日本標準商品分類番号 872149 薬価基準収載 カンデサルタンOD錠/錠「サワイ」の製剤設計 持続性アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤 プロトンポンプ・インヒビター カンデサルタン シレキセチル口腔内崩壊錠 処方箋医薬品※ 日本薬局方 カンデサルタン シレキセチル錠 処方箋医薬品※ 標準品:ブロプレス錠 【禁忌】 (次の患者には投与しないこと) 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照) 3)アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧の コントロールが著しく不良の患者を除く) 〔非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血 圧のリスク増加が報告されている。〕 (「重要な基本的注意」の項参照) 効能・効果、 用法・用量、 その他の使用上の注意等はDrug Informationをご参照ください。 ※注意-医師等の処方箋により使用すること 「慢性心不全(軽症~中等症) の状態で、 アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合」の効能は取得しておりません。 BI20NK 1.製剤設計の概要 カンデサルタン シレキセチルは、製造過程における造粒あるいは加圧成形の際に加えられる圧力、 摩擦、熱等により有効成分の結晶構造に歪みが生じることがあり、経時的な分解、純度低下が 起こると言われています。 沢井製薬では、この性質を改善すべく約 300 通りの検討を重ね、独自の処方・製造方法を見出し 製剤化に成功いたしました。 このカンデサルタン錠 /OD 錠「サワイ」に関し4つの特許を出願中です。 カンデサルタン シレキセチル(D- マンニトール混合物) ラウロマクロゴール ステアリン酸 (イメージ:OD 錠 8mg) ※図解のために簡略記載しています。 実際の OD 錠 8mg 製剤は、ごくうすい黄色です。 図 1.カンデサルタンOD 錠 8mg「サワイ」概略図 2.カンデサルタン 初の口腔内崩壊錠 「なによりも患者さんのために」 を企業スローガンとする沢井製薬は、カンデサルタン製剤として 初めての口腔内崩壊錠 (OD 錠) を開発しました。 カンデサルタンOD 錠「サワイ」は標準製剤 (普通錠) と剤形が異なるため、生物学的同等性を得るのに 苦慮しました。鋭意研究した結果、粉末添加剤にカンデサルタン分散液を噴霧し造粒することで 溶出性を改善し、生物学的同等性の確保に成功いたしました(国際特許公開番号:WO2014/119667) 。 錠剤の形状については、これまでの沢井製薬独自の OD 錠開発のノウハウを活かし、錠剤に少し 丸みを施し欠けにくいカーブの角度(2 段 R 面)の設計にしています。 第十六改正日本薬局方の錠剤の摩損度試験法に従い、摩損度を測定した結果は以下の通りです。 表 1.カンデサルタンOD 錠「サワイ」の形状と摩損度試験結果(25rpm×4 分) 製品名 直径 7.0mm 外形( ) 厚さ3.4mm 摩損率 (%) (n=50) カンデサルタンOD 錠 2mg「サワイ」 0.15 カンデサルタンOD 錠 4mg「サワイ」 0.13 カンデサルタンOD 錠 8mg「サワイ」 0.17 カンデサルタンOD 錠 12mg「サワイ」 0.17 また、臨床現場での取り扱いを考慮し、全自動分包機への適応性を評価しました。その結果、いず れの条件においても割れ・欠けは認められませんでした。 25℃75%RH2週間保存品は、吸湿によりやや膨張する傾向がありました。 表 2. 自動分包機における錠剤落下試験結果*1 製品名 イニシャル 25℃75%RH2週間保存品 一包化された錠剤に割れ・ 欠けは認められなかった 同左 カンデサルタンOD 錠 2mg「サワイ」 カンデサルタンOD 錠 4mg「サワイ」 カンデサルタンOD 錠 8mg「サワイ」 カンデサルタンOD 錠 12mg「サワイ」 *1 湯山製作所製 [YS-TR-330/260FDSⅡ]、最上段のカセットで実施 (n=30) 3.独自の製剤設計により安定性を確保 (1)薬物含有粒子の造粒〈OD 錠〉 カンデサルタン シレキセチルは前述のように衝撃に弱い成分であるため、造粒方法には工夫が 必要でした。一般的に用いられる撹拌造粒法では、造粒時にも純度の低下が起こってしまいます。 そこで、D- マンニトールを用い流動層造粒を行うことでカンデサルタンの分解が抑えられるこ とを見出しました(特開 2012-162467)。 (2)安定化剤の選択〈錠 /OD 錠〉 カンデサルタン シレキセチルへの衝撃緩和のための安定化剤(緩衝剤)として、低融点物質が 有効とされています。 医薬品添加物の中の低融点物質のほとんどが他社の特許により権利化されており、特許を回避 して安定化剤を検討する必要がありました。また、特許に抵触しない物質であっても室温で液 体のものが多く、物性的に固形製剤に使えるものを探索するのは困難を極めました。 沢井製薬はその中からラウロマクロゴールを使用し、通常の固形製剤と同様の取り扱いが 可能な製剤物性を付与しながら保存安定性を向上させています(図 2、国際特許公開番号: WO2014/088123)。 0.8 総類縁物質量 (%) 0.6 0.4 0.2 0 ラウロマクロゴールなし ラウロマクロゴール添加 (カンデサルタン錠2mg「サワイ」) 図 2.ラウロマクロゴール(安定化剤)添加と類縁物質量(40℃75%RH2 週間保管品) また、OD 錠についてはラウロマクロゴールに加え、打錠前にステアリン酸を添加することで、 打錠の衝撃による純度低下を防ぎ保存安定性を向上させています(特開 2012-153629)。 以上のように、安定化剤の選択、その他添加物を含めた最適な配合量・配合方法について、合計 約 300 通りの処方検討を重ね、カンデサルタン錠 /OD 錠「サワイ」の製剤化に成功しました。 4.錠剤への印刷 3.自動分包機落下試験 割線識別可能なインクジェット式錠剤印刷機を導入し、両面に成分および含量を印刷して います。 使用するインクは、300 種類以上のインク組成から印字の安定性や製剤との相性などを考 慮し、最適なインクを選択しました。 印刷デザインにもこだわりました。成分名は略称ではなく「カンデサルタン」と記載し、鑑 査などの際に、一目で識別しやすいよう文字を横一列に配置しました。 カンデサルタン錠 8mg「サワイ」 カンデサルタンOD 錠 8mg「サワイ」 〈参考〉安定性試験データ( 社内資料 ) カンデサルタン錠 /OD 錠 8mg「サワイ」の無包装の製剤について、各種条件下で保存し、 安定性試験を行いました。 表 3.カンデサルタン錠 /OD 錠 8mg「サワイ」 無包装下の安定性試験データ 製品名 カンデ サ ルタン錠 8 m g 「 サワイ」 カンデサルタンOD 錠 8mg「サワイ」 *2 硬度:イニシャル 5.3kg→結果 3.6kg 保存条件 結 果 温度 (40℃3ヵ月) 変化なし 湿度 (25℃75%RH3ヵ月) 変化なし 光 ( 総照射量 60 万l x・hr) 変化なし 室温 (25℃60%RH3ヵ月) 変化なし 温度 (40℃3ヵ月) 変化なし 湿度 (25℃75%RH3ヵ月) 変化なし*2 光 ( 総照射量 120 万l x・hr) 変化なし 室温 (25℃60%RH3ヵ月) 変化なし <測定項目:性状、硬度、純度、崩壊(OD 錠のみ)、溶出、定量>
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