貴志川線の運賃改定(申請)について

平成28年1月15日
貴志川線の運賃改定(申請)について
和歌山電鐵株式会社
和歌山電鐵株式会社(本社:和歌山市伊太祈曽 73 番地、社長:小嶋 光信)は、本日、
近畿運輸局長に対し、以下のとおり貴志川線の鉄道旅客運賃の変更認可申請を行いました。
認可された場合、ご利用のお客様にはご負担をおかけすることとなりますが、何卒ご理
解を賜りますようお願いいたします。
1.申請理由
廃線の危機にあった貴志川線の事業を平成18年に引き継いで以降、それまで減少の一
途であったお客様は、行政と市民団体の協力、魅力ある電車やたま駅長の働きなどで奇跡
的に20%近くも増加し、経費節減にも努めることで、当初は開業から数年後に予定して
いた運賃値上げの実施を見送り、当初10年間の行政による運営補助金も全額を使い切ら
ないなど、大きく経営改善を図ることができました。
このように以前に比べ大幅に収支は改善したものの、近年でも年間約6~8千万円の赤
字が生じており、新たな10年を迎える28年度以降、行政の支援が途絶えれば事業の継
続は困難でありましたところ、当初の予想を超えて老朽化が進む鉄道施設の整備に対する
支援について、先般、県・沿線両市と基本的な合意に達し、安全運行のための道筋が立ち
ました。
いっぽう、交通政策基本法ならびに改正地域公共交通活性化再生法が施行され、今後の
地域公共交通は事業者だけでなく、行政や市民が一体になって維持・発展を図るようにな
ったことから、弊社と行政と利用者(市民)が応分の努力と協力関係を構築することを念
頭に、関係行政と協議を重ねてきました。
この結果、少子高齢化や沿線道路の整備、そして動力源である電力料金の増大などの逆
境を迎える中、経営努力と自治体の支援だけでは赤字運営からの脱却は非常に困難である
ことから、路線の維持存続の責任分担を明確化し、弊社は経営努力を、行政は設備整備へ
の支援を、そしてお客様には他社の運賃水準も参考に、最低限のご負担をお願いせざるを
得ない、という結論に達し、運賃の改定を申請したものです。
2.申請の概要
(1)運 賃 改 定 実 施 日
平成28年4月1日(金)予定
(2)申 請 し た 運 賃
添付資料のとおり
(3)改
平均14.2%
定
率
(単位:%)
定期旅客運賃
普通旅客運賃
8.7%
(4)初 乗 り 運
合計
通勤
通学
計
22.7%
20.0%
21.5%
賃
(5)定期運賃平均割引率
14.2%
190円(現行170円)
通勤 40.0%(現行47.0%)
通学 64.0%(現行67.5%)
(6)旅 客 運 輸 収 入 表
(単位:千円)
区
現 行
分
(A)
増
定
(B)
減
増収額
増収率
(C=B-A)
(C/A×100)
賃
336,913
384,828
47,915
14.2%
定期外
192,213
208,963
16,750
8.7%
定
144,700
175,865
31,165
21.5%
336,913
384,828
47,915
14.2%
運
旅
客
運
輸
収
入
改
合
期
計
※現行は改定しない場合、改定は改定した場合の改定後3年間(平成28~30
年度)の推定平均値
3.今後の需要見通し
(単位:千人)
区
分
実 績(27 年度は見込み)
合
定
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
29 年度
30 年度
749
776
795
835
810
810
810
1,417
1,522
1,484
1,484
1,439
1,439
1,439
通勤
663
695
692
692
671
671
671
通学
754
827
792
792
768
768
768
2,166
2,298
2,279
2,319
2,249
2,249
2,249
定期外
定
推
期
計
〔28 年度〕
定期外 外国人旅客の伸びの鈍化(横ばいへ)、前年度の特殊要因(たま駅長逝去
に伴う話題性向上)の反動減及び運賃改定に伴う逸走により、対前年度
比 3%減を見込む
定
期 運賃改定に伴う逸走により、対前年度比 3%減を見込む
〔29~30 年度〕
定期外
外国人旅客の減少が懸念されるが、利用促進努力により前年度水準の維
持を見込む
定
期
人口減少による影響が懸念されるが、利用促進努力により前年度水準の
維持を見込む
