投資情報部 2016 年 1 月 14 日(木) Weekly Outlook 週刊投資情報 CONTENTS 1. 日本株見通しとポイント~リターン・リバーサル戦略に着目 ..................................2 2. 米国株見通しとポイント~決算堅調なら底入れへ ................................................3 3. 円相場見通しとポイント~ドル円は内外株を睨みながらの神経質な展開 ..............4 4. 国内経済動向~景況感は現状改善、先行きは横ばい .........................................6 5. 新興国市場・経済動向 ........................................................................................8 6. 2016 年の日本株式市場における注目テーマ ....................................................13 7. 通信セクター見通し~セクター全体で良好な株価推移を見込む .........................15 8. IT サービスセクター見通し~利益成長期待から株価上昇を見込む ....................16 9. 中国株式~需給悪化懸念は後退するもボラティリティの高い展開に ..................17 10. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 .......................................................18 11. 来週・再来週の主なスケジュール ......................................................................19 1 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 No.237 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 1.日本株見通しとポイント~リターン・リバーサル戦略に着目 日本株担当: 横山 敦史 足元の相場状況に鑑み、弊社は2016年の日経平均の見通しを下方修正した。投資家のリスク回避姿勢が 強まったのは、リスク要因が相次ぎ、世界的な景気減速懸念が浮上していることなどが背景にあるとみられ るが、投資マインドが回復し日本株のPERが2015年平均並みに上昇すれば、日経平均は19,642円に達す ると試算される。投資家心理改善に伴う自律反発局面では、リターン・リバーサル戦略に着目したい。 海外要因でリスクオフ継続 図表1. 日経平均の予想レンジ(1/13時点) 先週末以降の日本株市場は、自律反発の動きをみ せる場面もあったが、引き続き中国人民元安や原油安 など海外要因から下値を試す展開となった。テクニカル 面では売られ過ぎのシグナルが点灯するなど、日経平 均は底値圏にあると考えられるが、目先は波乱含みの 展開を想定する。弊社では、年後半に堅調な先進国経 済が相場を牽引し、株価が上昇基調を辿るというストー リーに変 更 はないものの、足 元 の相 場 状 況 に鑑 み、 2016年の日経平均の見通しを下方修正した(図表1)。 24,000 (円) ★は各期末の弊社予想値 22,000 20,000 18,000 日経平均 16,000 2016年 予想(円) 末値 レンジ上限 レンジ下限 14,000 12,000 2014年 株価=EPS×PER 2015年 1-3月 19,000 20,000 17,000 4-6月 20,000 21,000 18,000 2016年 7-9月 20,500 21,500 18,500 10-12月 22,000 22,500 19,000 2017年 出所:QUICKよりSMBC日興証券作成。予想はSMBC日興証券 足元で投資家のリスク回避姿勢が強まっているのは、 昨年末から複数のリスク要因が相次いでいることに加え、 図表2. 予想EPS・PER別日経平均の試算 本質的には米国が利上げを開始する中、世界的な景 株価 = EPS × PER 気減速懸念が浮上していることが背景にある。また、こ TOPIX予想EPS・ PERからみる日経平均( 円) れらが投資家の許容するPERの低下に繋がったことが 予 想 P E R(倍) 株価の下落をもたらしている可能性がある。 予 想 E P S 株価は一般的に、「株価=EPS(1株当たり利益)× PER(株価収益率)」で表される。市場が予想する企業 の利益が横ばいであったとしても、投資マインドが良好 でPERの上昇が許容されれば株価も上昇する。現在の TOPIX12ヵ月先予想PER(IBES予想)は約13.1倍とアベ ノミクス相場が始まって以降でみると割安な水準にある。 仮に来期の企業業績が横ばいであったとしても、2015 年の平均予想PER(約14.5倍)並みまで回復すれば日 経平均は19,642円となる(図表2)。まずは投資家心理 改善に伴う自律反発に期待したい。 現在 13.12 16,919 17,716 18,530 19,336 15年平均 14 18,058 18,909 19,778 20,638 14.54 18,759 19,642 20,545 21,438 15 19,348 20,259 21,191 22,112 注:1/13終値ベースのNT倍率、1/11時点のTOPIXの予想利益 (EPS=109.9、PER=13.12倍)などを基に日経平均を試算。予想は IBES12ヵ月先予想 出所:DatastreamよりSMBC日興証券作成 図表3. 増収増益予想にも関わらず下落率が大きい銘柄 昨年来 昨年来高値 1月12日 高値から 高値(円) 日付 終値(円) の下落率 4755 楽天 サービス業 2,395.0 2015/4/10 1,212.0 -49.4% 7011 三菱重 機械 805.0 2015/6/4 482.0 -40.1% 7956 ピジョン その他製品 4,125 2015/7/23 2,543 -38.4% 9449 GMO 情報・通信業 2,203 2015/8/4 1,417 -35.7% 6981 村田製 電気機器 22,220 2015/7/2 14,755 -33.6% 8570 イオンFS その他金融 3,620 2015/7/24 2,412 -33.4% 6770 アルプス 電気機器 4,205 2015/11/24 2,806 -33.3% 7532 ドンキHD 小売業 5,830 2015/7/24 3,915 -32.8% 8273 イズミ 小売業 6,170 2015/8/4 4,155 -32.7% 4732 USS サービス業 2,579 2015/5/21 1,742 -32.5% コード 銘柄名 反発局面ではリターン・リバーサル戦略が有効か 今後の自律反発局面ではどんな投資戦略が有効だ ろうか。足元の株価下落が心理的な要素が大きく、利益 確定を急いだ投資家が多いならば、下落率が大きい銘 柄がその後の上昇局面でも大幅に上昇する傾向がある ことを利用したリターン・リバーサル戦略に着目したい。 図表3では、JPX日経400採用銘柄のうち、今期・来期 ともに市場で増収増益が見込まれる企業を、昨年来高 値からの下落率が大きい順に掲載した。反発局面での 投資の際の参考とされたい。 業種名 注:JPX日経400採用銘柄(変則決算を除く)のうち、QUICKコンセンサス 予想(3社以上)が今期・来期ともに5%以上の増収増益予想の企業で 昨年来高値からの下落率が大きい10社を掲載。予想は1月12日時点 出所: QUICKよりSMBC日興証券作成 2 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 105 109.9 115 120 12 15,479 16,207 16,953 17,690 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 2.米国株見通しとポイント~決算堅調なら底入れへ 米国株担当: 河田 剛 1月7日以降の米国株は、堅調な雇用統計の結果にもかかわらず、中国株の不安定な動きや原油安、世界 経済の先行きに対する不透明感などから下落傾向が続いた。2015年10-12月期決算、2016年1-3月期決 算は減益予想となっているが、企業業績の期待値が下がっており、バリュエーションの割高感も無いため、 決算発表の内容が事前予想を上回るペースで推移し、原油価格が落ちつけば、株価は底入れしよう。 先週、今週のレビュー~中国不安などで下落 員会)メンバーの見通しでは、2016年中に3~4回の利上 げが見込まれているため、目先は次々回、3月15~16日 のFOMCで再利上げが行われるかどうかが市場の焦点 となろう。 1月7日の米国株市場は、1月2日終了週の新規失業 保険申請件数が事前予想を上回ったことや、欧州株、 中国株の下落などから、ダウ工業株指数(NYダウ)は前 日比▲392ドルの大幅安となった。8日は、中国株が反 発し、12月の雇用統計(非農業部門雇用者数)が事前 予想を上回ったものの、欧州株や原油価格の下落など から、NYダウは▲167ドルと続落した。週明け11日は、 原油安からエネルギー株が売られたものの、人民元安 が底入れする兆しをみせたことや、値ごろ感からの買い 戻しなどから、NYダウは+52ドルと反発した。12日は、 WTI原油先物が一時30ドル/バレルを割り込んだことが 株価の重石となったものの、中国株、欧州株の上昇や、 12月のNFIB(全米独立事業連盟)中小企業楽観度指 数が事前予想を上回ったことなどから、NYダウは+117ド ルとなった。13日は、中国の12月貿易統計が事前予想 を上回ったことや、欧州株の上昇などから買いが先行し たものの、週間在庫統計で原油在庫が増加したことや、 世界経済の先行き不透明感などから、NYダウは▲364 ドルの大幅安となった。 当面の見通し~決算堅調なら底入れへ 経済指標では15日発表予定の12月の小売売上高 (事前予想:前月比+▲0.1%)、1月のミシガン大学消費 者信頼感指数(速報値)(事前予想:92.9)などが注目さ れる。2015年10-12月期決算発表では、14日から20日 にかけて大手金融、14日にインテル、19日にIBMなどが 予定されている。S&P500指数の2015年10-12月期EPS (1株当たり利益)は全産業で前年同期比▲6.7%、金融 除くベースが▲7.5%、エネルギー除くベースが▲1.2%と、 いずれも減益予想となっている(1月8日時点の Bloomberg集計)。また2016年1-3月期についても、全産 業が2015年12月24日時点の+0.5%から▲0.1%と減益 予想に転じている。これはエネルギー株の下方修正(図 表1)やドル高、外需の停滞などによるとみられる。ただ、 企業業績の期待値が下がっていることや、S&P500の12 ヵ月先予想PERが13日時点で14.9倍と2015年8月25日 安値時の14.8倍とほぼ同水準になっていることから決算 発表の内容が事前予想を上回るペースで推移し、原油 価格が落ち着けば株価は底入れしよう。 12月の雇用統計 1月8日に発表された12月の雇用統計では、非農業 部門雇用者数が前月比+29.2万人(事前予想:+20.0万 人、11月は+21.1万人→+25.2万人、10月は+29.8万人 →+30.7万人に修正)、民間部門雇用者数が同+27.5万 人(事前予想:+20.1万人、11月は+19.7万人→+24.0万 人、10月は+30.4万人→+31.2万人に修正)と、事前予 想を上回り、10月分、11月分も上方修正となった。失業 率は11月5.0%→12月5.0%と横ばいだったが、労働参 加率が11月62.5%→10月62.6%と上昇しており、実質的 には改善したものと考えられる。FRBが重視する全人口 に占める雇用者数比率は11月59.4%→12月59.5%と上 昇した。27週以上の長期失業者は増加したが、経済的 理由でのパートタイマーは減少した。