
*内臓脂肪面積
低下効果には
有意差なし
中間報告(症例数45名)
Bio Metronome D2000
糖尿病治療薬との併用による有用性
バイオメトロノーム公表論文リスト
induces HSP72 expression effectively
(Morino S. et al., J Pharmacol Sci., 2008)
Ameliorates diabetic phenotypes via up-regulating PI3K-Akt signaling
(Morino S. et al., PLoS ONE, 2008)
protects stomach from HCl-induced gastric ulcer
(Kai H. et al., Int J Hyperther., 2009)
[clinical study] suppresses pro-inflammatory cytokines in healthy man
(Kondo T. et al., Obes Res Clin Pract., 2009)
improves hepatic ischemia/reperfusion injury
(Oba M. et al., J Surg Res., 2010)
increases glucose uptake in skeletal muscle via PI3K-Akt pathway
(Yano S. et al., J Pharmacol Sci., 2011)
activates insulin receptor via lipid rafts
(Morino S. et al., J Cell. Physiol. 2012)
improves renal dysfunction in alport mice
(Koga T. et al., PLoS ONE, 2012)
protects pancreatic β cells from cell stresses and apoptosis
(Kondo T. et al., Diabetes, 2012)
バイオメトロノーム公表論文リスト
induces p53 activation in epithelial cells
(Fukuda R. et al., J Biol Chem., 2013)
induces HSP70 in in articular chondrocyte.
(Hiraoka N. et al., J Orthop Res., 2013)
[clinical study: Review] improve insulin resistance and diabetes
(Kondo T. et al., Diabetes & Metabolism Journal, 2014)
Increases stress resistance and ameliorates glucose metabolism
through LKB1-AMPK activation in c-elegans
(Matsuyama S. et al., PLoS ONE, 2014)
[clinical study] ameliorates diabetic phenotypes in MS & DB
(Kondo T. et al., EBioMedicine, 2014)
[Commentary] the therapy of metabolic syndrome & diabetes
(Hooper P., EBioMedicine, 2014)
論文発表した臨床試験の結果
2型糖尿病患者におけるバイオ
メトロノームの食事負荷試験への効果
糖尿病治療の主要な目標値である
HbA1c 7%未満の達成率
(症例数:40例)
Bio施行前
Bio施行後
Bio未施行群
Bio施行群
バイオメトロノーム使用開始前のHbA1c値別のHbA1c改善効果
(Kondo T, Kai H, Araki E et al., EBioMedicine 1 (2014) 80–89)
角層
Heat
〜39℃
39℃〜 角層細胞
- 6 nm
MES+HS
13.6 nm
- 6 nm
- 6 nm
13.6 nm
- 6 nm
水層
T≧39℃で相転移(電気抵抗値が低下)する
細胞膜
Bio Metronomeを活用した
新たな医療システムの提案
新しい医療システムPhysical Medicineの提唱
慢性炎症性疾患
代謝異常症
Physical Medicine
温熱と微弱電流による物理的治療法
Cure/Control
急性疾患
従来からの薬物治療法
医工連携事業化推進事業による新たなご縁
・アークレイ株式会社の参画
→消耗品ビジネスへの展開
・医療機器薬事に精通したコンサルタントの参画
→「新医療機器」から「改良医療機器」へ戦略変更
・製薬企業の参画
→消耗品ビジネスの核となるパッド開発
・地元半導体装置の設計・製造企業の参画
→機器量産体制の検証と展開
今後の事業化に向けた体制
保険収載に向けた
活動
販売企業
アークレイ
株式会社
アークレイ
マーケティング
顧客
株式会社
国内外の
糖尿病関
連医療機
関に向けた
事業展開
学会活動
国立大学法人
熊本大学大学院
生命科学研究部
代謝科学
荒木栄一教授
近藤龍也助教
Bio Metronome
研究会立上
保険収載活動
支援
製販企業
つちやゴム㈱
Bio Metronome
保険収載活動
支援
相談、申請
助言、承認
広報活動
国立大学法人
熊本大学大学院
生命科学研究部
遺伝子機能応用学
甲斐広文教授
製薬メーカー
保水パッド
製造
テクノデザイン
㈱
Bio Metronome
本体製造
医薬品
医療機
器総合
機構
(PMDA)
開発資金調達
既存事業では異分野の研究開発費捻出は困難
→補助事業に申請し資金、人材の支援を確保
・くまもとテクノ産業財団(現 くまもと産業支援財団)
バイオ・産・学・行政共同研究等助成金
(2003年~2004年)
・九州経済産業局
地域新規産業創造技術開発費 (2006年~2007年)
異分野連携新事業分野開拓 (2008年~2010年)
・経済産業省
課題解決型医療機器等開発事業 (2012年~2013年)
医工連携事業化推進事業 (2014年)
医療機器開発戦略の難しさ
申請時: 新規医療機器としての薬事申請計画
現在: 改良医療機器としての申請の可能性
申請時
基礎研究、前臨
床研究、臨床研
究を終了
作用機序を究
明し国内外の
学会、論文で
発表
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度
2017年度
2018年度
(平成24年度)
(平成25年度)
(平成26年度)
(平成27年度)
(平成28年度)
(平成29年度)
(平成30年度)
PMDAと定期的に治験デザインを相談
被験者120名
のリクルート
治験プロトコール策定の
ための臨床研究
市販後を想定した安全性試験
第1号試作機開発
第2号試作機開発
プ
ロ
ト
コ
ー
ル
策
定
(国内市場)
製造販売承認取得に
向けた治験
(海外市場)
CEマ-キング
申請・取得
ヨーロッパ、シン
ガポールで上市
製
造
販
売
承
認
申
請
製
造
販
売
承
認
取
得
保
険
適
用
取
得
国
内
市
場
で
上
市
中国で上市
・糖尿病治療薬の市場への参入戦略の検討
→基礎研究および臨床研究により、糖尿病治療薬と共存で
きることがわかり、開発戦略が明確化した。
コーディネーターの重要性
• 技術的基礎固めのためのデータの早期収集の
重要性
⇒開発時間の短縮と効率化につながった可能性が
ある。
• 規制を理解した薬事戦略の立案と戦略に沿った
必要な情報やデータの収集
⇒“糖尿病治療機器”という位置づけではなく、
“血糖値(HbA1c)を改善する機器”という位置
づけへの変更。
※「改良医療機器」になる可能性が出てきた。
・臨床医と基礎技術者をつなぐコーディネータの
必要性
⇒提示されたデータの意味や解釈をめぐる科学的
な討議の必要性
・戦略的に規制要件をクリアするための羅針盤が
必要
⇒提示されている情報を整理し、プロジェクトの
方向性を示唆する方が必要
最後に反省
田舎の3年 江戸の昼寝
(司馬遼太郎ー「峠」より)
医工連携事業化推進事業を活用することは
開発効率を高めるために重要