太陽光を利用した水素製造 ―可視光全域利用に向けた取り組み― 山梨大学 クリーンエネルギー研究センター 教授 入江 寛 1 従来技術とその問題点 化石資源 利用 非化石資源 利用 方法 原料 エネルギー 水蒸気改質 天然ガス、 LPG、ナフサ 熱 技術開発 レベル 実用化 部分酸化 自己熱改質 重質油、石炭 熱 熱 実用化 実用化 電気分解 水 実用化 電気分解 水 熱化学分解 バイオマス転換 光分解 水 バイオマス 水 電力 (化石燃料) 電力 (非化石燃料) 原子力、太陽熱 熱、微生物 太陽光 天然ガス、 LPG、ナフサ 実用化 実証 実証 基礎研究 水素エネルギー最前線、工業調査会(2003)p. 148 2 新技術の特徴・従来技術との比較 •水素製造:低素炭素化社会へ向けての取り組み •太陽光水素: ・水と光触媒のみ使用 ・太陽光に含まれる可視光全域の利用 紫藍青 緑黄橙 赤 30 H2 O2 H2O 光触媒 光強度 / μW/ cm2.nm 紫外光 可視光 赤外光 20 太陽光 10 0 300 400 500 600 700 800 900 波長 / nm 3 新技術の特徴・従来技術との比較 水分解:H2O → H2 + 1/2O2 1. 太陽エネルギー → 熱エネルギー → 水の熱分解 2. 太陽エネルギー → 電気エネルギー → 水の電気分解 太陽熱発電 太陽光発電 太陽エネルギー → 太陽光発電・ 水の電気分解の一体型 3. 太陽エネルギー → 光電気化学による水の分解(光触媒電極) 4. 太陽エネルギー → 光触媒粉末による水の分解 4 新技術の特徴・従来技術との比較 水分解:H2O → H2 + 1/2O2 太陽エネルギー → 光触媒粉末による純水の分解 優位性 水分解 1. 水 ⇄ 水素のみ(犠牲剤不要) 2. 反応の選択性を考慮する必要なし 粉末 1. 大面積化が容易 2. 電解液も不要 5 H2, O2 evolution / mol 新技術の特徴・従来技術との比較 特徴 0.5 H2 0.4 H2 H2 0.3 0.2 O2 O2 O2 0.1 0 0 24 48 72 96 120 144 Irradiation time / h H. Irie et al., J. Phys. Chem. C, 118, 22450 (2014) ・全固体型 ・純水を完全分解可能(pH調整、酸化還元対などの試薬不要) ・可視光全体を利用できる可能性 6 想定される用途 •太陽光と水から水素製造可能。 水素社会実現のためのひとつの技術 •環境浄化用の光触媒への転用も可能。 実用化に向けた課題 •効率の向上 •発生した水素・酸素の分離 •水素運搬方法の確立(水素吸蔵材料の開発) 7 企業への期待 •実用化はまだ先。 •粉末作製技術(ナノ粉末、均一粒径)を もつ企業との共同研究を希望。 8 本技術に関する知的財産権 【発明の名称】 光触媒組成物及びその製造方法 【出願番号】特願2014-104982 【 出 願 人 】山梨大学 【 発 明 者 】入江寛、小林諒也、栗原一貫、 高橋敏宏 9 お問い合わせ先 国立大学法人 山梨大学 社会連携・研究支援機構 社会連携・知財管理センター (担当)還田、服部 産 TEL:055-220-8759 Industry FAX:055-220-8757 e-mail:[email protected] 官 学 University Administration 10
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