プログラム - 日本歯科大学新潟生命歯学部

平成26年度
日本歯科大学歯学会
第1回ウインターミーティング
プログラム・抄録集
平成26年12月13日(土)
日本歯科大学生命歯学部
8階 富士見ホール・展示ホール
7階 臨床講義室
日本歯科大学歯学会
第1回ウインターミーティング
プログラム・抄録集
目 次
スケジュール………………………………………………………………… 2
参加者へのご案内…………………………………………………………… 3
プログラム…………………………………………………………………… 4
シンポジウム………………………………………………………………… 11
口頭発表……………………………………………………………………… 14
口頭発表(English 学内発表会)……………………………………………… 19
研究推進フォーラム………………………………………………………… 21
ポスター発表………………………………………………………………… 23
-1-
日本歯科大学歯学会ウインターミーティング・スケジュール 平成26年12月13日(土)
時間
10:00
11:00
富士見ホール(8F)
臨床講義室(7F)
開会挨拶
口頭発表(日本語)1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
展示ホール(8F)
展示ホール(8F)
10:00〜11:00
ポスター準備
12:00
昼食休憩
13:00
口頭発表(日本語)1-10
1-11
1-12
1-13
休 憩
口頭発表(English)2-1
14:00
10:30〜17:00
企業展示
2-2
13:00〜16:00
シンポジウム
15:00
11:00〜16:15
ポスター掲示
4-1〜4-36
2-3
2-4
2-5
休 憩
研究推進フォーラム3-1
3-2
3-3
16:00
3-4
16:15〜17:00
ポスター質疑
17:00
終 了
終 了
参加者へのご案内
参加の皆様へ
1. 駐車場のご用意はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください。
2. 学術大会参加章には所属・氏名を記入の上、常時胸につけてご入場ください。
3.学会会場におけるビデオ・写真撮影等は、発表者の著作権保護のため禁止となっております。
4.日歯生涯研修について
1)本大会に参加(出席)した場合には、特別研修として 6 単位が取得できます。なお、特別研修の単位登
録には、受講研修登録用 IC カードが必要ですので、ご自身の日歯 IC カードを必ずお持ちください。
2)その他の各プログラムの単位登録は、会場に張り出された短縮コードをご利用の上、ご自身でご登録くだ
さい。
3)詳細は日本歯科医師会にお問い合わせください。
口頭発表について
1. 日本語による発表は、発表 8 分、質疑応答 2 分とします。
2. 英語による発表(English 学内発表会)は、発表 10 分、質疑応答 5 分とします。
3. 研究推進フォーラムは、発表 10 分、質疑応答 5 分とします。
4. 口演は全てPCによる発表(単写)とします。
5. MicrosoftPower Point2013/2010/2007 で作成してください。
6. 発表データは、USB フラッシュメモリにて提出してください。
7. 発表予定時刻の 30 分前までに、PC 受付(8 階富士見ホール前受付)にて発表データの提出ならびに試写
確認を行ってください。
ポスター発表について
8. 受付は 10 時 00 分より展示ホールにて行います。受付でネームプレートをお受け取り下さい。
9. 当日の予定は以下の通りです。
準備
10 時 00 分~11 時 00 分
展示
11 時 00 分~17 時 00 分
ポスター質疑 16 時 15 分~17 時 00 分
3. ポスターの展示スペースは、横 90cm×縦 160cm とします。
4. ポスターの貼りつけは、プッシュピンを各自ご用意下さい。
-3-
プログラム
12 月 13 日(土) 【富士見・展示ホール,臨床講義室】
■11:00~17:00 ポスター展示
展示ホール
■10:30~17:00 業者展示
展示ホール
■10:25
歯学会会長挨拶
勝海一郎
富士見ホール
■10:30~12:00 口頭発表(日本語)富士見ホール
■12:00~13:00 昼休み
■13:00~16:00 シンポジウム
富士見ホール
座長 日本歯科大学附属病院総合診療科教授
岡田智雄
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座教授 佐藤 聡
生涯研修コード【2906】
「高齢社会における歯科医療の役割 ―摂食・嚥下、訪問・在宅診療―」
「在宅で“食べる”を支えるということ」
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長 菊谷 武
「地域包括ケアに向けた訪問歯科診療・口腔ケアの在り方と後方支援病院の重要性」
日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科学講座教授 田中 彰
「超高齢社会において口腔保健が果たす役割 ―歯科衛生士の現状と課題―」
日本歯科大学新潟病院歯科衛生士科 藤田浩美
■13:00~13:40 口頭発表(日本語)
7 階臨床講義室
■13:50~15:05 口頭発表(English 学内発表会)
■15:15~16:15 研究推進フォーラム
■16:15~17:00 ポスター質疑
7 階臨床講義室
展示ホール
-4-
7 階臨床講義室
【富士見ホール】
■10:30~12:00 口頭発表
座長 仲谷 寛(附属病院総合診療科)
生涯研修コード【2299】
1-1
MALT1 による口腔扁平上皮癌細胞増殖の GI 期停止
〇千葉忠成 1、川本幸寛 2、大山嘉人 2、美原希美 1、須藤 遥 1、今井一志 1
日本歯科大学生命歯学部生化学講座 1、明海大学歯学部病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学Ⅱ2
1-2
開口器の改良と強制開口法の確立
○都築民幸1、岩原香織1、宮坂 平2
日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座1、日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座2
1-3
子どもマルトリートメントと歯科 ―児童養護施設入所児の口腔内診査からわかったこと―
◯岩原香織、都築民幸
日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座
座長 高塩智子(新潟病院総合診療科)
生涯研修コード【2999】
1-4
フッ化物含有歯磨剤がホワイトニングの効果と歯の表面に与える影響
○干川 摂、松村和洋、中西生美、北 大樹、長谷川充、岡田威一郎、
小林 埋、石川明子
日本歯科大学附属病院 ホワイトニングチーム
1-5
在宅訪問における重症心身障害児の摂食指導
○田村文誉 1,2、町田麗子 1,児玉実穂 1,高橋賢晃 1、白潟友子 1,2、元開早絵 2,3、
水上美樹 2,菊谷 武 1,2,3
日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科 1
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 2
日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学 3
1-6
大動脈弁置換術後のダウン症患者に対する日帰り全身麻酔経験
○大藤理恵 1、石橋彩里 1、安田佑理 1、砂田勝久 1、三浦 誠 2
日本歯科大学生命歯学部歯科麻酔学講座 1、横浜市歯科保健医療センター2
座長 海老原 隆(新潟病院総合診療科)
生涯研修コード【2606】
1-7
食品の硬さの違いによる咀嚼運動の経路,リズム,速度の変化
〇小見野真梨恵、志賀 博、田中 彰、横山正起、小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第1講座
1-8
苦味の認知前後における咀嚼運動の経路とリズム
○岡田大和、志賀 博、中島邦久、横山正起、小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第1講座
1-9
健常者における咀嚼運動速度のパターン
◯上杉華子、志賀 博、中島邦久、横山正起、小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第1講座
-5-
【7 階臨床講義室】
■13:00~13:40 口頭発表
座長 宮坂 平(生命歯学部歯科理工学講座)
生涯研修コード【2609】
1-10
ジルコニア高密度焼結体のレーザーを用いた新しい加工法
○風間―小出未来 1、大熊一夫 2、宮川行男 2
日本歯科大学新潟生命歯学部先端研究センター1
日本歯科大学新潟生命歯学部歯科理工学講座 2
1-11
早期における繰り返しねじり試験によるアバットメントスクリューの緩み
○勝田康弘、渡邉文彦
日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第2講座
座長 五味治徳(生命歯学部歯科補綴学第2講座)
生涯研修コード【2504】
1-12
舌清掃器具の清掃効果の検討(第1報)―人工舌苔形成の試み―
○煤賀美緒 1、大森みさき 2、三上正人 3、土田智子 1、宮崎晶子 1、佐藤治美 1、筒井紀子 1、
元井志保 1、菊地ひとみ 1、両角祐子 4
日本歯科大学新潟短期大学歯科衛生学科 1
日本歯科大学新潟病院総合診療科 2
日本歯科大学新潟生命歯学部微生物学講座 3
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座 4
1-13
歯肉溝滲出液および唾液成分解析の歯周病検査における有用性の比較
○上原 直 1、伊藤 弘 1、沼部幸博 1、関野 愉 1、村樫悦子 1、石黒一美 1、今井一志 2、
戸円智幸 3、小川智久 4、久野彰子 4、橋本修一 5
日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 1、日本歯科大学生命歯学部生化学講座 2、
日本歯科大学生命歯学部共同利用研究センター アイソトープ研究施設 3、
日本歯科大学附属病院総合診療科 4、日本歯科大学生命歯学部 5
-6-
【7 階臨床講義室】
■13:50~15:05 口頭発表(English 学内発表会)
座長 影山幾男(新潟生命歯学部解剖学第1講座)
今井一志(生命歯学部生化学講座)
生涯研修コード【3199】
2-1
The oral environment and salivary fluoride concentration in 4-6-year-old children
〇Terumi Iwasaki, Yoshimori Uchikawa
Pediatric Dentistry, The Nippon Dental University Hospital
2-2
Controlled release of simvastatin from biodegradable hydrogels promotes the formation of
secondary dentin
○Atsuko Miyazawa1, Tomonori Matsuno1, Kazunari Asano1, Yasuhiko Tabata2,
Izumi Mataga1
The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo, Department of Oral &
Maxillofacial Surgery1, Department of Biomaterials, Institute for Frontier Medical Sciences,
Kyoto University2
2-3
Relationship between the incisor position and its lingual surface morphology in normal occlusion
◯Yuh Hasegawa1, Akira Ezura1, Batbayar Nomintsetseg1, Yukari Terashima1, Satoshi Uzuka2,
Kazuto Terada1
Department of Orthodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at
Niigata1, The Nippon Dental University Hospital2
2-4
In vitro study on regeneration of periodontal tissue microvasculature using human
dedifferentiated fat cells
○Yutaka Shimizu1, Mizuki Tsubokawa1, Kosuke Maruyama2, Dai Nakajima2, Soh Sato2,3
Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital1, Department
of Periodontology, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Niigata2,
Division of Cell Regeneration and Transplantation, Advanced Research Center, The Nippon
Dental University School of Life Dentistry3
2-5
Affibody probes for near-infrared fluorescence imaging of HER2-expressing cancer cells in
sentinel lymph nodes
◯Makoto Tsuchimochi1,3,4, Haruka Yamaguchi4, Kazuhide Hayama1, Yasuo Okada2,
Tomoyuki Kawase3,5
Department of Oral and Maxillofacial Radiology1, Department of Pathology2, Advanced
Research Center3, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at
Niigata..Quantitative Diagnostic Imaging Program,The Nippon Dental University Graduate
School of Life Dentistry at Niigata4, Division of Oral Bioengineering, Institute of Medicine
and Dentistry, Niigata University5
-7-
【7 階臨床講義室】
■15:15~16:15 研究推進フォーラム
座長 土持 眞(新潟生命歯学部歯科放射線学講座)
砂田勝久(生命歯学部歯科麻酔学講座)
生涯研修コード【3199】
3-1
PRP中に含まれる細胞増殖因子とゼラチンハイドロゲルスポンジを用いた歯周組織再生
〇中島 大 1,2、田畑泰彦 2、佐藤 聡 1,3
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座 1、京都大学再生医科学研究所生体材料分野 2、
日本歯科大学先端研究センター再生医療学 3
3-2
各種 CAD/CAM システムを用いて製作したクラウンの寸法精度評価
◯清水沙久良 1、黒田聡一 1、新谷明一 1,2、五味治徳 1、新谷明喜 1
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第2講座 1、トゥルク大学 2
3-3
CT画像を用いた3Dプリンタにより作製した下顎骨模型の寸法精度に関する研究
○石田祥己1、宮坂 平1、青木春美1、相馬弘子1、青柳有祐1、三浦大輔1、河合泰輔2、浅海利恵子2、
新谷明喜3、清水沙久良3
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座1、日本歯科大学生命歯学部歯科放射線学講座2、
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第2講座3
3-4
歯周治療を想定した象牙質表面に対する細菌付着の新たな検討
○織田洋武1、佐藤 聡1,2
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座1、日本歯科大学先端研究センター再生医療学1,2
-8-
【展示ホール】
■10:00~17:00 ポスター展示
■16:15~17:00 ポスター質疑
4-1
Enzymatic analysis of quinol peroxidase of aggressive periodontopathic bacterium
Taketo Kawarai, Tasuku Abe, Kiyoshi Konishi
4-2
Morphological Situation of Cross-sectional Surface in the Root Canal Model after Preparation with Ni-Ti
Rotary Files
Mariko Nagashima, Ichiroh Katsuumi
4-3
Antibacterial Effect of New Root Canal Sealer Contained Mainly with Oleic Acid, Eugenol and Zinc Oxide
Munehiro Maeda, Shuichi Hashimoto, Katsumi Ishitsuka, Ichiroh Katsuumi
4-4
Relationship between dental occlusion and decline in ADL level in elderly people receiving home care
Sae Genkai, Takeshi Kikutani, Fumiyo Tamura, Ryo Suzuki, Mitsuyoshi Yoshida
4-5
Immunohistochemical study of differential expressions of cytokeratin-13, -14, -17 and p53 in carcinoma and
epithelial dysplasia of the tongue
Yasuo Okada, Michiko Moride, Hitoshi Hasegawa, Yasuhiro Ohkubo, Yoriaki Kanri, Junya Ono, Hitoe Ishiguro
4-6
Endodontic treatment on maxillary first molar using a microscope and the cone-beam
computed tomography
Kazuo Kitamura, Hiroshi Iwata, SakurakoAsai, Takako Yamazaki, Takashi Ishii, Ichiroh Katsuumi
4-7
An influence of staining solutions and tooth brush abrasion on appearance changes of laboratory composite
Yousuke Nakamura, Yu Kagaya, Seira Shimada, Takako Takei, Tomomi Nakazawa, Maki Fujita, Akikazu Shinya
4-8
硬質レジンおよびセラミックスの曲げ強さに試験法の違いが及ぼす影響
三浦大輔、宮坂 平、青木春美、相馬弘子、青柳有祐、石田祥己
4-9
アマルガム除去時の排水中の水銀量の経時的変化
青木春美、宮坂 平、相馬弘子、青柳有祐、石田祥己、三浦大輔
4-10 アマルガム切削片回収に関する研究
青柳有祐、宮坂 平、青木春美、相馬弘子、石田祥己、三浦大輔
4-11
マイクロ CT による上顎側切歯根管形態の評価
天野亮子、勝海一郎
4-12 マイクロ CT による下顎切歯根管形態の評価
西田太郎、勝海一郎
4-13 高齢者における義歯の装着状態でみた年齢と咀嚼能力との関係
田中優香、志賀 博、田中 彰、沖 淳、石川 忠、高草木章、小池拓郎
4-14 高齢有歯顎者における主観的評価と客観的評価でみた咀嚼能力
山本早織、志賀 博、荒川一郎、中島邦久、藤井重壽、高草木章、小池拓郎
4-15 上下顎前突の下顎歯冠近遠心幅径の特徴について
秋山宗太郎、新井一仁、織田育世、鈴木章弘、生駒美沙、塩谷翔太
4-16 日本歯科大学附属病院平成 26 年度研修歯科医を対象に実施したシムロイド研修の概要
秋山仁志、三代冬彦、宇塚 聡、原 節宏、宮下 渉、岡田智雄、川村浩樹、山瀬 勝、新田俊彦、石田鉄光、山崎孝子、
荘司洋文、後藤尚昭、梅津糸由子、中村仁也、北原和樹、羽村 章
4-17 歯科矯正用ブラケットの素材による脱落頻度の臨床的検証
内田裕子、永島圭悟、宇塚 聡、小森 成
4-18 口腔扁平苔癬,苔癬様口内炎および苔癬様上皮性異形成 190 検体についての免疫組織化学的研究
岡田康男、柬理頼亮、大窪泰弘、石黒仁江、大野淳也、森出美智子、長谷川仁
4-19 慢性硬化性唾液腺炎,Mikulicz 病および IgG4 関連リンパ球形質細胞性慢性唾液腺炎の免疫組織化学的
検討
大窪泰弘、大野淳也、石黒仁江、柬理頼亮、長谷川仁、森出美智子、土持 眞、岡田康男
-9-
4-20 レーザー照射による齲蝕予防に関する研究 ―μCT 法による表層下脱灰と再石灰化の観察―
柬理頼亮、岡田康男
4-21 歯の接触を伴わない努力最大開閉口運動が閉口時の顆頭位に及ぼす影響
小出勝義、小出 馨、水橋 史、高橋 睦
4-22 マウスガードシートの熱収縮を利用した成型方法の検討
高橋 睦、小出 馨、水橋 史、佐藤利英
4-23 歯科領域にて採取可能な生体材料を用いたオーダーメイドの唾液腺再生医療に関する検討
川上未有希、石川 博、高橋 悠、大山晃弘、中原 貴、田中 彰
4-24 同一患者由来の舌癌細胞株(Nialym)と cancer stem cell 株(Nialymsc)ならびに xenograft
由来細胞株(Nialymx)の樹立
高橋 悠、大山晃弘、豊村順子、川上未有希、石川 博、中原 貴、田中 彰
4-25 高グルコース条件下におけるヒト歯根膜由来血管内皮細胞の性状変化
丸山昂介、坪川瑞樹、清水 豊、佐藤 聡
4-26 口腔扁平上皮癌細胞における RASSF-1A の点突然変異解析
谷島康太、福江武洋、田中崇之、井上瑛美子、永瀬啓樹、小牧令典、白井雅美、秋知美穂、大西洋揮、小林公彦、野村茜里、
松尾恭子、山内直樹、美原希美、須藤 遥、今井一志、千葉忠成
4-27 歯科理工学研究会の学生における学年の違いによる印象材の取り扱い技術
大山 豪、山田憲二、鈴木智之、原 新子、平野萌香、宮坂 平、青柳有祐、青木春美
4-28 金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた三ユニット
ブリッジ治療
五味治徳、新谷明一、石田鉄光、秋山仁志
4-29 ホームホワイトニングの効果と後戻りを考察した一症例
櫻田綾子、安倍美紀、高山理恵、石川明子
4-30 新生児期の気管チュ-ブ留置により生じたエナメル質形成不全の1例
松崎祐樹、内川喜盛、柳下寿郎、白瀬敏臣
4-31 口腔癌再建手術症例における術後感染予防に対する口腔ケアの有用性に関する検討
佐藤英明、田中 彰
4-32 本学APDSA部による学生の国際交流について
久保田麻莉、菊地翔太、住友のぞみ、藤田 遥、後藤 遥、佐久間怜那、新井修平、柴崎皓一、梅原菜愛、大滝真央、
石田理沙子、澤田伊央理、菊池憲一郎
4-33 地域包括ケアに向けた訪問歯科医療の現状と課題を考察する
城井友幸、澤田伊央理、田中 彰
4-34 セラミックプライマー処理したジルコニアに対するセルフアドヒーシブセメントと接着性レジン
セメントの接着強さ
新妻瑛紀、新谷明一、黒田聡一、五味治徳、新谷明喜
4-35 Quality of Life におよぼす熱可塑性樹脂の表面性状の変化
山口彩那,上田康平,梅田魁人,岸 里香,関口貴之,中島健太郎,初瀬毅俊,黒田聡一
4-36 前歯部におけるレジンクラスプの検討-強度と審美の融合
竹井 潤,飯島考守,武井正己,赤間亮一,長谷部俊一,富永 毅,齋藤勝紀
- 10 -
シンポジウム
(13:00-16:00)
1.在宅で“食べる”を支えるということ
講師:菊谷
武
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック
院長
患者の食べることの可否やどの程度までの食形態が安全に食べることができるかということについ
ては,患者本人の摂食機能にのみ左右されるものではない。患者の摂食機能は,それを決定する一つの
指標に過ぎなく,むしろ,患者を支える環境因子こそがこれを決定する際に大きな影響を与えるともい
える。すなわち,患者の咀嚼機能や嚥下機能が大きく障害されていても,患者の機能に適した食形態を
提供できる体制であれば,さらには,食事の介助場面においても適正な食事姿勢をとることができ,十
分な見守りのもと介助できる環境であれば,患者は安全に食べることができる。一方,患者の咀嚼機能
や嚥下機能がたとえ十分に備わっていたとしても,患者を支える体制がとれない環境においては,いつ
何時,窒息事故や誤嚥事故が発生してもおかしくはない。特に、上記のような患者に対する環境因子の
影響は、在宅療養者において顕著で、いわゆる介護力に左右されるのはいうまでもない。そこで、私た
ちは在宅療養中の摂食嚥下障害を持つ患者さんの支援を目的に、「日本歯科大学口腔リハビリテーショ
ン多摩クリニック」を開設した。クリニックでは、歯科医師、医師、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄
養士が勤務し、外来および訪問診療において摂食支援、栄養支援を行っている。ここでは、地域におけ
る病診連携や地域における多職種連携など縦糸と横糸をつなぐ作業に腐心することになる。本講演では、
北多摩南部地域におけるわたしたちの地域での取り組みと、他地域でのシステム支援について紹介する。
略歴:平成元年
歯学部附属病院高齢者歯科診療科入局
平成 13 年 10 月
附属病院
口腔介護・リハビリテーションセンター
センター長
平成 17 年 4 月 助教授
平成 19 年 4 月 准教授
平成 22 年 4 月 教授
平成 22 年
6月
大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学教授
平成 24 年
1月
東京医科大学兼任教授
平成 24 年 10 月
口腔リハビリテーション多摩クリニック
院長
平成 21~23 年度厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)
「介護予防における口腔機能
向上・維持管理の推進に関する研究」主任研究者
平成 24~26 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)
「歯科介入型の新たな口腔管理法の開発及び介入効果の検証等に関する研究」主任研究者
平成 26~28 年度厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)
「地域包括ケアにおける摂食
嚥下および栄養支援のための評価ツールの開発とその有用性に関する検討」主任研究者
11
シンポジウム
(13:00-16:00)
2.地域包括ケアに向けた訪問歯科診療・口腔ケア
の在り方と後方支援病院の重要性
講師:田中
彰
日本歯科大学新潟生命歯学部
新潟病院
口腔外科学講座
地域歯科医療支援室
教授
室長
地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で最後まで暮らせること
を目的に、医療・介護・予防・住まい・生活支援などの様々なサービスを一体的に提供する体制で、少
子高齢化社会の進行に伴い、国策として構築が進められている。一方、歯科分野では、歯科医療の在り
方として、
「生きる力を支援する生活の医療」として地域と協働し、生涯にわたって全身の健康を保持・
増進するための歯科医療が求められている。そのためには、要介護状態になった時点からの、歯科によ
る専門的口腔ケアの介入と、シームレスな在宅歯科診療、訪問口腔ケアへの移行が重要となり、終末期
にいたるまで、患者に寄り添う歯科医療が理想といえよう。現在、その実現に向けて、在宅歯科医療、
訪問口腔ケアの充実と、地域在宅医療や介護との連携強化を目的に、在宅歯科医療連携室の設置や、退
院時カンファレンスの導入などが進められているが、課題が多く、地域に浸透していないのが現状であ
る。現在、急性期病院では、DPC に関連して退院支援部門が強化され、その一環として退院後も在宅医
療が必要な患者には、退院時カンファレンスを実施し、シームレスな多職種連携による在宅医療が推進
されており、診療報酬上も手厚くカバーされている。一方、急性期医療の現場では、周術期、感染管理、
呼吸ケア、がん治療、栄養サポート、摂食・嚥下などに関するチーム医療に歯科医師や歯科衛生士が、
口腔ケアや口腔機能向上訓練や摂食・嚥下訓練に関わることが必要不可欠になりつつある。これらの病
院機能が、退院後も居宅において継続して行えるようなシステムとして、退院時カンファレンスや地域
連携パスへの歯科の参画と、これらを後方支援する病院歯科機能が求められている。
現在、新潟病院は、新潟市歯科医師会、新潟市信楽園病院と協動し、急性期病院から居宅へとシーム
レスな在宅歯科医療をめざした退院時カンファレンス事業を行っており、さらに地域在宅歯科医療の後
方支援病院の役割を担っている。その現状と課題について紹介する。
略歴:平成 2 年 3 月日本歯科大学新潟歯学部
平成
卒業
6 年 3 月日本歯科大学大学院新潟歯学研究科
平成 17 年 4 月日本歯科大学新潟歯学部附属病院
修了
博士(歯学)
口腔外科
平成 18 年 4 月日本歯科大学新潟病院
地域歯科医療支援室
平成 24 年 4 月日本歯科大学新潟病院
口腔外科
平成 26 年 1 月 日本歯科大学新潟生命歯学部
室長併任
教授
口腔外科学講座
新潟県歯科保健医療対策専門委員/新潟県歯科医師会
新潟県歯科医師会
助教授
災害歯科医療コーディネーター
12
主任教授
医科歯科連携運営協議会委員
シンポジウム
(13:00-16:00)
3.超高齢社会において口腔保健が果たす役割
―歯科衛生士の現状と課題―
―歯科衛生士の現状と課題―
講師:藤田浩美
日本歯科大学新潟病院歯科衛生士科
わが国では、欧米諸国に比べ社会の高齢化がきわめて急速に進行し、世界中のだれもが経験したこと
のない社会を迎えている。今後は高齢化した社会がさらに高齢化する「超高齢社会」となる。長寿社会
の到来は、本来望まれる喜ぶべき誇れることであるにもかかわらず大きな社会問題としてとらえられて
いる。長寿化が問題となっている一つには、平均寿命と健康寿命との差が挙げられる。2013 年には男
性で 9.02 年、女性は 12.40 年と平均寿命が健康寿命より長くなっており、その間は日常生活に何らか
の支援が必要となる可能性がある。加齢にともない確実に生じるさまざまな老年症候群、要介護高齢者
と認知症高齢者の急増、後期高齢者での避けられない虚弱化など、不健康長寿期間を乗り越える覚悟が
必要な時代となった。超高齢社会において高齢者の健康を維持するためには、病気の予防だけでなく、
健康要素である生活機能の維持向上と要介護状態となることの予防が重要となる。高齢者の保健(予防)
、
医療(治療)
、福祉(ケア)のありようを専門職に限らず、国民一人ひとりがそれぞれの地域で考えな
くてはならなくなった。口腔保健もこのような時代や社会からの要望に対応していかなければならない。
歯科専門職にはそのための技量、知識が広く求められることになる。そして、今後ますます在宅医療に
対する期待とニーズは大きくなり、歯科も訪問診療のチームにメンバーとして携わることが必然になっ
てくると考えられる。訪問診療は、医療のみで完結するものではなく、保健、医療、福祉などの多職種
からなるチームサービスであり、それらの連携が非常に重要となる。状況、情報、スキル、理念などを
共有するために高いコミュニケーション能力が必要になってくる。歯科医療、口腔保健に関しては歯科
がコーディネーターとなり、リーダーシップを発揮していかなければならない。なかでも口腔保健は、
介護予防と密接に関連しており、歯科医師とともに歯科衛生士が活躍できる機会が広がると予想される。
現在でも、一部の歯科衛生士がそのような立場で活躍してはいるものの、使命感をもった勇気ある歯科
衛生士が現場で実践しながら、手探りで独自にスタイルを確立している場合がほとんどとみられる。こ
れからは、目標を定めた的確な人材育成が必要であり、歯科衛生士の教育プログラムとキャリア開発を
系統立てて確立することが急務と考える。また、このような現状に即した歯科衛生士業務の適切なガイ
ドラインの策定と高度な医療技術が必要となる業務にともなうリスク保障の整備などが求められる。
略歴:昭和 60 年
日本歯科大学附属新潟専門学校(現日本歯科大学新潟短期大学)卒業
昭和 60 年
日本歯科大学新潟歯学部附属病院(現日本歯科大学新潟病院)歯科衛生科勤務~現在
平成 11 年
介護支援専門員実務研修修了
平成 13 年
介護支援専門員登録
平成 21 年
院内感染予防対策認定歯科衛生士(日本口腔感染症学会)
平成 25 年
日本女子大学家政学部通信教育課程食物学科卒業(家政学士)
13
口頭発表・抄録
1.口頭発表
1-1
MALT1 による口腔扁平上皮癌細胞増殖の G1 期停止
○千葉忠成 1,川本幸寛 2,大山嘉人 2,美原希美 1,須藤 遥 1,今井一志 1
1 日本歯科大学生命歯学部生化学講座,2 明海大学歯学部病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学 II
G1 arrest of oral carcinoma cell proliferation by mucosa-associated lymphoid tissue 1
○Tadashige Chiba1, Yukihiro Kawamoto2, Yoshito Ohyama2, Nozomi Mihara1, Haruka Sudo1, Kazushi Imai1
1Department of Biochemistry, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University, 2Division of Oral and
Maxillofacial Surgery 2, Department of Diagnostic & Therapeutic Sciences, School of Dentistry, Meikai University.
