ご挨拶 - 本荘由利産学共同研究センター

第
28
号
【 2012年 6月
発
行
】
者
本荘由利テクノネットワーク
― 企業間・産学連携による新技術・新事業の創出 ―
CONTENTS
メッセージ
ご挨拶
3次元CAD
セミナー
航空機産業における材育成について
◆幹 事 作左部 晃
ものづくり現場における 3 次元 CAD 人材育成について ◆幹 事 鈴 木 芳紀
日向野先生
最終講義
秋田県立大学と産学連携について
◆幹 事 佐 藤 淳
秋田大学産学連携推進機構の取り組み
秋田県立大学「ゆりポン♪企業支援」の活動紹介
北都銀行「地域密着型支援」の取組について
◆幹 事 森 川 茂弘
◆
嶋 崎 真仁
◆幹 事 本 郷 太信
会員紹介
講演会案内
◆副代表 細 矢 育夫
日本機械学会講演会
編集後記
ご挨拶
HY-TecNet副代表
㈱三栄機械
代表取締役会長
細矢
育夫
2012 年の年は、昨年国の内外で自然災害も含めて起こった大混乱
が収まらないままで迎えることと成りました。今年は、何としてでも希望
に満ちた年になってほしいと多くの人たちの願いと希望を託しての年
明けでありましたが、明けて4カ月ほど過ぎた今、皆様はどのように受
け止めておられるでしょうか。
当地においては、年明け早々から例年にない冷え込みの連続、そし
て早くはやくと願っている災害の復旧、復興も遅々として進んでいかな
い状況に、何か半ブレーキのままで走り出したように感じてまいりました。
それに加えて私たちの仕事に大きな影響を及ぼす電子、電気産業のものづくりへの新たな対応に、
いやおうなしに取り組まなければならない事態となり、その術の見えない中で不安を抱いたままの春
となりました。
私たちを取り巻く環境は、さまざまな事象を繰り返しながら変化を繰り返し、そのたびに時には厳し
い試練を果たしながら、それに屈することなく成長するようにと求めているように思われてなりません。
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───────────HY-Tec Net 通信
HY-TecNet も、誕生して今年は11歳となりました。県立大学本荘キャンパスの開学と共に歩んでき
たわけであります。大学の方は、大きく成長を続けてきたように、HY-TecNet も負けないように成長し
てゆかなければならない時のように思われます。
通り過ぎた10年余りを振り返ってみるに、例えば電気を一つ取ってみるとき、ついこの間まで出来る
だけ沢山使うことが最良のことのように思いこんできましたが、大震災後まったく条件が変わり、いか
に効率よく使い絶対使用量を少なくするかが最良のことと言われるようになりました。
電気を発電して沢山売るのが商売のはずの電力会社が、繰り返し節電を呼びかけるのが当たり前
の世の中に変わりました。
多くの皆様が携わっておられるものづくりも、大量生産をし、大量販売、大量消費することが良いこ
とのように言われた時代は過ぎたように感じられます。
いたずらに価格競争に巻き込まれないものづくりを構築することが大事なように思われてなりません。
大きく取り巻く環境が変化するとき、今までなかった新しいモノづくりのチャンスがあるように感じられ
てなりません。
新しい夢を求めて積極的に行動を起こすために必要な情報の収集とその活用を行って知恵と力を
出し合って、素晴らしいこの故郷に新しい産業の構築を期待したいものであります。
HY-TecNet の皆様も、大きな希望に向かってお互いの知恵を出し合い、新しい物づくりの機会を
作り出すように頑張ろうではありませんか。
細矢副代表が写っています
HY-Tec Net 通信───────────
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航空機産業におけるCAD人材育成
~3次元CAD技術習得におけるシミュレーションの考え方~
講
師
報告者
岩手大学工学部機械システム科
HY-Tec Net 幹事
助教
㈱秋田新電元第2製造部
加藤
大雅
作左部
様
晃
私は岩手大学に所属して2年になりますが、出身は山梨県で、高校卒
業後はアメリカのアイオワ州に11年、フランスに1年、その後ベルギーで7
年間航空機関連に関わってきました。
