MegaOakHRパス分析機能 導入事例 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 様 クリニカルパスにおけるバリアンス収集・分析と可視化を通じ、 PDCAサイクルの高速化を実現 導入前の課題 済生会熊本病院 院長 副島 秀久 氏 済生会熊本病院 副院長 クリニカルパス委員会委員長 町田 二郎 氏 クリニカルパスのバリアンス分析に 必要な情報の収集が困難 宮下 恵里 氏 済生会熊本病院 TQM部 診療情報管理室 中熊 英貴 発点なので、患者のカルテ内容とパス分析とは 下、済生会熊本病院様)では、以前からクリニカ ほとんど連動していませんでした。したがって、 ルパス (以下、パス)による医療の質の向上に 多くの加工やプロセスを経ないと、実際に活用 取り組み、電子カルテおよび電子クリニカルパ できるデータにならないという問題がありまし スを自主開発していましたが、電子カルテは記 た。重要なのは電子カルテの記載内容であり、 録そのもの以外に周辺部門も非常に複雑であ そのデータを収集して、きちんと分析できる環 ることから、電子カルテシステムパッケージへ 境を整えるのが最大の課題でした」と、院長の の移行を検討しました。しかし、当時の電子カル 副島秀久氏は当時の状況を振り返ります。 氏 済生会熊本病院 TQM部 クリニカルパス専任 森崎 真美 析が困難、という課題がありました。 「電子カルテシステムは医事会計システムが出 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院様(以 *1 済生会熊本病院 看護部長 テシステムには、パスに関するデータの収集・分 氏 導入の経緯 どのような種類のデータを どのように活用したいのか、 明確、かつ具体的に提示 • 分析要素としては入院情報、手術情報、経過 日数、DPC*5 などを対象にできること。 そこで、済生会熊本病院様では、どのような種類 のデータをどのように活用したいかを整理し、次 お 客 様 名:社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 所 在 地:〒861- 4193 熊本市南区近見 5 丁目 3 番 1号 創 業 年:1935 年 医 療 内 容:内科、外科、消化器内科、消化器外科、整形 外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍内科、 糖尿病内科、泌尿器 科、腎臓内科、心臓血 管外科、循環器内科、脳神経 外科、神経内 科、放射線科、麻酔科、救急科、病理診断科 従 業 員 数:1,733 名(医師 134 名・看護師 650 名含む) 病 床 数:400 床(うち 162 床個室) 院 内 設 備:レストラン、売店、美容室、フラワーショッ プ、コンベンションホール(361名 収容)、 コングレスルーム(100 名収容) U R L:http://sk-kumamoto.jp/ の5つの課題解決をめざすことに決めました。 いくつかの電子カルテベンダーへ企画提 案を 依頼して検討した結果、NECが共同開発のパー トナーとなりました。副院長/クリニカルパス • 最適な観察項目と適正値の判断により、 患者アウトカム*2・バリアンス*3 の判定 が行えること。 委員会委員長の町田二郎氏はその理由を次の ように語ります。 「いくつかのベンダーのシステムを見比べ、NEC の電子パスの構造が当院のめざす構造にもっ • バリアンスと判定した要 素(観 察項目・ 実測値)の記録・分析ができること。 とも近かったことが選定の大きなポイントでし た。さらに、他にはないダイナミックテンプレー ト機能(以下、DT )が優れていたことがありま • パ スの設 定と、実 績(患 者アウトカムと の差異分析ができること。 タスク ) *4 す。また、NECスタッフとのミーティングを通じ て、パスの電子化に対する情熱や柔軟性を感じ ました。私たちとともに勉強し、電子パスを発 • 患者間における実 績の差異分析ができ ること。 展させていこうという強い熱意が伝わってきま した」 クリニカルパスにおける バリアンス収集・分析と可視化を通じ、 PDCAサイクルの高速化を実現 バリアンスを分析し、 後利用するのが最大の目標 お互いにどのような視点でシステム化し、可視 要となりました。 化が必要なのか検討を重ねていきました。院長 つづ いて同 年 4 月にはパ ス 分 析 機 能「 NECV のアイデアから、DT を使って分析用の記録を構 (Novel Electronic Clinical pathway analysis 済生会熊本病院様では、記録すべき情報の中で 造化できると考えました。NECとともに何度も Viewer)」が稼働しました。 もっとも重要なのはバリアンス発生時の情報で チームで勉強会を開き、パスの学習を繰り返し 電 子 クリニカルパ スにより 、既 に分 析可 能 な あると考えています。 行いました」 と、TQM部 診療情報管理室の中熊 データとして収集されています。これをDWH*7 患者への治療が標準的なパスの経過から逸脱 英貴氏は共同開発の経緯を語ります。 に格納し、分析に必要な情報を表示するものが する「バリアンス」が発生したときこそ、その状況 共同開発を進め、2014 年 2月に電子クリニカル NECVなのです。 を医療チーム全員に知らせ、情報を共有する必 パスシステムが稼 働しました。このシステムで 「従来、このようなシステムが存在しなかったの 要があるというものです。 