時間当たり賃金は 前月比+0.0%と事前予想(+0.2%)を下回った。暖冬で かさ上げされた可能性はあるものの、労働市場の改善 は着実に進んでいるとみられるが、一方で物価上昇圧 力は弱い状況が続いている。FOMC(連邦公開市場委 事前予想は Bloomberg、2016 年 1 月 14 日 10 時時点のもの 図表1. S&P500エネルギー株のリビジョンインデックス 1.0 上方修正優位 0.5 0.0 -0.5 -1.0 リビジョンインデックス=((業績予想上方修正数-下方修正数)/全修正数) -1.5 06 07 08 09 10 11 12 出所: DatastreamよりSMBC日興証券作成 3 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 12週移動平均 下方修正優位 13 14 15 (年) 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 3.円相場見通しとポイント~ドル円は内外株を睨みながらの神経質な展開 欧米・為替担当: 本間 英至 ドル円は引き続き軟調に推移し、一時116円台を付ける場面もあった。現在の投機筋のポジションや市場の 米利上げ予想など、先行きドルの上昇が期待できる材料も確認できるものの、金融市場が落ち着く気配は 依然窺えず、ドル円は内外株の動向を睨みながらの神経質な展開が続きそうだ。来週は中国で10-12月実 質GDPを筆頭に主要経済指標が発表される。市場の不安心理に歯止めが掛かるか否か要注目である。 この1週間(1/7~)のレビュー 日銀が一段の円高を放置するとは考え難く、円高が更 に進行すれば追加緩和に踏み切ろう。そもそも、日米の 金融政策の違いを勘案すると、投機筋ポジションの円 買い超過の定着や円買い積極化の可能性は低い。「円 買い残」が昨年夏場から秋口の水準にまで膨らんでい ることも踏まえれば、投機筋の円買いは続かず、先行き ドル高円安要因に転換することが期待される。 ドル円は、内外株や中国市場の動向を睨みながら 118円を挟んで推移後、8日に米雇用統計の予想以上 の結果を好感して118.83円をつけたが、米国株の下落 を受けてドル売りに転換、週明け11日の早朝には一時 116.70円まで下落した。ドル売り一巡後は買い戻しが優 勢となり13日には118円台前半を回復したものの、米国 株の大幅下落を受けてドルは再び売られ、足元117円 台半ば前後で推移している。オセアニア通貨は概ねド ル円と同様の値動き。豪ドル円は11日に一時80.90円、 NZドル円は14日に75.90円まで売られる場面もあった。 一方、ユーロ円は週明け以降128円を挟んでのレンジ 推移となっている。(東京時間1/14正午時点) 市場は年内2度の米利上げも織り込んでいない状態 ③の米利上げペースに関して、FF先物によると、市場 の年内利上げ予想は年初時点で2回程度だった。昨年 12月に示されたFOMC(連邦公開市場委員会)参加者 の見通しでは、FRB(連邦準備制度理事会)は年4回を 基本路線とする考えが示唆されており、市場の見方が 慎重に傾いていることが示されていた。しかし、年明け 以降の内外株の混乱等を受けて市場は慎重姿勢を一 ドル円相場の見通しと再来週にかけての注目材料 投機筋は3年強ぶりに円買い超過に転換 CFTCによると、投機筋のドル円ポジションが2012年 10月19日以来初めて円買いドル売り超過に転じたこと が明らかとなった(1/5現在、ネットベース、図表1)。投機 筋は昨年11月下旬以降、円売りポジションの解消(=ド ル売り円買い)を進め、昨年末時点でポジション整理が 概ね一巡。これにより、投機主導のドル安圧力は和らぐ ものとみていた。しかし、投機筋のドル売りは年明け以 降も弱まらずに継続する展開となっている。 図表1. 投機筋の円ポジション(対米ドル)とドル円の推移 (1000枚) 投機筋のポジション (円買い残高-円売り残高、左軸) (円/ドル) 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 0 -30 -60 -90 そこで、投機筋のポジションを「円売り残」と「円買い 残」に分けてみると、「円売り残」が横這いの一方で「円 買い残」が急ピッチで増加(図表2)。最近の投機筋のド ル売りは、「円売りの買い戻し」ではなく「新規の円買い」 がもたらしていることが確認される。背景として、①中国 不安等によるリスク回避モードの長期化期待、②日銀の 追加緩和期待の後退、③米国の利上げペースがより緩 慢なものに留まるとの見方の強まり、等が推測される。 -120 (1枚=12,500,000円) 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 (年/月) 出所:CFTC(米商品先物取引委員会)、BloombergよりSMBC日興証券作成 図表2. 投機筋の円買い残と円売り残の推移 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 投機筋の動向は先行きドル高要因に転じる見込み ①に関しては引き続き注意が必要だろう。一方、②に ついては、昨年12月の異次元緩和補完措置が日銀の 弾切れを連想させてしまった可能性がある。しかし、補 完措置は次の緩和に向けた準備とも受け取れるもの。 デフレからの明確な脱却と2%のインフレ目標を掲げる (1000枚) 円売り残高 円買い残高 15/1 15/3 15/5 (1枚=12,500,000円) 15/7 15/9 15/11 (年/月) 出所:CFTC(米商品先物取引委員会)、DatastreamよりSMBC日興証券作成 4 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 ドル円(右逆軸) 30 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 段と強め、13日時点で1.5回程度と、年2回の利上げす ら織り込んでいない状態にまで低下している(図表3)。 低迷の続く製造業活動に改善の兆しが示されるかがポ イントとなる。また、15日には小売売上高と鉱工業生産、 20日には住宅着工件数(いずれも12月分)といったハー ドデータも発表される。 雇用統計は米景気の順調な拡大を示唆 一方、8日に発表された12月米雇用統計では、非農 業部門雇用者数が前月比+29.2万人と市場予想(+20.0 万人、Bloomberg調査)を大幅に超過し、過去2ヵ月分も 5.0万人上方修正されるなど、雇用者数の予想以上に 堅調な伸びが示された(図表4)。また、時間当たり賃金 も前年比+2.5%と、予想(+2.7%)には届かなかったもの の前月(+2.3%)から加速。労働市場の需給逼迫が賃金 上昇にジワリ結びついている様子も確認されるなど、米 国景気は緩やかなペースながらも順調に拡大基調を辿 る公算が大きいことが改めて示される格好となっている。 欧州では、本日(1/14)に英中銀が、来週21日にECB (欧州中央銀行)が金融政策決定会合を開催する。い ずれも政策据え置きでサプライズはない見込みだが、 ECBについては、金融政策の先行きを占う上で、ドラギ 総裁の記者会見が注目されよう。 図表3. FF先物から試算される市場の政策金利予想 市場の利上げ予想の修正も先行きドル高要因に 1.000 これらの点を踏まえれば、現在の市場の利上げペー ス予想はさすがに慎重に過ぎると考えられ、利上げ予 想の修正も先行きドル高円安要因となる見込みである。 0.875 依然不安定な値動きもドルの買い場探しの姿勢で 0.500 こうした中にありながらも、ドル円相場は軟調な地合 いが継続。上記①の影響が如何に大きいかが窺える。 ドル円は、中国の動向を中心としたリスク要因の影響を 受けた内外株の変動に左右され、内外株が下落する場 面でドル安円高が進行するといった神経質な値動きが 続いている(図表5)。本日(1/14)東京時間の午前に日 経平均株価が一時700円以上も下落するなど、金融市 場が落ち着きを取り戻す兆しは依然窺えず、ドル円は 引き続き内外株の動向に一喜一憂しながらの不安定な 相場展開が想定されよう。ただ、投機筋や市場の利上 げ予想など前述した状況を踏まえれば、リスクオフモー ドが一巡した際にはドルの再評価、すなわちドルの買い 戻しが期待されるだけに、ドルの買い場探しの姿勢で臨 みたいところである。 0.375 (%) 直近(1/13)時点 2015年末時点 0.750 0.625 年 年内2度の利上げ も織り込まず 次の利上げ予想時期が後ずれ 0.250 2016年1月 2016年3月 2016年5月 2016年7月 2016年9月 2016年11月 2017年1月 ( 出所:BloombergよりSMBC日興証券作成 図表4. 非農業部門雇用者数(前月比)の推移 (千人) 500 非農業部門雇用者数全体 (3ヵ月平均) 400 月当たり20万人増のライン 300 200 100 0 -100 12/1 12/5 12/9 政府部門 13/1 13/5 民間サービス部門 13/9 14/1 14/5 14/9 財部門 15/1 15/5 15/9 16/1 (年/月) 来週にかけての注目材料①中国 出所:米労働省、DatastreamよりSMBC日興証券作成 来週にかけてだが、何よりも注目となるのが中国の12 月主要月次経済指標および10-12月の実質GDPの発 表である(1/19)。中国人民元と中国株の下落が進行す る中、市場では中国を巡る先行き不透明感が大きな懸 念材料となっているだけに、これら経済指標で中国景気 の持ち直しが示され、市場の不安心理に歯止めがかか るかが焦点となる。 図表5. 日経平均株価とドル円の推移 一方、米国でも注目度の高い経済指標の発表が予 定されているが、注目の一つは、各地区連銀の1月製 造業景況指数である。4日に発表された12月ISM製造 業景況指数が48.2と2ヵ月続けて50を割り込み、米国景 気の拡大ピッチへの懸念をもたらす要因となっただけに、 5 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (円) 21,000 20,500 20,000 19,500 19,000 18,500 18,000 17,500 17,000 16,500 9/1 9/22 2015年 (円/ドル) 125 124 123 122 121 120 119 118 日経平均株価(左軸) 117 ドル円(右軸) 116 10/13 11/3 11/24 12/15 1/5 2016年 (月/日) 出所:BloombergよりSMBC日興証券作成 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 4.国内経済動向~景況感は現状改善、先行きは横ばい 日本経済・金利担当: 野村 真司 12月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが改善する一方、先行き判断DIは横ばいにとどまった。季 節調整値では双方ともに節目の50を上回っており、総じてみれば景況感は横ばい圏。円高・株安は昨夏も 経験しており、消費マインドに与える影響は限定的であろう。一方、設備投資の先行指標である11月の機械 受注は低調。設備投資は内需の下支えとして期待されるだけに、今まで以上に機械受注が注目されよう。 12月景気ウォッチャー:現状改善、先行き横ばい 図表1. 景気ウォッチャーと消費者態度指数の推移 12月の景気ウォッチャー調査(調査期間12月25~31 日)では、足元の景況感を示す現状判断DIが前月比 +2.6ポイントの48.7と2ヵ月ぶりに上昇したものの、横ば いを示す50は5ヵ月連続で下回った(図表1)。家計関連、 企業関連、雇用関連すべてで改善。家計関連ではボー ナス増等を背景に飲食関連(5月以来の50超)中心に 上昇(2ヵ月ぶり)した。企業関連では消費の底堅さ等を 受けて非製造業主導で上昇(3ヵ月連続)。また雇用関 連は、求人数の大幅増加等を背景に2ヵ月連続で上昇、 50超を12ヵ月連続でキープしている。 2~3ヵ月先の景気に対する先行き判断DIは、前月比 横ばいの48.2となり、節目の50を5ヵ月連続で下回った。 