January 2016 ファーストコールカンパニー・レビュー 1 0 0 年 先 も 一 番 に 選 ば れ る 会 社 を 志 すリーダ ー へ ものづくりの復権 2016年 年頭指針 使命 その先にある課題を解決せよ 1 ファーストコールカンパニー・レビュー 100 年先も一番に選ばれる会社を志すリーダーへ January 2016 Contents 03 2016年 年頭指針 使命 その先にある課題を解決せよ 若松 孝彦 09 11 12 17 22 27 31 33 37 1 特集 1 ものづくりの 復権 MESSAGE テクノロジーブランド化の「3つの着眼点」 藁田 勝 CASE 1 スギノマシン 5つの「超」コア技術を磨き上げる CASE 2 山科精器 精密加工技術を生かし医療分野へ参入 CASE 3 森鐵工所 メンテナンスフリーで海外市場を席巻 CONSULTING METHOD 技術のブランド化で新たな顧客価値を創出 小谷 俊徳 MARKET STATS マーケット・スタッツ 梶原しげるの ビジネスに効く! 会話のヒント 着席パーティー 見知らぬ人にどう振る舞う ? 梶原 しげる Vol. 4 未来をつくる人たちへ 戦略リーダーの時代 ジェイエイ北九州くみあい飼料 Vol. 4 FCC REVIEW January 2016 儲けの源泉を見極める原価管理のポイント 桑田 佳幸 39 CONSULTANT REVIEW 1 42 CONSULTANT REVIEW 2 45 47 51 55 59 61 超速時代に求められる経営判断 稲岡 真一 特集 2 工場見学の 戦略的活用 アオキ 千客万来。そこから何かが始まる CASE 2 シャボン玉石けん 「見せる」ことで商品の良さを伝える知恵 CASE 3 小原歯車工業 「見られる」ことで変化した社員の意識 CASE 1 経営者こそ地方創生の主人公だ! けんいん 東海 圧倒的な産業集積で日本経済を牽引 百井 岳男 Vol. 4 チームコンサルティング対談 Vol.4 住まいと暮らし・建設ソリューション編 JM(Japan Management)× タナベ経営 職人育成と先進ITツールで業界改革と地方創生に挑む ワールドワイド・トレンド〈 アジア 〉 67 71 空前の日本食ブームに沸くタイ、 勝ち残るのはどこか! ? 三田村 蕗子 Vol. 4 旗を掲げる! 地方企業の商機 ご当地「超小型 EV」の時代へ 北村 森 Vol. 4 がたり 75 79 80 81 チームブランディング 新しい“モノ語”をつくろう 日本全薬工業 × タナベ経営 SPコンサルティング本部 Vol. 4 ブックレビュー 戦略パートナーズメッセージ 「ブランドスイッチ」のハードル 島田 憲佳 次号予告/編集後記 January 2016 FCC REVIEW 2 Mission Loyalty 2016年 年頭指針 使命 そ の 先 にある 課 題 を 解 決 せ よ タナベ 経 営 代表 取 締 役 社 長 若松 孝彦 経営理念から生まれるミッション(使命)に忠実な戦略。 タナベ経営は、それを「ミッションロイヤリティ戦略」と呼ぶ。 世界経済は「波乱」はあっても成長する。 日本経済は「モノ余りでコト不足の時代」が加速する。 2016 年は、ミッションを追求することで 固有技術をソリューション、課題解決技術へと昇華させ、 「モノ消費」ではなく「コト解決」を提供して サステナブル(持続的な)成長を目指すべきである。 3 FCC REVIEW January 2016 2016年 年頭指針 拡大し、同 GDP が 1 万ドルを 超える国は、2005 年の 51 カ国 から 2014 年は 70 カ国へ増えて います。 1 人当たりの国民所得を 2000 年と 2013 年で比較すると、 先 進国はこの 13 年間で 1 ~ 2 倍 の拡大幅にとどまります。ちなみ に 2013 年の日本の国民所得は、 G7 の中でイタリアに次ぐ低水準。 一方、アジアの新興国・途上国 は最大 11 倍となり、先進国と新 興国・途上国の所得格差は着実 に縮まっています。(労働政策研 究・研修機構『データブック国 際労働比較 2015』) ミッションの追求が ソリューション価値を増大 う意 味。「 戦 略は理 念に従う」。 自社の理念から生まれる使命に IMF(国際通貨基金)の予測 2016 年度の戦略指針は「ミッ 忠実な戦略が、ミッションロイヤ によると、2016 年の世界の経済 リティ戦略なのです。 成 長 率は 3.6%。2015 年 初め ションロイヤリティ戦略」です。 今は「モノ余りでコト不足の時 代」。それが年々加速し、顕著 になっています。コト不足の加速 世界経済は 波乱はあっても成長する の予測では 3.8%だったので少し 下がりました。その大きな要因は、 中国経済の減速です。 は、裏を返せば、社会や顧客の まず、世界経済のインパクトポ 2016 年 の 中 国 の 成 長 率 は 課題がより鮮明になっていること イントを述べます。2016 年度の 6.3%で、2015 年の 6.8%から を表します。私たちは、コト不足 世界経済の基調を一言でまとめ ダウン。中国の経済統計の中で を満たす価値を「ソリューション ると、「波乱はあっても成長する」 信頼性の高いデータとされる「電 価値」、すなわち課題解決価値と です。 力発 電・ 消 費 量、 鉄 道 貨 物 輸 定義します。