17/2期はマンションの引渡戸数増により2桁増収増益へ

和田興産
(8931・JASDAQ スタンダード)
2015 年 12 月 29 日
17/2 期はマンションの引渡戸数増により 2 桁増収増益へ
16/2 期会社利益予想の達成に問題はないだろう
アップデートレポート
16/2 期 2Q 累計(3-8 月)業績は、売上高 103 億円(前年同期比 28.3%
減)
、営業利益 6.0 億円(同 49.2%減)。マンションの引渡戸数が 193
㈱ティー・アイ・ダヴリュ
堀部 吉胤
戸(同 187 戸減)と少なく大幅減収減益。期初予想に対しては売上高
が 2.7 億円下回ったが、販売経費の下振れにより営業利益は 1.0 億円
上回った。
通期のマンションの引渡予定戸数は 700 戸(前期比 65 戸減)。
主要指標 2015/12/28 現在
4Q(12-2 月)に「ワコーレシティ神戸三宮」
(総戸数 471 戸)の約 3 分
株
価
715 円
の 2 を引渡予定。期末竣工予定のマンションの販売の遅れから引渡戸
874 円
(15/04/06)
645 円
(15/08/25)
数はやや下振れそうな状況。低調な販売が続く戸建分譲の引渡戸数も
発行済株式数
10,000,000 株
りそうなため通期の会社利益予想は達成できるだろう。
売 買 単 位
100 株
年初来高値
年初来安値
下振れ濃厚。一方、その他不動産販売が計画を大きく上回りそうなほ
か、不動産賃貸事業が稼働率向上により強含み。販管費も想定を下回
17/2 期業績はマンションの引渡戸数の増加が牽引しよう
16/2 期のマンションの引渡戸数は 14/2 期の用地仕入れが少なかった
時 価 総 額
7,150 百万円
予 想 配 当
26.0 円
弱に回復する見通し。既に契約の進捗率は 8 割を超えている。用地価
128.00 円
格や建築費の上昇によりマンションの粗利益率は前期比 2pt 程度低下
(
会
社
予 想
)
E P S
( ア ナ リ ス ト )
実 績
P B R
0.43 倍
ことを受け端境期となるが、17/2 期のマンションの引渡戸数は 800 戸
するとみられるが、増収効果により 2 桁増収増益を予想する。
10 月中旬に発覚した杭打ち工事のデータ改ざん問題はマンション販
売に特段の影響を与えていないが、販売価格の上昇により、マンショ
直前のレポート発行日
ン市況は秋頃から陰りが出ている。当社でも販売価格は上昇している
ベーシック
2015/06/04
アップデート
-
業
が、販売は総じて順調に推移している。今後も堅調な販売が持続でき
るかに注目したい。
売上高
百万円
動
2015/2
2Q(3-8 月)
実
績
14,393
2016/2
2Q(3-8 月)
実
績
10,325 -28.3
実
績
30,097
2015/2 通
期
向
前期比
%
績
新 ・会 社予 想
(2015 年 10 月発表)
旧 ・会 社予 想
2016/2
通
2017/2 通
期
期
82.0
-7.3
営業利益
百万円
前期比
%
1,195 12.1 倍
経常利益
百万円
861
前期比
%
黒転
189 -78.0
当期純利益
百万円
511
前期比
%
EPS
円
黒転
51.17
102 -79.9
10.28
606
-49.2
2,831
-1.4
2,055
3.7
1,180
10.7 118.10
期初予想から変更なし
(2015 年 4 月発表)
29,500
-2.0
2,750
-2.9
2,000
-2.7
1,200
1.6 120.00
新・アナリスト予想
29,310
-2.6
2,920
3.1
2,100
2.2
1,280
8.5 128.00
旧・アナリスト予想
(2015 年 6 月発表)
29,400
-2.3
2,780
-1.8
2,050
-0.2
1,230
4.2 123.00
新・アナリスト予想
34,300
17.0
3,300
13.0
2,520
20.0
1,560
21.9 156.00
旧・アナリスト予想
33,680
14.6
2,920
5.0
2,210
7.8
1,330
8.1 133.00
(2015 年 6 月発表)
アナリストレポート・プラットフォーム
1
業
績
 経営環境解説
 会社概要
近畿圏のマンショ
ン販売は価格上昇
を受け減速
近畿圏のマンション販売における初月契約率は 9 月 67.9%、10 月 68.6%
と 2 ヶ月連続で好不調の目安とされる 70%を下回った。11 月も 70.2%にと
どまり、超低金利や住宅取得に係る政策支援を受け好調が続いてきたマンシ
ョン市況には陰りが出てきた。用地価格や建築費の高騰を受けた販売価格の
