グリーンホスピタルサプライ株式会社(3360 東証二部)

2005 年 1 月 21 日
セクター:サービス業
グリーンホスピタルサプライ株式会社(3360 東証二部)
利益水準を高位安定化出来るかが課題。資産・負債肥大化リスクも
04.9 中間期の実績を見る限り、05.3 月期の利益水準が前年実績並みにも到達しない可能性があ
るように見える。当社は M&A 等を積極的に進めていきながら事業拡大を図る方針だが、現時点以降
の M&A 戦略が不明である点と、買収に伴って、資産・負債が肥大化していく点がリスクとして考えら
れる。
現時点で将来の M&A による価値向上を織り込むことはリスクが高いため、足元の水準である
EPS10,000 円が目処となると考える。将来の成長性を加味して PER20 倍とすると、20 万円前後が
適正水準と考えられる。
連結データ(左肩は対前年比(%)、02.3月期以前は個別)
決算期
売上高(百万円)
02/3
21,264
営業利益(百万円)
783
経常利益(百万円)
768
当期利益(百万円)
総資産(百万円)
純資産(百万円)
株主資本比率(%)
ROA(%、経常利益ベース)
ROE(%、当期利益ベース)
発行済株式数(修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
配当(円/株)
247
18,648
1,881
10.1%
4.1%
13.1%
57
4,301
32,762
--
03/3
65.3%
35,145
81.5%
1,422
76.6%
1,357
96.0%
484
29,219
2,477
8.5%
4.6%
19.5%
57
8,431
43,149
1,400
04/3
25.3%
44,045
15.3%
1,640
16.7%
1,584
72.3%
834
34,890
3,734
10.7%
4.5%
22.3%
57
14,528
65,045
1,680
04/9
18,640
502
480
224
30,903
4,001
12.9%
1.6%
5.6%
57
3,902
69,703
--
* 当社は、02 年 3 月 31 日付けで当社(商号変更前は㈱シップコーポレーション)を存続会社として、旧グ
リーンホスピタルサプライ㈱と合併するとともに、商号をグリーンホスピタルサプライに変更している。02.3
月期データは、合併前の被合併会社である旧グリーンホスピタル㈱のものを記載している。
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的とし、証券の売買勧誘を目的としたものではありません。投資に関
する最終決定は、ご指針の判断でなさるようお願いいたします。最終ページに当資料の利用に関する重要な注意事
項を掲載していますのでご覧ください。
1
事業概要∼医療関連コンサルティングと医療機器等販売
当社(旧㈱シップコーポレーション)は、医療・保健・福祉の業界分野における各施設の企画コンサ
ルティング業務を展開しており、医療機器・医療設備・医療用システム・診療材料の販売を行ってい
た旧グリーンサプライ㈱を 02 年 3 月に吸収合併した。04 年 9 月 30 日時点で、連結子会社 15 社・
持分方適用関連会社 1 社を有している。
主な事業は、トータルパックシステム(医療機関等に対するコンサルティング、医療機器・医療設備
等の販売及びリース、医療機関等への不動産賃貸等の総合的な提供)、メディカルサプライ事業(診
療材料及び医療用消耗品等の販売)、ヘルスケア事業(調剤薬局及び介護付き有料老人ホームの
経営等)となっている。
各事業セグメント毎の利益率の状況及び販売高伸び率は、以下の通りであり(表 1・2)、最も利益率
が高い分野はトータルパックシステム事業であり、販売高の足元伸び率も高い。ヘルスケア事業分野
は、販売高の伸び率こと高いものの現状では赤字事業となっている。全体の事業構成に占めるトー
タルパックシステム事業のウエイトが高いことが、当社グループ全体では、過年度に大きな売上高伸
び率をもたらしている。
【表 1 事業セグメントごとの利益率(百万円、%)】
トータルパッ メディカルサ
クシステム
売上高
04.3 月期
その他
プライ
24,476
16,369
1,921
1,278
1,862
592
-361
152
7.6%
3.6%
---
11.9%
7,113
8,309
2,819
398
営業利益
619
425
-19
44
売上高営業利益率
8.7%
5.1%
---
11.1%
営業利益
売上高営業利益率
売上高
04.9 月期
ヘルスケア
【表 1 事業セグメントごとの販売高の推移(百万円、%)】
04.3 月期
販売高
04.9 月期
前年同期比
販売高
トータルパックシステム事業
24,476
+27.1%
7,113
メディカルサプライ事業
16,369
+16.0%
8,309
ヘルスケア事業
1,921
+253.6%
2,819
その他事業
1,278
+3.6%
398
