踏み台装備でダンジョン攻略をするのは間違っているだろ

踏み台装備でダンジョン攻略をするのは間違っているだろうか
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︻あらすじ︼
﹃おお少年よ、死んでしまうとは情けない。﹄
そんな俺に神様は、チート付きで転生させてくれると言った。しか
し、俺の願いは神様のせいで大変なものになってしまった。
第
第
3
2
話 │││││││││││││││││││││││││
1
26
19
11
6
1
目 次 第
話 │││││││││││││││││││││││││
第
4
話 │││││││││││││││││││││││││
話 │││││││││││││││││││││││││
話 │││││││││││││││││││││││││
第
5
第
話
暗いダンジョンの中、独りの少年が複数のゴブリンに向かって槍を
振るう。その少年は、真っ黒な制服にボサボサの髪、ゴム性の靴とい
うダンジョンに似合わない服装だった。
槍は一匹のゴブリンの首を跳ね飛ばし、少年の手から消滅する。残
りのゴブリンは少年に切りかかってくるが、何もない空間から剣を取
り出し、また首を跳ねる。
残り一体のゴブリンが逃げようとするが、少年の手から剣が消滅し
弓を取り出す。その弓は、的確に逃げようとするゴブリンの頭に突き
刺さった。倒されたゴブリンは消滅し、そこには魔石が転がった。
﹁ふぅ............﹂
少年は深く息を吐き、魔石を拾う。
拾われた魔石は、武器と同じように消滅した。
﹁............早く帰ろう﹂
少年は、踵を返しダンジョンの五階層の階段を上がっていく。しか
し、後ろからミノタウロスに追いかけられている白髮の少年の存在を
まだ知らない。
1
1
﹁うわあぁぁぁ
﹂
﹂
﹁............何でこうなるんだよ﹂
﹁ブモォォォォォ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹃おお少年よ、死んでしまうとは情けない﹄
﹂
気が付いたら、光の玉が俺にそう言ってきた。
﹁お前、何なんだ
﹄
その神様が俺なんかに何の用なの
﹃神様、って言ったらわかるかな
﹁まぁいいや、それで
?
車に
﹂
そこまでスピード出てなかった
ああ、確かに車に引かれた記憶がある。
﹃簡単に言えば、お前は死んだ。車に引かれてな﹄
?
だけど軽車に引かれて死ぬのか
気がするが
?
ら説明したいと思います。正直、走馬灯みたいなものですが。
何故、高校生の俺が命懸けの戦いをすることになったのか、始めか
か、こんな男の子にモンスターを擦られるとは、思いませんでした。
ま筋肉モリモリマッチョマンの牛頭に追いかけられています。まさ
どうもこんにちは。少年こと、東光︵あずまひかり︶です。ただい
!!
?
前を助けてやろうと突き飛ばしたら、対抗斜線のダンプカーに引かれ
たせいだけどな﹄
﹁..................最悪だ﹂
2
!!
﹃まぁ死んだ本当の理由は、ヒーローになりたいとか思った馬鹿がお
?
?
?
それを聞いて、思わず泣いてしまった。
もうすぐ高校を卒業して、死ぬほど勉強をして入れた料理学校に行
くつもりだったのに、これまでの人生無駄だったのかよ......。
﹃あ ま り に も 可 愛 そ う だ っ た の で、私 が 何 か 願 い を 叶 え て や ろ う と
思ってね﹄
願い
﹃転生させてあげる。しかも、チート付きで﹄
その言葉を聞いて、俺は頭を働かせた。
これまで遊びたい時にも勉強をして灰色だった俺の高校時代、この
﹂
転生は遊びたかった俺へのご褒美何だと考え、神様に質問する。
﹁......転生先は、どんな場所なんだ
異種族あり、神様ありの世界だよ﹄
!
きっとドラクエやFFみたいな場所に違いない
ダンジョン、それを聞いて俺は歓喜した
らしい響きなんだ
ダンジョン、なんて素晴
﹃ダンジョンって言う場所で、モンスターを倒して生活する魔法あり、
?
そう考えると俺は神様に向かって御願いをした。
!
﹃王の財宝
﹄
あぁ、ギルガメッシュの使う英雄の武器ね、いいよ。で
﹂
なら、いいや﹄
何それ
も、それじゃあ踏み台みたいだよ
﹁踏み台
﹃知らないのか
?
?
?
の玉に向かってお辞儀をした。
神様がそう言うと、俺の体が発光し、足元から消えていく。俺は光
?
?
3
?
﹁欲しいチートが決まった。王の財宝にする﹂
!