ベルギーはEUの首都ともいわれておりますが、ベルギーのワロン地
方は、かつては炭鉱・製鉄・重工業関連の産業が栄えていましたが、今
加藤 先生
は衰えて失業率が公式には20%、実際にはもっと高いといわれておりま
す。このため、なんとかしなければということで、行政・大学・企業が出資して、各企業が使える技術を
生み出す企業(非営利機関)がつくられました。50名くらいでしたが、私はそこで働いていました。
ヨーロッパは、飛行機を作るということでは歴史の長い国が集まっております。1980年代からは、
アメリカの巨大企業ボーイング社に対抗するために、ヨーロッパの各企業を統合してエアバス社がで
きました。このように欧州をあげて全力で努力した結果、2000年代になって市場の5割を獲得するま
でになりました。
フランスやドイツという大国に挟まれているベルギーは、生き残りをかけて、バーチャルエンジニアリ
ングに特化して抜き出て、ヨーロッパの一員として生き残る選択をしました。なぜこれを選択したかと
いうと、航空機の開発は試作試験がとても高価であること、市場投入スピードが重要であることなどか
ら、この技術が非常に重要と考えたからです。
実際、このシミュレーション技術に勝るものが
生き残るという状況です。事例として、かつて、
ボーイングとマクダネルダグラスが争ってボーイ
ングが勝ったことがあります。勝敗を決めたの
は、「性能誤差」の違いでした。「性能誤差」と
は、設計値と実測値の誤差のことです。ボーイ
ングの「設計誤差」は0.5%でしたが、マクダネ
ルダグラスは2%の誤差がありました。0.5%の
誤差は約1tの重量誤差につながるため、燃費
や輸送量に非常に大きな違いが生じます。航
空機は開発期間が長いので顧客との契約は設計段階での仕様で契約となります。従ってこの「性能
誤差」は顧客にとっては非常に重要になります。
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ジェットエンジンのファンが高速回転している状態でファン形状を測定することは困難なので、シミ
ュレーションでなければできません。形状は停止状態で設計し、シミュレーションは高速回転状態で
行うことになります。このようなシミュレーションを行いますが、この性能誤差が顧客を失うことになりま
す。
次は、2006年にエアバス380の開発過程で起こった問題です。開発はコンカレント作業になりま
すが、ここに大きな落とし穴がありました。組み立ての段階になってから、ケーブルの長さが約20cm
合わないという問題が判明し、設計をやり直したことがありました。原因は、各チームが使用したソフト
に互換性がなかったためでした。
ドイツ・スペインチームは CATIA4を使用
フランス・イギリスチームはCATIA5を使用
これによる損失は、納期が2年遅れ、損害金額は数千億円と言われております。同じCADシステムを
使用してソースを同じにするべきでした。
そして、複数の人が同じシステムを使うためには技術の共有をしなければなりませんので、CADの
教育が重要になります。インターンの例では次のように教育を行っています。
1)基礎訓練
2)チームの一員として実際の設計プロセスを経験させる
3)チームで作業することがキーポイント(他者にもわかり易い設計が身につく)
また、どんなシミュレーションソフトにも弱点はありますので、弱点をよく理解して使用することです。
そして、何をもって良い製品とするのかは、やはり人間の判断が重要です。
ものづくり現場における3次元CAD人材育成について
講
師
報告者
オフィスキャドムス
HY-Tec Net 幹事
代表
籠谷
睦美
由利本荘市商工会事務局長
鈴木
芳紀
様
講師のオフィスキャドムスの籠谷様は、昨年度の総会後に行われまし
た岩手大地域連携推進センター産学官連携コーディネーターの佐藤
利雄氏の講演の中で、花巻起業後継者塾(夢企業家塾)の支援事例と
しても紹介され、ご本人もご出席いただきコメントを発表されており、改
めて、ご講演の運びとなりました。
籠谷 代表
オフィスCADMSは、ものづくりのITツールである「3次元CAD」を軸
にCADデータの活用のサポートとCADオペレーターの人材育成という
2本立てで仕事をおこなっています。