先行きについては中国経済の動向、米国の利上げ等、 海外情勢への懸念がある一方、引き続きインバウンド需 要、新規受注の増加、雇用の改善への期待等からDI全 体では横ばい。季節調整値では現状判断DIが50.5、先 行き判断DIが51.1とそれぞれ3ヵ月連続、4ヵ月連続で 節目の50を上回っており、横ばい圏で推移している。内 閣府は街角景気の判断について「緩やかな回復基調が 続いている」と10ヵ月連続で据え置いた。 55 50 45 40 35 30 25 景気ウォッチャー調査:現状判断DI 景気ウォッチャー調査:先行き判断DI 20 消費者態度指数(訪問留置法による) 15 消費者態度指数(郵送法による) (シャドウ部分は景気後退期) 10 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所: 内閣府「景気ウォッチャー調査」、 「消費動向調査」よりSMBC日興証券作成 図表2. 景気の現状判断DI・個別項目の推移 年 2015 月 6 (前月差) 7 8 9 10 11 12 51.0 51.6 49.3 47.5 48.2 46.1 48.7 (+2.6) 家計動向関連 50.4 50.8 48.8 47.0 48.1 44.4 47.7 (+3.3) 小売関連 49.8 50.5 48.1 45.7 47.0 41.4 45.1 (+3.7) 飲食関連 49.1 48.8 47.0 43.8 46.2 44.6 52.9 (+8.3) サービス関連 52.3 53.3 50.8 50.5 50.6 49.2 51.1 (+1.9) 住宅関連 49.1 44.8 47.3 45.4 48.7 49.1 49.7 (+0.6) 企業動向関連 51.3 52.4 48.3 46.9 47.4 47.8 48.9 (+1.1) 製造業 49.9 51.1 46.4 45.1 47.2 47.9 46.0 (▲1.9) 非製造業 52.6 53.6 50.0 48.5 47.3 47.4 51.2 (+3.8) 54.7 55.7 55.2 52.7 51.1 54.0 55.1 (+1.1) 合計 なお年明け以降、中国経済の失速懸念(人民元安・ 中国株安)を背景に円高・株安に大きく振れている。8月 から9月にかけても人民元の切り下げをきっかけに同様 の局面を経験しており、消費マインドに与える悪影響は 限定的であろう。 雇用関連 出所: 内閣府「景気ウォッチャー調査」よりSMBC日興証券作成 図表3. 雇用者所得の推移 (前年同月比、寄与度、%) 11月毎月勤労統計:実質賃金は5ヵ月ぶりの減少 6 賃金の動向を示す11月の毎月勤労統計(速報、従業 員5人以上)によれば、従業員1人当たり平均の現金給 与総額は前年同月比+0.0%と10月まで4ヵ月連続のプラ スだったものの、前年並みにとどまった。主因はボーナ ス等の特別給与が同▲8.6%と昨年6月以来のマイナス に転じたこと。但し、数字の解釈には注意が必要である。 11月は一般的なボーナス支給月ではないため、その他 の手当等が減少したとみられる。また、厚生労働省が 2015年1月に調査の約半数にあたる30人以上の事業所 の調査対象を入れ替えた影響があった公算が大きい。 6 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (DI) 60 3.9 4 3.6 2.1 2 0 -2 特別給与(賞与) 所定外給与(残業代) 所定内給与 常用雇用指数 雇用者所得(=雇用指数×給・賞与計) -4 -6 (注)事業所規模5人以上 -8 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所: 厚生労働省「毎月勤労統計」よりSMBC日興証券作成 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 最終的な判断は確報や12月のデータを待つ必要があ ろう。因みに、日経新聞がまとめた2015年冬のボーナス 調査(12月2日時点)によれば、全産業の1人当たりの税 込支給額(加重平均)は前年比+3.30%の80万1163円 だった。プラスは3年連続で、支給額が80万円台に乗る のはリーマン・ショック直前の好業績を反映した2008年 以来となる。 るとの期待が大きいだけに、先行指標である機械受注 が今まで以上に注目されよう。 11月経常収支:貿易収支が8ヵ月ぶりの黒字 11月の経常収支(季節調整値)は14,235億円(10月 14,937億円)と、15ヵ月連続の黒字。前月比で黒字幅は やや縮小したものの、比較的高水準の経常黒字を維持 している(図表5)。今回の特徴は8ヵ月ぶりの貿易黒字。 一方、基本給や家族手当にあたる所定内給与の伸 輸出数量の持ち直しを背景に輸出が前月比+2.0%と増 び率は同+0.5%と、2年連続のベースアップ(ベア)効果 加した一方、輸入は原油安等を背景に同▲0.5%と4ヵ が徐々に広がり、3月以降9ヵ月連続の増加を記録。但 月連続で減少した。また、企業が海外子会社から受け し、現金給与総額から物価変動の影響を除いた実質賃 取る配当金収入等にあたる第一次所得収支は、増加傾 金指数は同▲0.4%と、特別給与の落ち込みを主因に5 向にある海外でのM&A(合併・買収)や円安等を反映 ヵ月ぶりのマイナスに転じた。常用雇用(一般労働者+ し高水準を維持している。経常収支は趨勢的に黒字に パートタイム労働者)は、同+2.1%と堅調な伸びを維持し、 戻った可能性が高い。 雇用者所得も同+2.1%と5ヵ月連続のプラス(図表3)。足 元の雇用・所得環境の改善、マイルドな物価動向を勘 案すれば、名実共に雇用者所得の上昇が見込まれ、個 人消費の下支えに寄与しよう。 11月機械受注:前回の反動もあり大幅減少 11月の機械受注統計によれば、民間設備投資の先 行指標である船舶・電力を除く民需は、前月比▲14.4% と3ヵ月ぶりの減少で、2014年5月(同▲16.4%)以来とな る過去3番目の大幅減少。前月比マイナスとの予想がコ ンセンサスだったものの、予想以上の大幅減少となった。 業種別にみると、製造業が同▲10.2%と2ヵ月ぶりの減 少。パルプ・紙・紙加工品、鉄鋼業、その他輸送用機械 等、前回大幅増加した業種を中心に受注が低調だった。 また、非製造業(船舶・電力を除く)も同▲18.0%と大幅 減少し、データを遡れる2005年以降では最大の減少幅 を記録。運輸業・郵便業、農林漁業等、製造業と同様 に前回好調だった業種を中心に受注が大幅減少して いる。内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直しの動 きがみられる」と据え置いた。 また、内閣府では10-12月見通し(調査時点:9月下旬) を前期比+2.9%としている。11月は大幅減少したものの、 12月が前月比横ばい程度でも見通しは達成可能で、2 四半期ぶりに前期比プラスに転じる公算は大きい。但し、 従来から振れの激しい機械受注、かつ単月の数字で予 断は禁物ながら、11月の大幅減少は気になるところ。昨 夏、設備投資は中国の人民元切り下げに起因する市場 混乱で投資マインドがシュリンクし、設備投資計画は先 送りされた。奇しくも年明け以降、再び中国経済の失速 懸念や原油安、金融市場の不安定な動きが企業の投 資マインドに与える悪影響が懸念されている。設備投資 は個人消費と共に内需、ひいては国内経済を下支えす 7 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 図表4. 機械受注の推移 (億円) 16,000 (季節調整値・月次ベース) 14,000 外需 12,000 民需(除く船舶・電力) 10,000 8,000 6,000 非製造業(除く船舶・電力) 4,000 2,000 製造業 *マーカー入りの太線は3ヵ月移動平均。 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所: 内閣府「機械受注統計」よりSMBC日興証券作成 図表5. 経常収支の推移 80,000 (季節調整値) (億円) *四半期ベース 60,000 40,000 20,000 0 -20,000 貿易収支 第一次所得収支 経常収支 -40,000 サービス収支 第二次所得収支 -60,000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 注:直近の2015年10-12月は10~11月分を1.5倍した数値 出所: 財務省「国際収支」よりSMBC日興証券作成 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 5.新興国市場・経済動向 新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太 新興国株式、通貨は年明け以降のリスクオフの流れから今週初にかけて下落した後、一旦は人民元相場の 安定等を受けて反発もみられたが、14日は再び軟調となっている。来週、再来週は日米欧の金融政策会合 が相次ぎ予定されており、その内容や関係者の発言次第では市場心理の悪化に歯止めがかかる可能性もみ ておきたい。新興国では、中国の10-12月実質GDPや12月分の主要経済指標の発表等が注目される。 最近の新興国市場の動向 新興国株式市場は中国不安や原油安等を背景とし た年明けからのリスクオフの動きが継続し、今週初にか けて総じて下落。その後、人民元相場の安定化を受け て一部に買い戻しの動きもみられたが、13日に米国株 が再び急落し、14日午前のアジア株式市場は総じて軟 調となっている。直近1週間の株価騰落率(図表1、13日 時点)では、中国・上海株(▲12.3%)が大幅安。中国本 土株式市場では、4日に続き7日にもサーキットブレーカ ーが発動されて売買が停止(上海総合指数は前日比 ▲7.0%)。その後、大株主の株式売却に対する新規制 やサーキットブレーカー制度停止が発表されたことから、 翌8日は反発したが、週明け以降は下落基調となった。 新興国通貨は株式市場と同様に、今週初にかけて 対ドル対円とも下落後、一時買い戻しの動きもみられた が、14日は再び軟調となっている。直近1週間の通貨騰 落率(図表1、13日時点、対円)では、中国依存度が高 い資源国通貨の1つである南アフリカランド(▲4.9%)を はじめ、原油安を背景にロシアルーブル(▲3.1%)やメ キシコペソ(▲2.9%)等の産油国通貨の下落も目立って いる。他方、中国人民元は、年初から8日までに対ドル で▲1.5%、香港市場のオフショア人民元は▲1.7%と大 幅に下落したが、週明け以降は当局の人民元買い介 入等もあり、落ち着きを取り戻している。(前田) 図表1. 