上昇によるものと考えられる。
10 月中旬に明らかになった横浜市のマンション(2007 年 12 月竣工)の傾
杭問題はマンショ
ン 販 売 に ほと ん ど
影響を与えていな
いもよう
斜問題に端を発する杭打ち工事のデータ改ざん問題は、販売には特段の影響
を与えていないようだ。横浜市のマンション以外に不具合のある建築物は見
つかっておらず、消費者の不安が広がる状況ではない。また、今後施工され
る物件は施工管理が厳しくなり逆に安心だろうという消費者心理が働いて
いるとみられる。12 月 25 日に公表された国土交通省の有識者対策委員会の
中間報告でもデータ流用と建築物の安全性の関連性は低いと結論付けられ
た。建設業法の改正などの法改正に発展する可能性は低そうであり、施工管
理強化が大きく建築コストに跳ね返る懸念も乏しいとみる。
11 月に入ると国税庁がタワーマンションを使った相続税対策への監視を
強化するとの報道があり、これまで好調だった都心のタワーマンション販売
や販売価格に影響が出てくる可能性があろう。ただし、近畿圏は首都圏に比
べれば相続税対策のためのタワーマンション購入はもともと少なかったと
考えられるため、影響は限定的とみる。
2015 年の近畿圏のマンション供給戸数の市場予測は、年初時点では
2015 年の近畿圏
のマンション供給
戸数は 2014 年並
21,000 戸(前年比 2,186 戸増)だった。上半期(1-6 月)は 10,102 戸(前
みにとどまりそう
37.6%減)となって以降、11 月の 1,696 戸(同 14.1%減)まで 5 ヶ月連続
年同期比 1,390 戸増)と順調に新規供給が行われていたが、上記の通り販売
価格上昇によるマンション需要の減退を受け、7 月に 1,258 戸(前年同月比
で減少。1~11 月累計では 17,046 戸(前年同期比 0.8%減)とわずかながら
前年同期比マイナスに転じた。供給材料は揃っているが、販売の減速を受け
ディベロッパーの小分け販売の傾向が強まり、販売が後ろ倒しになっている。
杭打ちデータ改ざん問題を理由とした供給先送りは特にみられないものの、
2015 年の供給戸数は 2014 年の 18,814 戸並みか微減にとどまりそうな状況。
2016 年の供給戸
数は 2 万戸程度と
みられている
アナリストレポート・プラットフォーム
2016 年の近畿圏の供給戸数の市場予測は 2 万戸。小幅に回復するとみら
れている。先行指標のマンションの着工戸数は 1-10 月で 20,989 戸(前年同
期比 1,834 戸増)であり、供給材料は揃っている。消費再増税前の駆け込み
需要を狙って 9 月に向けて駆け込み供給が行われる可能性があろう。
2
業
績
近畿圏マンションの供給戸数、初月契約率の月次推移
(戸)
 会社概要
(%)
4,000
100
供給戸数(左軸)
3,500
90
初月契約率(右軸)
3,000
80
2,500
70
2,000
60
1,500
50
1,000
40
500
30
0
20
1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9
06
07
08
09
(出所)長谷工総合研究所
10
11
12
13
14
15
(年月)
兵庫県の分譲マンションの販売価格の推移
(万円)
(万円)
4,000
185
3,900
戸当り単価(左軸)
180
3,800
坪当り単価(右軸)
175
3,700
170
3,600
165
3,500
160
3,400
155
3,300
150
09
10
11
12
(出所)長谷工総合研究所
(注)2015年は1-10月
ワンルームマンションを含む
13
14
15
(暦年)
 16/2 期 2Q 累計(3-8 月)業績解説
マンションの引渡
戸数が前年同期比
ほぼ半減し、大幅
減収減益
16/2 期 2Q 累計業績は、売上高 103 億円(前年同期比 28.3%減)、営業利
益 6.0 億円(同 49.2%減)、経常利益 1.8 億円(同 78.0%減)、純利益 1.0
億円(同 79.9%減)
。ほぼ 9 月 25 日に発表された業績予想修正通り。主力
の分譲マンションの引渡戸数が 193 戸(同 187 戸減)とほぼ半減したことに
より大幅減収減益。もともと引渡計画は上期 202 戸、下期 498 戸と下期偏重
だった。特に当社過去最大の物件となる「ワコーレシティ神戸三宮」
(2015
年 10 月竣工、総戸数 471 戸)の引渡が始まる 4Q(12-2 月)が 369 戸の計画。
アナリストレポート・プラットフォーム
3
業
績
期初会社業績予想に対しては、売上高が 2.7 億円の未達となったものの、
期初計画に対して