日本のものづくりの現状は、ニーズの多様化やBRICsの台頭により、これからは独自の利益が出
る仕組みを作らなければ仕事がなくなるし、特に中小企業はIT強化で競争するしかないくらいの思
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い切った変革をしなければすたれてしまうし、ものづくりのIT化が重要となってきていると考えていま
す。
北上周辺の話を含めた地元の状況としてよく聞かれるのは、昔から取引先からの受注は図面で間
に合っているよとか、CADを使う仕事はないよ言われてきましたが、取引先からFAXで図面が送られ
てきたものが、今はメールでCADデータの授受に変わり、ものづくりのIT化のスタートとして当たり前
のインフラになってきました。皆さん、CADシステムが必要だとわかっていますが、CATIAだと数千
万、ソリッドワークスはミッドレンジといわれますが、130万~150万するくらい高価なためなかなか購
入できません。その他、毎年保守料金がかかる。費用が高い、費用対効果がわからない、トレーニン
グ費用1日10~20万必要。また、CATIAのv4v5は別物で設定が違うと互換がないので、綿密な打
合せが必要であるなど、導入に際して問題があります。
CADの利用状況のデータから、全国では導入し利用しているが30%超えているが、東北は受託企
業が多いけれども、導入したけれども使われていないところが多いという実態があります。
ものづくりITの適切な運用ができない理由を考えるときに、3次元システムの説明では、よく聞く言
葉の全体を理解させることから人材育成を始めています。それらの言葉のほとんどが、外国産システ
ムを受け入れる中小企業が自分にあわせた方法に置き換えるという考え方をしていませんし、一貫し
た教育体系がなかった。そこがオフィスCADMSの起業のきっかけとなりました。
オフィスCADMSが人材育成をする目的は、受託企業をメーカーに転身させることで、地域産業
の活性化を図りたいと考えています。メーカーへの転身を図るためには固有の技術を持つことと、そ
れを具現化するシステムの構築が必要です。企業がメーカーに転身する場合には、ものづくり現場
におけるIT化が不可欠であり、その中核になるのが3次元CADでその人材育成により、開発・製造・
販売等における一貫性のシステム構築と運用を行い、競争力の強い企業を生み出すのが夢になっ
ています。
CADは設計のみの道具かというと設計支援の道具であるが、ものづくりの流れ全てをつなぐコミュ
ニケーションツールとして設計以外でも有効に利用できます。ものづくりの流れとCADシステムの関
わりとして営業から企画、設計、製造、検査、出荷の各場面で図面データや形状データをうまく活か
すことが重要です。
実際相談を受けた事例として、「除去加工をメインに行う工場A」の相談内容をお話します。こちら
の工場は、設計部門なし、親会社からの図面で部品製作しているが、マシニングセンタに手入力す
るため、紙図面の座標値を計算機で算出しているが、計算に時間がかかるし計算ミスもあるので、何
とかできないかという相談事例でした。
相談の中で、仕事の改善の目的として作業効率の向上させるために、計算機を使う座標値算出の
作業をなくしたい。CADの導入の目的は図面を描く、寸法計測ができればよいということから、2次元
CADで十分とアドバイスしました。
実際、加工現場の環境は、CAD以前にパソコンがない。空調設備も泣く、パソコンを置く場所がな
い。汚い。加工者が13名いるが、全員パソコンを操作したことがない。年齢層が高く新しいことが覚え
られない。社長との意見の相違があるという実態でした。
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───────────HY-Tec Net 通信
また、親会社からの評価は、クレームが多い、図面を自分たちが描かないからダメ。今時パソコン
がないのはやる気が感じられないなど、協力工場として実績はあるが、外注も今後はわからないとい
ったものでした。
そこで、CAD導入で作業効率アップや技
術力の評価アップから仕事のリピートにつな
がると判断しましたが、それを妨げているの
は人でした。ものづくりのネックになるのは、
たいてい人であります。
技術者のものづくりに対するモチベーショ
