新たな数量シェアの設定もあり GE の需要拡大続く

沢井製薬
(4555・東証 1 部)
2015 年 12 月 25 日
新たな数量シェアの設定もあり GE の需要拡大続く
後発品の需要拡大継続、上期は 14%営業増益
アップデートレポート
16/3 期上期の連結業績は、売上高が前年同期比 17%増の 590 億円、
営業利益は同 14%増の 116 億円となった。ジェネリック医薬品(GE)
(株)QBR
真下 弘司
市場は、14 年 4 月に実施された使用促進策の効果が継続、さらに 15 年
6 月末に閣議決定された骨太の方針 2015 で新たな数量シェア目標(17
(
年央に 70%以上、18 年度から 20 年度末までの間のなるべく早い時期
主要指標 2015/12/22 現在
に 80%以上)が設定されたこともあり需要の拡大が続いた。同社でも
株
価
年初来高値
年初来安値
8,310 円
DPC(入院医療包括評価:医療費の定額払い制度)病院向けが大幅に伸
8,470 円
(8/18)
6,400 円
(5/15)
長したほか、薬局向けも引き続き順調に推移した。
数量シェア 80%に向け市場拡大、好業績続く
16/3 期通期の連結業績に関して会社は、売上高が前期比 18%増の
発行済株式数
38,166,588 株
1240 億円、営業利益が同 6%増の 220 億円を計画。上期の業績は、売
売 買 単 位
100 株
上高はほぼ計画通り推移。製品ミックスの改善(高単価製品の比率上
時 価 総 額
317,164 百万円
予 想 配 当
110 円
(
会
予 想
社
)
E P S
428.57 円
( ア ナ リ ス ト )
実 績
P B R
2.57 倍
昇など)や販管費の未消化などから営業利益は計画を上回ったが、販
管費の通期計画に変更はないとして期初公表の計画を据え置いた。
QBR 予想の 16/3 期の連結業績は、売上高が前期比 18%増の 1246 億円、
営業利益は同 8%増の 224 億円。続く 17/3 期は、売上高が前期比 11%
増の 1386 億円、営業利益は同 12%増の 250 億円でともに前回予想を据
え置く。16 年 4 月に予定されている診療報酬・薬価改定の影響は懸念
されるが、新たな GE の数量シェア目標の達成に向け今まで以上の GE
直前のレポート発行日
ベーシック
2015/7/8
アップデート
2015/9/10
業
営業利益
百万円
績
50,202
17.4
10,225
1.7
10,175
0.2
実
績
58,958
17.4
11,606 13.5
11,438
期 実
績
105,454
17.4
20,688
8.4
2015/3
2Q(4-9 月)
実
2016/3
2Q(4-9 月)
2015/3
通
2017/3
通
に変更はない。
前期比
%
動
通
ングカンパニーとして市場拡大の恩恵を享受、好業績が続くとの見方
売上高
百万円
績
2016/3
の使用促進策が実施され GE 市場の拡大が続くと予想。同社はリーディ
期
期
向
当期純利益
百万円
前期比
%
6,997
8.0
190.40
12.4
8,498 21.4
230.76
20,619
8.0
14,053 15.3
382.26
6.3
21,700
5.2
15,500 10.3
420.85
8.3
22,200
7.7
15,800 12.4
428.57
25,000 11.6
24,800
11.7
17,700 12.0
480.10
新 ・会 社予 想
前回予想から変更なし
旧 ・会 社予 想
(2015 年 5 月発表)
124,000
新・アナリスト予想
前回予想から変更なし
旧・アナリスト予想
(2015 年 9 月発表)
124,600
新・アナリスト予想
前回予想から変更なし
旧・アナリスト予想
138,600
(2015 年 9 月発表)
17.6
18.2
11.2
22,000
22,400
前期比
%
経常利益
百万円
前期比
%
EPS
円
(注)会社予想の EPS は旧予想時点以降の発行済株式数の変動で新予想は旧予想と異なる(表記は新予想。旧予想は 421.23 円)
アナリストレポート・プラットフォーム
1
業
績
使用促進策の効果
が継続、上期は
 会社概要
14%営業増益
16/3 期上期の連結業績は、売上高が前年同期比 17%増の 590 億円、営業
利益は同 14%増の 116 億円、15 年 4 月に田辺三菱製薬(4508)から子会社
の鹿島工場を譲受したことに伴い負ののれん発生益 8.4 億円を計上、純利益
は同 21%増の 85 億円となった。
ジェネリック医薬品(後発医薬品。以下 GE)市場は、14 年 4 月に実施さ
れた使用促進策の効果が継続、さらに 15 年 6 月末に閣議決定された「骨太
の方針 2015」で新たな数量シェア目標(17 年央に 70%以上、18 年度から
20 年度末までの間のなるべく早い時期に 80%以上)が設定されたこともあ
り需要の拡大が続いた。同社でも DPC(入院医療包括評価:医療費の定額払
い制度)病院向けが大幅に伸長したほか、薬局向けも引き続き順調に推移。