は、売上高は若干
の未達ながら利益
は逆に上振れ
 会社概要
営業利益は 1.0 億円、経常利益は 0.8 億円、純利益は 0.4 億円、それぞれ上
回った。売上高の未達の主因は、分譲マンションの引渡戸数が計画を 9 戸下
回ったこと。2 物件で販売が長期化している。それでも営業利益が計画を上
回ったのは、マンション販売が総じて好調なことや一部のマンションの販売
時期の下期への期ずれにより販売経費が想定を下回ったため。期ずれはゼネ
コンとの請負金額の交渉に時間を要したことなどによる。
2Q 累計のマンション引渡戸数 193 戸のうち、大型物件の「ワコーレ舞子
大型物件 1 棟が引
渡の大半を占めた
グランテラス」
(2015 年 5 月竣工、総戸数 143 戸)が大半を占めた。同物件
は上期に全戸を引渡済み。このほかには、好立地の「ワコーレ神戸中山手エ
ンブレム」
(2015 年 4 月竣工、総戸数 22 戸)の引渡があった。
分譲マンションの粗利益率は 17.9%(前年同期比 0.2pt 減)
。当社の標準
的な水準だった。
2Q 累計のマンションの契約戸数は 293 戸(前年同期比 429 戸減)と急減。
これは販売不振によるものではなく、新規の発売戸数が 176 戸(同 430 戸減)
と少なかったことによる。もともと下期偏重の供給予定のうえ、一部下期へ
の期ずれもあった。2Q 末の未契約完成在庫は 11 戸と引続き低水準。
2Q 累計の分譲戸建の引渡戸数は 17 戸(前年同期比変わらず)、売上高は
戸建分譲の販売は
引続き低調
5.5 億円(同 0.3%減)
。粗利益率は 7.8%(同 3.7pt 減)と完成在庫の値引
き販売により低水準にとどまった。契約戸数も 19 戸(同 4 戸増)と消費増
税後の販売不振が継続している。
2Q 累計のその他不動産販売の売上高は 9.1 億円(前年同期比 2.3 倍)
。粗
その他の不動産販
売にはイレギュラー
な売上高があった
利益は 1.6 億円(同 67.4%増)
、粗利益率は 18.2%(同 7.1pt 減)だった。
15/2 期にマンション分譲予定地を学生寮の建設用地を探していた専門学校
に素地売りし、この学生寮の建築を請負った。建築請負は当社として初めて。
建物部分が完成し引渡したことにより売上高 4.2 億円を計上したことが増
収の主要因(土地部分の売上高は 15/2 期に計上済み)。軌道に乗りつつある
木造アパートの販売は 1 棟、0.9 億円だった。残りはマンション分譲予定地
などの素地売り。粗利益率の低下は建築請負の利益率が低いことによる。
マンション用地の
仕入れは概ね順調
アナリストレポート・プラットフォーム
2Q 累計のマンション用地の仕入は、20 プロジェクトで 528 戸(前年同期
比 152 戸減)相当分。用地取得競争が激しい中では概ね順調。100 戸超の大
型プロジェクトの仕入れが 1 件あった。
4
業
績
これで 17/2 期以降に引渡予定のランドバンクは約 2,000 戸となり、3 年
 会社概要
弱分を確保している。うち 100 戸超の大型プロジェクトは、①2015 年 12 月
販売開始の
「ワコーレ神戸三宮トラッドタワー」
(2018 年 1 月下旬竣工予定、
総戸数 194 戸)
、②2015 年 11 月販売開始の「ワコーレ新神戸マスターズレ
ジデンス」
(2018 年 1 月中旬竣工予定、総戸数 122 戸)
、③JT(2914)の旧
神戸支店跡地の総戸数 200 戸前後のプロジェクト、④この上期に仕入れた総
戸数約 140 戸程度のプロジェクト、
の計 4 件。
いずれも市街地中心部の案件。
これら 4 件でランドバンクの約 3 分の 1 を占める。北摂や姫路市に事業エリ
アを拡大しながらも、人口の都市部集中の傾向が続いていることを受け市街
地中心部を重視した仕入れを行っている。①は「ワコーレシティ神戸三宮」
(総戸数 471 戸)の北隣のプロジェクトで、施工は同じく長谷工コーポレー
ション(1808)
。
戸建分譲用地の仕入れでは、神戸市北区鹿の子台で当社としては過去最大
過去最大の戸建分
譲用地を取得
となる 97 区画の大型開発用地を取得。これで 17/2 期以降引渡予定のランド
バンクは約 140 戸となり、2~3 年分を確保した。
木造アパートの用地の仕入れも 10 棟強と順調だった。
収益不動産の仕入れは、神戸市中央区の築古の賃貸マンション(住戸 39
収益不動産のアセ
ットタイプの多様化
を模索
戸)とグループホームの計 2 棟。賃貸マンションは当社のマンションギャラ
リーに隣接しており、将来、一体開発の可能性がある。グループホームは取
得先の運営会社にリースバックし、運営は自社では行わない。また、10 月