【目的】口腔扁平上皮癌患者の予後不良の原因を解明することは,癌の克服に極めて重要な課題である.口腔扁平上皮癌
進展には癌細胞の増殖能,分化能および浸潤能などが影響するが,その制御機構に関しては不明な点が多い.これまでに
我々は,口腔扁平上皮癌において Mucosa Associated Lymphoid Tissue lymphoma translocation 1 (MALT1)の発現
上昇が癌の進展を抑制することを明らかにしてきた.本研究では,口腔扁平上皮癌細胞での MALT1 の発現上昇が細胞増
殖能との関連について検討した.
【方法】扁平上皮癌細胞 HSC2 に MALT1 を恒常的に発現する細胞(wtMALT1HSC2)と
発現ベクターのみを導入した細胞(mockHSC2)を用いて以下の実験を行った.1)蛍光試薬にて,mockHSC2 と wtMALT1HSC2
の増殖能を調べた.2)フローサイトメーターで,mockHSC2 と wtMALT1HSC2 の各細胞周期の変動を調べた.3)ウエス
タンブロット法で,mockHSC2 と wtMALT1HSC2 の細胞周期マーカーの p21Cip1,p27Kip1,CDK2,Rb,pRb の変動を調べ
た.
【結果】細胞増殖能は wtMALT1HSC2 で低下が認められた.細胞周期解析では,wtMALT1HSC2 で S 期,G2/M 期が減少
し,G1 期の上昇が認められた.細胞周期マーカーは,wtMALT1HSC2 で p21Cip1,p27Kip1 の増加が認められた.また,Rb
のリン酸化(pRb)が抑制されていることがわかった.CDK2 の発現量に変動はなかった.
【結論】MALT1 の発現量の
増加に伴い,細胞の増殖能が低下した.p21Cip1,p27Kip1 の増加 Rb のリン酸化(pRb)抑制,さらに細胞周期解析から,
MALT1 発現増加における,細胞増殖能の低下は細胞周期の G1 期で停止が関与していると示唆される.
1-2
開口器の改良と強制開口法の確立
○都築民幸 1,岩原香織 1,宮坂 平 2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座,2 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
The improvement of the mouth gag and establishment of the forced opening method for postmortem dental
inspection
○Tamiyuki Tsuzuki1, Kaori Iwahara1, Taira Miyasaka2
1Department of Forensic Dentistry, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, 2Department of
Dental Material Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】確実な歯科検査には,開口処置が必須である.しかし,汎用されている Roser-Koenig 開口器は,口腔内挿入部
が厚いため挿入しにくく,死後硬直の著しい遺体においては開口操作時荷重(以下,開口力)が不十分であった.さらに
遺体や遺族の尊厳を守るためには,検査後の閉口処置が求められる.今回,Roser-Koenig 開口器の改良と評価,検査後
の閉口処置について検討を行ったので報告する.
【方法】Roser-Koenig 開口器は,
(株)池田理化,
(株)野中理化器製作
所に依頼し,口腔内挿入部厚をより薄くし,ピボット部より先端部を約 10 mm 短くした.開口力の計測は,MKS 精密
力量測定機(丸菱科学機械製作所)の治具間に各開口器先端部を挟んだ状態で開口操作を行い,その際の荷重を記録し評
価した.改良型開口器を用いて開口し検査を行った遺体に対し,各種の閉口処置を試み評価した.【結果と考察】今回,
口腔内挿入部の器具滑落防止のための表面形状を変え,厚さを Roser-Koenig 開口器の約半分の 1.7 mm に薄くした.そ
の結果,改良型開口器は臼歯部上下顎間に比較的容易に挿入することが可能になり,かつ,器具の滑落等を起こりにくく
することができた.また,開口器のピボット部より先端の長さを約 10 mm 短くすることにより,Roser-Koenig 開口器
では約 240 N(約 25 kgf)であった開口力を,改良型開口器では約 460 N(約 47 kgf)に増大させることが可能となっ
た.改良型開口器を用いることで強制開口後,口腔内画像採取,エックス線画像採取等,適切な死後資料採取が行えた.
また,検査後に行われる閉口処置は,シアノアクリレート系接着剤を適用することで,より簡便に閉口状態を維持できた.
1-3
子どもマルトリートメントと歯科 ―児童養護施設入所児の口腔内診査からわかったこと―
○岩原香織,都築民幸
日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座
Child maltreatment, what was derived from dental examination of the children who live in the child-care facilities
○Kaori Iwahara, Tamiyuki Tsuzuki
Department of Forensic Dentistry, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】虐待と歯科疾患の関連について数々の調査が行われているが,母集団により結果は異なり,明確な判断基準はな
い.演者らは,「虐待の危険度の増大による最悪な状況への移行を防止し,子どもの命を救う一助とすること」,「子ども
の健全な成長発育に影響する歯科保健に貢献すること」,
「歯科医師による虐待の早期発見,防止,子育て支援につなげる
14
こと」
,
「多職種間での連携につなげること」を目的とし,養護施設入所児の口腔や身体ならびに生活情報の調査を行った.
【方法】某市内の養護施設入所児を対象として,基礎情報の収集と歯科検査を行った.基礎情報の収集は,調査票および
聴き取りにより行い,歯科検査は学校歯科健康診断の方法に準じて行った.なお,調査に際しては,個人情報保護の観点
から,調査票等には個人名を記載せず,施設職員が個人番号を設定し,匿名性の確保に配慮した.
【結果】施設入所児 122
名のう蝕経験歯数と対照(平成 23 年度歯科疾患実態調査)とを比較した結果,乳歯列期は 2 名(10.5%)
,混合歯列期は
12 名(20.0%)
,永久歯列期は 16 名(37.2%)の子どもがより多くのう蝕経験歯を有していた.乳歯列期や永久歯列期で
は,過去の口腔衛生不良を示す治療痕等が残存していた.また,混合歯列期のう蝕経験は乳歯に起因するものが多かった.
【考察】乳歯列期や永久歯列期では,養育者の無関心に起因する所見が残存しているため,歯科検査により養育状況が推
測できると考えられた.しかし,混合歯列期,とくに後期から永久歯列期前期では,それ以前に所見があったとしても,
永久歯への交換により,痕跡が喪失する可能性が考えられる.そのため,この時期の子どもは歯の所見だけでなく,軟組
織の所見にも注意を払い,永久歯にう蝕がなくても楽観視せず,定期的な関わりを持つことが望まれた.
1-4
フッ化物含有歯磨剤がホワイトニングの効果と歯の表面に与える影響
○干川 摂,松村和洋,中西生美,北 大樹,長谷川充,岡田威一郎,小林 理,石川明子
日本歯科大学附属病院 ホワイトニングチーム
The influence of whitening effect and tooth surface by fluoride –containing pastes
○Setsu Hoshikawa, Kazuhiro Matsumura, Ikumi Nakanishi, Daiju Kita, Mitsuru Hasegawa, Iichiro Okada, Osamu
Kobayashi, Akiko Ishikawa
The Nippon Dental University Hospital at Tokyo, Team of Whitening
【目的】オフィスホワイトニングの術前研磨にフッ化物含有研磨剤を用いるとどのような影響を与えるか,ホワイトニン
グ効果と歯の表面性状について検討を行った.【方法】ホワイトニング材は Pyrenees(PYR;三菱瓦斯化学株式会社),
Hi Lite(HIL;株式会社松風),Tion In Office(TON;株式会社ジーシー)の 3 種を用いた.各種ホワイトニング材に
つき 3 本ずつ,計 15 本の前歯抜去歯を用いた.抜去歯を歯冠部中央から近遠心に二等分し,近心部はフッ化物を含有し
ていない歯面研磨ペーストプレサージュ(株式会社松風)
,遠心部はフッ化物含有(900ppm)PTC ペーストレギュラー
(株式会社ジーシー)を使用し回転数 3,000rpm でポリッシングブラシを用いて 5 分間研磨を行った.研磨後,各社指定
の方法で施術した.ホワイトニング材への光照射は Curing Light XL3000(3M ESPE)を用いた.ホワイトニングは 1
日につき 3 回の薬剤塗布を行い,計 3 日間施術した.施術終了毎に,測色計 ShadeEye NCC(株式会社松風)を用いて
L*,a*,b*の測定を行った.得られた値より術前との色差を求め3元配置分散分析を行った.また,走査型電子顕微鏡
(SEM)にて歯の表面性状を観察した.【結果】ホワイトニング材の効果は,HIL>TON>PYR の順に色差(ΔE*ab)
が大きくなり有意差が認められた.ホワイトニング回数が増加するにつれて色差は,大きくなった.研磨剤のフッ化物有
無については統計学的に有意差が認められ,フッ化物含有研磨剤を用いた方が,ホワイトニング効果が大きくなった.
SEM による歯の表面性状の観察では,エナメル質表層は,フッ化物含有の有無で差が認められなかった.【結論】ホワ
イトニング効果は HIL>TON>PYR であり,有意な差が認められた.また施術回数が多くなるにつれてホワイトニング
効果は増加した.術前に用いる研磨剤はフッ化物含有の有無に関わらず,ホワイトニング効果を減弱させることがなかっ
た.従って,臨床における術前研磨ではフッ化物含有研磨剤を推奨する.
1-5
在宅訪問における重症心身障害児の摂食指導
○田村文誉 1,2,町田麗子 1,児玉実穂 1,高橋賢晃 1,白潟友子 1,2,元開早絵 2,3,水上美樹 2,菊谷武 1,2,3
1 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科,2 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック,
3 日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学
Dysphagia therapy for severe disabled children by home visit
○Fumiyo Tamura, Reiko Machida, Miho Kodama, Noriaki Takahashi, Tomoko Shirakata, Sae Genkai, Miki
Mizukami, Takeshi Kikutani
1Division of Rehabilitation for Speech and Swallowing Disorders, The Nippon Dental University, Dental Hospital
2The Nippon Dental University Tama Oral Rehabilitation Clinic, 3Division of Clinical Oral Rehabilitation, The
Nippon Dental University
【目的】在宅生活を送る超重症児の増加に伴い,訪問診療での訪問摂食嚥下リハビリテーション(以下,摂食指導)の要
望が高まっている.日本歯科大学口腔リハビリテーション科は附属病院と多摩クリニックにおいて,小児患者への訪問摂
食指導を行ってきた.当科の訪問診療は,摂食指導を主としており,歯科的口腔管理については近隣の地域歯科医師への
紹介連携にて対応することを基本としている.今回,訪問摂食指導を通じて若干の知見を得たので報告する.【方法】対
象は,附属病院が 2011 年 1 月から,多摩クリニックが 2012 年 10 月から 2014 年 10 月までに訪問した,摂食嚥下障害
のある在宅小児患者 36 名(附属病院 26 名,多摩クリニック 10 名,初診時年齢 0 歳 8 か月~13 歳)である.対象者の
診療録の記載から,基礎情報,訪問診療の経過,摂食機能段階について調査,分析を行った.なお,患者情報を集計し,
発表するに当たり,保護者の同意を得ている.
【結果】依頼ルートは,訪問看護師が 21 名(58.3%)と最も多く,歯科主
治医からは 2 名(5.6%)であった.原疾患は脳性麻痺,染色体異常,低酸素性虚血性脳症等,さまざまであった.主訴
は,全員が摂食嚥下機能の獲得を目標としていたが,5 名(13.9%)は最初から経口摂取移行の希望はみられなかった.
初診時の栄養ルートは胃瘻などの経管栄養が 31 名(86.1%),経口摂取が 5 名(13.9%)であった.気管切開を施行され
ている者は 18 名(50.0%)であった.多くが訪問継続中であり,地域歯科医師に繋げられた者は 3 名(8.3%)と少なか
った.
【結論】在宅生活を送る超重症児の摂食嚥下機能障害は重篤であり,経口摂取移行困難者が多くみられた.よって,
15
摂食指導は,口腔咽頭機能の賦活化による廃用防止のストラテジーが重要であった.また,居住する地域歯科医師との連
携が,今後の喫緊の課題であると考えられた.
1-6
大動脈弁置換術後のダウン症患者に対する日帰り全身麻酔経験
○大藤理恵 1,石橋彩里 1,安田佑理 1,砂田勝久 1,三浦 誠 2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科麻酔学講座,2 横浜市歯科保健医療センター
An ambulatory anesthesia for Down syndrome patient after aortic valve replacement
○Rie Daito1, Sari Ishibashi1, Yuri Yasuda1, Katsuhisa Sunada1, Makoto Miura2
1Department of Dental Anesthesiology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo, 2Yokohama
Dental Health and Medical Center
【目的】弁置換術を受けた患者に麻酔薬を投与すると心機能が低下することがある.今回,大動脈弁置換術後のダウン症
患者に全身麻酔を施行したところ高度の徐脈と血圧低下を認めた症例を経験したので報告する.
【症例】49 歳男性,身長
148cm,体重 51kg,生後間もなくダウン症と診断された.重度の大動脈弁閉鎖不全症とそれに伴う感染性心内膜炎によ
って繰り返し心不全を発症したため,48 歳時に大動脈弁置換術を受けた.内科主治医からは運動制限の指示はない.甲
状腺機能低下症とてんかん,高尿酸血症を合併している.術前の心エコー検査では左室駆出率 51%であったが,肺動脈
弁と三尖弁に逆流を認めた.
【結果】1 回目:静脈路確保後,アンピシリン 1g の投与を開始し,心拍数が 38bpm であっ
たため,エフェドリン 8mg を投与した.プロポフォールで急速導入し,ロクロニウムで経鼻挿管を行った.酸素,セボ
フルラン,プロポフォールで維持をしていたところ,徐脈と血圧低下を繰り返したため,セボフルランの投与を中止した.
治療時間は 4 時間 27 分,麻酔時間は 5 時間 15 分であった.2 回目:静脈路確保後,アンピシリン 1g の投与を開始した.
亜酸化窒素,酸素,セボフルラン,プロポフォールで導入を開始したところ,心拍数が 42bpm であったため,エフェド
リン 20mg を筋肉内投与した.その後ロクロニウムで経鼻挿管を行い,酸素,空気,プロポフォールで維持をしていたと
ころ,徐脈と血圧低下を繰り返したため,エフェドリン 20mg を筋肉内投与した.治療時間は 4 時間 11 分,麻酔時間は
5 時間 25 分であった.1 回目,2 回目ともに覚醒は良好で問題を認めなかった.
【結論】心不全発症後に大動脈弁置換術
が施行されたため心予備力が低く,臨床使用濃度のセボフルランや臨床投与量のプロポフォールによって循環抑制が生じ
たと考えられた.
1-7
食品の硬さの違いによる咀嚼運動の経路,リズム,速度の変化
○小見野真梨恵,志賀 博,田中 彰,横山正起,小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 1 講座
Change of Masticatory Path, Rhythm, and Velocity during Chewing as Seen from the Different Hardness of Food
○Marie Komino, Hiroshi Shiga, Akira Tanaka, Masaoki Yokoyama, Mari Koike
Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】食品の硬さが増すと咬筋筋活動が増大することが以前の報告で明らかになっている.本研究の目的は,食品の硬
さの違いによる咬筋筋活動の変化に咀嚼運動がどのように対応しているかを明らかにすることである.
【方法】本研究は,
日本歯科大学生命歯学部の倫理委員会の承認のもとに行なった.被験者は,全身と咀嚼系に臨床的な異常が認められない
健常者 20 名(男性 10 名,女性 10 名,21~38 歳,平均年齢 25.3 歳)を選択した.被験食品は直径約 14 mm,高さ約
10 mm の円柱状で,重量約 2 g のグミゼリー1 個を用い,ゼラチン含有量を 6 %,8 %,10 %の 3 段階に変化させ,3 種
類の硬さにした.記録は,被験者に硬さの異なる 3 種類のグミゼリーを主咀嚼側で 20 秒間咀嚼させた時の下顎切歯点の
運動を MKG K-6I®,咬筋筋活動は多用途計測記録装置(RM-6000®)をそれぞれ用いて行なった.分析は,咀嚼開始後
の第 5 からの 10 サイクルについて,運動経路(開口量と咀嚼幅)
,運動リズム(サイクルタイム)
,運動速度(開口時最
大速度と閉口時最大速度),筋活動(咬筋筋活動の積分値)をそれぞれ求めた.次いで,硬さの違いによる運動経路,運
動リズム,運動速度の変化を観察した.
