Oliver Cann, Director, Media Relations, Tel.: +41 79 799 3405; Email: [email protected] 障壁が増え、温暖化が進行し、水は不足する:2016 年、リスクにさらされる世界 世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書 2016 年版」では、環境問題から国際安全保障、来たるべき第 4 次産業革命まで、2016 年に高まるリスクについて取り上げています。 気候変動と非自発的移住と適応は、および気候変動と国際安全保障など、各リスクの相互連関が強固さを増し、 その多くが多大かつ予測不可能な影響をもたらしつつあることが明らかになってきています。 気候変動緩和の失敗は、影響面からみたグローバルリスクの筆頭として挙げられます。大規模な非自発的移住は、 発生可能性の面で一番のリスクとなっており、影響と発生可能性の両方において最も急激な高まりをみせていま す。北米でのビジネスにおいては現在、サイバー攻撃が最も大きなリスクであると考えられます。 報告書の全文はこちらからお読みいただけます。 2016 年 1 月 14 日、英国、ロンドンー環境関連から社会、経済、地政学およびテクノロジーに関するものまで、あ らゆるリスクの発生可能性が高まり、2016 年の世界的な課題になりつつあることが、世界経済フォーラムの「グロ ーバルリスク報告書 2016 年版」により明らかになりました。 今回の年次調査では、およそ 750 名の専門家により、29 種類のグローバルリスクの影響、および今後 10 年間におけ る発生可能性が査定されました。2016 年に潜在的影響が最も大きいのは、気候変動の緩和・適応の失敗リスクであ ると判明しました。環境関連のリスクが最上位となるのは、この報告書の発行が始まった 2006 年以来初めてとなり ます。同リスクによる潜在的な被害の規模はこの年、大量破壊兵器(2 位)、水危機(3 位)、大規模な非自発的移 住(4 位)、および極端なエネルギー価格の変動(5 位)を上回っています。 一方、2016 年に最も発生可能性のあるリスクとしては、大規模な非自発的移住が 1 位となり、以下極端な気象(2 位)、気候変動の緩和・適応の失敗(3 位)、地域的影響を伴う国家間紛争(4 位)、および重大な自然災害(5 位) と続きます。 本報告書がグローバルリスクの評価を行ってきたこれまでの 11 年間において、展望されるリスクがこれほど多岐に わたったことはありませんでした。今回初めて、5 つのカテゴリーのうち 4 つ、環境、地政学、社会、経済が、影響 の大きなリスクの上位 5 位に含まれています。ここに含まれていないカテゴリーはテクノロジー関連のリスクのみで す。このうち最も上位となったのがサイバー攻撃で、発生可能性と影響の両方で 11 位にランクされています。 グローバルリスクによる被害が増大の兆しを見せているまさにその時、この多様なリスク展望が現れたのです。 2015 年の気候温暖化によって、地球の平均表面温度が初めて産業革命前の水準を 1°C 上回るという見込みです。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、移住を余儀なくされている人の数は 2014 年に 5,950 万人に達し、 1940 年と比べてほぼ 50%の増加となっています。本報告書のデータはあらゆるリスクの発生可能性が高まっている ことを裏付けています。2014 年から評価対象となっている 24 のリスクすべてで、発生可能性スコアが過去 3 年間で 上昇を示しています。 「グローバルリスク報告書 2016 年版」では、発生可能性と潜在的影響の評価に加え、リスクの相互連関についても 検証しています。そこでは少数の重要なリスクが集まって、大きな影響をもたらす現象が生じつつある可能性がデー タにより示唆されています。2016 年にリスク同士の相互連関性において上位を占める 5 組すべてが、2015 年と比べ て連関の度合いを強めています。2016 年の相互連関性において最高の水準を記録した 2 つのリスクは、深刻な社会 不安および構造的な失業または不完全就業で、これらがすべての相互連関の 5%を占めています。 こうした相互連関を知ることは、指導者がどの分野で、優先してアクションを起こすかを決め、不測の事態への対応 を計画する上で重要です。「気候変動が移住や安全保障といったその他のリスクに悪影響を与えることは知られてい ますが、急速に増大し、時として予測もできないような影響を社会に及ぼすことになる相互連関は他にも確実に存在 しています。こうしたリスクに対する緩和策は重要ですが、リスクに適応することが必要不可欠です」。世界経済フ ォーラムの国際競争力およびリスク部門の統括者であるマルガリータ・ドレズニーク・ハノウズはこのように語りま した。 どの「非常ボタン」を押すべきなのか 2016 年のグローバルリスクの展望においては、迫りつつある多くの様々なリスクが見えていますが、環境リスクが 突出しています。2014 年の報告書で焦点が当てられた所得格差は、本年、深刻な社会不安、構造的な失業および不 完全就業ならびに技術的進歩の悪影響をもたらしている相互連関の高まりとなっています。 「欧州の難民危機やテロ攻撃のような出来事により世界的な政情不安は冷戦以来最も高まっています。このことは、 不確実な背景を広げており、それに対してグローバル企業はますます戦略的判断を余儀なくされています。企業の足 跡、評判、およびサプライチェーンにおけるこれらのリスク関わり合いを考慮する必要性がこんなに差し迫ることは かつてなかった。」とマーシュ社グローバル・リスクとスペシャリティー部門長のジョン・ドゥルズィックは語りま した。 