Bridge Report イリソ電子工業(6908)

ブリッジレポート(6908) 2014 年 11 月 30 日
Bridge Report
佐藤 定雄 会長
http://www.bridge-salon.jp/
イリソ電子工業(6908)
会社名
イリソ電子工業株式会社
証券コード
6908
市場
JASDAQ
会長
佐藤 定雄
社長
今津 敏行
所在地
横浜市港北区新横浜 2-13-8
事業内容
コネクタ製造中堅。車載用途が柱、産業機器、デジタル家電用等も。製
品の大半がカスタム品。
決算月
3月
HP
http://www.iriso.co.jp/
今津 敏行 社長
- 株式情報 -
株価
発行済株式数(自己株式を控除)
6,280 円
DPS(予)
11,445,698 株
配当利回り(予)
40.00 円
0.6%
EPS(予)
時価総額
PER(予)
419.37 円
ROE(実)
71,878 百万円
売買単位
16.1%
BPS(実)
15.0 倍
100 株
PBR(実)
2,616.15 円
2.4 倍
*株価は 11/28 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPS は前期末。
- 業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2010 年 3 月(実)
21,138
2,008
1,767
1,052
90.41
10.00
2011 年 3 月(実)
23,566
2,891
2,768
2,110
183.20
15.00
2012 年 3 月(実)
23,722
2,760
2,660
1,821
159.18
15.00
2013 年 3 月(実)
24,788
2,562
3,061
1,840
160.83
20.00
2014 年 3 月(実)
32,838
5,635
6,233
4,499
384.37
40.00
2015 年 3 月(予)
36,000
6,700
6,700
4,800
419.37
40.00
*予想は会社予想。
イリソ電子工業の 2015 年 3 月期第 2 四半期決算概要、2015 年 3 月期業績見通し等について、ご報告致します。
―目次―
1.会社概要
2.2015 年 3 月期第 2 四半期決算概要
3.2015 年 3 月期通期業績見通し
4.今後の注目点
1
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今回のポイント
・15/3 期 2Q の売上高は前年同期比 17. 2%増収の 181 億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。コンシューマー、インダストリ
アルも好調で全市場で同 2 ケタの増収。円安効果もあり、上半期での最高売上を更新した。売価低下、労務費や原材料費の増加はあ
ったが、売上増、合理化効果、円安効果で吸収し、営業利益は同 36.0%増益の 34 億円となった。
・15/3 期通期業績予想を上方修正した。売上高は前期比 9.6%増加の 360 億円と 10 億円の修正。ただ、期初において売上高は、「上
期 170 億円、下期 180 億円」と下期にかけ 10 億円増販する計画であったが、修正後は上下フラットとなっており、実質的に 10 億円の
計画未達を見込む。要因は中華・韓国圏、日本における日系自動車メーカーにおける生産台数変更等やゲーム機向けの上期前倒し
よるもの。ただ、従来通り、駆動系や安全系のコネクタにおいて開発を進めており、先頭グループを走っている。一方、車載が好調なう
ちに車載以外の柱を打ち立てることが必要と改めて認識し対応を進めている。配当は前期と変わらず 40 円/株の予定。予想配当性向
は 9.5%。
・株価は 11 月以降 JASDAQ 指数をアンダーパフォームしているが、ただ、前期の大幅増益との比較感という側面も大きいのだろう。2
年間という期間で見れば依然として市場を大きく上回っている。今後は殆ど全ての車種でミリ波レーダーやカメラ搭載台数の増大が進
む見込みで、先頭グループを走る同社にとって今後もフォローの風は続くだろう。短期的には下期業績の巻き返しを、中期的には車載
分野と並ぶ収益の柱の立ち上がりに注目したい。
1.会社概要
配線基板同士を接続するコネクタを開発、製造、販売。顧客の作業効率を格段に向上させる主力製品「可動 B to B®」コネクタ
を始め、高付加価値商品を有する。売上の約 80%が車載向けで、国産自動車メーカー及び海外の主要メーカー全てに同社コ
ネクタは搭載されている。電気自動車、ハイブリッド自動車の普及でビジネスチャンス拡大。早期から海外進出に積極的で、売
