飯田研究会の概要報告書 解体新書塾~公民館・地域自治のあり様を見なおす自治体間共同研究~ 解体新書塾~公民館・地域自治のあり様を見なおす自治体間共同研究~飯田研究会 研究会テーマ「住民自治を支える自治体職員の力量はどのように育つのか」 研究会テーマ「住民自治を支える自治体職員の力量はどのように育つのか」 1 日程 10 月 18 日(土)午後 1 時~10 月 20 日(月)午後 3 時 2 会場 天龍峡温泉交流館&天龍峡研修センター 3 参加者 68 人 内訳 尼崎市 14 人(村山副市長以下)、松本市 8 人(矢久保地域づくり本部長以下)、駒ヶ根市 1 人、 伊藤学司長野県教育長、文科省水畑順作企画官、京都大学諸富徹教授、牧野篤東京大学教授、 八木信一九州大学准教授、荻野亮吾東京大学特任助教、佐藤智子東京大学特任研究員他研究者、 飯田市民 6 人、飯田市職員 31 人(牧野市長、佐藤副市長、伊澤教育長以下) 4 研究会の 研究会の趣旨・目的 趣旨・目的 (1) 「現役公民館主事」 「公民館主事 OB」 「公民館役員を経験した職員」 「現場主義で働く職員」 「公 民館主事に寄り添う地域住民」という 5 つのカテゴリーに登壇者を分けてグループ化し、公民館 やその他の現場で職員と住民の協働の経験を通して職員が自身の力量をどのように獲得してき たか、その獲得した力量の内容と獲得に至るプロセス 獲得した力量の内容と獲得に至るプロセスを、 公開のインタビューを通して明らかに 獲得した力量の内容と獲得に至るプロセス する。 (2) 公開インタビューの内容の、研究者による言語化・意味づけ 研究者による言語化・意味づけを通し、 「住民自治を支える職員の 研究者による言語化・意味づけ 力量とその獲得のプロセス」を参加者全員が共有する。 (3) 共有した成果を参加した自治体で持ち帰り、住民自治を支えるための自治体職員の意識と組織の 自治体職員の意識と組織の 改革の取組につなげる。 改革の取組につなげる 5 研究会の成果と課題 (1) 飯田型の公民館制度や現場主義の仕事を通して飯田市の職員が獲得した「住民自治を支える職 飯田型の公民館制度や現場主義の仕事を通して飯田市の職員が獲得した「住民自治を支える職 員の力量とその獲得のプロセス」についての共通点が明らかとなり、このことを参加した自治 体職員や研究者が共有することができた。 (2) 飯田市の職員が獲得している力量を九州大学の八木信一准教授は「住民に巻き込まれる力」 「住民に巻き込まれる力」 、東 京大学の牧野篤教授は「住民への接近力」 「住民への接近力」と表現されている。飛び出す公務員ネットワークな 「住民への接近力」 どにたびたび登場する「スーパー公務員」といわれる自治体職員の力量の傾向は「住民を巻き 込む力」ととらえられるが、地方自治の本旨が住民自治であるとすれば、主体である住民が力 主体である住民が力 量をつける営みを支えることが自治体職員の役割であり、そう考えると自治体の職員には飯田 型の公民館の経験の中で獲得してきた「住民に巻き込まれる力」が根底にあることを確認する 型の公民館の経験の中で獲得してきた「住民に巻き込まれる力」が根底にある ことができた。 (3) しかし、今回の研究会において公民館主事の経験、一住民としての公民館活動への参加、現場 主義などの経験から「住民に巻き込まれる力」を獲得している飯田市の職員は多数存在するこ とが認められる一方で、地方自治の本旨である住民自治、住民との協働の意義などの理解の及 地方自治の本旨である住民自治、住民との協働の意義などの理解の及 んでいない職員層も少なからず存在することも見えてきており、その意味では飯田市の職員の んでいない職員層も少なからず存在する 一層の意識改革の機会が必要であることが課題である。 6 今後について (1) まずは 2 月後半に尼崎で行われる「学習する地域づくり」をテーマとした研究会 尼崎で行われる「学習する地域づくり」をテーマとした研究会を第 2 回研究 尼崎で行われる「学習する地域づくり」をテーマとした研究会 会と位置づけ、飯田市からも参加者を募り参加する 飯田市からも参加者を募り参加する。 飯田市からも参加者を募り参加する (2) 次年度以降も飯田市、松本市、尼崎市それぞれの自治体ごとの課題に基づく研究会を企画し、 飯田市、松本市、尼崎市それぞれの自治体ごとの課題に基づく研究会を企画し、 互いに参加し合う。 (3) 飯田市役所内部において、解体新書塾に継続的に参加を希望する職員を募り、組織する 解体新書塾に継続的に参加を希望する職員を募り、組織する。 解体新書塾に継続的に参加を希望する職員を募り、組織する 7 研究会の主な発言 研究会の主な発言 (1) 第 1 日(10/18 土) ① オープニングセッション「本研究会のねらい」 オープニングセッション「本研究会のねらい」 (90 分) ◎ 飯田市佐藤健副市長による歓迎のあいさつ ◎ 尼崎市副市長村山保夫氏 これからの少子高齢化の時代は、さらに行政の限界は明らかであり、地域の人たちに頑張 ってもらうしかない。そういう時代の自治体職員の仕事の仕方は、職員も地域住民と連携 自治体職員の仕事の仕方は、職員も地域住民と連携 して仕事化していく力をつけることが必要である。 して仕事化していく力をつけること ◎ 京都大学教授諸富徹氏 飯田市が再生可能エネルギーへのシフト 飯田市が再生可能エネルギーへのシフトに 再生可能エネルギーへのシフトにいち早く取組を進めることができ いち早く取組を進めることができてきた ることができてきた背景 てきた背景 には高い住民自治力とともに、政策側の には高い住民自治力とともに、政策側の行政 政策側の行政に、住民の主体性を引き出していく黒子の行 行政に、住民の主体性を引き出していく黒子の行 政スタイルが存在するのではないかととらえ、 公民館の主事や公民館の活動という現場に 政スタイルが存在する おける、職員のトレーニングシステムを確認したいというのが私たちのねらいである。 ◎ 東京大学牧野篤氏 牧野市長は飯田型の公民館の仕組みを「ガラパゴス化」と表現しており、他地域の公民館 とはかなり異なる組織や活動をしていることは間違いないが、こういう活動こそがスタン ダードをとれと言われているのではないか。 少子高齢化の進展、消滅自治体の特定など日本の各地域の存続が危ぶまれている現在、地 地 方の再生は、地域住民が自治的な活動を通して、自らの地域課題を解決していく場が必要 の再生は、地域住民が自治的な活動を通して、自らの地域課題を解決していく場が必要 で、行政はそういう住民のプラットホームをつくり、住民はその場所を拠点として地域を 経営していく姿が求められている。 