主な新興国市場の動向 直近値 騰 落 率 (% ) 1月 13日 2016年 初 来 2015年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間 株価指数 中国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 為替 上海総合指数 香港ハンセン指数 SENSEX30種指数 韓国総合指数 ジャカルタ総合指数 SET指数 FBM KLCI総合指数 フィリピン総合指数 MICEX指数 イスタンブール100種指数 JSE全株指数 ボベスパ指数 ボルサ指数 2,949.59 19,934.88 24,854.11 1,916.28 4,537.17 1,278.61 1,642.54 6,494.13 1,684.78 72,508.72 48,412.80 38,944.44 41,008.78 ▲16.7 ▲9.0 ▲4.8 ▲2.3 ▲1.2 ▲0.7 ▲3.0 ▲6.6 ▲4.3 1.1 ▲4.5 ▲10.2 ▲4.6 9.4 ▲7.2 ▲5.0 2.4 ▲12.1 ▲14.0 ▲3.9 ▲3.9 26.1 ▲16.3 1.9 ▲13.3 ▲0.4 ▲12.3 ▲5.0 ▲2.2 ▲0.5 ▲1.6 1.5 ▲1.5 ▲4.7 ▲3.6 1.8 ▲1.4 ▲6.8 ▲1.6 ▲16.2 ▲6.5 ▲1.2 ▲0.6 3.7 0.9 0.8 ▲3.7 ▲1.4 4.6 0.7 ▲13.0 ▲2.1 ▲11.6 ▲12.9 ▲8.0 ▲5.8 0.7 ▲10.3 ▲4.1 ▲7.8 ▲2.7 ▲8.5 ▲8.6 ▲17.4 ▲7.0 ▲8.8 ▲17.7 ▲9.4 ▲0.0 ▲13.0 ▲16.7 ▲6.1 ▲12.2 9.9 ▲17.9 ▲2.1 ▲18.9 ▲1.1 ▲3.3 ▲3.2 ▲4.8 ▲2.4 ▲2.8 ▲3.5 ▲3.0 ▲6.8 ▲5.6 ▲8.6 ▲3.5 ▲6.2 ▲4.0 ▲4.2 ▲6.6 ▲9.7 ▲8.3 ▲18.0 ▲4.0 ▲20.1 ▲19.7 ▲24.9 ▲32.6 ▲13.8 ▲1.0 ▲0.8 ▲1.5 0.1 ▲0.8 0.4 ▲1.2 ▲3.1 ▲1.5 ▲4.9 ▲0.5 ▲2.9 ▲4.5 ▲2.5 ▲4.8 ▲0.7 ▲3.2 ▲3.4 ▲2.5 ▲10.5 ▲4.3 ▲11.3 ▲6.1 ▲6.2 ▲4.5 ▲4.1 ▲8.1 ▲4.0 ▲4.0 ▲5.8 ▲3.8 ▲20.7 ▲5.8 ▲22.0 ▲6.4 ▲9.6 ▲5.9 ▲7.6 ▲11.0 ▲9.1 ▲9.7 ▲17.8 ▲5.8 ▲15.1 ▲24.7 ▲30.6 ▲34.3 ▲18.7 ※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高 中 国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 円/人民元 円/インドルピー 円/韓国ウォン(x100) 円/ルピア(x100) 円/バーツ 円/リンギ 円/フィリピンペソ 円/ルーブル 円/トルコリラ 円/ランド 円/レアル 円/メキシコペソ 17.89 1.75 9.72 0.85 3.24 27.04 2.49 1.53 38.87 7.10 29.30 6.55 注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 8 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 新興国市場関連トピック 図表3. 人民元対ドルレートの推移 中国~12月の輸出は前年比マイナス幅が大幅に縮小 (元/ドル、逆軸) 6.0 13日に発表された12月の貿易統計で、輸出は前年 比 ▲ 1.4% ( 市 場 予 想 ▲ 8.0% 、Bloomberg ) と 11 月 ( ▲ 6.8%)に比べ、マイナス幅が大幅に縮小した。輸出地域 別では、EU向けの前年比伸び率がプラスに転じたほか、 全般的に改善した。人民元安の進行に伴い、人民元ベ ースでは+2.3%と、2015年6月以来の前年比プラスとな った。一方、輸入は▲7.6%(市場予想▲11.0%)と11月 (▲8.7%)に比べ、マイナス幅が小幅ながら縮小。製品 別では半導体が前年比で増加に転じ、原油のマイナス 幅が縮小した。12月の貿易収支は+601億ドルと、単月 での過去最高水準(2015年10月:+616億ドル)に迫った。 (白岩) 70,000 輸出(左軸) 60 60,000 50 50,000 40 40,000 30 30,000 20 20,000 10 10,000 0 0 -10 -10,000 -20 -20,000 輸入(左軸) -30 13/1 13/7 14/1 6.2 6.3 6.4 6.5 人 民 元 安 6.6 香港の市場レート 6.7 6.8 15/6 15/7 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 (年/月) 注: 人民元の1日の変動率は人民銀行が設定する基準値に対し±2% 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 8日に発表された12月末のインドネシア外貨準備高 は1,059.31億ドル(11月末は1,002.40億ドル)となり、10ヵ 月ぶりに前月を上回った。インドネシアでは、米利上げ 決定後、不透明感の後退から外国人投資家による債券 市場への資金流入が目立っている。外国人投資家によ るインドネシア国債の売買動向(週間)をみると、1月8日 までの1週間では、世界的なリスクオフの流れから買い 越し幅は縮小したものの、3週連続で買い越しを維持し た。年明け以降、新興国通貨に総じて下落圧力がかか る中でも、インドネシアルピアの下げは限定的となって おり、比較的ファンダメンタルズが良好な高金利の新興 国として評価されているといえよう。(山本) (100万ドル) 貿易収支(右軸) 70 本土の市場レート インドネシア~12月末の外貨準備高は10ヵ月ぶり増加 図表2. 中国の貿易統計 (前年比、%) 人民銀行が設定する基準値 6.1 14/7 15/1 -30,000 15/7 (年/月) 出所: CEIC、中国通関統計よりSMBC日興証券作成 図表4. インドネシアの外貨準備高 中国~香港市場の人民元相場が反発 1,200 香港市場の人民元対ドルレートは、1月4~6日の3日 間で▲1.89%と急落し、本土市場に比べて2%を超える 割安水準となった。これを受けて、人民銀行は人民元 買い介入や人民元建て銀行間金利の高め誘導(12日 の翌日物は過去最高の66.8%)等を実施した。上述の 12月の貿易統計の結果も支えに人民元の対ドルレート は11~13日の3日間で+1.77%と反発した。 1,150 1,100 1,050 1,000 950 当面は金融当局による人民元買い介入等で香港で の人民元対ドルレートは安定するとみられる。ただし、 2016年も中国経済の減速継続や米利上げが見込まれ ることなどから、年前半にも6.8元/ドル程度まで人民元 安が進む可能性があろう(13日終値6.56元/ドル)。 (白岩) 900 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 出所: CEIC、インドネシア銀行よりSMBC日興証券作成 9 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (億ドル) 15/7 (年/月) 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 インド~11月鉱工業生産は13ヵ月ぶり前年比マイナス なお、2月2日には定例の金融政策決定が予定され ている。足元の原油安や底堅い通貨ルピーの動向等を 背景にインフレの基調は抑制傾向が続くと考えられ、イ ンド準備銀行(RBI)は引き続き追加利下げの可能性を 探るとみている。一方、過去の利下げ効果や公務員の 賃上げ動向をはじめ政府予算案(2月末頃発表予定)を 見極めたいとのRBIの意向も想定され、2月2日は政策 金利据え置きの可能性の方がやや高いとみている。 (山本) 12日 に発 表 された11月の鉱 工 業 生 産 は前 年 比 ▲ 3.2%と市場予想の+2.0%および10月の+9.9%を下回り、 13ヵ月ぶりにマイナスとなった。10、11月はヒンズー教の 新年にあたる祝祭日(ディワリ)の時期が年によって変わ るため、前年比は振れやすくなっており、10-11月の累 計では+3.2%となった(7-9月:+4.8%)。同様に10-11月 の累計で財別の内訳をみると、好調な自動車販売を背 景に耐久消費財は+27.0%と7-9月の+11.9%を大幅に 上回ったが、資本財は▲4.5%と7-9月の+13.5%からマイ ナスに転じ、強弱まちまちとなった。 注:昨年は 9 月までに 4 回、累計で 1.25%pt 利下げされた。 図表6. インドの消費者物価指数 一方、先に発表された12月の日経製造業PMI(購買 担当者景気指数)は49.1と11月の50.3から低下するとと もに、景況感の分岐点となる50を下回った。こうした製 造業の景況感悪化を考慮すると、先行きの生産下振れ リスクは高まりつつあるといえよう。もっとも、製造業よりも ウェイトの高いサービス業の景況感については良好であ ることから、目先の生産下振れが景気全体の大幅な悪 化につながる可能性は低いだろう。(山本) 14 (前年比、%) 総合 被服 燃料 12 食品・飲料 住居 その他 10 8 6 4 2 図表5. インドの鉱工業生産、日経製造業PMI 0 (前年比、%) 60 14/1 10 日経製造業PMI(左軸) 58 56 6 54 4 52 2 50 0 48 -2 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 (年/月) 出所: CEIC、インド中央統計局よりSMBC日興証券作成 8 鉱工業生産(右軸) 14/4 トルコ~イスタンブールの観光名所で自爆テロが発生 46 イスタンブール中心部のスルタンアフメット地区で12 日、IS(イスラム国)によるものとみられる自爆テロが発生 し、少なくとも10名が死亡した。同地区は「ブルーモスク」 等の観光名所が立地しており、犠牲者の大半はドイツ 人観光客であった。ISは2015年7月に南東部スルチで、 10月には首都アンカラでテロを起こしているが、いずれ も対立するクルド人を狙ったものとされている。今回の観 光名所でのテロは外国人観光客がターゲットとなった点 が従来と異なり、ISの方針転換を示唆しているとの見方 もある。観光分野を中心とするロシアの経済制裁も相ま って、今後の観光業への悪影響が懸念される。 -4 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 (年/月) 出所: Markit、CEIC、インド中央統計局よりSMBC日興証券作成 インド~12月消費者物価指数は予想をやや上回る 12日に発表された12月の消費者物価指数(CPI)は 一部食品価格の上振れ等を背景に前年比+5.61%と、 市場予想の+5.53%および11月の+5.41%を上回った。 CPI前年比は7月の+3.69%をボトムに5ヵ月連続で上昇 している。もっとも、これは前年同月の水準が低かったこ とにより前年比が押し上げられている面が強く、概ね想 定内の動きといえよう。前月比では12月も▲0.39%と1年 ぶりのマイナスとなるなど、上振れの兆候はみられず、 中銀のターゲット(2016年1月時点でCPI前年比+6%)を 超えて大幅にインフレが加速する可能性は低いとみて いる。 観光収入の減少で景気に下押し圧力がかかれば、ト ルコ政府は財政出動に傾斜し、財政収支の悪化要因と なる。加えて、観光客の減少によりサービス収支の黒字 が縮小し、経常赤字の縮小傾向に歯止めがかかること も想定される。テロの一報を受けた直後の市場の反応 は限定的であったが、今後の経済統計から観光客の減 少やサービス収支の黒字縮小等が確認されれば、トル コリラに対する下押し圧力が強まる可能性もあろう。 (前田) 10 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 図表7. トルコの外国人観光客数 30 図表8. ブラジルの拡大消費者物価指数および政策金利 (前年比、%) (千人) 6,000 25 5,000 20 4,000 15 3,000 10 2,000 5 1,000 0 0 -5 -1,000 外国人観光客数(右軸) -10 イ ン フ レ タ ー ゲ ッ ト -2,000 前年比(左軸) -15 -3,000 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 (年/月) 出所: CEIC、トルコ文化観光省よりSMBC日興証券作成 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 ※データは物価が15年12月、 金利は16年1月13日まで ※インフレターゲットは+4.5±2% 2016年のインフレ率は景気の悪化や原油安、食品価 格の鈍化などを背景に低下すると予想している。ただし、 今年も財政悪化に伴って年初から公共交通運賃の大 幅な値上げが相次いでいることに加え、最低賃金の大 幅な引き上げ(1月より前年比+11.7%)等もあり、ターゲ ットの上限付近で推移するとみている。 通年のインフレ率がターゲットから外れた場合、中央 銀行総裁は財務相にその理由等を説明することが義務 付けられており、トンビニ総裁は8日、バルボザ財務相に 公開書簡を送付した。