には自社開発のビジネスホテルが開業。ビジネスホテルの保有は 2 棟目とな
る。不動産賃貸事業はレジデンスが中心ながら、このようにアセットタイプ
の多様化を図ろうとしている。
2Q 末には固定資産から棚卸資産に賃貸マンション 2 棟(簿価 3.1 億円)
を振替えたが、収益不動産の取得と開発物件の建築費の支出により 2Q 末の
有形固定資産は 246 億円(前期末比 5.6 億円増)と若干増加した。
 16/2 期業績予想
通期業績は前期比
横ばい圏の予想
通期会社業績予想は期初から変更されておらず、売上高 295 億円(前期比
2.0%減)
、営業利益 27.5 億円(同 2.9%減)と微減収微営業減益の予想。
ただし、純利益段階では法人税減税により 12.0 億円(同 1.6%増)と微増
益の見込み。特別損益は見込まれていない。
アナリストレポート・プラットフォーム
5
業
績
分譲マンションの通期引渡予定戸数は 700 戸(前期比 65 戸減)
、売上高は
マンションの引渡
 会社概要
戸数は計画を若干
下振れしそう
240 億円(同 4.9%減)の計画。前期比減少見込みなのは、14/2 期のマンシ
ョン用地の仕入れが 621 戸相当と少なかったことによる(13/2 期の仕入れ
が「ワコーレシティ神戸三宮」の用地などにより 1,394 戸相当と非常に高水
準だったため、用地価格が上昇する中、無理をしなかった)。引渡予定 700
戸に対する契約の進捗率は 2Q 末で 94%。12 月初旬で 96%程度のもよう。
概ね目処は付いているといえるが、期末の 2 月に竣工予定の「ワコーレ姫路
京口マークス」
(総戸数 45 戸)の販売が遅れ気味で、若干期ずれが発生する
可能性があろう(計画では今期に全戸引渡を織り込んでいるもよう)。当該
物件は当社が事業エリアを拡大するために兵庫県下で神戸市に次いで人口
の多い姫路市で初めて手掛けた物件。2014 年 6 月に販売を開始したが、姫
路市はマンション需要層が薄いうえに、「ワコーレ」ブランドが浸透してい
ないことなどから販売に時間を要している。
今期の引渡の目玉は「ワコーレシティ神戸三宮」
(総戸数 471 戸)。3 棟構
成の物件で、今期は東棟、西棟の 2 棟の引渡を予定しており、引渡戸数は全
体の約 3 分の 2(320 戸前後)が見込まれている。杭打ち工事が適正に行わ
れている旨の確認が施工会社の長谷工コーポレーションからとれており、問
題なく引渡が進むとみられる。
マンションの粗利益率は 20%程度(15/2 期は 18.6%)と建築費上昇にも
建築費上昇でもマ
ンションの粗利益
率は改善見込み
かかわらず前期比改善するとみられる。「ワコーレシティ神戸三宮」がリー
ズナブルな値付けにもかかわらず、不動産価格が本格上昇する前に用地を仕
入れた物件だったため高採算となり、全体を牽引する。
マンション引渡戸数等の推移
(戸)
1,100
1,000
900
800
700
600
引渡戸数
契約戸数
供給戸数
500
400
300
07/2
08/2
09/2
10/2
11/2
12/2
13/2
14/2
15/2 16/2CE
(出所)会社資料
(注)CEは会社予想
アナリストレポート・プラットフォーム
6
業
績
戸建分譲の売上高の会社予想は 25.0 億円(前期比 16.8%増)。引渡戸数
戸建も計画未達に
 会社概要
なるだろう
は 70 戸(同 10 戸増)程度の想定とみられる。消費増税後、低調な販売が続
いており、2Q 累計の引渡は 17 戸、2Q 末の契約済未引渡戸数も 8 戸にとどま
っている。下期に入っても目立った回復感がないもようで 50 戸余りにとど
まるとみる。粗利益率は 2Q 累計で 7.8%にとどまっており、通期でも目処
とする 13~14%には届かないだろう。
一方、その他不動産販売事業の売上高は計画の 9.0 億円(前期比 51.6%
その他不動産販売
の上振れや販管費
の下振れで利益計
画は達成できよう
増)を既に上期で 9.1 億円と超過している。下期にはさらに木造アパートの
販売が 3~4 棟見込まれており、多少の素地売りも加えて、売上高は 15 億円
程度になるとみる。先述の通り、固定資産から棚卸資産に賃貸マンション 2
棟 3.1 億円を振替えており、さらにバッファーを持たせている。安定事業の
不動産賃貸事業も店舗・事務所の稼働率向上、新規物件の取得、開発物件の
稼働などにより、計画よりもやや強含みで推移している。
マンション販売が概ね順調に推移していることから販売経費が想定を下
回るとみられることもあり、マンションや戸建の引渡戸数の下振れをカバー
して利益面では会社予想をクリアできるだろう。TIW 業績予想は前回予想か
