富士通リース - 日本格付研究所

14-D-0840
2015 年 1 月 19 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
東京センチュリーリース株式会社
【据置】
長期発行体格付
格付の見通し
債券格付
MTNプログラム格付
発行登録債予備格付
国内CP格付
(証券コード:8439)
A+
安定的
A+
A+
A+
J−1
日本カーソリューションズ株式会社
(証券コード:−)
【据置】
長期発行体格付
A+
格付の見通し
安定的
国内CP格付
J−1
(発行限度額変更:900 億円 → 1,100 億円)
富士通リース株式会社
【据置】
長期発行体格付
格付の見通し
国内CP格付
(証券コード:−)
A+
安定的
J−1
■格付事由
発行体:東京センチュリーリース株式会社
(1) 東京センチュリーリース(TC-Lease)は総合リース大手の一社で、主要株主はみずほグループ(35.3%)、
伊藤忠商事(25.0%)。グループに、日本カーソリューションズ、富士通リースなどを擁し、オートリース、
情報関連機器の取扱いに強みを持つ。国内リース事業分野は前年の反動からやや厳しい環境が持続すると
思われるが、当社においてはスペシャルティ事業分野、オート事業分野、国際事業分野の成長によって、
安定した収益を維持していけると考えられる。格付には、主要株主(みずほグループ、伊藤忠商事、日本
生命)との資本、人材、資金調達、営業など各面での関係が、サポート要素として反映されている。
(2) 日本カーソリューションズの連結子会社化(13 年 10 月)、船舶・航空機ファイナンスの拡大を背景に、
15/3 期第 2 四半期累計の売上総利益 618 億円(前年同期比 51.5%増)
、経常利益 298 億円(同 12.6%増)
となった。航空機ファイナンスが牽引するかたちで当面も営業資産残高の増加が見込まれ、収益を下支え
していくと JCR は見ている。14 年 10 月に米大手リース会社である CIT 社と合弁会社を設立し 2 年間をか
けて 2,000 億円規模の投資を計画しており、同社の業界地位や市場動向を勘案すると成長性は高いと考え
られる。傘下のオート事業分野を再編し、同事業の規模と業績貢献度は増した。一層の収益力向上に向け
グループ内でのシナジー効果の拡大が注目される。また、国内リース事業分野の収益性改善に向けた取り
組みを進めている。
(3) 14 年 9 月末の自己資本比率は 9.3%と営業資産残高増加の影響を吸収して前年同期並みの水準を維持して
おり、安定した収益力を背景に当面も現状程度の自己資本比率を維持可能と考えられる。ファイナンス資
産の増加によって資産価格の変動リスクの影響を受けやすくなる可能性があるが、損益並びに資本の厚み
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に照らしてみると、対応可能な範囲内に収まると JCR は見込んでいる。資金調達の基盤はメインのみず
ほ銀行を中心に安定しているほか、その他の金融機関とも安定的に取り引きを行っている。
発行体:日本カーソリューションズ株式会社
(1) TC-Lease が約 6 割を出資し、同社の連結子会社であるとともに、残りの 4 割を出資する NTT の持分法適
用関連会社である。13 年 10 月に TC-Lease の全額出資子会社である東京オートリース(TALC)と合併し
たことで車両管理台数は大手 2 社に次ぐ規模となっている。TC-Lease が株式の過半を有していることに
加え、当社へ多数の人材を派遣するなど、両社には強い結び付きが認められる。TC-Lease グループの事
業ポートフォリオにおいてオートリース事業の重要性が高く、かつ、当社がその中核を担っている点、当
社の収益力の高さおよび財務の健全性が格付を支えている。
(2) TALC との合併以降、規模の拡大を背景とした購買コスト引き下げや、車両のメンテナンスにかかる各種
の費用の削減は順調に進捗している。ただ、リース料率の低下スピードが速く、また、前年度に比べて中
古車価格が弱含んでおりリースアップ車両の売却益が減少したことから、15/3 期上半期の経常利益は実
質で前年同期比で減益となった。足元では車両管理台数も伸び悩んでおり、みずほグループや TC-Lease
との関係強化を進めることなどで、台数増および収益性改善を図っている。また、TC-Lease 傘下のニッ
ポンレンタカーサービスや個人向けオートリースを展開するオリコオートリースとも連携を強化しつつあ
り、TC-Lease グループとしてフルライン化を進めていく成果が注目される。
(3) 14 年 9 月末の自己資本比率は 13.6%と良好な水準を維持している。資産残高は増加基調にあるが、安定
した収益を背景に資本充実度は着実に改善してきている。管理債権や与信コストが少額に留まっているな
ど、営業資産の健全性についても良好である。
発行体:富士通リース株式会社
(1) TC-Lease の連結子会社で、同社の出資比率が 80%、残り 20%は富士通が出資している。親会社との資本
や人事面での結び付きの強さ、親会社グループの事業における当社の重要性に加え、当社の財務の健全性
などが格付を支えている。富士通グループの製品・サービスの販売金融会社としての役割を当社が担って
おり、営業面で富士通グループからのサポートが期待できることも格付に反映している。
(2) 当社は国内 IT サービス売上首位の富士通製品とサービスのリース案件の取扱において首位の座にある。
また、官公庁を主な販売先としており、ユーザーサイドの需要は比較的安定している。ただ、競合が厳し
い大型案件の影響などで、14/3 期の経常利益は 21 億円と従前に比べて半減に近い水準となっている。足
元では収益性の改善を重視し、契約高は減少したものの新規の契約利回りは改善した。また、資金原価や
販売管理費の削減に向けた取り組みを強化したこともあって、15/3 期上半期の経常利益は前年同期比で
増益となった。JCR では収益の改善基調を持続できるか注視していく。