上、生産共に海外が中心。
【沿革】
1966 年に、佐藤 定雄 会長が創業。TV や音響製品などの普及に伴い、ハンダで接続するのではなく、着脱が自由なコネクタ
の需要が増大し、付加価値機能を備えたピン製品を開発し、コネクタ分野へ本格進出。1980 年代には現在の主力事業である
車載分野に参入し、高付加価値製品「B to B®」を投入。セット時の芯ズレを吸収するという独自の機構が評価され、高いシェア
を獲得。
顧客ニーズに対応し、早期より海外進出を積極化。
社名の「イリソ」は『初めて受注をいただいたお客様が埼玉県入間郡「入曽村」(現在の埼玉県狭山市)にあったことから、その
ご恩と感動を忘れないために入曽(イリソ)の地名を当社の社名と致しました。』(同社 WEB サイトより)との由来による。
1966 年
1977 年
1978 年
1982 年
1985 年
1993 年
1994 年
1994 年
1996 年
1996 年
1999 年
1999 年
2000 年
12 月
9月
12 月
7月
2月
6月
4月
9月
1月
1月
10 月
11 月
4月
神奈川県川崎市下沼部にイリソ電子工業株式会社を設立
先端部をテーパ状に加工したコネクタ用ピンを開発し、製造、販売を開始
シンガポールに各種ピン及び多極コネクタの製造、販売を目的として IRS(S)PTE. LTD. を設立
スイッチの機能を持つ短絡用コネクタの製造、販売を開始し、本格的にコネクタ分野へ進出
プリント基板同士を接続する B to B コネクタの製造、販売を開始
中国・上海市に各種ピン及び多極コネクタの製造を目的として上海意力速電子工業有限公司を設立
米国・シカゴに各種ピン及び多極コネクタの販売を目的として IRISO U.S.A., INC. を設立
日本証券業協会(現 株式会社大阪証券取引所ジャスダック市場)に株式を店頭登録
フィリピン共和国キャビテ地区に IRISO ELECTRONICS PHILIPPINES, INC. を設立
ISO9001 の認証を取得
シンガポール共和国トゥアス地区に IRISO ELECTRONICS SINGAPORE PTE., LTD. を設立
香港に IRISO ELECTRONICS (HONG KONG) LIMITED. を設立(香港営業所の業務を移管)
ドイツ連邦共和国に IRISO ELECTRONICS EUROPE GMBH を設立(欧州営業所及び欧州営業所ドイツ連絡
事務所の業務を移管)
2
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2000 年
2003 年
2006 年
2006 年
2008 年
2010 年
10 月
3月
8月
11 月
8月
12 月
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中華人民共和国上海市に意力速(上海)貿易有限公司を開設
タイ王国バンコク市に IRISO ELECTRONICS (THAILAND) LTD.を設立(タイ事務所の業務を移管)
台湾台北市に IRISO ELECTRONICS(H.K.)LTD. 台湾事務所を開設
ベトナム社会主義共和国ハノイ市に IRISO ELECTRONICS VIETNAM CO.,LTD を設立
中華人民共和国上海市に意力速(上海)電子技術研発有限公司を設立
インド共和国バンガロール市に IRISO Electronics Co.,Ltd. India Liaison Office. を開設
【経営理念】
-未来に続く架け橋として-
人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める。
【事業内容】
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続するために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続し
た場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を
用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
(同社 WEB サイトより)
同社は、用途に応じた様々なコネクタを製造しているが、その中でも代表的な製品が、同社が登録商標を持っている「B to B®
コネクタ」(ボード・トゥ・ボード コネクタ)。
B to B コネクタとは、基板と基板を直接接続することができるコネクタで、垂直接続、平行接続、水平接続などの組み合わせで、
様々な接続が可能となる。