﹁神様、色々ありがとうございました﹂
﹃いいよいいよ、楽しんでおいで﹄
こうして、俺の新しい人生が始まった。
裏で何が起きているのか知りもしないで。
魔改造するぜ∼
﹄
こうして、俺の新しい人生がカオスとなった。
﹁あ、危ないっ
﹁ブモォォォォォ
﹂
﹂
その光景に白髮の少年は驚いた顔をした。
を取り出しミノタウロスに向かい合う。
魔法もあった
そろそろ走るのがキツくなってきたので、俺は何もない空間から槍
!
ヒャッハ∼
﹃王の財宝、これだけだと心配だしスキル付けちゃお
方が良いね
!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!
﹁刺し穿つ死棘の槍︵ゲイボルク︶
!!
﹁............疲れた﹂
その瞬間、ミノタウロスは消し飛び二つに割れた魔石が転がった。
槍は、ミノタウロスの心臓、つまり魔石を貫いた。
﹂
槍の名前を叫びながらミノタウロスに向かって槍を投げた。
ミノタウロスは、俺に向かって拳を振り上げて掛けてくるが、俺は
!
!!
4
!
﹁えっ、えっ、えぇぇぇぇ
﹂
驚く白髮の少年、投げた槍を杖のようにつく俺。俺は、ミノタウロ
スの魔石を拾い金に変えるため地上へと戻った。早く帰って義娘の
料理が食べたい。
﹂
ああ、ファミリアに入って楽したい......。
﹁何、あれ
はなかった。
5
!?
その光景を遠くから見ていた少女に、俺も白髮の少年も気付くこと
?
第
話
﹁まだ、それほど時間はたっていないな﹂
俺がダンジョンに出たとき、広場の時計塔はまだ11時だった。ま
﹂
だ少し時間があるので、俺は泊まっている宿屋に帰らずギルドに行っ
て魔石を換金することにした。
﹁それにしてもこれ、いくら位になるだろう
した。
そうか、ここではこれが普通なのか
えっ、違うの
?
り、そのままお墓を一緒に作ったり、義娘の元家にある物を貰ったり
義娘の母親のゾンビに襲われたり、義娘が母親のゾンビを解体した
れ︵押し付けられ︶たり、義娘が俺の命を狙って襲い掛かってきたり、
オラリアの近くの町で孤児院から義娘をお金を渡され引き取らさ
ばオラリアに来るまで色々な事があった。
正直に言うと、俺は今日始めてダンジョンに入ったのだ。思い返せ
?
俺は、ギルドの換金所の棚に魔石を入れる。
﹁......換金頼む﹂
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
していると、ギルドに着いた。早く換金しよう。
まぁいいや。その後、義娘が懐いてくれたし。そんなことを思い出
!
すぐに戸棚がガラッと開き、今日の稼ぎが渡された。
﹂
﹁ほらよ、52500ヴァリスだ﹂
﹁......何で5万ヴァリスも
?
6
2
﹁あのデカイ魔石、片方で25000ヴァリスだったんだよ。あれは
﹂
ミノタウロスの魔石の半分くらいのデカさだ。お疲れさん﹂
﹁......どうも﹂
﹁あっ、そこの君
換金を終え、ギルドから出ようとすると誰かに呼び止められた。振
﹂
り替えると、耳のとがった女の人に声をかけられた。
﹂
﹁君、見掛けないけど今日始めてはここに来たの
﹁......そうですが
﹁一応聞くけど、ギルドに冒険者登録はしてるの
﹂
登録していない人
はダンジョンに入ったらいけない決まりがあるんだけど
﹁............﹂
﹂
その瞬間、俺は回れ右をしてギルドの出口に向かって駆け出した
﹁あっ、ちょっと
俺はそのまま、宿屋に向かって全速力で駆ける
ば最後、稼ぐことができなくなる。
険者登録は、ファミリアに所属している人だけが登録できる。捕まれ
耳のとがった女の人︵多分、エルフ︶に呼ばれているが無視する。冒
!
?
?
?
?
!
7
!
!
お帰りなさい
﹁......ただいま﹂
﹁あっ、お父さん
﹂
!
あるが俺は義娘の体を受け止める。
俺は義娘に昼飯を頼んだ。
﹂
宿屋のおじちゃんに頼んでシチューを作ったんだ
﹁......飯﹂
﹁うん
るね
!
﹁お父さん、美味しい
﹁......まぁまぁだ﹂
?