ンの低下やコミュニケーション不足が開発力
の妨げになりますし、その原因は分業化によ
る全体が理解できない組織体型になってい
ることから、コミュニケーション不足の言い訳
をIT化にしていませんかと問いかけました。
普段のCAD講習を通じて感じることですが、学生向けや休職者向け、企業向け3次元CAD講習
などさまざまな講習やセミナーの実績を通して、対象者により内容を変えています。
総合力のある人材育成ために、「ものづくりは知識・技術・経験・思いの融合である」と考えていま
す。たとえば、失敗を経験にできる発想力・改善力や広い視野と知識と自己成長力がひつようです。
単にCADだけではものは作れるものではありません。
岩手大学工学部加藤先生との共同研究は、3次元CADの操作技術と機械設計の知識を用いた
設計作業のPDCAサイクルを体験させるCADMSオリジナル講習を実施しています。
若年者を中心としたCAD人材育成強化の観点から、日本の企業では新入社員に技術者となるた
めの教育を最初にしなければなりませんが、CAD教育は会社員になってからでは遅いとの気持ちが
あります。学生(若年層)からものづくりの感覚と考え方に慣れ親しむためには、小中学校から教える
必要あると思っています。
CADシステム導入には、CADシステムを最初に考えないことだと思います。日々の小さな気づき
が作業改善につながり、その改善提案があってこそCADが活きるもので、やれることからやれば良い
のだと思います。
オフィスCADMSの人材育成のコンセプトは CADを通して人の和を広げよう!です。ものづくり
のIT化のきっかけ作り、これからそこに向かう方々へ通訳・パイプ役としてお役に立ちたいという想い
を述べて締めくくりました。
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秋田県立大学と産学連携について
~シリコンバレーかグランドキャニオンか?~
講
師
秋田県立大学
特任教授
地域連携研究センター
日向野三雄
様
時・所
2月24日(金)本荘グランドホテル
報告者
HY-Tec Net 幹事
㈱三栄機械取締役営業本部長
佐藤
淳
長年にわたり当会の幹事でありコーディネーター
でありアドバイザーであり最高学府の敷居の高さを
取り除いてくれた日向野先生が、今春 3 月に退官され
ることとなり、本会での最終講演が行われました。講
演内容をご紹介します。
1.秋田県立大学の産学連携
初めに平成 11 年県立大学開学から、平成 16 年の
地域共同研究センター開所、平成 18 年には公立大学
日向野 先生
が法人化され、平成 20 年には地域連携・研究推進セ
ンターに改称した経歴と研究活動の取組から成果と
して生まれた商品化群の紹介。
2.シリコンバレー(Silicon Valley)
先生が実際に訪れたシリコンバレーの町にスタンフォード大学がいかに溶け込み、創設者
であるリーランド・スタンフォードの思いが今も脈々と語り継がれ、そんな中から、Adobe
社,Google 社,Apple 社が巣立ち、また、かのヒューレット・パッカード社はいかにして生ま
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───────────HY-Tec Net 通信
れ、大きく成長したのか経緯を紹介し、秋田県立大学と我々地域企業の相互協力のあるべき
姿の教材がここにあるように感じました。
3.グランドキャニオン(Grand Canyon)
西部劇に出てくるような岩肌むき出しの断崖だらけの景観でとても人が生活できるような
場所には見えませんが(日向野先生は 2 度も訪れているようですが・・・)、1840 年代ゴール
ドラッシュで沸き人々が押し寄せ、さらにはラスベガスという一大歓楽街をも築き上げた人
間のパワーと英知に驚かされます。
4.HY-Tech Net 活性化プロジェクト
大陸から見た日本地図は、まさに今までに考えてもみない発想で、中国人が日本を大陸の
一部と主張する気持ちがわかります。そのほか、現在開発途中のさまざまな小出力風車、マ
イクロ水車発電装置、クリーン自動車、CO2 を原料にしたメタノール合成、CO2 分子篩、藻類
バイオマスエネルギー技術、ユーグレナ・昆布から油脂の抽出といった、まさに震災後の原
