体内分布 1. 毛細血管を通過 2. 細胞間液に移行 3. 細胞内へ移行 [HA] Ka [A-] + [H+] Co Kd Cw 連続型毛細血管 穴あき型毛細血管 腎臓糸球体の毛細血管 肝臓の洞様血管 脾洞 臓器間における毛細血管壁の構造の違い 薬物はほとんど細胞間隙を通過できない。 高分子物質が通過できる。 肝臓にはクッパー細胞が存在し、タンパ ク質や酵素などの高分子量の物質や粒 子をファゴサイトーシスで取り込む 薬物の透過経路 1. 毛細血管壁を通過 2. 細胞間液に移行 分子量5000以下でタンパク質に 結合していない薬物は受動拡散 によって細胞間液に移行 3. 細胞内へ移行 成分 アルブミン グロブリン フィブリノーゲン 分子量 69,000 20万〜30万 9万〜130万 15万〜75万 40万 含量(g/dl) 4.6 0.46 0.86 0.75 0.37 • アルブミンは血漿タンパクの50-60%を占める。 4-5g/dl 特に酸性薬物と結合する。 • α1ー酸性糖タンパク質 血漿タンパクの0.2-0.4%。急性炎症期には 5-50倍に増大する。リドカイン、プロプラノロール、イミプラミン等が 結合する。 • グロブリンは血漿タンパクの3.5%を占める。コレスレロール、脂溶 性ビタミン、副腎皮質ホルモン等が結合する。 ヒト血漿アルブミン分子の薬物結合サイト ワルファリンsite ジアゼパムsite ジギトキシンsite ワルファリン アザプロパゾン フロセミド アセノクマリン フェニルブタゾン オキシフェンブタゾン スルフィンピラゾン インドメタシン ジクマロール スルファジンメトキシン スルファメチゾール クロルプロパミド トルブタミド ベンゾジアゼピン エタクリン酸 フルルビプロフェン イブプロフェン フルフェナム酸 クロロフェノキシイソ酪酸 クロキサシリン ジクロキサシリン ジギトキシン ジゴキシン アセチルジゴキシン 薬物とタンパク質との結合 • • • • 水素結合 疎水性相互作用 静電気的相互作用 ファン・デル・ワールス力 結合は可逆的な平衡反応 結合部位は限られていて、薬物の結合量には限界がある。 競合的、非競合的置換が起こることがある。 薬物のタンパク結合の変動要因 • 非結合形の増加 – 血漿タンパク質濃度の低下(肝硬変、ネフローゼ等) – 血漿タンパク質結合能の低下。タンパク結合能の高い内因 性物質、代謝物の濃度の増加(ビリルビン、遊離脂肪酸 等) – 薬物相互作用 • 非結合形の減少 – α1ー酸性糖タンパク質の濃度の増加(炎症、火傷、外科手 術、癌、心不全) Pf C f K Cb K Pf C f Cb r Pt Cb Pf:タンパク分子上の薬物に 占められていない結合部位の濃度 Cf:遊離型薬物の濃度 Cb:結合型薬物の濃度 K:結合定数 Pf nPt Cb nKC f r 1 KC f r nK Kr Cf タンパク1分子あたりn 個の結合部位数 Langmuirの式 Scatchard plot Cb K Pf C f Pf nPt Cb K(Pf C f ) Cb K(nPt Cb )C f Cb nKPt C f Cb (1 KC f ) nKPt C f Cb 1 KC f nKC f Cb Pt 1 KC f 1 nKC f 1 KC f 1 KC f nKC f 1 1 nKC f n double reciprocal plot (1 KC f ) nKC Cf Cf f K nK K ( n ) nK K Scatchard plot 1 1 1 1 r nK C f n r nK Kr Cf Klotz plot, Double reciprocal plot Scatchard plot 1 r 1 n nK -K r Cf r K 1 Cf Scatchard plot 競合的阻害 Kが小さくなる nK -K r Cf r nK Kr Cf r 1 1 1 1 r nK C f n 1 -K 1 Cf nが小さくなる r Cf n r Double reciprocal plot 非競合的阻害 平衡透析法 透析後の外液の薬物濃度 Cf Cb Cf Cf 透析後の半透膜内液の薬物濃度 Cf + Cb 限外ろ過法 Cb Cf 遠心分離 Cb 限外ろ過膜 Cf 組織内での結合 • 組織間隙 – :アルブミン:例ベニシリン、セファロスポリン系抗生物質 • 組織内 – 細胞内タンパク – 酸性リン脂質(ホスファチジリセリン):例イミプラミン、キニジン、プ ロプラノロール – DNA:例アドリアマイシン、アクチノマイシンD – チュブリン:例ビンクリスチン、ビンブラスチン 分布容積 薬物がある血漿中濃度の時に、体内に残存する 薬物量を説明するのに必要な血漿体積 Vd 血漿中濃度 組織 体重70kgの人における平均的な各種体液体積 Evance blue 分布容積の大きさに基づく薬物の分類 クレアチニン Ct Kp Cp fp Kp ft 組 織 血 漿 fpCp=ftCt ࢚ ࢌ = ࢌ ࢚ fpCp ftCt Ct Cp Vp Vt VCP V p CP Vt Ct V p C p K p C pVt fp<0.2 ft, fpの変化の影響受ける V V p K pVt V p fp ft V:大きな薬物 Vt fp>0.2 ftの変化の影響受ける Vは変化 V:小さな薬物 ft, fpの変化の影響受けない Vは変化しない リンパ管系移行 • 1-2L/day • 5000< 組織間液 => 毛細血管 • 5000>組織間液 => リンパ管系 例 GM-CSF(MW 15000-34000) 脂肪組織への分布 脂溶性が高い薬物の貯蔵庫 グラン® ノイアップ® 投与経路の血漿GM-CSF濃度推移に対 する影響 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF ) MW 15000〜34000 静注 皮下注 ノイアップ 添付文書(抜粋) 1. 