し、その言葉を聞いても義娘はニコニコ笑っている。
﹁そっか、ならもっと美味しく出来るように頑張るね
浄化されちゃ
そんなキラキラした笑顔で私を見ないで
これが俺の日常である。
やめて
う
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹂
ごめん、めっちゃ美味いです。男のツンデレとか、誰得だよ。しか
﹂
ると思ってこれにしたんだな。
昼からシチューとは、重い気もするが義娘はきっと俺が頑張ってい
内心俺は泣いていると、昼飯の準備ができた。
一度お前に命を狙われたから心から受け入れにくいんだ。
ごめん、我が義娘よ。お父さん口下手で優しく言えない。だって、
義娘は、笑顔で駆けていく。
持ってく
宿屋の扉を開けると、義娘が俺に向かって抱き付いてきた。勢いは
!
!
!
8
!
!
!
!
昼飯を食べ終わりベットに横になると、義娘が俺の隣に寝転がり
﹂
ぎゅっと俺の体を抱き締める。
﹁......どうした
﹁お父さん......ずっと一緒だよ﹂
﹁......約束は出来ないが、出来る限り側に居てやる﹂
俺は義娘にそう言って頭を撫でる。義娘の表情は抱き付いていて
見えないが、次の言葉を聞いてなんとなくわかった。
﹁居 な く な っ て も、絶 対 に 探 し 出 す か ら。だ か ら、一 人 に し な い
で......﹂
義娘は、その言葉を最後にそのまま寝てしまった。
俺はこのまま義娘と一緒に一眠りすることにした。
﹁おやすみ、ジャック﹂
9
?
俺に抱き付いて寝ている白い髪の義娘、ジャック・ザ・リッパーに
そう伝え仮眠をとった。
10
第
話
俺は、何をしているのだろう
俺は食事をしていた筈なのに、周りは野次馬が取り囲み、目の前に
数時間前
お父さんに30000ヴァリス
﹁お父さんとデート♪お父さんとデート♪﹂
の町を回っていた。
?
現実なら、
﹁お父
それにしてもこの娘、どんだけ俺の事が好きなんだよ
絶対いや
?
﹂ってなるもん。何時かはジャックも俺に
れほど知らないからだろうけど、ここまでなるのか
さんと一緒に
!
向かってそう言うんだろうなと思うと、泣けてきた。
?
親の愛をそ
仮眠をしてから数時間後、俺はジャックと手を繋ぎながらオラリア
﹂
は剣を構えるヴァレン某さん。傍らでは無いチチと義娘が取っ組み
合いの喧嘩をしている。
﹁早く、やろ﹂
﹂
﹂
﹂
そんなやつ瞬殺したれ
早くやっつけちゃえ
﹁アイズたん
﹁お父さん
﹂
﹁お前ら、どっちが勝つのに賭ける
﹂
﹁剣姫に100ヴァリス
﹁俺も剣姫に
!
﹁こんな眼に見えた勝負、賭けに成らへんって﹂
﹂﹂﹂
﹁お父さんは負けないもん
﹁﹁﹁うおぉぉぉー
!
そんな風にハードルあげないで
!
!
どうしてこうなった
もうやめて
あぁもう
!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!?
!
!
!
!
!
?
!
!
11
?
3
﹁お父さん、何で泣いてるの
﹂
お父さんのお
ジャックがオロオロしながら俺を心配そうにしているので、適当に
誤魔化す。
﹁......眠いから、涙が出ただけだ﹂
﹂
﹁そっか......。私に出来ることがあったら言ってね
願いなら、何でも聞くから
⋮⋮ホンマええ娘や、うちのジャックちゃんは。
いだ。
そのままおでこを離すと、ジャックはあれ
顔を赤くした。
﹂
?
さっきまでデレデレだったのに、もう反抗期
﹁お父さんの......お父さんのバカッ
あれ
っという顔をしてまた
いる。俺はその事をスルーしておでこを合わせた。⋮熱は無いみた
すると、ジャックは何かを決心したように眼を瞑って唇をつき出して
熱でもあるのだろうかと思い顔を近づけておでこを合わせようと
ていくように見える。
触れた事に驚いて眼を見開いた。ジャックの顔はどんどん赤くなっ
る。埃を取ろうとジャックの髪に触れると、ジャックは俺の手が髪に
俺はジャックを見ていて気付いた。ジャックの髪に埃が付いてい
!
に読んでもらった︶。
の名は︽豊穣の女主人︾と書いてある︵オラリア語が読めないので娘
町の中を歩いていると、近くでいい匂いがするお店を見つけた。店
!?
!
12
?
!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!?
﹂
﹁......晩飯はここで取ることにしよう﹂
﹁うん
店に入ると多くの屈強な冒険者達が騒がしく食事をしていた。俺
﹂
とジャックはカウンターの端の席に座った。俺とジャックが店のメ
ニューを見ていると、
﹁ご注文はお決まりになりましたか
?