発のエネルギー問題と直面している我々に課せられた課題とヒントをスライドを見せながら
ご講演くださいました。
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秋田県立大学の「時代を担う有為な人材育成」と「地域の持続的発展への貢献」という基
本理念に合致した日向野先生の県立大学における活動に敬意を表して今回のご講演の報告と
させていただきます。日向野先生におかれましては秋田県はもとより、由利本荘地域、本荘
由利テクノネットワークの発展にご尽力くださいまして誠にありがとうございました。今後
もさらなるご活躍とご健康をお祈り申し上げます。
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「ゆりポン♪企業支援」の活動紹介
―
「3方よし」の地域活性化事業を目指して
秋田県立大学
経営システム工学科
嶋崎
―
真仁
秋田県立大学経営システム工学科では、由利本荘市商工会の協力のもと、平成 21 年度より
「ゆりポン♪企業支援」活動と題した産学連携事業に取り組んでいます。
この活動は商工会の事業相談機能を利用し、商工会経営指導員が会員企業へ出向く際に学
生を参加させ、その企業の問題を学生、経営指導員、演習担当教員が共同で掘り起こし、そ
の処方箋を学生が助言するものです。これを学部3年後学期演習として必修科目にしました。
実施期間は例年 10 月から翌年の 1 月までとなります。実施モデルは図 1 のようになります。
報告
対応協議
商工会事務局
市内
関連組織
地域住民
派遣
(通常業務)
学
生
商工会
会員企業
聞取調査
改善提案
経営
指導員
アンケート
依頼・調査
学
生
学
生
報告
助言
演習
担当
教員
大学
改善支援
グループ
図 1. 「ゆりポン♪企業支援」産学連携モデル
図 2. インタビューの様子
通常、商工会事務局は経営指導員を会員企業に派遣し、状況を聞き取って改善提案を行っ
ています.そこに 3~4 名の学生がオブザーバ参加することで、改善支援グループを構成し、
学生は聞き取った内容をもとに当該企業の状況分析を行い、支援方針を立てます。演習担当
の私の役割は、その改善支援グループに助言を与えると同時に、課題にもよりますが、学生
が企画したアンケート調査を、商工会、対象企業、担当教員の合意の下で、その会員企業の
潜在顧客と目される層が勤務ないし通学する会社や学校に依頼することです。それを学生が
分析し、その情報をもとに経営指導員を通じて対象企業に助言を行います。演習担当教員と
商工会事務局は常に情報を共有し、不測の事態に備え、対応を協議する体制を取っています。
この方法はインターンシップなど産学連携による演習に対して次のメリットがあります。
1. 大学主導で活動を計画するので、大学と個別企業との間で、教育計画の事前打ち合わせが
ある程度省略できる
2. 経営システム工学科の学生にとって専門性を活かした提案ができる
3. 商工会と会員企業の協力が得られる限り、事業に継続性がある
一方、参加企業に取ってみれば、次のメリットがあると考えられます。
1. 学生(若年層)の視点で企業を観察、支援することにより発想の転換や新たな課題を
発見することができる
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2. 学生の活動を通じて、大学の知的財産の一端を自らの事業を例に学習できる
3. インターンシップ受け入れ時に発生する対応人員確保やカリキュラム構築が不要である
4. 民間企業として有効なアンケート調査・分析は費用や労力を考えれば極めて難しいが、こ
の制度を活用すれば、小規模企業であっても会員企業の特典として成果が得られる
なお、一連の活動を通じて得られた知識に基づき、その企業の広告制作を学生の課題とし
ています。この成果を学生がもっとも多く利用する売店前に約1年間掲載して貰うことによ
り、少なくとも学生の目に止まり、学生の間では有名な企業となるチャンスが得られます。
この事業、商工会に取ってみれば、次のメリットがあると考えられます。
1. 会員企業の問題点を掘り起こす機会となり、その後のフォローアップの指針が得られる