公開書簡では、インフレ目標を達 成するために必要な措置を講じるとの従来の見解を改 めて示しており、利上げの再開を示唆したものと考えら れる。(武田) 注:ブラジルでは 12 月分を通年のインフレ率としている。 11 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 19 18 16 拡大消費者物価指数 (前年比、左軸) 15 14 13 12 11 10 政策金利 (右軸) 9 8 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 出所: BloombergおよびCEICなどよりSMBC日興証券作成 8日に発表された12月の拡大消費者物価指数は前 年比+10.67%と11月の+10.48%を上回り、2015年はイン フレターゲット(+4.5%±2%)の上限を上回った(2014年 12月は+6.41%) (注 ) 。財政の悪化などを背景にガソリン 価格や電気料金、公共交通運賃等の管理価格が大幅 に引き上げられたことに加え、レアル安や干ばつによる 食品価格の高騰もインフレ率を押し上げた。 20 17 07/1 ブラジル~12月の拡大消費者物価指数は+10.67% (%) (前年比、%) 7 16/1(年/月) 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 来週にかけてのスケジュールと見通し 景には政府からの圧力があったとみられ、市場では中 銀の独立性に対する懸念が高まっている。一方、中銀 は12月会合の声明文で、1月会合で政策変更を行う方 針を明記した。足元のインフレ率が上振れする中、1月 会合でも政策金利が据え置かれれば、大幅なリラ安は 不可避とみられる。このため、中銀は1週間物レポ金利 および翌日物借入金利を0.50%pt程度引き上げると予 想している。実際に利上げが決定されれば、通貨リラに 対して一定の下支えになると期待される。 今週に入って一旦は落ち着きを取り戻した世界の金 融市場では、14日に入り、再びリスクオフの動きが再燃 している。年明け以降のグローバルなリスクオフのきっか けは中国株安・通貨安、地政学リスク等であったが、根 底には米中両大国の実体経済への不安感があると考 えられる。その点では先週末発表の米雇用統計が市場 心理の転換につながると期待されたが、空振りに終わっ ている。世界経済の先行き不透明感が強まる中にあっ ても、FRB(連邦制度準備理事会)が市場の織り込みを 上回る年4回程度の利上げを粛々と進める構えを崩して おらず、強い雇用統計を素直に好感できない状況に陥 ったといえよう。 ブラジルでは、1月下旬~2月初め頃に発表されるとみ られる政府の包括的な経済政策が注目される。報道に よれば、年金制度改革などの歳出抑制策に加え、建設 業や中小企業向けの景気刺激策などが検討されている 模様。景気刺激策については、政府は追加の財政負 担を極力避けるために国営銀行の貸出拡大など金融 緩和策を志向するとみられる。ただ、追加の財政負担が 生じない場合でも、景気刺激策はこれまでの中銀による 利上げの効果を部分的に相殺し、インフレを一段と悪 化させる可能性がある。政策の内容が財政再建よりも景 気刺激的な面が強い場合は、政府に対する市場の信 頼が一段と低下し、レアルに下押し圧力がかかる可能 性があろう。なお、19~20日の金融政策委員会では中銀 が昨年7月以来4会合ぶりに利上げを再開するとみられ るが、市場では概ね織り込まれており、反応は限定的と なろう。 市場の失望を招いた昨年12月の日銀、ECB(欧州中 央銀行)の金融政策決定に加え、年明け以降の中国当 局の市場対応、前述したような頑なともいえるFRBの政 策スタンスなど、主要国の政策当局に対する市場の不 信感も最近のリスクオフの伏線として考えられる。その意 味では、これまでの不信感を挽回するような政策対応が 打ち出されることが市場心理の悪化に歯止めをかけるき っかけとなり得よう。来週、再来週は日米欧の金融政策 会合が相次ぐだけに、その内容に加え、関係者の発言 等も含めて注目したい。 なお、各新興国の来週にかけての注目ポイントは以 下の通り。 中国では、19日に10-12月の実質GDP成長率が発表 (山本、白岩、武田、前田) される。市場予想では前年比+6.9%と見込まれているが、 株価は足元で大幅に下落し、市場心理が過度に悲観 的となっているため、市場予想並みの結果でも株価反 発のきっかけとなる可能性があろう。また、19日は鉱工 業生産等の12月単月の経済指標にも注目したい。 インドネシアでは、15日に12月の貿易統計が発表さ れる。市場予想では輸出入ともに、前年比2ケタのマイ ナスが続く見通し。貿易収支については小幅の黒字が 予想されている。貿易統計の市場への影響は限定的と みているが、11月は貿易収支が12ヵ月ぶりに月間で赤 字となっており、12月も赤字となった場合はルピア売りの 反応も予想される。 インドでは、来週にかけてこれといったイベントは予定 されておらず、株式市場や為替市場は外部要因に左右 されやすい地合いが続くと予想される。 トルコでは、19日に金融政策決定会合が予定されて いる。前回会合(12月22日)では利上げが市場コンセン サスとなっていたが、実際には据え置きとなった。この背 12 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 6. 2016年の日本株式市場における注目テーマ 日本株担当: 母良田 剛 2016年の日本株市場は、中国や原油など主に海外初のニュースフローにより波乱含みのスタートとなって いるが、弊社では持続的な株価下落は想定しておらず、年後半は再び上昇基調に転じることを見込んでい る。ただし、今年は市場全体の動きよりも個別企業の選別がより重要だと考えている。投資アイデアとして有 望視するテーマのポイントを以下のように取りまとめた。 (1)人工知能・自動運転 昨年はパリ同時多発テロをはじめとして「イスラム国」 が猛威を振るった一年であった。今年は5月下旬に伊 勢志摩サミットが予定されていることもあり、日本でもセ キュリティ対策への関心が高まろう。またコンピューター ウイルスの大量発信などのサイバーテロ犯罪の増加にも 注意が必要である。警備保障会社やセキュリティソフト 開発企業への注目が高まる可能性がある。 米国では先行してハイテク企業の自動車業界への関 与が高まってきている。自動運転には、渋滞の解消や 交通事故の削減などの効果が期待されており、搭載車 両は増加すると考えられる。関連技術の開発は進んで おり、人工知能への注目度が高まっている。ハードだけ でなく、ソフトの開発にも注力する必要があることから、ロ ボット業界も含めて、異業種との提携の増加が予想され る。 (6)異常気象 2015年は世界の平均気温が観測史上最高となった。 今年も史上最大級のエルニーニョ現象が予想されてい フィンテックとは「金融(Finance)」と「技術(Technology)」 る。また、年後半には、その正反対であるラニーニャ現 を組み合わせた米国発の造語であり、比較的新しい相 象の観測も出始めている。異常気象によって穀物、鉄 場テーマである。この分野で先行する米国では、決済、 鉱石などの国際商品価格への影響が懸念される。穀物 送 金 、不 正 監 視 、口 座 管 理 などで新 しいサービスが 価格の上昇は一部の食品メーカーや外食関連にはネ 続々と登場しており、ハイテク企業やインターネット企業 ガティブとなる。また豪雨によって鉱山被害が起きた場 の金融分野への進出が進んでいる。日本でもスマホが 合、資源価格が上昇するので商社などにはポジティブ カード決済の端末として利用されるような動きが出始め な面もある。 ている。大手金融機関によるITサービス企業の囲い込 (7)海外の政治・選挙 みが加速化する可能性がある。 11月の米国大統領選挙以外にも世界の株式市場へ (3)東京五輪・首都圏再開発 影響を及ぼすと考えられる選挙イベントは少なくない。ま 今夏のリオデジャネイロ五輪が閉幕すると、東京五輪 ず、1月には台湾の総統選挙が予定されている。中国と への注目度がさらに高まってくる。昨年末に新国立競技 は距離を置く野党・民進党の候補の優勢が伝えられて 場の建設業者も決まり、次は交通網や各競技場周辺な おり、8年ぶりの政権交代の可能性が高い。中国・台湾 どのインフラ整備も加速すると考えられる。また、渋谷や の関係緊迫化には注意が必要である。イギリスではEU 虎ノ門、大手町などの再開発計画では、2020年に向け 離脱を問う国民投票が2017年末までに実施予定となっ てオフィスビル、商業施設、ホテルなどの完成が予定さ ているが、キャメロン首相は2016年の実施可能性を示 唆している。前者では台湾、中国関連、後者では欧州 れている。ゼネコン、橋梁、電気工事企業などに注目。 関連企業に注意。 (4)国内選挙と消費増税 (8)自社株買い 7月に予定されている参議院議員選挙に合わせて衆 2015年6月から導入されたコーポレートガバナンス・コ 議院の解散および衆参同日選挙の観測が出ている。同 日選挙があるとした場合、2017年4月に予定されている ードによって、ROEなど資本効率を示す指標の目標設 消費税率10%への引き上げが延期される可能性も出て 定が図られた結果、2015年の自己株式取得設定金額 きている。延期の場合は自動車や住宅など高額消費関 は7年ぶりの高水準となった。円安・エネルギー安メリット の低減などにより、来期の企業業績は伸び悩むことが 連企業を中心にポジティブとなる。 予想されている中、一株当たり利益増加のために、企業 (5)伊勢志摩サミット、セキュリティ・サイバーテロ対策 は自社株買いをさらに推し進める可能性は高かろう。 (2)フィンテック 13 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 (9)エネルギー・資源 図表1. 各テーマにおける主な関連銘柄 エネルギー・資源関連株について、ファンダメンタル ズの面からは明るい見通しはほとんど見当たらない。し かしながら、「株価はファンダメンタルズに先行する」、 「記録的な空売り額」、「歴史的に低いPBR」などを考慮 すると、関連銘柄のアウトパフォームが始まってもおかし くはない。エネルギー・資源価格の「下落継続」も「価格 反転」もともにテーマとなりえる。 テーマ 人工知能・自動運転 フィンテック (10)円安・ドル高 五輪・再開発 12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で9年半ぶりに 米国の利上げが決定された。今後は利上げペースが焦 点となるが、FRB(連邦準備制度理事会)が年4回の利 上げを示唆しているのに対し、マーケットは2回程度の 利上げを織り込んでいる。足元では海外市場のリスクオ フ・モードを背景に円高に動いているものの、米景気の 堅調を確認し、利上げペースへの市場予想が上方修正 されるにつれて、円安・ドル高基調をたどると期待される。 日米の金融政策の方向性に違いがあることも円安シナ リオの支援材料となる。 コード 銘柄名 2158 UBIC 932.0 41.6 78.6 8,080.0 19.6 21.9 6902 デンソー 5,270.0 13.7 14.7 7203 トヨタ 6,953.0 8.4 7.1 3769 GMO-PG 5,960.0 71.9 24.9 4307 野村総研 4,295.0 21.8 7.4 8473 SBI 1,176.0 6.6 5.9 9613 NTTデータ 5,750.0 24.8 12.7 1721 コムシスHD 3.1 1,612.0 11.6 1801 大成建 743.0 13.7 8.1 8802 菱地所 2,351.5 39.8 10.4 10,655.0 15.3 2.7 1925 ハウス 3,260.0 13.2 4.6 1928 積ハウス 1,876.5 11.7 8.2 3099 三越伊勢丹 1,558.0 20.4 11.5 9831 ヤマダ電 セキュリティ 異常気象 エネルギー・資源 533.0 11.5 18.0 2331 ALSOK 5,260.0 24.4 19.1 4704 トレンド 4,860.0 29.0 4.1 4768 大塚商会 5,990.0 20.8 10.7 9735 セコム 7,749.0 19.4 6.1 1377 サカタタネ 2,743.0 26.1 11.8 4997 日農薬 767.0 10.2 4.5 8002 丸紅 580.5 5.3 7.7 8058 三菱商 1,909.5 9.2 35.2 1605 国際石開帝石 1,042.0 21.7 6.9 1662 石油資源 2,901.0 15.8 -8.7 5020 JX 円安・ドル高 来期予想 来期予想営業 PER(倍) 増益率(%) 6594 日電産 9020 JR東日本 消費増税 株価(円) 447.1 7.6 157.8 8031 三井物 1,359.0 10.4 -3.1 6724 エプソン 1,691.0 9.2 2.9 6963 ローム 5,540.0 18.5 14.4 409.0 9.8 5.6 4,614.0 8.9 5.0 7012 川重 7270 富士重 注: 1月13日時点、予想PERと予想営業増益率はQUICKコンセンサス。 