【結果】咬筋筋活動の積分値は 6 %で最も小さく,8 %,10 %の順に大きくなる
傾向を示した.食品の硬さの違いによる咀嚼運動の変化は,開口量,サイクルタイム,速度が全て増大するパターン A,
開口量と速度が増大し,サイクルタイムが変化しないパターン B,開口量が 6 %から 8 %にかけてのみ増大し,サイクル
タイムが増大または変化しないパターン C の 3 つに大別された.なお,咀嚼幅には一定の傾向は認められなかった.
【結論】食品の硬さの違いに対し,咀嚼運動の経路,リズム,速度の全てあるいはそれらの一部を変化させて,咬筋筋活
動を変化させていることが示唆された.
1-8
苦味の認知前後における咀嚼運動の経路とリズム
○岡田大和,志賀 博,中島邦久,横山正起,小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 1 講座
Masticatory Path and Rhythm before and after Recognizing Bitterness
○Yamato Okada, Hiroshi Shiga, Kunihisa Nakajima, Masaoki Yokoyama, Mari Koike
Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】本研究は,食品の性状における味,特に苦味の認知前後における咀嚼運動の変化を明らかにする目的で,健常者
に苦味の異なるグミゼリーを咀嚼させた時の下顎切歯点の運動経路とリズムについて分析した.【方法】本研究は,日本
16
歯科大学生命歯学部の倫理委員会の承認のもとに行った.健常男性 10 名(22~28 歳,平均年齢 25.3 歳)に,苦くない
グミゼリーとキニーネを 0.032 %添加した苦いグミゼリーの 2 種類を主咀嚼側で嚥下させずに 20 秒間咀嚼させ,下顎切
歯点の運動を Mandibular Kinesiograph (K-6I®)で記録した.被験者には苦味を認知した時にスイッチを押してもら
い,スイッチを押す前の 12 サイクルからの 10 サイクルを苦味前,スイッチを押した後の 3 サイクルからの 10 サイクル
を苦味後とし,下顎切歯点の運動の定量的指標を求めた.同様に,この分析区間を苦くないグミゼリーにも適用し,定量
的指標を求めた.次いで,苦味前に対する苦味後の比を算出し,両咀嚼間で比較した.運動経路に関しては,垂直的運動
量を表す開口量と側方的運動量を表す咀嚼幅,運動リズムに関してはサイクルタイムの各平均をそれぞれ定量的指標とし
た.
【結果】各被験者の 2 種類のグミゼリー咀嚼時の運動経路は,垂直的・側方的運動量を表す開口量と咀嚼幅のどちら
も一定の傾向を示さず,両咀嚼間に有意差が認められなかった.一方,運動リズムを表すサイクルタイムの平均は,苦い
グミゼリー咀嚼時の方が苦くないグミゼリー咀嚼時よりも延長する傾向を示し,苦味の有無による有意差が認められた.
【結論】これらのことから,食品の味,特に苦味の違いは,咀嚼時の運動経路には影響を及ぼさないが,運動リズムには
影響を及ぼすことが示唆された.
1-9
健常者における咀嚼運動速度のパターン
○上杉華子,志賀 博,中島邦久,横山正起,小池麻里
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 1 講座
Patterns of Masticatory Movement Velocity in Healthy Subjects
○Hanako Uesugi, Hiroshi Shiga, Kunihisa Nakajima, Masaki Yokoyama, Mari Koike
Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】咀嚼運動は食品や咀嚼方法などの咀嚼条件の影響を受け,健常者であっても変動する.したがって,この変動は,
咀嚼運動を評価する際にできる限り少なくされなければならないことが指摘されている.そこで,本研究では,咀嚼運動
速度のパターンを明らかにする目的で,咀嚼条件に留意し,健常者のチューインガム咀嚼時の運動速度について分析した.
【方法】本研究は,日本歯科大学生命歯学部の倫理委員会の承認のもとに行った.被験者は,健常者 40 名(21~38 歳,
平均年齢 27.8 歳)とした.記録は,軟化したチューインガム 1 枚を主咀嚼側で 20 秒間咀嚼させた時の下顎切歯点の運
動を Mandibular Kinesiograph (K6-I®)を用いて行った.分析は,咀嚼開始後第 5 からの 10 サイクルについて,各サ
イクルの中心咬合位を基準にして,縦軸を垂直成分,横軸を速度成分で表示した開閉口路を上下的に 10 分割し,これら
の指標値から平均経路を算出後,この平均経路上の開閉口時の最大速度の発現時期を前期,中期,後期に分類して調べた.
次いで,咀嚼開始後第 5 から第 14 サイクルまでの咀嚼運動速度の重ね合わせ表示と平均経路,ならびに最大速度の発現
時期から,各被験者の速度のパターンを観察した.【結果】最大速度は,開口時では前期と中期に発現したが,閉口時で
はほとんどが中期に発現し,被験者間に差が見られなかった.咀嚼開始後第 5 から第 14 サイクルまでの咀嚼運動速度の
重ね合わせ表示と平均経路の観察から,運動速度は,開口前期で速度が最大になり,その後減少するパターンと,開口中
の速度の変化が少なく,中期で速度が最大になるパターンの 2 種類が見られた.
【結論】咀嚼条件に留意し,健常者のチ
ューインガム咀嚼時の咀嚼運動速度について分析した結果,咀嚼運動速度のパターンは 2 種類に分かれ,それぞれ異な
る咀嚼運動を行っていることが示唆された.
1-10
ジルコニア高密度焼結体のレーザーを用いた新しい加工法
○風間-小出未来1,大熊一夫2,宮川行男2
1
日本歯科大学新潟生命歯学部先端研究センター,2日本歯科大学新潟生命歯学部歯科理工学講座
New machining method of fully sintered zirconia using laser
○Miku Kazama-Koide1, Kazuo Ohkuma2, Yukio Miyagawa2
1Advanced Research Center, The Nippon Dental University School of Life Dental at Niigata, 2Department of Dental
Materials Science, The Nippon Dental University School of Life Dental at Niigata
【目的】ジルコニアは,セラミックスの中で4歯以上のブリッジに応用出来る唯一の材料であるが,硬すぎてダイヤモン
ドツールを用いた CAD/CAM 加工が困難である.そのため,柔らかいジルコニア半焼結体を加工し,その後焼結するが,
約 20%の体積収縮が生じるため,補正して加工し収縮分を補っている.これらの煩雑な方法を改良するため,パルス幅
がナノ秒台の Nd:YVO4 ナノ秒レーザーを用いて,完全焼結体を直接加工する方法を考案した.本研究の目的は,ナノ秒
レーザーで製作したコーピングの精度等を測定することにより,ジルコニア焼結体のレーザー加工の実用可能性を明らか
にすることであった.【方法】イットリア安定化正方晶ジルコニア(以下,Y-TZP)半焼結体を加工して焼成炉にて焼
結し,Y-TZP 焼結体とした.Nd:YVO4 ナノ秒レーザーで Y-TZP 焼結体を加工したときの最適加工条件を明らかにす
るため Y-TZP 焼結体に 6 つの異なる平均出力(3,6,7,5,9,12,14W)で1パルス照射し,各平均出力におけるレーザー
被照射面の中心線平均粗さと加工深度を測定した.下顎第一大臼歯を想定した支台歯に適合する Y-TZP コーピングを
加工した後,三次元測定装置を用いて測定し,その 3D-CAD データを目標とする形態と比較することにより,加工精
度を測定した.また,コーピングを切断し,レーザー被照射層の相変態の範囲をラマン分光分析法により観察した.
【結果】中心線平均粗さの小さい平均出力 6W と 7.5W のうち,加工深度の大きい 7.5W を本実験の最適条件とした.
この条件を用いて製作した Y-TZP コーピングは,テーパー10.9°(SD:0.18°)で,目標としたテーパーとなった.
【結論】レーザー加工した Y-TZP コーピングは,良好な精度が得られ,レーザーを用いて Y-TZP 完全焼結体から直接加
工することで外側性修復物である Y-TZP コーピングを製作できることが明らかとなった.本研究結果より,ジルコニア
焼結体の Nd:YVO4 ナノ秒レーザー加工が,現在主流の CAD/CAM による煩雑な工程を単純化し,それに代替し得る方
法であることが示された.
17
1-11
早期における繰り返しねじり試験によるアバットメントスクリューの緩み
○勝田康弘,渡邉文彦
日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第 2 講座
Abutment screw loosening of endosseous dental implant body/abutment joint by cyclic torsional loading test on the
initial stage
○Yasuhiro Katsuta, Fumihiko Watanabe
The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Department of Crown & Bridge Prosthodontics
【目的】インプラント修復後の補綴的偶発症としてアバットメントスクリューの緩みが報告されている.その原因として,
生理的非生理的機能時に生じる曲げ,引張,ねじれ応力などが考えられる.本研究では緩みの原因として,ねじれに着目
し,実験室内での研究として各種インプラントシステムに繰り返しねじり試験を行い,システムの違いによるアバットメ
ントスクリューの緩みを調べた.【方法】試験試料には臨床で使用されている6種類のインプラント‐アバットメントシ
ステムを用いた.インターナルコネクションとして,Standard plus (Straumann 以下 SP)
,Osseo Speed (Dentsply
IH 以下 OS)
,K Series Promoteplus (Camlog 以下 KP)
,Replace Select (Nobel Biocare 以下 NR)を用い,エク
スターナルコネクションとして,Brånemark MKⅢ (Nobel Biocare 以下 BR)
,SETiO (GC 以下 SE)を用いた.
試料数は各 6 個ずつ,計 36 試料である.繰り返しねじり試験前の緩みトルク値の計測方法として,各メーカー規定締結
トルク値で締結し,5 分後,緩みトルク値を計測した.計測は 2 回行い,2 回目の値を基準とした.繰り返しねじり試験
後の緩みトルク値計測方法として,試料を再度締結し,10 万回の繰り返しねじり試験を行い,試験終了後,緩みトルク
値を計測した.統計学的処理は繰り返しねじり試験前後を対応のあるt検定,システム間の違いを一元配置分散分析,
Tukey の多重比較検定にて分析した.
【結果】繰り返しねじり試験前の緩みトルク値として,SP の緩みトルク値は規定
締結トルク値よりも大きい値を示し,SP 以外は小さい値を示した.繰り返しねじり試験前後で比較すると,対応のある
t検定により SE に有意差を認め,SP,OS,KP,NR に高い有意差を認めた.Tukey の多重比較検定により SP-BR,KP-BR
間に有意差を認め,OS-NR,OS-BR,OS-SE 間に高い有意差を認めた.
【結論】繰り返しねじり試験によりアバットメント
スクリューの緩みが生じること,アバットメントスクリューの緩みの程度はインプラントシステムにより異なることが示
された.
1-12
舌清掃器具の清掃効果の検討(第 1 報)-人工舌苔形成の試み-
○煤賀美緒 1,大森みさき 2,三上正人 3,土田智子 1,宮崎晶子 1,佐藤治美 1,筒井紀子 1,元井志保 1,菊地ひとみ 1,
両角祐子 4
1 日本歯科大学新潟短期大学歯科衛生学科,2 日本歯科大学新潟病院総合診療科,3 日本歯科大学新潟生命歯学部微生物
学講座,4 日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座
A discussion of brushing effect of a tongue cleaner.(The First Report)-Trial of the artificial tongue coating-
Mio Susuga1, Misaki Oomori2, Masato Mikami3, Satoko Tsuchida1, Akiko Miyazaki1, Harumi Sato1, Noriko Tsutsui1,
Shiho Motoi1, Hitomi Kikuchi1, Yuko Morozumi4
1Department of Dental Hygiene, The Nippon Dental University College at Niigata, 2Comprehensive Dental Care,
The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3Department of Microbiology, The Nippon Dental University
School of life Dentistry at niigata, 4Department of Periodontology, The Nippon Dental University School of life
Dentistry at niigata
【目的】舌清掃器具の舌苔除去効果を評価するには,in vivo では個人差が大きく,正確な評価は困難である.再現性の
高い in vitro での舌苔除去効果の評価をすべく,人工舌苔の形成を試みたので報告する.
【方法】1.試験片の作成:本学
職員 1 名の舌の印象をアルジネート印象材にて採得後,シリコンゴム印象材を流し試験片を作製した.2.菌の前培養:S.
mutansB13 株と,C. albicans をそれぞれの培地に接種し,培養した.その後各菌の 1 コロニーをそれぞれ BHI 液体培
地に接種し,前培養した.3.人工舌苔の調製:BHI 液体培地に濾過滅菌したスクロース溶液を加えたもの(A 培地)と,
加えないもの(B 培地)を調製した.その後それぞれの培地をビーカーへ分注し,そこへ試験片を舌面が上になるように
投入した.A 培地には S. mutans を,B 培地には C. albicans をそれぞれ加え,培養した.48 時間後,試験片への人工
舌苔の付着状況を確認した後取り出し室温にて乾燥させた.
【結果・考察】両菌共にビーカー内で増殖がみられたものの,
試験片上での形成を認めたのは S. mutans のみであった.これは,S. mutans は不溶性の菌体外多糖を自ら作ることが
出来るため,それが試験片上への付着の足掛かりとなり,さらに増殖し堆積したのではないかと考える.一方 C. albicans
のバイオフィルム形成には,唾液の凝集作用が大きく関わっているとの報告があることから,今回調整過程の中で唾液を
使用しなかったことが,試験片上での人工舌苔形成に至らなかった理由の一つとして考えられる.またその他に分離株の
増殖速度や付着力などの,菌株自体の性質にも問題があった可能性もあると考えられる.
【結論】S. mutans を使用した
人工舌苔を,非生体的な試験片上で形成させることができた.
1-13
歯肉溝滲出液および唾液成分解析の歯周病検査における有用性の比較
○上原 直 1,伊藤 弘 1,沼部幸博 1,関野 愉 1,村樫悦子 1,石黒一美 1,今井一志 2,戸円智幸 3,小川智久 4,
久野彰子 4,橋本修一 5
1 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座,2 日本歯科大学生命歯学部生化学講座,3 日本歯科大学生命歯学部共同利用研究
センター アイソトープ研究施設,4 日本歯科大学附属病院総合診療科,5 日本歯科大学生命歯学部
Comparison of utility on gingival crevicular fluid and saliva component analysis in periodontal examination
18
○Sunao Uehara1, Hiroshi Ito1, Yukihiro Numabe1, Satoshi Sekino1, Etsuko Murakashi1, Hitomi Ishiguro1, Kazushi
Imai2, Toshiyuki Toen3, Tomohisa Ogawa4, Akiko Hisano4, Shyuichi Hashimoto5
1Department of Periodontology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo., 2Department of
Biochemistry, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo.,
3Dental Resarch Institute Radio Isotope Center, The Nippon Dental University School of life Dentistry at Tokyo,
4The Nippon Dental University Hospital, General Dentistry., 5The Nippon Dental University, School of life Dentistry at
Tokyo.
【目的】歯周領域で用いられている生化学検査の対象となる試料には,歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid:GCF)
と唾液がある.両者共,非侵襲的な試料採取が可能なため,従来からの歯周病検査である probing pocket depth(PPD)
,
bleeding on probing(BOP)に加える事で高い精度の検査が期待される.我々は,同一被験者の GCF と唾液の生化学成
分の解析を行い,歯周病検査での有用性の比較検討を行った.【方法】被験者は日本歯科大学附属病院に supportive
periodontal therapy として来院している非喫煙者 28 名(男性 9 名,女性 19 名)とし以下の検索を行い,検討を行った.
臨床パラメータ,
・Plaque index ・Gingival index ・PPD ・BOP・Clinical attachment level・GCF 量.生化学的検
索項目,
・Aspartate aminotransferase 活性・Neutrophil elastase 活性・蛋白質量・出血(Hb)反応.
【結果】PPD と
相関のある生化学的マーカーは GCF 中の蛋白質量及び出血反応であった.GCF では出血の証拠となる Hb 反応と臨床パ
ラメータとの間に高い相関関係が認められた.また,ほぼすべての唾液から Hb が検出された.
【結論】GCF 検査の方が
検査部位の歯周病の病態を明確に反映していることが示唆された.【倫理的配慮】日本歯科大学倫理委員会承認の下遂行
された(承認番号 NDU-T 2014-15)
.
【資金源】文部省科学研究費助成金:基盤 C,課題番号:23593072・25463267,お
よび平成 26 年度日本歯科大学生命歯学部研究プロジェクトの援助を受けた.
2.口頭発表(English 学内発表会)
2-1
The oral environment and salivary fluoride concentration in 4–6-year-old children
○Terumi Iwasaki, Yoshimori Uchikawa
Pediatric Dentistry, The Nippon Dental University Hospital
【Objectives】Fluoride(F)-supplemented products are widely used for caries prevention, although the safest and
most effective modes of application remain to be elucidated. Nevertheless, it is necessary to maintain F ion
concentrations of 0.014–0.02 ppm in saliva for caries prevention. This study aimed to accurately measure salivary F
ion concentrations in the salvia of children using a flow injection analysis(FIA)device, which can measure ultra-low
F ion concentrations, and to compare the obtained data with oral environmental factors and oral hygiene habits.
【Methods】The trial subjects were 68 children from two nursery schools in Yokohama, Japan. The decayed, missing,
filled surfaces(dmfs)indexes were calculated and then stimulated saliva samples were collected to measure salivary
F ion concentrations with an FIA device(FAU2200, which was connected to an F electrode cell(model 94-09; Orion).
The levels of cariogenic bacteria were also determined. Furthermore, the subjects’ guardians completed
questionnaires regarding oral hygiene habits, and the data were statistically evaluated. Notably, although water
fluoridation is prohibited in Japan, F ion concentrations in dentifrices for home use can be up to 1000 ppm.
Parametric comparisons were performed using analysis of variance ( ANOVA ) and Student’s t-test, and
nonparametric multiple comparisons were performed using the Kruskal–Wallis test, considering the within-subject
and sample variables in the study. In addition, multiple comparisons were performed using Tukey HSD as needed;
the significance level was set at 5%(p < 0.05).【Results】The average F ion concentration in the subjects’ saliva was
0.0083 ± 0.0026 ppm. Regarding the correlation between the salivary F ion concentrations, dmfs indexes, and
mutans streptococci and lactobacilli levels, no significant differences were observed. On the other hand, regarding
the correlation between salivary F ion concentrations and oral hygiene habits, only the salivary F ion concentrations
in subjects with tooth brushing performed by guardians more than two times per day showed a significantly high
difference.【Conclusions】Salivary F ion concentrations of the subjects were lower than required for caries prevention
despite the use of dentifrices with high F ion concentrations. Therefore, further studies are warranted to identify
substances and oral hygiene habits that can maintain or increase salivary F ion concentrations in children. Finally,
the FIA device is considered the most sensitive tool to accurately measure F ion concentrations.
2-2 Controlled release of simvastatin from biodegradable hydrogels promotes the formation of
secondary dentin
○Atsuko Miyazawa1 , Tomonori Matsuno1, Kazunari Asano1, Yasuhiko Tabata2, and Izumi Mataga1
1The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo, Department of Oral & Maxillofacial Surgery
2Department of Biomaterials, Institute for Frontier Medical Sciences, Kyoto University
【Objectives】 Recently, many materials have been investigated in the design and development of pulp capping
agents. Among them, calcium hydroxide has been used clinically and has been accepted as the successful
pulp-capping agent of first choice. Dycal® is the most commonly used calcium hydroxide material for direct pulp
capping in the clinic. However, a major disadvantage of calcium hydroxide in the amputated pulp is the new
19
formation of dentin bridge structures, including small holes or defects with degenerated and necrotic tissues, which
is not clinically acceptable and can lead to the development of other disease symptoms. Therefore, it is necessary to
develop a new agent for pulp-capping. The objective of this study is to investigate the odontoblastic differentiation of
dental pulp stem cells (DPSC) by simvastatin (ST), both in vitro and in vivo. 【Methods】Firstly, ST was incorporated
into the micelles of gelatin grafted with L-lactic acid oligomers (LAo) to allow water-solubilization. The
simvastatin-LAo-grafted gelatin micelles (LAo-g-gelatin Mi) were mixed with gelatin, followed by chemical
crosslinking to form gelatin hydrogels incorporating the simvastatin-LAo-g-gelatin micelles (ST Mi/GH). After the
evaluation of the material properties, the biological activities of simvastatin micelles were evaluated in vitro and in
vivo.【Results】The ST Mi was released from the GH through enzymatic degradation. The ST Mi/GH enhanced
alkaline phosphatase activity, calcium deposition, and bone morphogenic protein-2 secretion of DPSC. When
implanted subcutaneously into mice, the ST Mi/GH treated group exhibited an increased tissue area of
positively-stained dentin sialoprotein and calcium deposition, compared with that treated with the hydrogels plus
ST. It is possible to achieve odontoblastic differentiation of DPSC by the controlled release of ST from GH.
【Conclusions】The DDS for the release of ST is a promising method for the promotion of activity to enhance
odontoblastic differentiation of DPSC and calcification. Moreover, this hydrogel system is applicable for the delivery
of a wide range of water-insoluble drugs. However, further investigation is required to evaluate the in vivo time
period of cell differentiation and calcification. Additionally, the quality and quantity of dentin tissue formed should
be evaluated using dental pulp capping models and comparing with those of other pulp-capping materials.