2. 入会のメリットをアピールでき、新規会員企業獲得につながる
この事業で過去 3 年間に 28 社の改善提案に取り組みました。対象業種と件数は以下の通り
です(以下、カッコ内は件数):飲食店(8)、食品製造販売(3)、菓子製造販売(2)、居酒屋(2)、
雑貨店(2)、 整体(2)、コンビニ、楽器販売、写真サービス、手芸店、生花販売、文具製造販
売、設備工事、不動産、民芸品店(各 1)。商業が主な活動先となり、中でも食品関係が全体の
約 1/3 を占めています。
希望される支援内容として1番目にリクエストされた項目は、多い順に広報・宣伝(15)、 新
商品・メニュー(6)、販売計画・在庫管理(2)、陳列・ポップ、市場調査、顧客層分析、その
他(各 1)でした.広報・宣伝が全体の半分以上を占め、顧客獲得が目下の関心事であることが
うかがえます。第 2 希望まで含めた傾向分析から、顧客獲得→新商品→顧客満足度計測とい
う一連の流れが見られます。
活動の満足度をアンケートで聞いたところ、期待通り以上の評価は全体の約 9 割となりま
した。自由解答欄をみると、アンケート調査・分析に対する御礼、学生の熱意、提案内容の
実施に関する意見が多く挙がっていました。また平成 23 年度では、掘り起こされた課題のう
ち 2 つが、産学協同による卒業研究の実施で解決されました。
このように、いわゆる「3方よし」の連携事業を実施することを通じて、学生を介した産
学の交流が深まり、「地域が人を育てることで地域が育つ」様になれば、大学誘致の本来の目
的に沿った草の根レベルの産学連携が実現できるのではないか、と考えているところです。
この事業は残念ながら、これまでのところサービス業での実績しかありません。しかし、
製造業でも同様な事業ができないか模索しています。現に平成 23 年度、商工会を通じて製造
業の企業に対してもアプローチを試みましたが、残念ながら不調に終わりました。私のイメ
ージでは、QC サークルやデータ解析を必要とする部局へ出向き、その問題解決のお手伝いを
させて戴くのがスムーズかと思っています。本荘由利テクノネットワークの会員の皆様にお
かれましては、地場企業によるこうした学生教育活動に、是非、参加戴ければと存じます。
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───────────HY-Tec Net 通信
秋田大学産学連携推進機構の取り組み
秋田大学産学連携機構
森川茂弘
秋田大学産学連携推進機構では,個別企業への技術相談や,地域工業会と連携した産学官連
携の「場」を設ける取り組みを継続的に行っています。
■地域企業等との技術相談・連携
個別企業支援の事例としては,弘前市の有限会社エルシィホーム様から技術相談があり,当機構
のコーディネートにより本学工学資源学研究科の研究者を紹介し,共同研究を進めていましたが,昨
年度,開発した「床暖房システム」(図①)について特許の共同出願に至りました。また,横手市で有
効活用が課題となっている「間引きスイカ」についても,健康食品素材としての利用・商品化を目指し
て同市と共同研究を行っています(図②)。
図②
図①
■地域工業会・企業との連携
連携の「場」を設ける取り組みとして,「産学活性化テクノセミナー」を地域工業会(秋田県南工業
振興会,男鹿・潟上・南秋テクノフォーラス,秋田県北部テクノプラザ)と共催し,研究成果発表や国
の事業施策・研究資金情報の紹介,企業からの技術課題提示や事業PRを行っています(図③・図
④)。昨年度は,取り組みをより深化させ,本学研究者の試作発注ニーズを工業会を通じて会員企業
に開示し,試作打合せ・試作品製作を共同で行うことで(図⑤),連携の橋渡しを行いました。
図③
図④
図⑤
■地域の産学官の集い
今年度からの新しい取り組みとして,「産学イブニング・サロンあきた」
(Sangaku Evening Salon for Strategic AKITA 略称:SESSA)をスタート
させました。これは,産学官が集い,お酒や軽食を交えながら,秋田の
未来につながるヒントを皆で探し,切磋(SESSA)琢磨し合うことを目的と
図⑥
した取り組みです(図⑥)。毎月第4木曜日に秋田大学にて開催予定ですので,ぜひご参加下さい。