(3) 官公庁および富士通グループなど信用力の高い取引先が大部分であることなどを背景に資産の健全性は高
く、与信費用も低水準で推移している。14 年 9 月末の自己資本比率は 13.9%である。現状の業容と資産
内容の健全性に照らして資本充実度は問題のない水準にある。
(担当)本多 史裕・大石 剛
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■格付対象
発行体:東京センチュリーリース株式会社
【据置】
対象
長期発行体格付
対象
第 3 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 4 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 5 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 6 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 7 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 8 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 9 回無担保社債(社債間限定同順
位特約付)
第 10 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
プログラム名
発行限度額
プログラム設定日
ステイタス
信用補完等
特約条項
格
付
対象
発行登録債
格付
見通し
A+
安定的
発行額
発行日
対象
0.53%
A+
350 億円 2012 年 9 月 13 日
2015 年 9 月 11 日
0.43%
A+
200 億円 2013 年 4 月 19 日
2016 年 4 月 19 日
0.337%
A+
100 億円 2013 年 4 月 19 日
2018 年 4 月 19 日
0.439%
A+
300 億円 2014 年 4 月 18 日
2017 年 4 月 18 日
0.206%
A+
100 億円 2014 年 4 月 18 日
2019 年 4 月 18 日
0.329%
A+
100 億円 2014 年 11 月 21 日 2017 年 11 月 21 日
0.151%
A+
100 億円 2014 年 11 月 21 日 2019 年 11 月 21 日
0.298%
A+
Euro Medium Term Note Programme
20 億米ドル相当額
2003 年 11 月 7 日
無条件・非劣後・無担保の債務で、他の無条件・非劣後・無担保の債務と同順位
なし
ネガティブ・プレッジ条項、クロス・デフォルト条項
A+
発行予定額
発行予定期間
予備格付
2014 年 2 月 14 日から 2 年間
A+
発行限度額
格付
6,500 億円
J-1
【据置】
対象
対象
コマーシャルペーパー
格付
見通し
A+
安定的
発行限度額
格付
1,100 億円
J-1
発行体:富士通リース株式会社
【据置】
対象
長期発行体格付
対象
コマーシャルペーパー
格付
2015 年 4 月 27 日
発行体:日本カーソリューションズ株式会社
長期発行体格付
利率
200 億円 2012 年 4 月 27 日
2,000 億円
コマーシャルペーパー
償還期日
格付
見通し
A+
安定的
発行限度額
格付
J-1
750 億円
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http://www.jcr.co.jp
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 1 月 15 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:野上
主任格付アナリスト:本多 史裕
正峰
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、
「コーポレート等の信用格付方法」
(2014 年 11 月 7 日)、
「リース」
(2013 年 7 月 1 日)
、
「親子関係にある子会社の
格付け」
(2007 年 12 月 14 日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等)
東京センチュリーリース株式会社
日本カーソリューションズ株式会社
富士通リース株式会社
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、
当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
予備格付:予備格付とは、格付対象の重要な発行条件が確定していない段階で予備的な評価として付与する格付です。発行条件が確定した場合には
当該条件を確認し改めて格付を付与しますが、発行条件の内容等によっては、当該格付の水準は予備格付の水準と異なることがあります。
MTN プログラム格付:プログラム格付はプログラムに対する信用格付です。個別のノートの信用力はプログラム格付と同等と判断されるケースも
ありますが、クレジット・リンク・ノートやエクスチェンジャブル・ノートなど、元利支払いが第三者の信用状況に依存するノートなどではプログ
ラム格付と異なると判断されることもあります。JCR では、発行体から依頼がある場合などを除き、通常、プログラムに基づき発行される個別のノ
ートに対する信用格付は行っていません。
■NRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部
TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026
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http://www.jcr.co.jp