2-3 Relationship between the incisor position and its lingual surface morphology in normal
occlusion
○Yuh Hasegawa1, Akira Ezura1, Batbayar Nomintsetseg1, Yukari Terashima1, Satoshi Uzuka2, Kazuto Terada1
1Department of Orthodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Niigata, 2The Nippon
Dental University, Tokyo hospital
【Objective】The purpose of this study was to investigate the relationship between morphological characteristics of
maxillary incisors and anterior occlusion in order to demonstrate the considerable factors towards the treatment
planning in orthodontic clinical practice.【Methods】The study materials comprised dental casts and lateral
cephalograms of 26 modern Mongolian females with Angle Class I normal occlusion(mean ages were 21 years 5
months). The study was approved by the Committee on the Ethics of Human Experimentation, The Nippon Dental
University School of Life Dentistry at Niigata(Approval No. IN-88). X-ray micro CT system(SMX-100CT,Shimadzu,
Kyoto Japan)was used to take CT images of the dental casts. The casts were mounted on a rotary stage with the
occlusal plane parallel to the stage and scanned. X-ray parameters were set at 87 kV and 64 μA and slice thickness
was set at 0.12mm. 3D images of each dental cast were reconstructed from the micro CT data in the software
(TRI/3D-Bon; Ratoc System Engineering, Kyoto, Japan). Then the four images, namely lingual surfaces of each
maxillary incisor contacting the opposing tooth, were selected and measured. The measurement items for image
analyses were thicknesses of marginal ridges and incisal edges, overjet, overbite. On study casts, irregularity index
were measured and calculated. Angulation and position of maxilla and mandible incisors and inter-incisal angle
were measured on the lateral cephalogram. Spearman’s single rank correlation coefficients were used to investigate
any correlation between measurement items for each maxillary incisor.【Results】The thicknesses of marginal ridges
were significantly correlated with the Irregularity Index of maxilla, and the thicknesses of incisal edges were
significantly correlated with the overjet. There were significant negative correlations between overbite and incisor
position. There was a significant correlation between overbite and Inter-incisal angle. Significant correlations were
observed between overbite and overjet. When the maxillary incisors had thick marginal ridges, both overjet and
overbite increased within the normal range. In addition, maxillary and mandibular incisors were both retroclined
when the overjet was large.【Conclusions】The study revealed that incisor position and anterior occlusion were
affected by the morphological characteristics of lingual surface of maxillary incisors, specifically the thicknesses of
marginal ridges. From our study data, it can be concluded that there were some mechanism for adjustment to keep
overjet and overbite within the normal range of the Angle Class I normal occlusion samples.
2-4 In vitro study on regeneration of periodontal tissue microvasculature using human
dedifferentiated fat cells
○Yutaka Shimizu1, Mizuki Tsubokawa1, Kosuke Maruyama2, Dai Nakajima2, Soh Sato2,3
1Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 2Department of Periodontology, The
Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Niigata, 3Division of Cell Regeneration and Transplantation,
Advanced Research Center, The Nippon Dental University School of Life Dentistry
【Objective】Dedifferentiated fat cells(DFATs)may be a new cell type suitable for regenerative therapies. Reports
indicate that DFATs promote angiogenesis in ischemic tissue. However, few studies examined the angiogenic ability
of DFATs. Furthermore, no study has investigated DFATs or other stem cells in vascular regeneration of periodontal
tissue. The aim of this study was to assess the potential of human DFATs(HDFATs)for vascular regeneration of
periodontal tissue. To do this, we cocultivated HDFATs and human gingival endothelial cells(HGECs)and examined
vascular regeneration in vitro.【Methods】HDFATs were isolated from subcutaneous adipose tissue, and HGECs
20
were isolated from gingival cells using anti-CD31 antibody-coated magnetic beads. HDFATs were cocultured with
HGECs in endothelial cell growth medium(EGM-2MV)for 7 days. Expression of endothelial cell markers, the
formation of capillary-like tubes, and the expression of pericyte markers were determined.【Results】HDFATs,
cultured in EGM-2MV or cocultured with HGECs, expressed endothelial cell markers. HDFATs in both conditions
initiated tube formation within 5 hours of seeding, and formed extensive capillary-like structures within 12 hours.
These structures disintegrated within 24 hours when cells were cultured in EGM-2MV alone, whereas cocultured
HDFATs maintained tubes for more than 24 hours. Cocultured HDFATs significantly increased expression of
pericyte markers, a cell type associated with microvasculature.【Conclusions】HDFATs possess the ability to express
endothelial cell markers, and coculture with HGECs promotes differentiation into pericytes involved in the
maturation and stabilization of the microvasculature.
2-5 Affibody probes for near-infrared fluorescence imaging of HER2-expressing cancer cells in
sentinel lymph nodes
○Makoto Tsuchimochi1,3,4, Haruka Yamaguchi4, Kazuhide Hayama1, Yasuo Okada2, Tomoyuki Kawase3,5
1Department of Oral and Maxillofacial Radiology, 2Department of Pathology, 3Advanced Research Center, The
Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan. 4Quantitative Diagnostic Imaging
Program, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata, 5Division of Oral
Bioengineering, Institute of Medicine and Dentistry, Niigata University
【Objective】Sentinel lymph node biopsy has been introduced to know the nodal-stage in clinically node-negative
cancers, especially for breast cancer and skin melanoma. Usually radiopharmaceuticals and/or blue dyes are used
for detecting the sentinel lymph node(s). We previously tested the feasibility and utility of the new dual-modality
imaging probe in animal studies in which polyamidoamine, PAMAM, coated silica nanoparticles, PCSNs, loaded
with Tc-99m and indocyanine green, ICG were used for the detection(EJNMMI Res. 2013 Apr 25; 3(1):33.).
However, these agents do not tell whether the metastatic cells exist or not in the sentinel lymph node. This study
aimed to investigate the specificity of near-infrared HER2-targeting Affibody to image metastatic tumor cells.
【Methods】Anti-HER2 imaging agent, Affibody molecule was dissolved in PBS to obtain a final concentration of 1
mg/ml and dithiothreitol(DTT)0.3mg was added to a final concentration of 20mM at >pH 7.5. After incubation, the
dilutant was centrifuzed for preparation to label ICG-sulfo-OSu(Dojindo Laboratories, Kumamoto, Japan). After
desalting the solution, the near-infrared fluorescence of the labeled Affibodies were verified with thin-layer
chromatography(TLC)and the Pearl Imager(LI-COR Biosciences, Lincoln, NE). This fluorescent imaging probes
were added to the medium of HER2-overexpressing breast carcinoma cells, SK-BR3, and low HER2 expressing
breast carcinoma cells, MDA-MB231, and incubated for 4 hours. The cells were observed using a Zeiss(Oberkochen,
Germany)optical microscope equipped with near-infrared filter with a digital camera was used for microscopic
studies. Frozen sections of metastatic lymph node specimens were used to investigate the feasibility of the Affibody
probes to image HER2 positive cells. The tissue was frozen in isopentane cooled with liquid nitrogen. A 10
micro-meter Cryostat section was prepared for staining by the Affibody probe. Immunohistochemistry was also
performed to detect HER2 expression in the same tissue specimens.【Results】Near-infrared fluorescence labeled
Affibody molecules were visible in TLC studies using the Pearl Imager and un-labeled free fluorescent flares were
not shown. SK-BR3 cells were imaged with stronger NIR fluorescent signals than that in MDA-MB231 cells.
Fluorescence of HER2 expressing cells were observed in cryostat section slides in the metastatic lymph nodes of
breast cancer.【Conclusion】Our data suggest that the ICG fluorescent Affibody probes may enable to direct
visualization of HER2 over-expressing cancer cells in sentinel lymph nodes. Additional animal study is required to
elucidate the value of this approach in sentinel lymph node biopsy.
3. 研究推進フォーラム
3-1
PRP 中に含まれる細胞増殖因子とゼラチンハイドロゲルスポンジを用いた歯周組織再生
○中島 大 1,2,田畑泰彦 2,佐藤 聡 1,3
1 日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座,2 京都大学再生医科学生体材料分野,3 日本歯科大学先端研究センター再生
医療学
Dai Nakajima1, Yasuhiko Tabata2, Soh Sato1,3
1Department of Periodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, 2Department of
Biomaterials,Field of Tissue Engineering,Kyoto University, 3Division of Cell Regeneration and Transplantation,
Advanced Research Center,The Nippon Dental University
【目的】歯周病とはプラーク,歯石などが原因で生じる歯周組織の破壊を伴う慢性炎症性疾患である.歯周病により破壊
された歯周組織に対し,歯周外科手術が行われている.歯周組織再生療法では歯周組織欠損部に異所タンパクであるエナ
メルマトリックスデリバディブが用いられているが感染や抗原性などに改良の余地がある.一方,多血小板血漿(PRP:
Platelet Rich Plasma)は様々な細胞増殖因子(growth factor)を含み,患者より採取可能な材料である.PRP は歯槽
骨の修復や歯根膜細胞の増殖に効果が報告されている.加えて患者自身から調製できることから感染や抗原性の問題は生
21
じにくい.本研究の目的はゼラチンハイドロゲルを用いて PRP 中に含まれる細胞増殖因子を徐放,その歯周組織の再生
効果を評価することである.
【方法】徐放試験は PRP をゼラチンハイドロゲルに含浸させ PBS に浸漬後,タイムポイン
ト毎に上澄みを回収し,含まれる growth factor を ELISA で定量を行った.In vitro で歯根膜細胞,骨芽細胞に対し,
濃縮度,培地中の含有量別に PRP を適用し DNA assay,MTT assay,ALP assay で評価を行った.移植実験はラット
上顎骨に骨欠損を作製し,濃縮度の異なる PRP を含浸させたゼラチンハイドロゲルを埋入した.術後 2,4 週間後に組織
学的評価を HE 染色で行った.
【結果】DNA assay,MTT assay,では濃縮度,含有量依存的に細胞数,ミトコンドリア
の活性が増加した.移植実験では 3 倍濃縮 PRP 含浸ゼラチンスポンジを移植した群で最も骨が再生した.【結論】歯周
組織細胞に対し PRP が有用であることが分かった.PRP 中に含まれる細胞増殖因子を徐放することが歯周組織再生に有
用であることが分かった.
3-2
各種 CAD/CAM システムを用いて製作したクラウンの寸法精度評価
○清水沙久良 1,黒田聡一 1,新谷明一 1,2,五味治徳 1,新谷明喜 1
1 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 2 講座,2 トゥルク大学
Accuracy of the crowns with three CAD/CAM systems
○Sakura Shimizu1, Soichi Kuroda1, Akikazu Shinya1,2, Harunori Gomi1 , Akiyoshi Shinya1
1Department of Crown and Bridge The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo., 2 Department of
Biomaterials Science, BioCity Turku Biomaterials Research Program Institute of Dentistry, University of Turku
【目的】近年の歯科分野では様々なデジタル技術の進出が行われており,臨床の場でも,デジタル機器の使用される頻度
は高まっている.支台歯形成を行ったのち,印象採得を行い,石膏模型を製作しラボサイドで最終補綴装置を製作する従
来法は,チェアサイドで光学印象を行いその場で補綴物の設計・削り出しを行うチェアサイドシステムへ変化してきてい
る.その一方で,石膏模型を製作したのちに,ラボサイドで光学計測を行い,設計・削り出しを行うラボサイドシステム
も多く使用されるようになってきた.本研究では,チェアサイドおよびラボサイドで多く使用されている CAD/CAM シ
ステムを用いて製作したクラウンの寸法精度評価を行うため,各種 CAD/CAM システムを用いて同一のモデルから同一
の設計のクラウンを製作し,計測を行った.
【方法】CAD/CAM システムは,チェアサイドシステムとしてセレックシス
テム,ラボサイドシステムとしてドーラ,アドバシステムを用いた.支台歯原型金型(以下,歯型)に対し前処理材を塗
布した後,各システムのスキャナーにてスキャニングを行い,全周厚さ 1mm,セメントスペース 120μmの設定を行っ
た,
6 個ずつクラウンを製作した後,
ラボスキャナーを用いて STL データを取得し,STL データ計測ソフトを用いて 3.0,
4.0,5.0 ㎜および,デジタル顕微鏡を用いてマージン部の計測を行った.
【結果】セメントスペースは,セレック,ドー
ラシステムではソフト上で設定した値よりも小さく,アドバシステムでは大きくなった.歯頸部の歯型とのギャップは,
セレックシステムが最も大きく,アドバシステムが最も小さくなった.【結論】チェアサイドシステムでは,歯頸部に向
かって大きな値となり,ラボサイドシステムでは,歯頸部に向かって小さな値となった.セレック,ドーラシステムでは
設定値よりも小さな値となったが,歯型よりは大きく,全てのシステムで入らないものはなかった.
3-3
CT 画像を用いた 3D プリンタにより作製した下顎骨模型の寸法精度に関する研究
○石田祥己 1,宮坂 平 1,青木春美 1,相馬弘子 1,青柳有祐 1,三浦大輔 1,河合泰輔 2,浅海利恵子 2,新谷明喜 3,
清水沙久良 3
1 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座,2 日本歯科大学生命歯学部歯科放射線講座,3 日本歯科大学生命歯学部歯科補
綴学第 2 講座
Study on dimensional accuracy of mandibular model recreated by 3D printer with CT data
Yoshiki Ishida1, Taira Miyasaka1, Harumi Aoki1, Hiroko Soma1, Yusuke Aoyagi1, Daisuke Miura1, Taisuke Kawai2,
Rieko Asaumi2, Akiyoshi Shinya3, Sakura Shimizu3
1Department of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
2Department of Oral and Maxillofacial Radiology, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
3Department of Crown and Bridge, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【 目 的 】近 年 ,3D プ リ ン タ の 普 及 に 伴 い 低 価 格 化 が 進 ん で い る . 3D プ リ ン タ を 用 い て CT 画 像 か ら 模 型
造 形 を 行 え ば ,患 者 へ の 説 明 ,術 前 の イ メ ー ジ ト レ ー ニ ン グ 等 に 有 用 で あ る と 考 え ら れ る .そ こ で 我 々 は
低 価 格 化 が 進 ん で い る 熱 溶 融 積 層 式 3D プ リ ン タ を 用 い , CT 画 像 か ら 下 顎 骨 の 模 型 を 作 製 し た . そ の 距
離 測 定 を 行 い 寸 法 精 度 を 調 べ , 業 務 用 3D プ リ ン タ と 比 較 し て 熱 溶 融 積 層 式 3D プ リ ン タ の 歯 科 応 用 に つ
い て 評 価 し た .【 方 法 】 CT の 被 写 体 と し て 乾 燥 ヒ ト 下 顎 骨 を 用 い た .下 顎 骨 と 3D プ リ ン タ で 造 形 し た 下
顎 骨 模 型 と に 同 一 の 計 測 点 を 設 定 す る た め ,骨 表 面 に お い て 唇 側 お よ び 舌 側 正 中 最 大 豊 隆 部 ,頰 側 の 第 一
大 臼 歯 第 二 小 臼 歯 接 触 点 か ら の 鉛 直 方 向 と オ ト ガ イ 孔 の 高 さ が 交 わ る 点 と 舌 側 の 同 位 置 の 点( 左 右 )の 計
6 点 に 指 標 を 貼 付 し た . ヒ ト 下 顎 骨 を コ ー ン ビ ー ム CT( CBCT) お よ び マ ル チ ス ラ イ ス CT( MSCT) に
て 撮 影 し た .取 得 し た DICOM デ ー タ を 医 療 画 像 表 示 ソ フ ト ウ ェ ア( Mimics,Materialise)に 取 り 込 み ,
STL デ ー タ を 作 成 し た . こ れ よ り 熱 溶 融 積 層 方 式 プ リ ン タ Cube X 3D Trio( 3D Systems), イ ン ク ジ ェ
ッ ト 方 式 プ リ ン タ Objet Eden260V( Stratasys) お よ び Projet3500HD( 3D Systems) の 計 3 機 種 で 造
形 を 行 っ た . 指 標 を 貼 付 し た ヒ ト 下 顎 骨 お よ び 3D プ リ ン タ に て 造 形 し た 模 型 を 3D ス キ ャ ナ に て ス キ ャ
ン し て STL デ ー タ を 作 成 し た . 各 指 標 間 の 直 線 距 離 を STL デ ー タ 上 で 測 定 し , こ の CT 撮 影 か ら 模 型 作
製 ま で を 3 回 繰 り 返 し 行 っ た .【 結 果 】 MSCT よ り CBCT の 方 が 変 化 量 は 小 さ か っ た . 3D プ リ ン タ の 中
で は CubeX で 最 も 大 き な 変 化 量 と な っ た .測 定 部 位 に よ っ て 変 化 量 は 異 な る こ と が わ か っ た .
【 結 論 】安
22
価 な 熱 溶 融 積 層 式 プ リ ン タ で も 下 顎 骨 模 型 作 製 に は 十 分 な 性 能 を 有 し て い る こ と が わ か っ た .し か し ,細
部再現性を考慮すると,インクジェット方式プリンタの方が優れていると考えられる.
3-4
歯周治療を想定した象牙質表面に対する細菌付着の新たな検討
○織田洋武 1,佐藤 聡 1,2
1 日本歯科大学新潟生命歯学部歯周学講座,2 日本歯科大学先端研究センター再生医療学
Characterization and oral pathogen adhesion on rough dentin surface
Hirotake Oda1, Soh Sato1,2
1Department of Endodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, 2Division of Cell
Regeneration and Transplantation, Advanced Research Center
【目的】歯科の臨床では,デンタルプラークの沈着をコントロールすることは非常に難しいと考えられている.そして,
デンタルプラークは歯面の性状により蓄積の早さが異なると考えられている.本研究の目的は,様々な歯周治療(歯面研
磨,超音波スケーラー,スケーリング•ルートプレーニング,エア•ポリッシング)を想定した象牙質の表面粗さに注目し,
口 腔 内 細 菌 ( Streptococcus sanguinis, Streptococcus mutans ) や 歯 周 病 原 細 菌 ( Porphyromonas gingivalis,
Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatium)の付着•沈着量と象牙質表面粗さとの関連を検
討し,解明していくことである.【方法】規格化した象牙質表面として,ヒト抜去歯よりデンチンブロックを作製する.
歯周治療で使用される器具(歯面研磨,超音波スケーラー,スケーリング•ルートプレーニング,エア•ポリッシング)を
使用して,1 分間デンチンブロック表面の処理を行い,象牙質表面に粗さを作製する.それら処理後のデンチンブロック
表面を,3D 共焦点レーザー顕微鏡使用して表面粗さの測定と評価を行う.その後,口腔内細菌と歯周病原細菌を至適条
件(好気条件,嫌気条件)にて培養し,それら細菌の菌濁液に表面粗さを作製したデンチンブロックを浸漬けし,各細菌
の付着を行う.デンチンブロックを回収後,リン酸緩衝液で付着していない象牙質表面の細菌を洗浄し,Alamar Blue 試
薬に浸漬する.その後,ミトコンドリアの活性による還元染色にてその吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し,
象牙質表面に付着した細菌量の増減の検討を行う予定である.
4. ポスター発表
4-1
Enzymatic analysis of quinol peroxidase of aggressive periodontopathic bacterium
○Taketo Kawarai, Tasuku Abe, Kiyoshi Konishi
Department of Microbiology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo
【 Objective 】 Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa) is a human pathogenic bacterium that has been
associated with localized aggressive periodontitis (LAP). We previously discovered a membrane-bound enzyme,
quinol peroxidase (QPO) that catalyzes peroxidation reaction using quinol in the respiratory chain of Aa for the
reduction of hydrogen peroxide. Further studies revealed that QPO is a 53.6-kDa triheme c containing enzyme and
participate production of leukotoxin, which is a secreted bacterial toxin and is known to target human leukocytes
and erythrocytes. Hence, QPO would be considered as a potential drug target for the treatment and prevention of
LAP. In the present study, we report enzymatic characterization and catalytic reaction mechanism of QPO.【Methods】
Purified recombinant quinol peroxidase (rQPO) was used in kinetic analysis. Overexpressed rQPO in membrane
fraction of Escherichia coli harboring the plasmids containing qpo from Aa and ccm genes from E. coli was purified.
QPO activity was measured in a buffer containing 0.1% (w/v) sucrose monolaurate and ubiquinol-1. The reaction
was initiated by the addition of hydrogen peroxide. Oxidation of ubiquinol-1 was monitored at 278 nm using a
spectrophotometer.【Results】The Vmax and Km values for ubiquinol-1 and hydrogen peroxide were calculated from
Lineweaver-Burg plot. The Vmax and Km values for ubiquinol-1 were 500.0 µmol/min/mg and 111.5 µM, respectively.
The Vmax and Km values for hydrogen peroxide were 344.8 µmol/min/mg and 6.17 µM, respectively. Analysis of
initial-rate kinetics, redox difference spectrum and product inhibition revealed QPO react via ping pong bi bi
mechanism.【Conclusions】Based on kinetic analysis of QPO, we constructed a model for the mechanism of action of
QPO. Bacterial cytochrome c peroxidase (BCCP) is QPO homologue of several bacteria, and this enzyme is a diheme
protein that localizes to the periplasmic space. The reaction mechanism of BCCP revealed by numerous studies.
BCCP catalyzes the reduction of hydrogen peroxide to water using a reduced c-type cytochrome as an electron donor,
and the second heme (in the N-terminal domain) of BCCP is accessing site of hydrogen peroxide. On the other hand,
in QPO, reduced quinone is used as electron donor that access to the first heme (in the N-terminal domain) and
hydrogen peroxide react at the third heme (in the C-terminal domain) of QPO. Accordingly, QPO might be a
conjugated protein of BCCP and cytochrome c which occurred evolutionarily.
4-2 Morphological Situation of Cross-sectional Surface in the Root Canal Model after Preparation
with Ni-Ti Rotary Files
○Mariko Nagashima, Ichiroh Katsuumi
Department of Endodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【Objective】It is generally considered that root canal preparation can be accomplished in faster and more accurate
23
methods in both movements clockwise and counterclockwise by using WaveOne (VDW, Germany) or RECIPROC
(Dentsply Maillefer, Switzerland)(files made from Ni-Ti. The primary purpose of the present study was to evaluate
and observe morphological conditions of cross-sectional surface in the root canal model after the preparation using
WaveOne or RECIPROC.【Methods】Nine root canal models (Nissin, Japan) made of transparent resin and with
similar tooth substance and touch feeling were used. The models were randomly assigned to three groups (n = 3).
In group 1, the canals were left unprepared. In group 2, a glide path was first prepared by using stainless steel (SS)
#10 K-files (MANI, Japan). Then, the canals were shaped with WaveOne primary files in a pecking motion. In group
3, a glide path was first prepared by means of SS 10K endodontic files. Then, the canals were shaped with
RECIPROC R25 files in a pecking motion. After preparation, the models were cut by automatic cutter (Isomet,
JEOL) at the points 1.5 mm, 3 mm, 6 mm and 9 mm from apex respectively. Cross-sectional surfaces were placed on
a scanner (GT-X970, EPSON) and width and cross-sectional area were measured by using graphic software (Image J,
NIH). Data for each file were statistically analyzed by using Tukey’s multiple comparison test.【Results】In
mesiodistal and labiolingual directions, cutting amounts prepared by WaveOne were superior to those prepared by
RECIPROC. Also, cross-sectional areas prepared by WaveOne were superior to the results obtained by RECIPROC.
