チタン(Ti) 1.需給動向 1-1.世界の需給動向 チタンの比重は鉄の約 60%、比強度は鉄の 2 倍、アルミニウムの 6 倍であり、軽くて強いという特性を持つ 金属である。チタンの主要な原料はルチル鉱石とイルメナイト鉱石、この他人工的に TiO2 分を濃縮処理した 合成ルチル(別名:Up Grade Ilmenite(UGI))(TiO2 品位は 90~95%)及びチタンスラグ(TiO2 品位は 80~95%) がある。 チタンは酸化チタンとして顔料(白色のペイントや化粧品等)で使用される場合と、金属チタン(スポンジチタ ン)として航空・宇宙分野(航空機機体部品、エンジン部品)や一般産業分野(プレート熱交換器等の部材)で利 用される場合の 2 つがある。世界の鉱石生産量のうち、9 割以上が酸化チタン向け、残りが金属チタン向け生 産で利用されていると推定される。 表 1-1、図 1-1、図 1-2 に世界のチタン鉱石(イルメナイト及びルチル)生産量を示す。また、参考として表 1-2 に TiO2 純分での鉱石生産量を示す。 2012 年のチタン鉱石(イルメナイト及びルチル)生産量は前年比 103%の 4,201 千 t であった。このうち約 9 割をイルメナイトが、1 割をルチルが占めている。 イルメナイトは、主に南アフリカ、豪州、カナダ、中国で産出し、4 カ国で全体の生産量の 54%を占める。ル チルに関しては、豪州 1 国での生産量が全体の 58%を占める。 表 1-1 世界のチタン鉱石生産量(Ti 純分) 単位:純分千t 2003 イ ル メ ナ イ ト 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 南ア 647 518 520 629 659 629 629 571 665 617 93% 17% 豪州 701 665 707 797 839 791 611 594 575 563 98% 15% カナダ 458 441 438 474 489 509 390 512 450 420 93% 11% 中国 240 240 270 300 330 360 300 330 396 420 106% 11% インド 9% 162 168 178 188 227 259 252 324 198 330 167% ベトナム 58 59 57 138 152 198 247 291 330 300 91% 8% その他 673 688 698 714 733 729 743 895 1,040 1,052 101% 28% 2,940 2,779 2,868 3,239 3,429 3,475 3,171 3,515 3,654 3,701 101% 100% 豪州 ①小計 98 92 98 124 178 185 159 216 264 288 109% 58% 南ア 86 63 63 70 65 73 76 87 73 79 107% 16% 7 1 38 60 156% 12% 7% ル シエラレオネ チ ウクライナ ル インド - その他 ②小計 ①+②合計 - - - - - 34 34 34 34 34 34 34 34 34 36 107% 0 11 11 11 12 12 12 14 14 15 104% 3% 16 7 7 15 55 55 44 55 21 23 109% 5% 234 207 213 254 343 358 333 408 444 500 113% 100% 3,174 2,987 3,081 3,494 3,772 3,833 3,504 3,923 4,098 4,201 103% - 出典: United States Geological Survey「Mineral Commodity Summaries Titanium Mineral Concentrates 」World Mine Production ※その他に含まれる米国のイルメナイト鉱石生産量にはルチルを含む。 ※純分換算率:59.9% 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -270 - 2003 イ ル メ ナ イ ト 2004 2005 2006 単位:TiO2純分千t 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 南ア 1,080 865 867 1,050 1,100 1,050 1,050 952 1,110 1,030 93% 豪州 1,170 1,110 1,180 1,330 1,400 1,320 1,020 991 960 940 98% 16% カナダ 765 735 731 791 816 850 650 754 750 700 93% 12% 中国 400 400 450 500 550 600 500 550 660 700 106% 11% インド 270 281 297 313 378 432 420 540 330 550 167% 5% 97 98 95 230 254 330 412 485 550 500 91% 9% 1,123 1,148 1,165 1,191 1,223 1,216 1,239 1,493 1,736 1,755 101% 28% 4,900 4,600 4,800 5,400 5,720 5,800 5,300 5,800 6,100 6,200 102% 100% 豪州 164 154 163 207 297 309 266 361 440 480 109% 58% 南ア 143 105 105 117 108 121 127 145 122 131 107% 16% 12% ベトナム その他 合計 ル シエラレオネ チ ウクライナ ル インド その他 合計 18% - - - - - - 11 2 64 100 156% 57 57 57 57 57 57 57 57 56 60 107% 7% 0 18 18 18 20 20 20 24 24 25 104% 3% 27 12 12 25 91 91 74 92 35 38 109% 5% 391 346 351 415 564 590 550 670 741 834 113% 100% 出典: United States Geological Survey「Mineral Commodity SummariesTitanium Mineral Concentrates 」World Mine Production 」 ※その他に含まれる米国のイルメナイト鉱石生産量にはルチルを含む。 ※四捨五入のため、各数値の合計値と合計値が合致しない場合がある その他 インド 中国 カナダ 豪州 南ア (純分千t) 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2011 2012 図 1-1 世界のイルメナイト鉱石生産量(Ti 純分) (純分千t) 600 その他 ウクライナ 500 スリランカ 南ア 400 豪州 300 200 100 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 図 1-2 世界のルチル鉱石生産量(Ti 純分) -271 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) 表 1-2 世界のチタン鉱石生産量(TiO2 純分) チタン(Ti) 1-1-1.酸化チタン 表 1-3 及び表 1-4 に世界の酸化チタンの生産能力を示す(表 1-3 は純分、表 1-4 は酸化チタン換算値)。 USGS の統計によれば、2012 年の世界全体の生産能力は前年比 100%の 3,926 千 t と横ばいであった。 