その B to B コネクタの中でも、接続部分が数ミリ可動する「遊び」が設定されている「可動 B to B®」コネクタは同社の独自性
が発揮されている製品。
通常のコネクタは遊びが無いため、接続する際にソケット側とプラグ側にズレが無いよう作業しないと接続できないため、作業
効率が悪くなる。
これに対して可動コネクタは、遊びがあるため、ある程度ずれた状態で接続作業を行っても問題なく接続できる。
また、可動コネクタは、通常片側のみが可動することが常識だったが、同社では顧客からの「両側が動けば、より作業効率が
向上する」との声に基づき、ソケットとプラグの両方が可動する両側可動(ダブルフローティング)コネクタも開発した。衝撃に強
く、顧客の組み立て作業の効率化が図れる製品として高い評価を受けている。
3
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加えて、組み立て作業時のみでなく、可動部分が自動車走行中の振動、衝撃を吸収するため、自動車搭載時にもその性能が
大いに発揮される製品だ。
この他にも、以下の様なコネクタをラインアップしている。
○FPC/FFC コネクタ
FPC 基板や FFC ケーブルの接続に開発されたコネクタの総称。コネクタの挿入時にほとんど力を加えずに FPC/FFC のロック
が可能なタイプや、軽い力で挿入可能なタイプがある。
○I/F コネクタ
I/F とはインターフェースの略。機器間の信号の接続を行うコネクタの事で、I/O(インプット/アウトプット)コネクタとも呼ばれる。
カーナビ、PC など様々な機器の側面(裏・表面)に装着され、機器への電源供給、音声・映像信号データ等の入出力を行う。
○P/H
線材をカット加工したピン(電導体)をハウジング(樹脂材でできた絶縁体)で支えたプラグ(オス側)コネクタの基本形であり、
様々な分野・機器の内部接続(基板間接続)に使用されている。横から見ると、生け花の花止め「けんざん」のように見えるの
が特長。メス側はソケットと呼ばれる。
○コンプレッションコネクタ
コンタクトのスプリング圧を利用した脱着コンセプトを採用したコネクタ。省スペース化にも貢献。モバイル機器の内部接続、ク
レドール等に使用されている。
<事業分野別動向>
(2014 年 3 月期実績。同社資料より弊社作成)
車載
AVN
エレクトロニクス
コンシューマー
インダストリアル
合計

売上高
26,625 百万円
16,521 百万円
10,173 百万円
5,203 百万円
939 百万円
32,838 百万円
構成比
81.3%
50.3%
31.0%
15.8%
2.9%
100.0%
主な使用品目
―
カーAV、ナビゲーションシステム
カーエアコン、パワーウィンドウ、シートヒーター等、電装関連
デジカメ、携帯電話、ゲーム機、液晶テレビ
FA、医療用機器
―
主力の車載分野における同社の主要な直接顧客は、Tier 1 と呼ばれる自動車メーカーに部品を納入する大手自動車部
品メーカー。顧客を通じ、全ての国産メーカー及び、主要な海外メーカーの殆どに同社の製品は搭載されている。
4
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
車載分野は、顧客の要望に基づいて製造するカスタム品が多く、高い付加価値を生んでいる。

また自動車メーカー各社は、品質や安全性に対し極めて高い基準を部品メーカーに要求している。同社では早い段階か
ら車載分野に進出しており、永年に渡る納入実績は同社製品の優秀さを証明している。

今後、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)の普及に伴い、電気系統の重要性
が増す。また安全性ニーズの高まりを受けて、車間距離を測るミリ波レーダーやカメラの搭載も進み、使用される電子部
品数およびコネクタ数は飛躍的に増加することが確実。

加えて、これまではどちらかといえばカーAV、カーナビ等、車室周りの電子部品に使用されるコネクタが多数だったが、こ
れからは、駆動部分(モーター等)に使われる高電圧、高出力に対応する電子部品への進出も期待でき、ビジネスチャン
スが拡大すると、同社では考えている。

コンシューマー分野は汎用品が多く、構造もそう複雑ではないため価格競争になりやすい。

インダストリアル分野は、車載分野で培ってきた技術力、ノウハウを活かすことができるため、まだ規模は小さいが今後
の成長が見込まれる。
【今後の販売及び生産戦略】
沿革にあるように、創業 12 年後の 1978 年にはシンガポールに子会社を設立し、海外での生産、販売をスタートさせている。
まだ実績もさほど大きくない段階ではあったが、顧客企業の海外展開に伴い進出することで顧客との関係を強化することを目