鹿島工場(田辺三菱製薬向け製造受託)も増収に寄与した。
医療機関別の納入実績(単体ベースの採用金額増減率)でみると、DPC 病
院向けが前年同期比 39%増と大幅に伸長したほか、保険薬局向けも同 16%
増と順調に推移。販路別の売上高(連結ベース)では、薬局・病院分野に幅
広い販売チャネルを持つ卸ルートが同 17%増と伸長した。
利益面では鹿島工場の稼働により原価率が悪化、試験研究費や人件費な
ど販管費も増加したが、増収効果で吸収し営業利益は増加した。
通期会社計画に対する進捗率は、売上高が 48%(前年同期の実績は 48%)、
営業利益は 53%(同 49%)になる。売上高はほぼ計画通り。製品ミックス
の改善(高単価製品の比率上昇など)や販管費の未消化などから営業利益は
高い進捗となった。
表1.16/3期上期の連結業績
15/3期
16/3期
上期
進捗
上期
前年
実績
率
実績
同期比
売上高
502
48%
590
+17%
売上原価
282
47%
338
+20%
売上総利益
220
48%
251
+14%
販管費
118
48%
135
+15%
営業利益
102
49%
116
+14%
経常利益
102
49%
114
+12%
純利益
70
50%
85
+21%
(注1)会社計画は、15年5月14日付の期初公表値
(注2)進捗率は、上期実績と通期(実績と会社計画)との比較
(出所)会社資料からQBR作成
アナリストレポート・プラットフォーム
進捗
率
48%
47%
48%
45%
53%
53%
55%
16/3期
15/3期
上期
通期
差異
計画
実績
587
+3
1,055
335
+3
600
252
-1
454
145
-10
247
107
+9
207
106
+8
206
70
+15
141
(単位:億円)
16/3期通期
会社
前期
計画
比
1,240
+18%
719
+20%
521
+15%
301
+22%
220
+6%
217
+5%
155
+10%
2
業
績
数量シェア 80%を
視野に市場拡大、
 会社概要
好業績続くとの予
想に変更はない
文字数制限なし,MSゴシック,10.5 ポイント,インデント左境解説
16/3 期通期の連結業績に関して会社は、売上高が前期比 18%増の 1240
億円、営業利益が同 6%増の 220 億円を計画。上期の営業利益は計画を上回
ったが、通期の販管費の計画に変更はないとして期初公表の計画を据え置い
た。
QBR 予想も据え置く。QBR 予想の 16/3 期の連結業績は、売上高が前期比
18%増の 1246 億円、営業利益は同 8%増の 224 億円。続く 17/3 期は、売上
高が前期比 11%増の 1386 億円、
営業利益は同 12%増の 250 億円を予想する。
16/3 期は新たな GE の使用促進策の導入はないものの、次回の制度改正に
向けて医療機関が後発品の使用促進に一層取り込むことが期待され数量シ
ェアの拡大が続くとみて増収・増益を予想する。なお、鹿島工場譲受の影響
は、製造受託の売上高として約 60 億円、利益への寄与は軽微として業績を
予想した。
17/3 期は 16 年 4 月に予定されている薬価引き下げ(前回 14 年 4 月と同
水準の 10%台前半の引き下げを想定)の影響は懸念されるが、
「骨太の方針
2015」で設定された GE の数量シェア目標達成に向けて現行と同等かそれ以
上の使用促進策が実施されると予想。同社はリーディングカンパニーとして
市場拡大の恩恵(市場平均を上回る成長を想定)を享受すると考える。
表2.会社計画とQBR予想の連結業績
15/3期
16/3期
通期
会社
前期
実績
計画
比
売上高
1,055
1,240
+18%
売上原価
600
719
+20%
売上総利益
454
521
+15%
販管費
247
301
+22%
営業利益
207
220
+6%
経常利益
206
217
+5%
純利益
141
155
+10%
(注)会社計画は15年5月14日付
(出所)会社資料、予想はQBR
アナリストレポート・プラットフォーム
16/3期
QBR
前期
予想
比
1,246
+18%
722
+20%
524
+15%
300
+21%
224
+8%
222
+8%
158
+12%
(単位:億円)
17/3期
QBR
前期
予想
比
1,386
+11%
822
+14%
564
+8%
314
+5%
250
+12%
248
+12%
177
+12%
3
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
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2013/3
株 価 推 移
2014/3
2015/3
2016/3 予
(アナリスト)
株価(年間高値)
円
5,660
7,540
7,900
-
株価(年間安値)
円
4,035
5,105
5,630
-
月間平均出来高
百株
36,243
63,442
41,153
-
高
百万円
80,502
89,823
105,454
124,600