酸化チタン市場の低迷を受け、世界市場シェア 1 位のデュポンは、2013 年 7 月に農業・食品関連など収益 性の高い事業に経営資源を集中するため、不振の酸化チタンを含む高機能化学品部門の全部もしくは一部を 切り離すと発表している。 表 1-3 世界の酸化チタン生産能力(Ti 純分) 2003 酸 化 チ タ ン 2004 2005 2006 単位:純分千t 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 中国 270 300 300 300 300 539 659 659 1,199 1,199 100% 31% 米国 947 911 947 947 947 947 887 887 881 881 100% 22% ドイツ 246 248 264 264 264 264 264 264 264 264 100% 7% 日本 190 190 190 190 190 190 185 185 185 185 100% 5% 英国 198 198 174 174 174 174 180 180 180 180 100% 5% 豪州 128 128 144 144 144 144 144 168 168 168 100% 4% フィンランド 72 72 78 78 78 78 78 78 78 78 100% 2% メキシコ 72 72 75 75 75 75 78 78 78 78 100% 2% フランス 135 135 135 135 135 75 75 75 75 75 100% 2% 72 72 72 72 72 72 72 72 72 72 100% 2% ウクライナ カナダ 49 49 54 54 54 54 54 54 54 54 100% 1% イタリア 48 48 48 48 48 48 48 48 48 48 100% 1% スペイン 48 48 48 48 48 48 48 48 48 48 100% 1% ベルギー 60 60 44 44 44 44 44 44 44 44 100% 1% ロシア 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 100% 0% カザフスタン その他 合計 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 100% 0% 384 384 402 402 402 402 539 539 539 539 100% 14% 2,937 2,997 2,997 2,997 2,997 3,165 3,368 3,392 3,926 3,926 100% 100% 出典: United States Geological Survey「Mineral Commodity Summaries TITANIUM AND TITANIUM DIOXIDE」World Pigment Capacity 表 1-4 世界の酸化チタン生産能力(TiO2 純分) 単位:TiO2千t 2003 酸 化 チ タ ン 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 中国 450 500 500 500 500 900 1,100 1,100 2,000 2,000 100% 31% 米国 1580 1520 1,580 1,580 1,580 1,580 1,480 1,480 1,470 1,470 100% 22% ドイツ 411 413 440 440 440 440 440 440 440 440 100% 7% 日本 317 317 317 317 317 317 309 309 309 309 100% 5% 英国 330 330 290 290 290 290 300 300 300 300 100% 5% 豪州 213 213 241 241 241 241 241 281 281 281 100% 4% フィンランド 120 120 130 130 130 130 130 130 130 130 100% 2% メキシコ 120 120 125 125 125 125 130 130 130 130 100% 2% フランス 225 225 225 225 225 125 125 125 125 125 100% 2% ウクライナ 120 120 120 120 120 120 120 120 120 120 100% 2% カナダ 81 81 90 90 90 90 90 90 90 90 100% 1% イタリア 80 80 80 80 80 80 80 80 80 80 100% 1% スペイン 80 80 80 80 80 80 80 80 80 80 100% 1% ベルギー 100 100 74 74 74 74 74 74 74 74 100% 1% 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 100% 0% 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 100% 0% 641 641 670 670 670 670 900 900 900 900 100% 14% 4900 5000 5,000 5,000 5,000 5,280 5,620 5,660 6,550 6,550 100% 100% ロシア カザフスタン その他 合計 出典: United States Geological Survey「Mineral Commodity Summaries TITANIUM AND TITANIUM DIOXIDE」World Pigment Capacity 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -272 - 表 1-5 世界のスポンジチタン・展伸材生産量 2003 ス ポ ン 産ジ 量チ タ ン 生 展 伸 材 生 産 量 中国他 2004 2005 2006 単位:純分千t 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 4 5 6 13 45 50 41 58 65 81 125% 34% 日本 19 24 31 37 39 39 25 36 59 63 108% 26% ロシア 26 27 27 27 32 36 23 26 39 46 119% 19% 9 13 18 25 25 23 17 14 20 23 111% 9% 9 10 10 7 10 10 10 108% 4% カザフスタン ウクライナ 米国 合計 - - - 8 8 8 9 14 17 9 10 17 17 99% 7% 66 77 90 120 164 174 121 153 208 240 115% 100% 49 52 104% 35% 46 40 87% 27% 中国 5 9 9 14 24 28 米国 21 26 26 30 38 40 日本 14 17 18 17 19 20 4 5 5 10 5 5 - - ロシア・ウクライ ナ・カザフスタン 14 18 26 24 28 26 - - 36 39 110% 27% 合計 58 76 84 101 113 117 - - 150 147 98% 100% EU 25 - 38 - 12 14 19 - 16 - 84% - 11% - 出典:日本チタン協会、工業レアメタルNo.119~129(No.129 P69 表.世界の地域別チタン生産・需要) 1-2.国内の需給動向 チタンの国内需給を表 1-6、図 1-3 に示す。また表 1-7、図 1-4 にチタン製品の国内生産量及び国内出荷量 を示す。2012 年のチタンの供給量は前年比 124%の 244.3 千 t、需要量は前年比 95%の 232.6 千 t であった。 