的として投資を行った。その狙い通り順調に事業は拡大し、結果として、その後の国内における取引拡大にも結び付けること
ができた。長年に渡って蓄積したマネジメントノウハウ、実績をベースに、今後も業績拡大のためにはより一段の海外展開強
化が必要と考えている。
現在、売上高の約 70%、生産の約 80%を海外で行っているが、今後の販売および生産に関し以下の様な戦略を進めていく。
◎販売戦略
日本、欧米、中華、ASEAN の四極体制での販売を更に強化する。
現在、ドイツおよびアメリカに技術者が駐在しているが、新たに、韓国およびシンガポールにも技術者を駐在させるほか、今は
アメリカ拠点がカバーしている南米地域には将来的に拠点設立を視野に、ASEAN、インドにも注力し、新興国需要の取り込み
を図る。
技術と販売が一体となってのグローバル販売体制を構築する。
課題としては、海外現地企業との取引拡大。そのためには優秀なローカルスタッフの採用、育成が必要であり、Global 規模で
の人事交流、研修にも着手している。
◎生産戦略
現在、以下 4 つのプロジェクトを進行させている。
①原価低減プロジェクト
コスト競争力を強化する。
②BCP 構築プロジェクト
BCP とは Business Continuity Plan の略で、日本語では、事業継続計画。
災害や事故など不測の事態を想定して、事業継続の視点から対応策をまとめたもので、危機発生の際、重要業務への影響を
最小限に抑え、仮に中断しても可及的速やかに復旧・再開できるようにあらかじめ策定しておく行動計画のことを言う。
茨城、上海、ベトナム、フィリピンの 4 工場での生産体制に BCP を組み込んでいく。
5
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③ベトナム拡大プロジェクト
上記 4 工場の内、2017 年をめどにベトナム工場の生産比率をアップさせる。
限界利益率の極大化を図る。
④生産合理化プロジェクト
材料費、固定費の内容を見直し、コスト構造の低減を図る。
これらのプロジェクトを通じて、
「原価低減の実現を通じたモノ作り競争力の確保」
「生産品質の同一化を通じたモノ作り量産体制の維持」
「顧客クレームの撲滅を通じたモノ作りの信頼性の向上」
を実現する。
【ROE 分析】
ROE(%)
売上高当期純利益率(%)
総資産回転率(回)
レバレッジ(倍)
2011/3 期
11.1
8.96
0.87
1.42
2012/3 期
9.0
7.68
0.81
1.43
2013/3 期
8.0
7.43
0.78
1.38
2014/3 期
16.1
13.40
0.94
1.29
<参考:東証 1 部・2 部・マザーズ 業種別 ROE>
2013 年 3 月期
2014 年 3 月期
全産業(除く金融)
4.99
8.65
製造業
4.53
8.55
非製造業
5,67
8.79
電気機器
-2.44
6.57
*東証 HP「決算短信集計」より
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、
自己資本比率の逆数)」の 3 要素を掛け合わせたものとなる。
同社の 14/3 期の ROE は 16.1%と高水準。大きな特別利益の計上があった訳でもなく、レバレッジも低く、本業の収益性が高ま
った事が要因だ。
総資産回転率のもう一段の改善(1 倍台)があればさらに ROE という観点からの魅力が高まると考えられる。
2.2015 年 3 月期 第 2 四半期決算概要
(1)連結業績(第 2 四半期累計)
売上高
売上総利益
販管費
営業利益
経常利益
当期純利益
為替期中平均
14/3 期 2Q
15,480
5,410
2,898
2,512
2,860
2,082
$97.99 円
€128.79 円
(単位:百万円)
構成比
100.0%
34.9%
18.7%
16.2%
18.5%
13.4%
15/3 期 2Q
18,144
6,647
3,232
3,415
3,433
2,585
$103.51 円
€139.07 円
構成比
100.0%
36.6%
17.8%
18.8%
18.9%
14.2%
前期比
+17.2%
+22.9%
+11.5%
+36.0%
+20.2%
+24.2%
期初予想比
+6.7%
+22.0%
+24.8%
+23.1%
$95.00 円
€130.00 円
*期初予想欄の為替は、期初の期中平均予想レート。
6
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車載市場中心に全市場 2 桁増収。期初計画を上回り利益も 2 桁増加。
売上高は前年同期比 17.2%増収の 181 億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。コンシューマー、インダストリアルも好