予想が3社未満の場合は東洋経済予想。SBIは予想経常増益率 出所: QUICKよりSMBC日興証券作成 14 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 7.通信セクター見通し~セクター全体で良好な株価推移を見込む 日本株担当: 西尾 浩一郎 弊社では、通信セクターの業種格付けを「強気」とし、好業績の継続と増配などの株主還元に期待している。 2016年は、一時流動化した契約シェアが安定していく中で、他業種との協業などによる収益の多様化を目 指す動きが加速するとみられる。個別で最も注目するのはNTTドコモで、本格的な業績回復期に入ってきた と評価している。同セクターに対する論点や個別銘柄に対する見解を取りまとめた。 弊社では、通信セクターの業種格付けを「強気」とし、 好業績の継続と増配などの株主還元に期待している。 以下で弊社の見解を取りまとめた。 2016年の論点は、「通信サービス均質化」、「競争 抑制」、「収益多様化」 2016年の通信セクターでは、通信サービス均質化の 進展、競争抑制政策、収益多様化がテーマとなろう。主 要携帯キャリアのサービス均質化により差別化要因が 少なくなり、有意な競争が難しくなっている。さらに、政 府のタスクフォースの議論を経て、端末ゼロ円販売やキ ャッシュバックなどの競争手段を規制するガイドラインが 示される予定であり、それによりユーザー移動はさらに 縮小して、一時流動化した契約シェアは今後は安定し よう。NTTドコモ(9437)では、オペレーションと業績の回 復が継続する半面、KDDI(9433)とソフトバンク(9984) では、ドコモからのユーザー流入が縮小し、スマートフォ ン比率の上昇も緩やかとなるが、増益を維持しよう。また、 コンテンツ収入や金融・決済サービス収入、他業種との 協業などによる収益の多様化を目指す動きも加速する だろう。ドコモではdマーケット、dポイント、保険業等との 協業、KDDIではTV通販のショップチャンネルの子会社 化、ソフトバンクグループでは電力関連などが注目され る。 長が本格化する見通しとなってきたのと同時に、(3)固 定通信では、FTTH(光回線サービス)は卸売りモデル に移行し、拡大余地が限られた市場での際限がないユ ーザー奪い合い競争に終止符を打ちつつあり、固定電 話はIPネットワークに切り替えて将来の負担を抑え、今 後加速する従業員数の減少に見合った事業構造に切 り替えて、(4)将来、グループを再構成し、海外のITサ ービス・ITソリューション事業で成長できるポテンシャル もあり、今後は利益成長の点から評価していきたい。 KDDIでは16/3期まで毎期10%以上の営業増益を続 ける中期経営計画の達成へ向けて、計画を上回るペー スで業績は順調に進捗している。ARPUはやや低下し ていると思われるが、契約数の純増は継続し、通信サー ビスの増収を維持している。今後は、17/3期から始まる 新しい中期経営計画の内容が注目され、特に株式市 場では、株主還元強化の期待が高い。 ソフトバンクグループでは引き続き、スプリントが焦点。 コスト削減、ネットワーク改善、資金調達の多様化によっ て、スプリントの競争力と業績改善を目指しているが、最 も重要なネットワークの改善が評価されるのは時間がか かるとみられる。弊社では、スプリントの売却とアジアのイ ンターネットを中心としたグループビジネスの形成に期 待したい。 最も注目するのはNTTドコモ 2016年に最も注目する銘柄は、NTTドコモである。モ バイル契約数の純増とARPU(加入者一人あたりの月間 平均収入)の回復を進めるオペレーションが順調に進 み、通信サービス収入が増収に転じる時期が前倒しと なり、本格的な業績回復期に入ってきた。今後、iPhone を販売できなかった時期の競争劣後と、いくつかのオペ レーションミスによって、他社よりも1割低い水準に低下 したARPUが他社並みに回復する過程での通信サービ スの増収、国内トップシェアのコンテンツ配信事業や決 済サービスなどスマートライフ領域の利益成長などで、 営業利益9,000億円までの回復は見えてきた。 図表1. 通信セクターカバレッジ銘柄 コード 9432 9433 9437 9984 NTTについては、(1)ドコモの業績回復が前倒しとな り、(2)NTTデータ(9613)は最高益を更新してさらに成 銘柄正称 日本電信電話 KDDI NTTドコモ ソフトバンクグループ 投資 目標 1月13日 評価 株価(円) 終値(円) 1 6,000 4,752.0 2 3,300 2,956.0 1 3,000 2,445.0 1 8,600 5,692.0 出所: QUICKなどよりSMBC日興証券作成 15 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 8.ITサービスセクター見通し~利益成長期待から株価上昇を見込む 日本株担当: 西尾 浩一郎 弊社では、ビジネスソフト・ITサービスセクターの業種格付けを「強気」としている。需要面では、フィンテック やマイナンバー対応など新しいテーマも多く、需要の拡大は収益性の改善をもたらす産業構造となっており、 増益傾向が続くとみている。個別で注目するのは、NTTデータ、大塚商会、SCSK、オービック。同セクター に対するポイントや個別銘柄に対する見解を取りまとめた。 弊社では、ビジネスソフト・ITサービスセクターの業種 格付けを「強気」とし、構造的な需要拡大と利益率改善 により増益傾向が続くとみる。以下で弊社の見解を取り まとめた。 徐々に高まることが、今後の利益率の改善につながろう。 さらに、需給ひっ迫状態が続けば、定常化している値引 き要請も縮小し、受注条件は改善すると予想される。な お、不採算案件は低調だった2013年前半までの受注 案件が多く、2015年までに処理はほぼ終了し、今後は 利益率改善の要因となろう。 需要拡大は続く、日本の成長のために担う役割大 きい NTTデータ、大塚商会、SCSK、オービックに注目 現在の需要は堅調であり、18/3期まで成長する可能 性は大きいと弊社では考えている。その後も、構造的な 需要拡大が継続すると予想する。政府部門は、2015年 にマイナンバーシステムが完成し、2016年からマイナン バーをデータベースに大型システム刷新が連続する予 定である。金融機関は、2010年前後にIT投資の中断を 数年続けた影響はまだ残っており、現在もシステム更 新・増強需要が強く、さらに、フィンテック、24時間決済、 マイナンバー対応など新しいテーマも多い。技術的なテ ーマでは、クラウドコンピューティングは、インフラの主要 な選択肢として定着しつつあり、それによりITの利用領 域は拡大し、アプリケーションやシステム運用のITサー ビス需要の拡大要因となっている。セキュリティは、対応 製品を導入しても攻撃を防ぐことは難しいのが実態であ り、システム全体を作り変えてシステムの構造を見直す 需要が増加しよう。ビッグデータなど、ITを用いて様々な データを分析する事業戦略・企業経営も浸透しつつあ る。あらゆるものをインターネット経由でシステムとつなぐ IoTは、これからのテーマであり、ポテンシャルは大きい だろう。また、日本全体でのテーマは、労働力が不足す る中での生産性の改善であり、ITサービスが日本の成 長のために担う役割は大きい。 個別銘柄では、短期業績だけでなく、今後数年に亘 って好業績の継続が期待できる銘柄の株価評価はさら に高まると考える。具体的には、政府や金融など稼ぐ力 の強い主力部門のポテンシャルが顕在化するNTTデー タ(9613)、人員の増強を経て再びクロスセル・アップセ ル(関連商品・上位製品の購入を顧客に提案)を充実さ せ足元で増収増益率が高まっている大塚商会(4768)、 合併を通してキャパシティと信用力を向上させて成長を 続けるSCSK(9719)、コストの増加を抑えながら生産性を 高めて売上高と利益の成長を続けるオービック(4684)な どに引き続き注目する。 図表1. ビジネスソフト・ITサービスセクターカバレッジ銘柄 コード 2327 3626 4307 4684 4704 4716 4739 4768 7518 8056 9613 9719 稼働向上から利益率改善が本格化 ITサービスはリソースの稼動が収益性を決める稼動 ビジネスであり、需要拡大と生産性改善による売上高の 成長は、セクター各社の利益率を高めている。日本全 体のITサービス業界では、約100万人のSEの人件費が 主要なコストであり、そのコストは固定的であって、需要 拡大によって業界全体の稼働が向上すれば、利益率は 上昇する構造である。また、業務サイクルでは、生産性 が高まりやすい開 発工 程 、運 用・保守 業 務の構成 が 出所: QUICKなどよりSMBC日興証券作成 16 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 投資 目標 1月13日 評価 株価(円) 終値(円) 新日鉄住金ソリューションズ 1 2,900 2,627.0 ITホールディングス 1 3,300 2,745.0 野村総合研究所 1 5,091 4,295.0 オービック 1 6,500 6,260.0 トレンドマイクロ 3 3,300 4,860.0 日本オラクル 2 5,500 5,470.0 伊藤忠テクノソリューションズ 2 2,500 2,285.0 大塚商会 1 7,300 5,990.0 ネットワンシステムズ 3 700 698.0 日本ユニシス 1 1,370 1,279.0 エヌ・ティ・ティ・データ 1 7,100 5,750.0 SCSK 1 5,000 4,675.0 銘柄正称 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 9.中国株式~需給悪化懸念は後退するもボラティリティの高い展開に 中国担当: 白岩 千幸 上海総合指数は、人民元安や株式の需給悪化等を背景に下落し、7日には今年2度目のサーキットブレー カーが発動となり、本土株式市場の取引は全面停止となった。政府が大株主に対する新たな株式売却規制 等を発表し、株価の下落阻止に努めているものの、人民元の下落はしばらく続くとみられることから、当面、 株価は不安定な動きを続ける可能性がある。 1月7日もサーキットブレーカー発動 大規模な株式売却は回避されるとみられる。また、同日 深夜(現地時間)にはサーキットブレーカー制度の停止 が発表された。 1月7日の上海総合指数は前日比▲7.0%の3,125で 終了した。CSI300指数が7%下落したため、今年1月か ら導入されたサーキットブレーカーが、4日に続き7日に2 回目が発動され、中国本土市場上場の全銘柄の取引 が9時59分頃(現地時間)に停止した。終日停止される 前に、CSI300指数が5%下落し取引が15分間停止され たため、7日の実際の取引時間は15分程度。年初から の騰落率は▲11.7%となった。 上海市場で取引が停止すると、香港市場で売りが強 まる傾向があり、7日のハンセンH株指数は一時前日比 5%近く下落した。しかし、大株主に対する新たな規制 発表以降は、下げ幅が縮小し、▲4.2%で引けた。 足元の株価急落の背景である株式の需給悪化懸念 は後退し、サーキットブレーカー制度は停止された。