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繊維系吸音材の見かけ密度が音響特性に及ぼす影響
川野道則。下山力生・眞田
MichinoriEAWANO,Rikio
明・光石一太
SHIMOYAMA,AkiraSANADAandKazutaMITSUIS‡iI
キーワード
繊維/吸音/特性インピーダンス/伝搬定数
KEYWORDS
Fiber/SoundAbsorption/CharacteristicImpedance/PropagationConstant
1.はじめに
表1
近年、音に関する要求が高まり、軽量で吸音性
能が優れている繊維系吸音材が自動車や電器製品
ポリオレフイン繊維吸音材
などにも利用され始めている。吸音材の性能を表
A
現する際には、周波数一吸音率の曲線が多く用い
B
C
3.3dtex
D
繊
度
厚
さ
7mm
2mm
l.5mm
lmm
目
付
200g/m2
200g/m2
200g/m2
280g/m2
3.3dtex
3.3dtex
3.3dtex
られている。しかし、同一材料でも吸音材の厚さ
や背後空気層の違いなど、測定条件によって吸音
曲線が大きく変化するため、材料間の比較が容易
ではない。
見かけ密度
29kg/m3
95kg/m3133kg/m3
222kg/m3
繊維系吸音材など一般的な多孔質吸音材に関し
て、厚さなどに影響されない材料固有の音響特性
射吸音率計測ソフトウェアMSlO21/MSlO210pl
として、特性インピーダンスZ。と伝搬定数γが
用いられはじめている1)。特性インピーダンスと
を用いて求めた。
伝搬定数を決定できれば、厚さLの吸音材の反射
係数Rは式(1)によって求めることができる2〉。
Z。COSb(オトZ。S址(オ)
Z。COS血紘)+Z。Si血(オ)
…
3.結果と考察
吸音材Aについて得られた音響特性の結果を図
1に示す。特性インピーダンスの実数部と虚数部、
また伝搬定数の実数部と虚数部全てについて、
‥(1)
本研究では、繊維吸音材の見かけ密度が特性イ
ンピーダンスと伝搬定数に及ぼす影響について検
討した。また、測定時の厚さが特性インピ…ダン
√∈\空)K∧和-〕∴†禦定
(∈\髪)Kハ独1〕∴†塑望
…‥(2)
α訂燕l2
机………………………
ここで、Z。は、空気の特性インピーダンス。
また、吸音率αは、式(2)により求められる。
200
10D
600
粧ロ
10C012GO
l▲0016∽
20D
l的
eqO
868
10C¢12801仰18地
価辰致(沌)
麻点数(他)
(実数部)
(虚数部)
スと伝搬定数へ及ぼす影響についても検討した。
2.方
法
損
試料として、表1に示したポリオレフイン繊維
ね
て\J星空)蜜柑壁山†
からなる吸音材A,B,C,Dを用いた。
音響特性は、ブリェル・ケアー製
2マイクロ
フォンインピーダンス管4206型の大型測定管を
60
40
祁
2eO
用いて測定した。厚さの影響を検討するため、各
40Q
6〇q
8包0
】粥川
12eコ
11eO
代¢0
20D
4ea
席真数(Hz)
々の吸音材について枚数を変更して測定を行った。
特性インピーダンス及び伝搬定数は、スぺクトリ
ブリェル・ケア一事業部製
垂直入
ス株式会社
】53-
£GD
毛e¢
10D8
12D8
席g鼓(柏)
--→トー1牧(厚さ7rnm)一個一2枚(厚さ14mnl)・,・▲・-・3校(厚さ21mm)
図1
吸音材Aの音響特性
11〔り
16¢0
異なる値を示した。
また、全体的な傾向として、見かけ密度が大き
00
くなるに従って、特性インピーダンスの実数部と
虚数部、また伝搬定数実数部と虚数部のすべてに
岬
√E\髪)ペ∴訊1¥e塾女
椚∈\ぎ)ぺ∴もIu∴ヽせ狂
的
00
∽
ついて、絶対値が大きくことがわかった。
00
拍
凹
凹
…閉
1(和
600
800
l洞
1200
14的
朋
〔∈\望)ぺ∴れ1¥e女史
ウリヽ属官L)鋸屑礫堪
200
00
閉
脚
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禍…M∴…如
√∈\空)ペ∴丸-¥e塾女
20
脚
細
血∵瑚
馴
細
旭