【Conclusion】Cutting amounts depend on the file used. To attain more comprehensive understanding on this
problem, we are planning to perform further investigations and analysis in future study.
4-3
Antibacterial Effect of New Root Canal Sealer Contained Mainly with Oleic Acid, Eugenol and Zinc Oxide
○Munehiro Maeda1, Shuichi Hashimoto2, Katsumi Ishitsuka1, Ichiroh Katsuumi1
1Department of Endodontics, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University
2The Nippon Dental University
【Objectives】Eugenol, an antimicrobial, is widely used as a root canal sealer. However, high concentration of
eugenol irritates periapical tissues. The purpose of this study was to evaluate the effect of a new root canal sealer
(new sealer) produced with 15% eugenol in fatty acid on antimicrobial activity.【Methods】Powder (1g) of the new
sealer was composed of 0.4g of zinc oxide, 0.4g of rosin and 0.2g of others. Liquid (1ml) of the new sealer was
composed of 0.75ml of oleic acid, 0.15ml of eugenol and 0.1ml of others. Therefore, the ratio (P/L) of powder to liquid
of the new sealer was 2.0. A zinc oxide eugenol sealer (CANALSTM, Showa Yakuhin Kako, Japan) with 80% eugenol
was used as a control sealer (P/L=3.3). Paper disks of coated with sealers were placed onto agar plates inoculated
with Prevotella intermedia (Pi), Porphyromonas gingivalis (Pg) and Enterococcus faecalis (Ef), and then the zone of
inhibition was measuerd after 24hours incubation. 【 Results 】 For Pi and Pg, the new sealer showed a
growth-inhibition. This inhibition zone with the new sealer was smaller than that with control sealer. Both new
sealer and control sealer could not inhibit the growth of Ef. We used 3H-eugenol to measure the quantity of eugenol
released from the new sealer into agar. The eugenol amount infiltrated to the region of radius-34mm from the new
sealer disc was about 1/13 of that from control sealer (p<0.05). 【Conclusions】These results show that eugenol
released from the new sealer has antibacterial effects.
4-4
Relationship between dental occlusion and decline in ADL level in elderly people receiving
home care
○Sae Genkai1, Takeshi Kikutani1,2,3, Fumiyo Tamura2,3, Ryo Suzuki2,4, Mitsuyoshi Yoshida5
1Division of Clinical Oral Rehabilitation, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry, 2Division
of Rehabilitation for Speech and Swallowing Disorders, the Nippon Dental University, Tama Oral Rehabilitation
Clinic, 3Division of Rehabilitation for Speech and Swallowing Disorders, Nippon Dental University Hospital,
4Department of General Medicine and Primary Care, Tokyo Medical University Hospital, 5Dental Department,
Hiroshima City General Rehabilitation Center
【Objective】A lot of studies have been reported that oral function is one of the factors influencing the nutritional
status, cognitive function, and gait/falls in the elderly. On the other hand, only a few reports are available on the
influence of oral function on changes in the basic activities of daily living (ADL). The number of elderly people
receiving home care is expected to increase, and it is important for the elderly to maintain ADL. The aim of this
study was to evaluate the relationship between the oral function and ADL among elderly people receiving home care.
【Methods】The subjects were 511 elderly people receiving home care aged over 65 years, living in four regions in
Japan. The living conditions of them were studied based on the information collected from their care managers and
primary physicians, which included sex, age, ADL, cognitive function, underlying diseases, nutritional status,
swallowing function, occlusion, presence or absence of hospitalization due to pneumonia, residence status and use of
social resources such as home-visit nursing/care service. One-year follow-up study was conducted, and the items
influenced on their ADL were studied by dividing the subjects into two groups: maintained/improved ADL group
where the total scores of Barthel Index of subjects were unchanged or improved, and the worsened ADL group where
the total scores decreased.【Results】After excluding the subjects whose Barthel Index was ≤ 20 at baseline and those
who could not be followed up one year later, 322 subjects were followed up. The number of subjects in the
maintained/improved and worsened ADL groups was 150 (46.6%) and tionship with the ADL in both groups were
age, dysphagia, occlusal support, and use of home-visit nursing service. The logistic-regression analysis indicated
that presence or absence of occlusal support and use of home-visit nursing service were identified as the items
24
significantly related (p<0.05). Furthermore, the study on the above-mentioned items and the Barthel Index items
revealed that there was a significant relationship between the “presence or absence of occlusal support” and the
change in “getting on and off172 (53.4%), respectively. The items showing the rela toilet” (p<0.05).【Conclusions】The
results suggested a possibility that occlusal support is involved in ADL maintenance in the elderly people receiving
home care.
4-5 Immunohistochemical study of differential expressions of cytokeratin-13, -14, -17 and p53 in
carcinoma and epithelial dysplasia of the tongue
○ Yasuo Okada1, Michiko Moride1, Hitoshi Hasegawa1, Yasuhiro Ohkubo1, Yoriaki Kanri1, Junya Ono2,
Hitoe Ishiguro1
1Department of Pathology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 2Histopathology of
Pathogenic Mechanism, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata
【Objective】 In oral cancers, high histological malignancy grade is associated with higher risk of metastases, which
have great impact on the prognosis. Furthermore, early detection of these cancers is desirable so that treatment can
aim at conserving oral functions and improving prognosis. It is known that several percent of leukoplakia that
develop in the tongue become cancerous. Leukoplakia is a clinical diagnostic term, and histopathologically most
cases show hyperkeratosis with epithelial dysplasia or hyperkeratosis without epithelial dysplasia. On the other
hand, difficulties in histopathological diagnosis of severe epithelial dysplasia and carcinoma in situ (CIS) are often
encountered. In recent years, immunohistochemical staining of cytokeratins (CK), p53 and Ki-67 for precancerous
lesions and squamous cell carcinoma (SCC) of the oral cavity has been reported. However, few reports have applied a
combination of several immunohistochemical stainings to diagnosis.【Methods】 We conducted and compared the
immunohistochemical stainings of CK13, CK17, CK14 and p53 in 10 cases each of hyperkeratosis without epithelial
dysplasia, hyperkeratosis with epithelial dysplasia, CIS, and SCC in the tongue.【Results】 CK13 was positive in all
10 cases of hyperkeratosis without epithelial dysplasia, and negative in all cases of hyperkeratosis with epithelial
dysplasia, CIS, and SCC. CK17 was negative in 9 of 10 cases of hyperkeratosis without epithelial dysplasia, and was
positive in all 10 cases of hyperkeratosis with epithelial dysplasia as well as 10 cases of CIS and 9 of 10 cases of SCC.
CK14 was negative or positive only in the basal cell layer or a few rows of cells in spinous layer adjacent to the basal
cell layer in cases of hyperkeratosis without epithelial dysplasia, but was positive in all the epithelial layers in all 10
cases of hyperkeratosis with epithelial dysplasia, and also positive in the tumor in all 10 cases each of CIS and SCC.
For p53, positive reaction was observed in some cells of the basal cell layer in 2 of 10 cases of hyperkeratosis without
epithelial dysplasia, while high positive rates were found in hyperkeratosis with epithelial dysplasia (9 of 10 cases)
and SCC (9 of 10 cases). On the other hand, only 5 of 10 cases of CIS were positive for p53.【Conclusions】 Although
the histopathological diagnosis of epithelial dysplasia and CIS is based on hematoxylin-eosin stained sections,
immunostaining and evaluation of CK13, CK17, CK14 and p53 are useful as an adjunct to histopathological
diagnosis.
4-6 Endodontic treatment on maxillary first molar using a microscope and the cone-beam
computed tomography
○ Kazuo Kitamura 1, Hiroshi Iwata2, Sakurako Asai2, Takako Yamazaki1, Takashi Ishii1, Ichiroh Katsuumi3
1Division of General Dentistry and 2Oral Diagnosis, Oral Radiolgy of The Nippon Dental University Hospital,
3Department of Endodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【Objective】In the present study, we have simultaneously used CBCT and a surgical operating microscope for the
treatment of maxillary first molar and have had experience on the cases where 4 roots and 5 separate root canals are
present. That is, two root canals on mesiobuccal root, one root canal on distobuccal, mesiopalatal and distopalatal
root were evaluated by simultaneously using CBCT and a surgical operating microscope on maxillary first molar.
The findings of our study are reported. 【Case report】Patient: An 18-year-old male patient. Chief complaint:
Unpleasantness at the time biting on maxillary left first molar. History of the present illness: One month ago,
spontaneous pain was felt on maxillary left first molar. Although pulpectomy was performed, unpleasantness
remained at the time of biting, and CBCT was carried out. Because supernumerary root was found, showing
complicated morphology, it was judged as difficult to treat at the general dentist, and the patient was referred to and
was hospitalized at the Nippon Dental University Hospital. Present status: Clinical examination revealed that this
tooth was sensitive to percussion. No abnormalities such are fistula, swelling, etc. were found on gingiva around the
diseased tooth. No abnormality was found on periapical tissues by intraoral periapical radiograph, although
morphology of root was not distinct. On the CBCT images brought by the patient, supernumerary root was found on
mesial side of palatal root, and four roots were confirmed. Diagnosis: Chronic apical periodontitis on maxillary left
first molar. Treatment and progress: Pulp of maxillary left first molar was in the state of necrosis, and the infected
root canal treatment was conducted under a surgical operating microscope. The working length was confirmed by
diagnostic radiography. For root canal enlargement, RECIPROC Ⓡ (NiTi rotary file; VDW, Munich, Germany) was
used. At the third visit of the patient to the hospital, non unpleasantness was noted, and root canal was obturated
according to lateral condensation method by using gutta-percha point and zinc oxide eugenol cement.【Results】By
25
CBCT, it is possible to evaluate up to three-dimensional conditions after root canal filling, which cannot be correctly
judged by intraoral periapical radiography. These can be explanatory materials, which can be easily understood by
the patients.【Conclusions】The use of a surgical operating microscope and CBCT imaging helps the clinician to
diagnose unusual anatomy of a tooth and facilitate successful endodontic treatment.
4-7 An influence of staining solutions and tooth brush abrasion on appearance changes of
laboratory composite
○Yosuke Nakamura1, Yu Kagaya1, Seira Shimada1, Takako Takei1, Tomomi Nakazawa1, Maki Fujita1,
Akikazu Shinya2,3
12nd grade under graduate student of 2011, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo,
2Department of Crown & Bridge, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, 3Department of
Prosthetic Dentistry & Biomaterials Science, Institute of Dentistry, University of Turku
【Objective】One of the major problems of veneering laboratory composite is appearance changes(Fig1). Sometime
discoloration or/and low gloss were observed after few month, because of mastication, beverage and brushing. And it
will be pointed out of demerit of using composite for permanent prosthetics especially in anterior region. The aim of
this study was to evaluate the influence of staining solutions and tooth brush abrasion on appearance changes of
laboratory composite.【Methods】The lab composite of shade A2, 1)SR Nexco (Ivoclar vivadent), 2) SR Adoro (Ivoclar
vivadent), 3) Estenia (Kuraray Noritake Dental), 4)Ceramage (Shofu), 5)Gradia forte (GC), 6)Twiny (Yamamoto
precious metal), 7)Signum ceramis (Heraeus Kulzer), 8) Signum sirius (Heraeus Kulzer) were used. For
discoloration test, four different beverages, i.e.) coffee, tea, red wine and Coca-Cola were used. Distal water was used
as control group. All specimens were immersed for five weeks in 100 ml of different beverages and incubated at 37°C.
Color of each specimen was measured after five weeks of immersion according to the NBS value. For Gloss change
after tooth brush abrasion, the testing condition of tooth brush abrasion was according to ISO standard (ISO/TR
14569-1). For gloss changes, each after 1000 times brushing, gloss was measured until 5000 times brushing. For
long term gloss changes, each after 5000 times blushing was measured until 50000 times brushing. 【Results】
Estenia, ceramage, gradia forte and twiny are in the NBS between 6.0 and 12.0. Signum ceramis and signum sirius
are in the NBS between 3.0 and 6.0. SR Nexco and SR Adoro are in the NBS value between 1.5 and 3.0. The result of
early stage gloss changes was decreased and the average was 63.7%, and average of long term gloss changes was
26.25%.【Conclusions】Typically, 10000 times of brushing movement is average numbers for one year on normal
healthy person. Compare with this result, SR Nexco and SR Adoro have a possibility of keeping the gloss more than
50% after five years cementation. Actually, there is no evident “How much gloss is an acceptable value for clinical
situation?” However, within the limitation of in vitro study, the differences were observed in discoloration and gloss
changes between all laboratory composite. The result suggests that the material selection for appearance stability
for long term aesthetic.
4-8
硬質レジンおよびセラミックスの曲げ強さに試験法の違いが及ぼす影響
○三浦大輔,宮坂 平,青木春美,相馬弘子,青柳有祐,石田祥己
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
Effect of test methods on flexural strength of dental hard resins and ceramics
○Daisuke Miura, Taira Miyasaka,Harumi Aoki, Hiroko Soma, Yusuke Aoyagi, Yoshiki Ishida
Department of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, Shcool of Life Dentistry at Tokyo
【目的】セラミックスの強度について,ISO 規格では 3 点曲げ試験,4 点曲げ試験,2 軸曲げ試験が取り上げられている.
他方,硬質レジンには 3 点曲げ試験が用いられるが,測定値のバラつきが大きい.そこで,硬質レジン(HR)について
信頼性の高い曲げ強さを求めるために,曲げ試験法の違いが測定値に及ぼす影響を調べることを目的とした.【方法】本
実験は HR(セラマージュ,ソリデックスハーデュラ,グラディア,ディアーナ,エステニア)およびセラミックス(SI-C1301,
IPS e-max)を用いた.試料作製および試験法は,セラミックスに関する ISO1) に準じた.曲げ試験は,全て万能試験機
(AGS-X,島津)を用いてクロスヘッドスピード 1mm/min で行った.2 軸曲げ試験は,円盤状試料を半径 5mm の支持
サークル上に 120 度で等間隔に配置した半径 1.5mm の鋼球の上に置き,試料中央部に直径 1.4mm の平面ピストンで荷
重を加えた.3 点曲げ試験,4 点曲げ試験は共に,板状試料を用いて荷重負荷部の曲率半径 1.5 mm,支持ローラーの直径
3mm,外側スパン 20mm で行い,4 点曲げ試験では内側スパンを 10mm とした.測定値は,二元配置分散分析を行い,
有意差の認められたものについては,Tukey の対比較を行った.また,Weibull 解析を用いて試験法について検討を行っ
た.
【結果】測定値を分散分析した結果,全ての主効果および交互作用に高度な有意差が認められた(p<0.01)
.また,本
研究で用いたセラミックスの曲げ強さは,いずれの硬質レジンより大きかった.試験法については,2 軸曲げ強さ>3 点
曲げ強さ>4 点曲げ強さとなったが,製品により試験法による有意差が認められないものがあった.以上のことから,2
軸曲げ試験は硬質レジンにも適した試験法であると考えられる.
【文献】1)ISO 6872-2008 Dentistry – Ceramic materials
4-9
アマルガム除去時の排水中の水銀量の経時的変化
○青木春美,宮坂 平,相馬弘子,青柳有祐,石田祥己,三浦大輔
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
26
Time dependence of mercury dissolution into the discharged water after amalgam removal
○Harumi Aoki, Taira Miyasaka, Hiroko Soma, Yusuke Aoyagi, Yoshiki Ishida, Daisuke Miura
Department of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】先にアマルガム除去時の環境に対する水銀汚染を調べるために,臨床を模した実験条件を組合せ,除去作業中の
口腔内洗浄水と直後の装置内洗浄水の水銀量を測定した結果,10,000~30,000μg /m3 と総水銀量排除基準(5,000μg /m3)
を上回っていた 1).そこで,本研究では下水への排除の可否を知る目的で,除去法と排水システムの条件を組合せ,水銀
量の経時的変化を調べた.
【方法】除去法として一塊法(歯質のみを切削後,スプーンエキスカベーターにて一塊で除去)
と粉砕法(充填物を十字形に切削後,小切削片に粉砕し除去),排水システムとしてアマルガムセパレーター(コンビセ
パレーターCAS1, DÜRR DENTAL)と気液分離器(7ℓ 分離器, 東京技研)を組合せた先の実験 1)で採取・保管してい
た口腔内洗浄水と装置内洗浄水を用いた.卓上型振盪恒温槽(Personal-10, TAITEC)にて振盪後,0, 1, 2, 3, 5, 9 時間,
1, 2, 4, 8, 15, 30, 60 日静置後に上澄みを採取し,金箔による水銀の蒸着と原子吸光分析を用いた高感度の水銀測定装置
(WA-5A,日本インスツルメント)により還元気化法にて水銀量を測定した.さらに,振盪直後,4, 8, 15, 30, 60 日後
に上澄みを採取・乾燥後,デジタル顕微鏡(VHX-2000, キーエンス)にて観察した.
【結果】振盪直後(0 時間)の平均
水銀量は口腔内洗浄水で 2,500~15,100μg/m3,装置内洗浄水で 2,600~11,500μg /m3 であり,時間経過とともに減少し,
15 日目以降には一定になった.肉眼的には時間経過とともに浮遊物が沈殿し上澄みの透明性が増した.上澄みのデジタ
ル顕微鏡観察では,振盪直後に多くの浮遊物が認められたが 4 日目以降ではわずかであった.
【結論】いずれの条件でも
排水中に溶出する総水銀量は 9 時間経過以降では排出基準以下になることが明らかとなった.
【文献】1) 青木春美,宮坂 平ほか,アマルガム充填物除去時の排水中への水銀排出量,歯材器,2014;33:147.
4-10 アマルガム切削片回収に関する研究
○青柳有祐,宮坂 平,青木春美,相馬弘子,石田祥己,三浦大輔
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
Study on recovery of debris after amalgam removal
○Yusuke Aoyagi, Taira Miyasaka, Harumi Aoki, Hiroko Soma, Yoshiki Ishida, Daisuke Miura
Department of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】水銀に関する水俣条約への署名・採択に伴い,我が国の歯科用アマルガムへの対応が問われている.我々は以前,
アマルガム充填物除去時の大気中および排水中への水銀排出量を調べることを目的として実験を行った.この結果,大気
中への排出については一時的かつ少量のため問題ないが,排水中への排出量が多いことが明らかとなった.そこで本研究
では,アマルガムセパレーターのような排水トラップでの回収ではなく,バキューム直後に種々のフィルターを設置する
システムを開発し,アマルガム削片の回収効率について検討した.【方法】アマルガム充填にはヒト抜去歯,第二大臼歯
と第三大臼歯を用いて実験を行った.包埋後,近遠心径 7.5mm,頰舌径 5mm の十字窩洞を,複製窩洞形成器(日本歯科
大学接着歯科学講座)を用い,規格化した十字型窩洞(深さ 2mm)を形成した.次いで,練和したアマルガムを充填し,
7 日間 37℃水中に保管した.その後,下顎模型に試料を固定後,ファントム内に設置しアマルガムの除去を行った.切削
時の削片の回収について,試作したバキュームフィルターを用い,このフィルターを通過する微細な削片については,ガ
ラスファイバーフィルターを用いた.最終段のフィルターを通過した削片を含む排水について,水銀濃度測定器を用いて
水銀濃度の計測を行った.
【結果】試作のバキュームフィルターは,一塊法によるアマルガム除去には極めて有効である
が,粉砕法のように,アマルガムが粉末状となる場合には,回収効率が低くなることが判った.ガラスファイバーフィル
ターは,このような粉末状のアマルガム回収に有効であり,このフィルターを通過したアマルガムの濃度は排出基準値以
下であった.【結論】充填されたアマルガム除去時に,バキュームチップの直後にフィルターを設置することにより,特
殊なトラップなしで排出水銀量を基準値以下とすることが可能であることが明らかとなった.
4-11
マイクロ CT による上顎側切歯根管形態の評価
○天野亮子, 勝海一郎
日本歯科大学生命歯学部歯科保存学講座
Evaluation of Root Canal Morphology in Maxillary Lateral Incisor Using Micro CT
○Ryoko Amano, Ichiroh Katsuumi
Department of Endodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】上顎側切歯は,前歯の単根管歯であるにもかかわらず,根管充填後の予後が劣り治療の難しい歯種とされている.
本研究は,マイクロ CT を用いて,上顎側切歯の根管の走行と根尖部の根管形態について分析を行った.【方法】実験に
は,ヒト上顎側切歯抜去歯 20 歯を用いた.マイクロ CT(ELE-SCAN,日鉄エレックス)を用い,管電圧 80kV,管電
流 60μA,スライス厚 56μm の条件で根尖から歯冠部までを連続的に断層撮影を行った.得られた断層像は画像処理ソフ
ト(TRI/3D-BON, ラトックシステムエンジニアリング)により三次元構築を行い,構築した画像をもとに近遠心・頬
舌の 2 方向から観察し,根管の走行方向の分析を行った.また,根管の長軸同士のなす角度を根管湾曲度とし,20 度以
上のものを強湾曲,20 度未満を弱湾曲とした.さらにスライス厚 16.9μm の条件で根尖側 5mm の撮影・三次元構築を
行い,三次元画像上で根管の主軸が垂直になるように調節しながら,根管側歯が分岐した地点から根尖まで,根尖分岐で
は分岐が始まった地点から根尖までの垂直的距離を求めた.
【結果】1. 根管の走行 近遠心的に湾曲している根管が 20
歯,舌側方向に湾曲している根管が 8 歯となり,中には 2 重や 3 重の湾曲も見られた.2. 根管湾曲度 近遠心方向の湾
27
曲計 22 箇所のうち,弱湾曲が 13,強湾曲が 9,唇舌的な湾曲計 11 箇所のうち,弱湾曲が 5,強湾曲が 6 となった.3. 根
管側枝・根尖分岐の分岐位置 20 歯中 6 歯に根尖分岐が,3 歯に根管側枝,1 歯にその両方がみられた.計 7 箇所の分
岐のうち,根尖から 1~2mm の位置で分岐したものが 6 箇所,2~3mm では 1 箇所だった.根管側枝は 4 歯の計 7 箇所に
みられ,根尖から 1~2mm で分岐したものが 1 箇所,3~4mm で分岐したものが 2 箇所,4~5mm で分岐したものが 4 箇
所であった.【結論】今回の検討により,上顎側切歯根管形態の複雑さが窺われ,特に舌側方向への根管湾曲は通常の歯
科用 X 線撮影では把握が難しく,治療に支障をきたすことが認識できた.