供給量の増加は、スポンジチタンの国内生産量が前年比 108%と増加したことが影響したものと推測される。 日本はチタン原料を全て輸入している。酸化チタンは輸入されたイルメナイト鉱石(TiO2 純分 50%程度)や UGI(同 90~95%)、チタンスラグ(粒状スラグ)を用いて、硫酸法ないし塩素法で製造される。金属チタン製造 では品位の低いイルメナイト鉱石は直接使用できないため、ルチル鉱石や UGI が利用される。輸入された原 料から Kroll 法により、スポンジチタンが製造され、その後インゴット、チタン鋳造品、チタン粉末、フェロチタン 等に加工されている。 -273 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) 1-1-2.スポンジチタン 表 1-5 に世界のスポンジチタン・展伸材生産量を示す。2012 年のスポンジチタン生産量は前年比 115%の 240 千t であり、過去最高を記録した。中国での大幅な増産が 2012 年も継続したほか、ボーイング 787 の生産 再開に伴う航空分野での需要回復により、日本でも輸出が好調に推移し、スポンジチタンの生産量は増加し た。一方で、展伸材の生産量は前年比 98%の 147 千 t であった。 2013 年は航空分野で在庫が滞留していることもあり、スポンジチタン等の生産量は減少すると推計される。 チタン(Ti) 表 1-6 チタンの国内需給 2003 鉱石 供 給 輸入 1) 単位:純分千t 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 160.0 158.4 185.9 130.8 161.9 157.2 96.4 133.8 146.6 199.7 136% くず 0.4 0.6 0.7 0.8 1.0 0.7 0.1 0.5 1.5 0.6 40% 塊および粉 5.7 5.6 3.9 3.4 6.5 8.5 2.2 3.0 5.2 4.2 80% 製品 1.0 0.8 1.3 1.5 2.0 3.1 1.3 1.1 1.6 1.7 106% 顔料 合計 内 需 2004 スポンジチタン2) 35.3 39.5 36.3 37.8 39.4 39.0 36.1 45.8 42.8 38.1 89% 202.4 204.8 228.1 174.4 210.7 208.5 136.1 184.2 197.7 244.3 124% 18.6 24.0 25.3 27.7 27.1 35.7 17.9 24.0 32.7 37.6 115% 140.1 143.1 140.3 139.6 138.9 132.2 105.2 120.4 122.7 113.6 93% 158.7 167.2 165.6 167.3 166.0 167.9 123.0 144.4 155.4 151.2 97% 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 200% 3.1 4.2 5.4 4.2 3.9 3.9 2.0 2.4 3.7 3.8 103% 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1 0.0 0.0 0.2 0.1 71% 6.0 8.1 9.2 12.5 11.3 11.2 9.3 15.0 25.1 30.7 122% 製品 8.8 10.7 10.3 9.9 10.3 12.8 9.2 10.2 14.1 12.3 88% 顔料 55.7 57.8 53.8 53.9 57.2 46.9 37.0 50.6 47.2 34.4 73% 90% 酸化チタン3) 小計 鉱石 くず 需 塊以外 要 輸出 塊および粉 1) 小計 合計 供給-需要 73.6 81.0 79.0 80.6 82.9 74.9 57.6 78.2 90.4 81.4 232.4 248.2 244.6 248.0 248.9 242.8 180.6 222.6 245.7 232.6 -30.0 -43.4 -16.5 -73.6 -38.2 -34.3 -44.6 -38.4 -48.0 出典:1)財務省貿易統計、原料は鉱石、素材はくず、塊及び粉、塊以外、製品、顔料による 2)工業レアメタルNo.119~129(No.129 P69 表.世界の地域別チタン生産・需要) 3)日本酸化チタン工業会「酸化チタン実績」国内出荷量+酸化チタン(顔料A及びR型)輸入量 ※純分換算率:イルメナイト鉱石30%、ルチル鉱石56%、チタン鉱石36%、顔料A型59.9%、顔料R型53.9% (純分千t) 300 供給 需要 250 200 150 100 50 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 図 1-3 チタンの国内需給 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -274 - 2010 2011 2012 11.7 95% - 単位:純分千t 2003 2004 2005 2006 2007 2008 152.4 152.2 155.6 143.4 147.1 134.6 101.6 100.3 100.9 98.6 96.2 ①-②(輸出・在庫) 50.8 51.9 54.7 44.8 スポ ③国内生産量 ンジ ④国内出荷量 Ti2) ③-④(輸出・在庫) 18.5 23.5 30.8 12.9 18.0 5.6 5.5 酸化 ①国内生産量 Ti ②国内出荷量 1) インゴット生産量2) Ti展 ⑤国内生産量 伸材 ⑥国内出荷量 2) ⑤-⑥(輸出・在庫) 2009 2010 2011 2012 97.1 124.4 128.5 111.1 12/11比 86% 89.8 66.0 70.8 76.2 72.5 95% 50.9 44.8 31.0 53.6 52.3 38.6 74% 37.8 38.5 39.0 25.0 37.1 58.5 63.4 108% 21.3 24.3 27.1 27.2 1.4 18.8 29.3 27.0 92% 9.4 13.5 11.4 11.8 23.6 18.3 29.2 36.4 125% 13.6 18.6 20.9 24.2 25.3 27.0 13.8 20.7 31.6 24.6 78% 13.8 17.4 18.0 17.3 19.1 19.7 12.0 13.8 19.4 16.2 84% 6.8 7.1 10.1 9.6 11.0 10.2 4.2 4.6 6.1 5.2 85% 7.0 10.3 7.9 7.7 8.1 9.6 7.8 9.2 13.2 11.0 83% 出典:1)日本酸化チタン工業会 ※酸化チタン純分換算率59.9% 2)工業レアメタルNo.119~129(No.129 P69 表.世界の地域別チタン生産・需要、P70 表.日本市場のチタン需給推移 P74 金属チタンの生産・出荷実績) 酸化Ti 生産量-国内出荷量(=輸出・在庫) 酸化Ti 国内出荷量 スポンジTi 生産量-国内出荷量(=輸出・在庫) スポンジTi 国内出荷量 Ti展伸材 生産量-国内出荷量(=輸出・在庫) Ti展伸材 国内出荷量 (純分千t) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 1-4 チタン製品の生産量と国内出荷量 1-2-1.酸化チタン 国内において酸化チタンの主要用途は塗料、インキ・顔料等であり、国内需要量の 7~8 割を占めていると 見られる。その他、合成繊維、製紙、化繊、ゴム等で利用されている。 2012 年の国内生産量は、前年比 86%の 111.1 千 t、国内出荷量は前年比 95%の 72.5 千 t と生産量、出荷 量共に減少した。酸化チタン市場は、価格競争が激化しており、日系メーカーも苦戦を強いられている。