2015 年に最も発生可能性が高かったリスクは地域的影響を伴う国家間紛争でしたが、こうした地政学的リスクも現 存しています。国家間紛争は発生可能性の高さでは第 4 位まで下がりましたが、大量破壊兵器が昨年から 1 つ順位を 上げて影響の大きなリスクの第 2 位となり、本報告書におけるこれまでの最高順位を記録しました。 「気候変動は、水危機、食料不足、低い経済成長、弱い社会的団結、および高まる安全保障のリスクの面におけるリ スクをかつてないほど高めています。一方、地政学的不安定性により、企業はプロジェクトの中止、実施権の無効化、 生産中断、資産劣化、および国をまたがる資金移動の制限に曝されています。これらの政治的紛争は、一方で政治的 な協力の可能性を低め、リソース、改革、および時間を気候変動に対するレジリエンスとその防止策から遠ざけて、 気候変動という難問をより一層克服できないものにしている。」とチューリッヒ・インシュランス・グループの主任 リスク担当官のセシリア・レイエスは語りました。 予測不可能な歴史的事象が生じるとすれば、その 1 つはテクノロジー関連のリスクの中にある可能性があります。サ イバー攻撃リスクの発生可能性と影響は 2016 年にやや増大する一方、重要情報インフラの機能停止などのリスクは 減少傾向にあるというのが専門家の見解です。テクノロジー面の危機が経済や安全保障に全体的に影響することはま だありませんが、リスクは依然高く、専門家が完全には想定しきれていない何かがあるかもしれません。これはます ます増加しているビジネスリーダーたちの意見であると思われます。私達が別途ビジネスリーダーを対象に実施した 事業リスクの調査では、米国、日本、ドイツ、スイス、シンガポールを含む 8 か国以上で、サイバー攻撃が最大のリ スクであるという結果となりました。 国際安全保障への注目 「グローバルリスク報告書 2016 年版」では、29 のグローバルリスクについて発生可能性と潜在的影響の評価を行っ ているほか、地球規模の安全保障の展望が今後どのように進展していくかについて綿密に検討しています。最新動向 の分析に加えて、国際安全保障の未来への原動力となりうる事柄に関する分析も行ってきた 1 年間の研究の成果が、 この報告書に収められています。 リスク間の相互連関の分析を通じ、2016 年版の報告書ではグローバルリスクが社会に影響を与える可能性のある 3 つの領域、すなわち、「力を与えられた(奪われた)市民」の概念、気候変動の食糧安全保障への影響、および社会 的一体性を脅かすパンデミックの可能性についても追究しています。 ビジネス上のリスク 今年で2度目となりますが、「グローバルリスク報告書」では、企業が自国のグローバルリスクをどのように認識し ているかを示す国レベルのデータを提供しています。今年の分析では、先進経済国と新興経済国の双方に見られるパ ターンが明らかになりました。失業と不完全就業の問題は、対象となった140の経済国のうち4分の1以上において、 ビジネス上最も懸念されるリスクとして捉えられており、とりわけ2つの地域、サハラ以南のアフリカ、および中 東・北アフリカにおいては最大のリスクとされました。また、このリスクが上位5位に入っていないのは北米地域の みでした。これに次いで広く認識されているのがエネルギー価格の極端な変動リスクで、93の経済国でビジネス上 のリスクの上位5位以内に挙げられています。先に述べたサイバー攻撃は27の経済国で上位5位に入っており、増大 しつつあるこの脅威が多くの国のビジネスに与えてきた影響のほどが窺われます。 「グローバルリスク報告書2016年版」は、戦略パートナーであるマーシュ・アンド・マクレナン・カンパニー、お よびチューリッヒ・インシュランス・グループの支援により作成されました。また本報告書は、学術面でのアドバイ ザーとして、オックスフォード・マーティン・スクール(オックスフォード大学)、シンガポール国立大学、ウォー トン校・リスク管理および意思決定センター(ペンシルベニア大学)、ならびに「グローバルリスク報告書2016年 版」顧問委員会の協力を受けています。 編集注記: 以下のパートナー企業への問い合わせが可能です。 Jason Groves, Director of Communications, International, Marsh & McLennan Companies, United Kingdom, +44 (0)20 7357 1455, [email protected] Pavel Osipyants, Senior Media Relations Manager, Zurich Insurance Group, Switzerland, +41 (0)44 625 20 13, [email protected] 「グローバルリスク報告書2016年版」に関する詳しい情報は以下の手段で入手できます。 エグゼクティブサマリーを読む こちら 報告書発表記者会見を見る http://wef.ch/live フォーラムのアジェンダを読む http://wef.ch/agenda フォーラムのツイッターをフォローする http://wef.ch/twitter および http://wef.ch/livetweet(ハッシュタグ: #risks2016) フォーラムのニュースリリースを購読する http://wef.ch/news 2016年の年次総会について詳しい情報を入手する http://wef.ch/davos16 フェイスブックでフォーラムのファンになる http://wef.ch/facebook Google+でフォーラムをフォローする 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