調で全市場で同 2 ケタの増収。円安効果もあり、上半期での最高売上を更新した。
売価低下、労務費や原材料費の増加はあったが、売上増、合理化効果、円安効果で吸収し、営業利益は同36.0%増益の34億
円となった。
◎市場別売上高動向(2Q 累計)
車載
AVN
エレクトロニクス
コンシューマー
インダストリアル
合計




15/3 期 2Q
14,597
8,807
5,790
2,933
614
18,114
前年同期比
+17.0%
+13.9%
+21.9%
+14.3%
+41.8%
+17.2%
(単位:百万円)
構成比
80.4%
48.5%
31.9%
16.2%
3.4%
100.0%
車載市場は米国を中心に引き続き好調で、欧州も順調で海外は 20.3%の増収。国内も同 4.4%増と堅調。
製品別では車載市場において主力のカーナビ、カーオーディオ、クラスター向けの他に、カメラやミリ波レーダーなど安全
性を高める製品向けが伸びた。
コンシューマー市場は、昨年発売されたゲーム機向けが好調だった。ゲーム機向けを除くと微減にとどまった。
インダストリアルは、産業機器向けが拡大した。
◎市場別売上高動向(7-9 月)
車載
AVN
エレクトロニクス
コンシューマー
インダストリアル
合計
15/3 期 2Q
7,327
4,320
3,007
1,555
275
9,157
前年同期比
+14.5%
+8.4%
+24.6%
+5.9%
+21.1%
+13.1%
(単位:百万円)
構成比
80.0%
47.2%
32.8%
17.0%
3.0%
100.0%
前年同期比
-2.4%
+10.6%
+37.3%
+4.0%
+23.7%
+18.1%
+13.1%
(単位:百万円)
構成比
19.0%
32.3%
17.6%
9.7%
15.0%
6.4%
100.0%
前年同期比
+12.4%
+9.9%
-19.8%
+40.3%
+15.4%
+13.1%
(単位:百万円)
構成比
30.3%
39.5%
5.3%
17.6%
7.3%
100.0%
◎地域別売上高動向(7-9 月)
日本
中華・韓国圏
欧州
シンガポール
米国
タイランド
合計
15/3 期 2Q
1,744
2,960
1,609
890
1,372
582
9,157
◎製品別売上高動向(7-9 月)
FPC
BtoB
P/H
車載 IF
その他
合計
15/3 期 2Q
2,772
3,615
485
1,610
675
9,157
7
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(2)財政状態とキャッシュ・フロー
◎財政状態
流動資産
現預金
売上債権
棚卸資産
固定資産
有形固定資産
無形固定資産
投資その他の資産
資産合計
14/3 期末
22,189
7,634
8,434
5,099
15,146
13,955
403
787
37,336
15/3 期 2Q 末
24,818
9,137
9,362
5,140
16,260
15,153
308
798
41,078
流動負債
仕入債務
短期有利子負債
固定負債
長期有利子負債
負債合計
株主資本
純資産
負債純資産合計
有利子負債合計
自己資本比率
14/3 期末
6,261
2,819
571
1,113
350
7,375
28,566
29,960
37,336
921
80.2%
(単位:百万円)
15/3 期 2Q 末
6,604
3,103
472
1,094
321
7,698
30,688
33,379
41,078
793
81.1%
現預金、売上債権増等で流動資産は前期末比 26 億円増加。固定資産も同 11 億円増加し、資産合計は同 37 億円増加した。
仕入債務の増加などで流動負債は同 3 億円増加。固定負債は長期借入金の減少で 19 百万円減少し、負債合計は同 3 億円増
加した。
純資産は、利益準備金および為替換算調整勘定の増加などで同34億円増加。この結果、自己資本比率は81.1%と前期末より
0.9%上昇した。
◎キャッシュ・フロー
営業 CF
投資 CF
フリーCF
財務 CF
現金及び現金同等物
14/3 期 2Q
2,203
-1,130
1,073
-1,098
5,871
15/3 期 2Q
3,598
-1,739
1,859
-579
9,137
(単位:百万円)
増減
+1,395
-609
+786
+518
+3,266
利益増などで営業 CF のプラス幅は前年同期に比べ 13 億円拡大し、有形固定資産の取得額拡大で投資CFのマイナス幅は同