4.鉄道部門収支の実績及び推定
営業収支の推移
600
推定
金額(百万円)
実績(27年度は見込み)
減価償却費
500
諸税
400
その他経費
電気動力費
300
修繕費
200
人件費
運輸雑収
100
運輸収入(定期)
運輸収入(定期外)
0
24
年
度
25
年
度
26
年
度
左側:収益
27
年
度
28
年
度
29
年
度
30
年
度
右側:費用
5.設備投資の実績・計画
国、県及び沿線2市の支援のもと、老朽化の著しい鉄道施設・車両の更新について今後
集中的・計画的に推進し、輸送の安全の確保を図ります。
(主な内容)
区
線路設備
分
道床砕石化
24~27 年度実績
28~30 年度計画
1,043m(日前宮~神前
1,050m(田中口~日
間、竈山~交通センター前間他) 前宮間、神前~竈山間)
枕木コンクリート化
4,466本(日前宮~神前
1,728本(同上)
間、岡崎前~伊太祈曽間他)
電路設備
50N レール更新
1,050m(同上)
1,084m(同上)
橋梁補修・全塗装
0箇所
8箇所
コンクリート柱化
7箇所
11箇所
踏切しゃ断機更新
4台
12台
踏切制御用軌道回路更新
7箇所
15箇所
障害物検知装置更新
0箇所
5箇所
車 両
CTC・連動装置更新
0箇所
5箇所
主要機器更新
0両
9両
6.経営合理化への取り組み
比較的専門性の高い業務であっても複数の仕事を受け持つことで、縦割りを排してム
ダ・ムラを減らし、少人数での運営を行っています。要員数と給与水準を抑制し、前事業
者に比べ人件費を大きく削減いたしました。
今後も支出のうち多くの割合を占める設備投資や修繕関係業務の発注方式の見直しなど、
合理化による経営体質の改善・強化に取り組んでまいります。
7.お客様へのサービス向上への取り組み
従来、終電時間の繰り下げ、駅駐車場・駐輪場の整備、駅トイレ・ベンチの更新、定期
券の通信販売、回数券有効期間の延長等の施策を行ってまいりましたが、今後もお客様の
ご意見も踏まえ、高齢者や学生の皆様にとってもより使いやすい交通機関となるよう、企
画きっぷの発売や快適性向上への取り組みを検討、推進してまいります。
8.お問い合わせ先
和歌山電鐵株式会社 電話073(478)0110
(営業時間 8時30分~17時30分 土・日・祝は除く)
(添付資料)
現行・申請運賃比較表
1.大人普通旅客運賃
キロ程
現行運賃
キロ
申請運賃
円
円
3 キロまで
170
190
3 キロ超 6 キロまで
230
250
6 キロ超 9 キロまで
290
310
9 キロ超 12 キロまで
330
360
12 キロ超 15 キロまで
370
400
2.大人通勤定期旅客運賃(1か月)
キロ程
現行運賃
申請運賃
円
円
3 キロまで
5,760
6,840
3 キロ超 6 キロまで
7,330
9,000
6 キロ超 9 キロまで
8,900
11,160
9 キロ超 12 キロまで
10,360
12,960
12 キロ超 15 キロまで
11,830
14,400
キロ
3.大人通学定期旅客運賃(1か月)
キロ程
現行運賃
申請運賃
円
円
3 キロまで
3,290
4,110
3 キロ超 6 キロまで
4,340
5,400
6 キロ超 9 キロまで
5,390
6,700
9 キロ超 12 キロまで
6,440
7,780
12 キロ超 15 キロまで
7,490
8,640
キロ
※小児旅客運賃は、大人旅客運賃の半額(10 円未満の端数は切り上げ)
※3か月・6か月の定期旅客運賃は以下の計算式による
(3か月)1か月運賃×3×0.95 (6か月)1か月運賃×6×0.90
以上
【参考】他社線との運賃比較
貴志川線と沿線人口等の条件が比較的近い他の中小民鉄15路線(注 1)との比較
貴志川線
現行
普通運賃
申請
他社平均
3 キロ区間
170
190
176
6 キロ区間
230
250
265
9 キロ区間
290
310
375
12 キロ区間
330
360
470
15 キロ区間
370
400
553
定期運賃
通勤
47.0%
40.0%
36.3%
割引率(注 2)
通学
67.5%
64.0%
56.6%
(注 1)県庁所在地・中核市等の主要都市から郊外へ延びる各路線(東北1、関東2、中部6、近畿1、
中国2、四国2、九州1)
(注 2)10 キロ区間における割引率