ら利益を上方修正し、前期比微増益になると予想した。
普通配当 1 円の増配に加え、法人設立 50 周年を記念して 3 円の記念配当
3 円の記念配を実
施予定
を実施し、期末配当は 26 円となる予定(中間配当は行っていない)。会社業
績予想ベースの配当性向は 21.7%(15/2 期は 18.6%)となる。
 17/2 期業績予想
16/2 期はマンション分譲の引渡の端境期となり、業績は足踏みとなる見
マンションの引渡
戸数の増加を主因
に 2 桁増収増益を
予想する
通しだが、17/2 期はマンション分譲の引渡戸数の増加を主因に表記のよう
に 2 桁増収増益を予想する。
マンション分譲では、高採算の「ワコーレシティ神戸三宮」の約 3 分の 1
(150 戸前後)の引渡が残っている。これ以外に 100 戸超の大型物件の引渡
はないが、全体の引渡戸数は 800 戸近くに増加する見通し。12 月初旬時点
で契約の進捗率は 8 割を超えている。戸数増に加え、戸当り販売価格の上昇
も見込まれる。用地価格や建築費の上昇を受け全体的に販売価格が上昇傾向
であることに加え、単価の低い「ワコーレシティ神戸三宮」の比率が低下す
ることや、戸当り平均価格 9,420 万円の高額物件「ワコーレ岡本レジデンス」
(総戸数 23 戸で全戸契約済み)の引渡があることによる。
アナリストレポート・プラットフォーム
7
業
績
全体に占める高採算の「ワコーレシティ神戸三宮」の比率が低下するため、
マンションの粗利
益率は低下見込み
 会社概要
用地価格や建築費上昇により、粗利益率は 18%程度に低下する見通し。そ
れでも増収効果によりマンション分譲の粗利益は増加しよう。
その他不動産販売事業の売上高は 16/2 期に続いて高水準を維持するとみ
る。木造アパートの手持ちが豊富であること、16/2 期に固定資産から棚卸
資産に賃貸マンション 2 棟を振替えていること、などによる。
前回の TIW 業績予想ではマンション分譲の引渡戸数を 850 戸としていた。
今回、マンションの引渡戸数の予想を下方修正するが、マンション分譲の戸
当り平均販売価格、粗利益率を前回予想よりも若干上方修正したこと、また、
その他不動産販売事業を大幅に上方修正したことなどにより、全体の業績予
想は表記のように上方修正となった。
既にマンション分譲の契約進捗率が高いため 17/2 期業績に不安は乏しい。
販売を開始した大
型 2 物件の販売動
向に注目したい
注目点はマンション市況に陰りが出ている中、今後も堅調な販売が持続でき
るかだろう。2017 年 4 月予定の消費再増税に伴う経過措置として 2016 年 9
月末までに契約すれば引渡時期に関係なく現行の 8%の消費税率が適用さ
れる。多少の駆け込み需要が発生する可能性があるが、それ以降の需要減退
懸念もあり先行きには不透明感がある。
当面は販売を開始した 100 戸超の大型 2 物件「ワコーレ神戸三宮トラッド
タワー」
、
「ワコーレ新神戸マスターズレジデンス」の販売動向に注目したい。
前者は戸数の多さから安全策をとって控え目な値付けをしたことにより短
期で完売した「ワコーレシティ神戸三宮」に隣接している。販売価格はかな
り高くなるが、販売の出足は順調のようである。
13/2
653
746
737
1,394
622
24
19.6
31.7
14/2
786
759
885
621
595
0
17.2
33.6
(単位)戸
15/2 16/2CE 16/2E 17/2E
765
700
691
790
1,058
900
890
850
967
920
900
890
1,091
900
890
870
888
1,088
1,087 1,147
18.5
na
13
10
18.6
na
19.9
18.0
33.0
34.3
34.3
35.8
13/2
73
15.1
32.0
14/2
67
13.3
34.0
(単位)戸
15/2 16/2CE 16/2E 17/2E
60
70
51
58
11.9
na
10.3
11.5
35.7
35.7
34.3
34.5
分譲マンション関連指標
08/2
09/2
10/2
11/2
12/2
引渡戸数
783
620
623
614
585
契約戸数
471
429
566
926
673
発売戸数
343
560
374
910
773
仕入戸数
381
505
503
546
835
期末契約(受注)残戸数
377
186
129
442
530
期末未契約完成在庫
na
34
123
2
25
粗利益率(%)
18.2
15.2
8.0
14.8
21.0
戸当り販売単価(百万円)
28.5
39.6
34.3
32.4
31.8