その ほか、需要先である日本の塗料メーカーやプラスチックメーカーの生産拠点の海外移転が進んでいる。波は あるものの 2003 年以降、国内生産量・出荷量は減少傾向にある。 酸化チタンの国内主要生産企業は、石原産業、テイカ、堺化学工業、チタン工業、東邦チタニウム等であ る。 -275 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) 表 1-7 チタン製品の生産量と国内出荷量 チタン(Ti) 1-2-2.スポンジチタン・チタンインゴット、チタン展伸材 スポンジチタンの殆どはチタンインゴットを経て、板、条、棒、管の展伸材やその加工品となる。 スポンジチ タンのその他の用途である粉末冶金生品などの素形材の生産量は少量である。 先述したように、スポンジチタンは航空分野等での需要回復に伴って、各社は延期していた増産計画を実行 に移し、2012 年は生産量が増加している。 スポンジチタンの生産量が増加した一方で、チタンインゴット、チタン展伸材の生産量は前年比で減少した。 参考として、チタン展伸材の用途別出荷数量(内需及び輸出)を示す。チタン展伸材の国内の主要用途はプレ ート熱交換器、電解設備、電力、航空機等であり、各 10 数%の比率を占める。輸出でも熱交換器向けの出荷 が最も多く、2012 年で 32%を占めている。展伸材の輸出は、年によって用途別の構成比が変化する。例えば 2011 年は海水で大型の淡水化プラントプロジェクトがあり、同用途向け(=造水)で輸出が増加した。そのほ か、電力ではこれまで中国向け輸出の増加により、輸出量が伸びていたが、近年は中国が自国企業の生産 品を利用するように変化しており、日本からの輸出が減少傾向にある。 スポンジチタン、チタンインゴットの国内主要生産企業は、大阪チタニウムテクノロジーズと東邦チタニウム、 展伸材メーカーは、神戸製鋼所、新日鐵住金、JFE スチール、大同特殊鋼等である。 1-2-3.その他 その他、輸入されたフェロチタンが自動車用鋼板の鉄鋼添加剤として利用されている。 2.輸出入動向 2-1.輸出入動向 表 2-1、図 2-1、図 2-2 にチタンの輸出入数量を示す。2012 年のチタン(原料、素材、製品)の輸入数量は前 年比 124%の 244.3 千 t、輸出数量は前年比 90%の 81.4 千 t であった。 2012 年は、先述したように鉱石の輸入量が前年比136%の 199.7 千t と増加した。輸出の好調さを背景とした スポンジチタン生産量増加によるものと考えられる。塊及び粉は主にスポンジチタンと見られ、2012 年は輸出 量が前年比 122%の 30.7 千 t と増加している。なお、製品とは主に展伸材を示す。 マテリアルフロー2011 まで、酸化チタンと記載されていたものを、顔料A型(アナターゼ型)に、顔料と記載さ れていたものを、顔料R型(ルチル型)に変更している。顔料A型とは、主に表面処理されていない顔料のこと を示す。主にゴム・製紙、エナメル、その他ホーローの上薬等で使用されている。顔料R型とは、塗料や顔料、 着剤、インキ用途の表面処理がされた製品を示す。2012年は、顔料A及びR型共に輸出入量が前年比で減少 した。 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -276 - 原 鉱 料 石 イルメナイト イルメナイト以外 小計 チタン鉱 くず1) 塊および粉 1)2) 塊以外 素 材 顔料(A型) 顔料(R型) 小計 製品 合計 輸入 輸入 輸入 輸出 輸入-輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入 輸出 輸入-輸出 輸入 輸出 輸入-輸出 輸入 輸出 輸入-輸出 2003 110.6 49.4 160.0 0.0 159.9 0.4 3.1 5.7 6.0 0.1 6.9 17.2 28.4 38.5 41.4 64.8 -23.4 1.0 8.8 -7.8 202.4 73.6 128.7 2004 108.0 50.4 158.4 0.0 158.4 0.6 4.2 5.6 8.1 0.2 9.1 18.6 30.4 39.2 45.6 70.3 -24.6 0.8 10.7 -9.9 204.8 81.0 123.8 2005 114.7 71.1 185.9 0.0 185.8 0.7 5.4 3.9 9.2 0.2 7.8 15.8 28.5 38.0 40.9 68.7 -27.7 1.3 10.3 -9.0 228.1 79.0 149.1 2006 72.2 58.6 130.8 0.0 130.8 0.8 4.2 3.4 12.5 0.2 9.1 15.8 28.8 38.1 42.0 70.7 -28.7 1.5 9.9 -8.3 174.4 80.6 93.7 2007 82.5 79.4 161.9 0.0 161.9 1.0 3.9 6.5 11.3 0.2 9.6 18.8 29.8 38.3 46.8 72.6 -25.7 2.0 10.3 -8.4 210.7 82.9 127.8 2008 86.8 70.5 157.2 0.0 157.2 0.7 3.9 8.5 11.2 0.1 8.4 14.5 30.6 32.4 48.2 62.1 -14.0 3.1 12.8 -9.7 208.5 74.9 133.6 2009 45.9 50.5 96.4 0.0 96.4 0.1 2.0 2.2 9.3 0.0 8.2 11.7 27.8 25.4 38.3 48.3 -10.0 1.3 9.2 -7.9 136.1 57.6 78.5 2010 55.7 78.1 133.8 0.0 133.8 0.5 2.4 3.0 15.0 0.0 11.6 12.5 34.2 38.1 49.3 68.0 -18.7 1.1 10.2 -9.2 184.2 78.2 105.9 単位:純分千t 2011 2012 12/11比 41.4 42.2 102% 105.2 157.6 150% 146.6 199.7 136% 0.0 0.0 200% 146.6 199.7 136% 1.5 0.6 40% 3.7 3.8 103% 5.2 4.2 80% 25.1 30.7 122% 0.2 0.1 71% 10.7 10.5 98% 11.5 8.8 76% 32.2 27.6 86% 35.7 25.6 72% 49.5 42.8 86% 76.2 69.1 91% -26.7 -26.3 1.6 1.7 106% 14.1 12.3 88% -12.5 -10.6 197.7 244.3 124% 90.4 81.4 90% 107.4 162.9 152% 輸入 101.7 132.3 124.6 168.8 223.2 207.6 157.3 113.6 53.8 粒状スラグ3) 出典:財務省貿易統計 1)塊及び粉は主にスポンジチタンとみられ、一部インゴットが含まれる。 2)チタンの塊及び粉、くずの輸入数値には「チタンニオブ合金(810820010)(810830010)」が加わっている(純分換算なし) 3)輸入コード261800000「粒状スラグ(スラグサンド。鉄鋼製造の際に生ずるものに限る。)」を参考として加えた。 29.6 55% これにはチタン以外も含まれるため、純分換算を行っていない。また小計及び合計値には加えていない。 ※原料は鉱石(イルメナイト、イルメナイト以外、チタン鉱)、素材はくず、塊及び粉、塊以外、顔料(A型)、顔料(R型)による。 