極低濃度ラドン測定システムの開発 - 東京大学宇宙線研究所

極低濃度ラドン測定システムの開発
田阪茂樹,松原正也,中村琢,三輪美代子,渡邉一矢,
関谷洋之A,中野佑樹A,竹内康雄B ,岡澤裕子C
岐阜大,東大宇宙線研A,神戸大理B,静岡福祉大学C
~©SK Radon Group~
共同利用研究経費 旅費・消耗品:30万円
旅費:岐阜⇔神岡・岐阜⇔柏
消耗品:ラドン計・ロガー製作
東京大学宇宙線研究所 平成26年度 共同利用研究成果発表研究会
2014年12月12日(金曜日)
東京大学宇宙線研究所共同利用研究H20-H26/科学研究費 基盤研究(C)2010-2012
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「深い地下におけるラドン族の観測」
平成2年度東京大学宇宙線研究所共同利用研究成果報告
(1990)
平成2年度東京大学宇宙線研究所共同利用研究成果報告, ICRR報告95-91-6, 29-35
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研究目的
SK実験のニュートリノ事象の主なバックグランド
純水中ラドン濃度(222Rn)を減らす。解析閾値Ekinを下げる。
1)純水中のラドン測定技術の開発
水中ラドン脱気法
活性炭ラドン吸着法
KAMIOKANDE水中ラドン濃度測定:(1993) 0.51±0.11(Bq/m3) 
SK水中ラドン濃度測定: 0.1(mBq/m3)
2)新型気液混合器の開発と校正実験
液ガス分散型
電解研磨(表面粗さ0.1μm) ⇒低バックグランド化
3)純水中ラドン濃度の測定と低減
タンク送水・中心
イベントレイト
TASAKA, SASAKI, OKAZAWA,NAKAGAWA Radioisotopes 03/1994;43(3):125
田阪他@日本物理学会2014年秋季大会(佐賀大学)2014年9月18日に最新データ追加
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純水中ラドン濃度測定システムの概略図
2-1)除湿
電子
除湿器
毎分
4.0 L
AIR
ポンプ
ヒーター
制御器
5)計測
活性炭
ヒーター
1時間加熱
+200℃
脱離率:
fd=0.99
1)脱気
3)吸着
活性炭 2-2)除湿
エタノール 銅フィラメント
-90℃
エタノール
吸着率:
-90℃
毎分
fa=0.99
2.0 L
純水中ラドン濃度測定( 2014年度)
回数:34回
連続運転時間:2時間~7.5時間
純空気 G1
高感度
ラドン検出器
×3台
容積:
Vd=0.08m3
4)脱離
水流量
水温計
水ポ
ンプ
新
型
気
液
混
合
器
OD
排水
送水
露点計
流量計
中空糸
膜脱気
装置
送水
真空
ポンプ
10-5Pa
純水装置
ID
タンク
中心
純水タンク
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気液混合器の校正実験(ラドン脱気率Dの測定)
混合前
空気
電離箱
混合後
CwFw+CaFa=Cw’Fw+Ca’Fa
1=D+Cw’/Cw ・・・・・・・・・式①
右辺の第一項:脱気率
Cw
8Bq/L D=R(Ca’-Ca)/Cw
R=Fa/Fw
水道水
水中ラドン濃度の算出式
液体シンチ
Cw=R(Ca’-Ca)/D・・・・・式②
レーション法
放射能保存式
Ca’
(LQS法)
Fa=2(L/min)
Fw=4(L/min)
水温:16.2℃
Ca
空気
0.01Bq/L
高感度ラドン
検出器
Cw’
LQS法:水中ラドン標準測定法
水量:447(mL)
シンチレータ量30(mL):20(mL)分取
バイアル瓶5×2本
LQS法アナライザー:20分間測定
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気液混合器の校正実験の結果
実験条件:流量比R=0.5,水温T=16.2(℃)
D ラドンの脱気率
1=D + Cw'/Cw
D=R(Ca’- Ca)/Cw
D=65.4±2.5(%)
Cw’/Cw
27-Feb
回
14-Mar
回
20-Mar
15-Apr
回
回
16-Apr
回
実験の回数
前頁の式① 1 = D+Cw’/Cw
脱気率実験値:D = 65.4±2.5 (%)
Rとラドン溶解度α(T)より計算した理論値:
D(T)=R/(R+α) = 63.2(%), α(T) = 9.12*(273+T)/(17+T)*273
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中空糸膜脱気装置(MD装置)ラドン源
MD装置のEPDMガスケット
ラドン散逸率:
E=24.5(mBq/m2/h/sheet)
MD装置
ガスケットからの純水ラドン
Cw=1.0(mBq/m3)
MD装置はラドン源である
MD装置の空気リーク
EPDMガスケット
⇒ MD装置をバイパス
送水のラドン濃度測定
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Cw 純水中ラドン濃度(mBq/m3)
純水中ラドン濃度の時間変化
MD装置バイパス前
送水
5/22 MD装置バイパス後ラドン濃度は減少
5/01 MD装置
試験バイパス
底部
返水
返水 9.27±0.52 mBq/m3
底部 2.99±0.23 mBq/m3
送水 1.91±0.13 mBq/m3
中心 0.63±0.10 mBq/m3
中心
1/21
3/22
5/21
7/20
9/18
11/17
cts/day/kt/(4.5 – 5.5MeV)
タンク底部のイベントレイトの低下
5月22日膜脱気装置バイパス後、イベントレイトは低下
MD装置由来のラドンが純水に溶け込んでいた
5/01 MD装置
試験バイパス
5/01 MD装置
試験バイパス
5/22 MD装置
バイパス
5/22 MD装置
バイパス
-12 m < z < -8 m
-16 m < z < -12 m
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まとめ
1)純水中極低ラドン濃度の測定技術を確立
2)新型気液混合器の開発と校正実験
混合器の脱気効率:D=65.4±2.5 (%)
3)SK純水中のラドン濃度
5月22日中空糸膜脱気(MD)装置をバイパス
⇒純水中ラドン濃度が約1/4に低下
⇒底部のイベントレイトが低下
(2014年11月現在)
送水: Cw=1.91±0.13(mBq/m3)
中心: Cw=0.63±0.10(mBq/m3)
KAMIOKANDEの約1/1000
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