飯田市は合併した町村ごとに 20 地区の公民館を残し、分館を土台とした活動を進めるこ とで、住民自身が仕事や日常の暮らしの傍ら公民館を運営することを通して、地域の人材 住民自身が仕事や日常の暮らしの傍ら公民館を運営することを通して、地域の人材 育成を進めている。このことを裏付けているのは、公民館に関わる人たちの多くが「公民 育成を進めている。このことを裏付けているのは、公民館に関わる人たちの多くが「公民 館をやる」という言葉遣いをされることに表われている。 平成 19 年に新しい地域自治組織の仕組みができてからは、公民館の活動がまちづくり委 公民館の活動がまちづくり委 員会全体の公民館化や地域全体の公民館化・学習化を進めるととともに、 員会全体の公民館化や地域全体の公民館化・学習化を進めるととともに、行政の学習化(か 行政の学習化 か つては文化化ともいった)を進め、新しい飯田市を形成していくことを期待している。 つては文化化ともいった を進め、新しい飯田市を形成していくことを期待している。 ◎ 尼崎市船木成記氏 マーケティングというのは、課題を社会化する仕事であり、社会化された課題を解決して いくプロセスを作る仕事でもある。そのためには学びが必要である。 飯田の公民館のようなボトムアップ型のガバナンス持った地域を、 ボトムアップ型のガバナンス持った地域を、尼崎市に作るためには 尼崎市に作るためには 45 万人の市民が、 万人の市民が、まず自分たちのまちに対する自信や思い、まちの自己肯定 の市民が、まず自分たちのまちに対する自信や思い、まちの自己肯定感 まず自分たちのまちに対する自信や思い、まちの自己肯定感を持つこ とから始 とから始めたいと考えている。 めたい まずは職員 3000 人の尼崎市職員 尼崎市職員一 尼崎市職員一人ひとりが地域の中で学びながら成長する組織とする ための糸口 ための糸口として 糸口として今回 として今回は職員たちを参加さ 今回は職員たちを参加させ は職員たちを参加させていただ ていただいた。 ② 講義 1「自治体職員に求められる力量とは」高橋寛治氏( 「自治体職員に求められる力量とは」高橋寛治氏(60 「自治体職員に求められる力量とは」高橋寛治氏( 分) ③ グループインタビュー1「現役公民館職員に聞く」 分) グループインタビュー 「現役公民館職員に聞く」(90 「現役公民館職員に聞く」 ◎ 堤幹雄氏 堤幹雄氏 公民館主事は自分自身がプレ 公民館主事は自分自身がプレーヤーではなく黒子である、という話 という話は主事会の場などで折 は主事会の場などで折 に触れ主事同士 れ主事同士で共有している考え方である。 同士で共有している考え方である。 ◎ 林優一郎氏 林優一郎氏 ◎ 内山秀治氏 内山秀治氏 ◎ 小島徹氏 小島徹氏 「1 年目は公民館の仕事のことがわからなくても仕方がない、 年目は公民館の仕事のことがわからなくても仕方がない、俺 は公民館の仕事のことがわからなくても仕方がない、俺たちが教 たちが教えてやるけれど、 2 年目 3 年目にはち 年目にはちゃ にはちゃんと地域にお返 んと地域にお返しができるようになるように頑張 しができるようになるように頑張れよ 頑張れよ」 れよ」と言われた。 飯田の住民には公民館主事を育てるという視 飯田の住民には公民館主事を育てるという視点がある。 ④ グループインタビュー2「公民館主事 分) グループインタビュー 「公民館主事 OB に聞く」(90 に聞く」 ◎ 松下徹氏 松下徹氏 公民館主事の経験から、地域のことを真剣 地域のことを真剣に考え活動を進める人たちと 真剣に考え活動を進める人たちと向 に考え活動を進める人たちと向き合って仕事を 進める姿勢 進める姿勢を学んだ を学んだ。 職員は一 職員は一生懸命になるという仕事の仕方を間違えると、 懸命になるという仕事の仕方を間違えると、自治の芽 自治の芽を摘んでしまうこともあ る、ということを学ぶ る、ということを学ぶことが必要である。 ◎ 上沼昭彦氏 上沼昭彦氏 公民館 公民館は 飯田市 にとって知恵 知恵や 情報を びつけるハブ ハブのような のような機 関である。 は飯田 市にとって 知恵 や情報 を結びつける ハブ のような 機関である ◎ 氏原理恵子氏 氏原理恵子氏 取組を通して「住民からじ 取組を通して「住民からじっくり話 っくり話を聞く」→ く」→「風越山に関する 風越山に関する情報 に関する情報を 情報を収集する」 収集する」→ する」→「学 習する」→ 習する」→「学習の結果 「学習の結果を 結果を色々な 色々な団体に結 体に結び付ける」という取組の展開 び付ける」という取組の展開の仕方を学ん 展開の仕方を学んだ の仕方を学んだ。 ⑤ 夕食交流会(150 分) 夕食交流会 ・ 牧野市長を交えた交流会。 (2) 第 2 日(10/19 日) ① グループインタビュー3「公民館役員経験者に聞く」 分) グループインタビュー 「公民館役員経験者に聞く」(90 「公民館役員経験者に聞く」 ◎ 竹前雅夫氏 竹前雅夫氏 ・ 仕事がたて糸 仕事がたて糸ならば ならば、公民館の多彩 、公民館の多彩な人間関係 な人間関係は横糸であるととらえている。 横糸であるととらえている。 ・ 観光課時代に修学旅行の誘致をした際、テーマパークのような無いものねだりはせずにあ るもの探しをしてみようと、55 の体験プログラムを開発した。また農業委員を通して市 内 60 軒の農家に宿泊の受入れをお願いした。こういう取組を地域が こういう取組を地域が受 こういう取組を地域が受け入れてくれる背 景には、公民館活動を通して地域のことを考える人たちがふ 公民館活動を通して地域のことを考える人たちがふんだんに存在していることが あるととらえている。 ・ 観光課時代の体験教育プログラムを作成する際には、公民館活動で経験をした一 公民館活動で経験をした一人ひとり の市民がいろ の市民がいろいろな顔を持って生きているという事実 を持って生きているという事実を学んだ を学んだことがプロク ことがプロクラムづくり に役立 に役立った。また、人と人とのネット った。また、人と人とのネットワ 人と人とのネットワークの中に身を置 の中に身を置いていることの心 いていることの心地よさを実感 地よさを実感 することも公民館活動がきっかけとなった。 ◎ 齋藤浩氏 齋藤浩氏 ・ 自治 自治振興 振興センター長を センター長を務 めているが、公民館委員の経験の中で、一 振興 センター長を 務めているが、公民館委員の経験の中で、 一人の住民として地域を 見る経験が現在の仕事に役立 る経験が現在の仕事に役立っている。 ◎ 久保田智代氏 久保田智代氏 ・ 仕事に取組 仕事に取組む ときに私 むときに 私は、だれのために仕事をするのかを常に考えながら仕事をしている。 議会や秘書課の仕事は市民のためと思うことができなかったが、文化会館は市民のためと 文化会館は市民のためと 思うことができるし、公民館の活動は自分のためでもあり、地域のためでもある活動とと 思うことができるし、公民館の活動は自分のためでもあり、地域のためでもある活動とと らえている。 ・ 男性は消防団や壮年団など年をとっても何らかの形で地域の中で組織に属することがで きているが、女性たちは結婚して子供ができるとようやく保護者会や PTA の活動に参加 できるだけであり、その意味で公民館は、 公民館は、女 公民館は、女性にとって地域の中でつながりを作る大 性にとって地域の中でつながりを作る大事な 場所であるととらえている。 ◎ 平沢健氏 平沢健氏 土木 土木の仕事などで の仕事などで用 交渉に関わることも多いが、 に関わることも多いが、相手 相手からの からの話 を引き出す時 に、新聞部 の仕事などで 用地交渉 に関わることも多いが、 相手 からの 話を引き出す 時に、新 聞部 員として関わった経験が自分にとっての引き出し 員として関わった経験が自分にとっての引き出しをたくさん作ってくれ、 引き出しをたくさん作ってくれ、仕事にも結 仕事にも結び付 いていると感じている。 いている 林務課の仕事は、地域の産業をどうするかという仕事であった。山の作業は手間がかかり、 間伐などで伐採した木を搬出に金がかかることから放置せざるを得ないケースも多い。こ ういう放置 放置された 放置された材を された材を薪 材を薪ストーブ トーブの燃料として活 燃料として活用 として活用していただ していただく「牧人」というネットワ く「牧人」というネットワ ークづくりを行うなど、お金 づくりを行うなど、お金を超えたつながりづくりに関わることができた。公民館の活 動を通して、 動を通して、地域のことを自分たちで何 地域のことを自分たちで何とかしてやらなければ とかしてやらなければならないという意識を持つ ようになり、林務 ようになり、林務課の仕事にも 林務課の仕事にも結 課の仕事にも結び付いている。 ② 川路地区文化祭見学(90 分) 川路地区文化祭見学 ③ 講義 2「惣菜さくらの取組から」宮沢俊子氏 「惣菜さくらの取組から」宮沢俊子氏(30 分) 「惣菜さくらの取組から」宮沢俊子氏 ④ グループインタビュー4「現場主義の職員に聞く」 分) グループインタビュー 「現場主義の職員に聞く」(90 「現場主義の職員に聞く」 ◎ 棚田昭彦氏 ◎ 小室勇治氏 農業課では 農業課では元 課では元公民館主事でもある松下徹係 公民館主事でもある松下徹係長から、 下徹係長から、私 長から、私は頭でっかちであるといわれ、まず は一つの事業 JA に事務所を間借 つの事業をまとめてみろ をまとめてみろ、と指導 、と指導された。 指導された。現在飯田市の農業課は された。 りして仕事を進めているが、松下係長から 下係長から農家 長から農家の 農家の直売ルートの 直売ルートの開拓 ルートの開拓という 開拓という宿 という宿題を与 題を与えられ た。ここに至るまでホテルや ホテルや飲食店 た。 ホテルや飲食店の 飲食店のオーナーのところ ーナーのところを訪問して 訪問して話 して話を進めながら、地元 を進めながら、地元 の野菜 の野菜を使ってくれる飲食店だ ってくれる飲食店だけを 飲食店だけを推奨 けを推奨するという取組に至った。 推奨するという取組に至った。 千代で中学生や不登校の児童生徒たちの宿泊体験やワーキングホリディなどに取組む太 太 田いく子さんと話 田いく子さんと話をしたとき、市の職員は本当 市の職員は本当によくやってくれていると話 によくやってくれていると話してくれたが、 私から見ると、太田さんのような地域の人たちが、私たち市の職員の たち市の職員の使い方を知 い方を知っている、 ととらえている。 ◎ 筒井文彦氏 ・ まちづくり推進室でムトスまちづくりの担当となり、2 年間かけて職員と出版社が協働し た「ムトスのまちづくり」という本づくりに関わり、 「ムトスのまちづくり」という本づくりに関わり、元 「ムトスのまちづくり」という本づくりに関わり、元信州大学 州大学教授の 教授の故玉井袈裟男先生 故玉井袈裟男先生 を知り、「自分が知 り、「自分が知らなくても、知 らなくても、知っている人を知 っている人を知っていれば っていれば、自分が知 、自分が知っているという ことと同じ ことと同じこと」という、「つな 同じこと」という、「つなぐ こと」という、「つなぐ」という仕事に関わることができた。 ・ 良く「協働」とか「参画」という言葉が使 く「協働」とか「参画」という言葉が使われるが、行政がやりたいことに市民に参画し てもらう、というとらえ方をしている職員がいるが、それは違っていると考えており、当 てもらう、というとらえ方をしている職員がいるが、それは違っていると考えており、当 事者である住民が何 事者である住民が何をやりたいかということから出発 をやりたいかということから出発することが大 することが大事であるととらえて いる。こ いる。 ・ 現在シティプロモーションの仕事に取組んでいるが、行政があまりにやりすぎることでの 弊害が生まれないようにしたいと考えている。まちの中にはこの分野ではだ ちの中にはこの分野ではだれにも負 れにも負けな い人いるはずで、飯田市のことを人一番愛 飯田市のことを人一番愛している人、 一番愛している人、路地のことなら一番知 地のことなら一番知っている人、 一番知っている人、 そういう人を発掘 そういう人を発掘していくような仕事の仕方をしたいと考えている。 発掘していくような仕事の仕方をしたいと考えている。 ⑤ グループインタビュー5「公民館主事に寄り添う住民に聞く」 分) グループインタビュー 「公民館主事に寄り添う住民に聞く」(120 「公民館主事に寄り添う住民に聞く」 ◎ 長沼豊氏 ・ 公民館主事は、公民館活動を進める仲 公民館主事は、公民館活動を進める仲間の一 間の一人であり、地域住民たちの話 人であり、地域住民たちの話合いにともに参 加し、外の目として話 として話し合いの中味を深 し合いの中味を深めてもらうためにもしっかりと勉強 めてもらうためにもしっかりと勉強をして 勉強をしてほ をしてほしい と考えている。 ◎ 宮嶋聡子氏 ・ 現在の 現在の竜丘 竜丘公民館の 公民館の建設 建設に けた取組の中で、公民館利用 利用者として 者として建設 建設委員に 委員に選ば 選ばれ 竜丘 公民館の 建設 に向けた取組の中で、公民館 利用 者として 建設 委員に 選ば れ、5 年間活動した。こういう活動で公民館主事さんの仕事ぶ 間活動した。こういう活動で公民館主事さんの仕事ぶりも傍らで観 りも傍らで観ていたが、そのすさ まじい仕事ぶ い仕事ぶりを覚 りを覚えている。 ◎ 今村光弘氏 ・ 飯田の良 飯田の良いところ いところは、自分たちのことは自分たちでやる、という自立 は、自分たちのことは自分たちでやる、という自立の心を持つ住民がい ること。 ・ 公民館主事という仕事は、自分自身が企画を考えるものではなく、まずは良 公民館主事という仕事は、自分自身が企画を考えるものではなく、まずは良く観察し、住 観察し、住 民がどう動こうとしているのかを見 民がどう動こうとしているのかを見る、という待ちの姿勢 る、という待ちの姿勢が大事であるととらえている。 その上 その上で主事としてどういう関わりができるのかを考えていくことが必要である。 ◎ 北原研二氏 ・ かつては 1 回の会議 の会議が夜 7 時半に 時半に始まり翌 まり翌日の 4 時頃までかかることも 時頃までかかることもざ までかかることもざらであった。大 勢の公民館主事たちとの出会いがあったが、当然主事の 当然主事の皆 主事の皆さんも深夜 さんも深夜の 深夜の編集に関わってく 編集に関わってく れており、新聞 れており、新聞をともにつくる仲 をともにつくる仲間、という意識を持っている。 ⑥ 講義 3「住民・行政・公民館の関係を考える」 「住民・行政・公民館の関係を考える」長谷部三弘氏 分) 「住民・行政・公民館の関係を考える」長谷部三弘氏(60 長谷部三弘氏 ・ 別紙資料参照 ⑦ 講義 4「戦後草創期 「戦後草創期公民館の原点を振り返る 分) 「戦後草創期公民館の原点を振り返る」 公民館の原点を振り返る」長野県教育長伊藤学司氏(60 長野県教育長伊藤学司氏 ・別紙資料参照 (3) 第 3 日(10/20 月) ① まとめの会 1「尼崎の参加者が受け止めたこと」 「尼崎の参加者が受け止めたこと」(90 分) 「尼崎の参加者が受け止めたこと」 ◎ 中浦法善氏 市民協働局長) 中浦法善氏(市民協働局長 市民協働局長 飯田市の 飯田市の事例から、 から、若い職員が 職員が現場で、地域住民との 現場で、地域住民との関 との関係づくりを進めながら活躍 づくりを進めながら活躍して いる姿から、「住民に学ぶ いる姿から、「住民に学ぶ」「住民に働きかける」という相 」「住民に働きかける」という相互作用 互作用の中でしか問 の中でしか問題解決 は導き出されないのであろ き出されないのであろうということを感じ うということを感じた。 感じた。 ◎ 中筋梢衣氏(尼崎市社会教育課係長 中筋梢衣氏 尼崎市社会教育課係長) 尼崎市社会教育課係長 まず、心当 まず、心当たりのある市民、飯田でいう「公民館をやる市民」という人材になりそうな 心当たりのある市民、飯田でいう「公民館をやる市民」という人材になりそうな 人々に会い行き、糸口 に会い行き、糸口を 糸口を探りたい。 ◎ 北原のぞみ氏(尼崎市協働・男女参画課係長 北原のぞみ氏 尼崎市協働・男女参画課係長) 尼崎市協働・男女参画課係長 尼崎の人たちはおせ 尼崎の人たちはおせっかいやきが多く、内に秘 っかいやきが多く、内に秘めたものを持っていても出す場がない人 たちが多くいるだろ たちが多くいるだろう。そういう人たちの出す場をどう作っていくか、 だろう。そういう人たちの出す場をどう作っていくか、スイッ う。そういう人たちの出す場をどう作っていくか、スイッチ スイッチをオフ からオ からオンに代 ンに代える面白 える面白い仕 面白い仕掛 い仕掛けを作ってみたい。そのためにはまずいろ けを作ってみたい。そのためにはまずいろいろな人に会い に行きたい。 ◎ 寺田行俊氏(尼崎市大庄地域センター事務員 寺田行俊氏 尼崎市大庄地域センター事務員) 尼崎市大庄地域センター事務員 もっと小 もっと小さい単位 さい単位に 単位に入りどうにかしていく必要がある。まずは地域で頑張 りどうにかしていく必要がある。まずは地域で頑張る人から信 頑張る人から信頼 る人から信頼 してもらえるために、地域の人より汗 してもらえるために、地域の人より汗をかくことから始 をかくことから始めたい。 ◎ 立石孝裕氏(尼崎市まちづくり・企画調査担当課長 立石孝裕氏 尼崎市まちづくり・企画調査担当課長) 尼崎市まちづくり・企画調査担当課長 公民館の現場以外 公民館の現場以外でも育っている職員がいることも 以外でも育っている職員がいることも知 でも育っている職員がいることも知った。共通するのは市民に鍛 った。共通するのは市民に鍛えら れているということである。 ◎ 諸富徹氏 尼崎の場合、リ 尼崎の場合、リストラあるいは合理化によって市民サ ストラあるいは合理化によって市民サービスは大 スは大きく低下 きく低下したわけ 低下したわけだ したわけだが、 この状況 この状況を 状況を逆にチャンスに チャンスに変 ンスに変えて、市民社会を強 えて、市民社会を強くする仕事に取組んでいくことが必要 である。 行政のトップは、行政の仕組みをボトムアップ型に 行政のトップは、行政の仕組みをボトムアップ型に変 えていくためのトップダウンに取 プ型に変えていくためのトップダウ 組んでいくことが必要。 ◎ 八木信一氏 飯田市の公民館主事との共通点として重 飯田市の公民館主事との共通点として重要なことは、住民を巻き込む 要なことは、住民を巻き込む力というよりは、 住民に巻き込まれる力にあるのではないか。皆 住民に巻き込まれる力にあるのではないか。皆が集まっている面白 まっている面白いとこ 面白いところ いところはどこか、 そこに自分がどのように巻き込まれれば そこに自分がどのように巻き込まれればよいかを把握 よいかを把握し、行動に 把握し、行動に移 し、行動に移す力と言えるかもし れない。それはまずは現場に出ることから始 れない。それはまずは現場に出ることから始まるのではないか。 ② まとめの会 2「参加者 「参加者全 分) 「参加者全体より」(90 体より」 ③ 講義 5「川路 「川路そば普及 「川路そば普及組 そば普及組合の活動から」 活動から」清水 から」清水氏 清水氏(30 分) ・別紙資料参照 ④ まとめの会 3「研究者より」 「研究者より」(120 分) 「研究者より」 ◎ 荻野亮吾氏 亮吾氏 飯田型の公民館は、分館がコ 飯田型の公民館は、分館がコアになりながら、地域の諸団 アになりながら、地域の諸団体に 諸団体に重 体に重層的に所属 層的に所属しながら、 地域の人間関係 地域の人間関係の中で、地域リ の中で、地域リーダーを育てていく仕組みがあることが見 ーダーを育てていく仕組みがあることが見えてきた。 飯田の公民館活動は自ら積極 飯田の公民館活動は自ら積極的に活動に関わっていくというよりは、他者から 積極的に活動に関わっていくというよりは、他者から請 的に活動に関わっていくというよりは、他者から請われた り皆に選ばれたりすることで関わっていくようなケースが多く、いうなれ 選ばれたりすることで関わっていくようなケースが多く、いうなれば 遠慮がち れたりすることで関わっていくようなケースが多く、いうなれば「遠慮がち な社会関係資 な社会関係資本」ともいえ、活動を通して意識を組み 係資本」ともいえ、活動を通して意識を組み替 本」ともいえ、活動を通して意識を組み替え、はまる人のいる仕組みと言 える。 しかし、「現場」を持つからといって、自動的に学びが生 しかし、「現場」を持つからといって、自動的に学びが生じ 「現場」を持つからといって、自動的に学びが生じるわけではない。松尾睦 るわけではない。松尾睦が 尾睦が 「経験から学 「経験から学ぶ力」と呼ぶ 力」と呼ぶように、「現場から学 呼ぶように、「現場から学ぶ ように、「現場から学ぶ力」が重 力」が重要となる。その力とは、現 場で地域を良 場で地域を良くしたいという思いを持って、本音 くしたいという思いを持って、本音で話のできる関係 のできる関係を作りながら住民目 を作りながら住民目 線、住民の立 、住民の立場で考えることが基本となる。さらに、新しい仕事に挑戦 場で考えることが基本となる。さらに、新しい仕事に挑戦する姿 挑戦する姿勢 する姿勢を持つ ことや、上司 ことや、上司や 上司や同僚との対 同僚との対話 との対話の中で、自分の仕事を見 の中で、自分の仕事を見通し、位置 通し、位置づけ、 位置づけ、教訓 づけ、教訓を引き出し 教訓を引き出し ていく「ふ ていく「ふり返り」を行うこと、そして仕事を楽 り」を行うこと、そして仕事を楽しみ、面白 しみ、面白がられることも 面白がられることも重 がられることも重要な要素 要な要素 である。 ◎ 八木信一氏 飯田市には 飯田市には重 層的な地方自治の仕組みがあり、これが状況変 状況変化に自 化に自律 的にかつ柔軟 柔軟に 重層的な地方自治の仕組みがあり、これが 状況変 化に自 律的にかつ 柔軟 に応 じることができる地方自治の構造 ることができる地方自治の構造となっているのではないか。 構造となっているのではないか。そのうえで公民館のうち となっているのではないか。 主事制度にも関わる地 地区公民館は、団 公民館は、団体自治と住民自治の橋渡 体自治と住民自治の橋渡し組織ととらえることが 橋渡し組織ととらえることが できる。その特徴 できる。その特徴は、「市と住民の接点であり、 特徴は、「市と住民の接点であり、集 は、「市と住民の接点であり、集まる場所としての機 まる場所としての機能」、「地域に 存在している情報 存在している情報や 情報や資源について学習を通して理解する 資源について学習を通して理解する機 について学習を通して理解する機能」、「市職員と住民とが平 能」、「市職員と住民とが平 場で話 場で話をする、協働の前提 をする、協働の前提となる 前提となるコミュニ となるコミュニケーシ コミュニケーショ ケーションを促 ンを促す機能」が発揮 能」が発揮され、それが 発揮され、それが 飯田市の政策形成における「行政と住民などの他のア 飯田市の政策形成における「行政と住民などの他のアク のアクターとの利害調整 ターとの利害調整を進める 利害調整を進める機 を進める機能」 に反映されているのではないか。 反映されているのではないか。 地方財 地方財政は地域における共同需 政は地域における共同需要を 同需要を満 要を満たすために存在するが、飯田型の公民館はそこか ら取りこぼ ら取りこぼされてきたニ されてきたニーズを、住民との関係 を、住民との関係の中で拾 の中で拾い上げていく機 げていく機能を持っている こと、また住民とのやり取りの中で、その人にとっての大 を発見し、自 こと、また住民とのやり取りの中で、その人にとっての大事なこと(wants)を 事なこと 発見し、自 分たち自身で満 分たち自身で満たしていくことを、それぞれ担 たしていくことを、それぞれ担っているのではないだろ っているのではないだろうか。 だろうか。前 うか。前者は団 者は団 体自治を発展 体自治を発展さ 発展させる財政において、後 政において、後者は住民自治を涵養 者は住民自治を涵養する 涵養する財 する財政として、ともに重 政として、ともに重要 な意味を持っていると考える。 ◎ 諸富徹氏 飯田市 飯田市の公民館主事の の公民館主事のポ ストは、自治体職員の能力向上 向上の役割を の役割を果 の公民館主事の ポストは、自治体職員の能力 向上 の役割を 果たしている。それは 専門的 専門的知識を深 識を深めるという形でダイレク めるという形でダイレクトに レクトに結 トに結びつくような狭 びつくような狭い領域ではなく、公民館 的な仕事の手 的な仕事の手法・発想を学ぶ を学ぶことを通して仕事の仕方を学んでいる。若 ことを通して仕事の仕方を学んでいる。若いときに身体で 覚え、他の職場で経験を え、他の職場で経験を積 他の職場で経験を積みながら理論 みながら理論化している。そしてそういう公民館主事の経験 者型の職場で他の職員にそのいう仕事の仕方・考え方を伝 者型の職場で他の職員にそのいう仕事の仕方・考え方を伝えていくことができる。そう いう形で全庁 いう形で全庁的に波 的に波及している部 及している部分がある。行政の公民館化と言っていたことが、飯田 の場合は具 の場合は具体化できている。 尼崎において、飯田のような職員と住民との関 尼崎において、飯田のような職員と住民との関係 のようなしくみ受け入れるには、それ うな職員と住民との関係のようなしくみ受 を人事制度として言語化していくことが必要である。暗黙 を人事制度として言語化していくことが必要である。暗黙知 暗黙知では属 では属人的になってしまう。 そして飯田市のような分散 そして飯田市のような分散化・分権 化・分権化というしくみは、実 化というしくみは、実は財政的に見 政的に見ても投 ても投資的には 安く済む。