皆さまの会社の商 2015 年時点の世界推計人口 送量、輸出入統計」を見ると、 品やサービスによって、社会や顧 は 73 億人で、30 年前の 1.5 倍 月間の発電電力量はゼロ成長、 客の課題を解決するのがソリュー ( 総 務 省 統 計 局『 世 界 の 統 計 鉄道貨物輸送量は 2014 年以降 2015』)になっています。人口増 マイナスのまま、輸出入統計では この価値を高めるために、経 加に伴って GDP も拡 大。同局 2014 年 11 月以 降、 前 年 同月 営者の持つべき思考がミッショ によると、全世界の名目 GDP は 比で輸入のマイナスが続いていま ン、すなわち使命であり、ミッショ 1985 年 の 13 兆 4754 億 ド ル す。中国経済の減速は予断を許 ンの追求こそがソリューション価 から、2013 年には 5.6 倍の 75 さない状況です。 値の増大につながります。 兆 5663 億ドルになりました。1 ション価値ということです。 ロイヤリティとは「忠実」とい 人当たりの名目 GDP も 3.8 倍に 米 国は 2.8%と好 調を維 持。 ユーロ圏は 1.6%と若干ながら成 January 2016 FCC REVIEW 4 長する見通し。不振のギリシャ 自動車の自動運転システムやアッ の動向に目配りしつつも、それに も基 幹 産 業の観 光 業が 堅 調で プル社の『iWatch』。米調査会 惑わされず、実体経済をしっかり 0.8%と高めの水準です。 社のガートナー社は、2020 年の と見極めるスタンスが、私たち経 IoT 市 場が約 2 兆ドルになると 営者には求められます。 ASEAN は全体的に回復基調 が継続。中でも 5 カ国(インド 予想しています。 日本市場は モノ消費からコト解決へ ネシア、タイ、マレーシア、フィリ 4 つ目は、TPP(環太平洋経 ピン、ベトナム)の 2016 年の実 済連携協定)。この締結により、 質成長率は 4.9%程度に回復す 世界の GDP の 36%と貿易額の 2016 年の日本経済をまとめる ると見込まれます。 26%を占め、人口 8 億人を有す と、 「消費マーケットから課題マー る経済圏が誕生することになりま ケットへの変化と成長」。つまり、 こうした世界情勢を踏まえた日 本のチャンスは、4 つあります。 す。賛否両論ありますが、波乱 1 つ目が、インバウンド(訪日 はあっても成長する世界のマー 外客数)の激増です。2013 年 ケットを取り込むチャンスと捉え に 1000 万 人 を 超え、2015 年 るべきです。 は 10 月時 点で 1600 万 人を突 破し、過去最高を更新しました。 では、世界経済に「波乱」を 起こす要因とは何か。 「モノ消費からコト解決へ」とい う傾向が顕著になります。 日本国内では人口と世帯数の 減少、2020 年東京オリンピック・ パラリンピック後の反動減、モノ に対する欲求の減退といった要 政 府は 2020 年に 2000 万 人と 1 つ目は、金融資産、金融市 いう目標を掲げていますが、前倒 場です。世界の金融資産の規模 縮小が加速すると予測されます。 しで達成できる可能性が高いで は、 世 界の GDP の 3.7 倍に達 一方で、こうした要因による社会 しょう。インバウンド需要により、 しています。2000 年には 2.9 倍 構造の変化でさまざまな課題が 2015 年 4 ~ 9 月の大阪のホテ でした(内閣府『国際金融セン 新たに出現し、その課題を解決 ル稼働率は 91%に達し、東京で ター、金融に関する現状等につ するコトを望む「課題マーケット」 も 83%と毎日ほぼ満室状態が続 いて』)。つまり、金融経済が実 が相次いで誕生しています。 いています。 体経済よりも速いスピードで成長 このマーケットで顧客が求める 2 つ目は、新興国で拡大・高 しているのです。これが実体経済 ソリューションが増えています。 度化する消費。経済産業省『通 に影響を及ぼさないはずがありま 市場がナノ化(細分化・極小化) 商 白 書(2015 年 版 )』 による せん。大国の金融市場が動揺す され、ホワイトスペース(未開拓 と、上位中所得国の消費支出が れば、その影響は商品・サービ の分野)を生み出している状況 2004 年から急増し、「世界人口 スの生産や販売活動、設備投資 は、中堅・中小企業にとって大 の総消費者化」が進行していま 活動(実体経済)に必ず波及し きなチャンスといえます。今まで す。好調なのは通信やレクリエー ます。 以上に顧客価値を把握し、きめ ション、教育、医療・ヘルスケ 2 つ目は、テロを含めた世界 ア関連。これらの分野へ効果的 各地での紛争です。これらは波 なマーケティングを行うことで、 乱を起こす可能性があります。 因により、「消費マーケット」の 細かい価値提供を行うことが重 要です。 他方、2014 年の倒産件数は しかし、実体経済を示す GDP 9731 件と 24 年ぶりに 1 万件を 3 つ 目 は、IoT(Internet of を長期的なスパンでみると、減 下回りました(東京商工リサー Things)です。代表的なものは、 速はしても成長予測です。波乱 チ調べ)。プレーヤーが減らない チャンスをつかめるでしょう。 ※ ※ コンピューターなどの情報・通信機器だけでなく、さまざまなモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信したりすることにより、 自動認識・制御、遠隔計測などを行うこと 5 FCC REVIEW January 2016
© Copyright 2024 ExpyDoc