6 億円拡大した結果、フリーCF のプラス幅は同 7 億円拡大した。配当金の支払い額は同 2 億円拡大したが、短期借入金の純
減額は同 7 億円拡大したため、財務 CF のマイナス幅は同 5 億円縮小した。
キャッシュポジションは前年同期末に比べ 32 億円の増加。
(3)設備投資、減価償却、研究開発費
設備投資
減価償却
研究開発
13/3 期通期
2,331
2,317
797
14/3 期通期
2,478
2,743
841
15/3 期 2Q
1,739
1,368
419
(単位:百万円)
15/3 期(予定)
2,902
3,095
850
(4)為替変動リスクへの対応
同社は為替変動の影響を受ける資産をドル建てで 12 百万ドル、ユーロ建てで 14 百万ユーロ保有している。
下記のような為替変動により、この第 2 四半期は、ドルで 78 百万円の為替差益、ユーロで 39 百万円の為替差損、関連会社分
で 31 百万円の為替差損の合計 13 百万円の為替差益を営業外収益に計上した。
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ブリッジレポート(6908) 2014 年 11 月 30 日
円/ドル
円/ユーロ
2014 年 3 月末
102.92
141.65
6 月末
101.36
138.31
http://www.bridge-salon.jp/
7 月末
102.85
137.80
8 月末
103.74
136.76
9 月末
109.45
138.87
3 月末比
6.53 円安
2,78 円高
(5)為替感応度
通貨
USD
EUR
RMB
売上への影響額
約 119
約 46
約 47
(単位:百万円)
営業利益への影響額
約 49
約3
約 15
*RMB(人民元)は通貨単位が小さいため、0.1 円変動による年間影響額を算出している。
年間 1 円の各為替レート変動による売上、利益の影響は以上の通りで、USD に換算すると、1 円の変動により売上高(年間)で
274 百万円、営業利益(年間)では 75 百万円変動する。
3.2015 年 3 月期業績見通し
(1)連結業績
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
為替期中平均
14/3 期
32.838
5,635
6,233
4,399
$100.00 円
€134.01 円
構成比
100.0%
17.2%
19.0%
13.4%
15/3 期(予)
36,000
6,700
6,700
4,800
$103.00 円
€132.00 円
構成比
100.0%
18.6%
18.6%
13.3%
前期比
+9.6%
+18.9%
+7.5%
+9.1%
期初予想比
+2.9%
+7.5%
+11.7%
+6.7%
$95.00 円
€130.00 円
(単位:百万円)
進捗率
50.4%
50.9%
51.2%
53.9%
*期初予想比欄の為替は、期初の期中平均予想レート。
為替効果などにより通期業績予想を上方修正。増収・増益を計画
売上高は前期比 9.6%増加の 360 億円と 10 億円の上方修正を行った。営業利益も 4.7 億円増額された。
ただ、下の表にあるように、期初予想の売上高は、「上期 170 億円、下期 180 億円」で下期にかけ 10 億円増販する計画であっ
たが、修正後は上下フラットとなっており、10 億円の計画未達の見込みとなっている。
説明会における今津社長の説明は以下の通り。
 未達の要因は中華・韓国圏、日本、シンガポールにおける日系自動車メーカーにおける生産台数変更、量産開始の遅れ、
モデルチェンジの中止・遅れによるもので、米国、欧州は堅調。
 好調だった車載関連のうちAVNにおいて、ディスプレイオーディオ(※)の普及等で流れが変わりつつあり、端境期を迎え
ている。
 ただ、あくまで大きな流れでの話であり、従来から主力のカーナビ向けも増加しており、加えて、駆動系や安全系のコネク
タにおいて開発を進めており、先頭グループを走っている。
 車載が好調なうちに車載以外の柱を打ち立てることが必要と改めて認識し対応を進めている。
配当は前期と変わらず 40 円/株の予定。予想配当性向は 9.5%
※ディスプレイオーディオ:タッチパネルディスプレイを搭載したカーオーディオ。スマートフォンとの接続機能を持ちスマートフォン側のソフトを使って
カーナビやメール、情報表示を行うことができる。スマートフォンの普及とカーナビ機能の強化により車載カーナビがディスプレイオーディオに置き換
わるとの見方もある。
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ブリッジレポート(6908) 2014 年 11 月 30 日
