マイナンバー法開始!3月までに企業がやるべきこと

関係部署にご回覧ください
編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社
2016.1.12
第 1539 号
SMBC経営懇話会
TEL:フリーダイヤル 0120-7109-49
FAX:(03)5255-5564
URL:https://www.smbc-consulting.co.jp
【1 月以降にやるべきマイナンバー対応策とは?】
マイナンバー法開始!3月までに企業がやるべきこと
牛島総合法律事務所
弁護士 影島 広泰
1. 2016 年 1 月からは、退職時・入社時の業務フローにマイナンバーを組み込むほか、支払調書作成先と株主
からもマイナンバーの収集を始めましょう。
2. 源泉徴収票と扶養控除等申告書の取り扱いは、昨年 10 月に改正した所得税法施行規則など、新たなルー
ルが加わりましたので、注意が必要です。
1.2016 年 1 月~3 月に最低限やっておくべきこと
既存の従業員・扶養親族等のマイナンバーを回収した後、2016 年 1 月から 3 月にかけては何をすべきでしょ
うか。マイナンバーを委託先ではなく自社で管理している前提で、企業が何を行うべきかを説明します。
(1) 退職時の事務フローにマイナンバーを組み込む
従業員が退職すると、源泉徴収票や社会保険の書類などにマイナンバーを記載する必要が生じます。特
に、雇用保険の書類は 2016 年 1 月 1 日以降すぐにマイナンバーを記載することが求められますので、注意
が必要です。
したがって、実務上、退職しようとする従業員の個人番号が既に収集済みであることを社内で確認してお
くことが必要になると考えられます。例えば、退職届の人事部処理欄などに「マイナンバー収集済み」の
チェック欄を設けて確認することなどが考えられます。
(2) 入社時の事務フローにマイナンバー提出を組み込む
新入社員・中途採用者からは、入社時にマイナンバーの提出を受ける必要があります。入社時の必要書
類に、個人番号提供書などと本人確認書類の提出を含めておくことが求められます。この点は、就業規則で
入社時の提出書類を定めた条項に組み込んでもよいでしょう。
(3) 支払調書作成先のマイナンバー収集をスタート
支払調書を税務署に提出する必要がある取引先から、マイナンバーを収集する必要があります。マイナン
バーの記載は、2017 年 1 月 31 日までに提出する支払調書から義務となります。したがって、実務的には以
下のような対応をすることが考えられます。
①マイナンバーの提供を求める基準を社内で明確にする
ア.定額報酬先(顧問税理士、不動産オーナーなど)
例:税理士等 5 万円/年、不動産 15 万円/年
イ.随時報酬先(講師、賞金など) 例:講演料 5 万円/年、外交員・集金人 50 万円/年
②マイナンバーが必要となる対象先をリストアップ
③収集担当部署(事務取扱担当者)を個別に決める
例:経理部(支払担当となる経理部が一括して収集する)、担当部署が個別に収集する
(次頁に続く)
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(4) 株主からのマイナンバー収集をスタート
既存の株主(2016 年 1 月 1 日の時点で氏名・住所を告知している株主)のマイナンバーの収集には 3 年
間の猶予期間がありますが、株主からの回収には時間がかかりますので、早めに収集に着手した方がよいと
考えられます。また、2016 年 1 月 1 日以降の新しい株主については、経過措置がありません。例えば 2016
年 6 月の株主総会で配当が確定すれば、そこから 1 か月以内に提出する支払調書にマイナンバーが必要と
なります。
したがって、既存の株主からのマイナンバーの収集を開始するとともに、実務的には、名義書換の事務フ
ローにマイナンバー提出を組み込むことが必要となります。
2.マイナンバー法に関してよくある質問
Q
A
本人に交付する源泉徴収票にマイナンバーを記載しなければならないか
2015 年 10 月 2 日に所得税法施行規則が改正され、本人に交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載
しないことになりました。
Q
A
扶養控除等申告書のマイナンバー欄を空欄にして提出させても良いか
2016 年 1 月 1 日以降、マイナンバー欄を空欄にして提出させることはできません。ただし、既にマイナン
バーの提供を受けている場合には、従業員が余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個
人番号と相違ない」旨を記載した上で、会社において既に提供を受けている従業員等のマイナンバーを
確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員
等の個人番号の記載をしなくても差し支えないとされています(なお、この取扱いは、2017 年分からは税法
が改正されて変更される可能性がありますので、ご留意下さい)。
Q
扶養控除等申告書に、会社が、従業員の氏名・住所・生年月日をプレ印字している場合、身元確認書類
は不要か
不要です。プレ印字した扶養控除等申告書そのものが身元確認書類となるためです(国税庁告示 1-5)。
A
Q
A
労災保険の取り扱いはどうなるのか
事業主が労基署に提出する書類には個人番号を記載しないことになりました。したがって、労災保険のた
めに会社が個人番号を取り扱うことはありません。
Q
A
地方税の取り扱いはどうなるのか
特別徴収切替届出(依頼)書などにマイナンバーが必要になります。利用目的に「個人住民税に関する届
出・申請事務」などを追記しておくことが考えられます。
Q
A
パスポートも運転免許証も持っていない社員の身元確認はどうするのか
健康保険証、年金手帳、公共料金の領収書、印鑑登録証明書などを 2 つ組み合わせて確認します。
Q
A
勤続 20 年の従業員でも、身元確認書類の提示は必要か
入社時などに本人確認をしていない場合や、入社時などに本人確認をしていても知覚する(見る)ことに
よって明らかとはいえない場合には、身元確認書類が必要になります。
Q
A
子会社に出向し親会社が給与を支払っている社員のマイナンバーは、子会社に収集させても良いか
親会社が子会社に対してマイナンバーの収集を委託すれば、子会社が収集することが可能です。
Q
A
マイナンバーに関する規程は、就業規則に盛り込まないといけないのか
就業規則に盛り込むことは義務ではありませんが、実務的には、守秘義務の対象にマイナンバーを含める
改正を行った方がよい場合が考えられます。
Q
A
社内規程で全ての書類を 10 年保存としていたが、変更しないといけないか
変更しなければなりません。書類の法定保存期間を超えてマイナンバー付きの書類を保存することはでき
ません。
Q
A
アルバイトをしている社員は、勤務先にその状況が分かってしまうのか
アルバイトの給与に対する住民税を特別徴収にしていると分かってしまう可能性があります。
【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング・経営相談部 TEL:0120-874-809
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