純分換算率:イルメナイト鉱石(輸入)30%、イルメナイト以外(輸入)56%、チタン鉱石(輸出)36%、金属チタン100% 顔料A型59.9%、顔料R型53.9% (純分千t) 250 200 くず 製品 塊および粉 顔料(A型) 顔料(R型) イルメナイト鉱石 イルメナイト以外鉱石 150 100 50 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2-1 チタンの輸入数量 -277 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) 表 2-1 チタンの輸出入数量 チタン(Ti) (純分千t) 100 90 80 鉱石 塊以外 くず 顔料(A型) 製品 顔料(R型) 塊および粉 70 60 50 40 30 20 10 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2-2 チタンの輸出数量 2-2.輸出入相手国 2-2-1.鉱石 鉱石(イルメナイト、イルメナイト以外、チタン鉱)の輸出入相手国を表 2-2、図 2-3、図 2-4 に示す。 先述したように、酸化チタン製造には、輸入されたイルメナイト鉱石(TiO2 純分 50%程度)や UGI(同 90~ 95%)が利用される。金属チタン製造では品位の低いイルメナイト鉱石は直接使用できないため、ルチル鉱石 や UGI が利用される。 イルメナイト鉱石の輸入分は酸化チタンメーカー(硫酸法)によるものである。輸入相手国では、インドが最も 多く 63%を占める。最近はモザンビークからの輸入も一部ある。2008 年まではベトナムからの鉱石輸入量が 最も多く、輸入量の 4 割~5 割を占めていた。この輸入量が 2009 年以降急減したのは、2008 年秋のリーマンショ ックに引き続く世界経済の低迷により日本国内における酸化チタンの生産量が減った事情もあるが、2006 年及び 2008 年に商工省が鉱物輸出に関する通達により TiO2 品位で基準に達しない精鉱の輸出を 2009 年以降制限した影 響が考えられる。更に、2012 年にベトナムからの輸出が禁止(2012 年 1 月 9 日付けで鉱物の探査、採掘、加工、 使用及び輸出活動に対する国家管理の強化について首相の指示が発出:加工度の低いチタン鉱石は輸出せ ず、輸出は首相の認可を必要とする)が発表されている。上記に伴い、ベトナムに代わりインド、豪州からの 輸入比率が高まっている。また、ベトナムの鉱石は、硫酸法での酸化チタン製造に適しているが、ウランとレ ニウムの放射性物質含有量が高いという問題もあった。 イルメナイト以外の鉱石の輸入分は、金属チタンメーカー及び酸化チタンメーカー(塩素法)のものであり、 輸入相手国は南アフリカ、インド、豪州、カナダ、中国、シエラレオネ等である。 金属チタン向けの鉱石の輸入元としては豪州が多く、8~9 割を占める。豪州からは UGI が輸入されている。 近年はベトナムからの輸入も開始しているが、東南アジアの鉱石には放射性同位元素が含まれる。法律上国 内で処理するのは難しく、輸入元(山元)で酸処理を行っている。 日本は他国と比較し、鉱石等に含まれる放射性物質の基準が厳しく、日本で生産を行う場合、廃棄物処理 を考慮した上で鉱石を選択する必要がある。一方で、日系企業の競合相手は、それら基準が比較的緩やかな 国で生産を行っており(例えば酸化チタン生産企業のデュポンはメキシコで生産)、使用できる鉱石が幅広い。 後述するが、直近で鉱石価格が高止まりしており、使用可能な鉱石が限定(規定)されている日系企業にとっ ては厳しい状況となっている。 チタンの価格の上昇に対応するため、スポンジチタンメーカーは、低品位の鉱石の使用を増加させている。 スポンジチタンメーカーが購入する合成ルチルは基本的に TiO2 純分が 94~96%のものであるが、近年は TiO2 純分が 90~92%の鉱石の使用比率が増加している。 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -278 - 単位:純分t 2003 イ ル メ ナ イ ト 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 インド 6,792 9,739 6,904 6,293 10,794 7,625 10,231 20,009 22,835 26,557 116% 63% 豪州 20,910 25,399 24,690 13,293 31,238 24,913 11,623 16,723 16,265 4,690 29% 11% ベトナム 45,365 45,668 46,854 44,353 31,655 43,639 11,963 13,075 - 4,223 - 2,997 12,047 5,836 - 3,856 - 9% 1,567 138% 4% モザンビーク - - - - - ロシア - - - - - その他 37,517 合計 輸 入 イ ル メ ナ イ ト 以 外 2004 27,166 - - 37 1,137 10% 36,286 8,254 8,826 7,580 0 0 1,123 1,303 116% 3% 110,585 107,972 114,734 72,193 82,513 86,753 45,864 55,681 41,359 42,195 102% 100% 南ア 4,361 3,721 4,520 4,390 5,418 4,995 4,109 19,738 34,431 41,938 122% 27% インド 13,853 15,445 24,079 22,394 23,559 23,695 17,956 22,986 25,231 30,403 120% 19% 豪州 28,537 28,586 36,848 22,803 33,619 33,558 11,041 20,575 28,502 21,357 75% 14% 2,579 2,578 5,223 8,807 10,748 6,677 13,679 10,930 10,483 21,124 202% 13% 115 143 225 177 114 355 1,152 18,446 1602% 12% 6 2,942 1,357 3,564 3,522 3,783 18,047 477% 11% 1,386 5,686 410% 4% 230 551 240% 0% 78,140 105,196 157,551 150% 100% 3.2 129% 64% 1.8 - カナダ 中国 13 シエラレオネ - ベトナム - その他 合計 チ タイ 輸 タ 台湾 出 ン その他 鉱 合計 34 - - - - - - - - - 29 63 345 78 2,870 1 67 49,372 50,426 71,130 58,621 79,381 70,459 50,529 - 34 - - - - - 8.6 28.4 17.6 24.1 23.0 16.6 - 2.2 - 2.9 - 5.4 1.4 11.9 10.8 5.4 0.0 - - - 14.0 29.9 29.5 34.9 28.4 16.6 2.2 2.9 2.5 2.5 5.0 36% - - 200% 100% 出典:財務省貿易統計 ※純分換算率:イルメナイト鉱石(輸入)30%、イルメナイト以外(輸入)56%、チタン鉱石(輸出)36% (純分t) 140,000 その他 ロシア モザンビーク ベトナム 豪州 インド 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2010 2011 2012 図 2-3 イルメナイトの輸入相手国 (純分t) 180,000 その他 160,000 ベトナム 140,000 シエラレオネ 120,000 中国 カナダ 100,000 豪州 80,000 インド 60,000 南ア 40,000 20,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 図 2-4 イルメナイト以外の輸入相手国 -279 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) 表 2-2 イルメナイト及びイルメナイト以外等の鉱石の輸出入相手国 チタン(Ti) 2-2-2.