は従 来 から利 用していた日本クリニカルパス は、最終アウトカムとしてどのようなデータを可 さらに、どのようなバリアンスが発生したのか 学会監修の患者状態アウトカム用語集( Basic 視化したいかという明確な目標が、臨床側から を、あとから自在に参照・分析できるような仕組 Outcome Master:BOM*6 )による用語の標 あまり提起できていなかったからだと思います。 みづくりが求められました。 準化とマスタ構造化、一日分の診療情報を記録 当院では、長年にわたりパス活動を行ってきてお バリアンスの単純な集計ではなく、その内容が する「日めくり記録」の採用に加え(下・左画面)、 り、最終的にはどのようなデータが見たい、また 重 要なものだったのか、それとも 軽 微 なもの バリアンスが発生したと判定したらただちにバ は見る べきだという目 標 を持って いたので 、 だったのかという情報の“質”が重要であり、そ リアンス記録(バリアンスが発生したときの患 NEC の技術力を借りて共同で実現できたのだ れにはあとから参照して活用できるよう、記録が 者の状態など)をSOAP 形式で記録することを と思います」 と副島院長は語ります。 的確かつ正確である必要がありました。 可能としました(下・右図)。これにより、バリア 「当院のバリアンス資料を NEC に見てもらい、 ンス分析の際にカルテの内容を探すことが不 日めくり記録でのバリアンス記事登録(DT活用) ダイナミックテンプレートを利用し、アウトカムごとのバリアンス記録を 2 次活用へ。 アウトカム・観察項目・実測値 バリアンス記録 (SOAP 形式) 日めくり記録画面 MegaOakHRパス分析機能 導入事例 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 様 NECV(Novel Electronic Clinical pathway analysis Viewer)の特長 「パス別管理一覧」 「バリアンス表示」 「患者別要約一覧」 「患者別医療行為一覧」の 4つの機能があり、 NECV では、 それぞれ必要な情報を確認できます。 画面右上の「バリアンス内容・件数」では、患者別のバリアンス発生 パス別管理一覧 数が棒グラフで色分け表示され、どのアウトカムが未達成だったか、 パス別管理一覧画面では、パス別の使用数・中止数・バリアンス発生数・在院 共通するバリアンスは何か、を大まかに把握できます。 日数などが一覧表示されており、パスの使用状況を概観することができます。 画面左下の「バリアンス内容・件数と出来高換算」では、バリアンス内 容・件数だけでなく出来高換算した場合の医療費がプロットされてい ます。出来高換算をプロットすることで、投入した医療資源をつかむ ことができます。 さらに、画面右下の「出来高換算内容」では、出来高換算の詳細を見 ることができます。 患者別要約一覧 患者別要約一覧では選択したパスの適用患者の一覧と概要を把握 することができます。 パス別管理一覧画面 バリアンス表示 NECVの中核であるバリアンス表示画面では、選択したパスの「患者別 入院日数分布」 「バリアンス内容・件数」 「バリアンス内容・件数と出来 高換算」 「出来高換算内容」が 4 分割した画面で即座に確認できます。 患者別要約一覧画面 患者別医療行為一覧 患者別医療行為一覧では、選択したパスの適用患者に施行したタスク (検査や投薬状況など)を把握することができます。 バリアンス表示画面 画面左上の「患者別入院日数分布」では、入院日数がプロットされ、さらに 平均から1SD*8 離れた場合は黄色で、2SD 離れた場合は赤の点で表示さ れます。このプロットを右クリックすると患者詳細が表示され、この患者 に使った薬剤や検査内容、入院中に発生した合併症などを確認できます。 右クリック 患者別医療行為一覧画面 個別患者明細画面 MegaOakHRパス分析機能 導入事例 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 様 導入後の成果 電子カルテ端末から 瞬時にパス分析情報が表示可能に NECVの特筆すべき点は、電子カルテ端末から 質改善活動が継続することを期待します」 日めくり記録のメリット 副島院長は次のように総括します。 日めくり記録(パス)の方式も、病院のスタッフに 「まず、医療の質をいかに改善するかということ がパスの活用の主目的だと思いますので、その は非常にわかりやすいと好評です。 「患者の治療に関する1日のアウトカムや観察項 ためにはバリアンス収集、バリアンス分析をい の発生状況を瞬時に確認できる点にあります。 目などが、すべて1画面に網羅されている日めく かに効率よくやるか、そのことによってPDCA*9 これまでのようにデータ収集自体に労力をかけ り記録画面の活用性やメリットは大きいと思い サイクルを回すということになると思います。今 る必要はありません。 ビューワを開いてパスの使用状況やバリアンス ます。日めくり画面を見れば、患者の状態や今日 回のシステムはバリアンス収集、分析ともにか 「自分の担当する患者が、いま治療のどのような の仕事・目標がすべてわかり、さらに判断基準も なり効率よく行えるようになっており、PDCAサ 位置にいるのか、たとえば同じ症例の患者と比 わかるということで優れた機能だと思います」と イクルを高速に回す、ということができるよう べ、バリアンスが多いのか少ないのかなどを現 中熊氏は語ります。 