た だし、人民元の下落がしばらく続くとみられることから、 当面、株価は不安定な動きを続ける可能性がある。 下落の背景は人民元安と株式の需給悪化懸念 7日朝に人民銀行が発表した人民元対ドル基準値が 前日比▲0.51%と2015年8月13日以来の大幅な引き下 げ率となり、年初から4日間(1/4~7)の引き下げ幅は計 1.08%となった。このため、投資家は2015年夏の人民元 基準値の大幅引き下げを契機とした世界的な金融不安 を連想し、リスク回避的な行動を強めたとみられる。 また、株式の需給悪化懸念については、昨年夏の株 価急落時に政府が株価対策として主要株主に株式の 売却を6ヵ月間禁じていたが(7月8日発表)、その期限 である1月8日を前に、大株主が売却を開始する可能性 が意識された。1月4日に初めてのサーキットブレーカー が発動され、その翌日(5日)に証券監督管理委員会が 大株主の売却を制限する新たな規制を検討しているな どと発表した。しかし、7日の取引開始前になっても大株 主の株式売却解禁の有無や新たな規制についての発 表がなされなかったことから、投資家は大株主の株式売 却解禁前に売却を急いだものとみられる。 図表1. 上海総合指数の推移 (1990年12月19日=100) 5500 5000 更に、本土市場の主要投資家である個人投資家は 短期投資が中心であるため、サーキットブレーカー発動 により取引が終日停止することのリスクは大きい。このた め、新たに導入されたサーキットブレーカー制度も下落 時に売りを増長させたとみられる。 4500 本土市場の株価は不安定な動きを続ける可能性も 3000 7日の取引停止後に証券監督管理委員会は大株主 の株式売却に対する新たな規制を発表し、大株主は3ヵ 月内に売却できる株式を発行済株式総数の1%以内に 制限することなどを決定した。これにより、大株主による 2500 4000 3500 15/1 15/7 15/10 16/1 (年/ 月) 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 15/4 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 10.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 日本株担当: 溝渕 彩乃 年明け以降、日本株は下落傾向が続いている。1月13日は欧米株高や中国経済に対する過度な懸念の後 退などにより上昇したものの、年末からは1,300円超下落しており、東証一部騰落25日レシオやストキャステ ィクスなどのテクニカル指標は軒並み売られ過ぎの水準となっている(13日終値時点)。今後も海外情勢を睨 みながら神経質な展開が続くと思われるが、底値は近い可能性があり、押し目買いのスタンスで臨みたい。 図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 【国内主要株価指数】 110 (150日前を100として指数化) 105 1,850 100 1,800 95 【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】 (pt) 1,900 (%) 0.7 日本10年物国債利回り(右軸) 0.6 0.5 1,750 90 0.4 1,700 85 0.3 1,650 80 0.2 1,600 75 日経平均 日経JASDAQ指数 70 65 6/3 7/3 8/2 9/1 東証マザーズ指数 10/31 11/30 12/30 (%) 日経平均株価 (左軸) 21,000 20 0 6/3 (月/日) 【日経平均と25日移動平均・乖離率】 (円) 0.1 東証REIT指数(左軸) 1,500 10/1 2015年 23,000 1,550 8/2 9/1 10/1 10/31 11/30 12/30 (月/日) 2015年 23,000 【日経平均と100日移動平均・乖離率】 (円) (%) 日経平均株価(左軸) 15 21,000 10 25日移動平均(左軸) 7/3 20 15 10 100日移動平均(左軸) 5 5 19,000 19,000 0 0 -5 17,000 25日移動平均乖離率 (右軸) -5 17,000 100日移動平均乖離率 (右軸) -10 15,000 -10 -15 15,000 6/3 7/3 8/2 9/1 10/1 10/31 11/30 12/30 (月/日) 2015年 (円) 7/3 250 10/1 10/31 11/30 12/30 【日経平均 ストキャスティクス(9日)】 (円) 21,000 9/1 (月/日) 300 23,000 日経平均株価(左軸) 東証一部25日騰落レシオ(右軸) 8/2 2015年 【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】 23,000 -15 6/3 300 日経平均株価(左軸) %D(右軸) Slow %D(右軸) 21,000 250 200 200 (%) 19,000 19,000 150 100 120%ライン 17,000 (%) 80%ライン 150 100 17,000 70%ライン 15,000 50 6/3 2015年 7/3 8/2 9/1 50 20%ライン 15,000 10/1 10/31 11/30 12/30 (月/日) 0 6/3 2015年 7/3 8/2 9/1 10/1 10/31 11/30 12/30 (月/日) 注: データは2016年1月13 日まで 出所: 各図表ともQUICKよりSMBC日興証券作成 テクニカル指標の見方 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買 われ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。 %D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均) Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。 18 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 11.来週・再来週の主なスケジュール <来週のスケジュール> 発表日 1月 18日 (月 ) 国・ 地域 日本 米国 日本 米国 1月 19日 (火 ) 独 英国 中国 トルコ 日本 米国 1月 20日 (水 ) 英国 NZ マレーシア 南ア ブラジル - 日本 米国 1月 21日 (木 ) ユーロ圏 マレーシア 米国 1月 22日 (金 ) ユーロ圏 市場予想 前月・ 前期・ 前年 12月 - 12月 10-12月期 10-12月期 1月 12月 10-12月期 1-12月 12月 12月 - 12月 - 12月 12月 12月 12月 12月 10-12月期 12月 9-11月 10-12月期 12月 12月 - - 12月 1月 - 12月 - - 12月 10-12月期 1月 1月 全国百貨店売上高(前年比) 米国市場休場(キング牧師の日) JNTO訪日外客数 バンク・オブ・アメリカ決算 モルガン・スタンレー決算 ZEW景気期待指数 消費者物価指数(前年比) 実質GDP( 前年比) 固定資産投資( 都市部、 年初来、 前年比) 鉱工業生産( 前年比) 小売売上高( 前年比) 政策金利 全国コンビニエンスストア売上高(前年比) 2015年度補正予算成立 住宅着工件数(年率換算) 住宅着工件数( 前月比) 住宅着工許可件数( 前月比) 住宅着工許可件数(年率換算) 消費者物価指数(除食品&エネルギー、前年比) ゴールドマン・サックス決算 失業保険申請件数 ILO失業率 消費者物価指数(前期比) 消費者物価指数(前年比) 消費者物価指数(前年比) 政策金利 世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス、~23日) 全国スーパー売上高(前年比) フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ECB( 欧州中央銀行) 理事会 消費者物価指数(前年比、確報、前回値は速報値) 政策金利 政策金利 中古住宅販売件数( 前月比) GE決算 製造業PMI(速報) サービス業PMI(速報) - - - 沖縄県宜野湾市長選投開票 大統領選第1回投票 経団連「経営労働政策委員会報告」(春闘の基本方針) - - - - - - - 6.9% 10.2% 6.1% 11.3% - - - 119.4万戸 1.8% ▲6.4% 120.0万戸 2.1% - - - - - - 14.75% - - ▲0.9 - - 0.05% - 7.4% - - - ▲2.7% - 164.8万人 - - 16.1 0.1% 6.9% 10.2% 6.2% 11.2% 7.50% 0.9% - 117.3万戸 10.5% 10.4% 128.2万戸 2.0% - 3,900人 5.2% 0.3% 2.6% 4.8% 14.25% - ▲1.0% ▲5.9 - 0.2% 0.05% 3.25% ▲10.5% - 53.2 54.2 - - - - - - 1月 23日 (土 ) 1月24日(日) 1月中下旬 日本 ポルトガル 日本 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月14日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 19 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 <再来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 日本 1月 25日 (月 ) 独 - 1月 26日 (火 ) 米国 韓国 米国 1月 27日 (水 ) 豪州 ロシア 日本 米国 1月 28日 (木 ) ユーロ圏 英国 NZ フィリピン 南ア 日本 1月 29日 (金 ) 米国 ユーロ圏 メキシコ 市場予想 前月・ 前期・ 前年 12月 12月 12月 12月 1月 - 11月 11月 1月 10-12月期 - 10-12月期 12月 - 10-12月期 12月 12月 12月 - 12月 12月 12月 10-12月期 1月 10-12月期 1月 12月 - 10-12月期 - 12月 12月 12月 12月 1月 10-12月期 1月 12月 1月 10-12月期 貿易収支 貿易収支( 季調済) 輸出( 前年比) 輸入( 前年比) IFO景況指数 アサド政権と反体制派による和平会議 S&P/ケースシラー住宅価格指数( 前年比) FHFA住宅価格指数(前月比) コンファレンスボード消費者信頼感指数 アッ プル決算 FOMC( 連邦公開市場委員会、 ~27日) 実質GDP(前期比、速報) 新築住宅販売件数( 前月比) 政策金利 消費者物価指数(前期比) 鉱工業生産(前年比、発表日未定、~28日) 実質小売売上高(前年比) 小売業販売額(前年比) 日銀金融政策決定会合( ~29日、 展望レポート公表) 耐久財受注( 前月比) 耐久財受注( 除輸送用機器、 前月比) 中古住宅販売成約指数(前月比) キャタピラー決算 経済信頼感指数 実質GDP(前期比、速報) 全国住宅価格(前年比、発表日未定、~3日) 貿易収支 政策金利 実質GDP(前期比) 政策金利 失業率 家計調査-実質消費支出(前年比) 有効求人倍率 全国消費者物価指数( 生鮮食品除く、 前年比) 都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比) 実質GDP( 前期比年率、 速報) シカゴ購買部協会景況指数 マネーサプライM3(前年比) 消費者物価指数( 速報、 前年比) 実質GDP(前期比) - ▲3,813億 円 - ▲33億 円 - ▲3.3% - ▲10.2% - 108.7 - - - 5.54% - 0.5% - 96.5 - - - - - 1.3% - 4.3% 0.25~0.50% 0.25~0.50% - 