(出所)決算短信、会社資料をもとにTIW作成
(注)仕入戸数は仕入時の想定でその後の企画変更等で実際の出来上がりは異なる
分譲戸建関連指標
08/2
引渡戸数
15
粗利益率
13.4
1棟当り販売単価(百万円)
36.4
(出所)決算短信、会社資料をもとにTIW作成
アナリストレポート・プラットフォーム
09/2
18
13.8
37.1
10/2
32
10.5
26.6
11/2
51
12.7
43.6
12/2
37
14.0
37.0
8
業
績
売上高
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
レジデンス
店舗・事務所
駐車場
トランクルームほか
その他
売上原価
売上総利益
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
販管費
うち人件費
営業利益
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
その他
全社費用
営業外収益
営業外費用
うち支払利息
経常利益
特別利益
特別損失
税引前当期純利益
法人税等
純利益
08/2
29,564
22,345
546
5,080
2,093
na
na
na
na
45
22,570
6,993
4,231
73
1,727
1,033
2,973
805
4,020
34
990
742
3,063
73
206
2,930
1,316
1,613
09/2
32,333
24,544
667
4,482
2,508
1,886
491
124
25
132
26,754
5,579
3,724
92
475
1,287
3,001
862
2,577
69
1,098
749
1,548
10
1,113
445
327
118
10/2
29,890
21,359
851
5,095
2,535
1,769
596
135
35
49
26,561
3,329
1,705
89
372
1,161
2,755
788
573
40
984
694
▲ 370
278
101
▲ 192
33
▲ 226
11/2
28,231
19,867
2,223
3,668
2,417
1,662
582
138
34
55
23,513
4,717
2,943
282
288
1,203
2,669
768
2,048
1,221
311
1,039
46
570
28
1,232
717
844
41
99
786
357
428
12/2
22,550
18,588
1,369
337
2,222
1,486
563
126
45
32
17,370
5,179
3,910
189
17
1,032
2,610
841
2,569
2,226
50
▲5
874
29
▲ 607
12
732
608
1,849
241
526
1,564
892
671
13/2
25,396
20,708
2,336
217
2,089
1,446
500
103
39
45
19,923
5,473
4,065
351
61
953
2,822
847
2,650
2,210
156
43
823
41
▲ 623
30
716
622
1,964
3
527
1,440
678
761
14/2
32,480
26,386
2,277
1,697
2,042
1,452
430
97
62
76
26,442
6,037
4,537
302
209
916
3,165
908
2,872
2,411
169
83
825
72
▲ 689
25
916
614
1,981
0
134
1,846
780
1,066
(単位)百万円
15/2 16/2CE 16/2E 17/2E
30,097
29,500 29,310 34,300
25,240
24,000 23,700 28,300
2,140
2,500
1,750
2,000
593
900
1,550
1,600
2,073
2,100
2,250
2,340
1,504
na
1,580
1,600
433
na
500
510
93
na
90
90
41
na
80
140
49
0
60
60
23,998
na 23,110 27,600
6,098
na
6,200
6,700
4,699
na
4,720
5,100
255
na
180
230
141
na
290
320
955
na
1,010
1,050
3,266
na
3,280
3,400
996
na
1,030
1,090
2,831
2,750
2,920
3,300
2,447
na
2,500
2,850
92
na
20
60
114
na
190