﹂
と、美人さんな金髪のエルフがオーダーを取りに来た。ジャックと
﹂
俺はそれぞれ注文をする。
﹁私、ハンバーグがいい
﹁えっ、なら私もパスタに│﹂
﹁なら俺はパスタにしようかな
!
ろ
後、オレンジジュース2つお願いします﹂
﹁無理して合わせなくていいんだよ。それに、二人で分ければいいだ
?
金髪のエルフさんが一礼してオーダーを告げに言った。すぐに注
じゃんじゃん料理を出すから、じゃ
そっちのは何でも、アタシ達に悲鳴を上げさせる程
文していた料理︵巨大︶が目の前に置かれた。
﹁はいよ、お待ち
の大食漢なんだそうじゃないか
擦った白髪少年だった。
俺は気になってその大食漢を見た。その男は、俺にミノタウロスを
がら料理を置いた。
大柄のドワーフの女性が料理を置くと、隣にいる客にもそう言いな
んじゃんお金を使ってくれよぉ﹂
!
!
13
!
﹁わかりました﹂
?
﹃あっ﹄
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 僕なんて、ゴブリンを倒しただけで
﹁そ れ に し て も、今 日 ダ ン ジ ョ ン に 入 っ た の に ミ ノ タ ウ ロ ス を 倒 し
ちゃうなんて凄いよフォント君
満足してたのに﹂
﹂
﹁ああ、ありがとうベル君。それは気にしない方がいい、俺は武器の力
で勝っただけの弱虫だから﹂
﹁それでも、立ち向かう勇気があるだけ凄いって
全く俺と同じなのだ。
﹂
﹂
れにしても彼とは気が合う。彼からにじみ出ている下っ端オーラが
トという名前は偽名だ。︿東光︵フォトン↓フォント・イースト︶﹀そ
あの後、俺とベル君は仲良く食事をとるようになった。後、フォン
!
﹁えっと、そっちの女の子は、もしかして彼女さん
娘さん
﹁違うよ、俺の娘のジャックだ﹂
﹁えっ
?
﹂
隣に座るベル君は、その団体の名を呼んだ。
かじめ予約していたように俺たちの席とは対象の空席に腰掛けた。
そんなことを考えていたら、突如数十人規模の団体が入店し、あら
同じレベルの人間が側にいると思うと落ち着くわ。
﹂
俺の住んでた国の言葉に同じ飯を食っ
﹁いいなぁ。僕にはもう家族がいないから......﹂
﹁ベル君、もう俺達は兄弟だ
﹁あっ、うん
た奴は兄弟になれるって言葉があるんだよ。仲良くしようぜ兄弟
!
14
!
﹁そうだ、義理の娘だ。血よりも深い絆で繋がっているけどな﹂
!?
いやぁ∼ベル君いい子だわ。
!
!
!?
﹁凄いっ......﹃ロキ・ファミリア﹄だ
﹂
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹁よっしゃあ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん
めぇ‼﹂
﹁なぁベル坊、あの金髪のお嬢ちゃんは誰だ
姫﹄アイズ・ヴァレンシュタインさんですよ
﹂
言われていて、とっても美人な事で有名なんですよ
﹁ず、随分と詳しいな
今日は宴や
﹂
飲
オラリア最強の剣士と
彼女は︿ロキ・ファミリア﹀の﹃剣
﹂
るまるで金髪のお人形さんのような美少女がいた。
だが、その中で一人だけ回りを見渡しながらマイペースに食べてい
いく。
ガチンッとジョッキをぶつけ合い、料理と酒を豪快に口の中へ運んで
そして、その言葉と共に︿ロキ・ファミリア﹀の人達は騒ぎ出した。
からは後ろ姿しか見えず、どんな人物なのかがわからない。
︿ロキ・ファミリア﹀で一人の人物が立って音頭をとった。俺とベル君
!
!
な目に遭わせたって謝られて......﹂
﹁そしてあの美少女具合に惹かれていると﹂
﹁......うん﹂
ベル君は、その言葉を最後に顔を赤くして黙り混んでしまった。恋
する乙女みたいな反応、初々しいねぇ。思わず俺もニヤニヤしちゃう
よ。
﹁ねぇ、君﹂
15
!
!
﹁フォント君、知らないんですか
?
!
!?
﹁はい、フォント君がミノタウロスを倒したあの後、取り逃がして危険
?
﹁あー、後にしてもらえる
﹁えっと、何かようかい
こっちは面白いことを見るので│﹂
﹂
?