0.5% ▲4.0% ▲3.5% ▲15.3% ▲13.1% - ▲1.1% - - - 0.0% - 0.0% - ▲0.9% - - - 106.8 - 0.4% - 4.5% - ▲7.79億NZドル 2.50% 2.50% - 1.1% - 6.25% - 3.3% - ▲2.9% - 1.25倍 - 0.1% - 0.1% - 2.0% - 42.9 - 5.1% - 0.2% - 0.8% 1月 30日 (土 ) 1月 31日 (日 ) 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月14日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 20 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 投資情報部作成最新レポートのご紹介 【定期発行レポート】 日次 週次 月次 Daily Outlook(日刊投資情報) Weekly Outlook(週刊投資情報) 月刊投資情報(株式・為替・金利の見通し) @ Wall Street 投資部門別売買動向(現物・先物) 日本株投資戦略(月刊プレゼン資料) 主要通貨デイリー 来週・再来週の注目スケジュール 米国株式投資ガイド 新興国通貨デイリー 米国 ETF テクニカル週報 日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト) Global Market Review 米国主要企業決算発表スケジュール 投資初心者向け資料 向こう 3 ヵ月の注目スケジュール Japan Market Review 【随時発行レポート】 <Spot Report > 2016/01/13 日本株式 2016 年の日経平均の見通しを下方修正 2016/01/13 グローバル投資リスク 2016 年世界の「10 大リスク」について 2016/01/12 為替 米ドル:予想以上に堅調だった 12 月雇用統計と当面のドル円相場 2016/01/08 中国経済 足元の人民元安について 2016/01/07 日本株式 リスクオフ継続で日経平均 18,000 円割れ 2016/01/07 中国株式 需給悪化懸念は後退するもボラティリティの高い展開に 2016/01/04 中国株式 当面はボラティリティの高い展開も上昇基調は維持する公算 2016/01/04 日本株式 大発会の株価は大幅下落 2015/12/24 トルコ 中銀は利上げに踏み切れず <カントリー・レポート> 2015/10/19 インド概観 2015/09/18 トルコ共和国概観 <注目の投資テーマ&業界ナビ> 2016/01/07 2016 年の注目 10 銘柄のご紹介 2016/01/06 国内消費関連データ集 2016/01/05 ROE 重視の姿勢が一層強まる日本株市場 2015/12/28 1 月・2 月の株主優待銘柄のご紹介 <プレゼン資料ほか> 2016/01/13 テクニカル指標は「売られ過ぎ」のサイン 2016/01/12 日経平均株価の 2015 年 8 月急落時と今回との比較 2016/01/08 日本株市場を泳ぐ「5 頭のクジラ」(更新版) 2016/01/06 戦後の株価、長期金利、為替相場の推移 2016/01/04 日経平均株価・ドル円の推移と主な出来事 2016/01/04 日銀の金融緩和策(ETF・REIT) 2016/01/04 海外・個人投資家売・事業法人売買動向 2016/01/04 過去の相場を振り返る(2008 年~2015 年) 2015/12/30 取扱い主要米国上場銘柄一覧 * 上記レポートをご希望の方は、最寄りの支店までお問い合わせください。 21 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 <弊社株式調査部 業種格付けおよび投資評価について> 【業種格付けについて】 業種格付けの定義は、以下の通りで、対象期間は今後 6~12 ヵ月です。日本については市場平均は東証株価指数(TOPIX)を基準とし ています。 強気:弊社のアナリストが予想する担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンが、市場平均を上回ると判断する場合。 中立:弊社のアナリストが予想する担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンが、市場平均と同程度と判断する場合。 弱気:弊社のアナリストが予想する担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンが、市場平均を下回ると判断する場合。 【投資評価について】 投資評価の定義は、以下の通りで、対象期間は今後 6~12 ヵ月です。 1(アウトパフォーム):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンの中 央値を上回ると判断する場合。 2(中立):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンの中央値と同程 度と判断する場合。 3(アンダーパフォーム):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンの 中央値を下回ると判断する場合。 NR:投資評価を実施しない場合。 RS:一時的に投資評価を停止する場合。 また、本調査レポートの業種分類において、中小型株・成長株に分類された銘柄の投資評価の定義は、以下の通りで、対象期間は今後 6~12 ヵ月です。市場平均は東証株価指数(TOPIX)を基準としています。 A(アウトパフォーム):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、市場平均を上回ると判断する場合。 B(中立):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、市場平均と同程度と判断する場合。 C(アンダーパフォーム):弊社のアナリストが予想する個別銘柄の投資リターンが、市場平均を下回ると判断する場合。 NR:投資評価を実施しない場合。 RS:一時的に投資評価を停止する場合。 【目標株価について】 目標株価は、弊社のアナリストが今後 6~12 ヵ月の期間に達すると予想している株価水準です。 各銘柄には当該会社を含むアナリストまたはそのチームがカバーする業種における相対的な投資評価が付されています。 22 2016 年 1 月 14 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.237 本資料について 【免責事項】 本資料は証券その他の投資対象の売買の勧誘ではなく、SMBC日興証券株式会社(以下「弊社」といいます)が投資情報の提供を目 的に作成したものです。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づいて作成していますが、これらの情報 が完全、正確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本資料に記載する価格、数値等 は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等は予告なしに変更する ことがありますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。本資料は将来の結果をお約束するものでもありませんし、本資料に ある情報をいかなる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用されるものであり、本資料にある情報の 使用による結果について、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。本資料は、本資料を受領される特定のお客様 の財務状況、ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものではありません。本資料はお客様に対して税金・法律・投資上のアド バイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目 論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 本資料は、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本資料に含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご使用ください。本 資料は弊社の著作物です。本資料のいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製 または転送等を行わないようにお願いいたします。本資料に関するお問い合わせは、弊社の営業担当者までお願いいたします。 本資料に記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。 【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項 】 手数料等について 弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内 の金融商品取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400 円)の委託手数料をお支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大 4.32%の 申込手数料、最大 4.5%の換金手数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管理費用)及 びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお 支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商品の場合、 円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによるものとしま す。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含む料率又は金額を記載しております。 リスク等について 各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財 務・経営状況を含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は元 本を超過する損失を生ずるおそれ(元本超過損リスク)があります。 なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバ ティブ取引等についてお客様の差入れた委託保証金又は証拠金の額(以下「委託保証金等の額」といいます。)を上回る場合があると共 に、対象となる有価証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過 損リスク)があります。 また、店頭デリバティブ取引については、弊社が表示する金融商品の売付けの価格と買付けの価格に差がある場合があります。 上記の手数料等及びリスク等は商品毎に異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料等をよ くお読みください。なお、目論見書等のお問い合わせは弊社各部店までお願いいたします。 商 号 等 SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2251 号 加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商 品取引業協会 (2015/04/09 版) 23
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