4-12
マイクロ CT による下顎切歯根管形態の評価
○西田太郎,勝海一郎
日本歯科大学生命歯学部歯科保存学講座
Evaluation of Root Canal Morphology in Mandibular Incisor by Using Micro CT
○Taro Nishida, Ichiroh Katsuumi
Department of Endodontics, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】下顎切歯は単根歯であるが,歯根が強度に偏平しており,唇舌的な根管の分岐や湾曲,さらには根尖分岐などが
認められ,治療難度の高い歯種とされる.本研究は,マイクロ CT を用い,連続的な断層撮影を行い,三次元画像を構築
後,下顎切歯の根管形態の詳細な分析を行った.
【方法】実験にはヒト抜去下顎切歯 50 歯を用いた.歯根外形を肉眼的
に観察後,マイクロ CT(ELE-SCAN,日鉄エレックス)を用い,管電圧 80kV,管電流 70μA,スライス厚 52.9μm の
条件にて,根尖から歯冠部まで連続的に断層撮影を行った.得られた断層像は画像処理ソフト(TRI/3D-BON,ラトッ
クシステムエンジニアリング)により三次元構築を行い,以下について分析を行った.1.根管の走行 三次元画像上で
根管数と根管の走行を分類した.2.根管の分岐位置 2 根管に分岐している歯は,近遠心方向からの観察画像を作成し,
歯冠側の根管分岐位置(Cs)と根尖孔開口部(Af)との距離(CsAf-L)
,および根尖孔の根管合流位置(As)と Af の距
離(AsAf-L)を計測した.
【結果】1.根管の走行 50 歯中 44 歯が単根管歯,5 歯が 2 根管 1 根尖孔,1 歯が 2 根管 2
根尖孔であった.2 根管 2 根尖孔歯では,管間側枝が認められた.2.根管の分岐位置 CsAf-L は平均 8.49mm,最大
9.56mm,最小 7.60mm であった.AsAf-L は平均 5.67mm,最大 7.28mm,最小 2.53mm であった.
【結論】本研究に
より下顎切歯根管形態の複雑さが窺われ,髄室開拡時には根尖孔から 7~10mm の部位での根管の探索が重要であること
が認められた.今後さらに詳細な分析を行う予定である.
4-13
高齢者における義歯の装着状態でみた年齢と咀嚼能力との関係
○田中優香 1,志賀 博 1,田中 彰 1,沖 淳 1,石川 忠 1,高草木章 2,小池拓郎 2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 1 講座,2 公益社団法人
東京都豊島区歯科医師会
The relationship between age and masticatory performance as seen from the condition of wearing denture in elderly
adults
○Yuka Tanaka1, Hiroshi Shiga1, Akira Tanaka1, Jun Oki1, Tadashi Ishikawa1, Akira Takakusaki2 , Takuro Koike2
1Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo,
2Toshima dental association
【目的】咀嚼能力は,咀嚼機能を客観的に評価するための重要な指標の 1 つにあげられているが,咬合状態により影響
を受けることが報告されている.本研究は,高齢者における年齢と咀嚼能力との関係を明らかにする目的で,咬合状態に
留意し,高齢者における年齢とグミゼリー咀嚼時のグルコースの溶出量との関係を分析した.【方法】本研究は,日本歯
科大学生命歯学部の倫理委員会の承認のもとに行った.被験者は,東京都豊島区保健福祉部主催の豊島区ふくし健康まつ
りに参加した人々の中から,高齢者 106 名(65~89 歳,平均 74.0 歳)を選択した.実験は,被験者にグミゼリーを主
咀嚼側で 20 秒間咀嚼させた時のグルコースの溶出量を測定した.グルコースの溶出量は,グミゼリーを咀嚼後,水 10ml
を含み,濾過付コップに吐き出させて濾液を採取し,この濾液のグルコース濃度をグルコース測定機器で測定した.分析
は,まず全被験者において,年齢とグルコースの溶出量との関係を調べた.次いで,義歯なし(有歯顎者)群,片顎部分
床義歯装着群,上下顎部分床義歯装着群,部分床義歯と全部床義歯装着群,上下顎全部床義歯装着群のそれぞれにおいて
年齢とグルコースの溶出量との関係を調べた.【結果】高齢者における年齢とグルコースの溶出量との関係は,全被験者
でみた場合は,両者間に有意な負の相関が認められた.しかしながら,咬合状態を考慮し,義歯なし(有歯顎者)群,片
顎部分床義歯装着群,上下顎部分床義歯装着群,部分床義歯と全部床義歯装着群,上下顎全部床義歯装着群のそれぞれに
おいて,グルコースの溶出量と年齢との関係を調べた結果,いずれも両者間に一定の傾向がなく,相関が認められなかっ
た.【結論】高齢者における咀嚼能力は,咬合状態を考慮しないと,加齢により低下する傾向にあること,咬合状態を考
慮すると年齢の影響を受けず,咬合状態が変化しなければ低下しないことが示唆された.
4-14
高齢有歯顎者における主観的評価と客観的評価でみた咀嚼能力
○山本早織 1,志賀 博 1,荒川一郎 1,中島邦久 1,藤井重壽 1,高草木章 2,小池拓郎 2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 1 講座,2 公益社団法人
東京都豊島区歯科医師会
Masticatory performance evaluated both objectively and subjectively in dentate elderly adults
○Saori Yamamoto1, Hiroshi Shiga1, Ichiro Arakawa1,Kunihisa Nakajima1, Shigehisa Fujii1,Akira Takakusaki2,
Takuro Koike2
1Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo,
28
2Toshima
dental association
【目的】咀嚼能力は,アンケートによる主観的検査法と篩分法やグルコースの溶出量などの客観的検査法を用いて評価さ
れている.本研究の目的は,高齢有歯顎者における主観的咀嚼能力と客観的咀嚼能力との関係を明らかにすることである.
【方法】本研究は,日本歯科大学生命歯学部の倫理委員会の承認のもとに行った.被験者は,高齢有歯顎者 50 名(65~
87 歳,平均 72.6 歳)を選択した.咀嚼能力の主観的評価として,2 種類の咀嚼スコア(MS1 と MS2)を食品摂取アン
ケート表を用いて算出した.また,咀嚼能力の客観的評価として,グミゼリー咀嚼時のグルコースの溶出量を測定した.
グルコースの溶出量は,まず被験者にグミゼリーを主咀嚼側で 20 秒間咀嚼後,蒸留水 10 ml で洗口し,グミゼリーとと
もに濾過付コップに吐き出させた.次いで,濾液中のグルコース濃度をグルコース測定機器で測定した.分析は,はじめ
に 2 種類の咀嚼スコア(MS1 と MS2)とグルコースの溶出量との関係,MS1 と MS2 との関係を調べた.次いで,これ
らの指標と年齢との関係も調べた.これらの関係は,Pearson の相関テストを用いて行った.
【結果】咀嚼スコアの値は,
グルコースの溶出量が多いと大きく,両者間に正の相関が認められた.2 種類の咀嚼スコアとグルコースの溶出量との関
係は,MS1 と MS2 のどちらにおいてもグルコースの溶出量との間に正の相関が認められた.MS1 と MS2 との間にも両
者間に正の相関が認められた.年齢と咀嚼スコア,年齢とグルコースの溶出量については,有意な関係が認められなかっ
た.【結論】高齢有歯顎者における客観的評価による咀嚼能力(グルコースの溶出量)は,年齢に関係なく,主観的評価
による咀嚼能力(食品摂取能力)が高いほど高いことが示唆された.
4-15
上下顎前突の下顎歯冠近遠心幅径の特徴について
○秋山宗太郎,新井一仁,織田育世,鈴木章弘,生駒美沙,塩谷翔太
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
Characteristics of mandibular mesiodistal tooth crown diameters in bimaxillary protrusion
○Sotaro Akiyama, Kazuhito Arai, Ikuyo Oda, Akihiro Suzuki, Misa Ikoma, Shota Shioya
Department of Orthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】上下顎前突の原因の1つとして,歯冠近遠心幅径の大きさが報告されている.また,叢生などの不正咬合と下顎
歯冠近遠心幅径との関係も報告がされているが,上下顎前突の下顎歯冠近遠心幅径について叢生や正常咬合と比較した研
究は少ない.本研究の目的は上下顎前突の下顎歯冠近遠心幅径の特徴について明らかにすることである.【方法】当講座
所蔵の資料の中から arch length discrepancy(以下 ALD)が±2.0mm の範囲以内かつ上顎切歯と口蓋平面のなす角(以下,
U1-MxP)が 115°未満,下顎切歯と下顎下縁平面のなす角(以下,L1-MP)が 99°未満の正常咬合を有する女性 16 名(以
下 N 群,平均年齢 21.0 歳)
,大臼歯の咬合関係は AngleⅠ級で,ALD が±2.0mm の範囲以内かつ U1-MxP が 115°以
上,L1-MxP が 99°以上の上下顎前突を有する女性 16 名(以下 B 群,平均年齢 19.4 歳)
,大臼歯の咬合関係は Angle I
級で,ALD が-6.0mm 以下かつ U1-MxP が 115°未満,L1-MxP が 99°未満の叢生を有する女性 16 名(以下 C 群,
平均年齢 20.0 歳)の下顎口腔模型を選択し,両側第一大臼歯間の 12 歯の歯冠近遠心幅径をデジタルノギス(NTD12-
C, Mitutoyo)にて計測した.ついで歯冠近遠心幅径の両側の値を合算して平均値と標準偏差を算出後,3群間で比較
(Bonferroni の多重比較検定,p<0.05)を行った.
【結果】B 群と C 群の歯冠近遠心幅径は,N 群と比較し,すべての
歯種で有意に大きかった(p<0.05).また,B 群は C 群と比較して,第一大臼歯のみ有意に大きかった( p<0.05).
【結論】上下顎前突は正常咬合者と比較し,すべての歯種で大きい下顎歯冠近遠心幅径を有し,叢生と比較し,第一大臼
歯で大きい下顎歯冠近遠心幅径を有することが示唆された.
4-16
日本歯科大学附属病院平成 26 年度研修歯科医を対象に実施したシムロイド研修の概要
○秋山仁志 1,三代冬彦 1,宇塚 聡 1,原 節宏 1,宮下 渉 1,岡田智雄 1,川村浩樹 1,山瀬 勝 1,新田俊彦 1,石田
鉄光 1,山崎孝子 1,荘司洋文 1,後藤尚昭 1,梅津糸由子 1,中村仁也 1,北原和樹 2,羽村 章 2
1 日本歯科大学附属病院,2 日本歯科大学生命歯学部
Summary of the clinical training using SIMROIDⓇ for trainee dentists in 2014
○Hitoshi Akiyama1, Fuyuhiko Mishiro1, Satoshi Uzuka1, Setsuhiro Hara1, Wataru Miyashita1, Tomoo Okada1,
Hiroki Kawamura1, Masaru Yamase1, Toshihiko Nitta1, Kanemitsu Ishida1, Takako Yamazaki1, Hirobumi Syouji1,
Naoaki Goto1, Yuko Umezu1, Kiminari Nakamura1, Kazuki Kitahara2, Akira Hamura2
1The Nippon Dental University Hospital, 2The Nippon Dental University,School of Life Dentistry
【目的】日本歯科大学附属病院では患者意識と連動した患者ロボットを開発し,全人的医療を実現できる歯科医師の養成
に適用することを目指している.今回,日本歯科大学附属病院に在籍する平成 26 年度研修歯科医を対象に,歯科臨床実
習用ヒト型患者ロボットシミュレーションシステム(シムロイド)を用いて,研修初期段階に基本的臨床技能として必要
不可欠な窩洞形成手技,ならびにコンポジットレジン充填処置を実施したので報告する.
【方法】日本歯科大学附属病院
に在籍する平成 26 年度研修歯科医 108 名を対象として,2014 年 5 月 9 日に臨床実習室に設置されたシムロイド 3 台を
用いて本研修を実施した.シムロイド研修と同じ内容を事前にファントムにて練習後,術者,介助者,評価者 1,評価者
2 の 4 人を 1 グループとして本研修を実施した.研修内容は,作成したシナリオに基づき,21 番Ⅴ級窩洞形成後,レジ
ン接着システムを使用し,コンポジットレジン充填を実施した.研修終了後,各自のシムロイド研修内容の録画再生によ
るフィードバックとアンケートの記載を行った.【結果】研修歯科医は実際の患者と同様に緊張感をもってシムロイド研
修を行っていた.フィードバック内容,アンケート結果から,生体に近似した顔貌と動作から得られる臨場感,声かけに
よるヒト型患者ロボットの返答反応,形成時,レジン充填時の不快事項に対する動作反応など,日常臨床で頻繁に行う非
29
可逆性,生体侵襲性の診療行為に対して本システムを用いた臨床技能教育がもたらす有効性が確認でき,すべての研修歯
科医から高い評価を得ることができた.【結論】実際の患者に対する診療行為のトレーニングとして,臨床技能向上のた
めの反復訓練が行える本システムを応用することにより,歯科臨床の現場に即した研修を実施することができ,臨床研修
における本システムの有効性,ならびに全人的歯科医学教育の充実が図られることが示唆された.
4-17
歯科矯正用ブラケットの素材による脱落頻度の臨床的検証
○内田裕子,永島圭悟,宇塚 聡,小森 成
日本歯科大学附属病院 矯正歯科
Comparative evaluation of orthodontic bracket failure: Randomized Clinical Trial
○Yuko Uchida, Keigo Nagashima, Satoshi Uzuka, Akira Komori
The Nippon Dental University Hospital, division of orthodontics
【目的】矯正歯科治療において,様々な種類の接着材が研究,開発されている.これまでの報告では in vitro での研究に
よるものが多く,レジン強化型グラスアイオノマーセメントはレジンセメントより接着耐久性が低いという研究結果が多
い.しかし,In vitro 研究と in vivo 研究の差異が指摘されている.そこで,本研究ではレジン強化型グラスアイオノマ
ーセメントとレジンセメントを用いて歯科矯正用ブラケットの耐久性をランダム化比較試験により検討することを目的
とする.
【方法】資料は A:Fuji Ortho LC(GC 社製),B:オルソリーグラスボンド(GC オルソリー社製)
,C:トランスボン
ド XT(3M Unitek 社製)
,D:トランスボンド プラス カラーチェンジ(3M Unitek 社製)の 4 種類の接着材とし,
本研究内容を説明し同意が得られた患者をランダム化して,スプリットマウス法を用いブラケットを直接法で装着した.
動的治療を終了した患者 40 名(男性 10 名,女性 30 名),738 歯(メタルブラケット 450 個,セラミックブラケット 288
個)
,
(平均治療期間 2 年 1 か月)を対象とし,再接着時のブラケットは除外してブラケットの脱落率,脱落部位,なら
びに脱落時期について比較検討した.
【結果】ブラケットの脱落率は 6.1%(メタルブラケット 8.0%,セラミックブラケ
ット 3.1%)であった.接着材別では A:1.1%,B:8.7%,C:7.6%,D:7.1%となり,A の脱落率が低かった.部位別では下
顎小臼歯が 12.1%と大きく,続いて下顎前歯が 8.2%,上顎小臼歯部 5.9%,下顎犬歯 3.8%,上顎前歯 3.1%であった.
【結論】本調査により接着耐久性は,接着材の種類や,ブラケットの種類により異なることが明らかとなった.しかし,
部位や脱落時期,選択したワイヤーなど多くの要素が影響しているため,調査を重ねていく必要がある.
4-18
口腔扁平苔癬,苔癬様口内炎および苔癬様上皮性異形成 190 検体についての免疫組織化学的研究
○岡田康男 1,柬理頼亮 1,大窪泰弘 1,石黒仁江 1,大野淳也 2,森出美智子 1,長谷川仁 1
1 日本歯科大学新潟生命歯学部病理学講座,2 日本歯科大学大学院新潟生命歯学研究科病態組織機構学
Immunohistochemical study of 190 specimens of oral lichen planus, lichenoid stomatitis, and lichenoid dysplasia
○Yasuo Okada1, Yoriaki Kanri1, Yasuhiro Ohkubo1, Hitoe Ishiguro1, Junya Ono2, Michiko Moride1,
Hitoshi Hasegawa1
1Department of Pathology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 2Histopathology of
Pathogenic Mechanism, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata
臨床的に口腔扁平苔癬は全身性扁平苔癬の口腔粘膜病変(LP)と苔癬様口内炎(LS)に分けられる.LP は両側性,対
称性に発現し,口腔内に限局する病変も知られており,また,LS は片側性に発現する.さらに LP と LS に臨床症状が
類似する疾患として苔癬様上皮性異形成(LD)があり診断に苦慮することが多い.しかし,これら疾患の多数例の上皮
ならびに浸潤細胞について網羅的に詳細に検討した報告は少ない.そこで,過去 13 年間に当教室にファイルされた症例
の診断を再検討し,上皮の異形成,浸潤細胞,免疫寛容について免疫組織化学的に評価した.対象は,LP, LS および
LD と診断した 160 例 190 検体.性別では男性 53 例 61 検体,女性 107 例 129 検体.年齢は 14~84 歳で,60 歳代が 55
例,50 歳代が 50 例で多かった.部位別では,頬粘膜 120 検体,下顎歯肉 19 検体,舌 14 検体,上顎歯肉 13 検体,下唇
8 検体,下顎歯肉頬移行部 5 検体,上顎歯肉頬移行部 4 検体,口蓋 4 検体,上唇 2 検体,舌下面 1 検体であった.HCV
陽性例は 5 例(3.1%)であった.悪性転化を病理組織学的に確認しえたのは 5 例で,全て苔癬様上皮性異形成からの癌
化であった.免疫組織化学的には,Foxp3,CD4,CD8,CD20,CD163,CK-13,CK-17,Ki-67,p53,Bcl-2,BR3
の染色を行い,これまで報告した上皮性異形成,上皮内癌,扁平上皮癌と比較検討し評価した. LP と LS では,CK-13
陽性,CK-17 陰性および p53 陰性ないしごくわずかな陽性例が多く,LD では,CK-13 陰性,CK-17 陽性および p53 陽
性率が高い症例が多かった.浸潤するリンパ球は LP,LS,LD のいずれにおいても CD4 陽性 T 細胞,CD8 陽性 T 細胞,
CD20 陽性細胞(B 細胞)が混在していた.
4-19 慢性硬化性唾液腺炎,Mikulicz 病および IgG4 関連リンパ球形質細胞性慢性唾液腺炎の免疫組織
化学的検討
○大窪泰弘 1,大野淳也 2,石黒仁江 1,柬理賴亮 1,長谷川仁 1,森出美智子 1,岡田康男 1
1 日本歯科大学新潟生命歯学部病理学講座,2 日本歯科大学大学院新潟生命歯学研究科病態組織機構学,
Immunohistochemical study of chronic sclerosing sialadenitis, Mikulicz desease and IgG4-related chronic
lymphoplasmacystic sialadenitis
○Yasuhiro Ohkubo1, Junya Ono2, Hitoe Ishiguro1, Yoriaki Kanri1, Hitoshi Hasegawa1
Michiko Moride1, Yasuo Okada1
1Department of Pathology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 2Histopathology of
30
Pathogenic Mechanism, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata
【目的】近年,慢性硬化性唾液腺炎と Mikulicz 病が IgG4 関連疾患であるとされている.今回,該当する 3 例に対し,
IgG と IgG4 の免疫組織染色を行い,IgG4 関連リンパ球形質細胞性慢性唾液腺炎の 1 例と比較検討したので報告する.
【症例・結果】1:72 歳,女性.左側顎下部の腫脹を主訴に来院.可動性,弾性硬の腫瘤を触知.抗菌薬投与も改善なく,
顎下腺摘出術が施行された.病理組織学的に,唾液腺腺房の萎縮・消失,線維化や濾胞形成を伴う高度のリンパ球浸潤を
認めた.IgG4/IgG が 50~60%,IgG4 陽性細胞は 20~30/HPF.血中 IgG 値は 1,640mg/dL と高値.2:56 歳,女性.
左側顎下部の腫脹を繰り返し,抗菌薬投与も改善なく,左側顎下腺摘出術が施行された.病理組織学的に,唾液腺腺房の
萎縮・消失,線維化,濾胞形成を伴う高度なリンパ球浸潤を認めた.IgG4/IgG が 40%,IgG4 陽性細胞は 20~30/HPF.
3:51 歳,男性.Mikulicz 病疑いで口唇腺の生検術が行われた.病理組織学的に,唾液腺腺房や導管周囲に高度なリン
パ球,形質細胞の浸潤を認め,線維化はごく軽度であった.IgG4/IgG は 50%,IgG4 陽性細胞は 15~30/HPF.血中 IgG4
値は 1,610mg/dL と高値.4:54 歳,女性.右側口蓋部の腫脹を主訴に来院,同部の生検術が行われた.病理組織学的に,
唾液腺腺房の萎縮・消失と濾胞形成を伴うリンパ球,形質細胞の強い浸潤を認め,一部に高度の線維化を伴っていた.
IgG4/IgG が 30~40%,IgG4 陽性細胞は 10~15/HPF.血中 IgG4 値は 118mg/dl で基準値より高値.
【結論】1,2 は従
来の慢性硬化性唾液腺炎であるが,IgG4 関連疾患包括基準(厚生労働省,2011 年)の準確診群に該当し,IgG4 関連疾
患の可能性がある.また,3 は従来の Mikulicz 病であるが,IgG4 関連涙腺唾液腺炎診断基準(日本シェーグレン症候群
研究会,2008 年)を全て満たす.4 は IgG4 関連疾患包括診断基準の準確診断となる IgG4 関連リンパ球形質細胞性慢性
唾液腺炎であり,1~3 は 4 と病理組織学的に類似した組織像を示した.今回の症例では慢性硬化性唾液腺炎と Mikulitz
病が IgG4 関連疾患に相当する結果が得られた.