合併 。合併による広 による広域化は、周辺崩壊 域化は、周辺崩壊を生み出し、地域や住民を支える 周辺崩壊を生み出し、地域や住民を支える機 を生み出し、地域や住民を支える機能を失 能を失っ ていき、本庁 ていき、本庁がその働きを果 がその働きを果たそうとすることで結果 たそうとすることで結果として高くつくことになる。 結果として高くつくことになる。 ◎ 牧野篤氏 学生たちのうち何 学生たちのうち何人かが、10 人かが、 月 18 日に行われた地区 日に行われた地区の運動会に本当 の運動会に本当に参加してしま った。ここには当 った。ここには当事者になっていくということがどういうことかを考える 事者になっていくということがどういうことかを考えるヒ かを考えるヒントがあ る。 教育学の視 育学の視点から考えると、自ら参加しようという「自発 点から考えると、自ら参加しようという「自発性」と、参加しなければ 性」と、参加しなければな らないという「強 「強迫性」が、地 が、地区運動会の取組に象 運動会の取組に象徴される飯田の公民館の活動には、 相対立するものではなく共存しているようにとらえている。実 するものではなく共存しているようにとらえている。実際に参加してみたら面 に参加してみたら面 白くなったということは、「事後 くなったということは、「事後性」「過剰 性」「過剰性」であり、これは学習によって意識が 過剰性」であり、これは学習によって意識が 変わってきたととらえられる。 地域を住民自身が経営していくということは、利害 地域を住民自身が経営していくということは、利害によるもの 利害によるもの=経 によるもの 経済合理性ではなく、 そういう場で自分自身が認 そういう場で自分自身が認められていく= められていく=生活合理性があるからである。 こういう仕組みを他地域に普遍 こういう仕組みを他地域に普遍化するためには、「事 普遍化するためには、「事後 化するためには、「事後性」や「過剰 性」や「過剰性」を地域にど 過剰性」を地域にど う作り上 う作り上げていくかが課題である。 8 参加者から寄 参加者から寄せ られた声 から寄せられた声 ◎ 矢久保学氏 松本市地域づくり本部長 久保学氏(松本市 松本市地域づくり本部長) 地域づくり本部長 やねだんのようなスーパースターの塾よりも大変 んのようなスーパースターの塾よりも大変多く得るものがあると 大変多く得るものがあると感じ 多く得るものがあると感じました。 感じました。 ◎ 船木成記氏 船木成記氏(尼崎市顧問 (尼崎市顧問) 顧問) 学習する地域構 にするという意味での本気 のさらなる醸 尼崎市としては、学習する地域 構想をカタチにするという意味での本 気感のさらなる 醸 成(なんか船 なんか船木が言っているということではなく、市役所の意思として) が言っているということではなく、市役所の意思として)と、市民協働的 観点からの職員の学びと、社会教 社会教育分野の再構 育分野の再構築に向けた環境 けた環境整 環境整備の3つの意味がありま したが、今回 したが、今回の飯田でのみなさんとの出会いにより、そのスタートが 今回の飯田でのみなさんとの出会いにより、そのスタートが確 の飯田でのみなさんとの出会いにより、そのスタートが確実にきれたと感じ にきれたと感じ ております。ありがとうござ ております。ありがとうございました! いました! ◎ 塩澤真洋氏 塩澤真洋氏(駒ヶ根市 駒ヶ根市赤穂公民館 赤穂公民館) 公民館) がテーマだ 「職員研修 「公民館主事の能力形成」がテーマ だったのですが、一方で、 「職員研 修の一環として、 あのようなお話 あのようなお話を当市の若手 市の若手にも 若手にも聞 にも聞いてもらいたい」と思った いてもらいたい」と思ったほ たい」と思ったほどです。先 どです。先輩から後 から後輩に 受け継がれている「気 け継がれている「気風」のようなものを感じ 」のようなものを感じ取ることができ、その点は 感じ取ることができ、その点は駒ヶ 取ることができ、その点は駒ヶ根でも 駒ヶ根でも大 根でも大い に真似をしなければ をしなければならないと思いました。 今回の研究会の 今回の研究会の特 長は、他地域が注目するような好 するような好事例を、当 を、当事者の心 事者の心に深く刻まれて の研究会の特長は、他地域が注 いる意味のある具 いる意味のある具体的なエピソ 体的なエピソードとして ピソードとして直 ードとして直接耳にしたこと、そして、それらの“ にしたこと、そして、それらの“新鮮な 素材”を研究者の方がその場で“ を研究者の方がその場で“調理”し、一 し、一般化を試 化を試みたところ みたところにあるのではないでし ょうか。このライブ感 うか。このライブ感に ブ感に富んだ過程を 過程を直接目にすることで、単 にすることで、単なる視察 なる視察や 視察や講演会では得ら 講演会では得ら れない深 れない深い理解につながったように思います。 い理解につながったように思います。 ◎ 牧野篤氏 東京大学) 牧野篤氏(東京大学 東京大学 今回、 今回、諸富先生、八 生、八木先生とご 木先生とご一 生とご一緒させていただ ていただき、改めて、私 き、改めて、私たちの「 たちの「コトバ」 トバ」が従来 の学問 の学問領域を超 域を超えて、新たな結 えて、新たな結びつきを持ち始 びつきを持ち始めていることを感じ めていることを感じると 感じると同時 ると同時に、 同時に、逆 に、逆にこれ までの教 までの教育学という領 育学という領域で共通項 域で共通項を失いつつあることを痛 いつつあることを痛感しました。学問 学問領域の地殻 域の地殻変 動が起 動が起きているということでしょ きているということでしょうし、教 うし、教育学がその変 育学がその変動について行けず、逆 動について行けず、逆に既得権を 守ろうとするような内向 うとするような内向きな議 きな議論をし始 をし始めていることだ めていることだと受けとめています。その意味で は、教育学はその学問 育学はその学問的な基盤 的な基盤を自ら掘 を自ら掘り崩すことになってしまっているのではないかと、 危機感を新たにしました。 機感を新たにしました。 ◎ 諸富徹氏 諸富徹氏( 徹氏(京都大学) 京都大学) 公民館主事という職務 行することを通じ 学問 的に確証 確証の 公民館主事という職 務を遂行することを通 じての能力形成という点で、学 問的に 確証 の 取れる形で立 取れる形で立証していくのはなかなか難 していくのはなかなか難しいなという思いがする一 しいなという思いがする一方で、事前 事前の期待を上 の期待を上 回る形で、登壇 る形で、登壇者の方 登壇者の方々 者の方々から大変興 から大変興味 大変興味深い様々なエピソ なエピソードをお ピソードをお聞 ードをお聞きして、公民館主事と 住民の方々 住民の方々、そして公民館の果 そして公民館の果たす役割が具 たす役割が具体的に理解できるようになったという成果 体的に理解できるようになったという成果が ありました。む ありました。むしろ、私にとっては公民館主事になるというルートはもちろ っては公民館主事になるというルートはもちろんのこと、公 民館主事経験者から伝達 民館主事経験者から伝達される 伝達される直 される直接的・間接的な公民館的手 接的・間接的な公民館的手法の伝達や、 伝達や、ほぼ や、ほぼす ほぼすべての市 職員が地域で公民館に 職員が地域で公民館に深 館に深くかかわることによって、公民館的手 公民館的手法をわがものとして獲得し ていっていることも、今回 ていっていることも、今回の合 今回の合宿 の合宿を通じ を通じて理解できたことは、大 て理解できたことは、大きな収 きな収穫でした。 ◎ 八木信一氏 八木信一氏(九州大学) 九州大学) 自治体職員研修 自治体職員研修で取り上 で取り上げられております、職員個 職員個人に着 人に着目した力量形成の背後 した力量形成の背後にある 主事会や主事経験者とそうでない職員との間における市役所内での関係 主事会や主事経験者とそうでない職員との間における市役所内での関係性、そして住民自 治の涵養 治の涵養にとって 涵養にとってポ にとってポイントとなる地区 イントとなる地区館や分館の専門 館や分館の専門委員会に参加されている住民の 専門委員会に参加されている住民の 方々との関係 との関係性という、重層的な関係 層的な関係性の存在を改めて確認 性の存在を改めて確認できたことが 確認できたことが最 できたことが最も大きな収 きな収穫 でした。 住民の方お二 住民の方お二人に「住民側から見 人に「住民側から見て公民館主事としての適 て公民館主事としての適性はありますか」という問 性はありますか」という問い をしたところ をしたところ、明確 、明確なものはないというお答 なものはないというお答えでした。飯田市側の人事において一 えでした。飯田市側の人事において一定の配 定の配 慮はなされているかもしれませ はなされているかもしれませんが、適性が明確 性が明確ではないというお答 ではないというお答えをより深 えをより深く捉える と、関係 と、関係性のなかで主事それぞれの適 性のなかで主事それぞれの適性が見 性が見出されていくということなのだ 出されていくということなのだと思います。 公民館的なまちづくりの成果 公民館的なまちづくりの成果を評価していくということは、 評価していくということは、私や諸富先生が専門 生が専門として 専門として おります地方財 おります地方財政からのアプローチ 政からのアプローチからも貢献 からも貢献できるとこ 貢献できるところ できるところがあるように感じ があるように感じておりま 感じておりま す。 9 飯田研究会を終えて 「飯田型の公民館の仕組みや考え方を飯田以外 「飯田型の公民館の仕組みや考え方を飯田以外の地にも 以外の地にも移 の地にも移転する」牧野市長の高いハ する」牧野市長の高いハードルの宿 ードルの宿 題から始 題から始まった「解体新書塾~ 「解体新書塾~公民館・地域自治のありようを問 公民館・地域自治のありようを問い直す自治体間共同 す自治体間共同研究」ですが、 何とかそのスタートとしての飯田研究会を終 とかそのスタートとしての飯田研究会を終えることができました。 「今回の研究会の 今回の研究会の特 の研究会の特長は、他地域が注 長は、他地域が注目するような好 するような好事例を、当 を、当事者の心 事者の心に深く刻まれている意 味のある具 味のある具体的なエピソ 体的なエピソードとして ピソードとして直 ードとして直接耳にしたこと、そして、それらの“ にしたこと、そして、それらの“新鮮な素材”を研究者 の方がその場で“ の方がその場で“調理”し、一 し、一般化を試 化を試みたところ みたところにあるのではないでしょ にあるのではないでしょうか。このライブ感 うか。このライブ感に ブ感に 富んだ過程を 過程を直接目にすることで、単なる視察 なる視察や 講演会では得られない深 視察や講演会では得られない 会では得られない深い理解につながったよう に思います。」駒ヶ 」駒ヶ根市 駒ヶ根市赤穂 根市赤穂公民館から 赤穂公民館から特 公民館から特別参加していただ 参加していただいた塩澤 いた塩澤真 塩澤真洋さんの感 さんの感想の中で、今回 の中で、今回 の研究会の性格 の研究会の性格をとてもわかりやすくまとめていただ をとてもわかりやすくまとめていただきました。 駒ケ根市では早速 ケ根市では早速、来年 1 月 24 日、25 日、 日に、飯田研究会をモデ 日に、飯田研究会をモデルとした モデルとした宿 ルとした宿泊型の職員研修 型の職員研修会が 行われる予 行われる予定で、飯田研究会の最初 定で、飯田研究会の最初の 最初の波及成果 及成果といえるかもしれませ といえるかもしれません。 九州大学 州大学八木信一先生のいわれる「飯田市の公民館主事たちには、住民を巻き込んでいく能力で 一先生のいわれる「飯田市の公民館主事たちには、住民を巻き込んでいく能力で はなく、住民に巻き込まれる能力がある」という言葉に飯田の公民館主事たちの姿が はなく、住民に巻き込まれる能力がある」という言葉に飯田の公民館主事たちの姿が象 言葉に飯田の公民館主事たちの姿が象徴されてい ます。これは別 ます。これは別の視点から見 点から見ると、住民側にも職員を巻き込んでいく力量があり、また住民と職員 との良 との良好な協働関係 な協働関係が認められる状 められる状態ということもできるかもしれませ ということもできるかもしれません。 世にいうスーパー公務 にいうスーパー公務員の中には、自分自身が住民を巻き込みながら、引っ張 員の中には、自分自身が住民を巻き込みながら、引っ張っていくタイプが 多く見受 多く見受けられます。また、行政が主 見受けられます。また、行政が主導 けられます。また、行政が主導した計 した計画づくりに住民を参加させ 画づくりに住民を参加させていくという姿を、多く の自治体では市民協働ととらえることがあるようです。 