るって、何この無駄なスペック
そして、これが最初の発端の会話となる。
﹁おい、そこのガキ。何アイズたんに、手ぇ出しとんじゃ
﹁俺は何も│﹂
雑魚の癖に調子のってんじゃねぇぞ
﹂
何アイ
そして我が義娘よ、何気に恩恵持ちの高レベル冒険者に一太刀入れ
何なのこの重い空気は
﹁......あなたには関係ない﹂
﹁お父さんに近づかないで。次は解体するよ﹂
よく見ると、ヴァレン某さんの服の袖が少しだけ切れていた。
だ。
んとの間にハンバーグを切るときに使うナイフを割り込ませたから
た。彼女が離れた理由、それは我が義娘ジャックが俺とヴァレン某さ
ヴァレン某さんがその言葉を言い切る前に、彼女は俺から飛び離れ
﹁あなたがミノタウロスを倒した技を私に教え│﹂
でこう言った。
俺はヴァレン某さんに質問すると、彼女は俺の肩をがっしりと掴ん
ヴァレン某さん
人、アイズ・ヴァレン某さんが俺の真後ろにいた。
声をかけられたので振り替えると、目の前にはベルとの会話の張本
?
﹁お前確かミノタウロスから逃げまくってた雑魚じゃねぇか
ズに手を出してんだ
﹂
!
!
!
!?
16
?
!?
﹁嫌、調子のってなんか│﹂
!
﹁五月蠅い犬。お父さんを罵倒するな
だから話を│﹂
﹂
お父さんがその気になれば、
そこの女なんて一撃も貰わずに勝てるもん
﹁ちょっと
!
!
やらを﹂
﹁いいよ
﹂
お父さんは強いんだから
私は女や
この男女
﹂
!
あ、ごめんなさい。その胸板、男の人かと思って﹂
!
!
﹁ほぉ、面白いやん。なら、見せてもらおうか。お前のオトンの実力と
!?
﹁誰が男女や
﹁えっ
!
!
﹂
﹁アイズたん、その男と勝負してもらい。......そしてあの男を殺れ
!?
こうして、俺とヴァレン某さんの決闘が始まった。
﹁早く武器を構えて﹂
ヴァレン某さんは剣を構えると俺に向かってそう言った。どうし
その身体能力を持つ英雄の姿を
よう、英雄の武器は殺傷能力の高いものばかりしか無い。思い出せ
相手を傷つけずに勝てる武器を
!
!
た。武器は鍵の形をした剣であった。
そんなことを考えていると、王の財宝に反応があり手に武器が現れ
!
17
!
﹁あっ、勝ったわ﹂
俺のその一言が決闘の合図かのように、ヴァレン某さんが俺に向
かって斬りかかってきた。その決闘は二分もかからず、俺の勝利と
なって終わった。
18
第
話
﹁んっ......知ってる天井だ﹂
宿谷の窓の隙間から朝日が俺の閉じた目に差し込んできた。昨日
は大変だった。俺がキーブレードでヴァレン某さんを倒した後、色々
なことがあった。
﹂
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹁あー、大丈夫か
大丈夫なの
﹂
﹂
﹂
何者なの
﹂
!?
私達の魔法とは全く違っていた......﹂
﹁団長がそこまで言うなんて......
﹁あれは魔法なのか
﹁あ、アイズたーん
﹂
!!? ?
たつもりだけど念のためにエリクサー使っておこう。
ブレード二刀流でフルボッコにしました。殺さないように手加減し
結果だけ言おう。キング○ムハーツのソラの身体能力を使い、キー
めに入ろうとしていた。
始めは彼女の勝利を疑わなかったようだが、この結果を見て途中止
配しながら見ていた。
﹃ロキ・ファミリア﹄の冒険者がボロボロになったヴァレン某さんを心
!?
!?
か立てずにいた。さすがにやり過ぎたかな
﹁そんな......嘘だろ
﹁アイズ
﹁あのアイズさんが一方的にやられるなんて
!?
!?
?
た。しかし、最後の一撃が頭に当たったので意識が朦朧としているの
俺はボロボロになったヴァレン某さんに手を差し出しながら聞い
?
﹁速いな......目で追うのがやっとだった﹂
!
19
4
俺はそのまま取り出したエリクサーをヴァレン某さんに飲ませる。
ヴァレン某さんは、すぐに立ち上がったので﹃ロキ・ファミリア﹄の
冒険者達はホッとしていた。
﹂
﹂
ヴァレン某さんは俺に質問してきた。
﹁何を飲ませたの
﹁何って、エリクサーだけど
﹄
皆何なの
﹃え、エリクサー
えっ何
けた︶
どうかした
﹁あのっ......﹂
﹁ん
﹂
50万ヴァリスはする高級な回復薬らしい。それを聞いて卒倒しか
︵後でベル君に教えてもらったが、エリクサーはここでは少なくとも
!?