4-20
レーザー照射による齲蝕予防に関する研究-μCT 法による表層下脱灰と再石灰化の観察-
○柬理頼亮,岡田康男
日本歯科大学新潟生命歯学部病理学講座
Study of the preventive effect of initial enamel caries by carbon dioxide laser irradiation
○Yoriaki Kanri, Yasuo Okada
Department of Pathology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata
【目的】近年のう蝕研究と臨床治療は,診断・予防・再石灰化による回復が大きな課題となっている.また臨床では,レ
ーザー機器の治療への応用が著しい.今回,歯面へのレーザー照射によるう蝕病変回復プロセスを明らかにする目的で,
表層下脱灰を伴うヒト臼歯白斑モデルを用いて,炭酸ガスレーザー照射により表層下脱灰を伴う歯質内部の質的・量的変
化をμCT 法を用いて非破壊的・経日的に観察を行い,病巣の広がり範囲と石灰化度の変化を時間軸で評価した.
【方法/ 症例】当病院診療科で抜歯し本学倫理委員会規定にて使用が許可された大臼歯に,平滑面白斑う蝕を有するもの
を対象として,バンドソーにてう蝕領域を含む歯質をブロック状に作製し,2%フッ化ナトリウム塗布と炭酸ガスレーザ
ー照射の併用(レーザー・サンドウィッチ法)を経日的に行った.試料は島津製作所マイクロフォーカスエックス線撮影
装置 SMX-100CT と RATOC 社画像解析ソフト TRI/3D BON を用いて,時系列でのμCT 画像と無機塩濃度変化を定量
解析した.【結果】レーザー照射試料と未照射の試料における脱灰深度を比較すると,レーザーが直接照射されるエナメ
ル質表面の色調には経日的に変化がみられ,周囲の健常エナメル質と類似した.μCT 画像観察結果から深部の齲蝕病巣
の形状に著明な変化はみられなかったが,無機塩濃度の変化に着目すると石灰化度に増加の傾向がみられた.【結論】本
研究の結果から表層下脱灰の領域は,炭酸ガスレーザーの照射を付加することでフッ化ナトリウムの取り込みが強調され
る可能性が示唆された.また,本研究は平成 22~25 年度独立行政法人日本学術振興会科学研究費(課題番号 22791847)
の助成を得たものである.
4-21
歯の接触を伴わない努力最大開閉口運動が閉口時の顆頭位に及ぼす影響
○小出勝義,小出 馨,水橋 史,高橋 睦
日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第 1 講座
Influence of Maximal Opening and Closing Movements Without Any Tooth Contact on Deviation of Condylar
Position in Mouth Closing
○Katsuyoshi Koide, Kaoru Koide, Fumi Mizuhashi, Mutsumi Takahashi
Department of Removable Prosthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata
【目的】咬耗などによる僅かな咬合不調和でも,顎関節には過剰な負荷が加わり顆頭偏位をきたしている場合がある.こ
の顆頭偏位は努力最大開閉口運動により改善する可能性がある.本研究の目的は,機能的な顎運動である歯の接触のない
努力最大開閉口運動を連続して行うことが,閉口時の顆頭位にいかなる影響を及ぼすかを明らかにすることである.
【方法】被験者は有歯顎者 32 名とし,測定に先立ち,頭頸部筋群の圧痛の有無により 2 群に分類し,T-スキャンⅢ®上
で中程度の噛み締めを練習させた.被験側顆頭は,圧痛のない群では左右側ランダム,圧痛のある群では圧痛の強い側と
した. Win Jaw System®により顆頭点の変位量を測定した.開口量は可及的に大きく開口した努力最大開口,開閉口回
数は,0,1,2,4,6,8,10,12,14,16,18,20 回の 12 条件とし,各運動後における顆頭点の変位量を求めた.ま
た,計測の基準として各条件での試行前後に3秒間の中程度の噛み締めと,その後の 1 分間の待機時間を設けた.顆頭
点は X 軸(前後方向)
,Y 軸(左右方向)
,Z 軸(上下方向)における変位量を算出した.統計分析は,圧痛の有無,開閉
口回数における顆頭点の,X 軸,Y 軸,Z 軸方向の移動量について,2元配置分散分析と Bonferroni の多重比較検定を
行った.
【結果】閉口時の顆頭点は,圧痛のある群では努力最大開閉口運動 10 回以上で前方へ移動した.圧痛のない群
31
では 10〜18 回で,圧痛のある群では 4 回以上で下方へ移動した.圧痛のない群とある群とを比較すると,8 回以上で,
圧痛のある群がない群よりも下方へ移動した.【結論】閉口時の顆頭点は,努力開閉口運動後に移動した.これには顎関
節の負荷の軽減や,プログラムされていた嵌合位の位置情報の除去が作用している可能性がある.本研究の結果は咬合が
関与する歯科治療を行う上で有用なものと考えられる.
4-22
マウスガードシートの熱収縮を利用した成型方法の検討
○高橋 睦,小出 馨,水橋 史,佐藤利英
日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第1講座
Investigation of forming method utilizing the thermal shrinkage of mouthguard sheet
○Mutsumi Takahashi, Kaoru Koide, Fumi Mizuhashi, Toshihide Sato
Department of Removable Prosthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata
【目的】カスタムメイドマウスガードの製作は,各種成型器を用いて作業用模型にシート状の熱可塑性エラストマーを
軟化圧接する方法が主流であり,操作は比較的簡便であるが成型後の厚さが減少することが欠点である.本研究では,
成型後マウスガードの厚さの減少を抑制するためのシートの加熱方法について,押出成形により製造された EVA シート
を用いて検討を行った.
【方法】マウスガードシートは,方形の EVA シート(スポーツマウスガード,4.0 mm)を使用
した.作業用模型は上顎有歯顎模型(500A)を印象採得後,硬質石膏を注入して作製し,中切歯切縁で 20 mm,第一大
臼歯近心頬側咬頭で 15 mm の高さにトリミングしたものを用いた.成型には吸引型成型器(ウルトラフォーマー)を用
い,シート製造時の押出方向を模型正中線に対して垂直方向に設置した条件(条件 V)と水平方向に設置した条件(条
件 P)を比較した.シートの加熱条件は,シートフレームを通常使用である支柱上端に位置させシートが 15 mm 下垂し
た時点で成型した条件,シートフレームを支柱上端から 50 mm 下げて加熱しシートが 15 mm 下垂した時点で成型した
条件とした.成型後マウスガードの切縁,唇面,咬頭頂,頬側面の厚さをメジャーリングデバイスにより計測した.分
析は,成型条件によるマウスガードの厚さの違いについて,二元配置分散分析を用いて行った.
【結果】成型後マウスガ
ードの厚さは,いずれの測定部位においても条件 V の方が条件 P よりも厚くなった.条件 V はすべての測定部位で,条
件 P は唇面,咬頭頂,頬側面で有意差が認められ,シートフレームを支柱上端から 50 mm 下げて加熱した条件の方が厚
くなった(p<0.01).
【結論】押出成形により製造された EVA シートを用いてマウスガードを吸引成型する際には,シー
トフレームの高さを調整してシートを加熱することにより成型後マウスガードの厚さの減少を抑制でき,臨床上有用な
成型法となることが示唆された.
4-23
歯科領域にて採取可能な生体材料を用いたオーダーメイドの唾液腺再生医療に関する検討
○川上未有希 1,2,石川 博 3,高橋 悠 2,大山晃弘 3,中原 貴 4,田中 彰 2
1 日本歯科大学新潟生命歯学部先端研究センター再生医療学,2 日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科学講座
3 日本歯科大学生命歯学部 NDU 生命科学講座,4 日本歯科大学生命歯学部発生・再生医科学講座
A Study on made-to-order regenerative medicine of salivary glands using the biomaterials that can be collected in
the dental specialty.
○Miyuki Kawakami1,2, Hiroshi Ishikawa3, Haruka Takahashi2, Akihiro Ohyama3, Taka Nakahara4, Akira Tanaka2
1Division of Cell Regeneration and Transplantation, Advanced Research Center, 2Department of Oral and
Maxillofacial Surgery, School of Life Dentistry at Niigata., 3Department of NDU life sciences, 4Department of
Developmental and Regenerative Dentistry, School of Life Dentistry, The Nippon Dental University.
【目的】唾液腺機能低下や腺萎縮により起こる唾液量減少は,口腔乾燥や咀嚼・嚥下障害など患者の QOL に影響を与え
る.現在,唾液腺機能低下等に対する治療は対症療法のみで,根本的治療法の確立が望まれる.我々は現在までに,マウ
ス early ES 細胞を細胞源とした移植可能な唾液腺細胞への培養による分化誘導法を確立した.さらに培養にて分化誘導
させた唾液腺細胞は生体移植により生着可能であることも確認した.今回,本手法をヒト組織幹細胞にて応用し唾液腺細
胞への分化誘導が可能か生体へ移植可能か検討したので報告する.
【研究の材料と方法】細胞源としてヒト組織幹細胞(頰
脂肪体由来:BFP-ASCs)を用い,幹細胞の唾液腺細胞への分化誘導はヒト唾液腺由来線維芽細胞(SG-fibro)との共培
養で行った.BFP-ASCs と SG-fibro の共培養開始から約 1 週間で形態変化した細胞を colonial cloning し培養を継続し
た.また,in vivo 実験として,培養にて分化誘導した唾液腺細胞をマウス顎下腺へ直接細胞移植を行い,生着可能か否
かについて検討した.
【研究結果】BFP-ASCs と SG-fibro を共培養した細胞は,免疫染色および RT-PCR 法において
amylase を筆頭とする唾液腺のマーカーの発現を認めた.また,in vivo 実験においては移植した細胞は生着し,唾液腺
組織の新生を認めた.【結論】研究結果として,本手法にて培養下に移植および生着可能な唾液腺細胞を分化させること
が確認でき,生体材料のみ用いていることより低浸襲で安心・安全なオーダーメイドの唾液腺再生医療として応用可能と
示唆された.今後,唾液腺機能低下等に対する根本的治療法として,ヒトへの応用を実現するための課題を乗り越え,臨
床実用化を目指したい.
4-24 同一患者由来の舌癌細胞株(Nialym)と cancer stem cell 株(Nialymsc)ならびに xenograft
由来細胞株(Nialymx)の樹立
○高橋 悠 1,2,大山晃弘 2,豊村順子 2,川上未有希 1,3,石川 博 2,中原 貴 4,田中 彰 1,3
1 日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科学講座,2 日本歯科大学生命歯学部 NDU 生命科学講座,
3 日本歯科大学新潟生命歯学部先端研究センター再生医療学,4 日本歯科大学生命歯学部発生・再生医科学講座
32
Establishment and characterization of Nialym and Nialymsc (cancer stem cell) cell lines derived from metastatic foci
of lymph node of lingual squamous cell carcinoma, and Nialymx cell line derivd from a graft of Nialym cells in scid
mice
○ Haruka Takahashi1,2, Akihiro Oyama2, Junko Toyomura2, Miyuki Kawakami1, 3, Hiroshi Ishikawa2, Taka
Nakahara4, Akira Tanaka1, 3
1 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, School of Life Dentistry, The Nippon Dental University, Niigata,
2 Department of NDU Life Sciences, School of Life Dentistry, The Nippon Dental University, Tokyo, 3 Division of Cell
Regeneration and Transplantation, Advanced Research Center, School of Life Dentistry, The Nippon Dental
University, Niigata, 4 Department of Developmental and Regenerative Dentistry, School of Life Dentistry, The
Nippon Dental University, Tokyo
【目的】従来より,口腔扁平上皮癌の転移病巣や再発に対しては,手術療法を除き,難渋することが多い.そこで今回,
我々は新規治療法開発に向けた一助とすべく,同一扁平上皮癌組織から 3 つの細胞株を得ることができたので,その概
要を報告する.
【方法】50 歳男性の舌癌由来頸部リンパ節転移組織を細切し,0.1%trypsin-0.02%EDTA/PBS (-)を用
いて細胞を解離し初代培養を行った.DMEM/F12(15%FBS 含有)培養液を使用して継代を続け,Nialym 細胞株を樹
立した.この細胞株をスキッドマウスの皮下に移植し,xenograft 由来の Nialymx 細胞株も樹立した.さらにリンパ節
転移組織の初代培養を長期に維持したシャーレから小型球形で pilling up する細胞を colonial cloning して,Nialymsc
細胞株を得た.【結果】Nialym は多形性を有する上皮様細胞で構成され,電子顕微鏡にて明調細胞と暗調細胞が認めら
れた.暗調細胞には細胞質内に多くのフィラメントが束を作って縦横無尽に走行していた.免疫染色では,CK17 陽性お
よび CK13 陰性であり,扁平上皮癌の特徴を示した.また RT-PCR では,転移巣の特徴も示した.移植癌組織は,原発
巣と類似した病理組織型であり,Nialymx は扁平上皮癌の特徴を示した.また,Nialymsc は細胞質に乏しく,細胞内小
器官の発達が未熟であり,RT-PCR にて頭頸部 CSC マーカーの発現を確認した.
【結論】同一患者より,舌扁平上皮癌
後発頸部リンパ節転移巣由来のヒト舌癌細胞株(Nialym)および CSC 株(Nialymsc),Nialym 細胞株移植癌から
xenograft 細胞株(Nialymx)の樹立に成功した.これらの細胞株は侵襲性および転移性が高い口腔扁平上皮癌の診断,
さらに効果的な治療法の開発研究等において極めて有用であると考える.
4-25
高グルコース条件下におけるヒト歯根膜由来血管内皮細胞の性状変化
○丸山昂介 1,坪川瑞樹 2,清水 豊²,佐藤 聡 1,3
1 日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座,2 日本歯科大学新潟病院総合診療科,3 日本歯科大学先端研究センター再生
医療学
Change of human periodontal microvascular endothelial cells by high glucose
○Kosuke Maruyama1, Mizuki Tsubokawa2, Yutaka Shimizu1,3,Soh Sato
1Department of Periodontology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 2Comprehensives
Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3Division of Cell Regeneration and Transplantation,
The Nippon Dental University
【目的】血管内皮細胞は,血管壁における細胞の再生や物質の透過等の重要な役割を果たすことが報告されている.また,
口腔内の慢性疾患である歯周病は,心疾患や糖尿病といった全身疾患との関連が報告されている.特に糖尿病の合併症の
一つとして微小血管障害があげられるが,ヒト歯周組織由来血管内皮細胞との関連を報告したものは少ない.そこで本研
究では,歯周組織と糖尿病の関連性をさらに解明するために,ヒト歯根膜由来血管内皮細胞を高グルコース条件で培養し
た際の性状変化について in vitro にて検討を行った.
【材料および方法】ヒト歯根膜由来血管内皮細胞は,抜去歯の歯根
膜から歯根膜細胞を獲得し,抗 CD31 抗体コーティング・マグネットビーズにて分離した.獲得した細胞は,高血糖群
(11mM/dl,22mM/dl)とコントロール群(5.5mM/dl)に分け,それぞれ培養を行った.培養した細胞は,細胞増殖能,
フローサイトメトリーによってアポトーシス陽性細胞の割合を測定した.また,マトリゲル基底膜マトリックスを基質と
した培養により,管腔形成の経時的変化を観察した.また,血管内皮細胞の炎症性マーカーである intercellular adhesion
molecule-1(ICAM-1)
,vascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)の発現を,Real-time PCR により測定した.コ
ントロールには,ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いた.
【結果および考察】ヒト歯根膜由来血管内皮細胞は,
高血糖群では,コントロール群と比較して,細胞増殖速度が遅く,アポトーシス陽性細胞の割合が有意に増加した.管腔
形成の経時的変化の観察では,高血糖群にて,管腔の形成速度が遅延する傾向を認めた.また,ICAM-1 と VCAM-1 の
発現の検討では,高血糖群において有意に発現の増加を認めた.この結果より,高グルコース条件下でのヒト歯根膜由来
血管内皮細胞は,炎症状態を呈し,恒常性を維持することが困難であることが示唆された.【結論】本研究より,糖尿病
による高血糖状態は,歯周組織の微小血管障害を惹起し,歯周病の病態を悪化させると考えられる.
4-26
口腔扁平上皮癌細胞における RASSF-1A の点突然変異解析
○谷島康太 1,福江武洋 1,田中崇之 1,井上瑛美子 1,永瀬啓樹 1,小牧令典 1,白井雅美 1,秋知美穂 2,大西洋揮 2,
小林公彦 2,野村茜里 2,松尾恭子 2,山内直樹 2,美原希美 3,須藤遥 3,今井一志 3,千葉忠成 3.
1 日本歯科大学生命歯学部平成 24 年度第2学年学生,2 日本歯科大学生命歯学部平成 23 年度第2学年学生,
3 日本歯科大学生命歯学部生化学講座.
Point mutation analysis of RASSF-1A gene in oral squamous cell carcinoma
○Kouta Yajima1, Takehiro Fukue1, Takayuki Tanaka1, Emiko Inoue1, Keiju Nagase1, Ryosuke Komaki1, Masami
33
Sirai1, Miho Akichi2, Hiroki Onishi2, Masahiko Kobayashi2, Akari Nomura2, Kyoko Matsuo2, Naoki Yamauchi2,
Nozomi Mihara3, Haruka Sudo3, Kazushi Imai3, Tadashige Chiba3
1The second grade at Heisei 24 years, 2at Heisei 23 years and 3Department of Biochemistry, School of Life Dentistry
at Tokyo, The Nippon Dental University
【目的】Ras association domain family member 1A 遺伝子 (以下 RASSF-1A)は腫瘍抑制分子として働いており,
promoter 領域の異常により,その発現が抑制され,さまざまな癌の発症に関連していると考えられている.そこで本研
究では,RASSF-1A の CpG アイランド近傍の変異解析を行った.
【方法】
RASSF-1A 遺伝子構造
RASSF-1A 遺伝子は 6 つの exon (exon1 - exon6) から構築されており,exon1 部分を含む CpG アイランド近傍の変
異を一本鎖高次構造多型解析(以下 SSCP)および DNA 配列解析装置を用いて解析した.口腔上皮扁平癌細胞は,OSC19,
Ca9-22,KOSC2,TSU,HSC2,HSC3,Ho-1-u-1,SCC-KN を使用した (正常細胞として GF111 を用いた)
.各細
胞より totalRNA を抽出し,RT-PCR を行った.さらに,各細胞から DNA を抽出後,PCR にて図の←部分の増幅を行
った.増幅した PCR 産物は SSCP 後に,分離したバンドから PCR 産物を抽出し,塩基配列の確認を行った.
【結果】
RT-PCR で Ca9-22,KOSC2,SCCKN で PCR 産物の増幅が認められなかった.また,SSCP および DNA 配列解析か
ら,Ca9-22,KOSC2,SCCKN で exon1 の上流部分に欠失が認められた.しかし,SSCP 後の抽出したバンドには点突
然変異は認められなかった.同様に exon2 から exon6 について SSCP および DNA 配列解析を行ったが,点突然変異は
認められなかった.
【結論】口腔上皮扁平癌細胞について,RASSF-1A 遺伝子の CpG アイランド近傍の点突然変異を調
べたが,見つけることが出来なかった.Ca9-22,KOSC2,SCCKN での RASSF-1A の消失は exon1 上流部分の欠失が
原因と考えられる.
4-27
歯科理工学研究会の学生における学年の違いによる印象材の取り扱い技術
○大山 豪 1,山田憲二 1,鈴木智之 1,原 新子 1,平野萌香 1,宮坂 平 2,青柳有祐 2,青木春美 2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学研究会,2 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座
Relationship between proficiency in impression materials handling and the grade of students belonging to the dental
materials study group
○Go Oyama1, Kenji Yamada1, Tomoyuki Suzuki1, Shinko Hara1, Moeka Hirano1, Taira Miyasaka2, Yusuke Aoyagi2,
Harumi Aoki2
1Study Group of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo,
2 Department of Dental Materials Science, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
【目的】本学で歯科材料を取り扱う実習として第 3 学年前期に歯科材料技術工学(理工学)実習が行われ,第 4 学年で
臨床科目系実習を経て,第 5 学年において臨床実習が行われている.このような段階的に行われる実習は,歯科材料の
取り扱いに習熟する上で重要である.この間の歯科材料の取り扱い技術の習得は,アンケート等により実習の有用性を確
かめることはできるが,技術力の実情はよく把握されていない.そこで今回我々は,学年の違いによって歯科材料の取扱
い技術に差が認められるかどうか調べるため,頻用されているアルジネート印象材を用い,作製した印象の物性を調べて,
その取り扱い技術を評価した.
【方法】本学歯科理工学研究会所属の学部生 9 名(1 年生 3 名,3 年生 3 名,5 年生 3 名)
を対象とした.アルジネート印象材(アローマファインプラスノーマルセット,ジーシー)を用い,練和水の温度ならび
に混水比を変化させて各学年 135 個の試料を作製した.JIS T 6505 に準拠した方法で,各試料の弾性ひずみ,永久ひず
みを計測した.得られた測定値を統計解析し,学年の違いによる差が認められるか否か評価した.【結果】弾性ひずみ,
永久ひずみともに測定値が最も大きかったのは 1 年生で,3 年生ではわずかに小さく,5 年生では最も小さかったが,こ
れらの測定値はメーカーの表示値と大きな差は認められなかった.また,いずれの学年でも練和水量が多くなると弾性ひ
ずみ,永久ひずみともに大きくなる傾向が確かめられた.【結論】今回は歯科理工学研究会に所属しており理工学に興味
を持っている学生が対象であること,多数の試料を作製したことによりそれぞれの練和技術が熟練したことから,学年に
よる測定値の差は小さかったと考えられる.
4-28 金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた
三ユニットブリッジ治療
○五味治徳1,新谷明一1,石田鉄光2,秋山仁志2
1 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 2 講座,2 日本歯科大学附属病院総合診療科
Treatment of tooth missing with fiber reinforced high strength composite resin bridge as an alternative of the
ordinary 3-unit metal bridge
○Harunori Gomi1, Akikazu Shinya1, Kanemitsu Ishida2, Hitoshi Akiyama2
1Department of Crown and Bridge, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo
2Division of General Dentistry of The Nippon Dental University Hospital
【目的】金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた臼歯部三ユニットブリ
34
ッジ治療は,日本歯科大学附属病院において臨床調査を行った後,平成 24 年 12 月より,高度先進医療に認可されてい
る.今回はその概要について報告する.