220
836
na
910
940
46
na
50
50
▲ 704
na ▲ 750 ▲ 820
20
na
30
30
797
na
850
810
612
na
690
650
2,055
2,000
2,100
2,520
0
na
0
0
0
na
0
0
2,055
na
2,100
2,520
874
na
820
960
1,180
1,200
1,280
1,560
総資産
現預金
棚卸資産
販売用不動産
仕掛販売用不動産
有形固定資産
有利子負債
流動
固定
自己資本
59,788
5,077
31,356
9,077
22,279
21,554
30,912
18,508
12,404
13,746
57,422
3,515
26,282
8,417
17,865
25,079
34,479
20,010
14,469
13,606
53,249
5,091
21,930
11,954
9,976
23,893
30,518
16,543
13,975
13,229
48,233
9,672
13,041
4,174
8,867
23,658
24,395
7,929
16,466
13,612
47,408
6,674
15,833
2,663
13,170
23,285
26,102
8,257
17,845
14,186
54,107
12,001
17,298
658
16,640
23,372
27,011
9,773
17,238
14,802
58,328
12,263
20,684
236
20,448
23,815
29,219
8,615
20,605
15,693
65,651
11,568
28,174
1,753
26,421
24,045
35,919
11,544
24,375
16,624
na
na
na
na
na
na
na
na
na
na
71,700
13,000
32,000
6,500
25,500
24,700
40,856
17,644
65,500
11,000
27,500
2,500
25,000
25,000
33,376
18,924
2.5
2.3
23.7
0.9
2.3
1.9
24.8
▲ 1.7
1.8
1.1
28.2
3.1
1.8
1.4
29.9
4.7
1.8
1.0
27.4
5.1
1.9
1.1
26.9
6.8
2.2
1.5
25.3
7.1
na
na
na
na
2.3
1.6
24.6
7.3
1.8
1.2
28.9
8.2
損益計算書、要約貸借対照表(非連結)
 会社概要
D/Eレシオ(倍)
ネットD/Eレシオ(倍)
自己資本比率(%)
ROE(%)
(出所)決算短信、会社資料をもとにTIW作成
(注)CEは会社予想、EはTIW予想
ROEは期末自己資本ベース
アナリストレポート・プラットフォーム
2.2
1.9
23.0
11.7
9
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2013/2
株 価 推 移
2014/2
2016/2 予
(アナリスト)
2015/2
株価(年間高値)
円
660
996
744
-
株価(年間安値)
円
387
588
587
-
月間平均出来高
百株
2,901.08
6,337.92
2,608.00
-
売
上
高
百万円
25,396
32,480
30,097
29,310
営
業
利
益
百万円
2,650
2,872
2,831
2,920
経
常
利
益
百万円
1,964
1,981
2,055
2,100
百万円
761
1,066
1,180
1,280
業 績 推 移
当 期 純 利 益
E
P
S
円
76.17
106.63
118.10
128.00
R
O
E
%
5.3
7.0
7.3
7.3
流動資産合計
百万円
29,722
33,333
40,319
-
固定資産合計
百万円
24,385
24,995
25,332
-
資
百万円
54,107
58,328
65,651
-
産
合
計
貸借対照表
流動負債合計
百万円
20,991
20,925
23,406
-
主 要 項 目
固定負債合計
百万円
18,314
21,709
25,619
-
負
百万円
39,305
42,635
49,026
-
株主資本合計
百万円
14,804
15,690
16,671
-
純 資 産 合 計
百万円
14,802
15,693
16,624
-
営業活動による CF
百万円
3,624
56
-6,171
-
投資活動による CF
百万円
921
-1,895
-1,321
-
財務活動による CF
百万円
757
2,028
6,500
-