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柳
㈹
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1200
り00
2抽
15払
180
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80(11(油8
12拍
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席フ屠致(H∼〉
周1署飲ひセ)
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(虚数部)
1…
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`¢0
800
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1綱
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11叩
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風〉屋敷(Hz)
帥
的
ト◆一昭(躯岬)l
郎
管\」8き)も栂錮由
図2
吸音材Bの音響特性
500Hz以下の低周波数領域でバラツキが大きくな
電一男t3彗一甲
馳
抑
∽
斡
㈹
閃
細
t■t・t--ttl■tt■t■tヽ
ることがわかったった。また、測定時の厚さに関
係なく特性インピーダンス、伝搬定数ともほぼ同
2側
l叫
6¢g
8¢O
10¢0
12【〉0
1108
2Gd
160さ
㈹0
…
■tγt-ttT■tttt
880
1080
1200
思長粒(僅)
J市長赦(Fk〉
一-◆-1抜(確さ1州1)-、瞥一2杖(厚さ2…)一・▲▲▲-31支(輝き3mr。)-・X■-5枚(厚さ5rqm)一・資′・10蚊(厚さ10爪m)
じ値であることがわかった。
図2、3、4に、各々吸音材B、C、Dの音響
特性を示す。吸音材A同様に、500Ez以下でのバ
図4
吸音材Dの音響特性
ラツキが見られた。また、見かけ密度が大きくな
4
るに従って、測定時の厚さの影響を受けやすくな
ることがわかった。特に特性インピーダンスより
まとめ
特性インピーダンスの実数部は材料における音
も伝搬定数の方が、測定時の厚さによって求まる
値が大きく異なった。特に伝搬定数の虚数部にお
響抵抗に関連した値、伝搬定数の虚数部は材料中
における音速に関連した値といわれている。今回
用いた繊維系教書材においては、見かけ密度が大
いては、図4に示すとおり1枚(厚さ1m汀1)での
測定と、10枚(厚さ10mm)での値が、極端に
きくなるほど音響抵抗が大きくなり、また材料中
での音速が低下することが示唆された。
また本来同じ材料であれば同じの音響特性を示
すはずであるが、見かけ密度が大きい材料ではバ
馴
(∈\芝)パ∴凱-や已塾象
調
瀾
珊
Ⅷ
耶
280
-0勺
600
808
1889
1200
1朋柑
朝瀾風脚二WⅧ㈹Ⅷ瀾二
(∈\芝)ぺ∧払-Ye貞女
曲
16銅
ラツキが多かったため、測定条件に注意する必要
があることがわかった。
5
4朗
2むD
6Ⅲ
筒5屋穀(Hz)
¢eO
l即9
1200
11α)
川¢0
謝
辞
吸音材サンプルを提供していただきましたチッ
周;屋敷(トせ〉
ソ株式会社に感謝いたします。
(虚数部)
仙
参考文献
20
(■Lミ⊂竜亡し烏直_叫的
印
1)小泉孝之,辻内伸好,安達
音制御,27,210(2003)
机
用
歩,藤田邦孝:騒
28
2¢O
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800
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1」亡の
MSlO21/
2)垂直入射吸音率計測ソフトウェア
MSlO2lopl仕様書スベタトリス株式会社
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原屋敷(トた)
リェル・ケア一事業部
-◆輌執5m=
図3
吸音材Cの音響特性
-54-