お問い合わせは(TEL:018-889-2712、E-mail:[email protected])までお願いします。
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北都銀行「地域密着型支援」の取組について
北都銀行本荘支店
本郷太信
当行がビジネスモデルとしております「課題解決型営業」の推進のため、本部/ 県内各支
店が様々な解決メニューを取り揃え、地域のお客様にご提案させていただいております。今
回は本会会員の企業の皆様に関連して特に製造業向けの支援メニューをご紹介いたします。
会員企業の皆様の傍でこれからも様々なサポート活動に取組んでまいります。
《取組支援状況》
北都ビジネスフォーラム
ビジネス商談会
海外進出支援
外部提携先サービス
中小企業支援ネットワーク
<北都ビジネスフォーラムビジネス商談会>
「ビジネス商談会」「基調講演/ビジネスセミナ
ー」県内企業を中心に、約 400 の商談の場
と異業種交流を目的に毎年開催しており
ます。本年は 9 月 11 日(火)、秋田ビューホテ
ルを予定しております。
<海外進出支援>
本部組織に「アジア戦略支援室」設置。
海外でも特にアジア地域への進出サポート
支援を強化しております。
サポート内容
現地法人設立サポート
輸入/輸出取引サポート
マーケット調査等
平成 23 年度参加企業状況
出展企業 64 社 内製造業 7 社
※当日成約 106 件
当行の海外ネットワーク
カシコン銀行(タイ)・・・当行行員派遣常駐
ジェトロ(香港事務所)・当行行員派遣常駐
※その他業務提携先
バンクネガラインドネシア(インドネシア)、東京海上
日動火災保険㈱(ベトナム)、日本通運㈱
近年は FIDEA グ
ループの協力で商
談エリアを県外へ
拡大中。
<外部提携先サービス>
外部提携先との業務提携に基づき、ご提案
メニューの充実を図っております。
<中小企業支援ネットワーク>
経済産業省経済産業局を中心に、各種支援
機関から成るネットワークを構築し中小企業の経
営課題を解決のお手伝いをします。
●リース会社
日本 GE㈱、オリクッス㈱と提携。各社が扱う
金融商品、サービスをご提供します。
北都銀行
⇒
経産省指定支援機関
専門アドバイザー 3 名常駐
●イー・ギャランティ㈱
企業間取引において生じた売上債権の
未回収リスクを保証するサービスをご提供し
ます。
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新事業展開
創業
新商品開発
補助金
IT 化
販路拡大等
巡回・専門家派遣
●㈱カイゼンマイスター
トヨタ生産方式を土台としたトヨタ自動車 OB
による製造現場の見直し、生産過程の合
理化などのコンサル業務をご提供します。
───────────HY-Tec Net 通信
日本機械学会 第9回生産加工・工作機械部門講演会のご案内
秋田県立大学本荘キャンパスにおいて、日本機械学会の講演会が開催されます。本講演会では、
最先端のナノ・マイクロ加工を含む生産加工技術とそれを支える要素技術、工作機械技術、システム
技術など広範な講演が予定されております。
当会の事務局に聴講を申し込み頂いた本荘由利テクノネット会員は無料で聴講できますので、希
望される方は、下記の事務局まで申し込みください。
記
名
称
一般社団法人日本機械学会
第9回生産加工・工作機械部門講演会
日
時
2012年10月27日(土)、28日(日)
場
所
秋田県立大学本荘キャンパス
参 加 者
全国の大学・研究機関・企業からの研究者・技術者
テ ー マ
OS1 最新工作機械
OS2 最新機械要素技術
0S3 工具、ツーリング
OS4 生産システムとCAD・CAM
OS5 加工計測・評価
OS6 切削加工
OS7 研削・砥粒加工
OS8 電気加工
OS9 レーザ応用加工
OS10 研磨技術
OS11 超精密加工
OS12 ナノ加工と表面機能
OS13 環境適応形加工
OS14 先端材料・難削材の加工
GS1 一般セッション
http://www.scoop-japan.com/kaigi/mmtc/
申込方法
申し込み先
由利本荘市川口字大覚182番地
本荘由利産学共同研究センター
E-mail:[email protected]
Tel:0184-22-3488