現金及び現金同等
物の期末残高
百万円
10,116
10,306
9,312
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
債
合
計
アナリストレポート・プラットフォーム
10
リ
ス
ク
分
事
業
関 会社概要
す る リ

析
に
ス ク
 事業に関するリスク

建築費やマンション用地価格の一段の上昇を受けた販売価格の上昇、消
費再増税、雇用・所得環境の回復の遅れ、長期金利(住宅ローン金利)
上昇などによる消費者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)の低下。

少子高齢化の進展、人口減少により、長期的にマンション需要が減退す
る可能性。

震災の復興需要、2020 年開催予定の東京五輪、景気回復などに伴う建
設投資の回復により建設技能労働者不足が一段と深刻化し、建築費がさ
らに上昇する恐れ(ただし、足元は一服している)
。

建設技能労働者不足などを遠因とする施工ミスの発生。こうした場合、
ディベロッパーの信用が傷つく恐れがある。

用地取得競争の一層の激化。

低価格戸建住宅を供給するパワービルダーとの販売上の競合。ただし、
基本的に棲み分けがなされている。
業
関
す
界
る リ
に
ス ク
 業界に関するリスク

消費増率が 10%に引上げられた後、住宅需要が減退する恐れ。

労務費や資材価格の上昇により建築工事費がさらに上昇した場合、販売
価格への転嫁が進まないと粗利益率の低下要因となる。

杭打ち工事のデータ改ざん問題により施工管理に係る規制が強化され
た場合、建築費の上昇要因になる可能性がある。
アナリストレポート・プラットフォーム

米利上げなどを契機とする長期金利の上昇。

住宅取得に係る政策支援の縮小。
11
デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。
 会社概要
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社テ
ィー・アイ・ダヴリュ(以下「レポート作成会社」といいます。
)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の
取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変
動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適
合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお
願いいたします。
6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当
該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは
なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の
ものであり、今後予告なく変更されることがあります。
7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及
びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が
欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは
ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし
ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる
情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。
8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作
権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに
複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。
<指標の説明について>
本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。
参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/reports/analyst-report/03.html
アナリストレポート・プラットフォーム
12