顔料(A 型、R 型) 表 2-3、図 2-5、図 2-6 に顔料 A 型の輸出入相手国を示す。主な輸入相手国は中国、韓国、フランスであり、 3 カ国で輸入量の 85%を占める。輸出相手国は、中国、インドネシア、台湾であり 3 カ国で輸出量の約 60%を 占める。 表 2-4、図 2-7、図 2-8 に顔料 R 型の輸出入相手国を示す。主な輸入相手国は米国、台湾であり、2 カ国で 輸入量の約 70%を占める。輸出相手国は、中国、台湾、インドネシア等である。 中国、台湾からの輸入品はデュポン製品であり、主にプラスチック向けで利用されている。その他、中国か らの輸入は四川竜蟒集団や、山東東佳集団股份有限公司の製品と推定される。 表 2-3 顔料(A 型)輸出入相手国 単位:純分t 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 中国 4,087 5,163 3,854 3,579 3,644 2,862 2,989 5,365 4,457 4,639 104% 韓国 1,553 2,137 2,591 4,475 5,250 4,642 3,523 4,723 4,592 3,299 72% 31% 976 978 407 499 438 494 553 177 382 1,053 276% 10% フランス 輸 ウクライナ 入 インド 44% 0 9 0 0 0 12 377 500 578 800 138% 8% 0 11 300 1 39 135 599 412 308 446 145% 4% 308 814 690 509 229 229 172 387 354 257 72% 2% 6,925 9,111 7,842 9,062 9,599 8,373 8,213 11,563 10,671 10,493 98% 100% 7,727 7,695 5,682 5,032 6,854 4,880 4,516 4,624 3,473 2,892 83% 33% 563 604 912 875 876 1,216 1,045 1,042 1,201 1,351 113% 15% 台湾 2,959 5,007 4,329 4,643 4,834 3,793 2,609 1,796 1,524 1,162 76% 13% 米国 777 912 643 702 869 632 577 860 655 667 102% 8% 1,671 1,599 1,348 1,155 883 919 1,170 1,793 2,132 659 31% 7% 7% その他 合計 中国 インドネシア 輸 韓国 出 インド 188 24 16 166 781 694 599 421 732 579 79% タイ 410 400 601 618 720 649 504 815 756 484 64% 5% オーストリア 265 199 93 24 0 17 0 39 164 182 111% 2% その他 合計 2,594 2,164 2,150 2,562 3,024 1,668 665 1,067 873 825 94% 9% 17,154 18,604 15,774 15,775 18,841 14,466 11,684 12,458 11,511 8,801 76% 100% 2010 2011 出典:財務省貿易統計、※純分換算率:顔料A型59.9% その他 (純分t) 14,000 インド ウクライナ 12,000 フランス 韓国 10,000 中国 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 図 2-5 顔料(A 型)輸入相手国 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -280 - 2012 チタン(Ti) その他 オーストリア タイ インド 韓国 米国 台湾 インドネシア 中国 (純分t) 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2-6 顔料(A 型)輸出相手国 表 2-4 顔料(R 型)輸出入相手国 単位:純分t 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 米国 10,274 11,251 11,057 11,871 12,696 13,387 13,217 16,061 14,435 13,452 93% 49% 台湾 5,289 6,541 6,779 6,218 6,611 7,341 7,481 8,685 7,739 5,247 68% 19% 豪州 6,143 5,650 4,234 4,246 4,250 3,376 2,830 3,298 2,479 2,241 90% 8% 62 47 81 140 128 3 424 1,446 1,939 2,050 106% 7% 563 567 667 450 670 714 715 735 1,006 1,284 128% 5% 2,370 2,799 2,657 2,367 2,386 2,872 1,349 1,249 1,651 1,224 74% 4% 輸 中国 入 シンガポール マレーシア その他 合計 12/11比 構成比 3,720 3,524 3,003 3,476 3,035 2,923 1,834 2,762 2,916 2,061 71% 7% 28,421 30,379 28,478 28,770 29,775 30,617 27,850 34,237 32,166 27,559 86% 100% 23% 中国 16,104 15,524 13,571 14,597 16,327 12,959 10,036 12,420 9,478 5,926 63% 台湾 5,316 5,180 4,432 4,736 4,036 2,893 1,757 4,698 5,477 4,034 74% 16% インドネシア 1,664 1,540 2,122 2,113 2,473 2,746 2,353 3,000 3,747 2,799 75% 11% タイ 輸 韓国 出 米国 1,150 1,611 1,674 1,751 1,669 1,636 1,308 2,402 2,663 2,404 90% 9% 4,489 4,326 4,891 4,292 4,024 3,296 2,067 3,931 3,469 2,213 64% 9% 5,133 3,558 3,180 2,281 1,846 1,758 1,717 2,249 2,151 2,184 102% 9% UAE 0 1,618 1,456 378 593 485 615 1,413 637 1,726 271% 7% 4,646 5,806 6,663 7,973 7,366 6,647 5,509 8,013 8,111 4,342 54% 17% 38,502 39,162 37,989 38,120 38,335 32,420 25,361 38,127 35,732 25,628 72% 100% その他 合計 出典:財務省貿易統計、※純分換算率:顔料R型53.9%、 (純分t) 40,000 35,000 30,000 その他 マレーシア シンガポール 中国 豪州 台湾 米国 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2-7 顔料(R 型)輸入相手国 -281 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) (純分t) 45,000 40,000 その他 35,000 UAE 30,000 米国 韓国 25,000 タイ 20,000 インドネシア 15,000 台湾 中国 10,000 5,000 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2-8 顔料(R 型)輸出相手国 2-2-3.