Fax:0184-23-7460
1)機関・企業名
2)部署・お名前
3)連絡先
HY-Tec Net 通信───────────
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「産学現場訪問会」に関するお願い
地域内企業の企業補完・協業・商取引拡大・事業参考を目的に、HY-TecNetでは「産学現場
訪問会」を実施し、これまで、下記の機関・企業の協力を得て訪問しております。
会員の皆様が今後訪問してみたい企業、あるいは、訪問先として協力してもよいという企業がござ
いましたら、事務局までご連絡くださいますようよろしくお願いいたします。
これまでの現場訪問先
第1回
秋田大学ベンチャービジネスラボラトリー
2003 年 10 月 14 日
第2回
㈱秋田新電元
2007 年
1 月 31 日
第3回
小林工業㈱
2007 年
9月
第4回
㈱三栄機械
2008 年
1 月 30 日
第5回
岩田光学工業㈱
2008 年
7 月 30 日
日本飛行機㈱
2008 年 10 月 2~3 日
第6回
秋田精工㈱
2009 年 12 月 16 日
第7回
㈱秋田新電元(QP発表大会)
2010 年
4月
9日
第8回
アルファ・エレクトロニクス㈱
2010 年 11 月
4日
第9回
天寿酒造㈱
2011 年
2月
4日
第10回
丸大機工株式会社
2011 年 12 月
6日
15
6日
───────────HY-Tec Net 通信
…
編
集
後
記
…
お忙しい中「HY-TecNet通信第28 号」にご寄稿いただきました方々に厚く御礼申し上げます。
2ページ目のAQUAプリウスのラインオフ式の写真で、細矢副代表(㈱三栄機械会長)がどこに写
っていたかおわかりになりましたでしょうか?豊田章男社長の2つ後方にいます。この式に招待された
企業は秋田県では㈱三栄機械殿1社だけだったそうです。細矢会長は我が家の家宝の写真だ!と
おっしゃっていました。
本荘由利テクノネットワーク役員
代
表
副 代 表
〃
〃
〃
〃
副 代 表
顧
問
幹 事 長
幹
事
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
事務局長
会計監事
〃
小林工業㈱
代表取締役社長
小林憲一郎
TDK㈱
秋田総務部長
作佐部博美
㈱秋田新電元
代表取締役社長
佐々木延幸
㈱三栄機械
代表取締役会長
細矢 育夫
丸大機工㈱
代表取締役社長
菊地 兼治
プリマ食品㈱
代表取締役社長
丹羽 博和
秋田精工㈱
常務取締役
平尾 哲也
横手精工㈱
常務取締役
堀川 修平
㈱秋田新電元
第2製造部長
作左部 晃(総
括)
㈱秋田新電元
開発部長
佐川 祐喜(現場訪問)
秋田精工㈱
第2製造部営業課長 佐藤 健司(現場訪問)
アルファ・エレクトロニクス㈱ 取締役工場長
工藤 広喜(現場訪問)
小林工業㈱
常務取締役
瀧澤
薫(現場訪問)
㈱三栄機械
取締役営業本部長
佐藤
淳(広
報)
積進工業㈱
品質保証課長
鈴木 恭一(広
報)
北都銀行
本荘支店長代理
本郷 太信(広
報)
秋田県立大学
教授
小笠原 正(連携推進)
秋田大学
准教授
森川 茂弘(連携推進)
秋田県立大学
特任教授
日向野三雄(連携推進)
JETRO 秋田貿易情報センター所長
佐藤 秀二(連携推進)
由利本荘市
商工振興課長
佐藤 俊一(会員拡大)
にかほ市
商工課長
佐々木敏春(会員拡大)(新任)
由利本荘市商工会事務局長
鈴木 芳紀(広
報)
にかほ市商工会 事務局長
佐藤
研(会員拡大)
本荘由利産学共同研究センター
工藤 英也(事 務 局)
岩田光学工業㈱ 代表取締役社長
岩田 好實
㈱大沼組
専務取締役
大沼 武彦
*** 編集委員 : 瀧澤薫、佐藤淳、鈴木恭一、本郷太信、鈴木芳紀、作左部晃 ***
HY-TecNet 事 務 局:㈱秋田新電元大浦工場内
TEL 0184-22-2327
FAX 0184-24-4345
HY-TecNet 連絡窓口:本荘由利産学共同研究センター
TEL 0184-22-3488
FAX 0184-23-7460
HY-Tec Net 通信───────────
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