骨髄移植時の好中球数の増加促進 成人 通常、骨髄移植施行翌日ないし5日後よりナルトグラスチム(遺伝子組換え)として8μg/kgを1日1回静脈内投与 する。 2. がん化学療法による好中球減少症 (1)急性リンパ性白血病 成人・小児 通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、ナルトグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回 静脈内投与(点滴静注を含む)する。出血傾向等の問題がない場合は1μg/kgを1日1回皮下投与する。 (2)悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸腫瘍、卵巣腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がん 成人・小児 通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、ナルトグラスチム(遺伝子組換え)として1μg/kgを1日1回 皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合は2μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)す る。 3. 小児再生不良性貧血に伴う好中球減少症 小児 通常、好中球数1,000/mm3未満の状態を示した時点よりナルトグラスチム(遺伝子組換え)として4μg/kgを1日1 回皮下投与または8μg/kgを1日1回静脈内投与する。 脳脊髄液 脈絡叢 脳室 上矢状静 延髄 脈洞 脊髄 くも膜腔 ヘキソース輸送系:glucose transporter 1 (GLUT1) 脳内 D-glucose, 酸化型アスコルビン酸 血液 神経伝達物質 血液 促進拡散 グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、GABA 脳内 大きな中性アミノ酸、塩基性アミノ酸 中性アミノ酸輸送系:LAT1 L-DOPA モノカルボン酸輸送担体 乳酸、酢酸、ピルビン酸、ケトン体 プロトン勾配 血液脳脊髄液関門 循環血中 脊髄液 能動輸送 ビタミンC, ビタミンB6, 葉酸、核酸 脊髄液 循環血中 有機アニオン輸送系 ペニシリン、セファロスポリン 有機カチオン輸送系 シメチジン、キニジン MRP エトポシド 生理活性ペプチド:分子量が大きく親水性であり、受動拡散では ほとんどBBBを通過できない。 インスリン:脳毛細血管内皮細胞の血液側膜にありインスリン レセプターに結合し、エンドサイトーシスを受け、さらに脳側細胞膜 でエキソサイトーシスにより脳内へ運ばれる。 鉄:血中ではトランスフェリンに結合しており、鉄結合形トランスフェリン はBBBのトランスフェリン受容体に結合し、トランスサイトーシスにより 脳内へ輸送される。 母乳への分布 受動拡散 pH分配仮説にしたがう 母乳から接種される薬物量は極めて低いが、 新生児・乳児には要注意 血液脳関門、血液脳脊髄液関門 • BBB:毛細血管 内皮細胞 – 循環血液と脳組織を隔てている • BCSFB:脈絡叢 上皮細胞 – 循環血液と脳脊髄液を隔てている 主体はBBB 受動拡散の場合 log(P SA) 0.70 0.45log(K K: オクタノール-水分配係数 MW 1 2 ) • 脳脊髄液中の薬物は通常は非結合型 • その濃度は経細胞的な透過速度、脳脊髄液 の流速と脳実質組織の拡散速度に依存する。 • 有機アニオン輸送系、P-糖タンパク質、 MRP(multidrug resistance associated protein)などが存在し、排泄に関与している。 BBBに発現している排除系 • P-glycoprotein vinblastine, cyclosporin,verapamil, doxorubicin, fentanyl ATP binding cassette (ABC) transporter 小腸、肝臓、腎臓にも発現 • MRP1 multidrug resistance-associated protein 1 血液脳脊髄液関門(BCSFB)での輸送 BCSFBの表面積はBBBの1/5000以下 毛細血管内皮細胞は有窓性 ラクタム系抗生物質は有機アニオン交換輸 送系(OAT3)で排出 P-glycoprotein, MRPも発現 胎児への移行 • シンシチオトロホブラストが血液胎盤関門を形成する • 受動拡散 pH分配仮説に従う。脂溶性に依存する 極性の高い水溶性の薬物は一般的にMW600までは通 過する。MW1000を超えるものは通過できない GlucoseはGLUT1, -3で輸送 胎盤の構造 母体血 基底膜 血液胎盤関門 4割 6割 1割 “図説臨床薬理と基本治療薬” メジカルビュー社、1985 • バルプロ酸は担体輸送系で移行 • 胎盤では性腺刺激ホルモン、エストロゲン、プ ロゲステンなどの合成 • モノアミンオキシダーゼ(MAO),コリンエステ ラーゼが存在 • リボフラビンは胎盤でflavin adenine dinucleotideに転化されて胎児に移行する その他の関門組織 • 精巣 blood-testis barrier • 網膜 blood-retinal barrier 脈絡膜 網膜
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