?
?
!!?
?
なんだ、ヴァレン某さんはそんなことを心配していたのか。王の財
宝には、エリクサーなんてものは腐るほどある。気にしなくていいの
にと思っていると、
﹃ロキ・ファミリア﹄の美人なエルフさんが話しか
けてきた。
﹁すまない、こちらから喧嘩を振ったのにエリクサーまで使わせて﹂
﹂
﹁気にしなくていいですよ、こっちもやり過ぎたみたいですし。えっ
と
﹁すまないな、自己紹介がまだだった。私の名はリヴェリア・リヨス・
アールヴ。気にしなくていいという言葉は感謝するが、そんな訳には
いかない。何か私達に出来ることがあったら教えてくれ﹂
﹁それなら、冒険者を一人貸してください。これでも俺、冒険者じゃな
いんで﹂
20
!?
﹁エリクサーの代金......﹂
?
?
リヴェリアさんがそう言ったので俺はそうお願いすると、突然手を
捕まれた。俺の手を握っているのはヴァレン某さんだった。一体ど
うしたんだと思っていると、彼女は俺にこう告げた。
﹂
﹁お願い﹂
﹁えっ
﹁そのお礼、私にさせて﹂
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後、ヴァレン某さんはエリクサーのお礼を自分にさせてくれと
言ったので了解すると﹃ロキ・ファミリア﹄の主神ロキに﹁アイズた
﹂と言われた。
それだけ強かっ
んに手ぇ出したらぶっ殺すぞ﹂と釘を刺され、ベート君と言う白い獣
人の人に﹁俺はお前を認めねぇ
他にもロキに﹁何でファミリアに入ってへんねん
﹁すぅすぅ......﹂
あれぇ
何でヴァレン某さんが俺と一緒に寝ているんですか
ベットは二
まぁいい。未だに俺と一緒に寝ているジャックを起こして......
てきて......。駄目だ、そこから先が思い出せない。
ベル君とあの後食事をとってから、ヴァレン某さんが宿谷までつい
い。
ベート君が亀甲縛りをされて喜んで︵苦しんで︶いたのは記憶に新し
俺を見て、雑魚はここには必要ないって言われたので﹂と言ったら、
たらうちが入れへん筈無いのに﹂と聞かれたので﹁そこのベート君が
?
!
仕方がない、二人とも寝ているようだし俺が朝御飯を作ることにし
ている。
つある筈なのにジャックとヴァレン某さんが俺を挟んで川の字で寝
?
?
21
?
よう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹁ごちそうさまでした﹂
﹁﹁ごちそうさまでした﹂﹂
俺は二人を起こして朝御飯を食べた後、今日の予定をヴァレン某さ
んに伝えることにした。とは言っても、ダンジョンに行くだけだが。
﹁それでヴァレン某さん、今日の予定なんだけど﹂
どうしたのヴァレン某さ│﹂
﹁アイズ﹂
﹁えっ
俺にキスでもする気なんですか
ヴァレン某さんは、突然近づいてきて俺の肩を掴む。顔が近いで
す、ヴァレン某さん
﹁アイズ﹂
﹁でも、ヴァレン│﹂
!?
﹁何ですか
﹂
﹂
﹁フォント、教えてほしいことがある﹂
話終えると、アイズさんが俺に質問してきた。
テム等の取り分等様々な事を話した。
合いが始まった。今日の予定とアイズさんの戦闘方法、ドロップアイ
アイズさんは少し不満そうだが、やっと離れてくれた。そして話し
﹁さんもいらない﹂
﹁......はい、アイズさん﹂
﹁だからアイズって呼んで﹂
!
﹁強くなるにはどうすればいいの
?
?
22
?
彼女はそう俺に質問してきた。
私は強くなりたいの﹂
﹁昨日フォントと戦ったけど、フォントには一撃も当てられなかった。
どうやったらそんな風に強くなれるの
﹂
﹂
﹁アイズさん、あなたは強くなってどうしたいんだ
﹁えっ
﹁だから、何で強くなりたいんだ
﹁............﹂
?
仕方がない、昔話でもしようかな
一人で敵の軍団に突っ込んで戦う、まるで狂戦士のようだった。
彼女は黙り混んでしまった。だが、話で聞く限り彼女の戦闘方法は
﹂
なっているのだ。強くなる方法など知るわけがない。
俺はそんなこと知る筈がない。俺自身、神の力でずるをして強く
?
