14-I-0062 2014 年 12 月 25 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 釜山銀行 (証券コード:−) 【クレジット・モニター解除】【据置】 外貨建長期発行体格付 #A/ネガティブ 格付の見通し 安定的 債券格付 #A/ネガティブ → A → A ■格付事由 (1) 当行は韓国に 6 行ある地方銀行の中で資産規模第 1 位の銀行であり、中小企業向けを中心に釜山市におい て堅固な営業基盤を有する。JCR では、当行の金融持株会社である BS ファイナンシャル・グループ (BSFNG)が、慶南銀行の発行済み株式 56.97%をウリ・ファイナンシャル・グループから取得すること について合意したことを受け、買収の最終的な条件、財務への影響等を見極めるため、釜山銀行の格付を クレジットモニターの対象としてきた。BSFNG は金融監督院の承認取得後、10 月 10 日に慶南銀行の買 収資金の支払を完了したことを公表した。買収による釜山銀行ならびにグループ連結の財務への影響は限 定的と見られることから、JCR では、今般クレジット・モニターを解除するとともに格付を据え置き、見 通しを安定的とすることを決定した。 (2) 約 1.2 兆ウォンの買収資金は、株式発行 5,117 億ウォン、債券発行 1,200 億ウォン、釜山銀行からの配当 金 4,000 億ウォン、子会社からの貸付金返済 1,400 億ウォン、内部資金 552 億ウォンにより賄われており、 負債の増加はグループの財務規模に比して限定的にとどまっている。買収によりグループ連結の自己資本 比率は低下するものの、現状の格付に照らして許容できる水準にとどまる見込みである。なお、2 行は当 面、持株会社傘下で独立して存在し続けることになる。KNB は慶尚南道に営業基盤を有する地方銀行で あり、地方銀行の中で資産規模で釜山銀行、大邱銀行に次ぐ第 3 位(13 年末連結総資産:31.7 兆ウォ ン)に位置し、釜山銀行と慶南銀行を合わせると総資産規模で他の地銀を大きく引き離す規模になる。 BSFNG は、慶南銀行の買収により規模の経済性の追求による生産性の向上、グループ内子会社の活用に よるシナジー効果の拡大などを図る方針である。 (3) 釜山銀行の格付は、韓国の 7 大広域市(ソウル特別市含む)の中で第 2 の人口規模を有する釜山市におけ る比較的強固な営業基盤、ならびにそうした営業基盤により支えられた収益性の高さ、良好な資産の質、 強固な資本基盤など財務の健全性を主に反映している。他方、制約要因として、釜山市の産業基盤の相対 的な脆弱性および同市における銀行間の競争の激化、当行の外貨流動性が市場動向に影響を受けやすいこ となどを考慮している。韓国では低金利の継続や規制強化などから収益力に低下圧力がかかる状況が当面 続くとみられる。しかし、堅固な事業基盤や保守的なリスク管理を背景に当行の収益性が大きく損なわれ る可能性は低いと考えられる。 (4) 当行の総資産は 46.1 兆ウォン(14 年 9 月末、K-IFRS ベース、以下同じ) 。貸出金および預金残高は各々 33.7 兆ウォン、33.6 兆ウォンと韓国地方銀行の中で最大規模を誇る。支店網は 268 支店中、釜山市に 220 支店と全体の 82%が同市に集中している。近年、銀行間の競争が高まる傾向にあるものの、釜山市にお いて当行は預貸金ともに市内最大シェアを維持している。不良債権(固定以下)比率は、14 年 9 月末現 在 1.18%(要注意以下比率 2.21%) 。景気の低迷を背景に 12 年以降上昇傾向にあるが、水準自体は低位 にとどまる。不良債権引当率は 118.32%と高水準となっており、資産の健全性は比較的良好な水準に維 持されている。近年、韓国銀行業界の与信費用増加の主因となった不動産関連プロジェクトファイナンス、 建設、造船、海運業などのセクター向けに一定のエクスポージャーを有するものの、保守的与信方針によ りリスクは比較的抑制されている。 1/3 http://www.jcr.co.jp (5) 業務粗利益の 9 割以上を占める純金利収入は、貸出資産の拡大に支えられ比較的安定的に推移している。 近年低下傾向にある純金利マージン(13 年 2.46%)は、韓国の地銀平均と同水準だが、与信費用が比較 的抑えられていることなどから ROA ベースの収益力は韓国地銀の中で最も高い。14/12 期第 3 四半期累 計の業績についは、貸出資産の拡大を主因に増収増益となった。低金利環境や規制強化による手数料収益 の減少など事業環境の好転は当面期待しにくいものの、強固な営業基盤と保守的与信管理を背景に当行の 業績は、引き続き底堅く推移すると予測される。同期のグループ連結業績についても、純金利収入の増加 を主因に増収増益となっている。なお、慶南銀行のクレジットコストは釜山銀行に比べ高く、収益性がや や見劣りするものの、買収によるグループベースでの収益性への影響は比較的軽微にとどまる。 (6) 金融監督院による預貸率規制を受けて当行は近年、定期預金を中心に預金の拡大を進めてきた。ただし、 同比率は貸出資産の拡大を主因に 13 年以降、緩やかながら上昇傾向となっている。流動性比率は、外貨 建、ウォン建ともに金融監督院のガイドラインを大きく上回っているが、外貨建債務については、近年減 少傾向にはあるものの、依然として借入金の割合が大きく国際金融市場の動向の影響を受けやすい構造と なっている。資本の健全性については、当行の配当金を慶南銀行買収資金の一部に充当した影響で自己資 本比率が 13 年末より低下したが、14 年 9 月末現在、13.23%(単体)、Tier I 比率 9.63%(同)と依然比 較的良好な水準に維持されている。また、グループ連結ベースでは各々14.72%、11.08%となっているが、 買収の影響で各々3%ポイント程度低下が見込まれるため、利益の蓄積による資本増強の状況を注視して いく。 (担当)田村 喜彦・佐伯 春奈 ■格付対象 発行体:釜山銀行(Busan Bank) 【クレジット・モニター解除】 【据置】 対象 外貨建長期発行体格付 対象 第 5 回円貨社債(2012) 格付 見通し A 安定的 発行額 発行日 35 億円 2012 年 7 月 27 日 2/3 http://www.jcr.co.jp 償還期日 2015 年 7 月 27 日 利率 1.63% 格付 A 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日:2014 年 12 月 22 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 主任格付アナリスト:田村 喜彦 幸一 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類 と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、 「コーポレート等の信用格付方法」 (2014 年 11 月 7 日)、 「銀行等」 (2014 年 5 月 8 日) 、 「銀行持株会社および子銀 行の格付けについて」 (2001 年 3 月 15 日)として掲載している。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) 釜山銀行 (Busan Bank) 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 3/3 http://www.jcr.co.jp
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