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する最終決定は、ご指針の判断でなさるようお願いいたします。最終ページに当資料の利用に関する重要な注意事
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2
市場成長∼医療関連コンサルティングには成長余地あり
当社の上場目論見書では、国民医療費・介護保険給付費の合計額は、00 年の約 34 兆円から
2015 年には約 56 兆円に、15 年間で約 1.7 倍の増加予測を紹介している。また、医療機器・用品市
場においては、1989 年から 1998 年までの 10 年間の診断系機器の年平均成長率 2.2%に対して、
治療系機器の年平均成長率は 9.5%で、診断系機器と治療系機器は、2:3 の比率で市場拡大して
いるとのことである。一方で、医療機器・用品の卸・小売業界では、診療報酬や特定保険医療材料の
償還価格のマイナス改定の影響によって、マーケットサイズは縮小している。
収支状況∼05.3 月期業績が前期を下回る可能性あり、M&A 等による資産肥大化懸念も
04.3 月期実績と比較して、04.9 月中間決算の進捗がおもわしくない。上期・下期のバランスに業
界特有の構造があるかもしれないが、上場目論見書内での言及は発見出来なかった。
03.3 月期の当期利益が、経常利益水準と比較して低くなっているのは、貸し倒れ引当金約 3 億円
等の特別損失を約 4 億円計上したことによる一時的なものであり、留意する必要はない。
また 04.3 月期には、約 55 億円と大幅に総資産が増加している。これは、建物等 14 億円・土地 31
億円・長期貸付金 12 億円の対前期増によるものであり、資産の増加に呼応して、負債側でも長期借
入金で 26 億円・社債で16億円増加している。04.3 月期に一旦増加した総資産は、04.9 月期には、
受取手形・売掛金の減 53 億円と、それに呼応する負債側で支払手形等の減 49 億円によって、流
動資産・負債が減少したため、今度は 3 月末と比較して約 40 億円減少している。
リスク情報∼医療関連制度改正と減損リスク
当社は医療関係機器を取り扱っている関係で、薬価の引下げに伴う診療材料・医療用消耗品等
特定保険医療材料の材料価格の低下や、02 年 7 月に改正された薬事法での、医療機器に関わる
安全対策の見直し・生物由来製品の安全確保等について 05 年 4 月施行などのリスクがある。
また財務面では、介護付き有料老人ホームの設備投資や不動産取得・M&A 資金など、資金需要
が活発であったために、04 年 3 月末時点での総資産に占める有利子負債残高が約 40%まで上昇
している。減損会計については、前倒し適用は現在のところ実施していない。保有している有休土
地・帳簿価格 95 百万円での含み損が発生している模様であり、06 年 3 月期の強制適用までのいず
れかの年次に、損失計上の可能性がある。
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3
株式の状況∼ストックオプションによる希薄化懸念はない
当社株式は、04 年 7 月にストックオプション 3,000 株が行使された後、04 年 8 月に 1:3 の株式分
割を実施しており、05 年 1 月時点での発行済み株式数は 45,156 株となっている。これに今回の公
募とオーバーアロットメントを加えて、上場時点の株式数は、57,406 株を前提としている。現時点で
未行使となっているストックオプション類はない。
情報開示
当社 HP には、05 年 1 月 21 日時点で、投資家向け情報開示のサイトが存在していない。
本資料における個別銘柄に関する注意事項
・
EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用い
ている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過
年度を含めて修正している場合がある。
・ 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合があ
る。
その他の重要な注意事項
本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目
的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券
価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能
性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資
に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。
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