【方法】支台歯辺縁形態は,1.5 ㎜のショルダーまたはヘビーシャンファーとし,
咬合面はクリアランス 1.5~2.0 ㎜とした.ブリッジの製作には,グラスファイバーを使用し,歯型上にファイバーネッ
ト 2 枚を 45°に傾けた状態で圧接・重合後,咬合面にファイバーを繊維方向が近遠心方向のブリッジ底部と一致するよ
う設置し,ポンティック部には頬舌方向にファイバーを設置した.その後高強度コンポジットレジンにて歯冠部に築盛,
光および加熱にて重合し,形態修正,研磨をしてブリッジを完成させた.口腔内試適・調整後のブリッジは,装着前に被
着面をサンドブラスト処理し,シラン処理を施した後にコンポジット系レジンセメントにて支台歯と接着させた.
【結果】
装着時における支台歯への適合状態および隣接面の接触状態は,全ての症例において良好であった.リコール時の観察で
も特に異常を認めなかった.修復装置の状態,修復装置の変色状態,咬合接触の状態,対合歯の状態,隣在歯の状態につ
いても異常は認められず,良好な状態であることが確認された.【結論】今回行ったグラスファイバーで補強された高強
度のコンポジットレジンを用いた臼歯部三ユニットブリッジ治療は,適合性に優れており,金属アレルギーの患者に対し
ても有効であり,レアメタルを有する歯科用貴金属合金によるブリッジ治療の代替となるものと考えられる.
4-29
ホームホワイトニングの効果と後戻りを考察した一症例
○櫻田綾子,安倍美紀,高山理恵,石川明子
日本歯科大学附属病院 総合診療科 ホワイトニングチーム
A case report of home whitening for effect and regression
○Ayako Sakurada,Miki Abe,Rie Kohyama,Akiko Ishikawa
The Nippon Dental University Hospital,General Dentistry,Whitening Team
【目的】近年,口腔内に対する審美的関心が高まりホワイトニングに興味を持つ患者も増えてきた.今回は,ホームホワ
イトニングの効果と後戻りを長期的に観察したので報告する.
【症例】患者 27 歳女性.平成 22 年 11 月 18 日に定期検診
とホワイトニングを主訴として来院した.全身既往歴,家族歴,嗜好,アレルギーに特記事項なし.方法は患者の希望に
より来院回数・チェアタイムの短いホームホワイトニングを選択,材料は GC Tion ホーム(GC)を用いた.ホワイト
ニング材は 1 日 2 時間を限度として装着した.使用時にはホワイトニングダイアリー(使用回数,日時,自覚症状の有
無)の記載を行った.術前並びに来院時に口腔内写真,VITA シェードによる視感比色,スペクトロシェード(デンツプ
ライ三金)による器械測色を行い,ホームホワイトニングの効果と後戻りを判定した.【結果】上顎前歯部において,ホ
ームホワイトニングを 28 回行った時点で上顎左側中切歯の色調は A3 から A1 に変化し,VITA シェードを明度順に並べ
たシェードガイドでは 7 段階明るくなった.また,測色計による計測値より算出された色差できわめて著しく異なる
(much)という評価となった.この時点で患者の満足も得られたためホワイトニングを終了し,7,11,14,19,22,
24 か月後に色調測定を行った.ホワイトニング開始より 24 か月後までホワイトニングによる効果は色差が大きく,きわ
めて著しく異なる(much)という評価であった.しかし色差の値は徐々に減少し,変化量はわずかになっていった.
【結論】今回の症例においてホームホワイトニングの効果は十分に得られ,患者の満足も得られた.しかし施術前以上の
後戻りはなかったものの,終了時と比較すると経時的な後戻りが徐々に生じてくることが判明した.今後も経時的な色調
測定を行い,その結果を患者に提示・説明の上で,経過観察もしくはホワイトニングの再開を勧めていきたい.
4-30
新生児期の気管チューブ留置により生じたエナメル質形成不全の 1 例
○松崎祐樹 1,内川喜盛 1,柳下寿郎 2,白瀬敏臣 1
1
日本歯科大学附属病院小児歯科,2日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科
A case of enamel hypoplasia considered to be caused by long-term effect of neonatal endotracheal intubation
○Yuki Matsuzaki1, Yoshimori Uchikawa1, Hisao Yagishita2, Toshiomi Shirase1
1Department of Pediatric Dentistry, Nippon Dental University Hospital, 2Department of Oral Diagnosis, Oral
Pathology, Nippon Dental University Hospital
【目的】新生児期における気管チューブ留意が原因でエナメル質形成不全を起こした症例を経験したので報告する.
【症例】患児:2 歳 3 か月,女児.主訴:上顎左側前歯部の萌出遅延.初診:2012 年 11 月 14 日.既往歴:動脈管開存
症,未熟児網膜症.生育歴:帝王切開にて 24 週 5 日,身長 32 ㎝ 体重 760g で出産した.4 か月まで NICU に入院して
おり呼吸確保の為,長期にわたり挿管チューブにて呼吸管理を行っていた.口腔内所見:上顎左側乳中切歯,乳側切歯,
乳犬歯部の萌出障害を認めた.エックス線所見:歯牙腫様不透過像を認めた.【処置および経過】全身麻酔下にて上顎左
側乳前歯部の開窓と歯牙種様硬組織の摘出を行った.1 か月後に上顎左側乳中切歯,乳犬歯は萌出したが,両歯に重度の
エナメル質形成不全を認めた.
【考察】低出産体重児に認めるエナメル質形成不全の原因として,挿管時の喉頭鏡操作も
しくは挿管チューブ装着による影響が報告され,特に喉頭鏡による強い圧迫が大きな原因だとされている.このことから,
本症例の上顎左側前歯部に限局した重度のエナメル質形成不全の原因は,気管挿管と長期間の気管チューブの装着が考え
られた.しかし,摘出した歯牙腫様硬組織の病理組織検査から,弱く継続的な圧迫による強度のエナメル質形成不全が発
現した所見が認められ,本症例においては長期の挿管チューブの留置が大きな原因であることが示唆された.現在,開窓・
摘出処置により,乳歯の萌出と交叉咬合の改善を認める.今後,重度のエナメル質形成不全歯の処置と欠損部への対応を
行い,また,永久歯への影響について不明である為,注意深く経過観察を行う予定である.
35
4-31
口腔癌再建手術症例における術後感染予防に対する口腔ケアの有用性に関する検討
○佐藤英明 1,田中 彰 2
1 日本歯科大学新潟病院口腔外科,2 日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科学講座
The effect of oral health care for the prevention of postoperative infection on the oral cancer reconstructive surgery
cases
○Hideaki Sato,Tanaka Sho
Oral & Maxillofacial Surgery Niigata Hospital, The Nippon Dental University
【目的】周術期口腔機能管理は,術前から術後までの局所感染を防ぎ,術後合併症の発症頻度を減少させる目的で行われ
ている.特に口腔再建を伴う高侵襲手術における術後合併症の防止は,患者の QOL を向上させ,さらには在院日数の減
少等により医療経済効果をもたらす.そこで今回われわれは,血管柄付き遊離皮弁を用いた口腔癌再建手術症例における
周術期口腔ケアの有用性を検証したので報告する.
【方法/対象】2006 年 4 月から 2010 年 3 月に血管柄付き遊離皮弁や
遊離骨皮弁を用い再建手術を施行した口腔癌症例 28 例(ケア群)とケア導入前の口腔癌症例 25 例(対象群)を比較検
討し,さらに周術期口腔機能管理が保険収載された 2012 年 4 月から 2014 年 3 月までの口腔癌再建手術症例 10 例につ
いても同様の検討を行った.検討内容は,体温,白血球数などの各種検査値,創部感染の有無,術後の抗菌薬投与日数,
経口摂取までの日数で,周術期口腔ケアの有用性を検討した.創部感染の判定については Johnson らの頭頸部手術にお
ける感染 Grade 分類を用い行った.単因子の解析にはカイ二乗検定,多変量解析にはロジスティクス解析にて検討を行
った.
【結果】比較検討では,創部感染はケア群で 2 例,7.7% 対照群で 7 例 31.8%とケア群で有意に少ない結果が認め
られた.その他の項目についてはケア群において退院までの日数が約 9 日間の短縮が認められた.術後感染に関する因
子の解析を行ったところ,口腔ケアの有無において統計学的有意差が認められた.ロジスティクス多変量解析では,口腔
ケアの有無において 0.220 というオッズ比が示され,口腔ケアの施行,創部被覆材の使用,免疫賦活栄養法が術後感染リ
スクを減ずる可能性が示唆された.【結論】口腔癌再建手術において,統計学的に周術期口腔ケアが感染リスク軽減を促
す要因の1つであることが示唆された.
4-32
本学 APDSA 部による学生の国際交流について
○久保田麻莉 1,菊地翔太 1,住友のぞみ 1,藤田 遥 1,後藤 遥 1,佐久間怜那 1,新井修平 1,柴垣皓一 1,梅原菜愛 1,
大滝真央 1,石田理沙子 1,澤田伊央理 2,菊池憲一郎 3
1 日本歯科大学生命歯学部 APDSA 部,2 日本歯科大学附属病院,3 解剖学第 2 講座(APDSA 部顧問)
International student communication activity by APDSA (Asia-Pacific Dental Student Association) at The Nippon
Dental University (Tokyo)
○Mari Kubota1, Shouta Kikuchi1, Nozomi Sumitomo1, Haruka Fujita1, Haruka Goto1, Reina Sakuma1, Shuhei Arai1,
Koichi Shibagaki1, Mai Umebara1, Mao Otaki1, Risako Ishida1, Iori Sawada2, Kenichiro Kikuchi3
1APDSA student member, 2Hospital, 3Histology, The Nippon Dental University School of Life dentistry at Tokyo
【目的】APDSA とは Asia-Pacific Dental Student Association(アジア太平洋歯科学生会議)の略称で,APDF
(Asia-Pacific Dental Federation アジア太平洋歯科連盟)の学生部門として 1968 年に設立された非営利,非政治団体
である.今回は,APDSA 日本委員会の一員である本学 APDSA 部が,アジア太平洋地域の国々における歯科学生間で行
なっている国際交流活動の内容を報告することを目的とする.【活動の概要】APDSA 加盟国および地域は,オーストラ
リア,ニュージーランド,マレーシア,インドネシア,台湾,カンボジア,フィリピン,タイ,韓国,フィジー,香港,
シンガポール,ヴェトナム,日本である.それぞれに支部の委員会があり,支部活動と年 1 回開催される APDSA 本大
会を通して国際交流活動を推進している.APDSA 日本委員会は,東京と九州で月 1 回の定例会合を行い,メンバー同士,
他国委員会との情報交換,本大会の情報発信と参加申込者に対する支援活動などを行なっている.【活動の成果】国内活
動の成果は年 1 回開催される APDSA 本大会で発表される.2010 年には APDSA 日本大会が行なわれた.日本での開催
は設立時の 1968 年と翌 1969 年,1992 年,2001 年に次ぐ 5 回目となった.大会期間は 5 日間設けられ,開会式典に始
まり,学術講演,学生による研究発表,病院見学,運営者会議,市内観光,そして本大会の目玉となる Cultural Night
と称する文化芸能披露を経て閉会式を向かえた.本学には 8 月 19 日に 450 名のうち 150 名からなる参加者が訪れ,生命
歯学部と附属病院の見学会は盛大を博した.今年 2014 年の APDSA 本大会はインドネシアのバリで行なわれ,来年 2015
年は台湾での開催が決定している.【結論】APDSA 部は今後も国内のみならず,アジア太平洋地域における歯科学生間
のより緊密な協力関係を促進し,歯科医学の発展に寄与したいと考えている.
4-33
地域包括ケアに向けた訪問歯科診療の現状と課題を考察する
○城井友幸 1,澤田伊央理 3,田中 彰 2
1 日本歯科大学新潟生命歯学部第 5 学年,2 日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科学講座
3 日本歯科大学新潟病院地域歯科医療支援室
Considerations of current trends and issues on home-visit dental treatment for integrated community care system
Tomoyuki Kii1, Yukari Takeuchi1, Akira Tanaka2,3
1The 5th grade student ,School of Life Dentistry at Niigata, The Nippon Dental University, 2Department of Oral and
Maxillofacial Surgery, School of Life Dentistry at Niigata, The Nippon Dental University, 3Community Oral Health
& Dental Support office,Niigata Hospital, The Nippon Dental University
36
【目的】平成 26 年 11 月 3 日に新潟市朱鷺メッセで開催された「第 4 回福祉・介護・健康フェア〜いまできること.明
日のためにしっておきたいこと〜地域包括ケアと防災・減災」
(参加者数 1 万 3,000 人)において,
「医療・介護の現場
をめざす学生と考える〜いのちをまもる口腔ケアとは〜」のシンポジウムに,新潟県内医療系 5 大学の学生として参加
した.口腔ケアについて,それぞれの職種の立場から一般市民を対象に解説するという試みであり,我々は歯科学生とし
て,訪問歯科医療(訪問口腔ケア)の現状と,地域包括ケアシステムの進行に伴い,訪問歯科医療の現状と課題について
考察,発表したので,その概要を報告する.【方法】訪問歯科医療に関わる様々なデータを,厚生労働省ホームページ,
医学中央雑誌,MEDLINE 等で検索し,得られたデータを元に考察した.【結果】在宅歯科医療の実施歯科医療機関は,
経年的に減少傾向にあり,平成 20 年度には 12,202 件で総歯科医療機関における割合は 17.9%であった.その一方で,
歯科診療所あたりの訪問歯科診療実施件数は増加しており,居宅の伸び率が著明であった.また訪問歯科診療の内容では,
義歯関連が 96%を占め,口腔機能管理は 54%,訪問歯科衛生士指導は 46%であった.東京都の在宅医療を行っている医
師に,在宅医療において主治医が必要とした診療科では,歯科が最も多く,在宅医療の現場でも歯科が必要とされている
傾向が明らかとなった.【考察】訪問歯科診療実施医療機関は全体の 17.9%に過ぎないが,個々では居宅を中心に診療件
数が増加傾向にあり,一部の診療所により支えられている傾向が認められた.病院や在宅医療で,歯科が必要とされ口腔
ケアの需要が増す一方で,退院後の訪問歯科診療に繋げていく体制が十分でないと考えられ,地域包括ケアに向けて,地
域での啓発活動と体制の整備が必要と思われた.
4-34 セラミックプライマー処理したジルコニアに対するセルフアドヒーシブセメントと接着性レジン
セメントの接着強さ
○新妻瑛紀 1,新谷明一 1,2,黒田聡一 1,五味治徳 1,新谷明喜 1
1
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 2 講座,2 トゥルク大学
Bond strength of self-adhesive cement and adhesive resin cement to zirconia treated ceramic primer
Akinori Niitsuma1, Akikazu Shinya1,2, Soichi Kuroda1, Harunori Gomi1, Akiyoshi Shinya1
1Department of Crown and Bridge The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo, 2 Department of
Biomaterials Science, BioCity Turku Biomaterials Research Program Institute of Dentistry, University of Turku
【目的】近年,ジルコニアを主体としたオールセラミック修復が増加している.また,チェアタイムの短縮やテクニカル
エラーの減少などを目的として,セルフアドヒーシブセメントが活用されている.しかしながら,セルフアドヒーシブセ
メントの特徴から,前処理を併用したジルコニアへの接着強さに関する研究は少ない.本研究は,セラミックプライマー
にて前処理したジルコニアへの接着強さに及ぼすセルフアドヒーシブセメントと接着性レジンセメントの影響について
検討を行った.【方法】本研究では,被着体としてナノジルコニア(Panasonic Dental)を,セルフアドヒーシブセメン
トは,G-CEM LinkAce(GC)
,SA cement plus automix(Kuraray Noritake Dental)
,RelyXTM Unicem2 Automix(3M
ESPE),接着性レジンセメントは,LINKMAX(GC)
,PanaviaF2.0(Kuraray Noritake Dental)
,RelyXTM Ultimate
®
(3M ESPE)を,プライマーは Clearfil ceramic Primer(Kuraray Noritake Dental)
,ScotchbondTM Universal(3M
ESPE)を用いた.接着術式は,1)セルフアドヒーシブセメントのみ,2)セルフアドヒーシブセメント+プライマー,3)
メーカー指定前処理+接着性レジンセメント,の条件にて,せん断接着強さ(MPa)を測定し,統計処理を行った.
【結果および結論】システム別に接着強さをみると,プライマー使用群が 21.3 ± 5.7(MPa)と最も高い値を示し,他の
2 群に対しそれぞれ有意な差を認めた.以上の結果から,ジルコニアに対する接着強さは,セルフアドヒーシブセメント
に前処理を行うことで増加し,プライマーの併用が有効であることが示唆された.
4-35
Quality of Life におよぼす熱可塑性樹脂の表面性状の変化
○山口彩那 1,上田康平 1,梅田魁人 1,岸 里香 1,関口貴之 1,中島健太郎 1,初瀬毅俊 1,黒田聡一 2
1 日本歯科大学生命歯学部平成 26 年度第 2 学年,2 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第 2 講座
Changes in the Surface Properties of Thermoplastic Resins on Quality of Life
○Ayana Yamaguchi1, Kohei Ueda1, Kaito Umeda1, Satoka Kishi1, Takayuki Sekiguchi1, Kentaro Nakajima1,
Takatoshi Hatsuse1, Soichi Kuroda2
1The second grade at Heisei 26 years, 2Department of Crown and Bridge, School of Life Dentistry at Tokyo, The
Nippon Dental University
【目的】現在,歯の欠損に対する歯科治療は,金属を使用するのが主流であるが金属を用いると審美性が損なわれ金属ア
レルギーなどのデメリットがある.一方,メタルフリーの審美修復も盛んに行われており様々な材料が臨床応用されてい
る.その中でもノンメタルクラスプデンチャーが注目されており多様な材料(熱可塑性樹脂)が市販されているが材料の
経年的な劣化については明らかになっていない.そこで,我々は,患者の QOL におよぼす熱可塑性樹脂の表面性状の変
化について検討した.
【方法】試験片の製作には,パレット状の熱可塑性樹脂を射出成形し試験片(10×1×20 mm)を
6 種類,各 8 個,計 48 個を製作した.試験片は,37℃恒温槽に 1 週間水中浸漬した後,歯ブラシによる摩耗試験を 1000
回,3000 回,5000 回行い,順次回数終了後に重量(g)
,表面光沢度(%)
,表面粗さ(μmRa)を計測した.試験前に
計測したものをコントロールとした.得られた結果は,二元配置分散分析を行い統計処理した.【結果】計測の結果,重
量には,変化がみられなかったが光沢度は減少し,表面粗さは増加した,二元配置分散分析の結果,重量は,ブラシ回数
によって大きな変化は認められず,因子 A(材料の種類)には有意差が認められた.表面光沢度は,ブラシ回数によって
大きな変化は認められず,因子 A と交互作用に有意差が認められた.表面粗さは,ブラシ回数が増やすごとに表面粗さ
は増し,すべての因子において有意差が認められた.
(p<0.05)
【結論】補綴物から光沢が減少し表面が荒れると表情・
生体に悪影響を与える可能性があり,補綴物装着患者の QOL の低下を招くことが考えられる.しかし,経時的な変化を
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知識として知っていれば予防や対策に繋げることが出来る.
4-36
前歯部におけるレジンクラスプの検討―強度と審美の融合―
○竹井 潤,飯島孝守,武井正己,赤間亮一,長谷部俊一,富永 毅,齋藤勝紀
日本歯科大学附属病院歯科技工室
Examination of resin clasp in anterior ―Fusion strength and aesthetic appreciation―
○Jun Takei, Takamori Iijima,Masami Takei,Ryouiti Akama,Shuniti Hasebe,Takeshi Tominaga,Katsunori Saitou
The Nippon Dental University Hospital Division of Dental Laboratory
【目的】ノンメタルクラスプデンチャーの前歯部におけるクラスプは、熱可塑性樹脂で製作されている。靭性材料の特性
であるたわみを利用し歯頚部よりにクラスプを設定できるため審美性は優れているが、メタルのクラスプに比べ耐久性が
低く破折してしまうことが多く、即時重合レジンによる修理が困難な樹脂も多い。そこで今回、破折に対する対策として
金属床のフレームワークからアームを延長しレジンクラスプの中に補強として組み込むことによって、レジンクラスプの
強度と耐久性を改善するべく検討を行った。【材料および方法】ノンクラスプデンチャーに使用できる熱可塑性樹脂は数
種あるが、今回は耐食性、耐薬品性に優れ修理も容易なアクリル系のアクリトーン(ハイデンタル・ジャパン)を使用し
た。補強アームの先端は鉤歯のアンダーカットに接触させ、先端以外の補強アームは剥離することのないよう樹脂に包ま
れるようにフレームワークを製作した。遮蔽オペークはガム色のセラマージュ GUM-O(松風)を使用し、射出成形はレ
ジナートシステム(デンケン)を用い 270℃で 30 分溶解した樹脂を射出圧力 0.7M ㎩にて成形を行った。
【結果と考察】レジンクラスプの内部に補強アームを入れることによって、たわみ量は減少したが、クラスプの幅を細く
することができ審美性を損なうことなく耐久性を向上させることができた。補強アームをフレームワークと一体化させる
ことでデンチャー自体の強度も向上した。また、補強アームの先端を鉤歯のアンダーカットに接触させることは、レジン
の磨耗、塑性変形による維持力の低下を防ぐ有効な手段と考えられる。【結論】レジンアームの中にメタルの補強アーム
を埋入する方法は、審美と強度を融合させる有効的な手段である。補強アームの先端を鉤歯のアンダーカットに接触させ
ることで経時的な維持力の低下を防止できる。
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【展示企業】(50 音順)
朝日レントゲン工業㈱
㈱東京技研
ウェルテック㈱
㈱白鵬
長田電機工業㈱
パナソニックデンタル㈱
サンスター㈱
㈱ビーブランド・メディコ-デンタル
㈱シエン社
マニー㈱
㈱ジーシー
㈱モリタ
㈱松風
㈱ヨシダ
タカラベルモント㈱
㈱YDM
デンツプライ三金㈱
【協賛企業】
サンメディカル㈱
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平成 26 年度日本歯科大学歯学会
第1回ウインターミーティング
準備委員会
歯学会会長
勝海 一郎
大 会 会 長
佐藤 聡
準備委員長
五味 治徳
準 備 委 員
今井 一志,岡田 智雄,影山 幾男,倉治
康男,古西 清司,
佐藤 全孝,志賀 博,新海 航一,砂田 勝久,土持 眞,
藤井 重壽,宮川 行男,渡邉 文彦,石井 隆資,高塩 智子
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