売
上
営
業
利
益
百万円
17,384
19,090
20,688
22,400
経
常
利
益
百万円
17,601
19,091
20,619
22,200
当 期 純 利 益
百万円
12,022
12,192
14,053
15,800
業 績 推 移
E
P
S
円
386.71
365.18
382.26
428.57
R
O
E
%
20.1
15.0
13.2
13.9
流 動資産合 計
百万円
79,435
96,054
104,274
-
固 定資産合 計
百万円
48,407
53,294
61,905
-
資
計
百万円
127,842
149,348
166,179
-
貸借対照表
流 動負債合 計
百万円
30,105
39,097
42,208
-
主 要 項 目
固 定負債合 計
百万円
36,257
8,948
11,571
-
負
計
百万円
66,363
48,046
53,780
-
株 主資本合 計
百万円
61,089
100,746
111,359
-
純 資 産 合 計
百万円
61,479
101,302
112,398
-
営業活動による CF
百万円
12,255
13,422
12,112
-
投資活動による CF
百万円
-1,373
-8,283
-14,123
-
財務活動による CF
百万円
-10,969
-178
-921
-
現金及び現金同等
物 の期末残 高
百万円
20,583
25,536
22,603
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
産
債
合
合
(注)株価高安、出来高、EPS は 13 年 10 月 1 日付の株式分割(1 株→2 株)の影響を遡及修正している
アナリストレポート・プラットフォーム
4
リ
事
関
ス
ク
す
業
る リ
 会社概要
分
析
に
ス ク
①薬事法等による規制
同社グループは薬事法等関連法規の規制を受けており、事業所所在の各都
道府県の許可・登録・免許及び届出が必要。医薬品製造販売業の許可等に関
して法令違反があった場合は、監督官庁から業務停止、許可等の取り消し等
が行われ、同社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
②薬価制度及び医療制度の変更
同社グループの主要製品、商品である医療用医薬品を販売するためには、
国の定める薬価基準への収載が必要。薬価については市場実勢価の調査が行
われ、2 年に 1 回の薬価改定によりほとんどの品目の薬価が引き下げられて
いる。増大する医療費の抑制を目的として医療保険制度の見直しも行われて
おり、薬価制度の大幅な変更や医療費抑制政策が実施されると、同社グルー
プの経営成績に影響を与える可能性がある。
③知的財産に関する訴訟
同社グループが販売するジェネリック医薬品の先発医薬品には物質・用途
特許の期間満了後も複数の製法、結晶形、用法用量又は製剤に関する特許等
が残っていることが多く、当該特許等に基づき訴訟を提起される場合がある。
このような事態が生じた場合には、同社グループの財政状態や経営成績に影
響を与える可能性がある。
④競合等の影響
同社グループは、販売した製品が度重なる薬価引き下げのため不採算とな
り、販売中止を余儀なくされることのないように、適正利益を確保した価格
で販売するように努めている。しかし、多数のメーカーがジェネリック医薬
品市場に参入すると、厳しい競争の中で価格の低下を招きやすくなる。さら
に、先発医薬品メーカーは、特許満了後も諸施策を講じて市場シェア確保に
努めており、その動向次第では同社が計画していた売上高が確保されないこ
とも想定され、同社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
⑤災害等による生産の停滞、遅延
同社グループは、福岡県、兵庫県、大阪府、千葉県、茨城県に生産拠点を
配置しているが、自然災害、技術上・規制上の問題等の発生により、製造拠
点の操業が停止した場合、製品によりその供給が停止し経営成績に影響を与
える可能性がある。また、重要な原料については、特定の取引先から供給を
受けているものがあり災害等の要因によりその仕入れが停止し、その代替が
困難である場合、同社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
アナリストレポート・プラットフォーム
5
デ ィ ス ク レ ー マ ー
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)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。
 会社概要
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成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社Q
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6