になってきていると思います」 場に置かれた電子カルテ端末から、瞬時に確認 「まずは日めくり画面で一日の患者状態がすべ することができます。また、詳細データを抽出で て把握できるというところがたいへん便利です。 きるので、問題解決へ向けたより詳しい原因追 また、日めくり画面で記録することでバリアン 求が行えるようになりました」と町田副院長は スが起こったときの患者状態の詳細な情報が記 語ります。 録できるということと、それが看護記録につな 済生会熊本病院様では、パスが適用されていな がるということが大きなメリットになるかと思 い疾患の分析を今後の課題にあげています。 います」と、TQM 部 クリニカルパス専任の森崎 「当院の場合、パスを適用している患者は病院全 パス大会に向けた情報収集の時間が 大幅に短縮 真美氏(看護師)はそのメリットを述べます。 今後はパス非適応疾患の分析と、 他施設とのベンチマークへ 体の約 55%くらいです。パスを適用した疾患の 分析は、NECVの導入で飛躍的に効率化・省力化 医療の質を改善するための PDCAサイクルを高速に回すことが可能 され、その結果が治療現場へフィードバックされ と 大 幅 に 短 縮しました 。さらに 、N E C V から NECVの導入効果について、看護部長の宮下恵里 ている疾患も分析できるような仕組みを構築し Excel ®への出力機能により、より詳細な分析も 氏は次のように語ります。 たいと思っています」 (町田副院長) パス活動を院内で推進するために重要な「パス 委員会」や「パス大会」に向けた情報収集に必要 な時間も、NECV 導入により、2カ月から1∼2日 可能となりました。 「日めくり記録は、患者状態の変化やバリアンス記 るスピードも格段に向上しました。 今後の課題として、パス適用が難しいといわれ さらに、今後の展望について、副島院長は次のよ 「パス大会では、一つの疾患にテーマを絞って分 録等を記載する経過記録としての要素が強く、看 析をしていきます。ですからNECV だけではな 護記録を包含しています。看護師が日々の看護記 「システムをさらに有効に活用するためには、他 く、NECVから書き出したデータをExcel ® など 録を確実に記載することでバリアンスの収集、分析 の医療施設とのベンチマークの実施が不可欠だ で分析をして、それからバリアンス記録と突合し につながりました。NECVの導入により、バリアン と思います。地域の施設間、あるいは全国レベル て、もっと詳細な問題点というのを掘り下げて ス分析の効率化が可能となり、診療プロセスやケ で多様な次元のベンチマークを行うことで、性 パスの改訂につなげるとか、あるいは、パスの適 アプロセスのタイムリーな見直しにつながります。 能の改善や質の向上が図れます。また、NECVの 用基準を見直して新たなパスを作るとか、重症 クリニカルパスの最終アウトカムは、 「医療の質 利用を拡げれば、さらに蓄積された膨大なデー 度に応じたパスの層別化をするとか、そういった 改善」です。今後は、各部署でこの NECVが日常 タの解析を通じて、治療研究や臨床研究に大い ことにつなげて活用しています」 (町田副院長) 的に活用され、バリアンス分析をもとに医療の に役立つのではないかと期待しています」 うに話します。 *1 クリニカルパス/パス:患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法(日本クリニカルパス学会の定義より) *2 アウトカム:治療における達成目標 *3 バリアンス:アウトカムが達成されない状態。また、観察項目の結果が適正値外となった状態 *4 タスク:治療行為、看護ケア *5 DPC:厚生労働省が定めた DPC(診断群分類)で評価される入院 1日あたりの定額支払い制度 *6 BOM:Basic Outcome Master の略で、日本クリニカルパス学会監修の患者状態アウトカム用語集 *7 DWH:データウェアハウス *8 SD:標準偏差。正規分布の場合、1SD 内に母集団の約 68% が、2SD 内に母集団の約 95.4% が含まれる *9 PDCA:Plan(計画) ・Do(実行) ・Check(監査) ・Action(見直し)の 4 つを繰り返すことによって、業務を改善する手法 お問い合わせは、下記へ NEC 医療ソリューション事業部 〒108 - 8001 東京都港区芝五丁目 7-1(NEC 本社ビル) TEL: 03(3798)6756(ダイヤルイン) URL: http://www.megaoak.com/ ●表示されている氏名や診療情報は、すべて架空のものです。 ●画面は実際のものと異なる場合があります。 ●Microsoft Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。 ●本カタログに記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。 ●このカタログの内容は改良のため予告なしに仕様・デザインを変更することがありますのでご了承ください。 ●本製品の輸出(非居住者への役務提供等を含む)に際しては、外国為替及び外国貿易法等、関連する輸出管理法令等を ご確認の上、必要な手続きをお取りください。ご不明な場合、または輸出許可等申請手続きにあたり資料等が必要な場合 には、お買い上げの販売店またはお近くの弊社営業拠点にご相談ください。 日本電気株式会社 〒108-8001 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