しかし住民自治とは本来 しかし住民自治とは本来、自治の主体者は住民であり、行政は住民による自治の代 、自治の主体者は住民であり、行政は住民による自治の代理者という関 理者という関 係であったはずです。こう考えると優 であったはずです。こう考えると優れた行政職員とは、住民自身に寄 れた行政職員とは、住民自身に寄り添いながら住民感覚 いながら住民感覚を 感覚を養 い、住民発 い、住民発の自治的な取組が創 の自治的な取組が創発するようなサ するようなサポートを基調 ートを基調とした、自治体職員としての姿勢 とした、自治体職員としての姿勢づく りや政策立 りや政策立案を行うことのできる職員、ととらえるべ を行うことのできる職員、ととらえるべきではないでしょ きではないでしょうか。 とはいえ飯田型の公民館の活動を通して獲得している「住民に巻き込まれる力」とは、自治体職 員に求められる力の基礎 員に求められる力の基礎に過ぎないと考えています。飯田型の公民館で育てられた現役の公民館主 過ぎないと考えています。飯田型の公民館で育てられた現役の公民館主 事や公民館主事 OB の職員たちが本当 の職員たちが本当の意味で住民の自治的な取組から創 の意味で住民の自治的な取組から創発する政策作りを展開 する政策作りを展開で 展開で きているかと問 きているかと問うならば うならば、課題は山 、課題は山のようにあります。 今回の飯田研究会を通して 今回の飯田研究会を通して私 の飯田研究会を通して私自身が感じ 自身が感じた飯田市にとっての課題は、公民館主事や 感じた飯田市にとっての課題は、公民館主事や専門 た飯田市にとっての課題は、公民館主事や専門委員の活 専門委員の活 動経験を通して飯田市の職員たちが獲得してきた「住民に巻き込まれる力」が、必ずしも飯田市役 所全体に広 所全体に広がっているとは言えないことです。 現場主義の職員に対するグループインタビュ 現場主義の職員に対するグループインタビューで、 ビューで、農業 ーで、農業課の 農業課の小 課の小室君や 室君や広報秘書課の 報秘書課の筒 書課の筒井君の育ち の過程に、 過程に、元 に、元公民館主事であった松下 公民館主事であった松下文化財担当 文化財担当課長の 財担当課長の影響 課長の影響力があったことが 影響力があったことが見 力があったことが見えてきましたが、 公民館主事の経験を、一 公民館主事の経験を、一般行政の職場の中で他の職員に伝 行政の職場の中で他の職員に伝えていくという広 えていくという広がりは、まだ がりは、まだまだ一部 の成果 の成果にとどまっているととらえています。 さて、現場主義をキ さて、現場主義をキーワードに様 ードに様々なタイプに類 なタイプに類型化して実 型化して実施した飯田市役所の職員や住民に対 するグループインタビュ するグループインタビューを通して、飯田市の職員がどのような力量を獲得してきたかが明らかに ビューを通して、飯田市の職員がどのような力量を獲得してきたかが明らかに なってきた飯田研究会は、尼崎市、松本市、 なってきた飯田研究会は、尼崎市、松本市、駒ヶ 本市、駒ヶ根市など飯田 駒ヶ根市など飯田以外 根市など飯田以外の自治体から参加いた 以外の自治体から参加いただ の自治体から参加いただいた皆 いた皆 さんによる飯田市職員の置 さんによる飯田市職員の置かれた状況 かれた状況との 状況との比較 との比較の意 比較の意見 の意見や、飯田研究会の企画のきっかけを作ってい ただいた京都 いた京都大 京都大学諸富徹先生、 徹先生、九 生、九州大学 州大学八木信一先生、 一先生、平 生、平成 22 年度から継続して飯田市公民館と の共同 の共同研究に関わっていただ 研究に関わっていただいた東京 いた東京大 東京大学牧野篤 学牧野篤先生、研究室 生、研究室の荻野亮吾さん、 亮吾さん、佐藤智 さん、佐藤智子さんなど 佐藤智子さんなど 研究者の皆 研究者の皆さんによる言語化の知見 さんによる言語化の知見の 知見の提供などがあって成立 などがあって成立したものです。 共通する課題を抱 共通する課題を抱える自治体間の共同 える自治体間の共同研究に研究者の知見 研究に研究者の知見を加える運営方 知見を加える運営方式 を加える運営方式の有効 の有効性を確認 性を確認する 確認する ことができました。 また、各 また、各市から参加いた 市から参加いただ いただいた職員の皆 いた職員の皆さんの、今回 さんの、今回の研究会の内容を自らの所 今回の研究会の内容を自らの所属 の研究会の内容を自らの所属する自治体の 改革に結 改革に結び付けようという強 び付けようという強い改革の姿勢 い改革の姿勢は、受け入れ側の飯田市の職員である私 れ側の飯田市の職員である私たちにとっても、 自らの仕事に対する姿勢 自らの仕事に対する姿勢を問い直すきっかけにもなっています。 今後この研究会の 今後この研究会の目指 この研究会の目指す方 目指す方向 す方向は、学びに基づく住民自治の伸 は、学びに基づく住民自治の伸長と、住民に寄 長と、住民に寄り添いながら自治を 支える自治体づくりや職員の意識づくりという目 支える自治体づくりや職員の意識づくりという目的を一 的を一にする自治体のつながりを広 にする自治体のつながりを広げ、参加する それぞれの自治体のもつ課題を自治体間の交 それぞれの自治体のもつ課題を自治体間の交流を進めながらともに考え解決に向 を進めながらともに考え解決に向かうことを通して、 自治と協働を進める自治体間のネット 自治と協働を進める自治体間のネットワ ットワークを広げて行くことにあります。 次回は 2 月、「学びあう地域づくり」を進める糸口 、「学びあう地域づくり」を進める糸口として「まちづくり 糸口として「まちづくり大 として「まちづくり大学尼崎」の取組を始 学尼崎」の取組を始め ようとされている尼崎での集 ようとされている尼崎での集会が予 会が予定されています。 飯田市においても、今回 飯田市においても、今回の飯田研究会の 今回の飯田研究会の反 の飯田研究会の反省を活かし、今回以上 を活かし、今回以上に飯田の 今回以上に飯田の抱 に飯田の抱える課題と、参加さ れた方たちに対する研修 れた方たちに対する研修要素を含んだ研究会とするべ 研究会とするべく検討を進めてまいります。 検討を進めてまいります。 今後のこの研究会の 今後のこの研究会の広 のこの研究会の広がりと深 がりと深まりを祈念 まりを祈念いたします。 祈念いたします。(文責:飯田市公民館 副館長 木下巨一)
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