製品 表 2-5、図 2-9 に製品の輸出入相手国を示す。先述したように、製品には展伸材が含まれる。主な輸入相手 国は、米国、中国、ロシア、イタリアである。米国やヨーロッパ等の国からは、航空機等のライセンス品が輸入 されているほか、中国からは安価な棒材、ワイヤーやチタン粉等が輸入されている。 主な輸出先は、韓国、中国、スウェーデン、ドイツである。韓国は、重工化メーカー向けへの輸出等が含まれ ており、日本製品が韓国以外のプロジェクト(中東の海水淡水化プロジェクト等)に使用される場合もある。中 国は、自国での展伸材生産量が増加しており、ここ数年は日本からの輸出量が減少傾向にある。スウェーデ ン、ドイツ等の欧州は、熱交換器向けのプレートチタンが輸出されている。 表 2-5 製品の輸出入相手国 単位:純分t 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 12/11比 構成比 米国 480 358 749 1,036 1,375 2,262 939 755 964 925 96% 中国 35 19 72 65 265 530 247 109 235 273 116% 16% 379 252 267 282 198 135 65 79 95 164 172% 10% 3 20 14 1 8 5 5 6 30 163 536% 9% 4 11 25 38 36 52 14 23 120 125 104% 7% 20 15 24 33 47 28 15 24 20 25 128% 1% ドイツ 11 7 7 18 9 10 5 7 41 17 41% 1% 英国 18 66 95 34 21 25 32 32 20 16 82% 1% その他 25 12 88 36 27 44 4 27 110 18 17% 1% ロシア イタリア 輸 韓国 入 台湾 合計 54% 976 760 1,341 1,542 1,987 3,092 1,327 1,061 1,635 1,727 106% 100% 韓国 1,069 1,368 1,586 1,649 1,563 1,745 1,563 1,028 5,149 3,819 74% 31% 中国 1,309 1,366 1,856 1,511 1,575 3,620 2,386 3,962 3,341 2,325 70% 19% スウェーデン 1,158 1,332 873 1,298 1,606 1,475 705 920 1,172 1,357 116% 11% 673 1,064 1,011 786 1,064 1,133 867 918 929 1,341 144% 11% 708 1,123 932 875 971 1,063 501 142 250 680 272% 6% 161 107 183 298 227 289 203 140 317 381 120% 3% 3,726 4,319 3,895 3,474 3,341 3,440 3,021 3,118 2,944 2,438 83% 20% 8,804 10,680 10,335 9,889 10,347 12,765 9,246 10,228 14,103 12,343 88% 100% 輸 ドイツ 出 フランス デンマーク その他 合計 出典:財務省貿易統計 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -282 - その他 イタリア 3,000 ロシア 2,500 中国 米国 2,000 1,500 1,000 500 0 2003 2003 2003 2003 2003 2003 2003 2003 2003 2003 図 2-9 製品の輸入相手国 2-3.輸出入価格 表 2-6、図 2-10 にチタンの平均輸出入価格を示す。 2011 年以降、中国による顔料用酸化チタンの需要急 増で鉱石価格が上昇している。特にルチルや UGI 等は、最高で従来価格の 3~4 倍にまで高騰した。 2000 年から 2008 年頃までの酸化チタン市場は、供給が需要を上回っていた。酸化チタンの価格も 2,000 ド ル/t 程度と大きな伸びもなく、酸化チタンメーカーの新規投資意欲が低い状況にあった。酸化チタンの価格が 上昇しない中、鉱石も同様の状況であった。そのため、小規模の鉱山会社の生産停止や、吸収合併等が行わ れ鉱石生産者の寡占化が進んでいった。 その一方で、酸化チタン需要は増加傾向を示し、リーマンショック前には需要と供給が拮抗する状況であっ た。これを受け、酸化チタンメーカーは将来の需要増加を見込み、各社設備増強を計画していたところ、2008 年のリーマンショックにより酸化チタンの需要が一気に減少し、大手酸化チタンメーカーは減産やプラント閉鎖 を行った。その後酸化チタン需要は V 字回復を達成したが、世界的に酸化チタンの生産能力が低下しており、 かつ鉱石生産量も不足していたため、酸化チタン価格が 2,000 ドル/t から 2012 年には 4,000 ドル/t と一気に 上昇した。これに伴い、鉱石サプライヤーも鉱石価格の値上げを行った。 そのような状況下、中国企業が新たな酸化チタン生産プラントを建設したため、イルメナイト鉱石需要が一 気に増加し、2010 年時点では 100 ドル台/kg であったイルメナイト鉱石価格が一気に 400 ドル/kg まで上昇 した。 鉱石価格の上昇の影響を特に受けるのは、生産においてより多くの鉱石を必要とする金属チタンメーカー である。金属チタンメーカーは、一時は廃棄物排出量の少ないスラグを金属チタン製造に利用しようとしてい たが、価格が大幅に上昇したため鉱石からの生産に戻している。 2011 年末頃には、酸化チタンも一時期ほどのひっ迫感は無くなった。しかし、酸化チタンメーカー側で生産 量を下げることができず、生産分を市場に投入したため、2013 年には酸化チタン価格が一気に下落した。需 給のバラスンが崩れた中で中国が安価な酸化チタン(他国の企業と比較し 1,000 ドル/t 程度安価)を市場に 投入したことも価格低下の一因となっている。 鉱石サプライヤー側では、需要が減少した後も、一部の鉱山の生産停止等、恣意的に鉱石生産量に調整を かけている。そのため、現状の鉱石の価格は依然高止まり状態にある。 -283 - 鉱物資源マテリアルフロー 2013 チタン(Ti) (純分t) 3,500 チタン(Ti) 表 2-6 チタンの平均輸出入価格 2003 2004 2005 2006 88 108 115 126 466 491 513 576 1,411 1,490 1,358 1,273 5,010 7,476 19,545 16,402 3,149 5,641 12,476 13,883 7,278 7,957 11,308 19,607 6,755 6,918 10,050 11,999 31,439 37,602 23,264 41,569 1,307 1,421 1,513 1,475 2,807 2,959 2,957 3,077 1,638 1,712 1,758 1,661 1,828 1,867 1,944 1,955 43,911 59,936 70,298 95,448 24,589 25,751 30,814 41,171 2007 146 600 1,486 11,619 7,613 20,028 13,812 43,725 1,573 2,900 1,699 1,987 102,198 47,264 2008 193 668 1,793 10,632 5,653 18,542 14,206 48,091 2,134 3,289 2,020 2,209 77,985 48,304 2009 178 718 2,139 9,841 2,883 13,346 11,663 127,701 2,104 3,314 2,272 2,305 82,531 47,805 2010 172 609 2,270 5,651 6,197 9,777 10,306 113,561 2,149 3,912 2,399 2,574 86,028 39,780 2011 266 822 3,053 8,979 7,931 11,471 10,665 28,918 2,959 4,617 3,157 3,317 72,600 37,095 単位:$/t 2012 12/11比 366 138% 1,722 209% 2,400 79% 7,191 80% 5,756 73% 13,504 118% 12,218 115% 28,782 100% 3,116 105% 5,338 116% 3,419 108% 3,916 118% 88,541 122% 38,464 104% イルメナイト 輸入 原 鉱 イルメナイト以外 輸入 料 石 チタン鉱 輸出 輸入 2) くず 輸出 輸入 1)2) 塊および粉 輸出 輸入 素 塊以外 材 輸出 輸入 顔料(A型) 輸出 輸入 顔料(R型) 輸出 製 輸入 製品 品 輸出 出典:財務省貿易統計 1)塊及び粉は主にスポンジチタンとみられ、一部インゴットが含まれる。 2)チタンの塊及び粉、くずの輸入数値には「チタンニオブ合金(810820010)(810830010)」が加わっている(純分換算なし) 輸出入価格は貿易統計の貿易額を財務省による年間平均為替レートにより米ドルベースに換算し、年間平均価格を示した。 ($/t:右軸) イルメナイト (左軸) イルメナイト以外 (左軸) 顔料(A型) (左軸) 顔料(R型) (左軸) くず (右軸) 塊および粉 (右軸) 製品 (右軸) 3,500 3,000 2,500 (左軸:$/t) 160,000 120,000 2,000 80,000 1,500 1,000 40,000 500 0 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 表 2-10 チタンの平均輸入価格 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -284 - 2011 2012 チタン(Ti) 3.生産者及び生産品目 日本における主要生産者及び生産品目は表 3 の通りである。 表 3 主要生産者及び生産品目 素材 大阪チタニウムテクノロジーズ 東邦チタニウム 神戸製鋼所 新日鐵住金 JFEスチール 大同特殊鋼 三菱マテリアル 愛知製鋼 石原産業 堺化学工業 チタン工業 テイカ 富士チタン工業 古河ケミカルズ 出展:矢野経済研究所 スポンジTi ○ ○ - Tiインゴット ○ ○ ○ ○ ○ - 製品 FeTi ○ - 酸化Ti ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 展伸材 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - Ti粉 ○ - 4.リサイクル リサイクル率を以下のように定義し、触媒資源化協会統計から、チタンのリサイクル率を推計した。ただし、 会員企業の報告数値のため、カバー率は 100%ではない。 酸化チタンは塗料や顔料などで消費されるため、リサイクルの対象とはなりにくい。リサイクルの対象とな るのは金属チタンである。金属チタンの製造工程内で生じる自家発生スクラップがインゴットと鉄鋼添加向け で利用されている。 リサイクル率 =(使用済み製品からのリサイクル量)/(見掛消費量) 見掛消費量 =(国内発生量)+(原料・素材の輸入)-(原料・素材の輸出量) ※ ※ ※ 使用済み製品からのリサイクル量とは、製品から原料・素材に戻る量を示す。 原料は鉱石、素材はくず、塊及び粉、塊以外、顔料の合計値。 国内発生量には使用済み製品からのリサイクル量を含む。 表 4 チタンのリサイクル率 区分 内訳 国内発生量 見掛消費量 原料・素材 輸入-輸出 合計① リサイクル量 触媒等から回収② リサイクル率 ②/① 出典:財務省貿易統計、触媒資源化協会 2008 39.0 143.2 2009 25.0 86.4 182 0.000 0.00% -285 - 111 0.000 0.00% 2010 37.1 115.1 152 0.000 0.00% 2011 58.5 119.8 単位:純分千t 2012 63.4 173.5 178 0.023 0.01% 237 0.023 0.01% 鉱物資源マテリアルフロー 2013 -286 - 国内生産あり 千t 70 )千t 0 )千t 輸出入のみ 塊以外 千t 製造フロー (国内製造あり) 0 輸出 輸出 千t 31 輸入 千t 塊及び粉 4 千t 千t スク ラ ップ (くず ) 1 4 輸入 輸出 製造フロー (国内製造なし) 東邦チタニウム チタン工業 - 堺化学工業 東邦チタニウム リサイクルのフロー テイカ ※チタンスラグを参考として加えた。これにはチタン以外も含まれるため、純分換算を行っていない。 千t 千t 千t 千t 千t 石原産業 国内生産量 111 ( 185 ) 顔料A 10 ( 18 ) 輸入 顔料R 28 ( 51 ) 顔料A 9 ( 15 ) 輸出 顔料R 26 ( 48 ) 国内主要生産企業 酸化チタン()内は酸化チタン純分 大阪チタニウム テクノロジーズ 国内主要生産企業 ス ポンジチタン(塊及び 粉) 国内生産量 63 千t 素材 0.2 千t 0.0 千t 東邦チタニウム フェロチタン及びフェロシリコチタンを含む ※輸出入コード:7202.91-000:純分76%計算 大阪チタニウム テクノロジーズ 国内主要生産企業 輸入量 輸出量 国内生産量 フ ェロチタン - (大同特殊鋼) (神戸製鋼所) (新日鐵住金) 東邦チタニウム 大阪チタニウム テクノロジーズ 国内主要生産企業 インゴ ッ ト 国内生産量 25 千t チタンのマテリアルフロー(2012) ※()は内製。外販は無し ※純分換算率:イルメナイト鉱石(輸入)30%、イルメナイト以外(輸入)56%、チタン鉱石(輸出)36%、金属チタン100%、顔料A型59.9%、顔料R型53.9%、 ※製品の需要量=国内で生産又は国内に輸入された原料、素材の需要量であり、製品の輸出入量は考慮していない。 30 チタンス ラ グ 直接の輸出入なし 輸入 42 ( 0 ( チタン鉱石 ()内は酸化チタン純分 イルメナイト以外 158 ( 267 )千t イルメナイト 輸出 チタン鉱 輸入 原料 5.マテリアルフロー 2 千t 12 千t JFEスチール 他 大同特殊鋼 国内主要生産企業 新日鐵住金 神戸製鋼所 輸入 輸出 チタン展伸材 国内生産量 16 千t 溶接棒 純チタン - - - - 需要量 その他 - 合成樹脂材料 需要量 - 需要量 塗料・顔料・インキ 材料 チタン粉末 需要量 - 需要量 鉄鋼添加剤 需要量 需要量 各種チタン合金 需要量 化繊・製紙・ゴム等 合成樹脂 塗料・顔料・インキ 自動車、化学工業等 製鋼 電解、電力、プレート熱交、自 動車、民生品等 航空・宇宙用材料、スポーツ・ レジャー等 製品・主要用途 チタン(Ti) 鉱物資源マテリアルフロー 2013
© Copyright 2024 ExpyDoc