﹁そんなこと無い
だって私に│﹂
﹁俺は、強くなんか無い。誰かの助けがないとなにもできない弱虫だ﹂
?
﹂
﹁それが、フォントの強さなんだね......﹂
れるんだって﹂
誰かの助けがないとなにもできない。だけど仲間がいるから強くな
た。そして俺は戦いに勝利したんだ。その時俺は気付いたんだ、俺は
﹁そうだ。仲間が俺の欠点をカバーしてくれ俺はまた戦うことができ
﹁仲間
が俺を助けてくれたんだ﹂
わないといけないときに何も出来なくて苦しかった。そんな時、仲間
思って一人で戦っていた。だけどすぐに限界が来て俺は倒れた。戦
﹁俺 は 昔、戦 争 を し て い た。そ の と き の 俺 は 周 り の す べ て が 敵 だ と
!
23
?
?
?
大変だったよなぁ、お受験戦争。
倍率の高い料理学校に行くために寝ることもせずに勉強したら倒
れて授業についていけなくなり欠点をとって絶望的だったけど、クラ
スの仲間が俺に勉強を教えてくれてなんとか大学合格できたっけ。
結局死んで料理学校に行けなかったけど、あの思いでは今でも俺の
宝物だ。そんな風に昔を思い出しながら俺は彼女にこう告げた。
﹂
﹁アイズさん、君はまるで昔の自分を見ているみたいだ。どうして君
は仲間を頼らないの
﹂
﹂
?
﹂
?
俺はアイズに手を差し出した。彼女はためらいながらも俺の手を
﹁手始めに俺を頼りなよ。一緒に強くなろうぜ﹂
﹁......どうすればいいの
独の先にある強さを手に入れても、その先には何もないよ﹂
﹁はっきり言うけど君は強いよ。だけどそれ以上に心が弱いんだ。孤
俺はアイズさんにそういいながら頭を撫でる。
この子は誰かに頼るのが怖いんだな。
んだよ。彼らは力を合わせて戦うことで勝利してきたんだ﹂
てもらうことだ。昔の人は恩恵もないのにモンスターと戦っていた
﹁なら、信じてあげなよ。強くなるのに一番必要なことは、仲間に助け
﹁違う
同じファミリアの仲間を信じてないのか
﹁そうやって意地を張っていたら、何も成長しないよ。それとも、君は
│﹂
﹁私は、強くならないと何も守れなくなるのが怖いから......だから
?
握ってくれた。俺はその手を握り返すと彼女はやっと笑ってくれた。
﹂
そんな時、
﹁むーー
!
24
!
﹂
我が義娘、ジャックが間に割り込んで来た。
そしてジャックはこう言った。
﹁お父さんがこの人と行くなら、私も行く
どうやら俺の心配事は無くならないらしい。
25
!
第
話
やぁ
﹁えいっ
﹂
!
私頑張ったよ
﹂
﹂
の財宝に入れれば重くないのでかなり楽な仕事だ。
﹁お父さん
﹁フォントは、何で無口なの
!
﹁......すまない﹂
﹁......そうか﹂
﹁それでも、ありがとう﹂
﹁......別に、使わない装備を使わせてるだけだ﹂
﹁フォント、この装備ありがとう﹂
アイズさんは突然、俺にお礼を言ってきた。
んだよ。
﹂
ンジョンで落ち着けるわけ無いだろ。これでも頑張って話している
ごめんね二人とも。俺は緊張すると口下手になるんだ。それに、ダ
?
一緒に回収する。サポーターの仕事は主に荷物運びがメインだ。王
一通りオークを片付けたので、俺はオークの魔石を飛ばした武器と
殲滅していく。
う。俺はオークに近付けばあっさり負けそうなので武器を飛ばして
ラにする。アイズさんは、剣を使って複数のオークを一気に凪ぎ払
れてジャックが俺が渡したナイフ一本を使い一瞬でオークをバラバ
大量のオークに囲まれた俺たちだが、全く問題ない。深い霧に包ま
現在、俺たちはダンジョンの11階層にいる。
﹁............﹂
﹂
﹁せいっ
!
﹁......そうか﹂
!
﹁お父さんは、私と話すときと緊張するといつもこんな感じだよ
?
26
!