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◎市場、国内外別の期初予想および修正後数値
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
車載
コンシューマー
インダストリアル
国内
日本
中華・韓国圏
欧州
シンガポール
米国
通期
35,000
6,230
6,000
4,500
期初予想
上
17,000
2,800
2,750
2,100
下
18,000
3,430
3,250
2,400
通期
36,000
6,700
6,700
4,800
修正後
上(実)
18,144
3,415
3,433
2,585
下(修)
17,856
3,285
3,267
2,215
通期
28,518
5,238
1,244
7,362
期初予想
上
13,790
2,661
549
3,497
下
14,728
2,577
695
3,865
通期
29,606
5,260
1,134
7,133
修正後
上(実)
14,597
2,933
614
3,584
下(修)
15,009
2,327
520
3,549
通期
7,362
10,764
5,761
3,714
5,270
期初予想
上
3,497
5,292
2,821
1,816
2,522
下
3,865
5,472
2,940
1,898
2,748
通期
7,133
11,134
6,400
3,393
5,529
修正後
上(実)
3,584
5,761
3,231
1,745
2,670
下(修)
3,549
5,373
3,169
1,648
2,859
(いずれも単位は百万円)
4.今後の注目点
円安の効果により第 2 四半期決算は好調で、通期見通しを上方修正したものの、会社側からすればビジネスの実態としては
決して満足できるものではなかったようだ。
株価も、11 月以降は JASDAQ 指数をアンダーパフォームする結果となっている。
ただ、前期の大幅増益との比較感という側面も大きいのだろう。もう少し長く、2 年間という期間で見れば依然として市場を大き
く上回っている。
安全性向上や運転しやすさといったニーズから、今後は殆ど全ての車種でミリ波レーダーやカメラ搭載台数の増大が進む見
込みで、売価低下圧力は続くものの先頭グループを走る同社にとって今後もフォローの風は続くだろう。
短期的には下期業績の巻き返しを、中期的には車載と並ぶ収益の柱の立ち上がりに注目したい。
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<コネクタ関連の主要企業一覧>
(単位:百万円)
コード
6640
6785
6798
6800
6804
6806
6807
6826
6908
6919
6928
6941
7609
7769
企業名
売上高
営業利益
営業増益率
営業利益率
(%)
(%)
時価総額
ROE
予想
実績
(%)
PER(倍)
PBR(倍)
第一精工
45,500
2,000
-
4.4
42,710
-
30.5
1.0
鈴木
21,000
925
15.9
4.4
5,247
2.1
14.5
0.5
SMK
66,000
2,400
3.0
3.6
38,078
8.5
13.8
1.1
ヨコオ
33,800
1,200
117.0
3.6
13,573
3.7
15.7
0.7
ホシデン
165,000
-800
-
-
54,023
-
246.0
0.6
ヒロセ電機
127,000
33,100
0.3
26.1
600,311
8.6
22.7
1.8
日本航空電子
180,000
21,700
31.5
12.1
244,140
14.3
16.6
2.8
本多通信工業
15,800
1,200
28.6
7.6
18,167
23.8
17.5
2.3
イリソ電子工業
36,000
6,700
18.9
18.6
71,878
16.1
15.0
2.4
ケル
9,500
910
2.2
9.6
5,698
5.4
9.8
0.5
エノモト
17,300
580
-
3.4
5,786
-
6.5
0.6
山一電機
24,700
2,100
160.2
8.5
19,586
7.5
11.9
1.3
ダイトエレクトロン
38,500
550
296.6
1.4
6,247
-
15.6
0.5
リズム時計工業
37,000
1,300
50.9
3.5
18,982
2.6
18.7
0.5
*売上高、営業利益は今期会社側予想。時価総額、PER、PBR は 11 月 28 日終値ベース。ROE は前期実績。
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