5
﹁むーー
﹂
ついでに言うと、今の俺たちはダンジョン装備になっている。それ
だけなら問題ない。しかし、ある意味すごい装備をしていた。
ジャックは、いつもはボーイッシュなヘソだしシャツに短パンなの
だが、今は黒い色を強調した服装にボロボロの黒いローブを身に纏っ
た姿︵暗殺用戦闘服︶を着ている。
アイズさんは、装甲を着けた青いドレスに長い髪を結い上げている
姿︵青セイバー装備︶になっている。武器は、風により刀身の見えな
い剣︵エクスカリバー︶を持っている。
俺に至っては、髪を逆立たせて黄金の鎧︵ギルガメッシュ装備︶を
着込んでいる。
つまりは、f○teごっこをしていた。
﹁......なんでさ﹂
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
﹁......そろそろ、少し休もう﹂
俺達は、飯を取ることにした。俺は王の財宝からダンジョンに入る
チーズは好きだけど
前に購入したジャガ丸くんを取り出し二人に渡す。
﹁小豆クリーム味♪﹂
﹁バター味♪﹂
﹁......チーズ﹂
二 人 は 自 分 の 好 き な 味 だ っ た よ う だ。俺
遠くを見ていると、キラキラと何かが光っているのが見えた。そこ
ジャガ丸くんにそこまで合わなくて少しがっかりしているよ。
?
27
!
に い た の は、亀 だ っ た。た だ の 亀 で は な い、甲 羅 が 宝 石 で 出 来 た 亀
﹂
だった。俺はその正体をアイズさんに聞いた。
﹁......アイズ、あれはなんだ
﹁刺し穿つ死棘の槍︵ゲイ・ボルク︶
﹂
﹁フォント、槍だとその甲羅は傷一つ付かな│﹂
俺は早く倒そうと思い槍を取り出す。
黄金律が発動していることを︶
︵主人公は知らない。ギルガメッシュ装備になっているから英雄化で
モンスターがこんなところに
つまり、お金持ちになれるモンスターなんだな。でも、何でそんな
買えると思うよ﹂
と倒せないよ。あの甲羅を売れば、少なくてもジャガ丸くんが一生分
層にいるかわからないけど、甲羅が固すぎてハンマーとかを使わない
で、甲羅が固い宝石でできているモンスターだよ。どうしてこんな下
﹁あれは、ジュエルタートル。前線で中々出現しないレアモンスター
?
ゾン効果の付いた槍は。
甲羅だけがそこに存在した。やっぱり便利だな、このキング○クリム
亀の中にある魔石に当たったという事実だけが発生し、亀の魔石と
!
28
?
﹂
﹁......そろそろ、今日はここらで切り上げよう﹂
お父さん、あれで帰ろう
﹁うん
﹂
﹁あれ
!
﹂
バイクで階段を駆け上がるぜ
た。俺はそのままバイクのクリップを捻る。
やってやる
!
アイズさんがバイクに股がり、ジャックを挟んで俺にしがみつい
﹁う、うん﹂
﹁......早くしろ﹂
﹁えっ
﹁......後ろに乗って捕まれ﹂
んを呼ぶ。
俺はバイクに股がりジャックが後ろにしがみつく。俺はアイズさ
黄金のバイク、ギルギルマシンである。
である。俺はその乗り物を王の財宝から取り出した。
ジャックの言うあれとは、オラリアに来るときに乗っていた乗り物
アイズさんは何の事か分からず、頭をコテンッと傾けていた。
!
今の俺達は、私服に着替えて町を歩いていた。
無しで手に入った事が一番の要因である。
も高額なため分けてお金を渡すのだとか。理由はあの甲羅が傷一つ
計5000万ヴァリスとなったらしい。らしいと言うのは、あまりに
ダンジョンから出た後、アイズさんに換金してもらった。結果、合
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!
29
?
?
﹁いや∼、大量大量
﹂
﹁ホントだ、言葉遣いが違う﹂
﹂
話しやすいし﹂
﹁お父さんは本気を出した時、口数少なくなるけど格好いいでしょ
﹁......そうか
﹁私はこっちのフォントが好きかな
﹁あ、その、......ありがとな﹂
﹂
!
!
ジャックは痛そうにしながら自分の頬を涙目で撫でている。そん
?
﹂
いひゃいよ
﹂
﹁お父さんの好感度が娘の私より高い......斬ろうかな
﹁こらっ
﹁いひゃい
﹂
る。ジャックはそんな俺を見てアイズさんを睨み付ける。
俺は今までそんなことを言われたことがなかったので、少し照れ
?
?
俺はそんなことを言うジャックの頬を抓る。
!
!
な光景を見てアイズさんは笑っていた。
30
!
﹁あの人達、中々お金を稼いでるみたいですね﹂
路地裏から俺たちを見ている一人の小さな少女がそう呟く。
﹁次はあの人達にしましょうか﹂
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